アフガニスタンの女性支援に関する懇談会

  • 日時: 平成14年3月26日(火) 15:30~17:00
  • 場所: 官邸大客間
  1. 出席者
    原 会長
    青山委員
    池上委員
    岩男委員
    内海委員
    喜多委員
    田中委員
    中道委員
    中村委員
    橋本委員
    目黒委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)委員からの報告
      • アフガニスタン視察について
      • 国連婦人開発基金(UNIFEM)及び国連人口基金(UNFPA)の動向について
    • (3)アフガニスタンの女性支援に関する意見について
    • (4)閉会

      (配布資料)

      資料1
      官邸アフガニスタン復興支援調査合同ミッション
      資料2
      アフガニスタン女性全国協議会合 結論
      資料3
      目黒委員説明資料
      資料4
      橋本委員説明資料
      資料5
      アフガン各派代表者会合(合意文書の概要)
      資料6
      アフガニスタンの女性支援に関する懇談会(第1回)議事録(案)
  3. 議事内容
    原会長
    ただいまから、アフガニスタンの女性支援に関する懇談会の第2回会合を始めさせていただきます。
    議事に入ります前に御報告申し上げます。前回会合において官房長官からすぐにでも現地を視察してほしいというお話がござ いまして、それを受けて事務局が準備をしていたのですが、ちょうど今月の11日から18日までの日程で、岡本行夫内閣参与の 外交タスクフォースのミッションが出ることになりまして、それと同行するということで、喜多委員と私が11日から18日までアフガ ニスタンを視察いたしました。委員の皆様にしっかり御希望を伺う時間もなく申しわけなかったのでございますが、視察の内容に ついては、本日報告させていただきたいと思います。
    その後で、国連婦人の地位委員会にNGOとして行かれた目黒委員と橋本委員が、ニューヨークでUNIFEMやUNFPAの 方々に、アフガニスタンの問題でお会いになっていますので、御報告をいただく予定でございます。
    それから、ミッションでお世話になりました外務省中東第2課の嶋守主席事務官から御報告も伺うことにしておりまして、その 後に委員の皆様からお寄せいただいた御意見の取りまとめについて検討します。
    今日はすべての委員の御意見をお配りしておりますが、そのほかに、会長名で作成した一覧表があります。これは、JICAの ミッションが4月6日から出るということなので、急きょ明後日ぐらいまでに、この懇談会の意見を向こうにお渡しするという必要 があると思いまして、そういうつもりで資料のたたき台をまとめたものです。
    3月初旬から中旬にかけてのJICAミッションのNGOに対する報告会が3月18日に開催されました。それには池上委員は出ら れなかったけれども、JOICEFの方が出られたわけですね。資料は全部もらったということです。それから、JICAの政府諸機関 に対する報告が何日でしたっけ。
    田中委員
    3月20日です。
    原会長
    それには田中委員がお出になったのですが、なぜか内閣府男女共同参画局には御連絡がなかった。
    外務省
    (嶋守主席事務官) 内閣府には御連絡を申し上げたのですが、男女共同参画局の方には行かなかったものですか ら、そこで事務的に外れてしまったということです。
    原会長
    今後それがないようにお願いしておきたいと思います。そのときの資料についても別途御報告をいただきます。今日 お配りしている会長名による提案一覧表は、外務省経済協力局が作成した資料を参考にして枠組みを作り、さらに、今回各委 員がお出しくださった御意見とあわせて、大変勝手でございますが、たたき台として、私がマトリックスの一覧表にいたしましま した。これは大急ぎで昨夜つくったので、それぞれの御意見と比べて抜けがあると思いますので、急いで御検討いただければ と思います。
    官房長官があと一、二分で御到着になるというので、喜多委員からの御報告は官房長官のごあいさつの後にいただきまし て、まず、資料1を御覧ください。これが喜多委員と私のアフガニスタン調査の1週間の日程で、どういうところを訪問したかが書 いてございます。
    それから資料2、これがなかなか重要です。3月5日から7日の間にアフガニスタンの女性の全国協議会がカブールで開催さ れました。これにILO東京支局の堀内光子ジェンダー特別アドバイザーが参加されていました。英語への通訳の質が余りよくな く、堀内氏の理解も限界があったということですが、アフガニスタンの女性が、どういうふうに何が大事だと考えているかが分か ります。この資料2は、私たちが今後議論する上でも、そして、具体的なプロジェクトを行う場合も大事ではないかと考えます。4 月5日からのJICAのミッションには、青山委員が内閣府の当懇談会委員として、内海委員は文部科学省参与として、それぞれ おいでになるということなので、とてもよかったと思っています。

    (官房長官入室)

    原会長
    それでは、早速、官房長官のごあいさつをいただきます。
    内閣官房長官
    それでは、アフガニスタンの女性支援に関する懇談会の第2回会合でございますが、ごあいさつ申し上げま す。
    この懇談会はアフガニスタンの復興支援を進めるに当たりまして、女性の地位向上や女性のニーズに配慮した支援の在り方 について、男女共同参画の視点から検討を行うことを目的としております。委員の皆様には、前回会合においても活発な御議 論をいただき、その後、具体的なプロジェクトについて御意見をお寄せいただくなど、非常に熱意を持って取り組んでいただいて おります。特に原会長、それから喜多委員には今月11日から17日まで急きょアフガニスタン現地の視察をしていただきました。 大変御苦労していただきまして心から感謝申し上げます。本日は視察結果を御報告いただき、懇談会として現地の状況、ニー ズを的確に把握したい。このように考えております。
    このほか、本日は関係機関の動きについても委員から紹介されるようでございますが、このようなアフガニスタンの支援をめぐ る様々な動きを総合的に勘案しつつ、早急に必要な支援策の検討を進めていただくことを期待申し上げましてごあいさつとさせ ていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
    原会長
    ありがとうございました。
    それでは、このたびのミッションの報告をいたします。資料1にございますように「官邸アフガニスタン復興支援調査合同ミッ ション」は、「対外関係タスクフォース」の岡本代表、それから、「アフガニスタンの女性支援に関する懇談会」の原代表と喜多委 員ということで、対等なミッションと位置付けていただきました。そのことで、カブールなどの国連のいろんな機関に対しても、 「えっ、女性のミッションを、こうやって岡本ミッションと対等に並べているの」という感じで、印象付けたと思います。
    官房長官
    なるほど。当然のことながらね。
    原会長
    はい。日程は後で御覧ください。喜多委員のきれいなスライドがありますので御覧ください。
    早速、喜多委員から御説明をいただきたいと思います。喜多委員の資料には番号が付いておりませんが、これを御覧になり ながら、「アフガン訪問の印象」ということでよろしくお願いいたします。なお、喜多委員は、1989年、1998年など、これまで数 回に渡りアフガニスタンに入っておられます。
    喜多委員
    時間がありませんので、すぐにやらせていただきます。「アフガン訪問印象」というのも、原会長の叱咤激励を受け まして夕べつくりまして、誤字もございます。2-2地方(ジャララバード、ヘラート)の3行目に、「軍歌」となっておりますが「軍 靴」でございます。失礼いたしました。
    それでは、すみません。スライドをお願いいたします。
    一応、本日でき上がりましたスライドを急いで並べましたので、不備があるかもわかりませんが、印象を見ていただきたいと思 います。
    これはカブール空港に着陸直前のカブールの郊外の状態です。やはり、緑が少ないという印象です。
    しかしながら、少し離れますと、こういう灌漑された田畑もございます。タリバンがカブールに入ってくるまでは、カブール周辺 は穀倉地帯でした。
    これはカブールの飛行場で、私たちの乗った飛行機ではなくて、もう少し大きな飛行機なのですが、割と殺風景な感じでござ いました。
    これは80年代、90年代に行ったときにもあったカブールの空港の管制塔です。ちょっとよくわからないのですが、上の方は窓 ガラスが入っておりません。
    そこでぼんやり立っているとバンと音がして、多分、地雷の除去の作業だと思うのですが、こういうものを着いた直後に見てし まいました。
    それから、これは空港のビルの正面に立って街の方を向いたところなのですが、何となく殺風景なという印象は見ていただけ るかと思います。
    それから、空港の横にあります大きな倉庫ですけれども、これは昔もこのままでございましたけれども、屋根には穴が空いた り、ほとんど壊れていて使い物にならない、そこのところにUNの新しい車がたくさん並んでいる。町の中に入れば、日本の広告 のついたままの自動車がたくさん走っておりますけれども、ここから少し離れたところの町外れですと、タリバン時代に比べまし て圧倒的に町じゅう人であふれかえっているという感じでございます。郊外には雪の山が見えておりまして、なかなかきれいな ところではございます。
    これは昔、89年、98年に行ったときには、もう少し店らしい店があったのですが、今は殺風景な感じです。ただ、2人の女性が ブルカをかぶっている姿が見えておりますが、このことはとてもいいことではないかと思います。とにかく、女性が外を動けるよう になっているという印象を持ちました。
    これも車の走っている中から撮りまして、不備な写真ですけれども、街には三々五々女性の姿が見えるということです。
    原会長
    男性と一緒でなくても、女性だけでも歩いているわけですね。
    喜多委員
    そうですね。
    原会長
    ブルカをかぶっているけれども、歩いているのです。
    喜多委員
    私たちは地雷のところには余り入っていないのですが、こういうふうに手の上に地雷を持って見せてくれるんです。 そのことよりも、兵士といいますか、ムジャヒディンが着ている服ですね。昨年の空爆以後、急激にアメリカ製のミリタリールック が蔓延しているという感じがいたします。
    地雷原の夕日なのですけれども、とてもきれいなところなのですが、ここに地雷が埋まっています。
    そういったところを歩いておりますと、すぐ人が集まってきて、カメラを向けると、とにかくカメラに迫ってくるという状況です。人 懐っこいというのか、カメラが珍しいからかわかりませんけれども、こういう光景は至るところで見られます。
    これはカブールの小学校ですけれども、黒板がなくて壁に字を書くというのは、かわいそうと言えばかわいそう。また、床の上 に座っているのも、かわいそうと言えばかわいそうですけれども、これはアフガニスタンの今の状況に限ったことではなくて、中 近東あたりの学校の状態は、こういうことが多いので、ここだけを特別視する必要はないと思います。
    原会長
    日本の戦後でもそうでしたね。
    喜多委員
    カブールの街の中にも、こんなふうに残っている建物もあるのですけれども、この懇談会の準備会のときにお示し しましたように壊れた建物がはるかに多い。これは、昔ながらに残っている山の手の住宅地といいますとちょっと語弊がありま すけれども、このあたりは、実は中の方に入ってまいりますと、南米の山岳地帯のスラムと同じで、とても汚いところがあるので す。今回、そういうところまでは入れませんでしたが、98年にそういうところをWHOの人と歩いたときは、常に涙がこぼれるよう なところがございました。
    これは、まだ残っている廃墟でございます。ほとんどが土の家ですので、割合と簡単につぶれると思いますけれども、そこまで 銃弾を無駄にして、何をしたいのかというような気がするぐらいつぶれてございます。
    これは一時、メディアに出ましたソビエト大使館に避難民が帰ってきて住んでいるという場所の前の大通りで、以前はとてもに ぎやかなところだったのですが、街の真ん中でこういう穴が開いておりまして、全くの廃墟になっております。これはタリバンが 96年にカブールに入ってきて、今で申します北部同盟と戦ったときに、この地域が激戦地であり、ぐちゃぐちゃになってしまった ところです。このあたりで気がついたのは、以前に比べて自転車が非常に増えているということです。黄色と白の車はタクシー ですけれども、とても自転車が多い。カブール自体は盆地で1,800メートルぐらいでしょうか、とても自転車をたくさん見ました。
    これは元国王の王宮でございます。89年に行ったときは、まだきれいな王宮が残っておりまして、たしかライオンの像があった のを写真に撮った記憶があるのです。
    原会長
    ライオンも消えていましたっけ。
    喜多委員
    なくなっていました。ここはぐちゃぐちゃになっておりまして、このあたりが激戦地でした。そこから帰ってきたところ で、一人の少女がおりまして、カメラを向けるとにっこり笑ってくれて撮らせていただいた。この辺はとてもきれいな街だったの に、今はもうさびれてしまって、私、神戸が地元なので思うのですけれども、神戸の地震の後と似たような気持ちになります。こ ういうような廃墟です。
    あちらこちらに暗殺されましたマスードの写真といいますか、ポスターが飾ってありまして、残念ながらカルザイ議長の写真と いいますか、肖像を見たのはヘラートだけでしたけれども、それ以外は至るところ全部マスードでした。北部同盟の象徴であろう と思います。
    それから、これはカブールの中のポンプですけれども、こういうのは500 メートル間隔ぐらいに設置しておりまして、見る限りに おいては、ほとんど水は出ておりしました。だから、今も使われていると考えていいと思います。
    これは学校ですけれども、これも床で、ここの先生方は黒板ではなくて壁です。しかし子どもたちはとても勉強するのが楽しみ のようでした。
    それととても印象的だったのは、以前ペシャワールにおりましたときに、難民キャンプの教育を見に行きますと、戦争の絵を書 かされている男の子がとても多くて、しかも、その戦争の絵を外国のドナーに送って、ファンドレージングをしているという、二重 にも三重にも嫌なことを知ったわけですけれども、今回は花の絵を書いている子どもを何人も見ました。やはり、こういう絵が書 けるようになったのだなということは、とてもいい印象を受けます。
    これはカブールの小学校で、今回の岡本調査団が持っていきました文房具を贈呈するときに、左側に団長の岡本さんがい らっしゃいまして、大使がスピーチをされているところでございます。この後ろが小中学校です。女の子が2,000 人、男の子が3, 500 人です。
    これはカブールの街の中のお肉屋さんでございます。
    そのあたりでカメラをあちこち向けておりますと、いろんな人が見えるのですが、これはカブール川沿いの野菜市場でございま して、昔とほとんど変わらない光景で、シーズンの野菜はとても豊富でおいしいです。ちょっと見ていただきたいのは、カブール 川というのは、もっととうとうと流れる川だったのですが、今とても水が少ない。そのことも、このあたりの水不足を物語っている のかなと思います。3月ですから、まだ雪解け水が流れる時期ではないのですけれども、それにしてもちょっと少ないなという印 象を持っています。
    こっちを向けましても女の人が1人で歩いている。タリバン時代には、そもそもまちに人影がありませんでしたので、とてもいい ことだと思います。
    ここで男の子が外国のポスターみたいなものを売っているので、私が見ていると恥ずかしがって影に隠れちゃったので、そこ のところを写真に撮ってみたのです。こういうものが売れるようになったのだというのは、私は大きな変化だと思いました。
    ちょっと飛びますが、ジャララバードの近くにあるキャンプは国境を越えた難民ではございません。国内の避難民、それから、 それ以外のところから来ている人がいます。国内避難民と難民等の両方がいる難民キャンプでございますが、余り長く滞在しな いので正確な人数がわからない。1万家族ぐらいがいるので、平均1家族5、6人としますと、6万人ぐらいかなというお話が出 ていますが、はっきりわからないということでございました。
    普通3か月、4か月住みますと、このあたりの人々は土の家をつくって生活するのですが、このキャンプは割合と回転が早い ためにそういう家もつくらないという印象を持ちました。その一軒の家の中をのぞかせていただいたのですが、地面から20センチ ぐらい掘りまして、その中にシート、あるいはいい家ですとカーペットを敷いておりましたが、そこに家族5、6人ぐらいが住んでい る。冬であれば地面は相当冷たくなると思いますけれども、こんな住処です。鍋が1つ、コンロが1つといった感じですが、手前 に見えておりますのは、ハンモックのようになったゆりかごでございます。
    外で見ていますと、こういう女の子、女の人というのには若いのですけれども、ちらちらと見られます。
    それから、鍋釜も幾つかはありますが、全体として、こういうところは水不足でございますので、生活に関しては著しく欠けま す。それからジャララバードでは、随分武器を持った方に護衛をしていただくはめになりました。こういう武器、これは一番昔から あるカラシニコフ銃ですが、一番左の人が構えている銃の真ん中の台座が木でできていたのですが、こちらは金属でできてい て、これが一番古いものです。それからプラスチックのものなっているのです。それ以外にも新しいカラニコフがどんどん出回って いるように思います。これはやはり11月ぐらいから増えたということでございます。
    女性のことに関しまして、特に妊娠、分娩のリスクもあるのですが、街の中はこんなふうに車の上に山盛り人が乗って走って いるというリスクがございまして、こういうのが急ブレーキをかけたり、松の木に当たったりしますと、即座に7、8人は命を失うこ ともございます。そういうリスクがあるために、女性の妊娠、分娩にかかわるリスクも相対的に小さく見えます。あるいはヘラート のイスマイル・ハーン知事が地雷除去よりももっとしてほしいことがあるとおっしゃったように、地雷で生命を落としたり、けがをす る人のリスクが相対的に小さく見えている印象を持ちました。
    これはジャララバードの郊外ですが、やはり郊外でも、こういうふうに女性は歩いています。
    場所が飛びましてヘラートの方ですけれども、やはり、砂漠の中をバスの上に人が山盛りに乗って疾走しております。実際、 以前いたパキスタンの郊外でも、こういうことがよくあったのですけれども、ちょっとぶつかると十何人ぐらい死ぬという事故が起 こります。これはヘラートの方のIOM、国際移民機関がやっている国連避難民のためのキャンプのポンプ井戸でございます。
    ここは先ほどの難民キャンプと違いまして、少し古くなってまいりますと、こういう土の家をつくって住んでおります。この土の家 は難民キャンプであれ、ローカルの人であれ同じような住み方だと思います。
    これは、尋ねたオマールという難民キャンプがやっている女性のためのプロジェクトの中で、地雷の認知をやっているとおっ しゃっていました。
    これが難民キャンプのトイレなのですけれども、実は今日のスライドには入れてはいないですけれども、トイレの周りにいっぱい ウンチが落ちている。つまり、トイレの中でウンチをするという習慣がなかなか身につかない。清潔感というにはほど遠いという 状態です。ですから、こういう子どもたちはウンチのあるところを平気で歩いていって、私ども行きましたときも、大きな人だかり ができて、何となく足元からそこはかとない臭いが漂ってくるので、下を見ますと、子どもが踏みつけているという光景もございま す。
    女性たちもこうやって写真は撮らせてくれました。こんな感じでございます。
    むしろ、写真を撮ってくれといって迫ってきた、この人なんかはそうなんですが、女性は写真を嫌がるというのがありましたけれ ども、この女性も撮ってもいいかと言ったら全然嫌がらずにいいよという仕草をしました。
    街の中で女性を走っている車から撮りまして、ちょっとぼけておりますが、たくさんの人が女性です。
    これは、ヘラートでUNOPS、国連プロジェクト支援機関がやっておられる地元のシューラー、自治会みたいなものだと思うの ですが、そこがやっている女性の障害者のプロジェクトでございます。一見、こうやって見るとよく分からないのですけれども、聞 いてみますと、この人たちは言葉が不自由であったり、耳が聞こえなかったり、1人の女性は地雷で足を飛ばされて義足といい ますか、そういう方です。手前で刺繍をやっている方も足の指が奇形になっております。そういう人たちのためのものだそうでご ざいます。
    これはヘラートの街で、大体カブールを除きますと、アフガニスタンの大きな街は似たり寄ったりこんな感じで、人は多くて雑踏 でございますけれども、とても趣のある街でございます。こういうところでも、女性はぱらぱらと歩いている。
    それから、これは大きな学校で教室も全部満杯で、外で試験をしているところでございます。ここはダリ語です。学年振り分け のための試験をやっておりましたが、年齢が非常に違うのは、学校に行けなかった人が学校に来ているのでということでござい ます。
    原会長
    女性の年齢幅の方は、男性の年齢幅より一学年の中で大きいということになります。
    喜多委員
    これはヘラートで、プロフェッショナルシューラーといいますか、職業組合みたいなものなのですけれども、これはヘ ラートで初めてできたそうで、まだできて2か月ぐらいだということでしたけれども、こういう方々の中で、この日の人数を数えてみ ますと十何人で女性が2人だったのです。
    原会長
    14人です。
    喜多委員
    14人中女性が2人。
    原会長
    でも、プロフェッショナルシューラーの全メンバーは800 人です。800 人のうち14人だけが、この日来てくださったとい うことです。
    喜多委員
    そうですね。こういうところは少し女性問題を真剣に考えてくださればなという感じです。
    これは最後にヘラートからイスラマバードに飛んだ国連機でございまして、無事に日本に帰ってまいりました。
    この印象記に簡単に書いてございますが、80年代、90年代、現在を見てみまして、少なくともカブールの治安は、地方の治安 の問題もあると思いますけれども、不安定ながらも、これは改善されています。一触即発何が起こるかわからない状態から完全 に抜け出しているとは思いません。ただ、女性がブルカを着てならば1人でも歩ける。多分、今ブルカを脱いで歩いても問題はな いと思うのですけれども、着ている方が安全だと女性が認知しているのだろうと思います。
    それから、インフラに関しては何もかもが壊れておりますので、いっぱいやることはあると思いますけれども、どこから手をつけ れば、特に女性に関して有効なのかということについては、よく考えないといけないような気がします。地雷除去は先ほども申し ましたように、とても見栄えがよくて、国際社会では人気があるのですけれども、相当街から離れたところの地雷除去を急いで やる必要があるのかという点に関しましては、私自身はいろいろ問題があるところでみますと、ちょっと後でいいのではないかと いう気もいたしました。
    原会長
    場所によってはですね。
    喜多委員
    はい。場所によっては、です。
    原会長
    交通の要所とかの地雷は早く撤去する。
    喜多委員
    それから、人々がどうしても行かなければならないところ、これは、やはりプライオリティは高いと思います。食糧 や水に関しては、私どもも多少用意はしていきましたけれども、タリバン時代のように何がないということはないと思いますが、 やはり、衛生ということに関しては、まだまだ不備でございますので、外から行く者については、それなりの心構えが必要かと 思います。水は先ほど申しましたように、全体としての水不足というは、これから長期的に出てくるのかなという印象を持ちまし た。
    女性に関しましては、ただいま申しましたように、女性だけを取り上げてもなかなか難しい問題もございますので、やはり男性 を巻き込んで、どんなことができるのかというのを考えていただければと思います。
    以上でございます。

    (官房長官退室)

    原会長
    全体としては大変皆さんの表情が明るくて、それこそ日本が戦争に負けた直後、焼け野原の中で日本人が明るい 顔をしていたというような、そういう雰囲気で、ともかく息が詰まるようなところからも開放されたという表情なのだなと思いまし た。ジャララバート、へラート、カブール、どこでもそういうふうに感じましたが、うまく暫定政権から臨時政権に移って、また総選 挙でもあって、安定した状況になるというところを上手に持っていってあげるお手伝いをするのが、私たちの役目かなという印象 でございました。
    以上で、私どものアフガニスタン訪問視察の御報告を終わります。
    それでは、引き続きまして目黒委員及び橋本委員から御報告をお願いいたします。
    これは資料の3と4です。御覧になってください。
    目黒委員
    それでは、資料の番号順に私の方から始めます。
    私は、この資料にありますとおりの日時でUNIFEMの本部に行きまして、ヘイザー事務局長がアフガンその他の地域に出張 中でしたので、事務次長と面談しました。まず、アフガニスタンの女性に対するUNIFEMの支援活動の枠組みというのを設定す るために、大きく分けて2つの会議をUNIFEMが主催したそうです。第1は昨年の12月にブラッセルで開かれた、これは2つの 会議に分かれていますが、ほとんどワンセットで行われたもので、「アフガニスタン女性サミット」と「アフガニスタンの復興におけ る女性のリーダーシップ役割に関する国際ラウンドテーブル」という会議をやったわけです。これにはいろいろな参加者がいたの ですけれども、外国に散らばっているアフガニスタン女性たちで様々な活動をしているNGOの代表もこれに参加した。それか ら、各国の政府代表、つまりブラッセルに在外公館のある各国政府の人々も来たということです。ちなみに確認しましたところ、 日本は参加していなかったそうです。
    2つ目が大変大きな意味があると思われますが、最初のブラッセルで開かれた会合の結果をまとめたものをもとにして、今月 の5日から7日までカブールでアフガン全国女性会議というのを開いたということです。これが、実は先ほど御紹介のありましたI LO東京支局が日本語に訳している資料で、私の資料についている英文のものは、その基になるものです。日本語訳があるの で参考になると思います。ここで大事なことは、UNIFEMが主催したと同時に、アフガンの女性省と国連各機関との共催で開い たということで、現地の女性たちが8県、県と呼んでいるようですけれども、8つの県から60名が参加した。ここにドナー関係者等 も参加して、ILOからは堀内光子さんが参加したということです。
    原会長
    カルザイ議長はこの会議においでになったそうです。
    目黒委員
    この資料については後でちょっと触れます。とにかく、この会議がUNIFEMの支援活動の枠組みを確認するため のものになったということです。
    2番目のアフガン女性のリーダーシップ支援の主な戦略。UNIFEMとしては5つの戦略と呼んでおりまして、ここに書いたよう なものでございます。3番の活動重点領域としてUNIFEMが考えているものが、ここに挙げた4つです。
    まず、平和構築における女性の参画というのが1つの柱になっている。2番目は、コミュニティビルディングにおける女性のリー ダーシップの確保ということで、括弧の中にありますように、難民・避難民女性を対象にするというところが、1つの大きな特徴に なっているところです。
    3番目に経済的安全保障の強化。とにかく、女性たちが経済的に自立できる方向に近づくための支援をするということと、もう 一点が暴力廃絶と人権保護。実はニューヨーク滞在中に、女性の地位委員会が2週間開かれましたので、その会議の日程の 間をぬって面談をしたわけですけれども、ユニセフとの面談は時間の調整がつかなくてできませんでした。もう一つ、国連人口 基金は橋本委員と一緒に行くことができました。ユニセフは教育、あるいは制度づくりを中心に支援活動を展開する。国連人口 基金の方はリプロダクティブ・ヘルスに関して支援をするということで、それに対してUNIFEMの方はどこにポイントを置くかとい うと、女性の経済的な自立を目指すという部分と暴力、人権の保護というところではないかと見られます。
    最後の「強調点」として挙げたものですが、第1点は、アフガンの人々は復興に関して、自分たちが主導性を発揮するのだとい うことを大変重視している。これは全体の会合でも彼等が主張しているところですが、女性たちも同じ主張をしている。この点を UNIFEMは非常に尊重しているということでございます。
    先ほどの資料ですが、この1枚紙がアフガンのコンサルテーション会議の結論です。何を原則とするかということが前半にあり まして、後半にいろんな国際機関とか、国とか、NGOとかから支援を得る場合に、アフガンの女性たちがどういう支援をしてほし いかということをまとめたものがあるわけでございます。これについてUNIFEMは、彼女たちが欲することやるということを前提と したいということ。これが基本的なポジションです。
    もう一つは、サンドラー事務次長が個人として言っていたことですが、女性省の強化をするという場合に、幹部だけでなくて、 地方の制度を強化する必要がある。これを何らかの形で同時進行するということが大変重要だということを言っていました。
    それからもう一点、日本政府に対しての希望として、女性省の大臣を早急に、できれば4月ごろにでも、日本に招待して、日 本の状況について見て、日本の女性との意見交換をするということをやれないだろうか。これは彼女の切なる希望でした。多 分、日本政府ができることの1つとして、こういうことはいいのではないかということでした。
    さらに、既に日本政府が持っている避難民救援事業の枠組みの中で、避難民の女性たちに対する支援ができないだろうかと いう点。これはアフガン支援という形ではない予算だそうですが、そこのところで何かできることはないだろうかという提案があり ました。
    橋本委員
    今回女性の地位委員会には、NGOとして最初の1週間だけ参加しました。UNFPA(国連人口基金)の和気事務 局次長が1日だけ空いているというのが分かりまして、大急ぎでアポイントをとって、目黒委員にもお願いして一緒に伺いまし た。
    UNFPAは元々家族計画をやっているところです。現在、アフガニスタンでは、例えば世界で2番目に高い妊産婦の死亡率を 下げるために、病院関係、産婦人科などのいろんな機器を充実させることなどもやっているし、それから家族計画を進めるため に、避妊方法の普及などもやっているわけです。そして、今回ここにも書いてありますように、この緊急支援のために900 万ドル 集めたそうですが、日本国連代表部では何も出してくれなかったということです。
    現在、日本政府が支援をしているのは、カブールを中心にしているわけですが、UNFPAの場合には、NGOと連携してカブー ル以外の安全なところでもいろいろな活動をしているということが挙げられました。できるだけNGOと連携して支援するというこ とがポイントの一つです。
    それから、UNFPAは公衆衛生省のフォーカルポイントであるという位置付けをきちんともらって、その中でいろんな援助をする ということです。ですから、アフガニスタン政府がちゃんと認知した形の活動をするということが重要ということです。
    原会長
    これはアフガニスタンの公衆衛生省ですか。
    橋本委員
    そうです。さらに地方省等も連携して、長期的には青年団などにリプロダクティブ・ヘルスや家族計画に関して、ど ういうふうに避妊していくか、子どもを安全に産んでいくかということも啓発していきたいということがありました。単に、それだけ ではなくて、ファンクショナル・リテラシーのことについても訓練をしていきたいということです。連携機関として、WHOとか、ユニ セフは挙げられていましたが、ユネスコというのは出てこなかったですね。そして、日本人幹部職員として、特に私たちが今回関 わっております女性支援に関して、どういうふうなことに注意したらいいでしょうかということを伺ったのですが、最初に書いてあ りますように、良い文化とか伝統はできるだけ残していかないといけない。これはソ連侵攻のときに、女性たちが新しい女性解 放の流れに乗ってしまって、タリバンという原理主義者が大変な勢力を持ってから辛いしっぺ返しになったということもあるので、 そのような経験をもう一度させるべきではないし、それをとても恐れている。日本は西洋の国ではないので非常にいいのではな いかということでした。
    それから、これは喜多委員もおっしゃっていたのですが、すべての援助というのが政治とかかわってくるので、非常に注意して 援助というのは行わなければいけないということ。
    次に、提案としてジェンダーフレームワークを早くつくった方がいい。それは、この懇談会ができることではないかとおっしゃって おりました。それから、ここには書いていないのですが、今は日本の駒野臨時代理大使が中心になってやっていらっしゃるので すけれども、非常に手不足な印象を受けるということです。日本からの視察団が行くと、その方に回らなくちゃいけない。そうなる と、その他のドナーとか、政府との関係とか、いろいろなところでネットワークをつくる活動が非常におろそかになるので、そうな らないように大使館の強化をしなくちゃいけないし、それから、日本人が視察に行くというのもよほど検討して行った方がいいの ではないか。そういうこともおっしゃっておられました。
    以上です。
    原会長
    ありがとうございました。では、外務省の嶋守主席事務官から御説明をお願いいたします。資料5でしょうか。
    外務省
    外務省の中東二課の嶋守と申します。この度、原会長と喜多委員と一緒にアフガニスタンに行かせていただきまし た。
    資料5の3ページ目をめくっていただきますと、図のようなものが出てくるのですが、これに基づいて、これからアフガニスタン の政治状況ということで、どういう動きがあるかというのをざっと説明させていただきたいと思います。
    一連の流れをざっとやって、今焦点になっているところに戻ってくるという構成で御説明させていただければと思います。
    アフガニスタンの政治プロセス自体は12月5日にボンで集まりまして、これはアフガン各派が集まる形で、国連が後見役とし て見守る中行われました。関係各国は入っておりません。その中でボン合意というのができまして、その流れに基づいて、今一 連の政治プロセスが進んでいるという状況です。
    去年の12月22日の段階で暫定政権というものが設立されまして、この暫定政権の行政府の議長をやっているのがカルザイ 議長ということでございます。行政府と我々の伝統的な考えでいくと、立法府的なものとして緊急ロヤ・ジルガ招集のための特 別独立委員会というのが開かれております。あとは司法府ということで裁判所です。この緊急ロヤ・ジルガ招集のための特別独 立委員会、ロヤ・ジルガというのは、そもそもアフガニスタンで伝統的に行われている大部族長会議でございまして、いわば合 議制に基づいてものを決めていくというものでございます。これに緊急ロヤ・ジルガを開くとしても、誰を呼ぶのかという話がある ので、その呼ぶ人を決めるために特別独立委員会が開かれているということです。
    この緊急独立委員会が緊急ロヤ・ジルガに集まる人たちを決めて、今年の6月22日まで、あと約3か月後ですけれども、それ までに緊急ロヤ・ジルガというものを開くことになっております。そこで、暫定政権から移行行政機構というものにかわりまして、 移行政権の議長というのを選出する。それで6月22日をもって、この暫定政権から移行政権に移管するということになっておりま す。移行政権に移管した後、18か月以内に憲法制定のための大部族長会議というのが開かれて、それから6か月以内に今度 は新憲法に基づく自由で公正な選挙というのを行うという段取りになっています。
    なぜ、これだけめんどうなことをするかというと、結局は民意を反映させるプロセスです。12月5日にボンで集まったのは、要は 有力者が集まっていて、全然そこは民意が反映されていない形になっています。ですから、少しでも民意を反映させるために、 まずはみんなで独立委員会ということで集まって、我々の代表者として誰がふさわしいのかということで、緊急ロヤ・ジルガを1 回開いて、それで一応アフガニスタン国民の代表者からなる緊急ロヤ・ジルガに承認されたということで移行政権ができて、さら に、その移行政権のもとで憲法を制定して自由な選挙をするということで、すべて民意を反映させるプロセスということで成り 立っております。
    今、一番の焦点になっているのは、6月22日までに開かれることになっている緊急ロヤ・ジルガというものでございます。その 2ページ後に緊急ロヤ・ジルガ招集のための特別独立委員会のメンバーという資料をつけておきました。カゼミヤという人が今 議長をやっているのですが、このカゼミヤ議長には、この度その一行が視察をしたときに、実際に対談をしてまいりました。
    ロヤ・ジルガというのは、まさに紀元前からアフガニスタンに根を張っている伝統的な会議で、各地方に行ったらどこでも歓迎し てもらえるんだという、かなり楽観的なことを言っているんですが、実際には、地方の特に軍閥は、自分たちの勢力をこの移行 政権においても確保しようということで、まさにロヤ・ジルガのメンバーに対して、どういう影響力を確保できるかということを今一 生懸命やっているところでございます。
    ロヤ・ジルガのメンバーを選出するためには二段階の手続がありまして、アメリカの大統領選挙のような形です。一段階目で ロヤ・ジルガの代表者を決めるための選挙人が選ばれる。これは人口比に基づいて選ばれる。その代表者が集まってロヤ・ジ ルガの実際のメンバーを選出する。アメリカの大統領選挙のように二段階方式になっていて、ロヤ・ジルガのために集まるのが 大体1,500 人ぐらいと言われております。これは各地区の代表として集められるのが1,000 人強、それから女性が100 人から 200 人、さらに在外アフガニスタン人の代表が100 人から200 人、あわせて1,500 人程度になるのではないかと言われており ます。
    これをどういうメンバーにするかというのを決めるというのが第一番に非常に重要なことになっていて、そのメンバーを決めるこ と自体にも、第一の段階で選出される選挙人をどこかに集めて、実際に会議を開いてもらって、それで決めなきゃいけないという プロセスがあります。また、会議を開くこと自体も、まさに移動する道ががたがただったり、会議する施設があるのかとか、宿泊 施設があるのかといったような問題から始まって、なかなか設備的にも国際社会が支援してあげないとうまくいかない。
    原会長
    選挙人は何人集まるんですか。
    外務省
    選挙人はほぼ人口2万人の地区で最低1人なのです。あとは人口比でグロス割という単位があるんですけれども、 その単位に応じて出すということで、選挙人の人数自体、まだ確定していないと思います。
    原会長
    何千人単位ですか。
    外務省
    何千人単位です。それを8つの地区に分けて集めるということなので、何千人割る8で、1つの地区に1,000 人規模 で集まるということになると思います。
    さらに、その選挙人が選んだ人間たちを、今度はカブールで緊急ロヤ・ジルガをやることになると思うんですが、そこには1,500 人規模が集まってくるということで、それも移動手段、会場、宿泊施設等々を含めて支援していかなければいけないということが ございます。
    そこが政治的なプロセスとしてあるところで、もう一つは、緊急ロヤ・ジルガをだれが開催するかということで、横にちょっと出て おりますが、ザーヒル・シャー元国王というのがおりまして、この元国王は1973年に革命で追放されたのですが、今、イタリアに おります。この元国王が帰ってきて、国民統合の象徴として緊急ロヤ・ジルガを招集することになっているのですが、もう一つの 問題として、本当は3月21日の春分の日がちょうどアフガニスタンの新年に当たるのですが、そのときにこの元国王が帰ってき て、象徴的意義を持たせるということで考えていたのですが、それが伸び伸びになっている。
    次の日程として26日というのが言われていたのですが、それも安全が確保できないということで伸び伸びになっている。今、 諸説あって、カルザイ議長はこれから二、三日後だと言っていますが、いつ帰ってくるかわからない。帰ってこないと緊急ロヤ・ ジルガが開けないので、これからどういうスケジュールで、どういうことが起こっていくのかなということが非常に注目されるとい うような状況になっています。
    当然、暫定政権のカルザイ議長は、ロヤ・ジルガプロセスというのを強く支持しているのですが、まさに地方の軍閥が自分たち の勢力を保つために、どういう行動に出るかというのが、いろいろ懸念されるところです。また、その地方の軍閥と関係があると される周辺国の立場というのも懸念されるところで、そうした6月22日に向けたプロセスというのが、今非常に重要になってい る。そのためには、国際社会として緊急ロヤ・ジルガを開くための、先ほど申し上げたような具体的な宿舎であるとか、移動手段 であるとか、そういう支援に加えて、本当は国際社会全体として政治プロセスを支援していて、この政治プロセスを応援するた めに、まさに国際社会としても、アフガニスタンの復興に協力しているのですということをメッセージとして伝えていくということ が、非常に重要になっているというような状況でございます。
    原会長
    ありがとうございました。大使館の体制強化ということについて、UNFPAの和気事務局次長がおっしゃっていたとい うのですけれども、この辺の見通しはどういうことか、お話になれることがあれば。
    外務省
    現在の体制は駒野臨時代理大使が常駐するということで、常駐者は1人だけなのです。そこは我々体制を強化して いかなければいけないと強く思っておりまして、常駐者をサポートする意味で、応援出張者が東京又はほかの国から呼んでい るのが2名、それから、パキスタンから大使館員を恒常的に1名出していただいていて、もう1人、官房要員ということで会計面 ですね。会計もアフガニーという通貨と、米ドルとパキスタンルピーという3つが通用していてなかなかめんどうですけれども、そ の4人プラス駒野大使で、今5人ということで基本的にやっております。6月までの間に考えておりますのは、常駐者は今、駒野 臨時大使1人ですが、6月までの間に7人に増やすということを一生懸命やっているところです。最終的には10人常駐という形 にもっていきたいと考えております。
    原会長
    2週間とか、3週間交代でほかの在外公館からおいでになっている方々の状況というのは、そうすると、6月からもう ちょっと落ち着いた状況になるのでしょうか。
    外務省
    6月からは基本的には常駐者を充てて、駒野臨時代理大使とともにずっとカブールに居続けるという形にしようと思っ ています。
    原会長
    先ほどの私の報告でちょっと抜かしましたが、ジャララバードの市長が、町の中のまず市場のあたりとかに女性の公 衆トイレをつくりたいという御希望があったのです。それについては駒野臨時代理大使とか、岡本行夫代表ともお話をして、すぐ やるといいのじゃないかということになりました。日本大使館に現地の地方自治体及び現地のNGOが申請できる草の根無償と いう小さなお金でやれるからです。こういう案件は、現状ではJICAのプロジェクトはカブール市の区域でしか活動できないとする と、当面草の根無償とか、日本のNGO支援がすぐにできるということであればとにかく行う。それから、JICAベースのいろいろ な民間のものとか、そのほか幾つかの日本のNGOも、もう既に調査に入ったり、アフガンのNGOとの提携先をつくりつつありま す。私どもの今回の視察では、そういう支援がカブールだけにならないこと、それから各地の地域差を知ることが大事ではない かと考えました。それから岡本ミッションと私どものミッションの共通認識で、大使館をしっかり強化していただいて、今後いろん な人が入っていってもちゃんと対応できるようにするべきということです。帰国したその日に官房長官に御報告に行ったときに も、岡本代表と私と両方でお話をしました。
    それでは、御質問がありましたらどうぞ。
    目黒委員
    国連女性の地位委員会の決議案のことはいいですか。
    原会長
    国連女性の地位委員会の日本政府代表として、目黒委員は2週間ニューヨークに行ってらっしゃいました。今度は 夕方で会議は中断してしまったそうですね。
    目黒委員
    アフガニスタン女性の支援に関する決議案というのがまとまりませんで、会議が現地時間の25日に1回だけ再開 されまして、最終のところで採択されました。これはアメリカの発議なのですが、EUとの間でものすごくもめていました。その理 由は、アメリカは現地の状況を考えると、一挙にアフガニスタン暫定機構にいろんな要求を出すのは望ましくないというポジショ ンだったのに対して、EUは最初から達成目標を高く置くというアプローチをとっておりました。それから、女子差別撤廃条約、こ れに早く加入するようにと。
    原会長
    アフガニスタンが早く加盟しろと。
    目黒委員
    そうです。そういうことをEUは言っていたのですが、アメリカは入っていないものですから、ここが最後のネックに なっていたのですが、合意としては、女子差別撤廃条約に入ることがHIGH PRIORITYだという言葉で合意している。それから、選択 議定書に署名することもCONSIDERという柔らかい言葉で合意したということです。具体的な支援内容は、まず教育、それから仕 事、女性の経済活動、安全、移動の自由、それと身体的及び精神的健康の領域というのが挙がっています。そのほかに女性 省を確立していく支援と、各省にジェンダーの主流化を進めるというのが入っています。
    池上委員
    今日の資料の中には入っていないのですけれども、今、皆さんのお手元にお配りした資料は日本のNGOが現時 点でどういう活動をしているかに関してまとめたものです。
    「GII/IDIに関するNGO連絡会メンバーによるアフガニスタン支援」という資料です。昨日現在のものです。GII/IDIというの は、人口問題、ジェンダー、HIV/エイズ、そのほかに結核とか、マラリア等の感染症に関連している国際協力を実施している NGOのネットワークで、現在43のNGOが入っているものです。その中でアフガニスタンにどんなふうな実際の活動をしているの かを調べてみました。
    原会長
    窓口としてはNGOのグループと経済協力局の調査計画課が対応していまして、池上委員がNGO側の連絡窓口で す。
    池上委員
    これは、復興と開発レベルのアフガニスタンに対する援助ということで、緊急の援助に関しましては、皆様御存じ のように、ジャパンプラットホームが、そこは15のNGOが入っていますけれども、既に活動を開始しています。これについては、 3月18日のNGOとの会合でJICAの調査団報告書が配られました。資料の次の2ページに書かれています。保健医療分野で アムダ、日赤、ペシャワール会が、教育の分野では、ピースウィンズジャパン、JEN、セーブザチルドレン・ジャパンの3NGO は、先ほど申し上げましたジャパンプラットホームの中に入っているNGOです。そのほかにユニセフが実施している「バック トゥースクールキャンペーン」という活動に、JEN、アドラ・ジャパン、ワールドヴィジョン・ジャパン、セーブザチルドレン・ジャパン などのNGOが入るという予定になっています。
    原会長
    もう既にワールドヴィジョン・ジャパンは入っています。
    池上委員
    もう一度一番最初のページを見ていただきたいのですけれども、1から8まで番号が付いていて、カテゴリー別に 分けてあります。1から3のNGOはGII/IDIネットワークに属していて、実際に援助活動をしているところです。これは復興開発 に関してのものです。4と5に関しては緊急援助、特にジャパンプラットホームの枠組みの中で活動をしていますが、たまたまGI I/IDIのメンバーでもあります。7と8に関しては、会員から寄附を募って、アフガニスタンのカウンターパート、または日本のNG Oであるペシャワール会に寄附という形で資金的な支援しているNGOです。
    NGOが実際にどういう活動をしているかというと、緊急援助のところでは、さっき申し上げましたように、子どもたちの教育、そ れから、テント、食糧、毛布などの提供が中心です。そのほかに医療関係では、日本から医師や看護婦の派遣、移動クリニッ ク、寄生虫予防があります。土壌伝播の寄生虫が100 %の感染率ということで、先ほど喜多委員からもトイレの話が出てきまし たけれども、日本の戦後の経験を生かして、技術協力が可能であろうという活動内容です。
    それから、女性センター、これはTBA(Traditional Birth Attendant:伝統的な助産婦)の養成を含むということです。先ほどU NFPAの和気事務局次長とお会いになったときの話というのがありましたが、リプロダクティブ・ヘルス関係では、単に避妊、家 族計画を実施するだけでははなくて、多分、今アフガンでは安全なお産がより重要だと思いますので、これからアフガンNGOと 共同して伝統的な助産婦の養成事業が行われます。
    以上です。
    原会長
    94年のICPD(国連の国際人口・開発会議)から、UNFPA(国連人口計画)は家族計画だけでなくて、リプロダク ティブ・ヘルスとか、女性の人権に広がっていっているということだと思います。
    橋本委員
    ロヤ・ジルガが二段階で開かれていくという御説明がありました。女性を25%とか、20%とか、とにかくかなりの数 の女性が入る、確保することが必要になるわけです。第一段階にかなりの女性が入っていないと、恐らく最終段階にも入らな い。昨日NHKの方から伺ったところでは、こういうことが開かれるということさえ知らない人が大半である。したがって、それをど うやってできるだけ多くの国民に知らせるか、透明度を確保するかが必要になる。それに当たってカブールだけではなくて、地 方にもテレビ局はあり、その復興の機材は、日本も中心になって供与しているようですが、テレビを受像できるところは非常に限 られている。そこで、映画館が各地にあるので、その映画館に衛星のアンテナをつけて、その映画館に多くの人たちが集まっ て、二段階のプロセスの開催状況というのをウォッチするということが考えられているようなのです。私、これは大事なことじゃな いかと思うのです。ですから、それに対して具体的に日本政府としても、外務省としてですけれども、何か援助をしようとしておら れるのか。
    外務省
    映画館の話は承知していなかったのですが、今回、現地に行って思いましたのは、まさに電気も通っていないはず なんですが、家々にはなぜかテレビアンテナが立っているのです。そういう意味では、テレビは恐らく発電機を持っている人が 電気を売り分けたりして見ているのだと思うのですが、意外とテレビの普及率はあるのではという気もしています。今考えており ますのは、カブールに放送機材を持っていって、カブールで取材をしてもらって、衛星で発信する。地方の地上局で衛星電波をと れるようにしておいて、地上局からもう一回発信してもらう。そうすると、少なくともテレビを持っている家々は見られる。そういう のはあり得るかということで、国民に広くロヤ・ジルガプロセスを見てもらうということを念頭に置いて、その支援をやっていきたい なと思っております。
    原会長
    もう一つ伺いたいのですが、外務省の中東第二課と経済協力局とJICAはどういう関係にあるんですか。
    外務省
    アフガニスタンの状勢を一番知っているのは中東第二課です。それで、どういう支援が必要かという議論をしていく のは中東第二課で、お金を持っているのは経済協力局なんです。どんなにいい政策でも財源がなければできないので、中東第 二課の方から経済協力局に話をして、財源的に大丈夫かどうかというのを彼らの目からチェックをしてもらう。それで、どういう支 援をやっていくかという話になったときに、JICAには専門家がいらっしゃいますので、そういう専門家のお力を活用しながらやっ ていくというシステムでやっております。ですから、今回の4月6日からのミッションもそうですし、その前に出した3月3日からの ミッションも外務省の者が一応団長という形で行っていますけれども、JICAにも入ってもらって、あとはJICAが常日ごろから関 係を持っている専門家の方々にも入っていただいて、それで専門家の実際の目で見ていただくということになっています。我々 の意見は事前に駒野臨時代理大使と十分すり合わせをしておいて、駒野臨時代理大使から専門家の方々にも入るようにして いくというシステムで動いています。
    原会長
    ありがとうございました。続きまして事務局の側から、委員の皆様からいただいた御意見について御説明をいただけ ますか。
    坂東局長
    それでは、事務局の方から御説明をさせていただきます。資料番号が振ってございませんが、お手元に、先般先 生方に出していただきました御意見をまとめたものがございます。これは、いろいろ意見が広い範囲に渡っておりますので、一 応基本的な方針、留意点等をあわせてまとめさせていただきました。実は、本日はこれをもとにして、いろいろ御意見を伺おうと 思っていたのですが、お手元に、外務省経済協力局のアフガニスタン支援調査団の結果、「アフガニスタン支援調査団の結果 概要」という資料が出されております。この資料には、3月3日から13日まで調査団がおいでになって、この後半のところに今後 検討する支援内容というものがまとめられております。これに伴いまして、原会長の指示の下、先生方の御意見と外務省の資 料を合わせ、作業してたたき台としてまとめたのがこの横長の資料でございます。
    支援の枠組みとしては、外務省の資料にある6つの分野、「難民・再定住支援」、「地雷除去」、「メディア・インフラ」、「教育」、 「保健・医療」、「女性支援・ジェンダー」です。それから、「その他」の部分ですけれども、頂いた御意見でこの枠組みに入り切ら ない部分を「政府機関等への支援(農業を初めとする各省事業への支援)」、「国内での取組」、それから、「その他」ということ でつけ加えてございます。そして、「応急復旧・緊急支援」と「短中(長)期支援」という区分がございます。
    こういう形で整理をしておりますが、これでよろしいか。また、追加や分野の移動など、いろいろ御意見があり得ると思います。 言いわけがましくなりますが、先ほど原会長の方からも御紹介がありましたように、時間のない中でまとめたものであり、完成 品に至っているとは思っておりません。しかし、今週中にはまとめなければならないということですので、至急御確認をいただけ ればと思います。
    田中委員
    ちょっとお尋ねしたいんですが、「応急復旧・緊急支援」と「短中(長)期支援」の期間がどのぐらいなのかお分かり になりますか。
    外務省
    「応急復旧・緊急支援」の中で、すばやくできるものについては、まさに4月6日から出る次のミッションのときに、実 際にプロジェクトを始めるということを考えています。また、このタイミングでできないものについても、暫定政権がどれぐらいのス ピードで動くかにもよるものですから、一概には言いがたいのですが、一応、半年とか、そのぐらい中でいろいろとやっていくこと を考えています。
    それ以降の「短中(長)期支援」、これもいつまでというのは決まっているわけではありませんけれども、これをその次の段階と して、なるべく早く動かしていくというような想定でおります。ただ、それは具体的なプロジェクトによりまして、暫定政権側から要 請を出してもらえないと動けない案件です。暫定政権側の行政機能がどのぐらい整っているかなどによって影響されますので、 おおよその目安ということでしかありませんけれども、とりあえず、そんな形で考えております。
    原会長
    委員の御意見の中には、余り長期的に大量のお金がつぎ込まれることを暫定政権の間にやってしまうと、その後に 政権が変わったときに問題になることもある、タイミングの作り方が大事ではないかというものがあったのですけれども、その辺 はどうお考えですか。
    外務省
    そこはまさにおっしゃるとおりだと思います。我々もそのタイミングというのは念頭においておりまして、1月に東京で やった復興支援国際会議では、今後2年半にわたり5億ドルまで、2002年に2.5 億ドルまでというプレッジ、意図表明をしたの ですが、その背景は、2.5 年で移行政権に、自由選挙を経て、本格的な政権に移るものですから、それまでの間にとりあえずこ れだけ出すという考え方だったんです。その背景は、まさにこのボン合意というのを支えていくことがアフガニスタンの安定に向 けて重要なプロセスであり、したがって、本格的な政権をつくるという政治プロセスがあって、その政治プロセスを見ることなし に、我々は次の支援をしませんと。この間にこれだけの支援をして、次は政治プロセスがうまくいったらまた考えましょう。そうい う形で整理をしています。今、暫定政権で6月に移行政権に変わるわけですけれども、それまでにも支援を続けていこうという趣 旨は、国際社会としては、暫定政権がやっていることを今もサポートしています、このままの流れでうまく政治的な安定を図って くださいという観点から、目に見える支援をなるべく早くやっていくという考え方でやっています。
    池上委員
    イランとかパキスタンにアフガニスタンの難民が出ていますね。ロヤ・ジルガができるときまでにその人たち全員が 帰国できるかというと、そうじゃないですよね。だから、緊急という視点から見るのか、または中長期的に見るのかという区分を つけるのはすごく難しいと思うのです。
    原会長
    外務省やJICAの発想でいけば、ある程度一定の時間目標を立てて実施しないと事は運ばないということはあるの かなと思いますが。
    池上委員
    今すぐ必要な行動と並行して、もう少し息が長く考えていかなければいけないものと、二通りに分けてということだ と思うのです。こっちが先でこっちが後と、そういうことではないですよね。
    原会長
    こういうふうに外務省が分けていらっしゃるのは、池上委員がおっしゃるのと同じ発想ですか。
    外務省
    そこは緒方代表が1月の会議からおっしゃっていたことです。今まさに必要なものだけでは、難民が帰還したけれど も、帰還した難民が全く何もやることがなくて、次の復興ができるまで待ちましょうというのだと、結局、難民としてもう一回帰っ ていくしかない。継ぎ目なくどう次の復興に移行というか、関連付けていくか、コネクションを確保していくのかというところだと思 います。そこはまさにプロジェクトベースで、例えば地域に着目したら、この地域で最初はこういうことをやって、次はこういうこと をやるという、そういう連綿とした密接な関係というのは恐らく必要だと思います。そういう意味では「応急復旧・緊急支援」、「短 中(長)期支援」というのも、ここで本来線を引けないはずのものです。継ぎ目なく移行ないし連携していかなければいけない話 なので、ですから便宜上、引いているということで御理解いただきたいと思います。
    原会長
    これは今朝、私が地曳JICA社会開発調査部長に15分ほどお会いしたときにお聞きしたのですが、4月6日から調 査団が出るのはこの3か月の支援のためで、青山委員も内海委員もいらっしゃるということです。内海委員は文部科学省の方 から頼まれていらして、青山委員はこの懇談会の委員として行かれるということです。ですから、6月というのは、3か月後という ことだと思うのです。短中期というのがどのぐらいの時間かは、まだあいまいだということですね。6月までといっても、ロヤ・ジル ガがすぐにできなければもうちょっと応急復旧・緊急支援が続くとか、3か月の予定でもいろいろあって延びて、ちょうどロヤ・ジ ルガできるころにこのプロジェクトもできることもありうるとか、そういうことと考えていいでしょうか。
    外務省
    一点あるとすれば、ロヤ・ジルガに向けた支援、先ほど申し上げた移動とか、宿泊とか、会場とかについては、ロヤ・ ジルガが後ろにずれれば、当然後ろにずれてくる話なのだと思います。しかし、御意見をいただいているようなプロジェクトという のは、ロヤ・ジルガが延びたから延びるという連関ではないのかなという気がします。アフガニスタンの国民に対して、目に見え る支援が国際社会から早く届いている、国際社会も応援してくれているということを示す意味では、ロヤ・ジルガと関連づけてで きるものはとにかく早くやっていくという発想の方がむしろ望ましいと思っております。
    喜多委員
    比較的紛争の多いところの仕事をしてきた立場から申しますと、この具体的なプロジェクトの分野の中には出てい ないのですが、基本的に流れないといけないのは治安の維持と、長期的に申しますと人々の意識改革だと思います。例えば地 雷除去であるとか、難民・再定住支援というのは、ある意味で治安につながっていると思いますし、女性も含めまして、メディア・ インフラや教育、保健・医療、これは人材育成や意識改革につながる。意識改革というのは、悪い意味の意識改革ではなくて、 人々がこういうふうに生活することが当たり前だと思う、そういう意味だと思うのです。
    しかしながら、具体的にできることは、はっきり言えば、生活支援しかないと思うのです。これに必須のインフラとは、学校であ り病院である。しかし、学校や病院というのは、建物が建てばいい教育、いい医療ができるわけではありません。それはきちん とした教育、あるいは医療ができる人がいることがまず前提になるわけですけれども、同時に全てのことができない以上、どこ かからやらないと仕方がない。日本としては、インフラをやるというのならば、それはそれでいいと思います。
    しかし、このような環境の国というのは、行きつ戻りつで、また何か起こるかもしれないですから、造ったものがまた壊されるか もしれないという覚悟を持つ必要はあると思っています。それでも、やはり何かをすべきであり、その何かをしない限り、アフガン の明日はないと思います。何から手をつけても構わない。することは山積しておりますので、できることからやって、だから、日 本の得意なところからでいいと私は思います。
    青山委員
    この意見をまとめた表は、どういう方向で使うのでしょうか。と申しますのは、今ざっと読みますと、いろんなレベル の項目が混じっていることに気がつきます。例えば「リプロダクティブ・ヘルスの向上」というのは大きな枠組みで、その下にいろ いろな細かい項目が入るはずなのですが、この表では階層が違う項目が混ざり合って一緒に並べてあるようです。目的と手段 が、同列に並べられている部分もあります。この後、どのような形でまとめられていくのでしょうか。
    原会長
    これをどのように整理したら格好がつくか。項目によってそのレベルが大項目、中項目、小項目まで入っているよう なものと、そうでないものがありますよね。ですけれども、ぜひこのたたき台は調査団が行く前にまとめて、あさってぐらいまでに JICAにお渡ししたいのです。
    それで、これは皆様の御意見から拾いましたから、まずは元の御意見からの拾い上げ方のバランスがとれていない可能性があ ります。だから、たたき台を基に論理的な構築をしてもピントが外れますので、まずは委員の方々から、たたき台の記述に問題 がある部分や、抜けている部分などについて御意見を大急ぎでいただきたいと思います。今度のミッションですることは大体決 まっているわけですが、長期中期の展望で考えていただくために、短期と中・長期の間は点線で区切って連続性を示す。そし て、女性支援についてどういうものがあるかをわかりやすくする。ですから、委員が読んでわかるというだけではなくて、何も御 存じない方が、女性とかジェンダーというと、こういうことがあるのかというのがすっと頭に入るような形に仕上げることが大事で はないかと思っております。
    喜多委員
    緊急の宿題はわかったのですが、この懇談会の目的は、具体的に動くことに味付けをするということでいいのです か。今具体的に動くJICAのミッションにこの委員会としての視点を入れるということはわかったのですけれども、それだけがこの 懇談会の目的でしょうか。
    原会長
    とりあえず、4月6日にミッションが御出発になるので、その団員の方々に御理解いただくためにやっています。5月 の末に出す本懇談会の報告書は、もうちょっと長期展望を含めて何をすべきかということを言います。
    もう一つ、お金のことでまだ私が十分理解していないことがありますが、外務省の経済協力局がお持ちになっている予算、それ がJICAに行くわけですね。それで、外務省の資料には地雷と難民のことがあるのですが、JICAがお出しになった計画の中は 「メディア・インフラ」以下で、難民、地雷除去は入っていないのです。それがどういうことなのか。
    外務省
    そこは恐らく、難民と地雷除去は主として国際機関を通じてやっているので、JICAに入ってこないということだと思い ます。
    原会長
    なるほど、わかりました。
    橋本委員
    確かに女性という一つの項目があるのですけれども、ジェンダーの主流化という場合には、これらの項目すべてに 女性の視点が入る必要があると思うのです。地雷除去でも、男性が委員会でここの地雷は除去した方がいいという場合でも、 女性たちは、例えば水くみ場とか、自分たちの活動の場の近くの地雷を早く除けた方がいいという場合もありますので、全部の 領域にジェンダーの視点を入れる必要があります。
    目黒委員
    具体的に今することですけれども、とりあえず、JICAミッションに出すということを考えた場合、この表でいいかと いうことについてなんですが、先ほどからお話があるように、「応急復旧・緊急支援」というのと、「短中(長)期支援」というように 分けるとかえって対応が制約されるということが見えるものがたくさんあるように思います。こういう分け方が果たして妥当かどう かという印象があります。それから、「具体的支援の候補」というのが、どうしてこういうふうにカテゴライズされているのかちょっ とわからない。
    原会長
    ここは、外務省が資料で既に書いているものをそのまま書いてあります。
    目黒委員
    経済協力局から出たこの表は、既に決定でこれはどうしようもないものなのでしょうか。つまりメディアとか、保健・ 医療、教育すべてに、ジェンダー、あるいは女性というのが入るはずなのですね。実際に我々の意見では入っているわけです。 ここを見ますと女性というのが特化されて、しかも高校復旧と教員の研修、それしかないわけですね。だから、これがこのまま残 るというのは非常に貧しい発想に基づくもので、これがジェンダー支援のフレームとしてとられるととても困ると思うのです。
    池上委員
    今後変更があり得ると書いてありますけどね。
    外務省
    経緯から申しますと、1月に緒方代表が行かれたときにまとめた分野なのです。大きく分けて「国民統合協力」と「人づくり教育」があって、それぞれ具体的に言うと、この6分野、難民、地雷、メディア、教育、保健、女性支援・ジェンダーになると いうことです。その後、東京で復興会議がありましたので、そのときに日本として、こういう分野でやっていくということを発表した 分野なのです。恐らくそれぞれ切り口が違うといったようなところはあるのだと思うのです。例えば「メディア・インフラ」であれば 一つの分野だけれども、女性というのはちょっと横断的な切り口なんじゃないかというものはあると思うのです。恐らく切り口の 問題なので、その中で具体的にプロジェクトをやっていくときに、どういうふうに女性の視点を反映させていくかという形になって いくのかという気がいたします。
    それからもう一つは、3月3日の経済協力のミッションが出て、今後の方向性はこの資料のとおりになっていて、これを4月6 日の次のミッションにつなげていくという方針なのです。そのときに、そこも恐らくは切り口の問題だと思うのですけれども、女性 の視点がすべてに入るということはまさにそのとおりなのだと思うのです。ただ、具体的なプロジェクトでどういうふうに入れてい くかというところで、例えば、この中で一つ思いますのは、女性難民というのは概念として存在するのかなと。というのは、家族 単位で返すというようなことをIOAも言っていましたので。こういうようなところで具体的にどう反映させていくかということで、むし ろ、この分野をどういう形で切るかというよりは、どう反映させていくかというところで議論していただけると、これからの具体的プ ロジェクトに結びつきやすいかなという気がいたします。
    原会長
    女性難民というのは家族単位で行くにしても、女性が世帯主ということで男がいない場合があるのです。そういう女性世帯主の場合はとかく置き去りにされたり、放ったらかされたりする。だから、特に注目するということなのです。あんまり頭だ けで考えないで、現場に即して考えていただくくせをつけていただければと思います。
    池上委員
    今ここで話しても仕方がないとは思うのですが、経済協力局がつくった6つのカテゴリーのうちの「女性」は、目黒 委員がおっしゃったように、余りにもという感じです。本当に「女性」というのはクロスカッティングで、全部のプログラムにかかっ ている考え方が重要だと思います。このままでは学校をつくれば、女の子の支援をしているということになってしまいかねない。 逆に、この懇談会が外務省やJICAに対して提出する報告書の中では、「女性」は最初からクロスカッティングなイシューだとい うことを前提にして、「女性」という項目は特につくらないで、残り5つの項目に全部入れ込んだらどうでしょうか。
    原会長
    それは国際的な常識では目黒委員や橋本委員や池上委員がおっしゃるとおりなのです。それは国際的常識です ね。しかし、日本における現実というのがあって、日本の現実の中で何をやっていくことが国際的常識に日本が一歩でも近づく ことになるかという、このことも私どもの懇談会の抱えている課題であると、私は個人的に考えております。
    田中委員
    アフガニスタン復興支援会議のときに、大きく3つ、3つで出されましたよね。その最初の3つが難民と地雷と多分 メディア・インフラだったと思うのです。それから、人材育成の支援の3つの大きな柱が教育、保健・医療、それから女性の地位 向上ということになっていたのですね。それでカテゴリーがこうなっているのだろうと思うのです。
    原会長
    そうなると、アプリケーションとして女性と言わずに、やはり女性の地位向上、女性の社会参画、女性のエンパワー メント。ちょっと長いですけれども、そういう表題のつけ方のくせをつける必要がある。
    橋本委員
    誤解を避けるために。
    原会長
    そうしないと、ともかく女子小・中・高校を修復したから、もう「女性」はやった、もういいよといろんな方がお思いにな る。ですから、外務省やJICAの皆様に御理解いただくためにも、何でこういうことなのだということが御説明できるというのは大 切だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
    目黒委員
    現段階での提案ですが、今のようにこのタイトルを真意が反映されるように変えるということ。それから具体的な内 容について、クロスカッティングだということを表題に入れるのはなかなか難しいのは重々承知していますので、この具体的な中 身について、保健とか、教育とか、いろんな項目をこの中にできる限りたくさん入れる。教員の研修で終わりという印象を与えな いような、自立支援ということだけで終わらないような、見た目でぱっと女性の地位向上、エンパワーメントの内容が多岐にわた るということがわかるようなことを入れることが可能でしょうか。
    原会長
    それは可能でしょうかと聞かずに、入れてくださいということじゃないですか。それがこの表の委員の意見の部分で はないでしょうか。「可能でしょうか」ときいたら、「いや、大変です」と言われます。
    目黒委員
    可能じゃないといったら、次のステップを考えればいいわけですから。これは、とりあえずということであるならば、 それはぜひ。
    原会長
    変更可能だとここに書いてありましたよ。
    外務省
    ただ、紙にこだわっても余り意味がないと思うのです。この紙を変えることが目的ではなくて、具体的なプロジェクトを 動かすことが目的なので。
    目黒委員
    ですけれども、紙がこうやって広まりますと誤解がますますまん延するわけですので、紙も変えていただかないと 困るのです。
    喜多委員
    外務省の紙が非常に問題になっておりますけれども、そういう意味で言えば、こちらの意見も、例えば「女性難 民・IDPへの支援」というのは何を意味しているのか、はっきり言えば具体的にはわからないわけです。こういうものをまとめたと きには、一言でぱっとイメージが浮かぶような言葉を使わないと仕方がないと思うのです。だから、こういう言葉にお互いになっ ていると思うので、あんまり細かいことをつつき合ってもしょうがない。私は日本の現状を踏まえれば、日本が女性を6本柱の一 つにするというのはすごいことだと実は思っていたぐらいです。今日皆さんの話を聞いて、読み方はいろいろあるなと反省をいた しましたが、余りそこにこだわっても、アフガニスタンの人々にとっては消化不良が起きると思うのです。ですから、そういう意味 では、もちろん直っていくことが好ましいことだと思いますが、紙を直すことではなくて、嶋守首席事務官がおっしゃったように、 みんなが意識を変えていくことが重要だと思いますので。
    原会長
    具体的なプロジェクトで何ができるかを考えることが大事なのですね。
    目黒委員
    同時にやればいい。
    喜多委員
    とりあえず、今やらないといけないのは、明日明後日までにJICAに何を伝えるかというメッセージをつくることで す。できれば、今おっしゃっているように、ジェンダーというのはクロスカッティングなものであると。ここに女性が出ているにしろ、 ほかのところにもその意識をそれぞれの場で強く見ていただきたい。それは現場でどんなことが起こるかわかりませんから、現 場でジェンダーのことが出てきたときにどう対応するかというのは、青山委員に一任して私はいいと思うのです。
    原会長
    現場ではね。それから内海委員もいらっしゃるから。
    喜多委員
    そうです。お二人に任せばいいと思うのです。ただ、私は「会長・委員意見」のところで余り細かいことにこだわる べきではないのかなというふうに思うわけです。これを見ていますと、例えば確かに女子トイレの設置というのはすごく大事なこ とだと思うのですけれども、それこそ女子トイレをつくったらもういいのか、となりかねない。大事なのですけれども、トイレだけつく ればいいと読まれる。あるいは小・中・高校学校の緊急修復、教員宿舎の修復、カブール大学の女子寮の修理はお金がかか るけれども、女子トイレは安いから、トイレからやりましょう、この項目はやりました、となっても、むしろリスクがあると思うので す。
    原会長
    ちなみに、カブール大学の女子寮というのはものすごく壮大な建物だそうです。
    喜多委員
    そうですよ。宮殿みたいなところですよ。そんなところを軽々しく修復しますといって、誰がお金を出していつやるの かということを言われると具体的はほとんど出てこないと思うのです。
    原会長
    ヘラート大学だって、ジャララバード大学だって大学の女子の施設はちゃんとしてほしいと言われています。
    池上委員
    ここでは、私たちの具体的なプロジェクト案からリストとしてつくってあるので、すごく細かいものが出ていると思う のです。だから今やらなければいけないことは、細かいプロジェクトを幾つかグルーピングして、それにヘディングをつけて、もう ちょっと大きなカテゴリーをつくればいいと思うのです。
    原会長
    そうしないと、今日午前中にコンサルが決定されるそうで、ジェンダー担当の人も任命されるらしいのですが、その方 がどのぐらいジェンダーセンシティビティがあるかどうかわからない。僕はジェンダーの担当だと思っても、何をしていいかわから ないというようなときに、例えば何があるというのを書いてあれば、これもジェンダーかとか、なるほどということになる。そのとき に、今度は内海委員や青山委員がいらして、何でこれがジェンダーなのかを3分間レクすれば、だんだんわかっていただける。 コンサルが書く報告書でプロジェクトが進むじゃないですか。コンサルの方に御理解いただかないと。
    橋本委員
    例えば、「保健・医療」のところに「公衆衛生省へ長期短期の女性専門家及びジェンダーの専門家派遣」とありま す。「ジェンダー専門家派遣」というのは、いろんなところで出てきているのですね。ですから、これは今全くプライオリティがつい ていないのですけれども、例えば「女性支援・ジェンダー」のところにも、「女性省の機能・行政能力強化支援」がある。これと専 門家派遣というのを全部一緒にして、更にこれまでここで問題になってきたような、アフガンの文化を尊重するというところも踏ま えて、専門家を派遣するということにすればいい。例えば、この懇談会には、アフガンに育ててもらったとおっしゃっている喜多委 員がいらっしゃいます。そのような貴重な人材を専門家として派遣して、女性省に行っていただく。3か月か5か月か、御本人に 伺ってもいないですからわかりませんけれども、そうすると、保健衛生の専門家でもいらっしゃるのだから、そちらもおできにな る。そして、当面の一番大事なスタートのときに、現地の担当部署にしっかりいていただくということで日本の顔も見える。だか ら、全部にプライオリティなしにヘディングをつけるより、ここでぜひ、これを当面、この懇談会としてお願いしたいということはでき ないでしょうか。
    原会長
    5月の報告書を前に、官房長官にこの懇談会の報告をしますので、直接お願いして何が可能かということを言うのも 一つです。
    明後日のJICAの話と同時に、そのことはとても大切な御発言かなと思うんですけれども、皆様いかがでしょうか。
    橋本委員
    喜多委員が行ってくださるのであれば。
    喜多委員
    私、ジェンダーは初心者ですから、私一人ではなくて、組み合わせでいろんな方に見ていただかないと。順番に組 み合わせで一つの流れを作って、誰が行っても日本のボイスは一つだという入口でしたらやらせていただけると思いますけれど も。
    原会長
    こういうふうにしてやっていくということを官房長官にお話しするということでいかがでしょうか。これはJICAにもの申 すこととは別な話です。
    それから本論の前に、UNIFEMが女性課題担当大臣を呼んだらどうかとおっしゃっていたというのだけれども、官房長官は初め から女性課題担当大臣を日本に招いてはどうかとおっしゃっているわけですよ。このことについてはどうなっていますか。
    坂東局長
    ただいま外務省とすり合わせをしている最中です。ですから、いつお招きできるという段階ではありませんけれど も、ぜひ実現する方向でお願いできますよね。
    外務省
    はい。
    原会長
    適当な時期というのはあちらの御都合とこちらの都合でということですよね。ですから、それは官房長官にお願いす るということにして、それ以外の作業をするということでよろしいでしょうか。
    それでは、まもなく会議を終わるということなので、この際、全体的なことでおっしゃっておきたいことがありましたら御発言くだ さい。
    目黒委員
    たたき台を拝見しますと、「アフガン女性コンサルテーション会議結論のフォローおよび支援の検討」というのがそ の他のところにありますが、この懇談会の考え方として、「その他」という項目のところに入れるということで合意するのか、ある いは我々の提案を考えるに当たって、基本的にコミットするものなのかということを確認したいのですけど。
    原会長
    私の個人的な考えは、先ほど冒頭に申しましたように、基本になると思います。その場合、たたき台の中でどう位置 付けるかということです。JICAと、外務省中東第二課及び経済協力局にも同じものをお出ししておきたいと思うのですが、その ときに前文のようなものを短く書くことにして、ここに会議の結論を入れる。さらに、原文とILO東京支局の翻訳された日本語文を つけて出すというのはいかがでしょうか。
    今朝ほどJICAの橋本部長にお目にかかったときに、「ありがとうございます。この会議の結論は知りませんでした。」とおっ しゃっていました。手に持ったことはあるかもしれませんけれども、念頭に入っていらっしゃらなかったということもあると思いま す。JICAの不破課長が今度のミッションで青山委員、内海委員と御一緒にお出かけになるそうで、そちらにもお渡しはしておき ましたが、同様に添付するという形にするのはいかがでございましょうか。
    そのほかに何か全般的なことで。
    中道委員
    各省にジェンダー担当部署を設置するというのは、確かに「その他」の部門でもあるんですけれども、さっきから ジェンダーは全部だとおっしゃっていましたし、多分女性省と担当部長は連携するということなので、ここに入れるよりは、私は 女性支援・ジェンダーに入れた方がいいと思います。もしもこの部門が皆様の意見で生きているならば、その他にも書くのは重 要だけれども、女性支援・ジェンダーに書いておかないといけないのではないかと。
    橋本委員
    入れました。ナショナル・マシーナリーという中に考えています。
    原会長
    前文には女性支援とかジェンダー支援というのはすべての領域、例えば道路をつくるにもジェンダーの視点というの は必要だといったようなことを書くとして、おっしゃるように両方に入れるようにいたしましょう。
    中道委員
    組織として多分それは女性支援に入ってくるだろうと思うのです。それからもう一つ、全体的なことで私が意見を 出させていただいたのですが、これからこの資料を基に提言を書いていくとすると。
    原会長
    5月の報告書はこれとは別です。
    中道委員
    別になるのだろうと思うのですが、今回の場合に、こういう支援策を応急でやっていますけれども、こういうときに 外務省がやるのか、どこが担当部署になるのか。さっき御質問が出ていましたけれども、この構図はどうなっているのかというと ころがすごく見えにくいのですけれども。
    原会長
    さっき嶋守首席事務官がお答えくださいました。
    中道委員
    つまりお金もかかわってくるときに、男女共同参画局が何かやるのか、最終的には外務省がやるのか、それをど のあたりで調整されていくのか、ということです。
    原会長
    農林水産省がなさることもあります。
    中道委員
    もちろん最終的にはあるのでしょうけれども、どこか調整機関がないんでしょうか。それとも、それは全部外務省が 調整機関となるのでしょうか。男女共同参画局に、女性の部門として常に意見を出していくための何かをつくられるのか。その 辺がちょっと見えない。
    池上委員
    それは全部のODAに言えることであって、別に今回のアフガン支援だけではないです。日本はどこがODAの窓 口になっているかというと、関連機関と省庁で16だか17ある中で、今、外務省がその指令塔的役割を担おうかという動きになっ ています。ただ、今おっしゃられたことは、これだけの話ではないのですね。懇談会の意見をどういう形で効果的にそれぞれの 省庁に聞いてもらえるかということと、それからもう一つ、実際の政策プロジェクトに反映できるかというシステムをこちらが逆に 積極的につくっていけばいいと思うのです。
    中道委員
    今回、私たちは女性支援についてジェンダーという話で出ていましたね。次のステップになるのかもしれないので すけれども、男女共同参画局がそういうところに何かお考えがおありなのか、私たちはそれをできるのか、その辺が私はよくわ からないのです。
    原会長
    報告書を出してどうなるのかということですか。
    中道委員
    そうなのです。
    坂東局長
    非常にお答えが難しいのですが、我々は女性関係行政の総合調整機能というのがありますが、あくまで皆さんに そうだと御理解をしていただいた上で協力をして、その行政をやっていくということです。例えば農林水産省の方がいろいろなプ ロジェクトをなさるときに、女性、ジェンダーの視点を入れてくださいと、中道委員がおっしゃっているようなことをやっていただくよ うに我々の方からも提案をする。御検討していただいて、御納得いただければやっていただけるし、だめだと言ったら、どうして だめなのかまたいろいろ話し合いをするというプロセスを重ねることになるのだろうと思います。
    中道委員
    多分皆さんお分かりだと思うのですけれども、こういうものはみんなお金がついてきますよね。そこのところも一緒 に意見で出したのですけれども、そこがすごくよく見えない。最終的にはどこのどういうお金になるのか、一生懸命女性支援を出 してもどうなるのかが見えない。
    喜多委員
    私はかつて当時の厚生省の関係で保健医療をやっておりましたけれども、当然ODAのお金というのは、外務省 にドミナンシーがあるにしろ、いいプロジェクトが出れば、それにはお金はつくと思うのです。それが一つと、もう一つJICAの位 置付けというのは、プロジェクトを実践するための組織なので、外務省イコールJICAではないですよね。ですから、そういう意味 では男女共同参画局がお金を持って、こういうプロジェクトをやりたいということが決まったとしても、やはりロジというか、実践的 なことはJICAなどが手伝わないとできないと思うのです。また内閣府はそういう立場でないと思いますので、実践の部分はJI CAなり、あるいはNGOなり誰かが必ず担わなければならない。ただお金を握るということは、ある意味ではとても大事なことだ と思いますので、この懇談会ですばらしいポリシー、ストラテジーが出せれば、それは官房長官と外務省、外務大臣とかにお話 ししていただければいいのではないでしょうか。
    原会長
    それもありますし、あとは私たちがいいアイディアを出すことで各省庁が、ああこれはいいとお思いになって、JICAと 一緒にそれをなされるというふうにするというのがあります。例えば、今日は外務省のほかに農林水産省、文部科学省、厚生労 働省、JICA関係者などがおいでになっています。でも、男女共同参画のフォーカルポイントというのはすべての省庁に存在する のです。だけれども、幾つかの省庁はおいでになっていないのです。だから、これは長くかかるのだけれども、中道委員が御関 心のある農林水産省は常に男女共同参画に御関心があって、日本の国内の法律などは、わりに整備なさったわけですよ。だ から、そこに希望を持って、この委員会でしっかりと働いていただけるとありがたいと思いますので、お願いいたします。
    ほかに何かありますか。
    目黒委員
    今後の計画を。
    坂東局長
    現在第2回目ですが、3回目を4月22日、これは日程をいただいているんですね。
    青山委員
    月曜日は都合が悪いのですが。
    原会長
    4月23日火曜日はいかがでしょうと言っているけれども、どうですか。
    それでは、23日の10時~12時で次回の会議をして、そのときに青山委員、内海委員からも御報告をいただくということでどうで しょうか。
    その次は。
    坂東局長
    その次はまだ日程はセットしておりませんが、5月に恐らく2回程度、連休明けに1回、下旬に1回で提言を取りま とめる。そのときにまだ確認はしておりませんが、シマー=サマル大臣がおいでいただけば、できれば、前半の早い方においで いただけるのが一番ありがたいなと思っております。
    原会長
    これは会議の流れではないのですが、川口外務大臣が5月にお出かけになるということも可能性として検討されて いるということなので、そういう日程との関係で、シマー=サマル大臣をいつお招きするかということになります。それの日程との 関係で、私たちの懇談会の日程も決まっていくということになるかと思います。
    坂東委員
    いずれにしても5月の末には提言をまとめるという非常に駆け足で。
    原会長
    今日いただいた御意見と樋口委員からの御意見を取りまとめて、あさってJICAにお渡しする前に、皆様にお聞きす るのはどうすればいいですか。
    田中委員
    今度の調査はJICAが団長ではなくて、外務省の経済協力局技協協力課長が団長で行かれるので、JICAにお 出しになるよりは。
    原会長
    JICAにお出しして、それから、外務省にもお渡しします。
    外務省
    私どもの方にもらえれば、経済協力局に伝えますので。
    原会長
    経済協力局にも同時にお渡しするようにして、それでまた中東第二課からもおっしゃっていただくということでいかが でしょうか。
    経済協力局の方で報告会などをするときに、ここの事務局に御案内が直に来るように、内閣府に出したからもういいじゃないと 思っていただかないようにしておくことが大事かなと、勝手にながら思っているんですけど。
    外務省
    わかりました。それは確認しておきます。
    原会長
    よろしくお願いします。
    池上委員
    もう一つ。NGOの中でJVCというところがあるのですけれども、もう去年の10月から半年以上アフガンに入って活 動しています。現場で考えることなり、こういう援助の仕方が、もしかすると日本にとってはいいのではないかということを話して いただいたらどうでしょうか。JVCの時間が合えばということで、可能かどうかについて話をしてみます。
    原会長
    現場で見ている人というのは、私は大事なような気がするんです。
    池上委員
    見ているだけではなくて、現場でプロジェクトを実施していますので。
    喜多委員
    JVCはジャララバードで会いました。
    原会長
    今度の視察で随分NGOとも会ったのですよ。国連機関とも会いましたけれども、だから、それをまた各省庁の方が お聞きになることもとても大事かなと思うのです。
    坂東局長
    長い時間はとれないと思います。15分ぐらいでもよろしいですか。
    池上委員
    そう伝えておきます。
    原会長
    ほかに何かございますでしょうか。
    喜多委員
    帰ってきてからなんですけれども、資料が手に入って送ってきたので、今コピーをして配りました。KABUL TIME Sという新聞で、3月8日のウィメンズインターナショナルデーの情報が載っている新聞が手に入りましたのでお配りしました。
    原会長
    でも、一番初めに岩男委員がおっしゃったように、ただ国際競争に乗り遅れないというよりは、本当に地道に息の長 いことができるような方向に日本の協力体制が整うということが大事なことかと思います。
    喜多委員
    前から思っていることなのですけれども、やはりこのアフガニスタン支援というのは、世界的に見てとても難しいプ ロジェクトだと思います。ですから、これをアフガニスタンの女性支援だけではなくて、こういう紛争後の女性の支援の一つのトラ イアルみたいな形で、今後も検討を続けていただければ、とても私はありがたいと思います。
    原会長
    大事な御発言ですよね。応用問題がここからどんどんできていく。
    坂東局長
    これが一種のケーススタディだったのです。
    喜多委員
    これはこれとして、これをもとにまたそういう動きが出てきてほしいなという気がします。
    原会長
    今までコソボとか、東ティモールとかの例で経験している、日本が女性のことではちょっと薄いとしても、経験してい ることがあることを踏まえて膨らませていって、応用がきくような緊急支援もできるし、長期展望の支援に関しても、ジェンダーの メインストーリーミングができるような方向というのはとても大切かなと思います。
    目黒委員
    今の点と関連してなんですけれども、さっきも中道委員から話があったように言いっぱなしで終わるとまずいと思う ので、モニターする必要があると思うのです。意見にも書いたのですけれども、今後この懇談会が終わった後に、モニターするよ うな研究会とか、今のような内容を含めたものを時限でいいですから、男女共同参画局がオーガナイズしてやるということが一 つの方向ではないかと思います。
    原会長
    これも議事録にとどめておいてください。
    池上委員
    緊急援助だけではなくて、開発全般に対して。
    喜多委員
    さっき御発言があったように、緊急と長期とかで分けずに、一つの流れとしてやっていくためのモデルケースとして やっていく必要があると思います。
    原会長
    こんなに遅くなってすみません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。