アフガニスタンの女性支援に関する懇談会

  • 日時: 平成14年2月27日(水) 17:00~19:00
  • 場所: 官邸大客間
  1. 出席者
    原 会長
    青山委員
    池上委員
    岩男委員
    内海委員
    田中委員
    中道委員
    中村委員
    橋本委員
    樋口委員
    目黒委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)議事
      • ヒアリング「アフガニスタン支援について」
        外務省中東アフリカ局中東第二課長 宮原 信孝
      • その他
    • (3)閉会

      (配布資料)

      資料1
      アフガニスタンの女性支援に関する懇談会について(平成14年2月16日内閣官房長官決定)
      資料2
      「アフガニスタンの女性支援に関する懇談会」委員名簿
      資料3
      アフガニスタン復興支援国際会議(概要と評価)
      資料4
      共同議長最終文書(仮訳)
      資料5
      Co-chair's Summary of Conclusion
      資料6
      NGO会合概要
      資料7
      閉会セッション参加NGOリスト
      資料8
      男女共同参画基本計画(抄)
  3. 議事内容
    坂東局長
    ただいまから、アフガニスタンの女性支援に関する懇談会の第1回会合を開催いたします。私は本懇談会の事務 を担当しております内閣府男女共同参画局長の坂東でございます。どうぞよろしくお願いいたします。しばらくの間議事を務めさ せていただきます。
     初めに、本会合を主催しております福田内閣官房長官からごあいさつをいただきます。
    福田内閣官房長官
    福田でございます。今日はお忙しいところありがとうございます。
     アフガニスタンの女性支援に関する懇談会の初会合に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
     男女共同参画社会の形成の促進は、内政の最重要課題の1つであることは申すまでもありませんが、国際社会の一員であ る我が国が、広く世界の女性地位向上に目を向け、積極的な役割を果たしていくことが必要です。とりわけ、開発途上国の女性支援は、男女共同参画基本計画において、「教育、健康、経済・社会活動への参加の3つの分野を重視」し「拡充に努力す る」とうたっておりますとおり、平和を希求する日本の国際活動として極めて重要なことと考えております。
     去る1月21日、22日に日本でアフガニスタン復興支援国際会議が開催されましたけれども、小泉総理の開会式におけるス ピーチにおいても、日本が復興支援において重点的に貢献すべき4分野の1つとして「女性の地位向上」が挙げられました。ま た、共同議長最終文書におきましても、「紛争と抑圧の主たる犠牲者であった女性の権利を回復し、女性のニーズに対処するこ とが核心であり、女性の権利及びジェンダーの問題は、復興プロセスにおいて十分に反映されるべきである」とされておりま す。
     聞くところによりますと、アフガニスタンの女性が今まで置かれてきた状況は大変に厳しいものがございました。女性であるが ために教育も受けられず、医療も十分受けられないということであります。また、多くの男性が死亡したため、女性が復興に果た す役割は大きくなっております。今般の暫定行政機構の樹立以来、状況は改善されつつあるようですが、その現状は我々の想 像を絶するものがあると思われます。
     このような経緯から、アフガニスタンの女性に対し、我が国としてどのような支援を行っていくか、その在り方を検討し、アフガ ニスタン支援施策として政府の施策に反映すべく、各分野の有識者の皆様による本懇談会を開催することといたしました。
     会長は、男女共同参画会議議員でもあります原ひろ子先生にお願いをいたしましたけれども、原会長初め、委員の皆様方に は、できれば実際に現地を訪れていただくなどいたしまして、アフガニスタンの女性がどのような状況に置かれているかというこ とを把握し、真に現地のニーズを反映した支援策を検討していただきたいと思っております。併せて、外務省を初めとする各省 庁や各団体と緊密な連携をとって議論を進めていただき、5月末を目途に、忙しいのでありますけれども、男女共同参画社会の 実現という立場からの御提言をいただきたいと考えております。
     委員の皆様の精力的な御検討をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (報道関係者退室)

    坂東局長
    ありがとうございました。
     本日は内閣府から松下副大臣及び奥山大臣政務官が出席しております。それでは、一言ずつお願いいたします。
    松下副大臣
    よろしくお願いいたします。
    奥山政務官
    同じく奥山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    坂東局長
    ありがとうございました。
     また本日は、外務省から松浪政務官に御出席いただいております。それでは、お願いいたします。
    松浪政務官
    外務大臣政務官を拝命しております松浪健四郎でございます。実は私は1975年から78年までのちょうど丸3 年間、国立カブール大学の教壇に唯一いた日本人であります。その関係でちょっと長くなることを御容赦いただきたいのであり ますけれども、女性が抑圧されてきたというのは、概ね私はタリバン政権が君臨をした時期を指すのだろう。そして、米軍が空 爆をし、国民の皆さんが解放されるまでの間の女性の在り方、これは大変ひどいものであったということは他言を待つまでもご ざいませんけれども、そもそもアフガニスタンに住む人々は、女性を抑圧しようというような考え方を持たない国民であるというこ とを御理解賜りたいと思います。ただ、風土もあれば、あるいは宗教もあり、また伝統、歴史、これらがあって、我々の目から見 れば、女性の人権を蹂躪しているではないか、こういうふうに思われる面もあったかもしれませんけれども、私は比較的、解放さ れ、能力主義に基づいて自由に活躍している女性もたくさんいらっしゃったということを承知するものであります。
     そこで、とにかく3年間生活をしておりまして、エピソード、思い出等たくさんございますから、1つだけ、これでもって大体理解 していただければありがたい、こういうふうに思います。
     日本では、子どもは小さく産んで、大きく育てる。しかし彼の地は、もとを正せば遊牧の民の国でありますから、教育の方法は 甚だ異なります。子どもを産んでどのように育てるのか。ミノムシのようにぐるぐる巻きにして、子どもの発育、発達を止めるよう な形で育てます。そして我が長男も実はカブールの地で生まれ、そのように育てられて、そしてそれを目の当たりにしたときに、 我々は腰を抜かさんばかりに驚いたわけでありますけれども、これは虐待じゃないのか、こう思いましたが、しかしよく聞いてみ ますと、なるほどと、こういうふうに痛感せねばならないことでありました。
     と申しますのは、もちろん山裾、砂漠、その境を遊牧するわけですけれども、一牧一草の荒涼とした、広漠とした地を遊牧して いくわけですけれども、砂漠というのは決してまっ平らではなくてカマボコ形になっております。そこで小さな子どもが自由闊達に 動き回るということになりますと、親元を離れてしまう。そうしたときに、砂嵐が突然きたときに、その元気な子どもを見失って助 けることが難しい。ましてや、大きな鳥がおりまして、60キロぐらいの動物を持っていくという鳥がおります。こういう大きな鳥が いるから、ゾロアスター教がかつて栄えたのかもしれません。鳥葬は皆さん御存じだと思いますけれども、結局弱々しく育てて 親元に常にいる、そして、その子どもが自由に物事がわかって己の意思で動けるようになるまで子どもを弱々しく育てなければ ならないという風土下に人々が生活を営んでいるということを御理解いただきたいのです。
     そして、自分で判断ができるようになれば、子どもは元気に育てる。もちろん父親、母親がそばにいますから、労作教育を目 の当たりにし、身に付けるというような形で教育を受けて、自分たちも遊牧生活ができる、こういうふうになるわけであります。
     教育は、今もそのような形で行われておるという現実から、日本の知識また先進諸国の知識、習慣、これらを横に置いて、そ して官房長官からもお話がありましたけれども、できだけ早く現地視察していただいて、そしてアフガニスタンという国での女性 の地位向上のためにはいかなる策が必要なのか、皆さんのお知恵をお借りして、立派なプランをつくっていただければありがた い、こういうふうに思います。
     私は一事が万事だ、こういう思いがありますので、教育、子どもの育て方の1つを皆様に御披露させていただいて、そして 我々の国と違う国なんだなという思いをもって考えていただくようお願いを申し上げまして、ごあいさつにさせていただきます。ど うもありがとうございました。
    坂東局長
    どうもありがとうございました。それでは、以後の議事の進行につきましては、原会長にお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。
    原会長
    皆様どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様から一言ずつお言葉をいただきますが、今日は時間が非常に限ら れておりますので、アフガニスタンの支援ということについて、どういうことが大切であるとお考えになっていらっしゃるかを一言 ずつおっしゃっていただければと思います。
    青山委員
    名古屋大学の青山と申します。
     名古屋大学の青山と申します。
     私は、国立国際医療センター及び世界銀行で、中東・北アフリカ地域やパキスタンの保健医療に関する仕事に長く携わってま いりました。イスラム圏の女性の健康ということが、私のメーンテーマのひとつでございました。そういったことから、この懇談会 にお声をかけていただいたのではないかと思っております。アフガニスタンについても、やはり、健康問題に取り組むことが重要 ではないかと考えております。文化的・社会的背景を考えますと、女性の人材を養成していかなければ女性の健康を守れない であろうと思われます。また、現地の人材や、あるいは国外にいるアフガニスタン人の人材を活用することも、今後の支援を進 める中で考えるべきであろうと思います。さらに、日本がいろいろな援助のコーディネーションのような役割を果たしていくのもよ いのではないかと思っております。
     それから、今日喜多悦子委員が出席していませんが、今朝、喜多委員から私のところにメールが届きまして、今日の欠席を、く れぐれも皆様にお詫びしてほしいとのことでございました。喜多委員は今ニューヨークにいます。ニューヨークで2-3人の国連の アフガニスタン関係者とお話をしたところ、日本は非常にうまく会議をまとめてくれて大変よかったけれど、何かもっと大きな方向 性を示していただけないだろうかというようなご意見をおっしゃった方がいたということです。この懇談会の中で、原会長の下、大 きな方向性を示していけたらよいのではないかと思っております。
    池上委員
    JOICFPの池上と申します。よろしくお願いいたします。
     JOICFPというのは、人口問題及びリプロダクティブヘルスに関する国際協力プロジェクトを開発途上国で推進しておりますN GOです。歴史は38年ございまして、自分で言うのもおかしいのですけれども、NGOとしては比較的実績があり国際的にも認 められているNGOだと思います。
     リプロダクティブヘルス/ライツのような、女性の視点から健康から考えるといったプロジェクトを途上国27か国で実施しており ます。具体的には、アフガニスタンではプロジェクトを持っておりませんけれども、うちの職員が2人、先週アフガニスタンのカブー ルとパキスタンとペシャワールの視察を終えて帰ってまいりました。NGOとして協力できることという観点から、パキスタンやア フガニスタンなど現地のNGOと協力をしながら、先ほど青山委員がおっしゃいましたけれども、人材養成、特に出産にかかわる 人材が今いないということなので、村の女性たちをトレーニングするような形で安全なお産が確保できるようなプロジェクトにした いと考えています。今回はNGOの視点というところで参加できればと思っております。ありがとうございました。
    原会長
    JOICFPの関係では、GINGO懇談会というのが外務省の経済協力局とここ数年続いていると思うのですが。
    池上委員
    8年です。
    原会長
    8年になりますか。
    池上委員
    はい。ICPDの年です。
    原会長
    JOICFPはそこの事務局長をしていらっしゃるので、JOICFP以外のいろいろなNGOがどういう活動をしていらっしゃ るかの情報が割に早く入ってきているかと思います。
     お待たせしました。岩男委員どうぞ。
    岩男委員
    岩男でございます。男女共同参画会議の議員をしております。武蔵工業大学では、私、専門は社会心理学なの ですけれども、「国際社会における日本の役割」という講義をしており、田中由美子委員にODAの部分はすっかりお世話になっ ております。それから「異文化からのコミュニケーション」ということで、男女間のコミュニケーション、世代間のコミュニケーショ ン、異なる文化圏の人々の間のコミュニケーションといったようなことを教えております。
     私は、アフガニスタンの援助については2つあるのではないかと思っております。1つは、先ほど松浪政務官からもお話があり ましたけれども、戦火の間、文化を守ってきたのは女性だと思うのです。ですから、伝統文化を壊さないように配慮をしながら文 化の担い手としての女性、特に母親の資質向上といったようなところが大切ではないか。
     それから2番目は、長年外務省の無償援助の委員をしたり、いろんなODAのプロジェクトの評価のミッションをした経験からの 視点です。実はパキスタンにODAの相談で行きましたときに、パキスタン側から、日本が援助したくないならドイツがあります と、ある意味では非常にきついことを言われて、私は援助というものは、こういう国際競争なんだということをしみじみと感じたわ けです。今、アフガニスタンに大変熱い目が注がれておりますけれども、安易な援助競争にならないように、国際間の連携とい うものが必要ではないかということを、その経験を踏まえて思っておりますので、そういうことに気をつけながらアフガニスタンの ことを考えていきたいと思っております。
    内海委員
    大阪大学の内海でございます。男が一人ということで、非常に責任を痛感いたしております。大阪大学では国際 協力論を担当し、特に教育の分野の国際協力を教えております。このような内戦が続いた国で一番傷つくのは女性と子ども で、特にアフガニスタンでは、現在女性の小学校への就学率が3%と涙が出るような数字です。これを早急に上げるということ が、すべての開発の基礎になるのではないかと思います。この懇談会でどういうことが提言されるにしても、教育の分野の提言 がはっきり入り、その中でできたら、現在の3%という数字を何年にどの程度までするのかという援助の目標ができれば、アフ ガニスタンの女性に対して具体的な声になるのではないかと考えております。
    田中委員
    国際協力事業団の田中と申します。私はジェンダーと開発が専門で20年近くこの問題に携わってきております。 最初の10年ほどは国連で仕事をしておりまして、あとの10年はJICAを通じて仕事をしてきました。
     本日は朝からJICAで「復興支援とジェンダー」というテーマの国際シンポジウムを開いておりまして、ちょうどアフガニスタンの 女性でNGOをしている方をUNDPと一緒にお呼びしまして、その方のお話をずっと聞いておりました。20枚ぐらいスライドを見 せてお話しくださったのですけれども、本当にひどい状況でした。その中で緊急支援として、女性の健康問題が非常に大きいと いうことを言われまして、特に身体的な健康問題だけではなくて、メンタルヘルスの問題も非常に大きい。暴力にさらされてきて いますので、トラウマになっている女性も非常にたくさんいますし、そういう方のメンタルヘルスのケアも重要だということを指摘さ れましたので、そういうことも非常に重要なのではないかと思っております。
     数日前のCNNのニュースでは、アメリカが女性省に対してオフィスも何もないので、資金を出してオフィスをつくって、女性省 の機能を回復するということを言っておりました。アフガニスタンでも、地域の女性NGOに支援すると同時に、政府に対する支援 ということも重要だと考えています。特にこれから女性省だけではなくて、政府がいろいろな施策を進めていきますので、どの施 策に対してもジェンダーの視点、女性に対する支援を全部入れて進めていくことが重要ではないかと思っております。
    原会長
    田中委員はOECDのDACのジェンダーに関する副議長なども何年もやっていらっしゃって、国際的にも人脈が多く いらっしゃいます。
    田中委員
    それから先日、坂東局長に言われまして、札幌に行きまして、東ティモール派遣される自衛官680 名に対して、1 時間ジェンダーの研修をさせていただきました。
    坂東局長
    どうもありがとうございました。
    田中委員
    お役に立ちましたでしょうか。
    福田内閣官房長官
    女性も今度行きますから。
    田中委員
    そうですね。
    中道委員
    愛媛大学の中道です。私は唯一農業分野だろうと思って参加させていただいているのですが、専門は農村の女性問題で、私自身はEUや、EUに加盟していない東ヨーロッパの女性などの研究をやっています。北京会議で私は農村の女性 のワークショップを行いました。発展途上国の人はときどき開いたんですけれども、そのときにほとんど農村女性に対する会議と いうのがなかったんですね。それもありますし、その後、東アジア女性会議などでモンゴルとか、中国などに学会などで行って、 現地の女性たちを見てきて、田中委員の書いておられる本なども読んで、私自身、本も書いております。実際に生活するときに 誰が主な役割をやっているかというと、申しわけないんですけれども、男の方はあんまり生活していないと私はいつも言っていま す。女の人が基本的には生活をやっている。そこで女の人たちをどういうふうに支援していくかというのは重要になるんですけれ ども、特に農業の分野というのは、まず第一に、女性の人たちが必ずやっている部門ですので、農業をやる女性たち、あるいは 農村の女性たちをどういうふうに支援していくかはすごく重要になると思うんです。農林水産省というのは、長い農村開発の地 域活性化などの経験を持っており、また日本が戦後入れたアメリカの農業普及制度の中に普及員制度というのがあって、それ が農村の生活をよくする改善運動に役に立ってきたんですね。そういう経験をぜひ生かして、向こうでもそういう普及員みたいな 制度をぜひつくっていただきたい。日本にそういう人たちを連れてきて、日本で普及制度みたいなものを学んでもらって、そういう ことを向こうでやっていただくと、すごく効果的だと私は思っていますので、ぜひその辺を入れていただきたいと思います。
    原会長
    中村委員どうぞ。
    中村委員
    中村道子でございます。今月の23日までは国連婦人開発基金(UNIFEM)の日本国内委員会の会長でしたけ れども、今は、前会長になりましたので、よろしくお願いします。
     私は、日本がアフガニスタンの女性たちを支援するというのは大賛成ですけれども、お仕着せの支援ではいけないと思うんで す。してやるというようなものではなくて、アフガニスタンの女性たちの一番必要なことを私たちが調査して、そして、それに答え るというような形がいいと思うんです。先ほど田中委員がおっしゃいましたけれども、女性省というのをアメリカがつくるというの は、私もびっくりしたんですけれども、日本がやればいいのにと思ったんですね。女性省の大臣のサマールさんは、12月のとき のビデオテープで、お話を聞いていると、私は大臣になったけれども、今まで政府で働いた経験もない。何もなくて、場所もない し、だからゼロから始めなければなければならないと言っていました。そういうような状態なので、せっかく男女共同参画局推進 本部というすばらしい機構があるので、日本へ女性省の関係のサマールさんをお呼びするというのは難しいかもしれませんけれ ども、女性省でジェンダーのメインストリーミングに関わっている上級官を呼んで、日本の組織と中央と地方の事業を参考に見せ た上で、意見交換を行い、どういうことで日本が支援することができるかがわかると思います。
     もちろん、日本ができるかどうかはともかく、教育、それから経済的自立のための職業と技術訓練をするようなワークショップと か、訓練の場を提供するような支援をするということ。それから、教員の再教育とか、養成ということは大事ですが、そういう端か らの援助ができるのではないかと思います。
    橋本委員
    橋本ヒロ子と申します。私は国立女性教育会館で9年仕事をしまして、情報ネットワークをつくるということをやって おりました。あと、国連のESCAPで5年間開発女性を担当いたしまして、今教員をしております。その経験から、女性センター というのか、女性たちが一緒に集まって、例えば,識字の訓練をしたり、それから技術を手に入れる、習得するとか、それから ウィメンズクリニックのようなものを付けたものが必要ではないだろうかということを思います。女性センターというのは非常に日 本的な施設なんですけれども、特にイスラム教国では有効ではないだろうかと思います。
     それから2点目に、これはカンボジアの復興の中で、援助頼りというのか、そういうことと物価の問題とか、給与の問題などが 出てきましたので、そういう轍を踏まないようにしないといけないのではないかということ。それから、日本が支援する場合、日 本ができること、特に教えられることというのは限られていると思いますので、第三国間のTCDCというのか、開発途上国間の 協力ができるような仕組みを、特にイスラム教国の間でつくる必要があるのではないかと思いました。女性の中で、例えばイン ドではSEWAという女性自営業者の組合があるわけですけれども、ああいう仕組みもつくってあげた方がいいし、バングラデ シュのグラミンバンクのようなものも、日本が資金を出して、アフガニスタンの女性たちが、インドやバングラデシュの専門家たち から学ぶことができるような仕組みづくりをしたらいいのではないかと思いました。
     以上です。
    樋口委員
    樋口恵子でございます。私は、このメンバーの中で一番マルドメすなわち、まるでドメスティックでして、国際協力 の関係などは、1994年にICPDに初めて出させていただいたというくらいで、主として国内で活動してまいりました。今回は、 そういう主に国内で活動している女性たちからもひしひしと、何かできることはないかという思いといいましょうか、熱意が伝わっ てまいります。例えば、元国会議員をしていた女性の方が1つのグループをつくって支援を始めている。また、「日経ウーマン」 新年号で日本の女性リーダーシップの第1位に選ばれた人がアフガニスタンのNGO支援をやっている方でした。ぜひそういう 国内の雰囲気、それから何と言っても、緒方貞子さんへの尊敬や共感を日本女性が共有したと思います。そうした一般の日本 女性の思い、例えば全国各地の女性センターで男女共同参画や地域づくりに活動している女性のネットワークができればと 思って参加させていただきました。
     そしてこの席では申し上げにくいのですが、各種の世論調査でも、武力行使などに関しては明らかに男女で有意の差があり ます。さりとて女性がいわゆる一国平和主義でいるわけではなく、今回のアフガニスタン問題に対しても、復興支援と平和回復 を日本の女性として、特に女性や子どもに対して自分も参加・参画したいという思いが、すでに全国各地で形として表れていま す。それをさらにエンパワーメントし、増幅するのが政府の役目であり、誤解を恐れずに言えば、今回の動きは女性たちの「ショ ウ・ザ・フラッグ」と言ってよいと存じます。それは平和と復興のための女同士の顔の見える、有効で適切な協力活動です。少し 欲張った考えですが、地方を歩くと本当に小さなグループが思い思いに途上国の女性や子どもに支援していますし、またアジア から来た花嫁始め国内の外国人を支援するグループも数多くあります。その人たちが他の地域の活動についての情報とネット ワークを求めていますので、今回の動きがきっかけで拡がってくればと願っております。
     個別のテーマに関しては、戦後日本の女性福祉対策が戦争未亡人、母子家庭対策であったように、未亡人・母子対策さらに息 子を失った高齢女性対策が重要と思います。また、女性の就労による自立支援は長期的に必須と存じます。
    目黒委員
    上智大学の目黒と申します。私の専門は社会学で、特に家族とかジェンダーについて研究教育を続けてきた者で ございます。それから、別に国連の婦人の地位委員会の日本代表として、ここ数年役割の一端を担わせていただいておりま す。国連の婦人の地位委員会は来週からまた2週間開催されますけれども、毎年のように、タリバン政権下におけるアフガニス タンの女性について大変心配し、そしてタリバン政権を非難するという決議案を採択しておりますが、今度こういう事態になりま したので、もっと踏み込んだ形での何かが出てくることは十分に予想されます。そういうタイミングでこの会議が発足したというこ とを私は大変に重要なことだと思いますし、日本が貢献できる望ましい活動になるかと思っております。
     そういう意味からも何をやったらいいのかということですけれども、既に具体的な案につきましては、皆様方がお話になられま したので、私はもう少し大まかなことにポイントを置きたいと思います。このところ何回か、つい最近アフガニスタンに行ってきた NGOの方とか、国連の方のお話を今日の午後も含めて聞きました。そこで浮かび上がってきたことは、緊急のニーズが厳然と してあって、まだまだ各国の約束したことが実施されていない。それから長期的な復興計画の中で、最初からジェンダーの視 点、ジェンダーの主流化の視点を入れる必要性ということが大変重要なポイントとして浮かび上がってきていると思います。です から、女性のことになると、社会部門であって、それは進めていく中で女性に対しても配慮するとなっていたのが過去の経験で すけれども、そうしていると、いつまでも女性は特殊なターゲットということになってしまう。平和を構築する復興計画というのは、 そこに女性にいかに参画するか、女性がいかに貢献するかということがデザインとして最初から入っていないとまずいということ が過去の経験からも言えます。ぜひ今回は、この懇談会だけでなく、日本政府の作る復興案の中に、その視点をぜひ最初から 入れていただきたい。そういうことをするために、この懇談会の出す意見がうまく活用されることを切に望んでおります。
     もう1点は、アフガニスタン政府の国の責任ということです。NGOも含めてですけれども、いろんな援助団体が入っていて、そ れが競争状態になっている。ただし、その援助とかお金がどこにいくかは全く見えない。多分、本当にニーズを持っている人たち のところへ届かないということが見えている。したがって、最終的な責任はアフガニスタン政府にあるんだということを明確にした 形で日本政府なり国際機関が支援する。つまり支援するときに、最終的に責任は相手の国にあるんだということを確約させて、 こういう条件のもとで支援するんだと、そういうふうなデザインでもってやることの必要性というのも、いろんな話から浮かび上 がってきております。ですから、それも念頭に入れた形での復興デザインをつくるということが大変重要ではないかと思っており ます。
    原会長
    ありがとうございます。これから外務省の宮原課長からお話を伺うのですが、その前に一言、議員の皆様に併せて お願いしておきたいことがございます。1つは、今目黒さんがおっしゃいましたように、内閣府がこの懇談会をつくったから、女の ことは十分やっていますとならないように、本当にこれは始まりだということです。それから、漏れ聞くところによれば、JICAその 他のミッションが近々御出発になるということでございますが、その中に、女性が入っていないようですから、ぜひジェンダーの 視点を持って行っていただきたい。それでどういうことができるかというようなことも併せて考えていただければと思っておりま す。
    福田内閣官房長官
    どなたか参加していただけるんですか。
    原会長
    誰もこの中でこのミッションに行ってくださいと頼まれた人はいないんです。今回すぐには無理であっても、初めから ジェンダーの視点が入っていないと、目黒委員がおっしゃるように、大局的な決定の中でどうなっていくのだろうということがあり ます。これは日本の人だけではなくて、国連関係の人などほかの人も心配しています。
     それからもう一つ聞いていますのは、アフガニスタンのNGOの中には、いわゆる統合的観点、いわゆるインテグレイテッド・ア プローチと申しましょうか、これを持っているNGOがいくつかある。例えば道路をつくるにしても、日本では女性は関係はないとな るんですね。道路は男でも女でも歩けるというのだけれども、そうではない。健康の問題や道路やいろいろなことを考えるときに も、その観点を持っているようなすばらしいNGOが幾つかあるそうです。私たちが学ぶことの方がもしかしたら多いぐらいかもし れないと思いますので、初めのミッションにぜひそういうこともお考えいただけることがとても大事かと思っております。
     では、外務省中東アフリカ局中東第二課の宮原課長からお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

    (福田内閣官房長官退室)

    宮原課長
    (外務省中東第二課) 私の方から、1か月ほど前の1月21、22日に開催された、その前日の20日にはNGO会 合が行われましたけれども、アフガニスタン復興支援国際会議の成果と今後の課題ということをお話させていただきたいと思い ます。
     この復興支援というのは、もともと戦闘がもう始まるか始まらないというころから、戦闘や国民の和解とか、あるいは周辺国と の関係修復とか、そういうことだけではなくて、経済的にも、社会的にもこの国自体が自立した国として立ち上がっていかないと いけないということを日本、アメリカが気づきまして、復興をやろうじゃないかということで復興支援のプロセスを始めたものでござ います。最終的に我々の考え方の中では、復興と和平は車の両輪だと、きちんとアフガニスタンの国をつくることがアフガニスタ ンの安定、それからアフガニスタンとアフガニスタンの周辺国を含む地域の安定、そしてさらには世界の安定、平和に資するも のになるというようなことを考えながら始めたものでございます。和平と復興、これを両方一緒に進めていかなければいけないと いうことで、そのためにはどういうことをしたらいいか。それは国際社会の支援を糾合して、そして和平をやっていくということは 復興をやっていくことだということ。これまでアフガニスタンの人々はみんな絶望とか、世の中が信じられないとか、そういう虚無 的なところにいたのではないかと思っているんですけれども、アフガニスタン人の人たちに国際社会が連帯して彼らを支援して いくんだということを知らせていく。そのためには復興会議が必要なのではないかということで始めたものが復興支援国際会議 でございます。
     この会議は1月の21、22日に行われまして、高いレベルで、多くの支援をやろうという意気込みのある国に集まってもらう。 それから責任ある国にも集まってもらう。責任がある国というのは、周辺国とか、あるいはお金はないかもしれないけれども今ま でかかわってきたロシアとか、中国などの国、それから世界全体がサポートしているということを示すためにも、地理的に遠い国 でも、中南米や、アフリカなどからも来てもらうというようなことで行いました。
     資料に書いておりますように、この会議には数としてはアフガニスタンを含めて61か国。それから高いレベルということで、閣 僚レベルで集まることができました。特にアメリカからはパウエル国務長官とか、オニール財務長官、それから、同じような共同 議長国でございますけれども、サウジアラビアからはアッサーフ財政・経済大臣、EUからはパッテン対外経済委員、EU議長国 のスペインからはナダル外務長官、そういうような方が来られる。あるいは、周辺国からはイランの外務大臣、パキスタンの大蔵 大臣、そういう人たちが来られるというような形でございました。
     それからもう一つは、目に見える形でアフガニスタンの人たちに知らせていかなければいけない。そういう意味でアフガニスタ ン復興を支援する会議の主眼でございますけれども、国際社会の政治的メッセージを発出するという意味で、資料の「4.」の● の中の5番目に「プレッジ及び貢献額」というのがございますけれども、多くの支援の約束、2002年分で18億ドル以上、累計 の総額で、国によって1年とか、5年とか、日本みたいに2年半とかいう国がありますので、何年とは言えませんけれども、そう いうものが45億ドル以上集まるというような結果になったわけです。そういうことで国際社会として支援をするんだというメッセー ジをアフガニスタンの人々に送ることができた。
     ただ、こういうふうに日本とかアメリカが考えてきたものはそれなりに成功したわけですけれども、その準備の段階で大きな問 題が関係者から出てきたわけです。これは何かというと、アフガニスタン人のオーナーシップ、自分たちが国づくりをやっていく、 そういうものがないといけない。いわゆるドナーの方からも、それからアフガニスタン人自らもアフガニスタン側が運転席に座るん だということを言ってくるというようなことがございまして、この会議を検討する中では2つのことを考えました。
     1つは、アフガニスタンの人たちに会議来ていただく。これは政府の方たちに来ていただくというのが1つございまして、ちょう ど今回の会議1か月前に暫定政権というのができまして、トップのカルザイ議長、外務大臣、復興大臣その他、計6人の大臣ク ラスの方が来られました。
     それからもう一つは、アフガンでは、委員の方々からも御指摘がございましたけれども、アフガニスタンのNGOというのは非常 に力があるという言い方をしたらいいのでしょうか、見ていてもすばらしい活動をしています。理由はよく考えてみると簡単で、ア フガニスタンには全土を支配するような政府がなかったんです。ですからNGOが強くなったんですけれども、そういうこともありま して、これは特にEUとかアメリカ、サウジアラビアもそうだったんですけれども、アフガニスタンのNGOの話を聞きたいということ を強く求めまして、日本で開くNGO会議は、アフガニスタンのNGOの声を聞く会議にしようということで、26団体28人のアフガ ンのNGOの方を招待して、意見を開陳していただくというようなことをやりました。
     それからもう一つは、オーナーシップ、あるいはドライビングシートに座るということを実現するために、彼らの意見を聞くというこ とにする。どういうふうに復興支援をやっていくかということについては、彼らのプライオリティ(重点項目)を最も尊重しましょうと いうことで、準備期間がとても短かったんですけれども、ワシントンに行ってもらったりしました。4共同議長国の間では、日本に とっては毎晩、ヨーロッパは毎昼、アメリカは毎朝なんですけれども、それを毎日会議を開いてやっていたんですけれども、その 中にもアルサラという副議長兼財務大臣に来ていただいて、我々はその間に共同議長サマリーというものを準備していたんで すけれども、それを見せて電話会議で意見を言ってもらうというような作業をしました。
     「4.概要」の中に「アフガニスタン暫定政権の優先分野」というのが6つ書いてございますけれども、これは彼らが自ら書いて きたものでございます。「特に女子」というのが書いてありますけれども、女性、ジェンダーということ、それから女性の役割の重 要性を強調しようと。これは我々が言っているだけではなくて、彼らもそれを言うというようなことがございました。
     それから、少し飛びまして申しわけないですが、先ほどお配りました「NGO会合概要」という資料でございます。中身について ですが、「2.」のアジェンダの現状報告の中の「女性の復興における役割」というのがございますけれども、これもいろんな提案 がございまして、アフガニスタンのNGOを呼ぶときに、必ず女性を入れてくれ、それから女性の活躍しているNGOを出してくれ ということを頼んで、私もどうやって選ばれたかは知らないのですけれども、来られて、そして発言してもらうというようなことをや りました。
     最終的には、次のページの「3.」の(2)のところにございますけれども、この中でアフガニスタンのNGO、あと日本も含む国際 NGOがいろいろ意見を言ってまとめてきたのがこの●のところでございます。その中には、どなたかおっしゃっておりましたけれ ども、国家の再建における女性の参画と貢献、これを重要視していくべしというようなことも言っていたわけでございます。そうい うことで、復興会議の中では、中身を見ていきますと、オーナーシップを大事にしていく。女性を何とか参画させていくということ が基調として挙げられていたわけでございます。
     それで、今後ですけれども、この会議の中でフォローアップが大事である。これは実は緒方議長の最後の共同記者会見でも、 議長サマリーを読まれた後で強調されていたことですけれども、こうやって支援が集まった、しかしこれが実施されなければい けない。そして、これがアフガニスタンの人たちの手に入らなければいけないということを強調されたわけでございますが、その ための準備を進めていかなければいけない。ただ、これははっきり言ってイバラの道でございます。これは先ほど申しました和 解の動きと、復興の動きというのは一緒に動いていかなければいけないのですけれども、逆に言うと、和解が進まないと復興も 支援もできないんです。和解を進めるためにボンで去年の12月にボンプロセスというのが生まれました。今の暫定政権はまだ 6か月で、これは急遽つくったものですから、まだ国連が産んだようなものです。次に、緊急ロヤ・ジルガといって国民大会議と いうのが6月に開かれるんですけれども、そこで移行政権といって、まだ選挙では選ばれないけれども、部族長みたいな人が集 まって政権を委託するような会議を開く。この移行政権が憲法とか、選挙法とか、そういうものを準備する。そして、最終的にもう 一回緊急ではない正式なロヤ・ジルガを開いて、そこで憲法を採択して、選挙法も採択して、その後で選挙して、正式な政府を 立ち上げるというふうになっています。
     ところが、現在はどういうことかといいますと、暫定政権はできたんですけれども、暫定政権自体が急きょできたものですの で、完全に国民を代表していないんですね。特に、昔タリバンの本拠でしたパシュトゥン人が多く住んでいるところの人たちが今 の暫定政権には余り代表されていない。カルザイ議長はパシュトゥン人で暫定政権のトップということで代表をしていますけれど も、30人の閣僚の中で18人が元北部同盟の少数派、少数民族の人たちがやっていますし、そういう人たちが力を持っている。 他方で、何とかその構成を変えようというような政治的な動きがある。ところが、単に政治的な動きだったら、日本の国会みたい にしてやっていけばいいんですが、あそこはそれぞれの地方に分かれた軍閥みたいな人たちがみんな武器を持っている。そう すると、その政争が武器を使った小競り合い、紛争になってしまうこともある。あるいはもしかすると、暗殺とかそういうのも起こり 得るような状況である。
     ちょうど1か月半ぐらい前に緒方代表がカブール、ヘラートに行かれたときに、「一番重要なのは何ですか」と言われたら、「公 務員の給料が一番重要です」と。ということは何かというと、自分たちがせっかく大臣に任命されても、行政を行うための机も、 いすも、コンピュータも何もない。自分は大臣として来たけれども、その下のポートフォリオというか、下で働く公務員は次官も局 長も誰もいないというようなことが起こっている。ですから、最初のうちは行政組織を確立していくということが必要で、先ほどお 話がありましたアメリカが女性省に対して600万ドル出すというのも、そういう一環だと思います。そのための基金もできており ますし、日本もその基金に100万ドル出しております。それから、今後それをどういうふうにやっていくかということで話し合いを するということになっています。それが今でも続いているのですけれども、それを何とかしなきゃいけない。
     次に来るのは、少し前置きが長くなりましたが、和平との絡みの中で治安がしっかりしていない。カブールは国際支援部隊とい うものが展開しておりますのでよろしいのですけれども、ほかのところは軍閥が割拠している状況ですので、どういうふうになる かわからない。治安をしっかりさせるためには、よく刀狩りという言葉が使われるんですけれども、私の言葉で言わせていただき ますと武装解除をしていく。70万人ぐらい武器を持った人がいるらしいんですけれども、それを小さくして、余った人たちはちゃん と働けるようにしないといけないというような課題があるわけです。
     一方では、国軍の建設というものがあるが、国軍の建設というのは裏から言えば、国軍に残る人たち以外はみんな民間人に ならなきゃいけない。あと警察の確立というようなことをしなければいけないというのが現状の問題になってきております。
     そうすると何が問題かと申しますと、せっかく支援会合で45億ドル以上、あるいは1年間で18億ドル以上の支援があったの に、一般の人たちには目に見える支援というのがまだ来ていないという現状になってきているわけです。そこで何をしなければ いけないかというと、我々が一番重要だと考えているのは、クイック・インパクト・プロジェクト、緊急に目に見える形でリハビリ テーションというか、復旧のプロジェクトをやっていくということが重要です。
     それと同時に、これはこの前の復興会議のときに小泉総理が強調されていたことでございますけれども、国づくりの基本は教 育であるということで、学校を3月から開くというようなことをやっていますし、そういう意味でしっかりとやっていかなければいけ ない分野としてクイック・インパクト・プロジェクトの中に、できれば教育とか、あともう一つは医療、そういうところに力を入れてい くということが必要になってきているという現状でございます。
     そこで、日本が何を今やろうとしているかと申しますと、1つは、先ほど少しフォローアップのことで長くなってしまいましたが、 国際的な支援を糾合するところまでやったんですけれども、こういうアフガニスタン復興支援のリーダーとして国際社会の協力を まとめ上げていくということが必要になってきております。このために、執行グループというのをつくっておりますので、これを早く 開催してもらって、実は議長がアフガニスタン側なので、アフガニスタンのオーナーシップということを言っていたら、議長はアフ ガニスタン暫定政権になりましたけれども、そこに早くやりましょうということを言って、どういうふうに支援が行われていくかとい う調整とか、連携について話をしていくということが必要になっております。
     それからもう1つは、それがちゃんと動くようにする。私は何も前提もつけずに「共同議長国」という言葉を使いましたが、共同 議長国というのは、実は運営グループというグループの議長です。復興支援のための運営グループの共同議長国というのは、 日本とアメリカとEUとサウジアラビアですけれども、そこが中心となって次回会合を今年の半ばまでに開いて、そしてレビューし てきちんとやる。そういうスケジュールの中で実際の支援を行っていくように個別に働きかけていくということを第一にやらなけれ ばいけない。
     それから、第2番目に日本がやっているのは、自分のところのプロジェクトで、日本は2年半で5億ドルまでの支援、2002年 はがんばって1年間で2.5億ドルまでの支援をするというふうに言っておりますので、これを早くやる。それで目に見える支援は ないじゃないかと言われないようにしたいということで、実はたまたまたそれを先行するような支援ということで、UNDPと協力い たしまして、ちょうどこれは緒方先生がよく使われている言葉だったのですけれども、「シームレスコネクション」というんですけれ ども、いわゆる人道支援から復興支援に行くまでの間の復旧の部分、ここがいつも欠けているということだったので、継ぎ目の ない支援ということを行うための復旧プロジェクトをやる。これがクイック・インパクト・プロジェクトということで、UNDPと日本で話 をしまして、日本が300万ドル出しました。カブール市内へ行きますと、住める家もありますけれども、ほとんどが住めない家な んです。がれきもいっぱいありますし、窓ガラスも、ドアもちゃんとなっていない家もあります。がれきを除去したり、簡易鋪装した り、あるいは建物に窓枠をつけたり、窓ガラスを入れたり、そういう小さなプロジェクトをたくさんつくる。それを作業するためにアフ ガニスタンの人たちに来てもらう。1日2ドルで働いてもらって雇用を生み出して、その街自体もきれいにしていくというプロジェク トが、実は今始まっております。そういうことをやっていく。カブールから始めるんですけれども、これが全国に広がっていくという ことが重要です。今、カブールといろいろ連絡を取っておりますと、意外と国際機関とか、現地の人たちにはこれがいいというこ とで評判になっているということですけれども、まずそれをやっている。
     それから次に、先ほどお話がありました経済協力ミッション、JICAのミッションが明日から行くということで、これは男ばかりで す。実は、私、今日の12時半か1時ぐらいに、席に座っておりましたら、JICAの地曳部長と橋本部長が二人そろってこられまし た。地曳部長とはハノイで一緒でしたので、よく存じあげておるんですけれども、どうしたんだろうと思っておりましたら、明日から 行ってきますと、それでどういうことを見てきたらいいですか、言ってくださいと言われて、いろんなことを言ったんですけれども、 地曳部長や橋本部長の方から「ジェンダーが大事でしょう」といわれて、「そうです、そうです」と私の方から言いまして、見てき ますということを言っておりました。彼らはそういうつもりでいますので、男ばかりのミッションですけれども、そこはちゃんと念頭 に置いています。私の方から、幾つか女性の関係でいいますと、本当を言うと皆様から聞いた上で、私がそれを実施しないとい けない話だと思うんですけれども、私も実は12月の初めにカブールに行ったんです。
    原会長
    何日ぐらいですか。
    宮原課長
    私は4泊5日で行ったんです。中3日間だけ実質上仕事をしたんですが、そのときに、UNICEFの方と話をし、ほ かの人も同じようなことを言ったんですけれども、非常に重要なのは、女性の教育。就学率というのはもともと低くて7%ぐらいら しいんです。先ほどお話がありましたが、女性に限れば3%ですということです。UNICEFはタリバン時代にもいろいろやってい たけれども、公立学校にはやれなかった。ですから、プライベートスクール、塾みたいな形で自分たちはやっていましたと。それ を全国に今度は公立も含めて展開していくようにしていきたい。ただ、そのためには先生が必要です。彼らも引退していました から、先生を訓練するためのプロジェクトを立ち上げようと思っている、というようなことをおっしゃっていて非常によく考えられてい たと思うんです。ですから、そういうこともありますので、ぜひそこにも行ってくださいと。「それはわかっている」とおっしゃってい ましたけれども、そういう話もしましたし、あと現地では、女性省というのがございますので、そこにも行ってきます、そういうこと をおっしゃっていました。そういうことで、私におっしゃっていたのは、私が望んでいるクイック・インパクト・プロジェクトをどんどん 広げていくということもやるけれども、それ以外に教育、医療、そういうところでこれからもますますプロジェクトを拾ってくるという ようなことを考えているということをおっしゃっていました。
     最後にもう一つだけ、これは何も資料はございません。ただ先ほど松浪政務官がおっしゃったので、これも私が出張をしたとき に聞いてきた話なのでございますが、実は私が情報文化委員長という人とお会いしてお話を聞いたんですけれども、その方が おっしゃっていたのは、イスラムの文化というものは守りたいということです。日本の支援に期待している。これはなぜかという と、日本というのは西洋の文化を取り入れながら、自分の文化文明を守って、そして近代化していったので、そういうことを学び たいというようなことをおっしゃっていました。そういう意味で女性の役割というのは彼らも意識はしているんですけれども、彼らな りの考え方というのがありますから、彼らの価値をうまく、日本がいいと思っているものを何か取り込むというか、一緒に共存し てやっていくという考え方が日本にはあるような気がするので、そういうことをやりながら、女性の社会進出、それから女性の参 画、女性の貢献というのが進んでいくことがよいのかなというふうに考えております。
     以上でございます。いろいろと話が飛んで申しわけございませんでした。
    原会長
    ありがとうございました。では、今の宮原課長のお話に対する御質問も含めて、御意見がありましたらどうぞ。
    田中委員
    女性の教育とか、医療が大変重要だという御指摘なんですけれども、今朝、アフガンの女性のNGOの方も、教育 に関しては重要性を認めるんですけれども、それはどちらかというと中長期的な対策になる。今、アフガンの女性に必要なのは ウエルフェアであり、食糧とか衣料品そういうものが必要だと。ただし、そういうものを配っても、それをみんな売ってしまうとおっ しゃるんですね。売ってしまってお金にかえて、それで自分で必要なものを買っているような状況だとおっしゃるので、教育、医 療に加えて、女性の就業機会というものが重要なのではないかと思っています。先ほどおっしゃった緊急のプロジェクトですか、 1日2ドルの雇用創出、そういうものをやっていらっしゃるときに、ぜひ女性に対して雇用の機会をクリエートするというようなこと を考えていただきたい。
    原会長
    表道路は男の人が働くけれども、裏側をきれいにするのは女の人がとか、そういうふうに同時に考えるということだと 思うんです。
    田中委員
    そうですね。そういうことが緊急対策として重要なのではないかということを思いました。
    宮原課長
    全くそういうことだと思います。今、原会長からお話がありましたように、表では男が働いて、家というか、中をきれ いにするとか、そういうのは女性がやる、これは良いアイディアなのではないかと思います。そういうことというのはあるのではな いかと。
    原会長
    今度アフガニスタンにいらっしゃる方々は、そういうことを気がついてくださる方ですよね。
    宮原課長
    私も保証はできないのですけれども、いずれにしろ、今回、緊急開発調査というミッションが行きますけれども、そ の後ももう一つ大きな開発調査ミッション、それを踏まえたミッションがありますので、そういう中で踏まえていくということで。そ れから、私たちも今みたいなお話というのは、我々の訓令とか、そういう中でも生かしていきたいと思います。
    原会長
    岩男委員、先にどうぞ。
    岩男委員
    質問ですけれども、ダカール行動枠組みで、2005年までに初等教育の男女格差をなくすということに対して日本 もコミットしているわけですね。これは国際的なコミットメントですから、ユネスコだとかいろんなところが進めておられると思うんで すけれども、その中には教員の養成から、学校をつくることから、国によっては放送教育とか、いろんなことが入っているわけで す。2000年の4月にダカールで開かれているわけですが、5年というターゲットがあるわけで、これまで世界はこの枠組みに 沿って何もしなかったわけではないと思うんです。この間に、アフガニスタンはともかく、その周辺国とか、いろんなところで協力 関係をつくりながら進めてこられた経験で何かうまく生きるようなものはないのか。できれば、既にうまくやっているものがあれ ば、そういうものを最大限利用したらいいんじゃないかと思うんですけれども。
    宮原課長
    申しわけございません。私、知らなかったんですが、それは全くそのとおりだと思います。私たちの省の中でも、み んなそれぞれ協力してやっていると言いながら、お互いの情報がシェアされていないので、これを使ったらいいとか、そういうサ ジェスチョンがくればよかったんだと思うんですけれども。
    原会長
    関連でどうぞ。
    内海委員
    2005年までに教育における男女格差、初等中等教育を受ける男女における格差をなくすというのは、日本の外 務省が中心になってつくったDACの新開発戦略の重要な目標です。それを2000年のダカールの憲章でも出てきたということ です。イスラム圏の女性の男女格差は大きな問題ですが、その一つのモデルとして、イランモデルがあります。イランでは女性 の就学率が非常に上がっています。イスラム化を保ちながら、女性の教育を非常に推進したというモデルです。今日の午前のU NDPとJICAのセミナーでもアフガニスタンの方がおっしゃっていましたけれども、イランの例はひとつ参考になるのではないか と思います。
    宮原課長
    イランというお話がございましたが、イランのペルシャ語と、公用語の一つですけれども、アフガニスタンのダリ語と いうのは同じ種類の言葉でございまして、そういうことから、今カルザイ議長がイランに行っていますけれども、言葉を通じての 協力、それから似たような社会であるという意味での協力というのは可能かもしれません。
    原会長
    駒野欽一大使はペルシャ語がぺらぺらでいらっしゃる。
    宮原課長
    そのとおりでございます。
    原会長
    よかったですね。
    宮原課長
    特別に行ってもらいました。
    原会長
    中道さんどうぞ。
    中道委員
    さっきの話に関連して思ったのですけれども、先ほど復興はカブールを中心にされていたようですね。私みたいに 農村をやっていると、都市圏は重要なんですけれども、都市の映像なんか見て、食料品とかは出てきていますけれども、やはり 誰が農産物をつくるんだという農村部分はどうなっているのだろうというのがすごく見えない。映像でも見えてこないし、多分そ れは復興のときにも、どこまで見えているのかというのがすごく気になる部分なんです。まずその点を教えていただけますか。
    宮原課長
    今、私がカブールということを強調した理由は、先ほど私が話した中のセキュリティとすごく関係があるんです。ま ず、カブールを中心に最初にやろうと言ったのは、セキュリティが確保されているというのが一つございます。あとはカブールは 首都ですので、そこから地方に伝わっていくということがあるということで、こうやってある意味での良い福音というか、次にあな たたちのところに行きますよというようなものにしていく。日本としては、ヘラートでもどこでもよろしいのですが、もっと別のところ でもできるだけ早くやりたいと思っているのですが、まだセキュリティがはっきりしないので、まずカブールからということでやって おります。
     他方で農村の話でございますが、一番重要なのは地方なんです。これはどういうことかと申しますと、アフガニスタンは去年の 9月、10月のころを思い出していただければわかると思いますが、全部で500万人とも、700万人とも言われる国外と国内の 難民がいる。単純に言いますと、1,800万人の人が普通の自分の故郷に住んでいて、700万人の人が自分の故郷に住んで いないということで2,500万人がいる。そうすると、その人たちが帰ってきて初めて平和な社会というのができていくはずなん です。そのために何年ぐらいかかるかというのは、私たちはなかなか推定できないのですけれども、そのための努力をやってい く。そこで、日本が言っているテーマの中にも入っていて、共同議長サマリーの中にも出てきますけれども、共同体のコミュニ ティビルディング、再建ということをやっていきます。まず共同体を再建することによって、難民がそこに帰ってくるようなベースを つくっていかなければいけない。そのベースをつくって、帰ってくるためには、実はペシャワールの難民キャンプには学校も医療 施設もあるんですね。そうすると、学校とか医療施設などちゃんとしたものが共同体になければいけなくて、それをつくらなけれ ばいけない。それから、たくさんの人が帰ってきますから、単純にいいますと、180人の村に70人が帰ってくるわけです。そうす ると、1.3~4倍になるので、今までの食料生産ではだめなんです。そうすると、そこで農業をやっていかなければいけない。ア フガニスタンは、実は干ばつが4年間続いたとか、地道にやってもたかが知れているというのがあって、何を栽培していたかとい うと、麻薬を栽培していたわけなんです。そういうのを転換させて、自分たちが生活できるような作物にしていかなければいけな い。そうすると、4年間も干ばつが続いていますし、1.3倍から1.4倍、もっといい暮らしをするためには2倍ぐらいの生産にする ためには水が必要になってくる。また、きちんとした生活をするためにはきれいな水が必要がなってくる。そうすると井戸堀が必 要になってくる。もっと人口規模が多くなったら、川自体を何とかしていかなければいけない。川というか、Surface waterという か、そういうものをきちんと得ることができるようにしなければいけない。そのためには、あの地方にある、イランではカナートとい いますが、カレーズという言葉ですか、そういう灌漑も考えなければいけないというような手順があると思うんです。
     実はこれはタリバン政権の時代なんですけれども、98年ぐらいから日本がアズラ計画というのをやっていたんです。実は我々 はアズラ計画に戻りたいんです。アズラ計画に戻って、そこでモデルをつくって、それを全国展開していく。そうすると、大きな人 口移動を許容できることができるということです。これは頭の中にずっとありまして、ただセキュリティの問題があって今すぐには できない。アズラというのは、カブールの東南部にございまして、ジャララバード、あとトラボラの方に近いところでございまして、 セキュリティというか、治安がどれだけ確保されたかというのはまだはっきりしていないので、まず様子を見つつそっちの方に進 んでいきたいと思っています。
    原会長
    畑や、畑の跡にも地雷がゴロゴロあるというのも聞いていますが。
    宮原課長
    ちょっと私、言い落としましたが、農業をやっていくためには水をと言いましたけれども、地雷がないかどうかもやら なければいけない。
    中道委員
    ロシアが埋めた場所の地図をくれるという話にはなっていましたが。
    宮原課長
    そうですか。
    中道委員
    そういう話が報道に載っていました。
    宮原課長
    私、年末に在京ロシア大使館の参事官と食事したときに、彼がそのことを言っていました。ですから間違いないと 思います。それが報道に出たということは本気でやるということだと思います。確かにロシアもやりましたけれども、ほかのところ もやっているんですね。ですから、俗に1,000万個と言われていますけれども、これは、いわゆる可耕地とか、あるいは人間が 住めるところで、とりあえずこれだけをクリアすればいい、除去すればいいというのが大体1,000万個ぐらいと言われていて、 そのためには、7年とか、10年かかると言われています。そのために日本が協力するということで、まず第一弾として戦闘中に 奪われてしまった、あるいは壊されてしまった機器を提供する。MAPAという国連の下部機関なんですけれども、そこを通じて、 NGOが地雷の除去をやるということで予算をとって、それで買いそろえて、近々日本から各NGOにそれを供与するというような ことになっています。
    原会長
    池上委員どうぞ。
    池上委員
    ドナー協調の話を伺いたいと思います。インプリメンテーショングループというのが3月にもう一回カブールで会議を 開かれるということなんですけれども、その前に、例えばアメリカが女性省に供与するとか、サウジアラビアがキャッシュで数百 万ドル出したとか、JICAがミッションを送っているとかの支援策が出ています。そういった各国の支援が緊急援助や復興のレベ ルであるとすれば、本当に必要な援助ができるかどうかもさることながら早いもの勝ち的なところが出てきてしまいがちです。ド ナーの間での協調がシステムとして今どうなっているのかということと、インプリメンテーショングループがどの程度機能している のか。そうすると、日本の、例えばJICAのミッションが出た後に、どういうふうなドナー協調のプロセスを経て実際のプロジェクト が形成されていくのか。
    原会長
    決定の仕方とお金の流れとか、具体的なインプリメンテーションについての段取りということでしょうか。
    池上委員
    そうです。日本とインプリメンテーショングループの関係と、ドナー協調の枠組みと2つを教えてください。
    宮原課長
    今、池上委員がおっしゃるような状況が出てきているということは間違いないです。ただドナー協調をやっていくと いう場合には、日本としては、インプリメンテーショングループというのを立ち上げたんですけれども、日本というよりも各国とし て、今後の復興に当たって何を基本にしているかということについては、世銀、UNDP、アジア開発銀行がニーズアセスメントと いうものをして、アフガニスタンの暫定政権ととりあえず案をつくったんですね。1か月から2か月ぐらいの間に、やっつけ仕事で つくったものがあるんです。それがある意味で復興をやっていくための材料となっていましたが、もっと精査しないといけないとい うことが話し合われまして、今年の6月までにもっといいものをつくるということになっているんです。そのためには、現地に調査 団を派遣したい。その調査団を分野別に幾つか、7つ、8つぐらいの分野に分かれて分野別のチームを派遣して、そのチームに ドナーが参加してくれということを言っていたんですけれども、ちょっと調整が悪くて情報がきちんと入らなかったのか、勝手にや りたかったのか、前半のチームは先に行ってしまったと。
    原会長
    それは誰ですか。
    宮原課長
    世銀、UNDP、ADB、これにイスラム開発銀行が入ってきています。日本はこれについて少し文句を言いまして、 後半のチームについては、ちょうど同じ時期に今回のミッションが入っていますので、そこですり合わせとかをする。そういうもの が次のインプリメンテーショングループ、執行グループの会議で共同に話し合ったものとして出てくるというようなことができれば というふうに考えています。
     それからもう一つは、ドナー調整のためにどうしたらいいかということなんですけれども、これは2つの方法があると思うんで す。1つは、先ほどからずっと申し上げていたんですけれども、アフガニスタンがドライビングシートに座るわけですね。アフガン側 の支援の受け入れ先を決めて、そこが中心となって話をしていけば、本当にできるかどうかは別の話として、理論的には、そこ で調整がされ得るわけです。アフガニスタンが最初アルサラという財務大臣がトップになってやるというようなことを言っていたん ですけれども、結局カルザイ議長の下に、世銀などで働いたガーニーという、ある意味で学者であり経済の実務家である人が受 け入れ窓口として立って、その人を中心に進めていくということが1つ決まっています。
     それからもう一つは、資金の流れなんですけれども、これは今回お配りした資料にも書いておりますけれども、2つの流れがご ざいます。1つは、これまでの従来の伝統的な支援で、二国間とか国際機関を通じた支援を行いますということで、今競争みた いなものが起こっています。他方でもう一つ、世銀に復興支援のためのトラストファンド、信託基金をつくるということになっていま す。これは現地に事務所を持てないような小さなドナーが入れるとか、あるいは別に大きなドナーでもいいんですけれども、その ドナーが勝手にいきますと、自分の好きな分野ばかりやってしまいますから、合間に落ちてしまうようなところとか、時に行政経 費とか、省庁の立ち上げとか、そういうものをやるためにトラストファンドをつくるというようなことになっています。よって、トラスト ファンドとアフガン側のきちんとした支援の受け入れ先、それを支えるインプリメンテーショングループの共同議長というか、副議 長である、先ほどから言っております世銀、UNDP、アジア開発銀行、イスラム開発銀行、そういうところがそれを経済理論的に 支えていくということがドナー協調の中心になっていくというふうに考えています。
    池上委員
    今後の日本の進め方というのはどういう流れになりそうですか。
    宮原課長
    その中で、インプリテーショングループというのは、カブールの中でできるんですね。ですから、先ほどから名前が 上がっております駒野が代表としてずっと現地でアフガン側とも話します。昨日は先ほど名前が出ましたガーニーに会ったと 言っていまして、どういうふうに支援を進めていくかということについても話をしているということを言っておりましたし、あと現地の 国際機関、ほかの主要なドナーとも話をしていくということになっております。
    原会長
    樋口委員どうぞ。
    樋口委員
    このNGOリストの中でアフガン26の中で「ウィメン」という名前がついているのが3つありますけれども、こうした団 体について、何か詳しい情報はございますでしょうか。また、何も知らないから伺うんですけれども、例えば、そういう男女の隔 てのあるイスラム社会でNGO活動は、女性は女性のNGOではできるでしょうけれども、その他の団体に女性がNGOに加わっ ているということはよくあるのでしょうか。あとのNGOの中でどんな参加の仕方ができるのだろうかということと、それから識字率 と一致するかどうかわかりませんけれども、就学率が3%という状況の中で、女性だけが対象ではないのですけれども、例えば 日本がこういうことをやっているとか、こういう協力があるとかという、情報伝達の手段というのは何なのですか。マスコミュニ ケーションというのは、幾らタリバンが去ってもハード自体が非常に少ないでしょう。ラジオですか、それとも識字率が低い中で 張紙をするんですか、口コミですか、何なんでしょうか。
    宮原課長
    まず最初のそれぞれの団体についての情報は帰ればございますので、必要であれば用意いたします。
    原会長
    ぜひ事務局にお届けいただいて、委員に配ってもらいたいと思います。
    宮原課長
    はい。それから他のNGOの中で女性がどういうふうな役割を果たしているかというのは、私も調べないとわからな いので、これも同じように調べた上で御報告するということにしたいと思います。
     情報伝達ですけれども、実はこれは緒方代表がアフガニスタンに行かれたときに気づかれて、最も言われたわけですけれど も、結局、国民を統一していくための伝達手段、コミュニケーション手段がないというか、失われている、欠けているんです。これ を何とかしなければいけない。そのためには、現時点では、トランスミッターが壊れてしまったので、カブールテレビはカブール周 辺しかやれない。ラジオは何とかBBCのパシュトゥン放送とか、あるいはVOA(ボイス・オブ・アメリカ)が流れていくとか、そうい う形になっております。
     それからもう一つ申しますと、電話網がないんです。ですから、そういうふうな状況の中で早く何とかコミュニケーションの手段 を回復していくというのが非常に重要になっていまして、今回NHK自らがカブールテレビの機材の更新のために1,500万円 の無償貸与という形で協力してくださるということで、一歩が進み始めているところです。
    原会長
    目黒委員どうぞ。
    目黒委員
    支援のタイミングについて伺いたいんですけれども、今までの話を伺いますと、基本的には和平が進まないと復興 が実施するのが困難だというお考えだというのがわかりました。治安を確立するために国軍をつくったり、刀狩りをしたりというこ とをおっしゃいましたけれども、はっきり言って、それは実現できるかわからないという可能性があると思います。例えば、コミュ ニティビルディングをいろんな形で進める中で、治安も自ずと確立されてくるというプロセスも当然考えられると思うんです。私が 非常に気になっているのは、和平が一応確立されてから復興のグランドデザインをもって進めるという考え方をしますと、本当に いつになるかわからない。また、その間に、先ほどおっしゃったシームレスエイドをいろんな形で単発でやっていくとなると、シー ムレスエイドをやっていく中での基本的な理念が何だかわからない。とにかく緊急のことを継ぎ接ぎでやっていくということで、何 とか進んでしまう。そうすると、今まであちこちでやってきたことの繰り返しになりかねないのではないかと思うんですけれども、 それをどう考えておられますか。
    宮原課長
    今おっしゃったことは全く正しい御指摘だと思います。私の言い方が悪かったと思うのですけれども、私たちの考 え方は、復興と和平というのは同時並行的に進みます。常に和平の担い手である各軍閥にしても、部族のリーダーに対しても、 あなた方が話し合ってやっていかなければ、支援というのは進みませんよというメッセージを出していくというのが1つ大事なこ とだと思っています。
     それから2番目に復興のグランドデザインというような話については、先ほど申しましたガーニーという人たち、実はアフガニス タン人とか、アフガニスタンに対して関与をしてきた知識人のグループ、かなりの部分はアフガニスタン人なんですけれども、そ ういう人たちをブレーンにして国連が今の暫定政権をサポートするという形で今考えています。最初は2年間ぐらいで計画を建て て、最終的にそれから復興、それまでは復旧だと言っていたのですけれども、それではだめだというのが最近わかってきて、今 しゃかりきになってやっています。そこをうまく支えていくというのが必要になってくるのだと思います。
     それから、コミュニティビルディングということをしながら治安を回復していくというのは確かにそのとおりだと思うんです。コミュ ニティビルディングの中に、先ほど申し上げた武装解除をして、国軍をつくっていくということで70万人を20万人にする。もっと数 は少ないですけれども、一部は警察官だろうと。そうすると残りの人たちをシビリアンにしないといけない。シビリアンにするため のサポート、職業訓練が必要でしょうし、そういう人たちが実際に働く場が必要だと。それとコミュニティビルディングと絡み合わ せながらやっていくということは必要でございまして、先ほどセキュリティの確立ということを言ったんですけれども、その中でアメ リカとイギリスは国軍の建設に興味がある、ドイツは警察創設に興味があるというようなことを言っているんです。そのときに、日 本は各国に協力しようということを言っているんですが、軍の設立なんかには協力できません。しかし、軍から外れた人たちをシ ビリアンにしていくということに対してはどんどん協力しますということで、うまくマッチしていくことを我々が考えていかなければ いけないんです。私はいつもそれを言っているんですけれども、実際に現地のミッションなどを考えないといけないので、そういう ことが現場といいますか、外務省の経協局とか、あるいはJICAとか、いろんなところで考えられるように、それこそいい圧力を 先生方からいただければいいんじゃないかと思います。
    原会長
    このアフガニスタンに関与した知識人グループの方々の男女比率はいかがでしょうか。
    宮原課長
    私が知っているのはみんな男性ばっかりです。
    原会長
    そこが。
    宮原課長
    そうですね。そこもチェックした上で。
    田中委員
    日本の方は入っているんですか。
    宮原課長
    大体アフガニスタン人が主で、これにアメリカ人が入っています。
    橋本委員
    海外の女性、アフガニスタンの女性も結構多いんです。
    宮原課長
    多いですね。
    橋本委員
    だから、そういう人たちも入った方がいいと思います。
    原会長
    すてきな教養があって、技術も持っている方も多くいらっしゃるようですね。
    橋本委員
    国連の会議の中のNGOの集会のときにアメリカやフランス在住で反タリバン運動をしているアフガニスタンの女性たちが来て、いろいろと紙を配ったりしていましたから。
    中村委員
    先ほどNHKがアフガニスタンの方の放送局に機材をあげるという話がありました。それは大変いいと思うのは、こ の間、UNDPの中にUNIFEMが入っているんですが、UNIFEMの事務局長が、ラジオを情報伝達に使いたいというようなこと を言っている。そのためには、放送局がちゃんとしていなければならないということで、これは随分日本も貢献できるのではない んでしょうか。小さなトランジスターラジオなどを配っていくということで。
    宮原課長
    意外と放送への支援というのは、いろんなところがやりたがっているんです。ただ、カブール放送局は、日本が内 戦になる前に無償援助でいろいろ大きな支援をしたので、なんとか日本が続けられればいいと思っています。それから、UNDP の中にUNIFEMというのがあって、それでやるというのは、私も実はUNIFEMという言葉は聞かなかったんですが、UNDPの 現地の人から、そういう話があって、自分たちもできるということは言っております。そういう意味で、これは日本の重点事項の1 つになっていますので、ミッションは多分、それを拾ってくるのではないかと思います。
    原会長
    ちょっと時間がオーバーしていて恐縮です。宮原課長のお時間が許せば、滅多にお会いできないからということでお 残りいただきたいと思います。御都合で中座なさる方の場合は、お配りする資料を持ってお帰りになっていただきたいということ がございます。今日御発言になされなかったことで、また今後、思い付かれる意見などを書いていただきたいというのが事務局 からのお願いなんですけれども、何分ぐらいまでいいんですか。
    宮原課長
    私、7時から別の会であいさつをしないといけなくなっていまして。
    原会長
    もう7時ですね。
    宮原課長
    実は2時間というのを忘れていまして、こうなってしまったんですけれども。
    原会長
    アフガニスタン流にゆったりと。言葉は何をなさるんですか。
    宮原課長
    私はアラビア語でございます。
    原会長
    どうぞ。
    内海委員
    先ほどクイック・インパクト・プロジェクトのお話が出ていましたが、大変結構かと思います。今、アフガニスタンの小 学校の破壊が非常に激しくて、特に屋根がない学校が多いということを聞いておりますので、学校修理もこのプロジェクトの中に 入れていただきたい。学校が再開されると女性の教育に関しては女性教員の雇用も増えてきますので、ぜひそういうことも考え て配慮していただきたいと思います。
    原会長
    とりあえず、勉強ができるような場所をということですね。
    内海委員
    学校の基礎はしっかりしているらしいんです。でも、屋根がかなり壊れているということは聞いております。女性の 教育支援ということで、お茶の水女子大学が中心になりまして、女性教員を日本の女子大で支援しようというようなことが考えら れており、今、その中身を詰める委員会をやっております。女性が女性を教育するということで、非常にいいことではないかと思 いますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
    中道委員
    今、ラジオと教育のお話がありましたが、私がモンゴルに行ったときに見ていたんですけれども、ユニセフが教育 にラジオを使っていまして、モンゴルのように離れているところだと、実はそういう形の方がやりやすいということもあるので、ぜ ひラジオを普及していただくといいのではないでしょうか。私は常に地方のことを考えているんですが、地方の人たちの教育まで いくんじゃないかと思うので。
    宮原課長
    そのとおりだと思います。
    中村委員
    電源がないですものね。
    宮原課長
    ラジオだとまだ電池でなんとかなりますし。
    樋口委員
    産物はないんですか。例えば、ブルカなんてすごくきれいですから、ああいう技能があるんだとおもいますが、例え ば布はだれが織って、だれが加工しているんですか。
    宮原課長
    アフガニスタンは織物でいえば、じゅうたんが有名なんです。昔はちゃんとした伝統の技術があったはずで、それ は女性が織っていたと思います。ペルシャじゅうたんというほどではないですけれども、アフガニスタンのじゅうたんはパキスタン を通じて輸出されています。そういう意味で伝統的な技術はあるはずなんです。
    樋口委員
    それが戦争で破壊されたと。
    宮原課長
    はい。それから、農業についても昔は農産物の輸出国だったんです。それが内戦の間に全然だめになっていると いうことがあるんです。
    樋口委員
    そういう伝統技能があれば、特に女性はそういうものから出発していく。日本のいろんなNGOが、そういうものを 買うということにすれば、単なる資金の援助じゃなくて、就労支援、自立支援という形でやっていけるわけですね。何とかこういう ものを持続していけるようになれば。
    岩男委員
    ラジオを通じて教育するというのはすごくいいと思うんですけれども、あの地形から見ても、すごくたくさんアンテナ を立てる必要があると思います。それはいろんな国の競争になっても、日本も随分できるんじゃないかというふうに思いますの で、ぜひ、その分野をやっていただければ思います。
    原会長
    宮原課長、本当に長い間ありがとうございました。今後ともいろいろお願いすることがあると思いますが、よろしくお 願いいたします。
    宮原課長
    ありがとうございました。

    (宮原課長退室)

    原会長
    ありがとうございます。今後の進め方でございますが、皆様いろいろな御意見をお持ちですから、紙をお配りします ので、これに御意見をお書きいただきまして、事務局の方にお届けいただきたいと思います。御意見はいつまでにいただきたい のですか。
    坂東局長
    次回にはいただいたものを整理して議論のたたき台にしたいなと思いますので、我々の事務処理能力を考えてい ただくと3月10日ごろにお願いできないでしょうか。
    原会長
    では、3月10日までに事務局の方に御意見をお寄せいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
    中道委員
    メールで構いませんか。この紙に手書きでファクスというよりは、打ってしまった方がいいので。
    原会長
    メールの方はメールでということですね。改めてメールで御連絡は行くということです。
     次の会合の日程ですが。
    坂東局長
    なかなか皆さんお忙しくて日程が合わないのですが、今、一番可能性が高いのは、3月26日の15時から17時 ですけれども、改めて日程をペーパーで出していただければと思います。それから、御意見の方ですが、特に具体的なプロジェ クトの場合は、今もお話がありましたように、クイックインパクトなのか、それとも中期的なのか、あるいは長期的なことなのか、 そういうことをお付け加えいただければありがたいと思います。
    原会長
    先ほどお回しした資料は、一昨日の月曜日の夜にMSHの岩村フェローで、神谷先生というお医者様と、佐藤美穂さ んという女性と健康ネットワークの事務局をしていた方が、この間10日ばかりアフガニスタンに行って、帰りがけに日本にお寄り になって緊急報告会をなさったときに、配付された資料に加えて、佐藤美穂さんがもしかしたら役に立ちますと言ってくださった ものです。御参考になるものがあればと思いますが、分厚いですし、部分的にはインターネットで引けます。アドレスはもう一つ が、ヘルスケア・イン・イスラム・アジアという本で、これも事務局にお預けしておきます。
     本当に時間が長くなってしまって、お忙しいところすみませんでした。また、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
    坂東局長
    御意見の方は、一応3月10日までとお願いしておりますが、それを次回までにまとめて、また皆さんの御意見を いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。