男女共同参画会議(第28回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成20年3月4日(火)17:30~18:18
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
福田 康夫 内閣総理大臣
議長
町村 信孝 内閣官房長官
議員
上川 陽子 少子化対策、男女共同参画担当大臣
増田 寛也 総務大臣(代理:谷口隆義総務副大臣)
鳩山 邦夫 法務大臣(代理:河井克行法務副大臣)
額賀 福志郎 財務大臣
渡海 紀三朗 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
舛添 要一 厚生労働大臣(代理:岸宏一厚生労働副大臣)
若林 正俊 農林水産大臣(代理:岩永浩美農林水産副大臣)
甘利  明 経済産業大臣(代理:新藤義孝経済産業副大臣)
冬柴 鐵三 国土交通大臣
泉  信也 国家公安委員会委員長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員常務
植本 眞砂子 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿島 敬 実践女子大学教授
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
橘木 俊詔 同志社大学教授
出席者
石破 茂 防衛大臣(代理:江渡聡徳防衛副大臣)

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果について
    • (2)「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」最終報告に向けた論点のとりまとめについて
    • (3)その他
  3. 閉会

    ○ 福田内閣総理大臣よりあいさつがあり、女性の活躍が我が国の将来のために重要であり、その一層の促進に取り組みたいこと、また、仕事を持つ女性も安心して出産・育児をしつつ、いきいきと活躍できる男女共同参画社会の実現が少子化対策には不可欠であるという旨が述べられた。

    (1)男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果について

    ○ 男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果について、監視・影響調査専門調査会の鹿嶋会長から、資料1-1に基づいて説明があった。説明の終わりに、「男女共同参画の視点」を各府省が共有できるが否かが、男女共同参画社会の形成を真に実効性あらしめることができるか否かの鍵になる旨の感想が述べられた。

    ○ 町村官房長官から、女性の参画拡大の取組は重要であり、自分が文部大臣時代、各省庁に先駆けて審議会等の女性委員の登用に一生懸命取り組んだ経験があること、各府省においても、女性国家公務員の採用・登用について今後一層取組を進めるよう協力を求める旨の発言があった。

    (官房長官退席)

    ○ その後、各議員から以下のような意見が述べられた。

    (岩田議員)

    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大については、国や地方自治体は社会全体の模範であってほしいが、現実には民間よりも遅れている。特別な対策を講じない限り、2020年30%の目標は達成できない。国や地方自治体は民間企業の取組を参考にしてまず行動計画を作り、思い切った施策を実行してほしい。

    社会制度・慣行の見直し及び意識の改革については、望ましい方向に社会が変化しているが、国際的に見れば日本の変化は遅い。子どもが産まれても女性は仕事を続けることができる社会を作るというメッセージを、政府はもっとストレートに発信すべきで、啓発活動の在り方を見直すべき。

    (植本議員)

    女性の参画は徐々に進んできているが、一層の促進策が重要。連合としても、参画を進めるためのレベルごとの目標設定をして努力している。ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、働き方の改革が何よりも必要だが、それとともに均等待遇原則の法制化とその実現が不可欠である。また、税・社会保障制度の中立性を確保する必要がある。そうすれば、男女がともに働きながら家族のケアができる。

    また、地域の生活の場で男女共同参画に格差が生じないよう、国として一層の支援をお願いしたい。

    (袖井議員)

    女性研究者の比率はわずか12.4%であり、欧米先進諸国の半分から3分の1と非常に低い。また、女性研究者は非常勤が多く、男性より昇格が5~10年遅れている。女性が研究を継続できない最大の理由は、家事・育児・介護と研究の両立がなかなか実現しないためである。職場保育所に対する財政的な支援をお願いしたい。

    また、女性は家庭生活のために研究歴が中断される傾向があるので、各種研究費の助成に付されている年齢制限(おおむね35歳)を撤廃するか、40歳や45歳に引き上げるなどしてほしい。特に文部科学省にお願いしたい。

    (内永議員)

    J-winという、企業における女性活用のためのNPO法人を運営しており、まずトップの方々に女性活用の意味をご理解いただくようにしている。女性活用にはトップの理解が重要なので、そういった観点からのメッセージの発信が重要。また、地方での女性のネットワークがなかなかできないので、地方におけるネットワーク作りの促進に支援をお願いしたい。さらにグローバルなネットワークづくりも必要である。

    日本には技術系の女性のネットワークがない。アメリカは20,000人ぐらいのSWEという技術系のネットワークがあり、就職などのサポートをしている。孤立する女性たちがネットワークでノウハウを共有できれば、より力強く援助を受けることができる。

    (加藤議員)

    政府は男女とも公務員の長時間勤務是正に取り組んでほしい。女性だけの問題ではなく、男性の健康、子どもたちとのふれあいの時間も失っているので、ぜひ取り組んでほしい。

    結核対策は母子保健とともに官民共同で構築してきたものであり、とりわけ女性コミュニティが保健師と連携してきた取組は東南アジアにも伝わった。保健行政分野における日本の取組をサミット等で紹介していただき、国際貢献をさらに促進してほしい。

    先の防災基本計画の修正の際、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立という項目が加わり大変嬉しい。中央防災会議により多くの女性委員を登用してほしい。ジェンダーの国際ネットワークの促進強化にもなる。

    (帯野議員)

    2020年30%の目標は、民間では非常に達成が難しいのではないか。自分は関西で会社を経営しているが、女性企業家の草分けと20年前から今も言われており、後継が育っていない。色々と考えてみたところ、普通の女性たち、特に若い女性たちは、縦型思考がなく、もっと創造的で自由な生活がしたいと思っている人が非常に多いことに気づいた。しかし、これは逆に地域の宝だと思っている。カラオケボックスや喫茶店が町の中心となっているところは、ほとんど人がいないが、花屋、美容室、ベーカリー、ギャラリーなど女性が町づくりの中心となっているところは老若男女で賑わっている。まちづくり、商業の中で女性の力を活かし、女性がどう輝くかがこれからのテーマである。

    また、観光もこれからのテーマである。まちづくりの計画に息吹を吹き込むのは女性たち。都市デザインなど、市町村の問題ではあるが、国としても総合的に取り組んでほしい。

    ○ 意見交換の後、上川男女共同参画担当大臣から、男女共同参画会議として資料1-2のとおり意見決定してよいか伺いがあり、了承された。

    ○ その後、福田内閣総理大臣から、女性の活躍促進を戦略的に取り組むため、男女共同参画推進本部において、女性の参画を加速するためのプログラムを4月上旬までに策定し、官民挙げて強力に推進することとするので、各府省も積極的に取り組むようにと指示があった。

    (2)「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」最終報告に向けた論点のとりまとめについて

    ○ 「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」最終報告に向けた論点のとりまとめについて、監視・影響調査専門調査会の鹿嶋会長から、資料2-1に基づいて説明があった。説明の終わりに、未婚男性の厳しい経済状況や地域での孤立など、高齢女性だけでなく、高齢男性の問題においても、今後解決の糸口を見出していく必要がある旨の感想が述べられた。

    ○ その後、各議員から以下のような意見が述べられた。

    (橘木議員)

    日本の貧困者には、高齢単身者、母子家庭、ニート・フリーター・ネットカフェ難民と呼ばれる一部の若者、身体的・精神的な障害者の4つのグループがある。日本の貧困率が高くなったのは、経済の不振だけではなく、家族の変容が大きく影響している。経済的に親子が独立して生活するようになり、離婚率も上昇している。年老いた親と子どもの経済的独立、結婚の不安定などの家族の変容が貧困の背景にある。

    また、高齢単身者の約8割は女性である。このような女性の生活保障に対しては、セーフティーネットの充実が必要。働くことができる女性については、パートでもいいのでできるだけ就業支援をして自活を促すことが必要。日本全体に対して、老後の備えを若いときから十分に考えるようキャンペーンをすべき。

    (袖井議員)

    高齢の単身女性は世界中で貧困層の中核をなしている。それはやはり女性自身が自分の収入源を持たないからであり、女性が老後に経済的に自立し、家庭において夫と対等な立場を持つためには、女性は独自の年金権を持つべき。とりあえずは厚生年金を短時間労働者に拡大してほしい。

    年収130万円という高い金額の扶養控除制度は海外になく、これが女性の自立を妨げている。少なくとも週20時間以上働く人には税金も社会保険料も徴収するのが公平である。男性でも非正規雇用が増えている。次回の年金改正のときには、週20時間以上働く人を社会保険料徴収対象にして欲しい。

    ○ 上川男女共同参画担当大臣より、監視・影響調査は、男女共同参画の推進に当たり極めて重要な柱であり、今後は、監視・影響調査の機能を一層強化し、監視・影響調査による政策提言やその意見内容のフォローアップを効果的に行うことにより、基本計画の推進及び各省との連携強化につなげたい旨の発言があった。

    (3)その他

    ○ 仕事と生活の調和の推進について
    上川男女共同参画担当大臣より、資料3及び資料4に基づき、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の策定、「仕事と生活の調和推進室」の設置についての報告があり、仕事と生活の調和の実現に向けた取組に対して各府省に協力を求める旨の発言があった。

    ○ 平成20年度男女共同参画推進関係予算政府案について
    上川男女共同参画担当大臣より、資料5-1、資料5-2及び資料5-3に基づき、平成20年度男女共同参画推進関係予算政府案について報告があった。

    ○ 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」の改訂について
    上川男女共同参画担当大臣より、資料6に基づき、配偶者暴力防止法の一部改正法の施行に合わせた「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」の改定について報告があり、取組の積極的な推進のため各府省に協力を求める旨の発言があった。

    ○ 防衛省における男女共同参画への新たな取組について
    最後に江渡防衛副大臣より、資料7に基づき、防衛省本省において、女性自衛官に関する施策等を専属的に担う「男女共同参画推進企画室」(仮称)を平成20年度中に新設する予定との報告があった。

    (以上)