第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

C.更なる行動及びイニシアティブのコミットメント(公約)

1 WIDイニシアティブ

第4回世界女性会議における首席代表演説において、我が国は「WID(Women in Development;途上国の女性支援)イニシアティブ」を推進することを発表し、開発援助を行う際に、女性の地位の向上と男女格差の是正に配慮し、「教育」、「健康」、「経済・社会活動への参加」の3つの分野を中心に、WID分野の開発援助の拡充に努力していくことを表明した。具体的には、女性を主な対象とした職業訓練センターの建設、職業訓練や識字教育の実施、母子保健への協力等、女性が主たる受益対象となる案件を積極的に実施することに加え、調査団にジェンダー・WIDの視点から調査、計画作りを行う専門のスタッフを参加させ、あるいは援助対象地域の住民(特に女性)から意見を聴取するなど、案件の形成・実施の段階でも女性の参加・受益に配慮するよう努めている。なお、それぞれの分野の目標は次の通り。

(1)教育

開発途上国及び他の援助国と協力しつつ、2005年までに、開発途上国における6歳から11歳までの男女格差をなくすことを目指す努力を支援し、同様に2010年までに開発途上国の6歳から11歳までの女子のほぼ全員が男子と同様に学校教育を受けられるようにすることを目指す努力を支援する。

(2)健康

開発途上国及び他の援助国と協力しつつ、すべての国・地域で、2015年までに乳児死亡率(出生1000人当たりの1歳未満の子どもの死亡者数)を35以下に下げることを目指す努力を支援する。

(3)経済・社会活動への参加

女性のための適正技術の研修・訓練の場の提供、女性の労働環境の改善、女性問題関連の法律・制度のための協力を行う。また、経済活動への女性の参加を促進する上で、女性の起業家が多い零細企業の育成を支援していくことが有益である。我が国は、既にこの分野において、女性経営者向けの優遇措置を有するインド・小企業育成計画、バングラデシュ・グラミン銀行に対する円借款供与の実績があり、今後も、他の開発途上国において、このような女性に対する支援制度の導入を支援し、制度が導入された場合には、資金協力等、積極的な支援を行う。

上述したWIDイニシアティブに従って、我が国は、個々の援助案件について、その形成、実施、評価といったすべての段階において、また、技術協力(青年海外協力隊員の派遣、専門家派遣、研修員等の受入事業)、無償資金協力、有償資金協力、NGO事業補助金などの援助形態に応じて女性の参加と受益に配慮するよう努めている。特に、草の根レベルで女性を支援し、きめの細かい案件を実施するために、草の根無償資金協力等を実施している。

このほか、農山漁村女性の開発への参画・能力発揮の支援としての事業を行っているほか、国際ボランティア貯金の実施により女性の自立を支援する事業を実施している。

またこれら以外にも、他の援助国や国際機関とも協調した案件(マルチ・バイ案件)の実施に努めている。例えば、日米両国は「日米コモン・アジェンダ」のWID分野の一環として、1995年から女子教育と零細企業振興を中心に協力を行っており、グアテマラ、カンボディア、エジプトで着実な成果をあげている。また、グアテマラでは、国連開発計画(UNDP)とともに女子教育の分野で、カンボディア、ラオス、ヴィエトナムではUNDPや国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)とともに女性の経済開発への参加促進のための地域セミナーやワークショップ開催、調査チーム派遣などの協力を行っている。

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