第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

8 女性の地位向上のための制度的な仕組み

(1)総合的な推進体制の整備・強化

1)国内本部機構の組織・機能強化

a)男女共同参画推進本部担当部署の充実等

我が国は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進のため、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官

(男女共同参画担当大臣)を副本部長とし、全閣僚を本部員とする男女共同参画推進本部を設置している。

なお、1997年9月に発足した第二次橋本改造内閣において、従来の女性問題担当大臣に代わり男女共同参画担当大臣が置かれることとなり、歴代内閣官房長官が指名されている。

1998年6月成立した中央省庁等改革基本法において、男女共同参画会議に関する企画立案及び総合調整を、内閣総理大臣を長として新たに設置される内閣府の任務とし、内閣府に男女共同参画会議を設置することとされている。その任務は<1>男女共同参画に関する基本方針、総合的な計画等について審議すること<2>政府の施策に男女共同参画の視点が反映されるよう、関係大臣に必要な意見を述べること<3>男女共同参画に関して講じられる施策の実施状況を調査し、及び監視することとされ、構成員は、<1>内閣官房長官<2>関係する国務大臣<3>学識経験を有する者とされている。

また、同法においては、遅くとも同法の施行後5年以内(同法の施行は1998年6月)に、できれば2001年1月1日を目標として、中央省庁等改革による新たな体制への移行を開始するものとされている。

なお、1998年11月、内閣府に男女共同参画局(仮称)を置くことが中央省庁等改革推進本部長により決定され、同本部により了承された。

b)男女共同参画社会の形成を促進するための新たな審議会の設置

1994年6月、政令に基づき、男女共同参画審議会が設置された。この審議会は1997年3月31日までの時限の審議会であった。

1997年3月に男女共同参画審議会設置法が成立し、同年4月には、この法律に基づき、存置期限を付さない男女共同参画審議会が設置された。この審議会の所掌事務は、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項を調査審議すること、それら諮問に関連する事項について、内閣総理大臣又は関係各大臣に意見を述べることができることである。

1997年6月、同審議会は内閣総理大臣から「男女共同参画社会の実現を促進するための方策に関する基本的事項」及び「男女共同参画社会の実現を阻害する売買春その他の女性に対する暴力に関する基本的方策」について諮問を受けた。

前者に関しては、1998年11月に「男女共同参画社会基本法について-男女共同参画社会を形成するための基礎的条件づくり-」を内閣総理大臣に答申し、後者については現在、女性に対する暴力部会で調査審議が行われている。

c)男女共同参画推進連携会議

1996年9月には、男女共同参画社会づくりに関し広く各界各層との情報及び意見の交換並びにその他の必要な連携を図り、もって男女共同参画社会づくりに向けての国民的な取組を推進するため、男女共同参画推進連携会議が発足した。同会議は、内閣官房長官が依頼した13名の有識者と、女性団体、経済界、教育界、メディアなどの団体を代表する67名から構成されている。

2)男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律の検討等

男女共同参画審議会は、1998年11月4日、「男女共同参画社会基本法について-男女共同参画社会を形成するための基礎的条件づくり-」を内閣総理大臣に答申し、男女共同参画社会の形成を総合的・計画的に促進するための枠組みとして基本法の制定を提言した。

政府は、同答申を踏まえ、男女共同参画社会基本法案を1999年2月国会に提出した。概要は以下のとおりである。

a)基本理念

1.男女の人権の尊重

2.社会における制度又は慣行についての配慮

3.政策等の立案及び決定への共同参画

4.家庭生活における活動と他の活動の両立

5.国際的協調

b)国、地方公共団体、国民の責務

  • c)男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的事項
    1. 政府の男女共同参画基本計画策定の義務
    2. 都道府県の男女共同参画計画策定の義務
    3. 市町村の男女共同参画計画策定の努力義務
    4. 法制上又は財政上の措置
    5. 年次報告等

6.施策の策定等に当たっての配慮

7.国民の理解を深めるための措置

8.苦情の処理等

9.調査研究

10.国際的協調のための措置

11.地方公共団体及び民間の団体に対する支援

d)男女共同参画審議会

3) 国・地方公共団体間の連携強化

男女共同参画2000年プランにおいては、総合的な推進体制の整備・強化の一環として、国・地方公共団体間の連携強化をはかることとしている。

全都道府県・指定都市に男女共同参画に関する施策の企画・連絡調整を担当するための部課(室)が置かれ、男女共同参画施策推進のための行動計画が策定され、その後も組織の拡充や行動計画の改定が進められている。

各地方公共団体においては、これらの行動計画に沿って施策の推進が図られ、審議会等委員への女性の登用促進など政策・方針決定過程への女性の参画促進、男女の固定的な役割分担意識の是正のための広報・啓発の実施、女性に関する施設の整備・充実などが行われている。

4)NGOとの連携強化

我が国は、男女共同参画推進連携会議参加団体以外の、国内外で活躍しているNGOに対しても最新の情報を広く提供している。具体的には、1996年ホームページを開設し情報を提供するとともに、意見を随時寄せられるシステムとしているほか、国際機関や各地の女性センターとのリンクをしており、1998年12月までのアクセス件数は約114万7千件にのぼっている。

また、国・地方公共団体とNGO及びNGO相互の交流とネットワーク化を推進するため、NGOのデータベースを整備する予定である。

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