第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

7 権力及び意思決定における女性

(1) 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

1)国の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

政策・方針決定過程への女性の参画は、民主主義の要請であるばかりでなく、政策に女性の関心事項が反映されるための必要条件でもある。このため、ナイロビ将来戦略勧告において、意思決定レベルの地位における女性比率を1995年までに30%にするという国際的目標が提示されたが、特に我が国については、公的・私的分野を問わず国際的に見て極めて遅れた状況にある。

しかしながら、我が国においても、以下に記述する審議会等委員への女性の参画の促進のように一定の成果を上げた取組もある。こうした経験をいかしつつ、まず、政府が率先垂範して政策・方針決定過程への女性の参画の促進について取組を進めるとともに、地方公共団体、企業、各種機関・団体等に対し広く協力要請を行い、その取組を支援している。

a)国の審議会等委員への女性の参画の促進

1991年5月の新国内行動計画(第一次改定)において、西暦2000年における女性委員の割合の飛躍的な上昇を目指し、およそ5年間(1996年3月まで)に総体として15%とすることを目標とし、1996年3月末現在15.5%とその目標を達成した。

その後、1996年5月に、男女共同参画推進本部は、国際的な目標である30%をおよそ10年程度の間に達成するように引き続き努力を傾注するものとし、当面、2000年度末までのできるだけ早い時期に20%を達成するよう鋭意努めるものとする新たな目標を決定した。また、団体推薦による女性委員が少ないという現状を改善するべく、1997年12月には、審議会等に委員を推薦している約330の団体・機関等に対し、内閣官房長官・男女共同参画担当大臣より協力を要請するなど、その目標達成に向けて努力しているところである。1998年9月末現在の女性委員の割合は、18.3%となっている。

b)地方公共団体における審議会等委員への女性の参画の促進

地方公共団体の政策決定は、一人一人の住民の生活に大きな影響を与えることから、国と同様に政策・方針決定過程への女性の参画が望まれる。そのため、都道府県、政令指定都市、中核市を対象に「女性の政策決定参画状況に関する調査」を実施し、その結果を取りまとめて提供するなど、地方公共団体における取組を支援している。またその結果として、都道府県、政令指定都市、中核市においては、それぞれ審議会における女性委員の割合の数値目標を設け、その目標達成に向けて努力しているところである。

c)農山漁村地域における女性の政策・方針決定過程への参画

農山漁村地域において、女性が対等なパートナーとして男性とともに参画していくことのできる社会を実現するためには、地域の生産・生活に関するあらゆる方針決定の場において、女性の参画を高めていく必要がある。このため、各県毎に農業協同組合の役員や農業委員等における女性の割合等の指標・目標の策定及びその達成度合いの調査等を実施する「農業・農村パートナーシップ推進事業」等を行っている。

2)国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進

a)国際機関への女性の参画の促進

国連事務局における専門的な業務に携わる日本人職員に占める女性の比率も上昇しており、1978年6月末には12.2%であったが、1997年6月末には54.8%に達した。

国連を含む主な国際機関において、専門的な業務に携わる日本人の女性職員の数は1975年には19人であったが、1997年には271人となっており、大幅に増加している。うち、現在活躍している幹部職員としては国連難民高等弁務官等が挙げられ、今後とも女性の国際機関への進出が期待される。

なお、外務省では、国際機関人事センターにおいて、国際機関の空席情報・募集情報の提供、及び応募者へのアドバイス等に努めている。

さらに、国際機関人事センターでは将来国際公務員として働くことを希望する若い人々を外務省予算により一定期間、各国際機関で勤務させ、いわば実地研修の機会を設けるアソシエートエキスパート(準専門家)等派遣制度を実施している。

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