第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

10 女性とメディア

(1) 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援

1)メディアにおける人権尊重、性・暴力表現を望まない者からの隔離等に関する方策の推進

性・暴力表現は、特に青少年の健全育成に悪影響を与えることから、全国46都道府県において制定されている青少年保護育成条例により、性・暴力表現を含む書籍やビデオ等が「有害図書類」として指定され、青少年への販売等について罰則を含んだ規定がある。政府、地方公共団体においては、有害図書類として指定された 図書類については、地域住民等と協力して関係業界に対し条例に定められた区分陳列等の措置の徹底を要請しており、その自主的措置の促進を図っているほか、悪質な業者に対する取締りを行っている。また、これらの対策の一層の推進に資するために、その実態や諸外国における取組の動向等について調査研究を行っている。

さらに、青少年と放送の在り方についての基本的態度、施策の方向性について検討するため、1998年5月から12月に開催された「青少年と放送に関する調査研究会」の報告書では、青少年向け放送番組の充実、メディア・リテラシーの向上、青少年と放送に関する調査等の充実、放送時間帯の配慮、番組に関する情報提供の充実等について提言が出された。現在、これらの提言内容の具体化のため、郵政省と放送事業者が共同で「青少年と放送に関する専門家会合」を開催し、1999年6月に具体的導入方策について取りまとめを行う予定であり、今後とも視聴者政策に関する施策について検討を進めていく。

2)インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討

警察では、インターネット等新たなメディアにおけるわいせつ情報、性の商品化について、刑法第175条等現行法令の適用による取締りを強化している。また、風営適正化法が1998年に改正され、インターネット等を通じてポルノ映像を客に伝達する国内の営業者について、公安委員会に対する届出が義務付けられ、18歳未満の年少者を客とすることが禁止されたほか、インターネット接続業者等が、そのサーバ・コンピュータにわいせつな映像が記録されたことを知ったときの措置について新たに規定が設けられた。

また、警察庁の調査委員会においては、1998年10月、インターネット等ネットワーク上の有害な情報から少年を保護するための総合的な対策の在り方について、「ネットワーク上の少年に有害な環境に関する調査委員会報告書」が取りまとめられた。

1995年9月から1996年12月に開催された郵政省の「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」の報告書では、テレビ放送が青少年等に与える影響及びその対策について、自動的に視聴を行わないようにする機能(ペアレンタルロック機能)が有益なものと報告している。

1996年6月に開始されたCSデジタル放送においては、ペアレン

タルロック機能のサービスが自主的に導入され、1999年2月現在17社がその提供を行っている。

CSデジタル放送では、成人向け番組の放送を行う事業者が、倫理に関するガイドラインを自主的に策定し、その規定・基準を守ることを目的としたCS放送成人番組倫理委員会を1996年9月に設立した。

インターネットについては、インターネット上の情報流通ルールの在り方について検討するため、郵政省が研究会を開催し、1997年12月「インターネット上の情報流通ルール」報告書を公表した。本報告書では、違法な情報発信に対する現行法の適用やプロバイダーによる自主的対応等、インターネット上の違法・有害情報の流通に関するルールの在り方について、提言されており、本提言を受け、インターネット・プロバイダーを含む通信事業者の団体である社団法人テレコムサービス協会が、郵政省の支援のもと、1998年2月に「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」を公表した。

また、通商産業省の関連団体である電子ネットワーク協議会では、1996年2月に電子ネットワークを活用する上で倫理的観点から必要とされるガイドラインとして、「電子ネットワーク運営における倫理綱領」及び「パソコン通信を利用する方へのルール&マナー集」を作成し公表しており、現在、昨今の急激なインターネットの利用に適した内容とすべく改訂作業を実施しているところであり、通商産業省においても民間の自主的な取組を支援している。

(2) 公的機関の策定する広報・出版物等における性にとらわれない表現の促進

男女共同参画2000年プランにおいては、男女共同参画の視点から、公的機関の策定する広報・出版物が遵守すべきガイドラインを策定することとしている。既に一部の地方公共団体においてはこのようなガイドラインが策定されている。

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