国連婦人の地位委員会合意結論

合意結論 女性、女児及びヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)

  1. 女性は、自国の社会経済発展において重要な役割を果たしている。2000年末現在、3,610万人がHIV/AIDSに感染しており、そのうちの95%が開発途上国の人々であり、1,640 万人が女性であることは、深く憂慮されることである。女性のHIV感染者の割合は、増加し続けており、サハラ以南のアフリカでは、成人のHIV感染者の55%を女性が占め、また ティーンエージャーの少女の感染率は、少年の5,6倍に及ぶ。
  2. HIV/AIDSの更なる蔓延を防止するには、普遍的であり、不可分かつ相互に依存し、相互に関連し合う、開発/発展の権利を含めた、市民的、文化的、経済的、政治的及び社 会的なすべての人権を女性及び女児が完全に享有できることが、極めて重要である。とりわけ開発途上国においては、女性と女児の大多数は、特に教育、達成可能な最高水準 の心身の健康及び社会保障に対する権利を十分に享受していない。これらの不平等は、生涯の早い時期から始まり、セクシュアル及びリプロダクティブ・ヘルスの分野で女性や 女児をより弱い立場に追い込み、よって女性や女児のHIV感染のリスクと脆弱性を高め、女性や女児はHIV/AIDSの蔓延がもたらす影響にとりわけ苦しめられている。
  3. 家庭、地域、社会において女性を従属的な立場に追いやっている貧困、否定的で有害な伝統的習慣的慣行から、女性はHIV/STI(性感染症)に対しなおさら弱い立場にある。 何百万という女性や女児が、性感染症やHIV/AIDSの場合を含め、一般に、保健医療、薬物治療、社会的支援を受ける機会に欠けていたり、あるいは十分な機会を与えられてい ない。
  4. 婦人の地位委員会は、以下の文書において取り上げられているように、女性、女児及びHIV/AIDSに関する勧告を考慮してきた: 北京行動綱領*1、国際人口開発会議行動計 画*2、コペンハーゲン行動計画*3、第21回、23回、24回国連特別総会成果文書*4、国連ミレニアム宣言*5、婦人の地位委員会の女性と健康に関する合意結論*6、その決議44/2。
    • *1 第4回世界女性会議(北京、1995年9月4-15日)報告書を参照(国連刊行物、販売番号E.96.IV.13)第I章、決議I、付属文書II。
    • *2 国際人口開発会議(カイロ、1994年9月5-13日)報告書を参照(国連刊行物、販売番号E.95.XIII.18)第I章、決議I、付属文書。
    • *3 世界社会開発サミット(コペンハーゲン、1995年3月6-12日)報告書を参照(国連刊行物、販売番号E.96.IV.8)第I章、決議I、付属文書II。
    • *4 総会決議1997月2日S-21/2、2000年6月10日S-23/2、及び2000年7月1日S-24/2を参照。
    • *5 総会決議55/2。
    • *6 ECOSOC決議1999/17。
  5. 委員会は、パラグラフ4に言及されている文書に記載されている国際的に合意された目標を想起し、国連エイズ特別総会の成果文書が、新たな目標に、また既存の目標を達成 するために必要とされる重点行動にジェンダーの視点を組み入れることを含め、ジェンダーの視点を完全に統合するよう提言する。
  6. 委員会は、2001年4月にナイジェリアのアブジャで開催されたOAU(アフリカ統一機構)エイズ特別サミットにおいて採択されたHIV/AIDS、結核及びその他関連感染症に関す るアブジャ宣言、とりわけそのジェンダーの側面を歓迎する。
  7. 委員会は、能力開発プログラムや、女性に開発資源へのアクセスを提供し、HIV/AIDSに冒された女性にケアや支援を送っている女性ネットワークを強化するプログラムを通じ て女性のエンパワーメントに努めている国連合同エイズ計画及びその共同スポンサー、二国間及び多国間援助機関、政府機関、政府間組織及びNGOの様々な努力を高く評価 し、注目する。
  8. 女性のエンパワーメントと地位向上並びにとりわけHIV/AIDSをはじめとする性感染症の予防、研究、看護及び治療について、最高レベルの政治的コミットメントを確保しなけれ ばならない。
  9. とりわけ新たな目標並びにパラグラフ4に言及された文書に記載されている女性、女児及びHIV/AIDSに関連する国際的に合意された目標を達成するために必要とされる行動 へのジェンダーの視点の完全なる統合を含め、国連エイズ特別総会の準備過程及び成果文書にジェンダーの視点を完全に組み込むことが重要である。
  10. パラグラフ4において言及された会議及び文書の戦略的目標、とりわけ女性、女児及びHIV/AIDSに関連する目標の実施を促進するために、委員会は、以下の行動をとるこ とを勧告する。

政府、国連システム並びに適当な場合には市民社会がとるべき行動

  1. 女性のエンパワーメント
    • (a) とりわけ開発途上国におけるHIV/AIDSの急速な蔓延は、女性に深刻な影響を及ぼしている。とりわけ、多くの場合女性が安全で責任ある性行為を主張する権限を持たない ような男女間の不平等な勢力関係、並びに女性の健康上のニーズに関する男女間のコミュニケーションや理解の不足は、特に女性のHIV/AIDSを含む性感染症への罹患性を 増大することによって、女性の健康を危険にさらしている。
    • (b) この防止には、責任ある行動と男女平等が重要な前提条件のひとつとなる。
    • (c) 女性と女児がHIV/AIDSの影響を過大に受けていることに留意し、女性のエンパワーメントを促進し、これに関連して女性の地位向上とエンパワーメント及び女性の発展に 対する権利を含むあらゆる人権の享受をさらに一層促進する努力において、北京行動綱領のパラグラフ94、95及び96に定義されているすべての年齢の女性のセクシャル・ヘル ス及びリプロダクティブ・ライツが、不可欠な部分となることを確保する。また、女性がHIV/AIDSを含む性感染症への感染を引き起こす危険性の高い無責任な行動から自分を守 るために自らのセクシュアリティに関する事柄を管理して、自由にかつ責任をもって決定を行い、女性及び思春期の女性がHIV感染から自分を守る能力を増大する上で極めて重 要な健康に関する情報や教育及び保健医療サービスへのアクセスを有するように、女性のエンパワーメントを図る。
    • (d) 女性がHIV/AIDSへの感染から自らを守り、HIV/AIDSの悪影響により効果的に対処できるように女性のエンパワーメントを図るために、国内及び国際政策の重点を貧困 撲滅に置く。
    • (e) 女性は、食料供給者や従来から介護者としての役割を果たす中で、労働力の減少や社会サービス制度の崩壊などHIV/AIDSがもたらす悪影響を主に被ることになる。その ような女性にHIV/AIDSが及ぼす社会的及び経済的影響を緩和する。
    • (f) HIV/AIDSをはじめとする性感染症に感染し、冒されている女性及び女児が保健、教育及び社会サービスを享受し、あらゆる形態の差別、恥辱、虐待及び軽視から保護され る平等の権利を再確認する。
    • (g) HIVをはじめとする性感染症/HIVに感染しやすい状況を改善する手段として、教育、技能訓練及び雇用機会への平等のアクセスを享受する女児や女性の人権も再確認す る。
    • (h) 各国政府に対し、女性のエンパワーメントを図り、女性の経済的自立を強化するために必要なあらゆる施策を講じ、女性と女児がHIVをはじめとする性感染症から自分をより よく守ることができるようにあらゆる人権と基本的自由の完全なる享有を保護し、推進することを強く求める。
    • (i) HIV/AIDSの予防と介護サービスを最低限の基本的保健医療対策に組み入れることを含め、ジェンダーに配慮した経済的、法的及び社会的サービスやプログラムを通じて、 紛争下も含め、女性と女児がHIV/AIDSに感染するリスク、脆弱さ及び被る影響に対処し、それらを軽減する。
    • (j) とりわけ法律の制定・実施並びに女性や女児に対する暴力根絶のための公共キャンペーンを通じて、HIV/AIDSの蔓延を一層促進する状況を悪化させる有害な伝統的習慣 的慣行、虐待やレイプ、殴打及び女性や女児のトラフィッキングを含む女性や女児に対するあらゆる形態の暴力を根絶するための具体的な措置を強化する。
    • (k) 差別的条項を排除するために法律の制定や見直しを行うなどをはじめとし、HIV/AIDS感染者患者のためにあらゆる人権、思いやり及び支援を促進する環境を整えるため の施策を講じ、とりわけ女性や女児をはじめとするHIV/AIDS感染者患者の権利を守るとともに弱者が守秘を保障された適切なカウンセリング・サービスを任意に受ける機会を享 受できるように図る法制度を整備し、差別や非難を緩和する努力を奨励する。
    • (l) 男女平等を特に重視して、とりわけ男女別及び年齢別のデータや統計を考慮に入れ、国、地域及び国際的なHIV/AIDSプログラムや戦略にジェンダーの視点をさらに強化 し、完全に組み入れる。
    • (m) HIV/AIDSに対する女性の弱い立場を改善するために、婚姻しているかいないかを問わず、土地、財産権及び相続権を含む経済的資源への女性の平等なアクセス及び管 理を促進、実現するための施策を講じる。
    • (n) 疎外されたグループの者を含め、女性や女児がHIV/AIDSに感染するリスクや脆弱さを軽減し、HIV/AIDS感染者への影響を緩和するために、これらの女性や女児に質の 高い教育、識字プログラム、保健医療サービス、社会サービス、技能訓練及び雇用機会への平等なアクセスを提供し、女性のネットワークの能力開発及び強化を支援し、女性や 女児を人種差別、恥辱、虐待及び軽視などを含むあらゆる形態の差別から保護する。
  2. 予防
    • (a) 各国政府、関連国連機関、基金及び計画、政府間組織並びにNGOは、個々にまた共同で、HIV/AIDS対策を開発課題の優先事項に据え、とりわけ女性、女児及び乳幼児を 含むもっとも弱い立場にある人々のために、母子感染の予防も考慮に入れ、多部門にわたる分権化した効果的な予防戦略やプログラムを実施するよう、努力するべきである。
    • (b) 各国政府は、関連国連機関、基金及び計画の援助を得て、女性や女児の文化的背景や感性に適合したニーズや、ライフサイクルにおける特定のニーズに明確に沿って企 画した広報活動や生活能力に関連する教育プログラムを備えた時宜にあった一貫性のある包括的な長期エイズ予防政策を採用しなければならない。
    • (c) 女性、とりわけ若い女性は、社会的、生理的及び生物学的に男性よりも性感染症にかかりやすいことを考慮し、若い女性を含めた女性がHIV/AIDSに感染するのを予防する ための最良の実践例やプログラムを見極める努力を強化する。
    • (d) HIV/AIDSに感染し、冒されている女性や女児に対し予防、看護及び支援を提供することを目的としたプログラムに、とりわけ家族を基盤とするアプローチを取り込むための 施策を講じる。また、HIV/AIDSに感染し、冒されている女性や女児に対し予防、看護及び支援を提供することを目的とした政策やプログラムに、地域社会を基盤とするアプローチ を取り込むための施策を講じる。
    • (e) 文化やジェンダーに配慮した枠組みの中で、また思春期や十代後半の青少年にとりわけ重点を置き、正確で総合的な情報、リプロダクティブ・ヘルスに関する予防教育、及 び任意の検査やカウンセリング・サービスを享受する平等で差別のないアクセスを確保する。
    • (f) 国連合同エイズ計画及びその共同スポンサーに対し、文化やジェンダーに配慮した枠組みの中で、若者に完璧で正確なセクシュアル及びリプロダクティブ・ヘルスに関する 教育を提供するとともに、とりわけ初体験の年齢を上げ、コンドームを使用するように奨励する努力を引き続き行うよう要請し、これに関連して、HIV/AIDSを含む性感染症のパー トナーへの感染を予防する上で男性や男児が果たすべき役割と責任について男性や男児の教育を行うことにより多くの注意を払うことを強く求める。
    • (g) 男女関係において男女平等を促進し、また、性的関係において情報に基づいた責任ある安全な性行動と慣行、相互尊重及び男女平等を促進するために情報や資源を提供 する。
    • (h) あらゆる形態のメディアに対し、HIV/AIDSの問題に取り組む上で、差別のない、ジェンダーに配慮したイメージや、非暴力及びあらゆる人権、とりわけ女性の権利の尊重の 文化を促進するよう促す。
    • (i) HIVやAIDSに関連した固定的な性別役割分担意識や態度及び男女不平等に取り組む上で、とりわけ対象を青年に限定した青年主導のHIV教育プロジェクトやピアグループ (仲間集団)を中心とするプログラムを通じて、男性や男児の積極的関与を奨励するとともに、予防、影響緩和及び介護への男性や男児の全面的参加を促す。男性が安全で責任 ある性と生殖に関する行動をとり、望まない妊娠やHIV/AIDSなどの性感染症を予防する方法を効果的に取り入れることを奨励し、それを可能とするようなプログラムを立案、実 施する。
    • (j) とりわけ感染被害の大きい国において、あらゆる年齢の女性をHIVその他の性感染症から保護するための教育、サービス、地域動員及び情報戦略への取り組みを進める。そのために性感染症やHIV/AIDSを予防する殺菌剤や女性用コンドームなど、安全かつ廉価で、効果があり、簡単に入手できるような女性がコントロールする方法の開発、任意かつ守秘が保障されたHIV検査やカウンセリングの実施、性的抑制やコンドームの使用を含む責任ある性行動の奨励などの措置をとる。
    • (k) 予防に向けた努力の支援に役立つ、利用しやすい持続可能で効率的な基礎的保健医療(プライマリー・ヘルスケア)制度を強化する。
    • (l) 例えば、介護へのアクセスを確保し、手頃な料金でより質の高い薬や診断法、とりわけ抗レトロウイルス治療を受けられるようにすることなどにより、また母乳哺育の問題に特 に注意を払って、既存の努力を強化することなどにより、インフォームド・コンセントや、任意かつ守秘が保障されたHIV検査やカウンセリング及び治療を基盤に、特に母子感染や レイプ被害者に関して、HIVの予防に特別の注意を払うべきである。
    • (m) あらゆるレベルの学校、その他教育機関並びにノンフォーマル教育制度が、HIVへの感染を予防し、また、いかなる形態の暴力もない、思いやりや寛容を促進する環境を整 備することによって非難や差別を防止し、それらと闘う上で、主導的な役割を演じるとともに、責任ある性行動や慣行、生活能力及び行動変革に関する教育を含め、ジェンダーに 配慮した教育を提供することを確保するよう努力する。
    • (n) 男性と女性の関係に悪影響を及ぼしている習慣的伝統的慣習を特定し、女性や女児をHIV/AIDSに感染しやすい立場に追い込んでいるそのような慣習を廃絶するために、 伝統、地域社会及び宗教の指導者を含む市民社会と協力する。
  3. 治療、看護及び支援
    • (a) 各国政府に対し、日和見感染性疾患の治療を含め、とりわけHIV/AIDSに冒された女性や女児を対象に、男女を問わず誰もが、生涯を通じて、教育、清潔な水、安全衛生設 備、栄養、食料の安定供給、健康教育計画など、保健医療関係の社会サービスを平等に利用できるようにすることを要請する。
    • (b) 各国政府に対し、情報へのアクセス、プライバシー、秘密保持、尊厳及びインフォームド・コンセントに対する児童の権利並びに親及び法定保護者の責任、権利及び義務を考慮し、抗レトロウイルス治療、日和見感染症の治療、栄養補給、並びにセクシャル及びリプロダクティブ・ヘルスや任意かつ守秘が保障されたカウンセリングを含む保健医療 サービスを迅速に利用できる平等で差別のない十分な機会を提供するなど、HIV/AIDSに感染した女性や女児に総合的な保健医療を提供するよう努力することを要請する。
    • (c) HIV/AIDS感染者、とりわけ女性や女児に対し看護や支援を行うに当たっては、地域社会レベルや国レベルを対象に、医学的、社会的、心理的、精神的及び経済的ニーズに 対応する包括的なアプローチを取り入れるべきである。
    • (d) HIV/AIDSに感染し、冒されている女性や女児、とりわけ孤児や寡婦、並びにHIV/AIDS感染者の主たる介護者でもある女児や高齢の女性が直面する難題に取り組む上で 必要な環境や条件を整備し、彼らに必要な経済的及び心理社会的支援を提供し、所得創出プログラムやその他の方法を通じて彼らの経済的独立を促すための努力を強化するために、関連国連機関、基金及び計画、政府間組織並びにNGOに援助を要請し、共同で取り組む。これらの女性や女児は皆、経済的搾取及び性的搾取の影響をとりわけ受けやすい。
    • (e) AIDSによって孤児となった児童、とりわけ性的搾取の被害を受けやすい女児の深刻化する問題に対処する特別プログラムの実施に対し、支援を行う。
  4. 地域及び国際協力を推進するための環境整備
    • (a) 国際社会、国連システムの関連機関、基金及び計画、政府間組織及びNGOに対し、値段の手頃な抗レトロウイルス薬、診断法、及び結核その他の日和見感染症の治療薬 の提供、サービスの信頼できる提供システムを含む保健システムの強化、商標登録されていない薬に関する強力な政策の実施、一括購入、製薬会社との価格引き下げ交渉、適 切な資金調達システム、並びに特にアフリカの中でHIV/AIDSの被害がもっとも深刻な地域及びHIV/AIDSの蔓延が国家開発がもたらす利益を妨げている地域における国内法 及び国際協定に従った現地生産と輸入慣行の奨励などを目指す努力をはじめ、とりわけ女性や女児のための各国のエイズ対策に対する支援を強化するよう、要求する。
    • (b) HIV感染の蔓延の主たる原因であり、とりわけ女性や女児に対するHIV/AIDSの影響を増大し、家族の資源や収入を枯渇させ、現在から将来にわたる世代を存亡の危機に 陥らせている貧困の撲滅のために、施策を講じる。
    • (c) 後発開発途上国を含む開発途上国が、とりわけ女性や女児を対象とした保健医療サービスの提供とHIV/AIDSの予防プログラムの実施を促進することによって、女性の地 位向上を含む開発を目的としたプログラムやプロジェクトの資金を調達するのを手助けするために、特にODAの債務帳消しの選択肢も含めた債務救済策を通じて、開発途上国の 対外債務及び債務返済問題に対しジェンダーの視点を組み入れた開発志向型の永続性のある解決策を見出し、実行する。これに関連して、ケルン債務削減イニシアティブ、特に 拡大HIPC(重債務貧困国)イニシアティブの早期実施を歓迎する。並びに、各国政府に対し、その実施のために十分な資金を手当すると共に、これにより節減となった資金は、HIV /AIDSに感染し、冒された女性や女児の予防、看護及び支援に取り組む、ジェンダーに配慮した貧困削減プログラムの支援に使われるものとするという規定を実施するよう、奨 励する。
    • (d) エイズに感染したすべての人々、とりわけ女性や女児に質の高い治療と看護を手頃な料金で提供する上で、HIV/AIDSの蔓延をくい止めるためのジェンダーに配慮した政策 やプログラムの実施に向けた開発援助や十分な追加資金を含め、国際協力、地域協力及び南々協力を確保する。
    • (e) 国連合同エイズ計画及びその共同スポンサー、二国間及び多国間援助機関、政府間組織及びNGOに対し、女性のエンパワーメントとHIV感染の防止に対する支援を強化 し、とりわけ「アフリカのエイズと闘うための国際パートナーシップ」を通じて、特にアフリカの女性や女児の実状に緊急かつ優先的に注意を払うよう奨励する。
    • (f) 女性や女児のニーズに重点を置いて、HIVワクチン、性感染症用の殺菌剤やその他女性がコントロールする方法、より簡便で廉価な診断用検査および単回投与の治療薬、 日和見感染症や性感染症用を含む質の高い廉価な複合薬、並びにHIV/AIDS新薬などの開発研究に対する投資を増大する。
    • (g) もっとも深刻な被害に遭っている地域において、ジェンダーに重点を置き、HIV/AIDSのワクチン及び治療の分野に取り組んでいる、とりわけ国レベルの研究開発センターを 支援・援助し、この分野において国の能力開発及び強化に努める各国政府の努力を支援する。
    • (h) 平和維持担当職員を含む国連職員はもとより、法執行機関、刑務所、医療機関及び司法当局の担当官が、静脈注射による薬物使用者、女性の被収容者や孤児を含む脅 迫・虐待を受けた女性や子供のHIV/AIDS感染者のニーズにより敏感に対応できるようにするため、訓練プログラムを開発、実施するとともに既存のプログラムを強化する。
    • (i) 紛争、紛争後、平和維持のあらゆる状況並びに緊急事態や自然災害への即時復興対策において、HIV/AIDSに関連する女児や女性のニーズに対処するよう図る。
    • (j) HIV/AIDSに感染している女性の物質乱用者に対し、ジェンダーに配慮した予防及び治療サービスを提供する。
    • (k) HIV/AIDS感染者のネットワーク、及びHIV/AIDSプログラムの実施に携わるNGOや地域で活動する市民団体に対し、技術及び財政支援を行い、それら団体の運動の強化 を図る。
    • (l) HIV/AIDSに対して女性や女児をますます弱い立場に追い込む貧困、栄養不良、低開発などの要因を考慮に入れて、バランスのとれたアプローチでHIV/AIDSに冒された女性や女児の予防及び治療や支援も含めた総合的なケアに取り組む。
    • (m) 関連国連機関に対し、性感染症及びHIV/AIDSの抑制に関する進捗状況についてのフォローアップや評価に、ジェンダーの視点を組み込むよう、強く求める。
    • (n) 予防推進とケアへのアクセスの改善に貢献したUNAIDS(国連合同エイズ計画)の啓発活動を高く評価し、各国政府及び国際社会に対し、HIV/AIDSに感染している女性や 女児がHIV/AIDS関連薬と診断法を手頃な値段で容易にかつ持続的に入手できるようにこれらの薬と診断法の市場価格を引き下げるよう、多国籍製薬会社と交渉を始めるよう に、引き続き政策提言し、ロビー活動を行い、政府に奨励することを強く要求する。
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