重大問題領域に関する合意結論等

重大問題領域に関する合意結論

(総理府仮訳)

婦人の地位委員会は、

「北京行動綱領」、特に「女性と武力紛争」に関する第IV章E項を再確認する。

第IV章E項の戦略目標の実施を促進するために、女性の人権、女性に対する暴力及び女児に関する本委員会の結論を考慮に入れつつ、以下の事項を提案する。

A.ジェンダーに配慮した司法の確保

政府が取るべき行動

  • 国内の法制度が武力紛争の犠牲者に対してジェンダーに配慮した利用しやすい救済手段を提供するよう保障すること。
  • 武力紛争における女性と少女の保護のためのものを含む国際法及び国内法の起草と解釈への、ジェンダーに配慮した視点の組み込みを確保すること。
  • その法規と機能にジェンダーの視点を組み込んで、ジェンダーに配慮した法規の解釈と適用ができる国際刑事裁判所を設立するための取組みを支援すること。
  • 女性団体及び非政府機関を含む一般国民に、戦争犯罪特別法廷、人権条約機関及びその他の関係機構にアクセスするための管轄区及び手続きに関する情報を地方言語で提供・普及すること。この情報は、国連システム及び非政府機関と協力して広範かつ積極的に普及すべきである。
  • 国際人権法及び国際人道法並びに国内法の適用可能な原則の厳守を通じて、武力紛争下における子ども、特に女児を紛争参加、徴兵、レイプ及び性的搾取から守ること。
  • 公平な地理的配分に十分に配慮しつつ、国際法委員会、戦争犯罪特別法廷及び人権機関を含むすべての関係国際機関において常にジェンダー・バランスを図りジェンダー関連の専門知識を促進すること。
  • 武力紛争の影響を被ったすべての女性と少女の関心問題を取り扱い対象に含めることを確保するために、現行の法定義と法基準を見直してその修正を検討するとともに、武力紛争におけるレイプ、組織的レイプ及び性的奴隷化は戦争犯罪となることを特に再確認すること。
  • 紛争状況において性暴力犯罪が犯されたときは、国連及び国際平和維持及び人道活動人員である場合を含むすべての加害者の訴追を確保すること。

B.武力紛争の影響を被った女性の特有のニーズ

政府及び国際機関が取るべき行動

  • 外国の占領下における女性の人権侵害に関する情報を収集及び提供し、これらの女性の人権の完全な享受を確保するための措置を講じること。
  • すべての女性の健康に対する武力紛争の影響を考慮し、障害を持つ女性の健康ニーズ及び性的虐待に起因するトラウマや権利侵害の影響から生じる精神的ニーズを含む、すべての女性の全領域にわたる健康ニーズに対処するための施策を導入すること。
  • 難民女性及び避難民の特有のニーズと関心問題に対処するとともに、関係機関に対して難民女性の特有のニーズと関心問題に対処するための適切な訓練を確保すること。難民女性は、適切なキャンプ施設設計と場所及び十分な職員手当をはじめとする特別な保護を受けるべきである。
  • 紛争終結後の状況におけるリハビリテーション政策の立案に女性を全面的に関与させることの重要性を認識し、女性が世帯主である家庭及び夫を亡くした妻の社会的・経済的状況を含む家庭経済を援助するための措置を講じること。
  • とりわけ自国または生地へ帰還する権利へのアクセスを十分に提供し増進することを通じて、すべての難民及び国内避難民女性及び少女の身体的な無事・安全を確保し、キャンプの管理責任を有する委員会への参画を女性に確保し、国連難民高等弁務官の難民女性の保護に関する1995年の指針に従ったキャンプを確保すること。ジェンダーに配慮した法的サービス、社会サービス及び医療サービスをキャンプ内に整備すること。難民及び避難民女性及び少女がこれらのキャンプに在住中、このようなプログラムの開発と実施に当たって彼女たちの才能と能力を全面的に組み入れること。
  • 性暴力の被害難民とその家族に、文化面の配慮をしたカウンセリングを含む十分な医療と心理社会的なケアを提供するとともに、秘密保持を確保すること。
  • 経済制裁が女性と子どもに与えるどのような悪影響をも軽減するために、国際法に従った措置を取ること。
  • ジェンダー関連の迫害を理由に保護を申請する女性にまで保護対象を広げるために、適当な場合、国の移住・庇護政策、規定及び慣行の主流にジェンダーの視点を置くこと。
  • 適当な場合には非政府機関を通じて行うことを含め、紛争及び紛争終結後の状況におけるすべての女性及び少女に支援を提供し強化すること。難民の女性と男性は、キャンプにおける物資とサービスの管理及び配分に平等の権利を有しなければならない。
  • 特に集団虐殺及び戦争の戦略としての民族浄化並びにその結果としての、戦争状況下における女性への組織なものを含むレイプなど大規模な人権侵害を糾弾し、これに直ちに終止符を打つこと。
  • リハビリテーションセンターに対し、避難民及び難民の知識や職業の活用の確保を奨励すること。
  • 危機及び武力紛争への人道的対応と紛争終結後の復興活動の主流にジェンダーの視点を置くこと。

C.平和維持、紛争前及び紛争後の意思決定、紛争予防、紛争後の決定及び復興への女性の参画の増進

政府並びに国際及び地域政府間機関が取るべき行動

  • アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の施策を通じることなどにより、意思決定及び紛争予防における女性の参画とリーダーシップを増進すること。
  • ジェンダー分析の実施や現地ミッションのあらゆるレベル、特に上級または高級レベルポストへの女性のより多い参画の奨励などにより、平和促進活動及び人道・平和建設政策の主流にジェンダーの視点を置き、及び、適用できる場合は公平な地理的配分を基礎として、適当な政策の監視及び見直しを行うこと。
  • 早期警告を含む紛争予防及び平和建設の点から、特に草の根レベルの女性の非政府機関を認め支援すること。
  • 「女性と平和に関するカンパラ行動計画」及び「北京会議後のフォローアップの平和とジェンダーと開発に関するキガリ宣言と紛争の影響を受ける地域の行動計画」に留意し、適当な場合には、進捗状況の評価と実施促進のための会議を召集すること。
  • 地域調査訓練機関は、紛争解決における女性の役割に関する調査を実施し、政策と行動計画を特定及び分析すべきである。
  • 公平な地理的配分を基礎としてジェンダー・バランスを達成するために、司法、検察、その他あらゆる関係国際機関のポストに適した資格を有する女性候補者の増加を促進する仕組みを創設すること。
  • 公平な地理的配分の原則に十分に配慮しつつ、より多くの女性を紛争解決の際の特別代表に指名及び任命すること。
  • 二国間の予防外交の取組み及び国連憲章に則って国連が行うそれにおける女性の役割を高めること。
  • 人道ミッション及び平和維持活動に携わる軍人・民間人双方に、ジェンダーへの感受性を養成するための明確な訓練を確保すること。
  • 平和維持活動への女性の参画を増進するための革新的な戦略を開発及び実施するとともに、事務総長に対し、適当な場合には専門家グループ会議に基づいて、その実効性を平和維持活動に関する事務総長報告の中で分析するよう要請すること。
  • 二国間及び多国間平和建設協議及び社会開発の促進の主流にジェンダーの視点を置くこと。

D.紛争の予防と平和の文化の促進

政府、国際社会、及び適当な場合には市民社会が取るべき行動

  • 外交政策の主流にジェンダーの視点を置き、それに応じて政策を調整すること。
  • 平和を目指す女性のネットワークの設立を支援すること。
  • 影響を被った国の住民、特に女性と子どもによる経済的・社会的開発の完全な達成を阻み、女性と子どもの安寧を妨げ、その人権の完全な享受に対する障害を生み出す、国際法及び国連憲章に則らない、一方の側だけのいかなる措置についても、その採用に反対すること、及びその措置を差し控えること。
  • 教員研修を含む教育が平和、人権の尊重とジェンダーに対する感受性、並びに文化的及び宗教的多様性や社会的多元性をはじめとした多様性に対する寛容を促進するよう保障すること。
  • 関連国際人道法の理念とジェンダーの視点に立ったその解釈を国内法制度に組み込むこと。
  • 紛争解決と人権、論争の平和的解決のための交渉、平和の文化や女性の開発と人権の促進におけるジェンダーの視点の重要性などに関するプログラム、セミナー及びワークショップへの若者の参加を奨励し支援すること。
  • 人権とジェンダーに対する感受性について国際平和維持軍を訓練する現行の取組みを強化し、訓練者に民間人、女性、及びジェンダー問題専門家を加えることを確保しつつ、行動規範及び女性に対する暴力の防止に関する訓練を提供し、この訓練の効果を監視すること。
  • 適当な場合、マスメディア、音放送及び映像放送を通じることなどにより、平和の文化と武力紛争の平和的解決を増進すること。
  • 国連平和維持活動従事者の訓練教材の作成には、国連難民高等弁務官、国連人権高等弁務官、婦人の地位向上部、国連婦人開発基金及び国連児童基金の専門知識に頼り、これを利用すること。
  • 紛争予防のために引き続き資源を国際的及び国内的に利用できるようにするとともに、紛争予防戦略の作成及び実施への女性の参画を確保すること。
  • 女性の地位向上のためのナショナル・マシーナリー(国内本部機構)及び非政府機関が行う仕事を認め支援するとともに、主要省庁の閣僚クラス及び集団的平和・安全保障に関わる事項に関する政策を策定またはそれに影響を与える国際機関における女性のクリティカル・マス(決定的多数)の達成を促進するために必要な行動の動員に向けて努力すること。

国連が取るべき行動

  • 紛争予防と平和建設のための努力について、平和に関する分野の非政府機関のきわめて重要な仕事を認め、かつ支援すること。
  • 女性がその社会における平和の文化の開発に果たすべき重要な役割について、地域社会の指導者と女性の感受性を養うためのプログラム及びセミナーを組織すること。

E.軍縮措置、不法な武器取引、地雷及び小型兵器

政府が取るべき行動

  • 地雷がもたらす女性と子どもの苦しみを軽減するために、対人地雷の廃絶という目標に向かって努力すること。これについては、「対人地雷の使用、貯蔵、製造及び移転の禁止と廃棄に関する条約」の締結とこれに加入する国によるその実施に十分に留意すること。
  • 武力紛争状況における女性と子どもの苦しみを軽減するために、小型兵器の不法な取引、売買及び移転の禁止、及び過剰生産の抑制のための国際政策を策定する国際的取組みに参加すること。
  • 地雷に対する意識啓発キャンペーンまたは講習を地域社会及び地域指導者と緊密に協力して提供し、地雷に苦しむ地域の女性と子どもに利用できるように公式・非公式に手配するとともに、地雷除去のための資源と支援を提供し、また、安全な地雷除去に地元住民が効果的に従事できるよう技術と情報を共有すること。
  • 対人地雷の被害を受けた女性のリハビリテーションと社会統合のためのプログラム、並びに地雷除去活動及び地雷に対する意識啓発活動を支援すること。
  • 適当な場合には平和運動における女性の役割を奨励して、あらゆる種類の大量破壊兵器の軍縮を含む、厳格かつ有効な国際的管理の下における全般的で完全な軍縮に向け努力すること。
  • 侵略及びあらゆる形態の武力紛争の予防と終結に努め、それによって平和の文化を促進すること。
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