重大問題領域に関する合意結論

重大問題領域に関する合意結論

(総理府仮訳)

婦人の地位委員会は、

第4回世界女性会議で採択された「北京行動綱領」、特に女性の人権に関する第IV章I項、並びに世界人権会議で採択された「ウィーン宣言及び行動計画」を再確認する。

人権委員会が、経済的、社会的及び文化的権利に関する特別報告者の任命及び権限の問題、またはそれに関する特定の側面について第54回委員会で行う可能性のあるいかなる審議においても、女性の経済的及び社会的権利に特別の注意を払うよう勧告するとともに、国連事務総長に対し、この問題に関する人権委員会の決定について1999年に婦人の地位委員会に報告するよう要請し、さらにまた、経済的、社会的及び文化的権利に関する特別報告者が任命された場合、特別報告者はその報告書を婦人の地位委員会が入手できるようにすべきであることを勧告する。

行動綱領の第IV章I項の戦略目標の実施のスピードを上げるために、以下の事項を提案する。

A.女性の人権の享受に資する環境の創出及び開発と意識啓発

政府、非政府機関、使用者、労働組合、民間部門、及び適当な場合、市民社会のその他の行為者が取るべき行動

  • 「国連人権教育の10年」の趣旨と合致する包括的な人権教育を通じて、すべての女性及び女児を含むすべての子どものあらゆる人権と基本的自由に対する女性、男性、女児、男児すべての人々による普遍的な認識を確保し、また人権、開発及び平和の文化を創造・推進すること。
  • 人権の意味、それによって生じる義務、及びジェンダー固有の差別と暴力に関する、多様なバックグラウンドからの女性と男性及び女児と男児を巻き込んだ全国及び地域社会の裾野の広い意見交換を奨励・支援すること。
  • 人権のジェンダー面に対する理解を開発するための仕事、特に各条約機関によるその権限内の仕事が集められ広く普及されることと、このようなジェンダーに配慮した人権解釈が国際及び地域機関のすべての政策及び計画に完全に組み込まれることを確保すること。
  • 女性の人権に取り組む国連諸機構の、例えば女性に対する差別と暴力などに関する報告を裁判官、議員及び非政府機関を含む国民が広く利用できるにすること。
  • 女性による、開発の権利を含む自らの経済的、社会的、文化的、市民的および政治的権利の完全な享受に影響を及ぼす諸要素及び多様な障害、並びに女性への特有の暴力に関する調査を支援、奨励及び普及してそれらに関する性別及び年齢別の統計を集め、調査結果を普及し、集まったデータを女性の人権の実施状況の評価に利用すること。
  • 女性に有害で、女性の人権の侵害になる習慣的及び伝統的慣行を禁止する国内法規及び政策を開発し実施すること。
  • 意識啓発プログラム、教育及び訓練の立案・実施を通じ、女性に対して有害または差別的で、女性の人権と基本的自由の侵害に当たる習慣的または伝統的慣行、特に女性器の切除を撤廃すること。
  • 職員が定期的にジェンダー訓練を受け、教育を施されて、すべての男女及び子どもの人権を認識するようになることを確保すること。
  • 必要な資源を動員し、女性が経済的、社会的、文化的、市民的及び政治的権利を完全に行使できる状況を創出すること。
  • 女性による自らの人権の享受をより積極的に促進するために、相互並びに国連システム及び地域機関との連携・協力関係を築き、強化すること。
  • 先住民及びその他の疎外された女性の特別な状況が女性の人権の枠組み内で十分に考慮されることの確保。
  • ジェンダーに関係した迫害を理由に保護を申請する女性にまで保護対象を広げるために、適当な場合、ジェンダーの視点を国の移住及び庇護政策、規定及び慣行の主流に置くこと。

B.法と規則の枠組み

政府が取るべき行動

  • 国連憲章、その他の人権関連文書及び国際法に則って、暴力を受けない権利を含む女性及び女児の人権の、平等と非差別を基礎とした完全な実現を確保する、独立の国家機関またはその他の適切な機構を含む国内の法及び規則の枠組みの存在を確保すること。
  • 性に基づく差別を助長するいかなる法律または法的手続きも廃止し、慣行-国民的または習慣的-を撤廃するための、ジェンダーに配慮した国内法の見直しを含む措置を講じること。
  • 差別なく機能することを確保するために監視・是正される国内機構、及び特に「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の下で規定されているような人権に取り組む国際機構を含む、権利侵害に対する効果的な法的救済手段への完全かつ平等なアクセスを女性及び子どもに確保すること。
  • 女性に対する権利教育や、無料または手頃な料金の法的援助、法的代理及び告訴手続きといった手段の利用しやすさの確保などにより、国内法制度を通じて自らの権利を主張する法律上・実際上の平等な機会の享有を女性に確保する変革を促進すること、また非政府機関及びその他の機関の現行プログラムを支援すること。

C.政策、仕組み及びマシーナリー

政府が取るべき行動

  • 2000年までにすべての国による批准が達成できるように、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を批准してこれに加盟し、実施を確保すること。
  • 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」に対するいかなる留保についても、その範囲を限定し、可能な限り厳密にかつ狭く規定し、同条約の目標及び目的に反しないか、そうでない場合は国際条約法に反しないよう保障し、かつ撤回を目的とする定期的な見直しを行うこと。同条約の目標及び目的に反するか、または国際条約法と両立しない留保は撤回すること。
  • 女性の人権に取り組む国内機関、非政府機関及び政府の関連政策立案機関の間の情報交換を促進するために、コミュニケーション・チャンネルを作ること。
  • ジェンダーに配慮した予算を含むあらゆる政策及び計画によって女性の権利享受能力が強化されるよう、すべての政策立案機関内部にジェンダーを主流化する仕組みを設けること。
  • その法規と機能にジェンダーの視点を組み込んで、ジェンダーに配慮した法規の解釈と適用ができる国際刑事裁判所を設立するための取組みを支援すること。
  • 開発の権利を含む女性及び女児の人権を促進するために、ジェンダーの視点をすべての経済及び社会政策の主流に置くこと。
  • 国会その他の選挙で選ばれる議会を含む意思決定過程に参画する平等な機会の享受を適切な手段によって女性に確保するための措置を採用すること。

人権文書締約国が取るべき行動

  • 人権分野において専門知識を有しジェンダー問題にセンシティブな独立した専門家を条約機関に任命及び選出する際には、公平な地理的配分や異なる法体系を十分に考慮に入れながら、ジェンダーのバランスを確保する措置を推進すること。
  • 女子差別撤廃条約への留保についての女子差別撤廃委員会に対する国連事務局の報告に留意するとともに、その他の条約機関並びに総会第6委員会による同様の調査、特に女性及び女児の人権の享受に及ぼすその影響についての調査を奨励すること。
  • 条約監視機関への自国の定期報告ではジェンダーの視点の主流化を確保すること。

国連システム内部

  • 人権委員会に対し、すべての人権の仕組み及び手続きが各自の権限の範囲内でその作業にジェンダーの視点を組み込むことを確保するよう強く要請する。
  • 行政調整委員会の女性及び男女平等に関する機関間委員会は、女性のエンパワーメントと地位向上及び男女平等への権利を基礎とするアプローチに対する理解を明確にするためのワークショップを、国連婦人開発基金その他がこれに関してすでに行っている作業を利用して計画通り実施すべきである。
  • 国連人権高等弁務官事務所及び国連事務局経済社会局婦人の地位向上部は、全般的な人権活動における調整を各自の権限の範囲内で強化・改善するとともに、合同年間作業計画の作成を継続すべきである。
  • 人権高等弁務官事務所及び婦人の地位向上部は、合同年間作業計画の作成を継続し、特に以下のやり方によって人権活動における協力と調整を強化すべきである。
    (a)
    E/CN.4/1998/22ーE/CN.6/1998/22に収録されているこのタイプの最初のイニシアティブを歓迎しつつ、婦人の地位委員会及び人権委員会のための報告書作に当たって協力することにより。
    (b)
    女子差別撤廃委員会の仕事がその他の条約機関及び国連人権活動の仕事により よく統合されることを確保するための、同委員会、その会期及び文書管理(ドキュメンテーション)に関する情報の組織立った共有を通じて。
    (c)
    国連システムにおけるすべての政策、プログラムにおけるジェンダーの視点の主流化に関する経済社会理事会の合意結論を実施するための能力作り、特に訓練及びジェンダーに対する感受性の養成、とりわけ人権監視担当者を対象にしたそれを通じて。
  • 婦人の地位委員会、人権委員会、女子差別撤廃委員会、国連婦人開発基金、婦人の向上のための国際訓練研修所、国連開発計画、国連児童基金、並びにその他の国連基金及び計画間の協力を増進するため、及びそれら諸機関の目標及び目的の統合を促進するための更なる措置を講じること。
  • 女性の人権をより効果的に促進するために、婦人の地位委員会と、人権委員会を含むその他の経済社会理事会の機能委員会との協力、コミュニケーション及び専門知識の交換を増進すべきである。
  • 各条約機関はその権限の範囲内で、国際人権文書に述べられている諸権利と女性にとってのそれらの特別な重要性に対するよりよい理解を引き続き促進すべきである。
  • 人権条約の条項を明確にするうえでの一般的コメントの重要性に鑑み、女子差別撤廃委員会は、その他の条約機関とともに、各自の権限の範囲内において、人権の普遍性、不可分性、相互依存性及び相互関連性に関する合同一般コメントを作成するよう求められ、年次議長会議においてこれらの及びその他の協調的活動について協議すべきである。
  • 条約機関は、非政府機関、条約機関及び締約国の間のコミュニケーションを促進する作業方法を引き続き開発すべきである。
  • 国連人権高等弁務官事務所は、同事務所の権限の範囲内での女性の人権を調査するジェンダー・チームの設置措置について推賞される。このチームは、その任務の効果的な遂行に必要な最上級の管理及び意思決定レベルによる支援を与えられるべきである。
  • 専門機関その他の国連システムの機関、並びに国際金融機関及び国内通商機関は、その政策及び計画に女性の人権享受の促進を組み込む革新的な方策を開発すべきである。
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