APEC大臣共同声明2002

我々は、APECのプロセスや諸活動に女性を統合するためにこれまでに講じられてきた取組みを重要なものとして認識する。我々はAPECがそれらの取組みを踏まえ、以下の手段 により、それらをさらに進めることを強く促す。

  1. 引き続き、ジェンダー統合を推進し、ジェンダーをAPECにおける横断的な問題として認識する。
  2. 「APECにおける女性統合のためのフレームワーク」の実施へ向けての進展を調査し評価する。
  3. 女性の経済的利益と機会に関する問題点を検討する。
  4. APECやAPECエコノミーにおけるジェンダー統合の実績を確認する。

我々は以下につき、APECの首脳による支持を求める。

  1. ジェンダー・フォーカル・ポイント・ネットワーク(GFPN)の実施をその役割と責任を承認すると共に要請し、以下を指示することにより、同ネットワークが速やかに設置されること を勧告する。
    • すべてのフォーラがジェンダー・フォーカル・ポイントを任命するとともに、すべてのエコノミーが、GFPNの積極的なメンバーとなるエコノミー・ジェンダー・フォーカル・ポイントを任 命するよう要請する。
    • 女性指導者ネットワーク及びABACが、GFPNにおいて積極的な役割を果たすよう支援する。
    • GFPNは毎年の閣僚会議までに、その間にAPECが行うべき実質的な取組みを概観するためのアクション・プランを策定する。
    • ジェンダー統合のための推進力及びリーダーシップを維持するため、2年ごとに女性問題担当大臣会合を開催する。
  1. ニュー・エコノミーによりもたらされた経済的調整が性別によって与える影響の違いについての理解を深めるために策定された「フレームワーク」の3つの要素、すなわち、ジェ ンダー分析、性別データの収集、女性の参加の促進に関するAPECとAPECエコノミーにおける取組みを更に強化する。
    a.
    ジェンダー分析
    APECの各フォーラや作業部会は、ジェンダーと貿易の関係に関するプロジェクトや研究を促進するとともに、その結果を周知するための精力的な広報戦略を実施することによっ て、それぞれの作業におけるジェンダーの視点の統合と分析を強化すべきである。
    b.
    性別データ
    APECエコノミーは、例えばAPECの性別データ研究を通じて、より体系的かつ包括的な性別データの収集の必要性とともに、女性の無報酬労働の価値に関するデータ収集に注 意を払うべきである。
    c.
    女性の参加
    APECエコノミーは、ABAC委員としてより多くの女性を指名すること含め、APECの全ての活動において女性の参加を増やすという観点から、女性の専門家を認定するべきである。
  2. 女性の経済的貢献をより正確に評価し把握するために、指標となるデータを開発し、また、女性の無報酬労働に関する長期間にわたる調査を実施することの重要性を認識する。
  3. APECエコノミーが、経営開発プログラム、輸出資金調達スキーム、市場アクセス・プログラムへのアクセス等の手段を通して女性起業家の発展を支援するとともに、労働条件 におけるジェンダーによる不平等是正に関連する法律や規則を策定または改正することを奨励する。
  4. 先住民の自らの共同体への独自の貢献の意義を認識し、APECエコノミーと関連するフォーラが、先住民女性の参画を可能とし、また、貿易自由化によってこのグループが直 面している特有の課題に着目するとの観点から先住民女性の経験を反映した研究を行うことを奨励する。
  5. APECエコノミーが、マイクロ企業・中小企業が女性の経済発展への参加にとって重要である点を認識し、これらのセクターが発展し、国際貿易へ参加するための能力を強化す るための取組を講じることを要請する。
  6. 商業ベースのマイクロファイナンス組織の発展を促すことにより、銀行から借り入れのできない低所得の人々、特に女性の間で、信用、貯蓄、その他の金融サービスに対する 需要が著しいく満たされていないという重大な課題に取り組む。
  7. マイクロビジネスのための経営及び市場発展プログラムに対する、また、商業ベースのマイクロ金融機関への貸出に対して引当を積むといったキャパシティ・ビルディングに対 するマイクロ企業援助に目標を定める。
  8. マイクロ企業に適した環境を作るため、APEC域内におけるマイクロ企業の発展、金融サービス、及びマイクロ企業に対する資金貸付に関する規制や監督に係る良い事例につ いての情報交換を促進するプログラムを策定する。
  9. 貿易の自由化が男性及び女性に与える影響には大きな違いがあることに注意を払う。これらの違いは、貿易の自由化が、真に「すべての人による繁栄の共有」に寄与するこ とを確保するため、より良い政策の策定やより正確な政策対象の認定を促進する目的で考慮されなければならない。
  10. APECの各フォーラやエコノミーが、性別データに基づく貿易自由化の性差による影響の違いにつき、一層深い理解をもたらすための研究を進めることを奨励する。
  11. APECエコノミーが、貿易自由化に伴う産業構造の改革によって女性労働者が直面している男性とは異なる影響に注意を払うように促す。エコノミー、貿易投資委員会(CTI)、 経済委員会(EC)、及びその他関係するフォーラに以下につき注意を払うよう奨励する。
    • 女性の非正規労働条件といった貿易自由化の影響を緩和するための労働市場における積極的な対策の必要性
    • 解雇または配置転換された女性の特別な状況を考慮した適切なソーシャル・セーフティ・ネットの提供
    • 労働市場における不平等の緩和とその最終的な解消
    • 仕事と家庭生活を両立させ、かつ無報酬労働の負担が女性に偏っている点を適切に考慮に入れた政策の策定
  12. APECエコノミーが、女性や女児の能力を強化し、情報通信技術(ICT)や知識主導の経済への彼らの参加を促進するための設備を供与することを奨励する。特に、APECエコ ノミーは、教育や知識・機会へのアクセスの確保を通して、女性がデジタル・エコノミーへ十分に参画できるよう、女性の直面している状況、とりわけ低所得の女性の現状につき、引 き続き評価、監視、改善していくべきである。
  13. すべてのAPECエコノミーが、地域の安全を確保し、その中で女性の利益及びそのビジネスと共同体のために繁栄が共有されるよう、努力することを要請する。
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