第3節 医療分野における女性の参画拡大

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第3節 医療分野における女性の参画拡大

近年,全医師数に占める女性医師の割合は増加傾向にあるなど,今後,一層の女性医療職の活躍推進に取り組んでいかなくてはならない。特に女性医師については,妊娠・出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合があることにも配慮しながら,働き続けやすい環境を整備する必要がある。平成31(2019)年3月末に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書においても,女性医師の勤務環境整備の重要性について盛り込まれたところである。

これを踏まえ,厚生労働省では,地域医療介護総合確保基金を通じ,女性医師の復職に関する相談窓口の設置や研修,院内保育所の運営等の都道府県の取組に対して財政支援を行っている。また,女性医師バンクにおいて,就業あっせん等の再就職事業を行うとともに,再就職後も継続して勤務できるよう支援している。

さらに,令和元(2019)年度においては,「女性医師等キャリア支援モデル普及構築事業」として,女性医師等がキャリアと家庭を両立出来るような取組を構築する機関を選定し,普及推進可能な効果的支援策モデルを構築するための経費等を支援することで,女性医師等のキャリア支援の充実を図った。

看護職員については現在もおよそ9割が女性であり,出産や子育て,介護など休職・離職の機会は多い。こうした状況において,そのときどきのライフイベントを踏まえながら生涯にわたり国家資格を有する人材として長く働き続けられるようなキャリア形成支援を行うことが求められており,ナースセンターによる復職支援の強化を行っている。また,医療現場における暴力・ハラスメントの問題については,平成30(2018)年の過労死等防止対策白書において,労災認定事案のうち看護職員においては精神障害の割合が高く,暴言・暴力やハラスメントの被害が発病の誘因となっている事例が一定数存在することが報告された。これを受け,厚生労働省は平成31(2019)年2月28日付けで医療現場における暴言・暴力及びハラスメント対策について医政局,労働基準局,雇用環境・均等局の連名通知を発布し,都道府県等を通じて,医療機関への周知を図った。また,令和元(2019)年度の厚生労働科学研究において「看護職等が受ける暴力・ハラスメントに対する実態調査と対応策検討に向けた研究」を進めている。

さらに,医療従事者の「雇用の質」の向上を図るため,各医療機関が計画的に勤務環境改善に向けた取組を行う仕組み(医療勤務環境改善マネジメントシステム)の導入を支援する都道府県医療勤務環境改善支援センターを設置するとともに,短時間勤務正規職員制度の導入の好事例の周知や,業務効率化,多様な働き方の導入等の職場風土の改善に向けた都道府県の取組への支援等,仕事と生活の調和を促進させる施策を行っている。