第4節 非正規雇用労働者の処遇改善,正社員への転換の支援

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第4節 非正規雇用労働者の処遇改善,正社員への転換の支援

1 同一労働同一賃金に向けた均等・均衡待遇の取組や正社員への転換に向けた取組の推進

雇用情勢が着実に改善しているタイミングを捉え,正社員を希望する方の正社員転換や非正規雇用を選択する方の待遇改善を推進することが重要である。このため,厚生労働大臣を本部長とした「正社員転換・待遇改善実現本部」において平成28年1月に策定した「正社員転換・待遇改善実現プラン」や,各都道府県労働局に設置した本部において同年3月までに策定したそれぞれの「地域プラン」に基づき,非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善を強力に推進している。

また,平成28年12月20日の第5回働き方改革実現会議において,「同一労働同一賃金ガイドライン案」を提示した。これは,いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で,待遇差が存在する場合に,いかなる待遇差が不合理なものであり,いかなる待遇差は不合理なものでないのかを示したものとなっている。このガイドライン案については,関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて,最終的に確定することとしている。

パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)に基づく是正指導等により同法の着実な履行確保を図っている。また,パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保に向けた事業主の取組を支援するために,「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」を実施し受賞企業の取組を広く発信するとともに,事業主に対する職務分析・職務評価の導入支援・普及促進等を行っている。

2 公正な処遇が図られた多様な働き方の普及・促進

有期契約,パート,派遣等の非正規雇用労働者には,企業側の人材ニーズや労働者に様々な働き方の選択肢が提供されるなどの面もあるが,雇用が不安定,賃金が低い,能力開発機会が乏しいなどの課題がある。

このため,非正規雇用労働者の正社員化,人材育成,処遇改善といった企業内でのキャリアアップに取組む事業主に対してキャリアアップ助成金を支給し支援している。

また,「『日本再興戦略』改訂2015」(平成27年6月閣議決定)を受けて,職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・拡大を図るため,「多様な正社員」の導入事例や,非正規雇用労働者の正社員化等の取組事例の収集,ホームページでの周知・啓発を図るとともに,シンポジウムや企業向けセミナー等で社会的気運の醸成を図るほか,「多様な正社員」の導入を検討している企業への支援として業種ごとのモデル就業規則の作成やコンサルティング等を実施した。さらに,厚生労働省では,労働契約法(平成19年法律第128号)において定められた,有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に,労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(いわゆる「無期転換ルール」)等について,無期転換ルールの概要や先行導入した企業の好事例,支援策等をまとめたポータルサイトの開設,無期転換ルールの導入手順等をまとめたハンドブックの作成,全国47都道府県でのセミナー開催とその後の個別相談会の実施など,あらゆる機会を活用して無期転換ルールの周知・啓発及び導入支援を行った。

派遣労働者については,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律(平成27年法律第73号)により,派遣元事業主に対し,均衡待遇の確保のために考慮した内容を派遣労働者の求めに応じて説明する義務や,派遣先に対し,福利厚生施設の利用機会を与えるよう配慮する義務等を課すこととされた。改正法の内容を解説したパンフレットを作成し都道府県労働局で配布するとともに,都道府県労働局が説明会を開催するなどにより周知を行った。

地方公共団体の非常勤職員については,平成29年1月1日に施行された地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第95号)により,介護休業の申出をすることができる非常勤職員の要件が緩和された。また,国において育児休業の申出をすることができる非常勤職員の要件が緩和されたことを受け,総務省では,地方公務員についても国家公務員に係る規定の改正内容に準じて制度の整備を行うよう助言を行った。さらに,一般職非常勤職員について育児休業制度を設けていない団体も見受けられるため,併せて,必要な条例の整備について助言を行った。