第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度の見直し

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第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革

第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度の見直し

1 男女の社会における活動の選択に中立的な社会制度・慣行の検討

「『日本再興戦略』改訂2014」では,「働き方に中立的な税制・社会保障制度等への見直し」として,税制,社会保障制度,配偶者手当等について総合的に検討することとされた。

これを踏まえ,平成26年10月21日,経済財政諮問会議で各制度について議論を行い,内閣総理大臣から,関係大臣に対して総合的に具体的取組の検討を進めるよう指示するとともに,人事院にも国家公務員の配偶者手当について検討するよう要請した。

また,経済の好循環実現に向けた政労使会議で平成26年12月16日に取りまとめられた「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」では,「女性が働きやすい制度等への見直し」として,政府は税制や社会保障制度を見直すとともに,配偶者手当についても,官の見直しの検討とあわせて,労使はその在り方の検討を進めることとされた。

2 税制の検討

政府税制調査会において,働き方の選択に対して中立的な税制について理論的・技術的な観点から論点を整理するための議論が行われ,いくつかの選択肢と論点を示した「働き方の選択に対して中立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理(第一次レポート)」が平成26年11月に取りまとめられた。

本レポートにおいて,いずれの選択肢が望ましいかについては,家族のあり方や働き方に関する国民の価値観に深く関わることから,今後,幅広く丁寧な国民的議論が必要であるとされている。

3 社会保障制度の検討

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。以下「年金機能強化法」という。)に基づき,平成26年4月から施行された産休期間中の社会保険料免除の円滑な実施に努めるとともに,短時間労働者への被用者保険の適用拡大の28年10月からの円滑な施行に向け,必要な準備や周知に取り組んだ。

また,平成26年6月に実施した財政検証において,被用者保険の更なる適用拡大を行った場合など,一定の制度改正を仮定して行ったオプション試算の結果などを踏まえ,28年10月の適用拡大の施行後の更なる適用拡大の進め方とその対象範囲を規定する各要件の在り方や,28年10月の適用拡大の枠組みを前提としつつ,現時点において,この問題を更に一歩前に進めるための方策としてどのようなことが考えられるかということについて,社会保障審議会年金部会等で議論を行った。

4 家族に関する法制の整備等

男女共同参画会議監視専門調査会は,女子差別撤廃委員会の最終見解への対応に係る政府の取組状況等についての監視結果として,選択的夫婦別氏制度等の導入等に係る民法改正について法案の提出に向けた努力の継続等を求める意見を取りまとめ,平成26年4月,男女共同参画会議へ報告を行った。同会議では,監視専門調査会の意見を踏まえた更なる取組の推進等を,政府に求める今後の取組事項として決定した。

法務省では,平成8年2月の法制審議会の答申(「民法の一部を改正する法律案要綱」)を踏まえた選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法改正については,引き続き慎重な検討が必要であるとの認識の下,ホームページを通じた国民への情報提供等に努めている。