第1節 仕事と生活の調和の実現

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第1節 仕事と生活の調和の実現

(仕事と生活の調和に関する意識啓発の推進)

内閣府では,仕事と生活の調和の実現に向けて,各主体の協働のネットワークを支える中核的組織である仕事と生活の調和推進官民トップ会議及び仕事と生活の調和連携推進・評価部会(以下「評価部会」という。)の事務局として,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(以下「行動指針」という。)に基づく取組状況の点検・評価,関係省庁,労使,地方公共団体等関係機関との連携・調整を行う。平成26年は,「行動指針」が策定された19年(2007年)から25年(2013年)までの動向の中間フォローアップを踏まえ,労使はもとより,各主体の取組を支援する国や地方公共団体においても,明らかとなった課題への対応について検討し,仕事と生活の調和の実現に向けた取組を加速していくこととしている。

社会全体の気運を醸成するための取組として,「仕事と生活の調和ポータルサイト」を通じた関係省庁の施策,関係団体等の取組や,「カエル!ジャパン」キャンペーンへの登録企業・団体の取組等を行うほか,引き続き,ワーク・ライフ・バランスに成果を上げた企業内のチーム等の好事例を情報提供していく。

また,企業等の取組を支援するための「カエル!ジャパン」通信(メールマガジン)を発行し,ワーク・ライフ・バランスに関する国の施策や周知情報を毎月分かりやすく紹介するほか,企業経営者・管理職等向けのセミナーを開催し,企業におけるワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやそのノウハウ等についての理解促進を図るとともに,経営者・管理職等のネットワークの構築を促進する。

さらに,企業における仕事と生活の調和推進のため,啓発の在り方について調査・研究し,その結果を周知することで企業における意識啓発を促進する。

厚生労働省では,育児を積極的にする男性「イクメン」及び「イクメン企業」を広めるため,「イクメンプロジェクト」を実施し,引き続き,参加型公式サイトの運営やハンドブックの配布を行うとともに,26年度からは新たに企業向け事例集の作成や,25年度に試行した男性の育児参加を積極的に促進する企業を対象とした「イクメン企業アワード」の本格実施や企業向けセミナー,大学出前講座等により,男性が育児をより積極的に楽しみ,かつ,育児休業を取得しやすい社会の実現を目指す。

(育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備)

厚生労働省では,仕事と育児・介護等の両立支援のための取組を積極的に行っており,かつその成果が上がっている企業に対し,公募により「均等・両立推進企業表彰」を実施し,その取組を広く周知することにより,労働者が仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備を促進する。

また,平成20年12月の次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)の改正に基づき,23年4月から,「一般事業主行動計画」(以下「行動計画」という。)の策定・届出等が義務となる企業が常時雇用する従業員数301人以上の企業から101人以上の企業へ拡大されており,引き続き,行動計画の策定・届出等の促進を図っていく。

さらに,次世代法は平成26年度末までの時限立法であるが,引き続き次世代の育成のための取組を続けていく必要性があると考えており,そのため,法律の有効期限の10年間の延長や新たな認定(特例認定)制度の創設等を内容とする改正法案を第186回国会に提出し,同法案は平成26年4月16日に可決・成立した。今後,次世代法の延長と,改正の内容について周知・広報を行っていく。

加えて,次世代認定マーク「くるみん」取得企業数を平成26年度までに2,000企業とする「少子化社会対策大綱」(平成22年1月閣議決定)における数値目標を達成するため,23年6月に創設され,26年4月からの1年間の延長が決定された認定企業に対する税制上の措置の周知等により,認定を目指す企業の取組を促進する。

労使の自主的な取組を促進するため,年次有給休暇の計画的付与制度の導入や長時間労働の抑制等の働き方・休み方の改善のための具体的な取組方法について,業種,企業の特性に応じたコンサルティングを実施するなどきめ細かな支援を行う。また,年次有給休暇の取得率が低い業種や恒常的な長時間労働の実態が見られる業種の事業主に対しての重点的な助成や,企業や労働者が働き方・休み方の現状や課題を自主的に評価できる「働き方・休み方改善指標」の活用方策の検討,この指標の活用に関する好事例の収集・分析,「地域の特性を活かした休暇取得促進のための環境整備事業」等を行い,長時間労働の抑制や年休の取得促進に向けた取組を進める事業主に対する支援を行うとともに,長時間労働が認められる事業主に対して重点的な監督指導を行う。

さらに,地域においては,身近な場所に子育て中の親子が気軽に集まって,相談や交流を行う地域子育て支援拠点の設置を推進し,「少子化社会対策大綱」で掲げる数値目標(平成21年度の7,100か所から26年度に10,000か所とする目標)の達成に向け,取組の推進を図る。

そのほか,保護者の通院や社会参加活動,又は育児に伴う心理的・身体的負担の軽減のため,保育所や駅前等利便性の高い場所で就学前の児童を一時的に預かる一時預かり事業を拡充する。

(仕事と子育てや介護との両立のための制度等の普及,定着促進)

喫緊の課題となっている仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため,厚生労働省では,育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)について,引き続き制度の内容を周知するとともに,企業において改正内容が定着し,法の履行確保が図られるよう事業主に対して指導等を行う。

また,育児や介護を行う労働者が働き続けやすい環境整備を促進するため,両立支援等助成金の支給を行うほか,両立支援に関する情報を一元化した「両立支援のひろば」や,企業の両立支援の進捗状況に応じた取組のポイントと様々な企業の具体的な取組事例をまとめた好事例集の普及により,効果的・効率的な情報提供を行う。

さらに,中小企業において特に育児休業の取得率が低いことなどから,平成26年度から中小企業等で働く労働者の育児休業の取得及び育児休業後の円滑な職場復帰を支援するため,個々の労働者のニーズに応じた「育休復帰支援プラン」の策定・利用の支援等を行う「育休復帰支援プログラム事業(仮称)」を新たに行う。また,育児等を理由とする離職により,一定期間にわたり仕事から離れていた労働者の復職支援のため,託児付き再就職セミナーの開催や,ウェブ上の情報提供,再就職好事例の収集,普及・啓発を行う。

育児休業を取得した労働者の雇用の継続を目的として,雇用保険を財源に,育児休業給付(休業前賃金の50%)を支給しているところ,育児休業開始時から最初の6月について,給付割合を67%に引き上げることなどを内容とする雇用保険法の一部を改正する法律案を平成26年1月31日に第186回通常国会に提出,同年3月に成立し,同年4月1日から施行されたことから,その内容についての周知・広報等の取組を実施し,円滑な施行に努める。

政府では,関係省庁が連携し,仕事と子育てや介護との両立など柔軟な働き方が可能となるテレワークの普及促進を図る(第5章第5節参照)。