コラム3 世代別分析のねらいと結果の見方

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コラム3

世代別分析のねらいと結果の見方


本特集編では,年齢階級別労働力率や,男女共同参画に関する意識,週労働時間等を世代別に分析している。このように世代ごとの意識や行動を分析する方法は,「コーホート分析」と呼ばれている(コーホートとは,ある期間に出生・婚姻等何らかの事象が発生した人を集団として捉えたもの)。一般に目にする集計結果では,調査時点における対象者の年齢階級に着目して分析が行われることが多いが, 5年あるいは10年といった単位で同じ期間に生まれた者の集団を追跡することで,異なる世代が同じ年齢階級に達した際にどのような違いがあるか,ある世代が年齢を重ねるにつれてどのように変化していくかといった特徴を把握・分析することが可能となる。

第1-特-10図は,女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)について,世代別にその動きを追ったものである。例えば,「昭和43~47年生まれ」に着目すると,30~34歳時点で労働力率が大きく下がった後,35~39歳,40~44歳と年齢が上がるにつれて労働力率が回復していることが分かる。一つの折れ線を横軸方向に見ていくことで,その世代が年齢を重ねていく際の特徴が明らかになる。

一方,25~29歳の年齢階級を縦方向に見ると,「昭和23~27年生まれ」より「昭和33~37年生まれ」の方が高く,「昭和43~47年生まれ」は更に高いといったように,若い世代ほど25~29歳時点の労働力率が高くなっていることが分かる。グラフの縦軸方向に異なる世代同士を比較することによって,特定の年齢階級に達したときの世代間の特徴が明らかになる。

この分析手法では,例えば,平成24年時点で40~44歳に当たる「昭和43~47年生まれ」の世代について45歳以上の年齢階級に折れ線を伸ばすことはできず,若い世代ほど折れ線が短くなる。また,調査開始時期や調査方法の変更によって,遡れる期間が限定される場合があることなどにも留意が必要となる。

第1-特-10図 女性の年齢階級別労働力率の世代による特徴〔再掲〕