平成24年版男女共同参画白書

本編 > 第2部 > 第9章 > 第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備

第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備

文化庁においては,我が国に居住する外国人にとって,日本語能力が十分でないことなどから,外国人が安心・安全に生活できないという問題を解決し,外国人が円滑に日本社会の一員として生活を送ることができるよう,平成19年度から,日本語教室の設置運営,日本語能力を有する外国人等を対象とした日本語指導者養成,ボランティアを対象とした実践的研修等を行う「生活者としての外国人」のための日本語教育事業を実施している。23年度は日本語教室の設置運営として114件を採択している。

文部科学省では,外国人の子どもの公立学校での受入れに当たり,適切な日本語指導や適応指導を行うことのできる体制の整備を支援するため,日本語指導等を行う教員を配置するための教職員定数の加配措置,独立行政法人教員研修センターにおける日本語指導者等に対する研修の実施,日本語指導の補助や外国人保護者との連絡調整等を行う際に必要となる外国語が使える支援員の配置等の取組を実施している。

また,平成18年度から21年度までに,国際理解を深め,地球的な視野に立って主体的に行動することができる人材を育成するための「国際教育推進プラン」を実施し,先進的な取組を実践する地域を支援してきたほか,同プランにおける実践事例等について,毎年,各都道府県・指定都市教育委員会担当者を集めた連絡協議会において紹介するなど,学校等における国際理解教育の推進に努めている。

さらに,不就学・自宅待機等となっているブラジル人等の子どもに対して,日本語等の指導や学習習慣の確保を図るための教室を設置し,公立学校等への円滑な転入が出来るようにする「定住外国人の子どもの就学支援事業」を国際移住機関(IOM)において実施している。平成23年度は39教室において事業を実施している。

人身取引対策に関する関係省庁では,「人身取引対策行動計画2009」に基づき,人身取引対策の取組を進めている(第10章第6節参照)。

法務省の人権擁護機関では,英語や中国語等の通訳を配置した外国人のための人権相談所を設置し,内容の充実に努めている。

法務省入国管理局では,人身取引が重大な人権侵害であるなどの認識の下,被害者である外国人に対しては,関係機関と連携して身体の保護を確実なものとする一方,被害者本人の意思に配慮しつつ,出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)の規定に基づき保護措置を講じ,不法残留等の入管法違反の状態にある外国人被害者に対しては在留特別許可を付与するなど,被害者の法的地位の安定を図っている。

日本司法支援センター(法テラス)では,人身取引被害者が,加害者に対して損害賠償請求を行うに当たっては,当該被害者が我が国に住所を有し,適法に在留している場合であって,収入等の一定の要件を満たすときには,総合法律支援法(平成16年法律第74号)に基づく民事法律扶助制度が活用可能であることから,婦人相談所等にリーフレットを配布して民事法律扶助制度の周知を行った。また,人身取引被害者が被害者参加人として刑事裁判に参加するに当たっては,収入等の一定の要件を満たす場合には,法テラスを経由して国選被害者参加弁護士の選定を請求することが可能であることから,被害者参加人のための国選弁護制度の周知も併せて行った。