平成24年版男女共同参画白書

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第1節 就業者をめぐる状況

(労働力人口の推移)

総務省「労働力調査(基本集計)」(平成23年平均)によると,岩手県,宮城県及び福島県を除く全国の労働力人口は6,261万人で,同じく3県を除いた前年の結果に比べ36万人減少した。男女別に見ると,男性が3,629万人(前年比25万人減)となり,女性は2,632万人(前年比11万人減)となった。平成23年の労働力人口に女性が占める割合は42.0%となっている。

労働力率を見ると,岩手県,宮城県及び福島県を除く全国の平成23年平均は59.3%で同前年比0.4ポイントの低下となった。男女別の労働力率では,女性は48.2%で同前年比0.3ポイントの低下,男性は71.2%で同前年比0.4ポイントの低下となった。

(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の変化)

女性の年齢階級別労働力率について昭和50年からほぼ10年ごとの変化を見ると,現在も依然として「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べかなり浅くなっており,M字部分の底となっている年齢階級も変化している。

昭和50年では25~29歳(42.6%)及び30~34歳(43.9%)の2つの年齢階級が底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成23年では,年齢階級別で最も高い労働力率(77.2%)となっている。23年を見ると35~39歳(67.0%)の年齢階級がM字の底となっている。しかしながら,30~34歳においても,労働力率が上昇しており,M字カーブは台形に近づきつつある(第1-2-2図(再掲))。

(女性の約8割が第3次産業従事者)

産業別に就業者割合を見ると,男女共に第1次産業はほぼ一貫して低下する一方,第3次産業の割合が高まってきている。女性で特にその傾向が顕著であり,第1次産業,第2次産業の割合はほぼ一貫して低下し,平成23年には8割以上が第3次産業の就業者となっている。これに対し男性は,女性に比して第1次産業,第2次産業とも低下が緩やかであり,23年においても第3次産業の就業者は6割程度を占めている(第1-3-1図)。

第1-3-1図 産業別就業者構成比の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-1図 産業別就業者構成比の推移(男女別)

▲CSVファイル [Excel形式:4KB]CSVファイル

職業別の就業者割合については,平成23年から職業分類が大幅に改定されたため,過去からの比較は困難であるが,女性の事務従事者とサービス職業従事者の割合を合わせると約5割と,男性に比べ2倍以上になっている(第1-3-2図)。

第1-3-2図 職業別就業者構成比(男女別,平成23 年) 別ウインドウで開きます
第1-3-2図 職業別就業者構成比(男女別,平成23 年)

▲CSVファイル [Excel形式:3KB]CSVファイル

(就業者に占める雇用者割合の上昇)

就業者を従業上の地位別に見ると,就業者に占める雇用者の割合が上昇し続け,自営業者及び家族従業者の割合は低下し続けている。平成23年では,就業者に占める雇用者割合は女性88.7%,男性87.1%となっている(第1-3-3図)。

第1-3-3図 就業者の従業上の地位別構成比の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-3図 就業者の従業上の地位別構成比の推移(男女別)

▲CSVファイル [Excel形式:3KB]CSVファイル

(増加する女性雇用者数)

平成14年から22年までの間の男女雇用者数の推移を見てみると,男性雇用者数が約37万人減少している一方で女性雇用者数は約168万人増加している。すなわち,男性雇用者が多い産業では雇用者数が減っているのに対して,女性雇用者が多い産業では雇用者数が増えている(第1-3-4図)。

第1-3-4図 男女別・産業別雇用者数の増減(平成14年→22年) 別ウインドウで開きます
第1-3-4図 男女別・産業別雇用者数の増減(平成14年→22年)

▲CSVファイル [Excel形式:3KB]CSVファイル

(非正規雇用者率の増加)

正規の職員・従業員が役員を除く雇用者全体に占める割合を男女別に見ると,女性は昭和60年に67.9%であったが,平成23年には45.3%にまで減少している。男性についても,昭和60年は92.6%であったが,平成23年には80.1%に減少している。男女ともパート・アルバイト等の非正規雇用者の割合は上昇傾向にあり,特に女性はその割合が昭和60年の32.1%から平成23年には54.7%にまで上昇しており,過半数を占めるに至っている(第1-3-5図)。

第1-3-5図 雇用形態別に見た役員を除く雇用者の構成割合の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-5図 雇用形態別に見た役員を除く雇用者の構成割合の推移(男女別)

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一方で,男女別・年齢階級別に非正規雇用者率の推移を見てみると,女性の35歳以上の層で50%を超えていること,男女の若年層(15~24歳,25~34歳)や男女の高年層(55~64歳)で上昇していることが特徴的である(第1-3-6図)。

第1-3-6図 年齢階級別非正規雇用比率の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-6図 年齢階級別非正規雇用比率の推移(男女別)

▲CSVファイル [Excel形式:4KB]CSVファイル

また,総務省「労働力調査(詳細集計)」(年平均)によると,労働者派遣事業所の派遣社員数は平成20年まで増加傾向にあったが,21年には108万人(うち女性は72万人)で,前年より32万人減(うち女性は13万人減),22年には96万人(うち女性は61万人)で,前年より12万人減(うち女性は11万人減)となっている。岩手県,宮城県及び福島県を除く全国の結果では,22年で92万人(うち女性は59万人)となり,23年では92万人(うち女性は56万人)で,前年と横ばい(うち女性は3万人減)となっている(第1-3-7図)。

第1-3-7図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-7図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移(男女別)

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(企業における非正社員の雇用)

厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(平成22年)によると,正社員以外の労働者がいる事業所の割合は77.7%となっている。正社員以外の労働者がいる事業所の割合を就業形態別に見ると,パートタイム労働者がいる事業所の割合が57.0%と最も高く,次いで嘱託社員が15.3%,契約社員が13.8%となっている。正社員以外の労働者の活用理由(複数回答)を見ると,「賃金の節約のため」が43.8%と最も高く,次いで「1日,週の中の仕事の繁閑に対応するため」33.9%,「賃金以外の労務コストの節約のため」27.4%の順となっている(第1-3-8図)。

第1-3-8図 正社員以外の労働者を活用する理由(事業所割合, 複数回答) 別ウインドウで開きます
第1-3-8図 正社員以外の労働者を活用する理由(事業所割合, 複数回答)

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(雇用者の高学歴化の進展)

雇用者の学歴構成の推移を見ると,男女共に中学卒,高校卒は減少傾向にある一方で高専・短大卒及び大学・大学院卒は増加傾向にある。これは,近年の高等教育機関への進学率上昇に伴い,新規学卒就職者が高学歴化しているためと考えられる。

男女別に見ると,女性については,雇用者に占める大学・大学院卒の割合は上昇傾向にあり,平成23年では22.0%となっている。しかしながら,女性雇用者全体に占める割合は,高専・短大卒の方が大学・大学院卒より依然高くなっている。男性については,大学・大学院卒の割合は23年で37.1%と,女性よりもかなり高くなっている(第1-3-9図)。

第1-3-9図 学歴別一般労働者の構成割合の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-3-9図 学歴別一般労働者の構成割合の推移(男女別)

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