平成24年版男女共同参画白書

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コラム

APEC女性と経済サミット(WES)の開催


「APEC女性と経済サミット(WES)」は,米国が議長となり,APECエコノミーにおける女性の経済的エンパワーメントを促進するために,今まで別々に行っていた民間主体の会合と政府関係者会合を統合し,官民合同で議論する初の会合として2011年9月13日?16日までの間,米国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催された。本サミットでは,APECエコノミーの女性と経済に関する幅広い分野の閣僚(外務,貿易・中小企業,女性担当等),民間のCEO等が参加し,我が国からは中塚一宏内閣府副大臣,中野譲外務大臣政務官や民間からの代表者が参加した。(ア)資本へのアクセス,(イ)市場へのアクセス,(ウ)能力技能形成,(エ)女性のリーダーシップの4つのテーマを中心に,基調講演,全体会議や分科会でのパネルディスカッション等に併せて,「女性と経済パートナーシップ会合(PPWE)」,「ハイレベル政策対話(HLPD)」が開催され,各エコノミーの官民の代表やUN Women等国際機関の代表が,経済成長のための女性の経済活動への参画強化のために取り組むべき内容に関して活発な議論を行った。最終日には,「サンフランシスコ宣言」が採択された。また,APEC首脳宣言,閣僚会議声明においても,「女性と経済」について言及された。

ハイレベル政策対話(議長はクリントン米国務長官)

日本代表団のメンバーとバチェレUN Women事務局長

<参考1>APEC女性と経済に関するハイレベル政策対話「サンフランシスコ宣言」6(概要)

我々APECの閣僚等は2011年9月16日,クリントン米国国務長官議長の下,サンフランシスコで会合。

昨年11月,横浜において,APEC首脳は,地域経済において女性の潜在能力が依然として活用されていないと認識。ジェンダー平等は経済社会発展の鍵。APEC首脳は,資金,教育,訓練,雇用,技術及び保健制度への女性のアクセスを改善するという意志を表明。

本年以降,APECエコノミーは,女性の可能性を最大限に引き出し,女性の才能を活用し,経済成長に向けて女性の貢献を最大化するために具体的な行動をとる。女性の経済的エンパワーメントの支援は,APEC首脳の成長戦略を遂行する上で重要な要素。

企業と政府における経済に関する全てのレベルでの女性の積極的な参画は,良好な社会的・環境的利益ももたらす。APECエコノミーにおける女性の経済的機会を拡大するため,具体的な行動と政策の実施,法律や規制の改善が必要。また,「APEC女性と経済に関する政策パートナーシップ(PPWE)」の設立を歓迎。

課題に対処するため,我々は政府関係者に以下のことを求める。

6 http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_apec/wes.html

1 資本へのアクセス

  • 相続,夫婦の共有財産,動産及び不動産の所有権等に関する女性の法的地位の検証
  • 女性起業家のための,金融サービスへのより広範なアクセスの促進
  • 少額融資を含めた中小企業の融資プログラムの一覧表の作成,活用の検証
  • 女性が経営する中小企業の資本アクセス能力改善に関する,政府による好事例の共有,検証
  • 中小企業とそのファイナンスに関する性別データ収集についてのOECD等の関与への協力

2 市場へのアクセス

  • 女性経営者・起業家の直面する規制等の障壁を取り除く,政府等のプログラムの検証
  • ビジネス関係と流通経路へのアクセスを支援する,女性のネットワーク等の検証

3 能力技能形成

  • 女性の能力及び女性がスキルを身に付けることを阻害する差別的慣行の排除
  • 政府による女性の起業家相談や訓練機会を支援する好事例の共有及び検証
  • 中小企業の支援プログラムにジェンダーの分析を組み入れることによる理解促進
  • 女性経営者の研修に当たり,各エコノミーのIT技術利用の好事例の共有
  • 小規模及び零細企業における女性のビジネスモデルの共有