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第3章 女性の活躍と経済社会の活性化
(高齢人口の増加と生産年齢人口の減少)
我が国では,人口減少と少子高齢化が同時に進行しており,高齢人口(65歳以上の人口)が増加する一方で,生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少することが見込まれている(第17図)。
第17図 年齢階級別人口の将来推計
(OECD諸国の中でも低い日本の女性就業率)
我が国の女性の25~54歳の就業率を他のOECD諸国と比較すると,30か国中22位である(第18図)。また,女性労働力率のM字カーブは欧米諸国では既に見られない(第19図)。
第18図 OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率
第19図 女性の年齢階級別労働力率(国際比較)
(性別役割分担意識の動向)
「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方について,昭和54年調査では,賛成の割合が7割を超えていたが,平成16年調査で初めて反対が賛成を上回り,19年調査では反対が5割を超えた(第20図)。
第20図 「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」といった考え方について(性別)
(M字カーブの解消による労働力人口の増加)
現在就業しておらず,求職活動はしていないものの就業を希望している女性の「就業希望者」は,25~49歳を中心として342万人に上っている。この数値は,女性労働力人口に対して12.4%,全労働力人口に対して5.2%の比率である(第21図)。
第21図 M字カーブ解消による女性の労働力人口増加の試算
(国際的な動向)
国際的には女性の参画の拡大と経済成長とを積極的に関連付けて取り組もうとする動きがある。平成22年9月には我が国では初会合となる第15回APEC女性リーダーズネットワーク(WLN)会合が開催され,「女性による新たな経済活動の創造」をテーマとして議論が行われ,APEC首脳への提言がまとめられた。我が国においても,女性の参画促進を経済社会の活性化につなげていくという視点が重要である。
(APECにおける女性と起業)
「横浜ビジョン~ボゴール,そしてボゴールを超えて」と題されたAPEC首脳宣言には,ビジネス及び政府は,女性の起業家精神及びより大きなリーダーシップを促進することにより,ファイナンス,教育,訓練,技術及び保健制度への女性のアクセスを改善することが盛り込まれている。
(女性で高い相対的貧困率)
女性の労働をめぐる様々な課題を背景に,女性の貧困率はほとんど全ての年代において男性よりも高い(第22図)。また,相対的貧困率は,女性の中でも高齢単身世帯や母子家庭において特に高い(第23図)。
第22図 男女別・年齢階層別相対的貧困率(平成19年)
第23図 年齢別・世帯類型別相対的貧困率(平成19年)
(「あまねく広がる成長」に向けて)
女性の就業環境の整備等を通じて貧困に陥るリスクを低減し,より多くの人に経済成長の恩恵が及ぶような「あまねく広がる成長(inclusive growth)」を目指すことが重要と考えられる。