平成22年版男女共同参画白書

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第5章 生活困難な状況に置かれた男女の状況

本章のポイント


第1節 生活困難の実態

  • 単身世帯やひとり親世帯の増加,雇用・就業構造の変化,グローバル化などの中,生活困難が幅広い層に広がっている。
  • 相対的貧困率は,高齢単身女性世帯や母子世帯層など女性で高くなっている。
  • 生活困難の子どもへの連鎖も指摘された。

第2節 生活困難の背景と男女共同参画をめぐる問題

  • 育児や介護などにより就業を中断する女性が多い。
  • 女性の就労は非正規雇用に集中しやすい。
  • 女性への暴力が,女性の自尊心や心身を傷つけ,自立にむけた就業や社会参加を困難にしている。
  • 「男は仕事,女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識は,女性の自立を阻害するとともに,父子世帯などが地域で孤立しがちという傾向の背景になっている。また,「男性が主に稼ぐべき」といった意識が男性へのプレッシャーに。

第3節 生活困難の防止・生活困難者支援の課題

  • 家庭や地域における男女共同参画,女性が働きやすい就業構造への改革,女性に対する暴力の防止と被害者支援など,男女共同参画の推進が,生活困難を防止するためにも不可欠である。
  • 急速に増加した非正規労働者や家族の扶養や地域による相互扶助機能の低下に対応したセーフティネットの再構築が必要である。
  • 生活困難な状況に置かれた人々の持てる力を引き出す支援や,精神的な回復が必要な人々に対しては,その回復を支援する仕組みが求められる。
  • 女性が出産・育児後も就業継続・再就業し,経済的に自立できるような支援や環境整備が必要である。
  • 成育家庭の経済的状況によって子どもの進学機会や学力・意欲の差が生じないような教育の仕組みなど,生活困難の世代間連鎖を断ち切る取組が必要である。
  • 複数の支援を組み合わせ,個人のライフコースに沿って切れ目ないサービスを提供するため,国や地方公共団体,NPOや企業も含めた多様な主体の連携が必要である。