平成22年版男女共同参画白書

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コラム1

ポジティブ・アクションとダイバーシティ


(GEMの相対順位)

第1-特-4図は,毎年の測定可能国数の中で日本がどのくらいの位置にあるかをHDI,GEMそれぞれについて示したものである3。これによると,日本のGEMの順位は,国際的にみて低いだけでなく,中長期的に低下してきていることが分かる。

3 HDI,GEMは年により測定可能国数が一定ではないので,全体の中でどのくらいの位置にあるかを示すため,順位を測定可能国数で除し,1から差し引いた数値を「相対順位」として示した。

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第1-特-4図 日本のGEMの相対順位

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日本のGEMの順位が低いのは何が原因だろうか。GEMは,国会議員に占める女性の割合,管理職に占める女性の割合,専門・技術職に占める女性の割合,男女の所得推計値という四つの指標から計算されている。第1-特-5表は,GEMの計算に使用する内訳の指標について,日本の値を,全対象国の平均値及び他の4か国の数値と比較したものである。

これを見ると,日本は専門・技術職に占める女性の割合は46%と平均に近い水準にあるものの,国会議員に占める女性の割合や管理職に占める女性の割合は平均よりもかなり低い水準になっており,所得推計値の男女差も平均よりも大きくなっている。

他方,例えばオーストリアでは,専門・技術職に占める女性割合や所得推計値の男女差は日本とあまり変わらないが,国会議員に占める女性の割合や管理職に占める女性の割合が3割弱程度と高いため,順位は20位と,日本より高くなっている。

第1-特-5表 GEMの順位と内訳 別ウインドウで開きます
第1-特-5表 GEMの順位と内訳

(GGIで見た男女の格差)

男女の平等に関しては,世界経済フォーラムが毎年ジェンダー・ギャップ指数(GGI:Gender Gap Index)を公表している。この指標で見ると,日本の順位は,測定可能な134か国中101位と先進国の中では最低水準にある(第1部第1章 第1-1-14表参照)。GGIの順位がGEMに比べて更に低くなっているのは,GEMにはその国の所得水準が反映される(所得水準が高いとGEMも高くなる)のに対し,GGIは各指標の男女差のみを指標化しているためと考えられる。

第1-特-6表は,GGIの全体と4分野ごとの数値と順位について,日本と他の数か国について示したものである。日本は健康分野の順位は41位とそれほど低くないが,特に経済,政治分野の順位が低いために,全体の順位も低くなっていることが分かる。

また,第1-特-7表は,GGIの計算に使用する内訳の指標を示したものである。右端の欄の数値は,各指標の男女差に基づく順位を示したものであるが,教育分野では女性の高等教育在学率がやや低いことを反映して順位が大幅に下がっている。

第1-特-6表 GGIの全体と4分野ごとの順位と数値表 別ウインドウで開きます
第1-特-6表 GGIの全体と4分野ごとの順位と数値表

第1-特-7表 日本のGGIの内訳 別ウインドウで開きます
第1-特-7表 日本のGGIの内訳