平成19年版男女共同参画白書

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第3節 様々な分野における女性の参画

(着実に増加する司法分野における女性割合)

裁判官,検察官,弁護士に占める女性割合は,着実に増加している。特に検察官に占める女性の割合は,平成18年に初めて1割を超え10.2%となっている。

司法試験合格者に占める女性割合は,年によって増減があるが,平成18年度は旧司法試験については21.5%,新司法試験については22.6%であり,近年減少傾向にある。しかし,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院において女子学生の比率は約3割を占めていることから,今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される(第1-1-10図)。

第1-1-10図 司法分野における女性割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-1-10図 司法分野における女性割合の推移

(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画)

農林水産業に従事する女性は,それぞれの産業の重要な担い手であるとともに,地域社会の維持・活性化に大きく貢献している。

しかしながら,農業委員会,農業協同組合,沿海地区出資漁業協同組合など,地域における政策・方針決定過程への女性の参画は徐々に増加しているものの,その比率はまだ低いものとなっている(第1-1-11表)。

第1-1-11表 就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合 別ウインドウで開きます
第1-1-11表 就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合

(メディアにおける女性の参画)

新聞や放送などのメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることを防止したり,性・暴力表現の規制等,メディアが自主的に女性の人権に配慮した表現を行うように取り組んでいく上で重要な役割を果たすものと期待されている。新聞及び放送業界における女性の参画状況についてみると,新聞,民間テレビ・ラジオ,日本放送協会の全従業員に占める女性の割合,女性記者の割合,管理職割合は全体として徐々にではあるが進展している(第1-1-12図)。

第1-1-12図 各種メディアにおける女性の割合 別ウインドウで開きます
第1-1-12図 各種メディアにおける女性の割合

(人間開発に関する指標)

2006(平成18)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,我が国は人間開発指数(HDI)が測定可能な177か国中7位,ジェンダー開発指数(GDI)が測定可能な136か国中13位であるのに対し,ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は測定可能な75か国中42位となっている。GEMの順位はHDI,GDIの順位に比して低く,日本は,人間開発の達成度では実績を上げているが,女性が政治経済活動に参加し,意思決定に参加する機会が不十分であることが分かる。

GEMの上位5か国は,ノルウェー,スウェーデン,アイスランド,デンマーク,ベルギーであるが,これらの国では,HDI及びGEMの順位がともに高くなっている(第1-1-13表)。

第1-1-13表 HDI,GDI,GEMの上位50か国 別ウインドウで開きます
第1-1-13表 HDI,GDI,GEMの上位50か国

(注)

HDI 人間開発指数(Human Development Index)

「長寿を全うできる健康的な生活」,「教育」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を簡略化した指数。具体的には,平均寿命,教育水準(成人識字率と就学率),調整済み一人当たり国民所得を用いて算出している。

GDI ジェンダー開発指数(Gender-Related Development Index)

HDIと同じ側面の達成度を測定するものであるが,その際,女性と男性の間でみられる達成度の不平等に注目したもの。

HDIと同様に平均寿命,教育水準,国民所得を用いつつ,これらにおける男女間格差が不利になるようなペナルティーを科すことにより算出しており,「ジェンダーの不平等を調整したHDI」と位置付けることができる。

GEM ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)

女性が政治及び経済活動に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。HDIが人間開発の達成度に焦点を当てているのに対して,GEMは,能力を活用する機会に焦点を当てている。 具体的には,国会議員に占める女性割合,専門職・技術職に占める女性割合,管理職に占める女性割合,男女の推定所得を用いて算出している。

(コラム:2020年までに指導的地位の女性割合を30%に)