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第5章 女性に対する暴力
(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)
警察庁の統計によると,平成16年中に検挙した配偶者(内縁関係を含む)間における殺人,傷害,暴行は1,694件,そのうち1,554件(91.7%)は女性が被害者となった事件である。
女性が被害者となった割合は,殺人はやや低くなっているが,傷害は1,198件中1,143件(95.4%),暴行は290件中284件(97.9%),とそれぞれ高い割合になっており,配偶者間における暴力の被害者は多くの場合女性であることが明らかになっている。
(近年増加する夫から妻への暴力の検挙件数)
配偶者間における犯罪のうち女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると,暴行,傷害がそれぞれ平成12年以降,大幅に増加していたが,16年においては,暴行284件で前年よりも54件(23.5%)の増加,傷害が1,143件で68件(5.6%)の減少となっている(第28図)。
(性犯罪の実態)
警察庁の統計によると,平成16年における強姦の認知件数は5年連続2,000件を超えて2,176件となったが,前年に比べ296件(12.0%)減少した。
強制わいせつの認知件数は,平成11年以降毎年増加していたが,16年では9,184件と,前年に比べ845件(8.4%)減少している。なお,警察では,女性警察官による事情聴取の拡大,相談電話の設置等,被害申告を促進するための施策を中心とした性犯罪被害者対策を推進している。
(売買春の実態)
平成16年の売春関係事犯送致件数は2,605件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は1,954人となっており,未成年者が占める割合は36.1%で,前年に比べ,10.3ポイント増加している。
(セクシュアル・ハラスメントの実態)
平成15年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は7,403件で,前年度に比べ279件(3.6%)減少しており,そのうち,女性労働者等からの相談件数は5,924件(80.0%)で,前年度と同数となっている。
(ストーカー行為の実態)
平成16年中に警察庁に報告のあったストーカー事案の認知件数は,1万3,403件で,前年と比べ1,480件(12.4%)増加している。また,被害者の86.2%が女性で行為者の90.3%が男性となっている。