男女共同参画社会基本法(条文)
| 改正 |
平成十一年 七月 十六日法律第 百二号 同 十一年十二月二十二日同 第百六十号 |
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。
一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。
このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。
ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。
(目的)
第一条 この法律は、男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(男女の人権の尊重)
第三条 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
(社会における制度又は慣行についての配慮)
第四条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
(政策等の立案及び決定への共同参画)
第五条 男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、国若しくは地方公共団体における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
(家庭生活における活動と他の活動の両立)
第六条 男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
(国際的協調)
第七条 男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、男女共同参画社会の形成は、国際的協調の下に行われなければならない。
(国の責務)
第八条 国は、第三条から前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第九条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国民の責務)
第十条 国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十一条 政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第十二条 政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第十五条 国及び地方公共団体は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会の形成に配慮しなければならない。
(国民の理解を深めるための措置)
第十六条 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、基本理念に関する国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。
(苦情の処理等)
第十七条 国は、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情の処理のために必要な措置及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講じなければならない。
(調査研究)
第十八条 国は、社会における制度又は慣行が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響に関する調査研究その他の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するように努めるものとする。
(国際的協調のための措置)
第十九条 国は、男女共同参画社会の形成を国際的協調の下に促進するため、外国政府又は国際機関との情報の交換その他男女共同参画社会の形成に関する国際的な相互協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(地方公共団体及び民間の団体に対する支援)
第二十条 国は、地方公共団体が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策及び民間の団体が男女共同参画社会の形成の促進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(設置)
第二十一条 内閣府に、男女共同参画会議(以下「会議」という。)を置く。
(組織)
第二十三条 会議は、議長及び議員二十四人以内をもって組織する。
(議長)
第二十四条 議長は、内閣官房長官をもって充てる。
2 議長は、会務を総理する。
(議員の任期)
第二十六条 前条第一項第二号の議員の任期は、二年とする。ただし、補欠の議員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 前条第一項第二号の議員は、再任されることができる。
(資料提出の要求等)
第二十七条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、監視又は調査に必要な資料その他の資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(政令への委任)
第二十八条 この章に定めるもののほか、会議の組織及び議員その他の職員その他会議に関し必要な事項は、政令で定める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(男女共同参画審議会設置法の廃止)
第二条 男女共同参画審議会設置法(平成九年法律第七号)は、廃止する。
附 則 (平成十一年七月十六日法律第百二号) 抄
附 則 (平成十一年十二月二十二日法律第百六十号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(以下略)
| 一 | 政策等の立案及び決定への共同参画は、男女共同参画社会の形成に当たり不可欠のものであることにかんがみ、その実態を踏まえ、国及び地方公共団体において、積極的改 善措置の積極的活用も図ることにより、その着実な進展を図ること。 |
| 一 | 家庭生活における活動と他の活動の両立については、ILO第156号条約の趣旨に沿い、家庭生活と職業生活の両立の重要性に留意しつつ、両立のための環境整備を早急に進 めるとともに、特に、子の養育、家族の介護については、社会も共に担うという認識に立って、その社会的支援の充実強化を図ること。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の策定に当たっては、現行の法制度についても広範にわたり検討を加えるとともに、施策の実施に必要な法制上又は財政上の措 置を適宣適切に講ずること。 |
| 一 | 女性に対する暴力の根絶が女性の人権の確立にとって欠くことができないものであることにかんがみ、あらゆる形態の女性に対する暴力の根絶に向けて積極的に取り組むこと。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進については、男女共同参画会議の調査及び監視機能が十全に発揮されるよう、民間からの人材の登用を含め、体制を充 実させること。 |
| 一 | 本法の基本理念に対する国民の理解を深めるために、教育活動及び広報活動等の措置を積極的に講じること。 |
| 一 | 各事業者が、基本理念にのっとり、男女共同参画社会を形成する責務を自覚するよう適切な指導を行うこと。 |
| 一 | 苦情の処理及び人権が侵害された場合における被害者救済のための措置については、オンブズパーソン的機能を含めて検討し、苦情処理及び被害者救済の実効性を確保でき る制度とすること。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成を国際的協調の下に促進するため、女子差別撤廃条約その他我が国が締結している国際約束を誠実に履行するため必要な措置を講ずるとともに、男 女共同参画の視点に立った国際協力の一層の推進に努めること。 |
| 一 | 家庭生活における活動と他の活動の両立については、ILO第156号条約の趣旨に沿い、両立のための環境整備を早急に進めるとともに、特に、子の養育、家族の介護について は、社会も共に責任を担うという認識に立って、その社会的支援の充実強化を図ること。 |
| 一 | 女性に対する暴力の根絶が女性の人権の確立にとって欠くことができないものであることにかんがみ、あらゆる形態の女性に対する暴力の根絶に向けて積極的に取り組むこと。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の策定に当たっては、性別によるあらゆる差別をなくすよう、現行の諸制度についても検討を加えるとともに、施策の実施に必要な 法政上又は財政上の措置を適切に講ずること。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進に当たっては、その施策の推進体制における調査及び監視機能が十分に発揮されるよう、民間からの人材の登用を含め、 その体制の整備の強化を図ること。 |
| 一 | 各事業者が、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与する責務を有することを自覚して、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図るよう、適切な 指導を行うこと。 |
| 一 | 男女共同参画社会の形成には、男女の人権の尊重が欠かせないことにかんがみ、苦情の処理及び被害者の救済が十分図られるよう、実効性のある制度の確立に努めること。 |