特集4
男女共同参画推進連携会議におけるチーム活動報告
内閣府男女共同参画局総務課
男女共同参画推進連携会議(以下「推進連携会議」という。)では、議員の任期ごとに、男女共同参画推進に関する個別のテーマ・課題に応じたチームを構成し、具体的、実践的活動を行っています。2023年8月から2025年8月までの2年間は、「男女間賃金格差」チームと「若年層の性別役割意識」チームが活動しました。
「男女間賃金格差」チーム
「男女間賃金格差」チームは、組織に存在するジェンダー格差が数値となって表れる男女間賃金格差に焦点を当て、実態、要因、課題をセクター・企業規模別等で分析し、是正に向けた有益な情報を共有することで、企業等に実践を促すことを目指し、活動を開始しました。
令和7年7月28日(月)に開催したシンポジウム(オンライン)では、大企業と地方・中小企業に分けて実態や課題の把握・分析の結果を報告しました。
・基調講演
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 明治大学政治経済学部教授  | 
 原 ひろみ氏  | 
観察できる男女間の賃金格差は、知識やスキルなどの人的資本の男女差で「説明できる格差」と、主にジェンダーバイアスに起因する「説明できない格差」に分解でき、日本の観察できる格差の半分以上が後者であるという分析結果を報告しました。また、諸外国における男女の賃金情報開示施策の効果に関する研究も紹介しました。
・大企業と地方・中小企業における課題と好事例
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 パネリスト  | 
 株式会社大和総研主任研究員  | 
 是枝 俊悟氏  | 
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 NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事/株式会社日本ギャップ解決研究所代表取締役所長  | 
 塚越 学氏  | 
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 アサヒグループホールディングス株式会社取締役 兼 代表執行役社長 Group CEO  | 
 勝木 敦志氏  | 
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 一般社団法人全国信用金庫協会人事管理部長  | 
 斎藤 裕樹氏  | 
登壇者の主な発言は以下の通りです。
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                     ・大企業における課題は、女性の就業継続と役職登用であり、勤続年数と役職者比率の男女差が賃金格差に大きく関係している。  | 
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                     ・採用・育成・登用の各段階で男女間賃金格差是正の施策を推進する中、女性を管理職として積極的に採用した結果、女性の平均賃金が向上し、構造的格差是正に寄与した。  | 
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                     ・好事例企業の共通点として、男女の賃金差異を計算したことで客観的に見える化され、今後やるべきことが明確化したという声が多い。 ・啓発だけでなく、仕組みや育成、評価制度を変えることも必要である。  | 
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                     ・信用金庫を対象とした定期的な「女性活躍推進見える化調査」の実施・結果還元や、取組事例集の作成などを通じて、信用金庫における女性活躍推進の取組を支援している。  | 
・パネルディスカッション
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 コーディネーター  | 
 株式会社Will Lab 代表取締役  | 
 小安 美和氏  | 
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 パネリスト  | 
 株式会社はたらクリエイト代表取締役  | 
 井上 拓磨氏  | 
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 気仙沼市長  | 
 菅原 茂氏  | 
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 中小企業家同友会全国協議会女性部連絡会代表  | 
 橋本久美子氏  | 
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 株式会社フジワラテクノアート代表取締役副社長  | 
 藤原 加奈氏  | 
登壇者の主な発言は以下の通りです。
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                     ・女性が非正規雇用になってもキャリアアップができることを目指し、子育て中の女性が働きやすい会社づくりと自己効力感を高める取組推進が重要である。  | 
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                     ・アンコンシャス・バイアスにより、これまで女性の職業機会が制限されてきたと考えられることから、ジェンダーギャップ解消の推進など誰もが活躍できるための取組が重要である。  | 
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                     ・女性の社会進出の障壁は、固定的役割意識による男性の家庭参画の遅れと、そうした社会に影響された女性の意識であり、性別を問わず自立意識を育てることが重要だと考える。  | 
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                     ・マジョリティーである男性の意識改革が重要であり、男性が変わると女性も貢献をしたいという前向きな気持ちに変わってくると考える。  | 
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                     ・男女賃金格差の是正は評価や昇進の仕組みを見直す契機となり、誰もが働きやすく、働きがいのある職場づくりにつながる。  | 
「男女間賃金格差」チームの活動はこちら
                    https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/WEPs/weps.html
                    
「若年層の性別役割意識」チーム
「若年層の性別役割意識」チームは、先行調査・研究を基に、若年層(16~25歳を想定)に性別役割意識を生じさせる要因や、その影響について仮説を立て、連携会議構成団体と連携しながら、若年層の性別役割意識に関するデータを充実させるための調査を実施しました。また、調査結果を踏まえ、若年層の固定的な性別役割意識を解消するために有効な方策の検討・実証や、好事例を収集しました。
アンケートでは、18歳~26歳の未婚者3000名(性別で均等割り付け)を対象に、就労やキャリア、家族観等について尋ね、若年層の性別役割意識の実態とその形成にどういった要因が影響しているか分析しました。
今回実施した「若年層の性別役割意識に関するアンケート」の調査結果をもとに、2025年8月11日(月・祝)大阪・関西万博 ウーマンズパビリオンにてトークセッションが行われました。
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 ファシリテーター  | 
 NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事/株式会社日本ギャップ解決研究所代表取締役所長  | 
 塚越 学氏  | 
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 パネリスト  | 
 公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンアドボカシーグループリーダー  | 
 長島 美紀氏  | 
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 法政大学教授  | 
 山田 久氏  | 
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 一般社団法人GENCOURAGE代表理事  | 
 櫻井 彩乃氏  | 
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 NPO法人mimosas副理事  | 
 横井 桃子氏  | 
・身近に関係する人からの影響
櫻井氏は、若年層の性別役割意識には、複数の要因が複雑に絡み合いながら形成されていると述べ、その中でも身近な存在である保護者のキャリアや家庭の中での役割分担、将来像に大きく関係している可能性があるとコメントしました。
長島氏は、若年層の回答は、保護者の就労状況と連動しており、母親が就労している場合と専業主婦に近い場合では、家事労働の分担について考え方も異なることを述べました。
・各種メディアの影響
山田氏は、保護者以外に家族観に影響を与えた人やものに着目し、アニメ・マンガ、SNSインフルエンサーの影響を受けやすいことから、若年層での平等な性別役割分担意識を定着させていくためには、性別役割意識について行政やメディア等が啓蒙していくことが重要な取組の1つであると述べました。
当日の様子は、男女共同参画局ホームページよりご視聴ください。

                    左から順に塚越氏、長島氏、櫻井氏、横井氏、山田氏
「若年層の性別役割意識」チーム活動はこちら
                    https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/jisedai/jisedai.html
                    
 







