「共同参画」2025年3・4月号

特集2

ダイバーシティ・マネジメントセミナーを開催しました

内閣府男女共同参画局推進課

2025年1月29日、内閣府男女共同参画局は、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」という。)と共催で、「女性登用のパイプライン強化のために企業ができること~経営視点から見る女性活躍と具体的取組事例~」をテーマに、ダイバーシティ・マネジメントセミナーをオンラインで開催し、全国から1,000名に迫る参加申込みがありました。

カルビー株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 江原信⽒より基調講演をいただくとともに、株式会社トリドールホールディングス ハピネス・ヒューマンサポート本部 ハピネスカルチャー推進部 部長 古川雅代⽒より、データを活用した具体的な取組事例について講演いただきました。

概要は以下のとおりです。

基調講演「多様性を尊重した「全員活躍」の推進」(江原氏)

江原氏のご講演の様子
江原氏のご講演の様子


カルビーグループは、企業の成長に最も重要な資産は人財であるとの認識の下、多様性を重視した従業員の「全員活躍」を推進している。とりわけ、約半数を占める女性の活躍を推進するため、2030年度までに女性管理職比率30%超とする目標を掲げ、現時点で24.8%に達している。ダイバーシティ経営を本格的に開始した2010年当初は、同比率が6%未満だったが、取締役会の多様化を進め、経営の監視体制を強化したほか、各事業本部にKPIを設け、女性管理職の着実な登用を推進した。

また、生産・営業部門における女性管理職比率の低さが課題であったため、2019年より「女性リーダー育成プログラム」を導入し、パイプラインの強化を図ると共に、リーダーシップ研修やメンター制度を通じて管理職候補の育成を進めている。さらに、管理職への昇進後も長く活躍できるよう、トレーニングや社内外とのネットワーキングの機会を拡充すると同時に、フレックスタイム制やリモートワークの拡充、男性の育児休業取得推進など、柔軟な働き方を推進し、職場環境の改善にも取り組んでいる。


当日のご講演資料 抜粋
当日のご講演資料 抜粋


加えて、女性活躍にとどまらず、DE&Iの取組を強化しており、2007年に特例子会社「カルビー・イートーク」を設立し、重度知的障がい者の雇用を支援。シニア社員に対しては、再雇用制度を拡充し、専門性を有する社員には現役時代と同等の待遇を適用する仕組みを2024年に導入した。また、LGBTQ支援として、同性パートナーにも福利厚生を適用しているほか、公平な評価基準を整備している。今後は本部長・執行役員クラスの女性比率向上を目指し、管理職から経営層への途切れない人財育成を進めていく。


当日のご講演資料 抜粋
当日のご講演資料 抜粋


「全員活躍」の実現には、経営層と従業員が相互理解を深め、一人ひとりの潜在能力や強みを引き出すことが重要である。経営層が積極的に全体方針や成長戦略の理解浸透を図り、従業員自らが行動に移していくことで、継続に成長する強い企業を目指す。

事例紹介「女性活躍推進の取組事例と賃金差異の要因分析から見えた課題」(古川氏)

古川氏のご講演の様子
古川氏のご講演の様子


トリドールホールディングスは、女性活躍推進における課題抽出のため、社内の男女間賃金差異を分析した。その結果、非正規雇用労働者においては、勤続年数の長さを背景に女性の賃金が男性よりも高く(125.9%)、その一方で正規労働者では女性の賃金は男性よりも低い(81.1%)という実態が浮かび上がった。要因として、正規労働者の女性の勤続年数が短いこと、管理職比率が低いことが挙げられ、特に育児・介護との両立が女性のキャリア継続を妨げる大きな障壁となっていることが判明した。この課題に対し、妊娠~復職後にかけて対象者に専属のサポーターをつけ、定期的な面談や円滑な復職をサポートするサポーター制度を開始した。また、ポジティブアクションにより、事業子会社にて女性管理職が誕生している中で、管理職候補となる女性社員を対象に座談会を実施し、トップメッセージ発信による管理職意欲の向上や課題の抽出を図っている。


当日のご講演資料 抜粋
当日のご講演資料 抜粋


当日のご講演資料 抜粋
当日のご講演資料 抜粋


さらに、D&Iの取組はLGBTQやシニア雇用、外国籍従業員の支援など多岐にわたる。特例子会社「D&I」を設立し、障がい者雇用を促進するとともに、LGBTQの社員が安心して働ける環境を整備。D&Iは企業の競争力向上に直結するため、データを活用し、現場に根付く形で施策を進めることが重要である。

(経団連タイムス2025年2月27日号 No.3673を基に改編)


セミナーの詳細は、こちらをご覧ください。
当日の資料やアーカイブ配信は、こちらからご確認いただけます。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/event/meeting.html

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