特集1
第44回男女共同参画推進連携会議全体会議報告
内閣府男女共同参画局総務課
令和6年12月3日(火)、第44回男女共同参画推進連携会議 全体会議を対面及びオンラインのハイブリッド形式で開催しました。
男女共同参画推進連携会議(以下、連携会議)は、男女共同参画社会づくりに関し、広く各界各層に所属する議員が情報・意見交換を行いつつ、必要な連携を図り、男女共同参画に関する国民的な取組を推進するため発足しました。
現在、14人の有識者議員と、全国で活動を展開している様々な団体から推薦された106人の議員で構成されており、政府の施策や国際的な動き等をもとに男女共同参画社会の実現に向けた取組を積極的に推進しています。
このたび中央合同庁舎8号館講堂(東京・千代田区)に於いて、アキレス美知子議長(三井住友信託銀行取締役他)進行のもと、5年ぶりに対面開催(オンライン併用)された第44回全体会議の議事内容を報告します。
開会挨拶
会議冒頭、岡田男女共同参画局長より、連携会議発足の趣旨を踏まえて、分野・職域・年代の垣根を超えた各界各層の代表による活発な議論に期待を寄せる旨の挨拶がありました。
また、女性活躍・男女共同参画の重点方針2024(令和6年6月11日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)について、「人材の育成」を基軸とした持続的で広がりのある取組を推進するための施策が掲げられていること、連携会議のチーム活動の今期テーマはそうした政府方針と関係が深いことについて説明がありました。
岡田男女共同参画局長による開会挨拶
各チームからの活動報告
今期のチーム活動について、各チームのコーディネーターより、現状と今後の進め方を以下のとおり報告がありました。
① 若年層の性別役割意識チーム
【これまでの活動経過について】
山田久議員(法政大学経営大学院教授)から、チーム活動の方針に関して、先行調査によれば若年(20・30代)の男性において強い性別役割意識を有する結果が見られることを背景に、その要因や影響についての検討・分析を行い、固定的な性別役割意識解消のための方策検討していくことを目的とする旨の説明がありました。
これまでの活動として、先行研究調査を基とした問題意識の絞り込み、独自アンケートとしての設問検討と調査の実施をしています。
【アンケート調査の実施について】
独自アンケート調査(若年層(18~26歳)の男女3,000名を対象に実施)の状況については、長島美紀議員(公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン アドボカシーグループリーダー)から、ローデータを用いた概要報告がありました。
調査の項目には、若者がイメージする将来の家庭像として、夫婦間における世帯収入や家事労働のバランスや、パートナーのキャリア形成に対する考え方、また、若者の意識形成に影響を与えたであろう保護者や身近な教育者の考え方について問うものがあり、ローデータから見られる回答の傾向値には多くの参加者の関心を集めました。
同チームでは、引き続きクロス集計やチーム内の討議を重ねながら、さらに具体的な検討を行っていく方針です。
② 男女間賃金格差チーム
【業界別分析チームの活動進捗】
塚越学議員(㈱日本ギャップ解決研究所代表取締役)より、男女間賃金格差の実態分析として複数の有識者(大学教授、調査研究機関研究員等)に対してヒアリングを行った旨の報告がありました。
ヒアリングの結果については、企業規模によって男女間賃金格差の生じる構図が異なり、大企業では「女性の就業継続と役員登用」、中小企業では「人事制度や評価制度の確立」が優先課題となる等の考えがまとめられています。
また、業務タスクの割り当てにおける男女の差異や、ライフイベントに伴う転職機会が賃金に影響を与える可能性についても、チームとしての仮説や有識者へのヒアリングから見えた実態など報告がありました。
【地方・中小企業チームの活動進捗】
小安美和議員(㈱Will Lab代表取締役)より、現状では地方・中小企業における賃金格差是正の取組事例が少ないことから、モデルづくりとシンポジウムでの提言を目標とする旨の報告がありました。
<地方における男女間賃金格差>
都道府県別の賃金格差データなど、現状を可視化することは意義深く、数値の公表によって地方自治体の取組加速が期待できると考えている。男女間の賃金格差が地方からの女性の転出につながる可能性についても示したい。
若年層の性別役割意識チームによる報告資料(アンケート調査の実施について)抜粋
男女間賃金格差チームによる報告資料(地方・中小企業チームの活動進捗)抜粋
<企業内での男女間賃金格差(中小企業)>
中小企業の特徴として、「説明できない格差」が大企業に比べ大きいことが挙げられる。人事制度の不足や運用面の課題を明確にしていく必要がある。
<今後の活動の方針>
引き続き、地方自治体や各業界団体との連携による実態把握を行いながら、広く企業が参考にできる取組事例を示したい。企業の意識変革促進、女性就労者のマインド醸成ができればと考えている。
グループディスカッション
会議の後半は、チーム活動や2024年6月に決定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」の内容に沿った4つのテーマに分かれて、グループディスカッションが行われました。
出席者からは「女性リーダーの育成など団体としてできることから取り組みたい。」「これを機に業界同士の横のつながりを強化し、共通の課題を議論するなど解決策を模索していきたい。」などの積極的な意見が出されました。
連携会議では、今後も男女共同参画社会の実現に向けた取組を積極的に推進していきます。
議事進行を行うアキレス議長
5年ぶりに対面で行ったグループディスカッションでの発表の様子
各チームからの報告資料や議事概要は男女共同参画局ホームページを参照ください。
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/zentai/44z.html