「共同参画」2024年9月号

トピックス3

フリーランス・事業者間取引適正化等法が令和6年11月から施行されます

厚生労働省・公正取引委員会・中小企業庁


フリーランスの実態

近年、多様な業種で、フリーランスとして働く方が増えています。一方、フリーランスは「個人」で業務を行う形態のため、「組織」として事業を行う企業等の発注事業者との間で交渉力などに格差が生じやすくなります。そのため、「報酬が支払われなかった」「ハラスメントを受けた」等のトラブルの増加が問題となっています。

フリーランス・事業者間取引適正化等法について

このような状況を改善し、フリーランスが安心して働くことのできる環境を整備するため、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」(以下、「本法」)が、今年11月1日から施行されます。

本法の対象となる取引と当事者の定義について

本法の対象となるのは、事業者からフリーランスへの業務委託に係る取引です。


「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」p.4から抜粋


本法の対象となるフリーランスは、業務委託の相手方である事業者であって次の①、②のいずれかに該当するものです。

①個人であって、従業員を使用しないもの

②法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しないもの

また、本法の主な規制対象となる発注事業者は、フリーランスに業務を発注する事業者であって、次の①、②のいずれかに該当するものです。

①個人であって、従業員を使用するもの

②法人であって、役員がいる、または、従業員を使用するもの

法の目的と内容

この法律は、フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、

①フリーランスと発注事業者との間の取引の適正化

②フリーランスの就業環境の整備

を図ることを目的としています。

(1)取引の適正化

■書面等による取引条件の明示

フリーランスに業務を発注した場合、直ちに発注事業者は委託する業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を書面または電磁的方法(電子メール等)により明示しなくてはなりません。

なお、取引条件の明示義務は、発注事業者がフリーランスである場合にも課される義務となります。

■支払期日における報酬の支払

発注事業者は、フリーランスから発注した物品を受領した日または役務の提供を受けた日から60日以内のできる限り短い期間内で報酬の支払期日を設定し、期日内に支払わなくてはなりません。


「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」p.10から抜粋


なお、委託した業務が他の事業者(元委託者)からの再委託である場合、発注事業者は、必要事項を明示すれば、元委託者の支払期日から起算して30日以内のできる限り短い期間内にフリーランスに対して報酬を支払うことが可能となっています。

■発注事業者の遵守事項

フリーランスに1か月以上の業務委託をしている発注事業者には①受領拒否、②報酬の減額、③返品、④買いたたき、⑤購入・利用強制、⑥不当な経済上の利益の提供要請、⑦不当な給付内容の変更・やり直しの7つの禁止行為が定められています。

(2)就業環境の整備

■募集情報の的確表示

発注事業者は広告等によりフリーランスを募集する際は、その情報について、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、提供した後の募集情報について、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。


「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」p.19から抜粋


■育児介護等と業務の両立に対する配慮

発注事業者は、6か月以上にわたって業務を委託するフリーランスから育児・介護等の配慮に関する申出があった場合、妊娠、出産もしくは育児または介護などと業務の両立ができるよう、必要な配慮を行わなければなりません。また、業務委託の期間が6か月未満のフリーランスから申出があった場合も、必要な配慮をするよう努めなければなりません。

■ハラスメント対策に係る体制整備

発注事業者は、フリーランスに対するハラスメント(セクハラ、マタハラ、パワハラ)に起因してフリーランスの就業環境が害されることがないよう、適切に対応するために相談体制の整備など必要な措置を講じなければなりません。また、フリーランスがハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由として、契約の解除等の不利益な取扱いをしてはなりません。

■中途解除等の事前予告・理由開示

発注事業者は、6か月以上の期間で行う業務委託について、その契約を中途解除する場合や、契約満了後に更新しない場合は、災害その他やむを得ない事由により予告が困難な例外事由に該当する場合を除き、解除日または契約満了日の30日前までにその旨を予告しなければなりません。

また、予告した日から契約が満了する日までの間にフリーランスから、契約解除や契約不更新の理由の開示を求められた場合、発注事業者は、例外事由に該当する場合を除き、その理由を遅滞なく開示しなければなりません。

おわりに

フリーランスに業務を発注している事業者、今後フリーランスに業務の発注を考えている事業者は、本法の内容を十分に理解し、必要な体制を整える必要があります。法が施行される11月1日までに、しっかりと準備を進めましょう。


法律の内容等の詳細はこちらをご覧ください。
厚生労働省ウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html


公正取引委員会ウェブサイト
https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html


中小企業庁ウェブサイト
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html


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