「共同参画」2024年9月号

特集3

Special series vol.3
兵庫県豊岡市の挑戦
「ジェンダーギャップの解消」
~地域住民、女性、市役所の横断的な取組~

豊岡市多様性推進・ジェンダーギャップ対策課

2021年3月に策定した「豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略」に沿って、職場、地域、家庭、学校などの分野・対象ごとに体系的に取組を進めています。

今号では、地域におけるジェンダーギャップ解消の取組と地域の変化や、政治・経済・地域などの各分野で活躍する女性の人材育成プログラムの取組と成果、市役所内の横断的な取組についてご紹介します。

地域におけるジェンダーギャップ解消の取組

市民の理解拡大と浸透に向けた取組として、まちのジェンダーギャップ解消を進める地域啓発推進アドバイザーの萩原なつ子氏(独立行政法人国立女性教育会館理事長)による研修・ワークショップを開催しています。

概ね小学校区単位にある地域コミュニティ組織29地区の会長・役員・地域マネージャーや行政区(自治会)359区の区長等役員、教員、保育士・保育教諭などを対象に実施し、まずは無意識の偏見や思い込み、固定観念に気づくことから、意識・行動変革を促しています。

また、意識啓発用オリジナル漫画を作成し、市広報やホームページに掲載するなど、市民にわかりやすく伝える工夫をしています。


豊岡市区長連合会研修(円卓意見交換)
豊岡市区長連合会研修(円卓意見交換)


今年度の地域における取組では、地域コミュニティ組織で、女性のよるカフェ(夜×寄る)を開催しました。「男は一家の大黒柱として、家庭を支えるものだ。」「地域の会合(自治会等)で、女性が意見をいうと気が強い、でしゃばりと思われる。」などの項目に、「YES」「NO」で答えるジェンダーチェックシートを活用し、グループ内でどこにチェックをしたか、どんな項目で意見が分かれたかなどについて話し合いました。暮らしの中のジェンダーに関するもやもやを共有し、ジェンダーギャップに関する理解を深め、明日から取り組みたいことなどについて意見交換をしました。

また、29地区の地域マネージャーを対象に、「災害とジェンダー」をテーマに研修・ワークショップを行いました。災害時において男女で受ける影響やニーズの違いなどをデータで確認し、今までに起きた大規模災害時におけるジェンダー課題について学びました。ジェンダーは全ての脆弱性要因(高齢者、障がい者、子ども、外国人、性自認・性別自認、国籍、傷病者等)の横断的要因であるという視点を持つことの重要性への理解を深め、①ジェンダーの視点を踏まえてどのような地域防災を行ったらよいか、②いろいろな人が参加できる地域防災イベントのアイデアについて話し合いました。


地域コミュニティ組織で開催した「女性のよるカフェ」
地域コミュニティ組織で開催した「女性のよるカフェ」


地域における変化

・地域づくりに男女の視点を入れるための仕組みの検討・実施。(役員の男女バランスに配慮、女性も参加しやすい会議の時間帯や曜日を設定、役職や性別にかかわらず誰もが発言しやすい雰囲気づくりなど。)

・代議員への女性の参画促進に向け、女性が参画できるように規約を改正。(クオータ制の導入)

・個人の能力と男女バランスに配慮して選考した結果、三役が男女半々となる。

・女性や若者の参画促進に向け、子育て世代の住民による委員会を立ち上げ、地域コミュニティ組織の名称を、地域住民の応募により親しみやすい名称に変更。

・地域の祭りや運動会における性別役割分担を見直し。

・行政区で、男女が参画する事業見直し検討委員会を設置し、ジェンダー意識などを含む区民アンケート調査を行い、事業見直しへの答申を区長に提出。

・行政区の総会の議決権について、世帯1票制から住民1票制に変更。

・家庭内での家事・育児分担や子どもや孫への関わり、声掛けを見直すきっかけとなる。(男の子だから、女の子だからではなく自分らしさ、個性を尊重する。)

・ジェンダーギャップの問題には、ジェネレーションギャップも深く関係しており、世代間での対話の機会を持つ。

リーダーシップを発揮する女性を育成

政治、経済、地域などの各分野で活躍する女性を育成しようと女性のための人材育成プログラム「豊岡みらいチャレンジ塾」を2022年度から実施し3年目となります。全5回の講座を通して、一歩を踏み出す女性の後押しをしています。(2022年度34人・2023年度23人 延べ57人受講修了)

また、受講者同士のネットワークが構築され、学び合いや異業種交流が生まれています。

修了生の主なチャレンジは次のとおりです。

・外国人観光客向けのゲストハウスや社会保険労務士事務所などの開業。

・城崎町湯島財産区議会議員選挙に立候補。設置から約130年で女性では初の議員となる。

・職場でのリーダーや管理職となる。

・女性経営者が経営変革に取り組む。

・コラボ工場見学などを企画し、ふるさと教育、地域貢献を目指す。

・国家資格などの受験にチャレンジ。


豊岡みらいチャレンジ塾2023 チャレンジ宣言
豊岡みらいチャレンジ塾2023 チャレンジ宣言


市役所内の横断的な取組

市役所内に、部署を超えた「ジェンダーギャップ解消庁内推進委員会」を設置し、ジェンダー視点のある政策や事業について検討・実施しています。

全庁的な取組みとして、①市の審議会等委員の選考にあたり、女性の参画促進に向けて、委員の男女バランスに配慮して選考する。②市の主催・共催事業の登壇者などの男女バランスに配慮することなどを行っています。(※2024年度に、委員会名を変更)

また、男女別データに着目し、ジェンダー分析(有識者の知見を活用)を行い、ジェンダー視点をあらゆる施策に反映させるよう努めています。


「多様性推進・ジェンダーギャップ対策庁内検討委員会(市民委員との合同会議)」2024年度
「多様性推進・ジェンダーギャップ対策庁内検討委員会(市民委員との合同会議)」2024年度


詳しくは、こちらをご覧ください。
豊岡市ホームページ「ジェンダーギャップの解消」
https://www.city.toyooka.lg.jp/kurashi/1007000/index.html


内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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