「共同参画」2024年5月号

トピックス2

ダイバーシティ・マネジメントセミナーの開催

内閣府男女共同参画局推進課


2024年3月6日、内閣府男女共同参画局は、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」という。)と共催で、「女性登用をより一層加速化するために、企業に求められていること~経営の視点から見る我が国の女性リーダーの登
用~」をテーマに、ダイバーシティ・マネジメントセミナーをオンラインで開催し、全国から1,000名に迫る参加申込みがありました。

経団連副会長でアサヒグループホールディングス株式会社 取締役会長 兼 取締役会議長の小路明善氏による基調講演の後、SWCC株式会社 代表取締役社長の長谷川隆代氏、東京都立大学大学院経営学研究科 教授の松田千恵子氏が、経営の視点から見るダイバーシティの重要性について講演しました。

概要は以下のとおりです。

基調講演「DE&Iへの想いと取り組み」(小路氏)

アサヒグループにとってDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)は、組織と人のケイパビリティを強固にする形としての投資であり、そこから多様なイノベーションが生まれる。組織のなかで多文化と異文化の理解を促し、そのインクルージョンを高める集団を形成し、企業文化として創り上げていくことが、経営トップの重要な役割であると定めている。2030年までに女性経営者比率を40%にすることをKPI(重要業績評価指標)としているが、数値目標を達成することが目的ではない。登用された女性自らが活躍していることを実感することや、その活躍が会社の成長に結びつくことが重要である。

すでに部門のトップや関連会社の社長に就いている女性は複数いる。どんな仕事でも臨機応変に対応する汎用的能力や、物事を客観的に見て冷静な判断ができるメタ認知能力が非常に高いことが共通していると感じる。こうした能力を持つ人材を育成していき、経営トップが数値目標設定と女性の経営層登用を主導することが、ひいては、特定のジェンダーにとらわれず、多様なタレントの持続的な後継者育成とロールモデル育成につながると考える。


小路会長の基調講演の様子
小路会長の基調講演の様子


講演「異なる視点がつくる新たな可能性~SWCC(旧昭和電線)のD&I推進~」(長谷川氏)

18年にSWCC初の女性として「異質な」社長に就任してから、これまでと全く違う考え方を持ち、全く違うガバナンスによる非連続な改革を行ってきた。そうした結果、財務体質改善や株価向上などの成果につながった。その背景には多くの本音のぶつかり合いがあった。ジェンダーを問わず、安心感を持って多様な意見を正直にぶつけ合えて初めて、D&Iが経営において力を発揮することに気付いた。

会社のさらなる成長のためには、男性中心の職場にはなかった「真っ当でわきまえない意見」が欠かせない。社長直轄のダイバーシティ推進プロジェクト「SWCCarat」等を通じて経営陣に対して出た提案をなるべく受け入れ、対話を絶やすことなく意見を傾聴しながら、D&Iの力を有効に使い、これからも変革を進めたい。


長谷川社長のご講演の様子
長谷川社長のご講演の様子


講演「コーポレートガバナンスの視点から見るダイバーシティへの取組:現状と将来」(松田氏)

日本型経営システムからの脱却が求められている今、女性に限らずマイノリティの方々は大きなチャンスを迎えている。なぜなら、ジェンダーなどに拘らず、いかにプロフェッショナルであるかで評価される時代になってきているからだ。多様性にも、ジェンダーや国籍等のデモグラフィー型多様性と、その人が持っているキャリアや経験、知見等を切り口としたタスク型多様性がある。後者の多様性が高まるほど企業の業績が上がるとの研究結果もある。ダイバーシティの推進のためには、タスクの明確化やプロフェッショナル化が欠かせない。企業にはこうした視点での人事政策の変更や見直しに取り組んでもらいたい。


松田教授のご講演の様子
松田教授のご講演の様子

(経団連タイムス2024年4月4日 No. 3632を基に改編)


セミナーの詳細は、こちらをご覧ください。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/event/meeting.html

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019