「共同参画」2023年12月号

トピックス1

第7回理工系女子応援ネットワーク会議を開催

内閣府は令和5年10月25日(水)に「第7回 理工系女子応援ネットワーク会議」を開催しました。オンラインで開催し、全国から72団体・101名に出席いただきました。

内閣府男女共同参画局推進課


理工系女性人材の育成に係る基調講演

国立大学法人 電気通信大学より「匠ガールプロジェクトの概要と今後の展望」について、基調講演をいただきました。基調講演では、年度ごとのイベントの参加者数と志願者数の関係に着目し、将来に向けた長期的な視点が必要であることや、中高生を対象にしたイベント(ラボ体験)について、詳細なイベント内容をお話しいただきました。(参考:p9)電気通信大学では、ラボ体験以外にも、企業の研究所見学ツアーを共催したり、女子学生の母校訪問を実施したりと多岐にわたる取組を展開されています。今後の展望では、イベントの継続化・認知度向上、保護者へのアプローチ等が重要であることを説明いただき、広い視点から理工チャレンジ(リコチャレ)事業の重要性についてご講演いただきました。


電気通信大学発表資料
電気通信大学発表資料


夏のリコチャレ取組事例発表

事例発表①では、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(以下、「AWS」といいます。)に発表いただきました。AWSでは、リモートと現地参加でのハイブリット開催を試み、全国各地から集客可能になったというメリットや、リモート参加者には、現地参加の方以上にインタラクティブなやり取りが必要である等のノウハウを共有いただきました。また、参加者からのフィードバックや、参加者の知識に応じてコースを複数準備するなどのイベント設計時の工夫についてもご紹介いただきました。(参考:p10)

事例発表②では、スリーエムジャパン株式会社(以下、「3M」といいます。)の取組を発表いただきました。3Mは、理工チャレンジの活動が今年で5年目を迎えるということで、これまでの実績を踏まえ、昨年度までの活動で課題だった点や、今年度工夫されたこと等について発表いただきました。特に課題の一つであった集客を改善するための工夫として、SNS発信のみならず、メディアを活用したり、学校へ案内をしたりといった点は、イベント実施を検討している団体にとって大いに参考になりました。また、イベントの最後に1時間程度のフリータイムを設けることで、イベント参加者がそれぞれの興味・関心に応じてより詳しく質問ができる等の工夫点についてもご紹介いただきました。(参考:p10)


左:AWS発表資料、右:3M発表資料
左:AWS発表資料、右:3M発表資料


グループディスカッション

本会議には、夏のリコチャレや独自の取組によりイベントを実施いただいている団体、イベントの実施に興味のある団体、地方公共団体等、様々な団体に参加いただきました。グループディスカッションでは、イベントを実施した団体から工夫点やノウハウを共有いただいたほか、これからイベントを実施したいと考えている団体の疑問点を解消していただくなど、参加者の間で活発な意見交換がなされました。


「理工系女子応援ネットワーク会議」の詳細は下記リンクをご覧ください。
https://www.gender.go.jp/c-challenge/dantai.html



Special introduction

行政トピックス①でご紹介した「第7回理工系女子応援ネットワーク会議」で基調講演・事例発表をいただいた団体の取組について、さらにご紹介するとともに、理工系を目指す女子中高生へのメッセージをいただきました。

内閣府男女共同参画局総務課

匠ガールプロジェクトの概要と今後の展望

電気通信大学 男女共同参画・ダイバーシテイ戦略推進室
特任助教 片岡 寛子

電気通信大学では理工系分野に興味のある女子中高生を応援する「匠ガールプロジェクト」を実施しています。この匠ガールプロジェクトに関する概要と今後の展望についてご紹介させていただきます。匠ガールプロジェクトは、2017年から毎年継続して開催し、延べ600人以上の女子中高生にご参加いただいています。本学ではこのプロジェクトが女子学生比率の向上に効果があるのかについて検証したところ、匠ガールプロジェクトへの参加数と本学の志願数には対応があることがわかりました。そして、この対応は、匠ガールプロジェクトへ参加した時の参加者の学年によっては、受験学年になるまで数年かかることもあることから、数年遅れて現われることがわかっています。つまり、女子学生比率を上げるためには、継続して長期的な取組が必要であると言えます。

そのプロジェクトで何をするかについては、本年度は見学にとどまらず、「体験」に主眼を置きました。そうすると、女子中高生を受け入れる研究室の研究者にとって、最先端の研究を中高生向けにするために、新たに内容を設計する必要が出てきます。それは、常に多忙を極める研究者にとって、とても負荷が高いことです。そこで、本イベントを全学的に周知し、協力してくれる研究室に手を挙げてもらうことにしました。本学には80を超える研究室がありますが、本年度は16の研究室に参加を表明していただきました。これらの研究室には、若い世代にも最先端の研究に触れてほしいという研究者の思いもつまっており、私自身が電気通信大学の研究者の思いに感銘を受けた瞬間でもありました。

2023年度のラボ体験は、既に2回実施し、計100名近い女子中高生にご参加いただきました。12月と3月にも実施しますので、また多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

また、参加者の約半数は保護者の方も同伴されてご参加いただいております。今後は付き添いの保護者の方には、学術調査員によるUECミュージアムツアーも企画しておりますので、お子さんがラボ体験中に保護者の方もお楽しみいただけるよう工夫していきたいと考えています。

参加者に対して実施した事後アンケートでは、「面白かった」の割合が9割以上と高い満足度が得られました。このイベントに参加したことによる変化については、「科学技術や理科・数学に対する興味・関心が高まった」や「今後、理系の進路を前向きに選択しようと思うようになった」などの回答が多く見られました。さらには、「自分の将来を具体的に考えることができました」「私も将来化学系の仕事や、研究をしたい」などの感想も寄せられました。


エレクトロニクス志向の材料づくり~匠な物質科学と有機化学
エレクトロニクス志向の材料づくり~匠な物質科学と有機化学
(石田尚行研究室)


~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

自分の「興味」や「好き」という気持ちを大切に、進路を選択してください。それはこれから先、どの分野に進んでも、どこかで誰もが困難にぶつかることがあるかと思います。その時、その分野を「好き」で選択しているということが、必ず困難の壁を乗り越える力になります。男性も女性も関係なく、好きなものは好きといえる選択をしてください。本学はその選択を応援しています。

学長と男女共同参画・ダイバーシティ戦略推進室メンバー
学長と男女共同参画・ダイバーシティ戦略推進室メンバー


AWS Support Engineering-次世代の技術者を育てる取組紹介

Amazon Web Services Japan 合同会社
Operations Manager  石塚 裕規

我々Amazon Web Services Japan 合同会社(以降AWS)Support Engineeringでは、次世代の技術者を育てる取組として、2022年、2023年と理工チャレンジに参加いたしました。

IT初学者向けのベーシックコースとITに少し触れたことがある方向けのアドバンストコースの2つのコースを用意いたしました。

ベーシックコースでは、アプリケーションの裏側ではどのような事が起きているのかを知っていただき、楽しみながら学ぶためのワークショップを通し、チームに分かれて1つのホームページを作成していただきました。

アドバンストコースでは、サーバーを管理せずにコードを実行できるようにするコンピューティングサービスAWS Lambdaと、プログラミング言語Pythonを使用した、ジャンケン型格闘ゲームをチームでプログラミングしていただき、チーム同士で対決してもらいました。また、現地参加の学生や保護者の方には、弊社オフィスツアーにも参加してもらい、どのような環境で働いているか見学してもらいました。

AWS 理工チャレンジ企画・トレーナーメンバー
AWS 理工チャレンジ企画・トレーナーメンバー

AWS 品川シーサイドオフィス
AWS 品川シーサイドオフィス

~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

冒頭に述べた次世代の技術者を育てるという目標に対し、非常に手応えを感じております。

ITを楽しみ、自ら進んで学ぶことができる学生を育てる取組を、今後も積極的に行って参ります。

3M夏のリコチャレ2023について

スリーエムジャパン株式会社 コマーシャルブランディング&トランスポーテーション技術部
三浦 真智美

スリーエム ジャパン株式会社は8月8日(火)に中学生・高校生に向けたイベント「3M 夏のリコチャレ2023」を開催しました。今年は神奈川県相模原市にあります弊社のカスタマーテクニカルセンターのツアーと、女性技術者との座談会を行いました。

ツアーでは、弊社の最新の技術や製品に触れていただき、理系の楽しさや、技術の奥深さなどを体感していただきました。

また、女性技術者との座談会では、理系を選択した理由やどんな大学生活を過ごしていたのかなどライフスタイルについてと、職務について説明し、理系の職種の広さと楽しさを実感していただきました。

座談会後のフリータイムでは個別に参加者の個別の悩みや疑問にお答えしました。また、新しい技術に対して高い関心と興味を持って目を輝かせている中高生の皆様とお話できたことで、私たち技術者にとっても、大変貴重な時間となりました。

今年は全国から25名の中高生に参加していただき、参加者からは「理系の仕事について具体的なイメージを持つことができて、自分の視野が広がった」「“理系”というぼんやりしたものが少しはっきりした」「普段使っている物を作るためにさまざまな人や技術者の方が関わっていることを改めて実感できた」といった感想が寄せられました。

カスタマーテクニカルセンターツアーの様子
カスタマーテクニカルセンターツアーの様子

女性技術者座談会の様子
女性技術者座談会の様子

~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

これから進路選択だけではなく、様々な岐路で悩むことがあると思います。理系分野は選択したときに一つの道が決まってしまうかのように感じられますが、今回ご説明させていただいた通り、理系選択後も沢山の選択肢があります。希望通りに必ずしも進めないこともあるでしょうけれど、いつでも軌道修正はできます。だからこそ、少しでも興味があることを見つけたら、まずはその気持ちを大切にし、ぜひ飛び込んでみてください。そして、一人で悩まず、周りのいろいろな方と話してみてください。きっとそこには多くの発見と楽しさがあると思います。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019