「共同参画」2023年9月号

特集1

こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ

内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課

7月26日、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」及び「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」の合同会議を開催し、「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」を取りまとめました。本パッケージの概要や主な政策について御紹介します。

すべてのこども・若者が安心して過ごすことができる社会の実現に向けて

こどもや若者に対する性犯罪・性暴力は、被害にあった当事者のこころとからだに長期にわたり有害な影響を及ぼす極めて悪質な行為であって、断じて許すことはできません。特に、こどもの性被害は以下のような特徴から、潜在化しやすいと言われています。

・こどもは被害にあっても性被害と認識できず、どう対応すればよいかわからない

・認識できたとしても周囲の大人に被害を伝えづらく、適切な支援を受けることが難しい

こどもの頃の性被害は、大人になってからも長くそのトラウマに苦しめられることも指摘されています。そして、こどもの性被害はどこででも起こりうる危険性もあります。

性別にかかわらず、どのような状況に置かれたこども・若者であっても、性被害を受けることなく、安心して過ごすことができる社会を実現するため、この政策パッケージが取りまとめられました。

三つの強化策の確実な実行

本パッケージに基づき、「加害を防止する強化策」「相談・被害申告をしやすくする強化策」「被害者支援の強化策」の三つの強化策を実行していきます。

【1】加害を防止する強化策

こども・若者の未熟さや立場の弱さを利用した性加害が繰り返されていることを踏まえ、

○性犯罪に係る改正刑法等の趣旨・内容を広く国民に周知し、厳正に対処します。

○親族関係、雇用関係、師弟関係等といった加害者の被害者に対する強い影響力を利用した事犯などについて、全国で取締りを強化します。

また、こどもが長く過ごす場での性被害の未然防止や早期発見のため、

〇日本版DBSの導入に向けた検討を加速します。

〇保育所等における虐待事案に対して通報義務等を設けることを内容とする児童福祉法の改正の検討にも取り組みます。

さらに、こどもは被害にあっても性被害と認識できず、どう対処すればよいか分からないという課題に対応するため、

〇学校で性被害防止等を教える「生命(いのち)の安全教育」の全国展開を進めます。

〇小学生や未就学児等を対象としたプライベートゾーン等の啓発キャンペーン活動を実施します。

緊急対策パッケージを説明する小倉大臣
緊急対策パッケージを説明する小倉大臣


【2】相談・被害申告をしやすくする強化策

保護者などが、こどもの被害に気付くことや適切な対応が難しいという課題への対処として、

〇保護者として身に付けることが望ましい知識を周知します。具体的には、こどもが性被害に遭った際のサインや、こどもから話を聞く場合には、誘導的な質問を繰り返すなどこどもに聞きすぎることがこどもの記憶に影響(「記憶の汚染」と呼ばれています。)等を与える場合があることに留意する必要があることを周知します。

〇相談先などを盛り込んだ啓発資料等を作成し、子育て支援の場等を通じて保護者への啓発を進めます。

〇男性の被害に関する誤解などにより、男性や男児は被害にあっても相談しにくいという課題を踏まえて、9月中を目途に「男性・男児のための性暴力被害者ホットライン」(仮称)を開設し、相談を受け付けます。

相談・被害申告をしやすくする強化策

【3】被害者支援を強化する強化策

こどもに身近な学校等における支援や、医療的支援の充実に取り組むため、

○児童生徒から相談を受けた際の養護教諭を含む教職員の対応のポイント等の周知します。

○児童館や放課後児童クラブにおける対応・支援の充実を推進します。

○受診可能な医療機関リストを整備し関係機関において共有する等の取組の促進、医療機関におけるワンストップ支援センターの認知度向上に取り組みます。


「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」の詳細は、男女共同参画局HPでご覧いただけます。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/measures.html

こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ(概要)


緊急啓発期間の実施

こども・若者の性被害の根絶には、社会全体で、こどもや若者への性犯罪・性暴力を断じて許さないという認識を共有することが大切です。そのため、本パッケージにおいて、令和5年8~9月を緊急啓発期間としました。改正刑法等の内容や、被害にあったときの相談窓口の周知等について、政府を挙げて集中的な啓発活動に取り組んでいます。

内閣府では、被害にあった場合に相談することができる相談窓口の周知を図るため、若者が手に取りやすい啓発カードを新たに作成しました(名刺サイズ両面。デザインは裏表紙でもご覧いただけます。)。中学生・高校生が参加する行事等やこども・若者が利用する公共施設・商業施設等で配布していただくなど、ご活用ください。

啓発カード

また、性犯罪・性暴力の被害を受けた際の対応や、身近な人から被害を打ち明けられたときの対応や、気をつけてほしいことなどについてまとめたパンフレットと、こどもの被害について、その特徴や被害を受けたときにこどもが見せるサイン、保護者や周りの大人が身に付けることが望ましい知識についてまとめたパンフレットを作成しました。広報啓発にお役立てください。


啓発カード、パンフレットは以下のページからダウンロードできます。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/index.html#card


性的な被害、ひとりで悩んでいませんか?

警察や児童相談所、そして性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに相談すると「大ごとになってしまう」「周りの人に迷惑をかけてしまう」などと、不安になって相談をためらってしまうこともあるかもしれません。

下記の相談窓口では、専門の相談員が相談を受け付け、相談された方の気持ちを第一に必要なサポートを一緒に考えます。プライバシーに配慮し、秘密は厳守します。ひとりで悩まず、安心して相談してください。年齢・性別を問わず、相談できます。


相談先はこちら。
<性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター>
「#8891(はやくワンストップ)」
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html


<性暴力に関するSNS 相談「Cure time」(キュアタイム)>
https://curetime.jp/


<性犯罪被害相談電話全国共通番号>
「#8103(ハートさん)」
https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html


性的虐待による被害等を受けた児童に関する通告・相談はこちら。
<児童相談所虐待対応ダイヤル>
「189(いちはやく)」
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial/

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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