「共同参画」2023年6月号

特集3

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ報告書について

内閣府男女共同参画局総務課

ワーキング・グループの開催について

「新しい資本主義」の中核と位置付けられた女性の経済的自立を始め、全国津々浦々で男女共同参画社会の形成を促進するため、

・独立行政法人国立女性教育会館(以下「NWEC」という。)について、その主管を文部科学省から内閣府に移管し、全国の男女共同参画センター(以下「センター」という。)を強力にバックアップする機関として、人材育成機能や拠点機能等の強化を図る

・センターについて、各地域の課題に応じてその役割を十全に果たす観点から、専門人材の育成・確保、関係機関・団体との連携等を始めとする機能強化を図る

との方針の下、その在り方について検討を行うため、男女共同参画会議の計画実行・監視専門調査会の下に、令和4年12月から「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ」(以下「ワーキング・グループ」という。)を開催し、本年4月11日に報告書が取りまとめられました。

本ワーキング・グループでは、内閣府において令和4年11月から12月にかけてセンターや地方公共団体を対象に全国13の地域ブロックごとに実施した意見交換会や、令和4年11月に実施したセンターの利用者からのアンケート調査、令和5年2月に実施したセンターの職員体制・給与に関する調査、本ワーキング・グループにおいて実施した有識者へのヒアリング等を踏まえ、NWECやセンターにおける現状と課題を整理の上、我が国の男女共同参画を促進するためそれぞれがどのような機能・役割を果たしていくべきかといった観点から幅広い議論を重ね、機能強化に向けた具体的な施策・取組が取りまとめられました。

ワーキング・グループ構成員

〔五十音順、敬称略、◎は座長〕

伊藤 聡子  フリーキャスター、事業創造大学院大学客員教授

犬塚 協太  静岡県立大学国際関係学部教授

河野 銀子  山形大学学術研究院教授(地域教育文化学部担当)

桑原  悠  新潟県津南町長

小安 美和  株式会社Will Lab代表取締役

◎鈴木  準  株式会社大和総研執行役員

髙田 直芳  埼玉県教育委員会教育長

徳倉 康之  NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長

正木 義久  一般社団法人日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部長

<有識者としての出席(第2、3、4回WG)>

納米恵美子 特定非営利活動法人 全国女性会館協議会代表理事


ワーキング・グループ報告書の概要

1.センターやNWECの現状と課題

センターの現状と課題

(1)職員の育成・専門性

 継続的な人材育成や専門性(啓発・相談支援等)の高い人材の確保が困難、研修受講の経費や時間的余裕がない、幅広い分野の相談支援ニーズの高まり等

(2)地域の関係機関との連携・ネットワーク 

 自治体関係部局、センター同士、企業、教育機関等との連携の不足等

(3)地域・社会における事業ニーズの把握と対応

 事業ニーズの把握のためのノウハウ等が不十分、デジタル分野の研修に必要な専門知識等の不足等

(4)利用者層

 利用者が一部の層(女性等)に固定化、施設・設備の老朽化、事業の広報・周知の不足等

(5)調査研究等

 各地域の状況等の把握・分析に必要な専門知識のある職員がいない、センター間の連携不足により地域間の比較分析等ができない等

(6)体制等

 職員の給与が低い、体制が脆弱、センターについて法律上の位置付けがない等

NWECの現状と課題

(1)男女共同参画施策の総合的な実施

 課題が幅広く多様化する中で、女性教育に軸足を置いた事業展開から、総合的に男女共同参画社会の形成に取り組む機関として、事業の対象分野の拡充や、人材育成・啓発活動の対象層を拡大する必要がある。

(2)センターのバックアップの強化

 各地のセンターに積極的にアプローチして支援するバックアップ機能を高め、各地のセンターの取組の底上げを図る必要がある。

(3)施策の実施状況等に関する把握・分析・評価・発信

 各地域の取組の進捗や課題を的確に把握し、各施策の効果を適切に評価するための調査研究機能の強化を図るとともに、調査の成果等に関する国内外への積極的な発信や、国際動向に係る情報収集・分析等の強化を図る必要がある。

以上のほか、国においても、NWECやセンターとの強力なネットワークを形成し、地域の状況等のきめ細かな把握や、全国津々浦々で施策を展開し、その効果を浸透させていく体制の構築が急務である旨指摘されています。

2.機能強化に当たっての基本方針

NWECの機能強化に当たって、大きく2つの方針が掲げられています。

(1)男女共同参画基本計画に定める施策全般にわたって、その推進に資する普及啓発、人材育成、調査研究、国際事業等を行う「ナショナルセンター」としてNWECの機能強化を図る。

(2)各地のセンターを強力にバックアップする「センターオブセンターズ」として、以下の基本的方向性の下で、 NWECの機能強化を図る。

①各地域における様々な課題への対応力の強化を図るための人材の育成・専門性向上

②センター同士や関係機関とのネットワークの構築・強化

③男女共同参画に関する政策の企画立案を支えるEBPM機能の強化

④国・地方公共団体の施策との連動性の確保と施策の推進機能の強化

3.機能強化に係る施策・取組

1.に挙げられた諸課題に対応するため、2.の基本方針に沿って、センター及びNWEC機能強化を図るため、各課題に対応する形で、主に以下の施策・取組が盛り込まれました。(実施主体を【 】で記載)

(1)職員の育成・専門性向上

<研修>

・初任者向けの基礎的な研修プログラムの開発・実施【NWEC】

・研修の認定制度の創設【NWEC】

・オンライン研修のオンデマンド化【NWEC】

<人事交流>

・NWECと自治体・センターとの人事交流

<助言・情報支援>

・都道府県のセンター等に対する個別事業の実施方法等のアドバイス【NWEC】等

(2)関係機関との連携強化とネットワーク構築

<センター間の連携>

・全国のセンターの優良事例の収集や横展開【NWEC】

・地域ブロック毎にセンター間の情報共有や意見交換等の開催や、センター間の情報交換等のサイトの創設【NWEC】

<企業等との連携>

・企業・経済団体向けの研修メニューの開発【NWEC】

・センターが地域の企業向けに活用できる教材の作成等【NWEC】

・地域の企業・経済団体へのアドバイスや相談対応のためのノウハウ習得・専門性の強化【センター】

<教育機関等との連携>

・センターが教職員向け研修に活用できる基本的な教材の作成【NWEC】

・校長・教頭への取組強化、初等中等教育の教員への研修強化【NWEC】

・NWEC作成の教材等を活用した地域の教育機関への講座の実施等【センター】等

(3)地域・社会におけるニーズの把握と対応の充実

<地域・社会におけるニーズの把握等>

・アンケート調査等のノウハウを支援し、センターが地域の課題・事業ニーズ等を把握【NWEC、センター】

・センターが把握する地域の課題等を把握・分析し、その結果をセンター等へ共有する体制の構築【NWEC、センター】

<女性デジタル人材の育成>

・デジタル人材を目指す女性等向けの基礎的な研修プログラムを企業等と連携して開発【NWEC】

・地域の企業等に対し、NWEC作成の研修プログラムを積極的に活用【センター】等

(4)利用者層の拡大

<幅広い層の利用>

・若年層等の関心が高いテーマについて、センターが地域の学校・企業等に出前講座を行うための教材の開発【NWEC】

<広報>

・センターを対象に効果的な広報のノウハウに関する研修を実施【NWEC】等

(5)調査研究等の充実・強化

・ジェンダー統計を充実させ、EBPM機能の強化【NWEC】

・基礎的なデータベースを構築し、センターで活用【NWEC】

・地域の状況把握に係る調査分析等の研修プログラムの開発【NWEC】

・調査の手法等に係る都道府県のセンター等への相談対応、アドバイス【NWEC】

・センターが把握するデータの定期的な収集・分析【NWEC】等

(6)体制等の確保

<職員の体制・待遇等>

・令和5年度に、センターの更なる実態調査を行い、実施事業に応じた人員体制の規模等の在り方に関するガイドラインについて、有識者会議を開催し検討【国、NWEC】

<センターの位置付け>

・センターの設置やその目的・役割等について、法令等における位置付け等を検討【国】等

4.機能強化に係る施策・取組の実施に当たって

機能強化策の実施に当たって、①機能強化に見合ったNWECの必要な人員体制や予算の確保、②各施策・取組に優先順位を付けながら計画的に実施すること、③民間団体等との緊密な連携を図り、その知見・ノウハウ等を十分に活用しながら効果的に取り組むこと、が必要であるとされています。

一方で、NWECが行う啓発や研修等について、今後オンラインを活用した実施の更なる増加が見込まれる中で、施設の在り方についても、今後検討が必要であること等が指摘されています。

本報告書に盛り込まれた施策・取組については、今月中旬に策定を予定している女性活躍・男女共同参画の重点方針2023に位置付けた上で、着実な実施を図ってまいります。


本報告書の詳細はこちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/wg-nwec/index.html

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