トピックス2
「STEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)」等による全国理工系女性人材育成に関する調査研究について
内閣府男女共同参画局推進課
内閣府では、地域における理工系女性人材の育成と定着を目的として、進路検討前段階にある女子児童・生徒が科学技術に興味を持つ端緒となる機会として、各地方公共団体と協力し全国10カ所でワークショップを開催しました。内容は、STEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)等によるロールモデルの紹介や、理工系女子が活躍する職場紹介、実験教室を行い、理工系分野の学習と具体的な職業を関連付けた学習機会・情報の提供等を行いました。その効果や課題を整理し、地方公共団体が地域の実情を踏まえて類似事業を実施できるよう、本事業から得られた知見を報告書にまとめました。
STEM※ Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)について
女子生徒等の理工系分野への進路選択を促進するため、理工系分野で活躍する多様な女性の姿(ロールモデル)を示すとともに、女子生徒等の理工系進路選択を社会全体で応援する気運醸成を図ることを目的として、様々な分野で活躍する女性を「STEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)」として委嘱するものです。
※STEM=Science, Technology, Engineering and Mathematic
1.ワークショップ概要
事業名:Let’s be a STEM Girl!!~地域から未来の理工系女子を~
開催日程:2019年9月1日~12月15日
開催地:全国10カ所
プログラム内容:
①STEM Girls Ambassadors等による基調講演
②地元企業・大学・高専等による理工系女子が活躍する職場紹介
③地元企業・大学・高専等による実験教室
参加者数 | ||
---|---|---|
児童・生徒 | 保護者 | 計 |
275名 | 253名 | 528名 |
児童・生徒内訳 | |||
---|---|---|---|
小学生 | 中学生 | 高校生 | その他 |
45.5% | 29.8% | 23.1% | 1.7% |
2.ワークショップの効果について
参加による効果検証を行うため、参加者に、当日アンケートを行うとともに、2~3か月後にフォローアップのアンケートを行い、その結果を分析し、効果や課題を整理しました。
(1)理系への関心度合いが低い児童・生徒の来場を促す動機付け
今回、理系に関心があった児童・生徒のみならず、理系への関心があまりなかった、全くなかった児童・生徒にも来場いただきました(グラフ1参照)。理系への関心別に来場の動機を見ると、以前から理系に関心があった者については、「理系の仕事への興味があった」が最も多く(51.6%)、理系への関心があまりなかった、全くなかった者については「参加を勧められた」が最も多い回答でした(47.7%、57.9%)。いずれの層においても「実験教室に興味があった」の回答が一定の割合を占めており(35.2%、36.9%、47.4%)、理系への関心が低い児童・生徒の来場を促すには、教員や保護者等へイベント紹介・案内を行うとともに、興味をひきやすい実験教室の開催が効果的であると考えられます。
(2)各プログラムの効果
個別のプログラムの効果(理系分野の進路選択に関心を持つきっかけとなったか)をみると、小・中・高いずれの参加者も実験教室を通じて「関心を持った」とする回答の割合が高く(グラフ2参照)、中高生では、基調講演も高い割合でした。子どもの進路を考える上で基調講演が「参考になった」「やや参考になった」と回答した保護者の割合は小中学生の保護者で90%以上、高校生の保護者で80%以上と高い割合でした(グラフ3参照)。一方、小学生には内容が難しかった、あるいはロールモデルとして将来のイメージが湧きづらかったものと考えられます。
また、児童生徒のワークショップ後の行動を見ると、低学年ほど、参加をきっかけにした勉強を行う等、行動への変化がありました(グラフ4参照)。事後に勉強をした者の特徴として、印象に残っているプログラムに基調講演を挙げる回答が多く、ロールモデルの紹介が自発的な勉強等に影響している可能性が見られます。
これらの調査結果により、女子児童・生徒の理工系への興味関心を高めることを目的とするイベントを実施する際は、保護者向け、あるいは中高生向けであれば基調講演のようなロールモデルを紹介するプログラムを開催し、小学生向けには実験教室を中心に実施するという方法が有効であると考えられます。
p class="p_center">理工系女性人材の確保は、地域のものづくり産業等、理工系人材を必要とする産業の担い手確保にもつながります。本報告書を参考に、地方公共団体等が地域の企業・団体と連携し、女子児童・生徒の理工系分野への進路選択の推進に取り組んでいただければ幸いです。
グラフ1 ワークショップへの来場目的"
グラフ2 児童・生徒 理系分野の進路選択に関心を持つきっかけとなったプログラム―実験教室"
グラフ3 保護者 子どもが進路を考える上で参考になったか―基調講演"
グラフ4 ワークショップに参加したことに影響されて、自分で特に勉強したり調べたりしたことはあるか(図表26)"
STEM Girls Ambassadorsの詳細はこちらをご覧ください。
http://www.gender.go.jp/c-challenge/stem_girls_ambassadors/event/20200108_01.html