「共同参画」2018年11月号

行政施策トピックス1

災害時における乳児用液体ミルクの緊急調達に係る協定と調達事例(東京都)
内閣府男女共同参画局総務課

乳児用液体ミルクは、人工乳が液状で容器に密封された調乳不要の乳児用食品です。今年8月8日に、国内での製造・販売に必要な安全基準等が整備され、今後、事業者による製品開発と関係省庁における手続きを経て販売される見通しとなっています。乳児用液体ミルクには、様々な利点がありますが、その一つに、水や燃料の確保が難しい災害時の活用が挙げられており、東日本大震災や熊本地震の際、支援物資として被災地に届けられ、非常に重宝されたという声もあります。今回は、災害時の乳児用液体ミルクの活用に関する先進的な事例として、東京都による海外からの緊急調達に関する協定について紹介します。

○流通企業を通じた海外からの緊急調達協定について

東京都では、国内メーカーによる乳児用液体ミルクの発売以前に大規模災害が発生した場合に備え、平成30年6月、災害時に乳児用液体ミルクを緊急に調達できるよう、イオン株式会社と独自に協定を締結しました。

災害時、東京都はイオン株式会社に乳児用液体ミルクの調達を要請し、これを受け、イオン株式会社は海外メーカーから乳児用液体ミルクを緊急輸入し、都に供給するものです(費用は東京都が負担)。また、緊急輸入の手続きが円滑に進むよう、東京都が国に対して必要な手続きを依頼することとしています。

○平成30年7月豪雨災害における緊急調達事例

本協定の枠組みを活用し、東京都では、平成30年7月豪雨災害において、岡山県倉敷市からの要請をうけ、緊急調達を実施し、救援物資として提供しました。

今般の緊急調達は、災害救援法の適用を受けた被災地に対する救援物資の輸入として、以下の流れで進められました。

7月12日夜:倉敷市から東京都へ緊急調達を要請。

7月13日:東京都はイオン株式会社へ調達依頼。並行して関係省庁(厚生労働省、農林水産省、東京税関、消費者庁)に、救援物資としての輸入取扱に係る運用を確認。

7月13日~20日:関係省庁、イオン株式会社、倉敷市との間で、緊急輸入と輸送に係る各種調整を実施。

7月22日~23日:乳児用液体ミルクの日本への到着・通関手続き。

7月25日:2,100個の乳児用液体ミルクを岡山県倉敷市へ提供。

また、愛媛県からの要請をうけ、8月6日、540個を愛媛県へ提供しました。

なお、東京都では、今回調達した液体ミルクはフィンランド製であることから、被災地で安全に利用できるよう、日本語による製品情報と取扱い説明を作成し、乳児用液体ミルクと併せて提供しています。

これらの乳児用液体ミルクは、被災自治体の保育所等に配布されたということです。

○乳児用液体ミルクについて、有用性やこれまでの議論・手続の経緯について取りまとめました。詳細はHPをご覧ください。

http://www.gender.go.jp/policy/saigai/milk.html

6か月未満児用

6か月~12か月児用
フィンランドより緊急調達した乳児用液体ミルク。6か月未満児用(上)と6か月~12か月児用(下)の2種類を調達した。


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