宮崎県の取組

画像

事業実施の経緯: DV被害者支援団体からの提案

 宮崎県では、令和5(2023)年度から、内閣府の交付金を活用し、DV被害者支援を行う民間団体への補助を行っています。それらの団体の中から、加害者プログラムに関する事業の実施について提案があり、令和6(2024)年度には、交付金事業の対象に加害者プログラム事業を加えることとしました。
 被害者支援団体からは、加害者本人から、「暴力を止めたい」、「配偶者から加害者プログラムを受けてほしいと言われた」といった相談が寄せられているとの報告もありました。県の担当者は、被害者支援団体との連携を通じて、加害者に対応していくニーズがあることを把握し、被害者支援の一環として加害者プログラムに取り組むことの重要性を認識しました。

加害者プログラムを実施する3団体について

 宮崎県において、令和6年度にこの交付金を活用した加害者プログラムに関する事業に取り組む団体は、NPO法人ハートスペースM(以下、「HSM」という。)、一般社団法人ハートスペースみやざき(以下、「HSみやざき」という。)、NPO法人カーサグランデの3団体です。
 HSMは、主としてDV被害者である女性とこどもを支援する団体で平成14(2001)年から活動しています。県のDV被害者保護支援ネットワーク会議の構成員でもありました。同会議が令和6年4月施行の改正配偶者暴力防止法第5条の2に規定する「協議会」及び「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、「女性支援新法」という。)第 15 条に規定する「支援調整会議」に移行したあとも、引き続き、構成員として連携しているところです。HSMでは、加害者プログラムを実施できる実施者(ファシリテーター)の養成講座を開催しています。養成講座に先立って、他県で加害者プログラムを実施している講師による講演会を開催し、その参加者に養成講座の受講を呼び掛けました。
 HSみやざきは、令和4(2022)年に、設立された団体で、DV被害者の自立支援や生活支援など独自の支援活動を行っています。また、カーサグランデは、生活困窮者などの支援を主として行っている団体ですが、交付金を活用してDV被害者の支援も行ってきていたところです。これら2団体は、今後、被害者支援の一環として、加害者プログラムを実施していく予定です。

今後の取組について

 宮崎県では、DV対策のための事業・取組に係る計画(※)は、令和6年度から新しい計画期間になっています。この計画は、配偶者暴力防止法第2条の3第1項に基づく基本計画であるとともに、女性支援新法第8条第1項に基づく計画としても位置付けられています。
 この新しい計画では、市町村が設置する配偶者暴力相談支援センターを3か所(策定時には0か所)とすることを成果指標とするなど、一層の被害者支援を目指しています。今後は、前述した配偶者暴力防止法に基づく協議会(女性支援新法に基づく支援調整会議)において、加害者プログラムについても取り上げることで、地域においてDVの防止や被害者支援に取り組む構成員全体が、被害者支援の一環として、加害者プログラムの実施に取り組む必要があるという理解を深められるようにしていきたいと考えています。
 次年度以降については、今年度の実施状況を踏まえ、決定する予定です。

 ※宮崎県困難な問題を抱える女性への支援基本計画(第5次DV対策宮崎県基本計画)