京都府の取組

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大学の研究プロジェクトとの連携

 平成30(2018)年度に京都府が実施した調査※1では、DV被害者の大半が子の養育上の理由や経済的事情、パートナーの変容に対する期待からDV加害者と別れられず、DVが繰り返される状況にあることが明らかになりました。こうした調査結果も踏まえ、京都府は、DV防止法に基づいて策定した基本計画※2において、被害者が地域で安全に生活するため、被害者支援の一環として加害者に対する再発防止の取組が求められるとし、「加害への気づきを促す情報提供」や「加害者にも被害者にもならないための更生プログラムの実施」の施策を盛り込んできました。そして、この基本計画に基づき、令和元(2019)年度から令和5(2023)年度まで、立命館大学人間科学研究所・臨床社会学プロジェクトと連携し、加害者プログラムを実施してきました。
 令和6年度からは、内閣府の交付金の対象に加害者プログラム事業が追加されたことから、この交付金を活用し、それまでのプロジェクトの成果を引き継ぐ形で、加害者プログラムのグループワークと個人カウンセリング等を行う民間団体(一般社団法人 UNLEARN)に委託し、プログラムを実施することとなりました。

 ※1京都府 配偶者等からの暴力に関する調査(平成30年度調査)
 ※2京都府 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画

加害者プログラムの内容

 京都府が実施する加害者プログラムでは、参加者は、グループワークに参加する前に、5回程度の個人カウンセリングを受けることになっています。この過程を通じて、参加動機、脱暴力の意思、グループワークへの適性等を確認します。グループワークは、毎回3~5名程度の参加者とファシリテーター2名、記録係1名で実施しています。1クールは8回としており、その後、新たなクールを続けて受講する参加者も多くなっています。
 グループワークでは、パートナーや子どもとの関係や、自分の気持ちを話すことになるため、冒頭に、その場で話された内容は口外しない、他の参加者の発言は否定しないなどのルールを確認するなどして、参加者にとって安全な場であることが認識できるよう配慮されています。各自から、前回のグループワーク以降の状況について報告し合い、互いにフィードバックをしながら、暴力のない関係や相手を尊重するとは具体的にどのようなことなのかなどについて学びを深めていきます。自らの行動を振り返り、気持ちを言語化する機会になっており、それぞれが真剣に自身と向き合う時間を過ごしています。グループには受講期間が長い参加者もいるため、そうした参加者の学びの過程に励まされ、参加を継続する参加者もいます。

今後の取り組みについて

 京都府では、令和6年度から、加害者プログラムの実施に加え、デートDVの被害を防ぐための若年男性向けのグループワークの実施、男性相談員による男性相談窓口の開設などの施策を始めています。これらは、加害者プログラムへの受講の入口を拡げることにもつながる取組ともいえるものです。また、今後、これらの取組も通じて加害者プログラムの受講希望者が増えてきたときのために、加害相談に対応できる相談員の養成についても取り組んでいくこととしています。