国内初のDV男性加害者に対する公的相談窓口の開設
石川県では、DV加害者への対応が課題として挙がっていたことを受けて、平成13(2001)年4月、県のこころの健康センター(精神保健福祉センター)にDV加害者の暴力の抑止に関する相談窓口を開設しました。これは、国内初のDV男性加害者に対する公的相談窓口です(現在は、男性加害者に対してだけでなく、性別を問わず対応しています)。
この相談窓口では、電話相談と面接相談を行っており、面接相談は予約制で、1人当たり1時間で実施しています。
相談窓口の周知は、主として県のホームページを通して実施していますが、県庁やこころの健康センターが発行する広報誌や県内市町村が発行するDV関連のパンフレット等にも情報を掲載しています。問合せの多くは、ホームページを見た人から寄せられることが多く、ホームページで情報を得た配偶者からの勧めで来訪するケースが最も多くなっています。
また、このDV加害者相談に加え、相談者を対象に、独自のDV加害者向けのプログラムを個人面談の形で実施してきました。このプログラムは、全9回を月1回1時間ペースで実施することを想定したもので、令和4年度に体系的にとりまとめました。
計画上の位置付けについて
DV加害者に係る事業に関しては、「いしかわ男女共同参画プラン2021」(※1)において、「暴力を止めたいと自覚している加害者に対し、自らの暴力の責任を負い、暴力を抑止できるようになるための個別相談を行います。」と記載しています。また、令和6年3月に策定した「石川県困難な問題を抱える女性への支援及びDV被害者の保護等に関する基本計画」(※2)においても、「基本目標3 安全・安心な暮らしの実現」の項目の一つとして、「DV加害者に対する暴力抑止相談の実施」を挙げ、「石川県こころの健康センターにおいて、加害者に対する暴力抑止相談を実施し、加害者が暴力を必要としない人間関係を構築できるように働きかけます。」と記載しています。
※1 いしかわ男女共同参画プラン2021 | 石川県
※2 石川県困難な問題を抱える女性への支援及びDV被害者の保護等に関する基本計画 | 石川県
「DV男性加害者の意識に関する調査」について
令和4年度には、こころの健康センターでこれまで対面での個別相談を実施したDV加害者男性46名を対象に調査を行いました。
本調査の結果、相談に来たきっかけとして、「パートナーから言われた」と回答した人が7名で、「自分で調べた」と回答した人が6名でした。また、相談開始時の考え方は、「性別役割観が強い」「家父長制的な考え方が強い」「家の中では自分の考え方が正しいと思い込んでいる」とした人がそれぞれ7名でした。
また、暴力行動の意識の変化については、相談開始時は、自分の行動が暴力だとは思っていないとした人が9名(64.2%)、暴力だと思っている人が4名(28.5%)であったのに対し、相談終了時には、自分の行動が暴力だと思わないとした人が0人になり、暴力だと思うようになったとする人が13人(92.8%)でした。相談をすることを通じて自分の行動に対する意識の変化が見てとれます。
※ 調査報告書URLのリンク
今後の取組予定について
石川県では、引き続き、前述した計画に沿って、性別を問わずDV加害者に対する暴力抑止相談について取組を実施していくことに加え、個人面談で実施している加害者を対象としたプログラムも続けていく予定です。