仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第11回)議事録

  • 日時: 平成19年12月17日(水) 13:00~15:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
岡島
委員
勝間
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「仕事と生活の調和」実現度指標について
  3. 企業におけるワーク・ライフ・バランスのコスト・メリット等について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1-1
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章(案) [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
仕事と生活の調和推進のための行動指針(案) [PDF形式:22KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
「仕事と生活の調和」実現度指標について [PDF形式:27KB] 別ウインドウで開きます
資料1-4
「仕事と生活の調和」実現度指標の在り方 [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料1-5
「仕事と生活の調和」実現度指標のイメ-ジ [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料1-6
個人の実現度指標、環境整備指標について(マトリックス表) [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
資料2
海外のワーク・ライフ・バランス運動における広報啓発について [PDF形式:121KB] 別ウインドウで開きます
資料3-1
少子化社会対策に関する先進的取組事例研究第4章「欧米諸国に於けるワーク・ライフ・バランスへの取組」 [PDF形式:390KB] 別ウインドウで開きます
資料3-2
英国におけるワーク・ライフ・バランスに向けたコンサルティング制度 ( [PDF形式:663KB] 別ウインドウで開きます
資料4
ワーク・ライフ・バランスの実現が個人・企業・社会に及ぼす効果 [PDF形式:92KB] 別ウインドウで開きます
資料5
企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやコストの分析について(案) [PDF形式:32KB] 別ウインドウで開きます
資料6
ワーク・ライフ・バランスに関する企業の取組事例調査依頼先一覧 [PDF形式:26KB] 別ウインドウで開きます
資料7
企業の取組事例調査項目(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
佐藤会長
それでは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第11回会合を始めさせていただきます。お手元の議事次第に従いまして審議を進めさせていただきます。
 まず、前回までに御議論いただきました実現度指標についてですけれども、11月28日の行動指針作業部会で、本調査会関係については、お手元の資料が配布されました。それを反映した形で行動指針がつくられています。今後は近日中に開催が予定されています官民トップ会議で憲章及び行動指針が決定され、公表される運びとなっています。
 それでは、その資料につきまして御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
神田調査課長
では資料1のシリーズについて簡単に数分で御説明をいたします。
 これは前回の行動指針の作業部会で配布されたものでして、そのときも若干コメントがありましたので1~2カ所修正になっておりますが、そういう性格のものだということで御了解ください。
 資料1-1が憲章ということでワーク・ライフ・バランス、そこにあります仕事と生活の調和の基本的な理念、考え方について整理をしたものです。それをおめくりいただきまして、主なところで3ページのところに〔仕事と生活の調和が実現した社会の姿〕ということで、①、②、③ということで社会というものの具体的な姿がイメージできるように整理がされています。
 その次の資料1-2のほうですけれども、行動指針、これは具体的な主体的な取組について整理をしたものになっています。
 ちょっとめくっていただきますと、その中の実現度指標に関するところですが、5ページの6とあります。「仕事と生活の調和」実現度指標の在り方ということで皆様に御議論いただきましたものがここに入り込む形になっております。
 また、さらに実現度指標に関しましては、その後ろに資料1-3というものが付いておりますが、こういう形でそれぞれ個人の実現度指標と環境整備指標ということで2つに分けた2枚にわたって整理をしています。基本的には初めのほうは5分野で整理していますが、先ほど言及させていただきました3つの社会の姿ということで整理をするとどういう整理になるかということもわかるように書いております。縦のほうでは5分野になっておりますけれども、真ん中に並んでおりますのが3つの社会、それをそれぞれの項目、小項目で分けるとどのようにそれぞれがその3つの社会の中に整理ができるかといった整理になっています。右側には構成要素として各指標についてこういうものをとっていきますということで説明を書かせていただいています。
 これが行動指針と憲章のほうに盛り込むべき実現度指標に関する部分になります。
 資料1-4、1-5、1-6については、これが専門調査会での御議論いただいた成果物ということになります。これは近日中にホームページで公表をさせていただきたい。
佐藤会長
後ろはここで決めて公表して、前はトップ会議があった後で、いずれにしても近日中に公表ということですね。
神田課長
済みません、公表のタイミングについては若干調整をさせていただきますけれども、早急にホームページで公表したいと考えています。
 以上です。
佐藤会長
今、御説明いただきましたように、行動指針の作業部会でここの専門調査会で御議論いただいた内容が行動指針の点検評価の中に組み込まれたということです。それで、今、御説明ありましたように、資料1-3までが本体は憲章と行動指針ですけれども、行動指針の中で、実現度指標に触れていますので、それがわかるような資料も行動指針作業部会で作成した資料として入る。それは近日中に開催が予定される官民トップ会議で、憲章と行動指針が決定されるときに1-3まではそこで配られて決まればそれがホームページに載ると。それと併せてもっと詳しいものを知りたい人がいるでしょうから、専門調査会の資料1-4以降、1-6までが今度は専門調査会のホームページのほうに載るというような形になるということです。
 そういうことでかなりお急ぎいただいたわけですけれども、一応ぎりぎり行動指針に組み込まれたということで、本当にどうもありがとうございました。
 資料1-4のほうは、だから、きょうの後であればアップしてもいいわけですね。御了解いただければ。基本的には今までの議論の整理という形のものを載せると。それを踏まえてこれから作業を進めるということですけれども、なぜかというと、それを前提にして行動指針のほうに組み込んでいただいているということがありますので、きょう以降に1-4から1-6はこちらのほうに載せていただく形になると思います。前のほうのは官民トップ会議の後、近日中に内閣府のどこかに載るという形になると思います。よろしいでしょうか。
 それでは、そういう形で進めさせていただければと思います。
 続きまして、前回、御意見伺う時間がなくて失礼いたしましたけれども「企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやコストについて」研究するということですので、そこについてもう少し御説明いただいて御意見いただくことにしたいと思います。ではよろしくお願いします。
神田課長
初めに資料の内容と段取りについて御説明をしたいと思います。資料2には「海外のワーク・ライフ・バランス運動における広報啓発」ということを書かせていただいています。専門調査会では主に夏ぐらいまでに理念について御議論いただきまして、それを取りまとめております。また、今回、ワーク・ライフ・バランスの憲章、あるいは行動指針という形で、さらに国民に広く普及をしようというところまで議論が進んできています。
 では 日本で今後広めていく上で、まず海外ではどういう取組がなされて、どういう情報を広く提供しているのだろうかというのを御紹介させていただきます。その中で、今私たちがやろうとしているコスト・メリット分析というものがどういう性格のものであるかというようなことを御説明させていただきたいと思います。
 私どものほうから資料を用意させていただいますが、資料3-1と3-2、これは実はみずほ情報総合研究所さんが内閣府の別のところに委託調査でまとめられたものです。近くにこんなことを知っている方がいらしたことを余り存じ上げなかった私がいけないのですけれども、非常に勉強になりますので、きょうはみずほさんのほうから、これについて簡単に御説明をして海外の情報についても皆さんに周知いただければと思っています。
 その後に、コスト・メリット分析の話をさせていただきます。資料4以降がコスト・メリット分析ですが、資料4については、簡単に今までどんな日本で既存調査があるのかというのを整理をさせていただきました。その部分でメリット・コストについて、企業がどれだけそういうコストがかかるのかという具体的な指標についてはなかなかないという状況がわかりましたので、資料5で、さらに私たちのほうで、今までのないあいている穴を埋めるべくどういう調査をするかというような議論をさせていただければと思います。資料7のほうでは、ヒアリングの調査について御説明をしたいと思います。
 では、説明時間なるべく簡潔になるようにいたしますが、長くなりますけれども、済みません、よろしくお願いします。
佐藤会長
全部やってしまうんですか。2、3をやっていただいて、その後、御質問受けて、あと4以降と、それでお願いします。
みずほ情報総研
みずほ情報総研の荻田でございます。それでは資料3-1から御説明させていただきたいと思います。
 これは2年ほど前に、米国、英国、ドイツ3カ国についてのワーク・ライフ・バランスへの取組についてまとめたものであります。
 まず87ページが米国の取組でございますけれども、米国のワーク・ライフ・バランスに関する取組の特徴的なところは、この国には非常に典型的なのですけれども、基本的に雇用であるとか、労働であるとか、そういったものは私的領域、要するに政府の介入しない分野であるという認識で余り政府は動いてこなかった。その中で、民間の中でワーク・ライフ・バランスへの取組が動いてきたというのがございます。
 それについては、89ページの上のほうまでまとめてございますけれども、今回は本事業の趣旨にかんがみて、政府が一体それについてどういうアクションを起こしてきたかということについて、89ページの(5)あたりから話をしたいと思いますけれども、2000年代に入りまして、アメリカでは政府、具体的には上院なのですが、上院が具体的なアクションをとったということがございます。ここにありますとおり、ワーク・ライフ・バランスに関する決議案というのを出しまして、ここの丸数字で書いております11項目の決議という、1つの決議の中に11の項目がありまして、そういったものを発表して国民の意識を喚起するということを行いました。
 ①から⑪まであるのですけれども、①、②、③は、主に職場と従業員の関係であるとか、あるいは生産性というようなことについて書いてあります。④は、従業員自身の健康の話、⑤から⑪までが、従業員の家庭との関係について書いてあるところなのですが、非常に興味深いと思いますのは、もともとは企業と労働者の間の私的な雇用関係の問題だという考え方で、特に政府が介入していなかった分野であるのですけれども、その後で、政府として労働生産性に関する問題、国民や家庭の安定に関する問題、子どもの教育や健康、あるいは高齢者等の介護に関する非常に国家・社会的な問題であると認識を新たにしたことによって政府、具体的には上院がこのような決議を行ったという経緯がございます。
 非常に興味深いのは、例えば90ページの⑦のところでございますと、仕事の柔軟性が増すとワーキングペアレンツが子どもとの関係を強めることができ、それが結局は子どもの教育の理解、学習能力の向上であるとか、行動の改善であるとか、ドロップアウトする確率が低下するとか、そういったことにまでつなげてアメリカでは議論しているというのが非常にアメリカ的というか、特徴的なのではないかと思います。
 この上院の議決をもとにしまして、ナショナル・ワーク・ライフ・イニシアティブというのが行われております。それについては資料2のほうにより詳しく載っているかと思いますので、説明はそちらのほうに譲りたいと思います。
 続きまして95ページから英国の例について載っております。
 英国ももともとはワーク・ライフ・バランスは労使間の問題であって、政府は介入しないという姿勢をとっていたわけなんですが、欧州では比較的遅い時期にブレア政権になって、具体的には2000年に「ワーク・ライフ・バランス・キャンペーン」というものを政府が始めまして、本格的に政府としてワーク・ライフ・バランス取組に乗り込んでいったというのがございます。
 政府がどういう取組を行っていったかということは105ページからございますけれども、2000年より行われましたワーク・ライフ・バランス、何でブレア政権で進めていったかということですが、まず①ひとり親の就業が可能になるということで「福祉から就業へ」(welfare to work)という政府の基本方針に合致する動きであるということ。②親が就業することで子どもの貧困問題の解決にもつながる。③柔軟な就業形態は生産性向上にも資する――そのような観点から英国政府としてこういった問題にかかわっていきました。
 さらに、労働時間規制等の問題は、イギリス特有ですけれども、EUとの関係から、要するにEU指令というものが決めたルールに従う形で国内法制を整備していったというところもあるようです。
 さらに106ページのところですけれども、英国に非常に特徴的というか、学ぶべきところがあるかと思いますので「ワーク・ライフ・バランス・チャレンジ基金」というものを英国政府のほうでつくっております。これは具体的にはワーク・ライフ・バランス政策を導入したいと考えている経営者で手を挙げたところを審査いたしまして、その審査に合格すれば、そこに無料コンサルティングの機会を与える。このコンサルタントは、プライスウォーターハウスクーパーズですけれども、そこが無料のコンサルタントを与えるという制度を持っております。
 こちら詳細は資料3-2のほうに、別になっている資料ですけれども、これは『共済新報』さんのほうに、当社の藤森が寄稿させていただいた原稿で、こちらのほうにより詳しく書いてありますけれども、7ページ上段になりますけれども、予算規模等が書いてありますけれども、期間は2000年から2003年でして、全体として約27億円の予算が投入されまして、448企業が参加、影響を受けた従業員数は120万という形です。ちなみに1企業当たりは590万ぐらいの政府としての投資になったということであります。
 チャレンジ基金のプログラムは、当然コンサルティングを受ける企業さんにとってはワーク・ライフ・バランスを進めて当然生産性が上がるとか、従業員満足度が上がるとか、そういった効果があるわけです。つまり個別企業に利益があるわけですけれども、政府としてさらにお金をつぎ込んでやるという理由は、そうやっていることによって成功事例の収集、コンサルティングのケースをモデルとして収集して、よりその成果を報告書として広く国民あるいは財界に対して流布していくという目的があって、このような制度を用意していたということがございます。
 続きまして110ページからドイツの例になります。
 ちなみに、今まで申し上げませんでしたが、アメリカとイギリスは、我が国の場合はワーク・ライフ・バランスというのが比較的少子化絡みの議論としてされることも、必ずしもダイレクトにそうだとは言いませんけれども、そういったケースもあるかとは思いますけれども、アメリカは合計特殊出生率が2をまだ超えていますし、イギリスも比較的ヨーロッパの中では高いということがございまして、余りそういった少子化ということの絡みで語られることはなかったというのが1つ我が国とは違う特徴かと思いますけれども、次に申し上げますドイツは非常に少子化がヨーロッパの中でも深刻に進行している国でございますので、少子化問題とからめて議論が進んで行ったというところで先に申し上げた2カ国とは違うかと思います。
 111ページあたりにございますが、ドイツ政府は財界と連携をいたしましてワーク・ライフ・バランス、ドイツは我が国と一緒ですけれども"ファミリー・フレンドリー"という言葉を使っておりましたけれども、そういった運動として「家族のための同盟」というのを組みまして、具体的な取組をしてきました。
 その具体的な取組としましては、①ベスト・プラクティスの分析とその紹介、②社会的な影響の試算、③企業コンクールの実施、④地域連携の促進等々を行ったということです。
 このベスト・プラクティスの分析と紹介では、先進企業における好事例を紹介するだけではなくて、そこからとったデータ、具体的には10の協力企業からデータをとりまして、架空のファミリー有限会社とかという名前の架空の企業のモデルをつくって、コスト・ベネフィットのシミュレーションを行っています。それについての説明が111ページから112ページにかけて書いてあるのですけれども、分析の仕方はこの後、御説明あるかと思います。今回、こちらの事業でやろうとしているものと似ているのですが、ファミリー・フレンドリー施策が進んでいる企業と進んでない企業で圧縮されるコストが違うだろうと。ただ、一方で、ファミリー・フレンドリー施策を行うことによって当然かかるコストもあるだろうと。それを差し引きして得になればいいのではないかという発想なのですけれども、111ページの一番下、「その結果」と書いてあるところですが、ファミリー・フレンドー施策を実施した場合の圧縮されるコスト、節約されるコストが37万9,000ユーロ。一方で、ファミリー・フレンドリーが施策を実施することにかかるコストが34万4,000ユーロということなので、差し引き7万5,000ユーロの得である。要するに30万4,000ユーロをかけてファミリー・フレンドリー施策に投資をすると25%の利益が上がるというような分析をしているところであります。
 それから、113ページの下のほうにありますが、ドイツにおける家族のための同盟では、「成功要因家族」(2005)という直訳するとそういうタイトルになる企業コンクールなどを行いまして、これも我が国のファミリー・フレンドリー表彰とか、ワーク・ライフ・バランス大賞に似たようなものだと思いますけれども、上位30社に入った企業には、無料で仕事と家族という監査を受ける権利を与えると。イギリスの制度とやや似てる制度を設けていたりします。
 また、家族のための地域連携というものの促進も行っておりまして、このような地域連携を促進するために、連邦政府がサービス・オフィスを開設して、コンサルティングをこちらでも無料で実施をしたり、インターネット上ではハンドブックを公開して好事例を紹介するなどの情報提供を行うなどの取組をしているということがございます。
 3カ国についての御説明は以上です。
佐藤会長
続きまして資料2ですか。
栗田調査官
続きまして資料2の説明をさせていただきます。こちらのほうは、今、みずほ情報総研さんから御紹介いただきました情報と重なる部分もありますので、そこは簡単に飛ばさせていただきまして、この後、行いますコスト・メリット分析のコスト情報に関する部分がどういったとらえ方をされているかというところを少し詳しく御説明させていただければと思っております。
 まず資料2の1ページ目からいかせていただきます。まず最初にアメリカでございますけれども、(1)経緯及び概要というところでございますが、こちらは、民間企業の自発的な努力として進められたのですというところで、最初はワーキングマザーの支援を対象としたものから始まりまして、従業員一般を対象としたワーク・ライフ・バランス運動に移行したというのは御紹介のとおりであります。
 その後、2003年に上院議員での決議がなされまして、ナショナル・ワーク・ライフ・イニシアティブと呼ばれる全国的な啓発キャンペーン運動が進められております。ちなみにワーク・ライフ・バランス推進同盟、「フォーチュン誌」全米ビジネス協会の構成企業が担っております。
 ナショナル・ワーク・ライフ・イニシアティブの運動の具体的な中身につきまして、(2)で御紹介させていただいておりますが、この運動では、ワーク・ライフ・イフェクティブネスという標語が使われておりまして、重要な柱を7項目に分けてございます。①扶養者(家族)へのケア、②心身の健康、③職場の柔軟性、④財政的支援、⑤有給休暇や余暇、⑥地域とのかかわり、⑦意識改革運動といった項目を挙げておりまして、それぞれにつきまして、既存の文献等からの情報ですとか、その中にコスト情報も一部含まれておりますけれども、そういった収集した情報を含んだ広報啓発物を作成しております。その中で先進企業事例も紹介しているといった状況でございます。
 具体的に下に紹介されている情報を並べてございますが、「①扶養者(家族)へのケア」の部分では、例えば、2社が(企業)が共同で企業内託児所を設置した場合、コストは少なくとも15万ドル削減されるといったような実例の御紹介ですとか、保育サービスが提供された場合、従業員1人当たりコストは300ドル軽減するといったようなデータ。
 「②心身の健康」以降につきましては、どちらかといいますと、意識に関するものが多いのですけれども、例えば62%の雇用者が仕事を肯定的に捉えられるというのは自分の健康状態がある程度保たれているからと、健康状態によるところが大きいと感じているという状況ですとか、「③職場の柔軟性」につきましては、柔軟な働き方を支援する企業では、それ以外の企業よりも3.5%市場価値が高いといったようなデータが紹介されております。
 一部飛ばしますが、「④財政的支援」につきましては、財政的支援を選択することができる雇用者は、生産性高く働こうというような意欲があったり、企業に対する忠誠心といったものを持っていたり、1枚おめくりいただきまして、あとは欠勤が少ないといったようなデータがあるとのことでございます。「⑤有給休暇や余暇」につきましては、比較的若手の男性の労働者は仕事に挑戦したい、チャレンジですとか、高収入を得たいという意欲よりも、家族との時間を多く持つことを重要と考えているといったようなデータの紹介があったりします。
 「⑥地域とのかかわり」につきましては、社会や地域に貢献する企業はそれ以外の企業に比べまして売上や収益が10%高いといったようなデータが紹介されております。
 「⑦意識啓発運動」に関しましては、例えば上司に対してなかなか低い評価しかできないというような雇用者につきましては、同じような条件で高い評価をしている雇用者よりも離職率が高いといったようなデータがあるそうでございます。
 それから、その他としまして(3)で、会員企業に対しまして各種制度の普及状況と評価についてのアンケート調査を実施しているといったような取組もございます。
 その結果としては、従業員の採用、定着に最も効果的と考えられている制度としては有給休暇、テレワークを挙げる企業が多いといったようなこと御紹介されています。
 次、1枚おめくりいただきましてイギリスの状況でございます。
 イギリスにつきましても、先ほど紹介ありましたが、ワーク・ライフ・バランス・チャレンジ基金というものを設置して、施策の導入を検討する経営者に対しまして無料コンサルティングを実施しているといったことは大変先進的、特徴的でございます。また、その際、基金を活用した企業から情報収集を行いまして先進事例紹介などを行い、さらに企業の自主的な取組の促進を図っているという状況でございます。
 こちらでは基金のお話は先ほど御紹介がありましたので、(2)ではワーク・ライフ・バランス・キャンペーンの中に御紹介されています企業のコスト情報の一部を御紹介したいと思います。普及啓発用のパンフレットの中には、例えば病欠による雇用コストが年間100万ポンドにのぼって、そのうち30%が仕事上のストレスに関係している可能性があるといったようなデータですとか、イギリスの組織の中のシニアと呼ばれるような女性の5分の1以上の方は柔軟性のある職場に仕事を転職している。そういった方々を外部調達するには5万ポンドかかると見積もられているというデータが紹介されています。
 それから、出産後、仕事に復帰をする女性比率は91.5%で、過去10年間に30%以上増加したと。その結果、300億ポンドが無駄にならなかったといったような企業の実例を紹介されておりました。
 (3)先進事例でございますが、ウェブのほうでいろいろ紹介されております。
 まず【BAEsystems】の例ですが、1999年以降は従業員に対して平等な機会に関する情報の提供等を実施しているということで、そういった意識改革が行われまして、モラルと生産性の向上、収益の増加に寄与したというふうに判断しているということだそうです。2000年に採用した新卒者の22%が女性でそのうちの2人がエンジニアに与えられる賞を受賞しているといったような実績があるという紹介がされております。
 それから、【British Telecom】の例ですが、こちらは12月8日に行われました「女性エンジニアのためのキャリア開発コンファレンス資料」といったところからとってきましたが、BTの従業員のうちの13%が完全な在宅勤務、それから70%の方が部分的な在宅勤務を実施しているということで、その結果、生産性が15~31%も上昇しているといったようなデータがございます。そのほか、顧客の不満度が減少したりですとか、精神的疾患による退職者が80%も減った。それから、イギリスの平均を下回る欠勤率20%ほど下回っているということでございますが、出産休暇後の女性の高い復帰率98%と、かなり100%に近い数字でございます。通勤手当の削減、これは年間970万ポンドといったような成果が得られているということが紹介されております。もう一枚おめくりいただきまして、次にドイツの状況でございました。
 こちらはみずほさんのほうで詳しい御説明がありましたので簡単にということでございますが、先ほども紹介ありましたけれども、2003年から家族のための同盟ということで、政府だけでなく各方面の連携した取組を推進していくということで、その中で主要な取組としてベスト・プラクティスの分析と紹介ということで、コスト・ベネフィット分析を行っているということでございます。
 分析の中身につきましては、先ほどのみずほさんの資料のほうから、そのまま引用したものですので説明は省かせていただきます。
 それから、資料の中に、先生方の席上にもう一つ、「参考 ニュージーランド」と書いたものがあったかと思うのですけれども、クリップで綴じてなくて別立てで席上にお配りさせていただいたのですが、こちらは作業が間に合いませんできちんと資料にまとめることができなかったのですけれども、ニュージーランドにおきましても非営利法人でありますエコ・エンプロイメント・オポチュニティ・トラストというところが、ワーク・ライフ・バランスの効果分析に関する既存調査を公表しているということでございます。内外の調査結果等をもとにワーク・ライフ・バランスと生産性の関係を説示しているということで、特に職場での意識改革が必要であるといったことが強調されてございます。コスト情報についても若干一部含まれているようであるということでございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。専門調査会では、企業へのワーク・ライフ・バランスの施策の導入とか定着させるために企業として導入することのコスト・ベネフィット分析するわけですけれども、それを考える上で海外でもう少し広くワーク・ライフ・バランスの必要性、企業がキャンペーンをどう進めているとか、コンサルをどうやっているか、コスト・ベネフィット分析をどうやっているかを幅広く御紹介いただきました。もう少し説明してほしいとか、何か追加情報があれば。どうぞ。
川島委員
みずほさんにぜひお聞きしたいのですけれども、最初に御説明いただいた資料3-1で、私、特にアメリカ政府のキャンペーンというところで、仕事の柔軟性が増すと子どもの学力が上がるというところ、物すごい重要だなと。一般への訴求力というものが物すごく強いなというふうに思うのですが、これはデータに基づいたものなんですか、それとも彼らがそう思っているというだけの話なのでしょうか。
みずほ情報総研
済みません、調査したのが2年前なので、そのバックデータ当たらないとわからないのですが、それは上院議決のバックデータでどういうものがあるか、確認をして御紹介したいと思います。済みません、今はわかりません。
川島委員
少なくとも日本ではこういうデータ、統計とられてないですね。家族のライフスタイルと子どもの学力とか、脳の発達というのは日本にはないデータ。今、取り始めているところもあるような話なのですけれども、ぜひアメリカのほうでデータをとっているのであれば、どんな取り方したのか知りたいですし、とれるものであれば、例えば今回のこの調査の中でもこれを一本入れておくだけで物すごく訴求力の違いが出てくるなと思います。
佐藤会長
親との関係と子どもの学力みたいなのは教育のほうでやっていますけれども、親がそういう関係をとれる背景に何があるかというところまではやってないと思いますので、それはちょっと調べていただこうと思います。ほかには。
勝間委員
みずほさんにお伺いしたいのですけれども、アメリカとかがなぜ民間から政府のほうに移行したかということで、どういう気づきが政府にあったかということをもう少し教えていただけますか。民間に任せていればいいというのがいきなり上院まで、いきなり飛んだわけではないと思います。間に何かその経緯があったのではないかと。
みずほ情報総研
済みません、ちょっとそれも今手元にある資料なり記憶ではわからないので、それも確認をして次回御説明をしたいと思います。
勝間委員
日本は衆議院でも参議院でもいいのですけど、同じような議決をしてもらうために私たちはどうすればいいのでしょうか。
板東局長
実は日本の国会におきましても、参議院の調査会でワーク・ライフ・バランスとか少子化対策を取り上げて、この間、決議もなされております。ここまで突っ込んだ形のものではないというのは事実でございますけれども、非常に問題意識を持っている調査会が幾つかあるということでございますので、そういうところの議論につなげていくということはあるかと思います。
勝間委員
目標としましては、一般紙がどーんと一面トップでこれを11個ぐらい並べてもらえるとすごいインパクトがあると思うんですが。
佐藤会長
イギリスもアメリカも基本的には個々の企業なり、民間のNPO法人などの企業の、その前はファミリー・フレンドリーというイギリスもアメリカもやっていたので推進だったんですね。アメリカは確かに決議あるけど、基本的に私の印象は民間ベースだと思います。イギリスも民間ベースでありながら、多少ブレアのときにかなり一歩出たという形で、アメリカは今もこういうのがあるけれど、基本的には民間の取組だし運動は民間のNPO法人、ですから企業間格差は非常に大きい。イギリスもそうだと思いますけれども、すごく進んでいるところもあれば全然やってないところもあるというような分散が非常に大きいという印象ですね。
勝間委員
ドイツの25%のROIの話なんですけれども、私が経営者だったら25だとちょっと厳しいかなという印象がありまして、会社によってぶれてしまうので、これに対してドイツの経営者がどういう反応したかみたいな情報はありますでしょうか。
みずほ情報総研
済みません、政府系の資料から、御紹介されているのを分析して、その後どういう議論があったかというところまではちょっと追っておりませんので、調べられる範囲でそれもちょっと調べさせていただきたいと思います。
佐藤会長
ですからきょうみたいなコスト・ベネフィット分析、例えばアメリカだとワーク・アンド・ファミリー・インスティチュートとか、そういうNPO法人のところへデータたくさん載っていて、実はイギリスもたくさんある。だから結構たくさんやっていることはやっているので、情報的にはそっちのほうが蓄積されているというようなところですね。
岡島委員
アメリカ、イギリスとドイツではそもそもの背景が違うという御説明がありました。また、内容についても、特に地域への広がりというのがドイツはありますけれども、アメリカ、イギリスはどうなのか。もともとの初めが、生産性向上とか貧困対策だとしてもワーク・ライフ・バランスそのものが広がっていって、アメリカ、イギリスでも地域的な広がりが今どのくらいあるのか、あるいはないのか。企業の問題だけではなくもう少し広い社会運動的なものになっているかどうかというのはおわかりでしょうか。
佐藤会長
わからなければわからないで結構です。
みずほ情報総研
イギリスについては、また、御説明する機会もあればと思います。どうも済みません。
佐藤会長
武石委員はイギリスまで調べに行かれたので、何かありますか。ここへ行かれたんですか。
武石委員
話を聞いてきましたけど、地域の話まではちょっとわからないんですが。
佐藤会長
追加的なものが特にあるわけではないですか。
武石委員
ただ、イギリスは基金の後に法律、「フキシブルワーク法」というのをつくって、子どもがいる従業員はフレキシブルな働き方をリクエストできるという立法をして、かなり子どもがいない人にまで適用している企業があるという、そういう動きがあると思います。
佐藤会長
よろしいですか。きょう出た御質問については、わかる範囲内で、海外にまで調べに行けとは言いませんので、わかる範囲内でフォローしていただくことにしていただきたい。私は資料3-1の全文を欲しいなと。研究者としてはレファレンスがわからないのは使いにくいので、可能であれば全部欲しいなということです。
 それでは本題に移りたいと思います。今のは海外での取組を踏まえた上で、我々はどういうことをやっていくかということですので、それでは次の資料4以降について御説明をよろしくお願いいたします。
吉野専門官
それでは資料4について説明させていただきます。カラーコピー1枚の部分とあと図表、これと見比べながら説明させていただきます。
 「ワーク・ライフ・バランスの実現が個人・企業・社会に及ぼす効果」ということで、個人・企業・社会というふうに分けましてそれぞれ定性的な効果、定量的な効果、ケーススタディということで1枚紙にまとめております。
 個人につきましては、定性的な効果として仕事への意欲の高まり、仕事と家庭の両立が可能な項目。企業につきましては、多様で有能な人材の確保、従業員の定着、意欲の向上などの項目。社会につきましては、労働力不足の軽減、生産性の向上などの項目ということで、それぞれこれらを定量的効果として示されている図表ということで、これらにつきましては、1つは、まず当方では去年の12月にまとめました「両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書」で取り上げられた調査結果と、今年の3月に、内閣府の経済財政のほうで取りまとめました「わが国の労働市場における多様就業に関する調査研究報告書」に記載された図表、10月3日の日経新聞のところで取り上げられました労働政策研究・研修機構の資料などを見ましてそれぞれ定量的な効果が上げられている図表ということで挙げさせていただいております。
 まず、図表1ですけれども、これは仕事の意欲の高まりということで、既婚の男女ともにワーク・ライフ・バランスが図られていると考えている人のほうが仕事への意欲が高いという図表でございます。
 図表2でございますけれども、子供と仕事の関係についてということで、「子供ができて仕事をするはりあいができたと」、「生活にめりはりができた」という答えた人の割合が高いということでございます。
 図表3なんですけれども、これは生涯所得で見て、結婚・出産後に非就労となった場合には大体1.5億円くらい違うと。継続した場合と離職して数年後にパート・アルバイトで就業した場合とでは1億円くらい生涯所得で差が出ますといった図表でございます。
 図表4以降は企業についてということなのですが、まず両立支援が企業に与えるプラス面におけるこれはアンケート調査ということで、企業の業績には関係しないと答えた企業を除いたうちということなんですけれども、「優秀な人材がやめないですむ」と答えた企業が5割、「優秀な人材を採用できる」と答えた企業が2割ということになっております。
 図表5、あとは従業員の定着ということで、両立支援の進んでいる企業は従業員の定着率が高いということで、1枚めくっていただきまして、図表6、継続就業のパターンというところなんですけれども、女性が出産後もそういった両立支援が進んでいる企業は就業を継続する割合が高いということでございます。
 従業員の意欲の向上ということで、1つは先ほど図表1に示したとおり、図られていると考えている人は仕事への意欲が高いということと、図表7のほうでございますけれども、両立支援策と人材育成策を組み合わせることによって女性従業員のモチベーションが高くなる傾向にあるといった図表でございます。
 続きまして、図表8、仕事の効率性の向上というところでございますけれども、子育てをしながら働いている女性は効率を強く意識しているということで、これは上から2つ目の「女性・小学生以下の子どもあり」というところで46.1というふうになっております。
 図表9、あと、こういった育児休業や短時間制度を利用したことにより、具体的な影響としてはということで、これは管理職を対象に聞いた調査ですけれども、「仕事の進め方について職場内で見直す結果になった」という回答が多くなっているという図表でございます。
 続きまして企業業績との関係といったところでございますが、図表10につきましては、企業の利益率と女性比率は正の相関が見られるといったところ。
 図表11につきましては、5年間の課長に占める女性比率と過去5年間の女性管理職の増減、それについては成長性指標と総合経営判断指標の間におおむね密接な関係が見られるといった図表でございます。
 図表12につきましては、両立支援と人材育成策を組み合わせると、それらの相乗効果といったことで企業業績へのプラスの影響が見られるということになっております。
 図表13は、男女雇用均等施策とファミリー・フレンドリー施策を重視している企業、両方組み合わせて重視しているという企業については1人当たりの売上及び経常利益が高いという傾向にあるといった図表でございます。
 図表14以降は社会といったところなのですけれども、まず1つ、図表14、15についてなのですが、これはコーホート推移で見てみましたところ、30から多様な働き方を可能とするそういった制度が普及されると、30~40歳の女性の労働力率が3.9ポイント、35~39歳では5.7ポイント高くなると。就業継続により労働力の質の高まりを勘案すると、済みません、図表には書いてないのですけれども、労働力率の上昇は労働力人口実質1%,GDPを0.4%押し上げるというふうに報告書では書かれております。もう一つ、保育所等が拡充された場合ということで、図表16ですけれども、そういったものを放置した場合と改革した場合というところで、女性の労働力率の2025年時点では2.1ポイント高まるといった図表16でございます。
 あとケーススタディといたしまして、図表17で、それぞれふくやさんさん、イノスさん、カミテさんことについて記載されておりまして、ふくやさんにおきましては、有能な人材の確保というところでISOを取得したことなどにより会社説明会で学生の参加が増加し、応募者の質が向上したということです。
 イノスさんにつきましては、従業員の定着ということで、離職者の減少により毎年全従業員の1割だった新規採用の人を減らすことができたということです。
 あとカミテさんについては、ワーク・ライフ・バランス施策により生産過程での不良品率が低下したというふうにこちらでは掲げられております。
 以上でございます。
佐藤会長
続けてお願いします。
栗田調査官
引き続きまして資料5以降もまとめて御説明させていただきたいと思います。
 今、御紹介させていただきました資料4の部分で、企業の例えば欠員等の減少により雇用コストなどの軽減といったようなところにつきましてはまだ色がついてない。要するに研究しているものが余りないというところも踏まえまして、コスト・メリット分析というものを改めて取り組んでみたらどうかということで、その内容を御紹介させていただいているのが資料5になります。
 前回の専門調査会でも一応ざっと御説明させていただいたのですが、もう少し詳しく書き込んだものをきょう御用意いたしました。順番に御説明させていただきます。
 まず分析を対象とするモデルケースにつきましては、それぞれの4つ下にケースがございますが、ワーク・ライフ・バランスの環境を相対的に整っていない場合と整っている場合のコスト同士の差をメリットととらえて分析をするということです。
 具体的なケースとして、まずケース1が、休業を取得するような環境が整っているということで、例えば従業員が出産等によって退職をしないでそのまま継続して就業するようになるといったところを想定しています。
 ケース1をA、Bと分けてございますが、まずAのほうが、余り環境が整っていないで、出産等で従業員が退職してしまって、それで欠員を補充する場合。Bは、環境が整っておりますので、休業を取得した上で一定期間後に復職をする場合。
 これがまずケース1でございます。ケース2は、こちらはケース1の続編といったような位置付けにもなろうかと思いますが、出産等の後に復帰をした職員、育児等によって短時間勤務制度を利用するような環境が整っていることによって退職する方が減っていくというところを想定しております。
 Aにつきましても、そういった勤務の利用が余り進まずに従業員が退職してしまって欠員を補充する場合。Bのケースは、利用環境が整っているので短時間勤務制度を利用しながら就業を継続していく場合。
 これがケース2でございます。
 ケース3は少し見る視点を変えましてメンタルヘルス上の問題を取り上げたということでございます。こちらの労働環境整備が進みまして、メンタルヘルス上の理由でお休みされたりですとか、おやめになるといったような方が減るというところを想定しておりまして、まずA、環境が整わないほうですけれども、そこを2種類に分けまして、従業員がメンタルヘルス上の理由で退職をしてしまって欠員を補充する場合がA-1。そこまでいかないにしても、メンタルヘルス上の理由で休職をして一定期間後に復職をする場合、これがA-2。Bというのは、そういった要因がなく、労働環境整備がとてもよろしいので、従業員が普通に勤務を継続しているというケースでございます。
 それから、ケース4でございますが、こちらは長時間労働を是正する場合、ワーク・ライフ・バランスを考える上で、労働時間は非常に大きな要素かと思われますので、そちらを取り上げたものでございます。
 まずAとしては、従業員の長時間労働がそのままになってしまう場合、何もしない場合ということでございます。
 Bのケースは、長時間労働を是正しまして、例えば派遣社員の導入ですとか、時間当たり生産性の向上などで総業務量を確保する場合といったものを想定してございます。
 2.のところで具体的な分析方法について総論的に少し解説をさせていただいていますが、今、御紹介しました4つのケース、それぞれAとBとございましたが、環境が余り整っていないAのコスト合計と、環境が整っている場合、Bのコスト合計、これを差し引きしたものをメリットととらえるというふうに考えております。
 2つ目の「・」で2ページ以降にそれぞれのコスト項目あるのですが、それぞれAでもBでも同時に発生するため相殺が可能になってくるものですとか、なかなか抽出が不可能なものが含まれるということは考えております。
 3つ目の「・」ですが、ケースAとケースBで総業務量は一応原則同じであるということを前提としております。ただ、ケースAの長時間労働の是正につきましては別の考え方もすべきであろうということで、後ほど説明しますが、一部例外ということを置いております。
 4つ目の「・」は、企業規模については、従業員が1,000人以上のもの、同じく100~999人のもの、同じく100人未満のこの3種類ごとにそれぞれ分析を試みてはいかがかということで考えております。こちらの先行研究としましてニッセイ基礎研さんのやっておられる今年の平成19年3月に報告書が出ました「両立支援に係るコストとベネフィットに関する研究」というものがございまして、佐藤先生、武石先生、北浦先生も御参加いただいていますが、調査では、②の100~999人といったところを前提に置いているということでございますが、もう少し詳しく見れないかということで、賃金構造基本調査の区分に従いまして3つに分けているということで記載しております。
 その次の「・」ですが、業種につきましては、とりあえず全産業平均で算出をしたいと考えております。ただ、それぞれの業種、製造業、情報通信業等の産業別の状況には留意をしまして、特に給与面といったところで差が出てくるようであれば、そこも検討してみたいと考えております。
 従業員の賃金等に関する想定は、それぞれのケースごとに書いてございます。
 1枚おめくりいただきまして、それぞれのケースのコスト情報について御紹介させていただきます。
 まずケース1ですが、こちらは休業取得環境が整って出産等で余り人がやめなくなるということでございますが、まずAのほうは、余り環境が整っていなくてやめてしまうということで、退職時点では、例えば業務引継ぎなどに係る人件費があるでしょうと。その後、欠員を補充するわけでございますが、こちらでは平均的に6カ月程度ということで、とりあえず仮に期間を置いております。
 欠員補充までの期間には業務を代替・補完する同僚従業員の人件費がかかるといったことが考えられます。ここに「※」が付けてございますが、では、その人件費につきましては、もともとの従業員がやっていたというよりは時間当たり生産性がなれない業務ですので最初は低下するのではなろうかという仮定を置くということで考えてございます。
 それから、新規に人を入れるということになりますので、新規採用者採用に係る人件費、経費といったものがかかってくるということです。
 逆に退職者の賃金や社会保険料は払わなくて済むようになりますので控除されると。
 その次の期間としまして、新規採用者が入社する時点では、業務の調整や引継等に係る人件費がかかってくるということがございます。
 新規採用者入社後の一定期間、これはどのぐらいの期間というところをもし御意見あればということなんですが、2~3年ぐらい慣れるのにかかるのでしょうか。新規採用者の研修に係る人件費、経費といったものですとか、そういった方の業務を補完する同僚従業員の人件費といったものがコスト項目としては考えられるのではなかろうかと思います。これに対応しましてBのケースですが、こちらで同じように時点ごとにコスト項目を上から順に御紹介します。
 まずBの点では、休業するというケースでございますので、休業を開始する時点では引継等に係る人件費があろうかと。ただ、こちらのAのケースと同じように、引き継ぎに係る人件費というのは同じようにかかるのではないか。どの程度のコストと想定されるので相殺可能ではないかということで矢印を引かせていただいております。
 業務を代替する臨時要員をもし採用するということでありますと、そのためにかかる人件費や採用に係る募集広告の経費などもかかってくるかもしれません。
 それから、休業期間中でございますが、こちらにつきましては、期間をとりあえず育児休業期間、1歳に原則達するまでということですので、1年間+産前休暇の6週間ということで1年+6週間というものを想定してございます。こちらは先ほど御紹介しましたニッセイ基礎研究所さんの報告書でも同じような想定を置いておられたと聞いております。
 こちらの期間に係るコストとしては、業務を代替・補完する同僚従業員の人件費、こちらも時間当たり生産費は若干下がるのではないかという仮定が必要かと思っております。
 それから、業務を代替する臨時要員を雇う場合にはその人件費。管理に係る人件費。休業者の復職支援に係る人件費、経費といったものも考えられるかと思います。逆に休業者の賃金、社会保険料といったものが控除されるといった事情は同じですが、こちらのAの項目と同じように相殺されるのでしょうという事情が考えられると思います。
 それから復職時点でございますが、業務調整や引継等に人件費がかかるでしょうということですが、これもAのケースと同じように相殺が可能ではなかろうかと思われます。
 ただ、復帰後の一定期間、これはどのくらいかということですが、一定の仕事をしておられた方が同じところへ戻ってくるということですので、それほど長い期間は2~3カ月ぐらい。そんなに長い期間かからないのではないかというようなことも想定されます。復職者の業務を補完する同僚従業員の人件費といったものかかかろうかと思います。
 下に(注)と(想定)といったところに注書きがございますが、(注)のところの一番最後の2行、休業期間中の業務代替は、同僚従業員と臨時要員で行う場合、同僚従業員だけで行う場合と両方想定・試算をしたいということで考えております。
 そのほかの(想定)という部分でございますが、こちらは女性社員が出産するというケースですが、その女性従業員は年令は29歳、第1子出産の母親の平均年令が29.2歳ということですので、29歳という仮定を置いております。
 それから、企業規模の学歴についてなのですが、従業員1,000人以上、100~999人までの企業につきましては、この年齢層の女性従業員は数的には大卒の方が一番多いということで大卒を想定しています。100人未満の企業につきましては、同じく高専・短大卒の方が一番多いというデータがございますので、そういった仮定を置いてそれぞれ標準労働者としております。2つ目の「・」は、業務調整を行う同僚従業員は管理職ということで課長級という仮定を置かせていただいています。賃金についても男女計、全学歴・全年令の値を、必要に応じて加重平均で算出して使用するということで考えております。
 業務の引継・代替・補完する同僚従業員は、これは役職についていない方を考えております。
 新規採用者の賃金水準は、新規採用者といいましても新卒の方を採る場合と中途採用の場合と両方あろうかと思いますけれども、新卒採用の場合は退職者と同じ学歴の新規学卒者の値、中途採用する場合は退職者と同じ学歴および年令の標準労働者の値を、それぞれ使用するということで考えております。
 1枚おめくりいただきまして、次にケース2でございますが、こちらは短時間勤務を利用する場合のケースでございます。
 同じくAのほうからざっと御紹介いたします。もし退職してしまうということですと、退職時点には業務調整、引継等に係る人件費がかかる。
 欠員補助までの期間には業務代替をする同僚従業員への人件費ですとか、新規採用者採用に係る人件費や経費がかかるであろう。
 退職者の賃金・社会保険料が控除される。これはケース1と同じでございます。
 新規採用者の入社時点においても、やはり引継等にかかる人件費がかかる。
 入社後の一定期間についても研修に係る人件費や経費ですとか、業務を補完する同僚事業員の人件費といったものがかかってくるということで考えられるかと思います。
 Bの短時間勤務を利用するというケースですが、こちらも上のほうから御紹介しますと、短時間勤務を開始する時点、こちらは業務調整や引継等に係る人件費があるというのはAのケースと同じですが、ただ、コストとしてはケースBのほうが小さいのではないかというふうに想定されると思います。
 業務を補完する臨時要員をもし採用する場合には人件費。
 採用に係る募集広告の経費等がかかってくるのではなかろうか。
 次に短時間勤務の期間中、これもとりあえず今3年程度想定ということで入れておりますが、御意見があればいただければと思います。
 業務を補完する同僚従業員の人件費、臨時要員の人件費、臨時要員の管理に係る人件費等がかかる。
 短時間勤務者の時短分の賃金を払わなくてよくなるということで控除するということでございます。
 それから、短時間勤務終了時点では、引継等に係る人件費がかかるということで、ただ、BのほうがコストとしてはAのケースよりは少ないのではなかろうかということでございます。
 下のほうで(想定)と書いてあるところをごらんいただきたいのですが、退職ないし短時間勤務を行う従業員については、1つには、今育児等によりということで、女性従業員がお子さんが小さいために育児をしている期間に使うという場合と、男性も女性もでございますが、親御さん等の介護をしなくてはいけない年令層に達した場合といったところを、男性・女性ということでケース、全部で3つのケースを想定して考えてみたらどうかということで考えております。
 まず、一番上の女性の育児のケースでございますが、年齢層としては、29歳で出産するという平均的なところから1年ぐらいで復帰をしてと、その後ということでございますので、年令は30~34歳程度。それから学歴と従業員規模につきましては、ケース1と同じような想定を置いております。
 それから、その次の男性の介護のために短時間勤務を想定したところでございますが、これは年齢層的には40代の後半になりますと介護のニーズが非常に高まるというデータがございますので、45~49歳をとっております。その年齢層の学歴の一番人数が多い方ということで大卒という仮定を置かせていただいております。
 女性につきましては、年齢層的には同じく45~49歳ということですが、その年齢層の標準的な一番数の多い学歴の方は高卒ということですので、高卒という仮定を置いて計算をしたらいかがかということで考えております。
 それから、一部省略させていただきまして、もう一枚おめくりいただきます。ケース3ですが、こちらは労働環境整備は進むということで、メンタルヘルス上での理由の休職や退職は減るといったケースの想定でございますが、こちらはコスト項目につきましては、実はケース1、出産等の理由で従業員がやめるか、やめないかというところとかなり準じているということでございますので、対比表は割愛させていただきますが、メンタルヘルス上の理由で退職してしまう、休職してしまうといったケースにつきましては、いわゆる退職したり休職をするという期間に入る前に出勤をしてきてもなかなか思うように働けない、生産性が低下している期間があるだろうというようなことですとか、あとカウンセリング等、復帰シーンにもコストがかかるといったような事情にも考慮する必要があろうかと思っております。
 それから、退職ないし休業する従業員の賃金水準は同じような形でいろいろ平均の値を加重平均で算出して使用するということで考えております。
 それから、最後にケース4でございますが、こちらは長時間労働の是正ということで、Aのほうですけれども、こちらは人件費がかかるということでございますが、Bの長時間労働を是正するケースよりも、残業代の支払いが多いであろうということと、それから長時間労働になることによりまして、時間外業務について当然時間生産性比が疲れなどによって低くなってくるのではないかという仮定を置かせていただいたらどうかということでございます。
 あと光熱費等は建物の稼働時間が長ければ少し高くなるのではなかろうかと。
 Bのほうの長時間を是正するケースですが、人件費は同じようにかかりますが、残業代の支払いが削減されるといったような事情もございます。
 あと時間当たり生産性もAのケースよりも高いという仮定を置くということになろうかと思います。
 こちらにつきましては、業務を補完する臨時要員をもし採用する場合にはその人件費等がかかってくるというようなことですとか、あとはいわゆる長時間労働是正取組に何か人件費等がかかるのであれば、そちらも見るべきであろうと。
 あと光熱費等につきましては、Aよりは少ないのかなといったようなところを勘案しまして計算したらどうかということでございます。
 あとケース4につきましては、後ほど御紹介いたしますけれども、企業の事例調査におきまして、業務のそもそも見直しをすることによって業務量を少なくしまして残業を減らすと。長時間労働の是正を達成するといったことも考えられますので、まずそういった企業事例調査のほうでどのぐらいの業務を減らしたかというような事例の収集に努めて御紹介をさせていただければと思っております。
 済みません、なるべく早めに残りの2つの資料を説明したいと思います。次に資料6でございますが、こちらは前回の専門調査会で御紹介をざっとさせていただきまして、会長と事務局で御相談させていただいて依頼に入らせていただきたいということで御紹介をさせていただいたものでございます。
 こちらは佐藤先生に御承諾いただきまして、現在依頼をしている企業名一覧でございます。考え方としましては、企業規模、業種、地域にある程度配慮をいたしまして、ある一定の地域、ある一定の業種、ある一定の企業規模に偏りがないようにという考え方で選ばさせていただきました。上のほうから名前だけ御紹介いたしますが、松下電器産業さん、アイシン精機さん、ジェイティービーさん、こちらは小室委員、きょう御欠席ですけれども、御紹介をいただきました。それから帝人さん、P&Gグループさん、日立ソフトウェアエンジニアリングさん、こちらはことし第1回のワーク・ライフ・バランス大賞を受賞されたということでございます。コクヨさん、こちらも小室委員から御紹介いただきました。野村證券さん、こちらも小室委員から御紹介いただいております。ユニクロさん、だんだん企業規模が小さくなってまいりますが、北陸銀行さん、金融業といったところも幾つか入れております。日本イーライリリーさん、サタケさん、こちらも日本ワーク・ライフ・バランス大賞を受賞されているということでございます。
 おめくりいただきまして、平和堂さん、タカラバイオさん、こちらは滋賀県の県の表彰を受けられているというふうにも聞いております。イノスさん、こちらは武石先生も非常にお詳しいというふうに聞いております。カミテさん、こちらもワーク・ライフ・バランス大賞も受賞されているということです。妙徳さんは、武石先生から御紹介いただいたところでございます。ジーエムジャパンさん、大崎タイムズさんといったところに今依頼をしておりまして、一部早くもあす以降企業ヒアリングに行かせていただくということで進めさせていただいております。
 それから資料7でございますが、こちらの企業ヒアリングに行くときの調査項目、前回の専門調査会で御紹介したものからほとんど変わってはおりません。
 1で「ワーク・ライフ・バランスに係る制度・取組の状況」ということで制度の概要、利用状況、利用促進のための取組といったようなものですとか、2としまして「ワーク・ライフ・バランスに親和的なマネジメント」にどのようなものがある。
 もう一枚おめくりいただきまして3「ワーク・ライフ・バランス取組に係るメリット・コスト」ということで、資料5で御説明いたしましたコスト・メリット分析の参考になりそうなコスト情報もこちらの企業事例調査の中から拾っていきたいということで項目を挙げてございます。
 あとはこちらにいろいろなコスト情報、取組によっていろいろ影響が出てくるものというものも出てくるかと思いますので、そういったところにつきましても話が聞ければということで考えてございます。
 それから、一番下の「ワーク・ライフ・バランス取組に係るイニシャル・コストについて」ということで、事業所内保育施設の設置コストということで挙げてございますが、こちらは当然設置した後、ランニングコストもかかってきますので、そちらも併せて把握していきたいと考えております。以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。3つあるのですけれども、まず4について御意見伺って、5がいろいろあると思いますので、その後、6と7、ヒアリングのところの御意見伺って、5に時間をかけることにしたいと思いますが、まず4の位置付けなのですけれども、5と6は新しくやるのですが、4は既存研究のレビューで、これはこの前の専門調査会でもある程度やったのですね。4は、どういう位置付けと考えられているか、まず伺ったほうが、つまり4の位置付けなんです。
神田課長
4は参考という意味でございまして、全体どういうコスト分析がマクロとかミクロの面でなされていて、今回私たちがやろうとしているのはこの中の企業の欠員等の減少による雇用コストの軽減、ここの部分だという理解なんですね。ここの部分についての分析がこれまでなかったので、そこを今回の専門調査会で御議論していただきたいと趣旨。
佐藤会長
そうすると4は、基本的には議論しなくてよい。
神田課長
しなくていいんです。ただ、御参考までに示したまでです。
北浦委員
確認までなんですが、それでもいいんですけれども、先ほど海外のところでワーク・ライフ・バランスの効果を全部やってきた。そのワーク・ライフ・バランスの定義なんですけど、ディフニションはみんな広いんですよね。日本は恐らくワーク・ファミリーとバランスとワーク・ライフ・バランスの過渡期だからしようがないんだろうと思うんですけれども、これを見ると定性的なところはいろいろとれるのだけれども、定量的なところは明らかにワーク・ファミリーなんですね。あるいは両立支援の効果なんですね。多分これはしようがないんだろうと思うんですが、一応今回はそういうようにワーク・ライフ・バランスの効果とは言っているけれども、定量についてはそういうところに焦点を当てて、定性的なところは広くとる、そういうようなスタンスで臨まれるんですね。確認です。
神田課長
今、済みません、おっしゃっていたのは、今回、定量はワーク・ファミリー的な部分に取り組むということですか。長時間労働でやめてしまう例というのも、ケース4ですね。あるいはケース3と4。
北浦委員
資料4のところの中の書き方としては、両立支援のところの効果というような書き方が大部分なんですよ、ここで見る限り。おやりになるこちらのケーススタディはおっしゃったとおりなんですけれども、そこのところは別に直せと言っているわけではないんですが、恐らく現状においてそこは……
神田課長
基本的に両立支援がメインだということですね。そうですね。そこは今ある既存の。
北浦委員
既存のもので展開してということですね。そこを確認したかった。
佐藤会長
資料4、私、議論し始めるといろいろあるだろうと。つまり定量と定性、定性的なものも入っているんだね。例えば細かいことを言い出すと、引用しないほうがいいなという研究もちらほら入っているという気もしますが、これは議論しなくてよいということでいいですか。
神田課長
はい。気になる事があれば後で教えていただければ助かります。
佐藤会長
そういうふうに言うのは難しいなと。例えば企業業績の研究たくさんあるんですけど、今回のワーク・ライフ・バランスだけではないです、いろんなのがたくさんあるんですけど、結局実際わからないんですよ。というのは、大体スタンダードな研究成果なんです。つまり経営戦略が正しくなければ、みんなが一生懸命働いてもだめなのはだめなんですよ、極端な言い方すると。全く同じような経営戦略をとっていれば、意欲的に働く会社が正しい。だから、そういうのがなかなか研究できませんから、そういうこともありますので、わかりやすく言えば。では、まずインタビューの6と7、6の企業のほうは大体……7でここら辺ウエイトを置いてほしいとか何かあれば、まずそれを伺ってから5をしたいと思いますので、企業ヒアリングのところについてもし何かあれば、どうぞ。
勝間委員
エコノミックというのは多分一番効いてくるのが採用教育コストの多寡だと思いまして、それをぜひ強く聞いていただきたいなと。要は安く雇った人を余り給料をあげずにスキルが上がってくれるというのが多分企業にとって一番うれしいことで、同じスキルの人をまた再採用すると一番お金がかかるのでなるべく引き止めたいということだと思うんですよ。なので企業の考え方で、私が経営者だったら多分多少差別化すると思うんですね、残ってほしい人と残ってほしくない人と、そういう微妙なニュアンスみたいなのがヒアリングが多少なりともわかるといいなと思います。
佐藤会長
採用のコストのところは聞いているのね。
勝間委員
一律に聞いてしまうと、非常にあいまいな答えしか返ってこない印象がありますので。
佐藤会長
1ページの制度利用促進と書いてありますけれども、例えば育児休業を誰かとったときに、多分会社として方針ないところが多いのだけど、うまくいっている職場とそうでないところがあるんですよ。うまくいっているところはどうかというような話、だから平均的に聞くと、やられていますみたいな話なので、大事なのは、うまくいっている。一部でもやっているとすれば、そこはどういう取組なのかというようなことを聞いてきていただけるといいなと。そういうふうにそれぞれなんですけれども。
栗田調査官
基本的には人事担当部署の方に聞いてくるのですけど、なるべくうまくいっているところでどういうふうにやっているのかといったことを聞いてこれるように心がけたいと思います。
永木委員
答えられるところだけでいいということですね。
佐藤会長
それは当然そうですよ。
永木委員
人事担当者レベルですと、ヒアリングの依頼は結構何件もあるんですね。同業他社さんであったり、他社さんであったり、政府だったり、それで同じ質問に何度も答えているんですよ。例えば既存のデータベースで既にわかっているものについてはちょっと割愛していただけると聞かれる側は非常にありがたいです。担当者のワーク・ライフ・バランスを心配します。あと基本情報についてはウェブ調査であるとか、そういったものもして、広く浅く、イエス、ノーの部分については聞かれたほうがいいのではないかと思います。あと個別ヒアリングの意味とか意義についてですが、なぜ個別にヒアリングするのか。ケース1とか2とか3とかを分析するのだったら、適当に統計資料で平均値出したほうがよほど正確だと思うんですね。企業に採用のコスト幾らでしたかと聞いたとき、恐らく担当者が、鉛筆なめなめ、うん、このぐらいかなと。そういう数字を集計して平均することになりかねないです。
佐藤会長
ごもっともな意見で、多分2時間ぐらい聞くのであれば、正直言って、これは全部無理だ。本当は松下さんに伺うなら、これだけとか、この中のどれか、本来は既存でわからないところはここですというほうが本当は親切だね。
永木委員
私も勝間さんと同意見で、聞くのだったらピンポイントで、採用コストというのは非常に企業にとってはぐっとくるところですけれども、あと代替要員云々と前提条件がいろいろあり過ぎます。大抵の場合は課長さんクラスの人が、欠員のところの部分をカバーして仕事をして、いつの間にかなんとかなっているところがほとんどなのではないかなと思うんです。
佐藤会長
どうしようか、事務局がもし全部知りたいのであれば、今、永木さんが言われたように、既存のものでわかるものは先に埋める。埋めて、埋めたところは向こうに読んでおいてもらって、違えば言ってもらって、あとわからないところを教えてというふうに事前に調べたものを送ったほうがいい。例えばそんなやり方していただくといいのではないか。
栗田調査官
既存のものがあるときにはそちらで、特に制度の概要等はきちんとパンフレット等をつくっていらっしゃるところも多いと思うので、そういったところは既存の情報を利用させていただくという形にして少しでも負担感を減らしたいなと思っております。
 あと、コスト情報については、既存の統計調査でとれるもの、それは当然とってくるのですけれども、例えば特に重点的に知りたいなと思っていますのは、お休みに入られた方が戻ってきたときに、生産性がどのぐらい落ちてしまうのか、大体仕事のペースが戻るのにどのぐらい期間がかかるものであるかとか、、そういったようないわゆる現場の実感を少し聞かせていただければという意味合いを含めまして書かせていただいております。そこは事前になかなか紙で趣旨をお伝えするのは難しいかと思いますので、お会いしたときにヒアリングの場でお聞きをしながら進めさせていただきたいと思っておりますので。
永木委員
でも担当者の職場にたまたまそういう人たちがいれば実感としてわかりますけれども、その部門にそういう人がいないときに、生産性がどのぐらい落ちているかは絶対わからないですね、その場では。
栗田調査官
おっしゃるとおりだと思います。ですから必ずしもお答えいただけるとは限らない質問項目かなと思っております。
佐藤会長
7は、これとして何かあるの、例えば5のリンクしているのだったらば、やめた後とるのを、これは経験者とるという前提置いてもいいと思うんだけど、その場合でも1ぐらいかかるのかというのは既存データでわかるのだから、つまり5をつくるためにインタビューするのだったら、スポットで聞くというよりキーポイントで聞くほうがいい。だから、この7はどうするの、聞いた後、これまとめるの。
栗田調査官
コスト・メリットに関する情報を聞いている部分が2ページ目の後半部分だけですよということが1つと、あとは先ほど申し上げましたように、長時間労働を是正するというときに業務の見直しをするというところにつきましても、実際に仮定を置くときに一律例えば3割減らすとか、5割ですといった乱暴な仮定はなかなか置けないので、先進事例として、この企業ではこのぐらいだったというようなところをまず集めてくるところから始めなくてはいけない部分が多いと思うんです。そういったところを重点的に知りたいということもございます。
 あと、それからマネジメントに関する部分ですとか、制度の利用状況とか、そういったほかの質問項目も聞いてくるといったところと併せて御理解いただければと思います。
佐藤会長
もしあれならば前の方はやめてしまったら。全部答えてもらえるかわからないのでは。
栗田調査官
前というのはどの部分でしょうか。
佐藤会長
だからさっきの時間、業務改革とコスト・メリット分析の必要なものだけ聞く。それ以外は何のためにやるかなんだけど、要らないんじゃない。
栗田調査官
あと、前々回でしたか、人事評価の関係で成果主義要素を入れているところは割合とワーク・ライフ・バランスの親和性があるというような御意見もありましたが。
佐藤会長
それもある、研究が。要らないかもしれない。
栗田調査官
先生方に御議論いただいて、それでということであれば。
佐藤会長
いや、どっちでもいいですけど、ちょっとやや言われてみたら広すぎるかなというような気がしていたので、もう頼んじゃったらしようがないんだけど。
永木委員
例えば、調査項目の3の大きい「○」の「・」の3つ目ぐらいにある長時間労働を強いられる従業員の時間当たり生産性比、これはむしろ企業として知りたい項目。こちらにあるケース3とか4、これで長時間労働を放置している場合と是正している場合で「※」、生産性比率はAよりBのほうが高いと仮定とありますが、その仮定がわかれば、みんな対策をとるのであって、ここの仮定の部分がどうなっているのかがみんなが知りたいところだと思うんですね。
 そういう意味では、イギリスとかドイツかで実施されている「コンサルティングを交えながら、ビフォー・アンド・アフターで見たところの効果というのを出される」ほうがよほど現実的というか、説得力があるかなと。やってない企業、放置している企業にAとB両方について調査するのではないですね。放置している企業にAを調査して、何かやっている企業にBを調査するのですか。例えば長時間労働の是正についてです。
栗田調査官
AとBというのは、分析のほうの計算ですので、実際に企業さんに聞くときには、長時間労働の是正の取組をしている企業さんにはどういった形かということでお聞きをすることになります。
永木委員
このケーススタディはまた別途違うデータからやられると。
栗田調査官
資料5に書いてありますケースのAとBを比べるというのは、既存の統計でわかるところをそれを持ってくると。あと現場の実感として、今の長時間労働のケースですと、残業も何時間もやるとかなり疲れるから、自分としては0.8ぐらいまで生産性が落ちちゃうかなとか、そういったような御意見がもし聞ければなということなんです。
佐藤会長
まず資料5のほうを伺って、それでやはり企業に幾つか聞いておいて、数値埋めないのということがあれば、それをメインに聞く。つまり資料5にかかわるものを先に聞いて、余った時間で各社特徴のあるところを聞くというような整理にするようなことにとりあえず暫定的に考えておいて、資料5関係をまず御意見伺えればと思います。特にケース4が一番難しいと思うので、少し。
北浦委員
済みません、きょう途中で失礼しますので。今の議論に関連するのですが、よく整理されていると思うんですが、ケース1、2、3は非常に細かく整理されている。ケース4の長時間労働の是正というのがややまだ練りが足りないなという感じがちょっとするんですね。1点は、ほかとまず書き方が全然違っていて、ほかは明らかに退職の減少とか効果がはっきりしているのですが、長時間労働是正されて何になるというのは、恐らくそれは生産性が上がるというようなところで言ったり、業績が上がるとか、行き着く先があるのでしょうが、そこがちょっとアバウトになっていて、それによってこの答えの仕方が全然違ってきちゃうと、ですからそこがちょっとほかと違うのが1つ。
 それから、長時間労働の是正は前提を置くというお話だったので、それはそれでいいと思うんですが、恐らくそこのアプローチの仕方がさまざまであって、それのやり方次第によって随分変わってきちゃう。極端なことを言うと、時間だけ減らすのであればできるんです。できるのだけれども、その結果、どうなるかというと労働強化になるか、品質の悪化になるかなんですね。そこのところまで見ていったら、多分早く帰れるけれども、品質は悪化すると。それは業績なんだということになるのかもしれないけれども、いや、これは消費者がわからないでそのまま売っていましたと。こういうことになってしまえば、これはわからなくなってしまう。
 こんなように、ここのところというのは、恐らく実態に応じて仮定の置き方違うので、1つの形でぽーんとケース4ができるのかどうか。恐らく大事な点だと思うんですけれども、そこは念入りにしないといけない。これが1点。
 もう一つは、長時間労働というところのメリット・デメリットなのですが、実はこれがほかとの関係あってケース3とも無関係ではない。つまり長時間労働の長いところにおいては、例えばほかの問題が生ずると。メンタルヘルスとか、そういう部分、あるいは身体上の健康の問題、そういったように、ほかのところのデメリットもあって、これは定量ではないのかもしれないのですが、産業連関でいうといろいろ波及していくような、そういったような影響のぐあいもあるので、もう少し長時間労働というものについての全体の影響度をもうちょっと枠組みをつくってやられたほうがいいのかなという感じがちょっといたしました。時間がない中では難しいと思います。
佐藤会長
これは業務量を100とするじゃない。総労働時間があったら、1割は業務を減らすことによって残業時間を減らす。もう1割を時間生産性上げて減らす、8割にする。例えば、これ自体、仮定で置くしかない。この仮定が現実かどうかというのがインタビュー。ですから例えば残業を2割減らす。そのうちの減らし方を生産性で上げる部分が1割、業務を減らす部分が1割。そうしたことを、これがやれるとするの。そうすると残業費とかでしょう。こういうやり方しか無理だと思う。
 今、私が置いたような仮定が、割合想定しやすい範囲、例えばですよ。ほかと違うんだと思うんだ。生産性の在り方も前提に置かないと無理。
北浦委員
そうすると1、2、3とはちょっと違って、4の場合には、あくまで1つのシミュレーション。
佐藤会長
シミュレーション。
北浦委員
そういう理解ですか。
佐藤会長
2割残業を減らしましょう。そのうちの1割は仕事の優先順位をつけて減らします。1割は効率上げますということをやれたとしたら、残業代がどのぐらい減るとか、メンタルヘルスの問題がどうなるというふうにやるしかない、ここは無理だと思うんですよ。初め立てたこの仮定自体がいろんな企業の取組に比べてそれほど齟齬がない。これを3割削るとかもう一個つくればいい。2割残業減らせるケース、1割減らせるケース、3割減らせるケースというふうにシミュレーションでいくしかないのではないか。ちょっとわかりませんけど、私の印象です。
 ほかに長時間労働、大事だと思うんですけど、あとさっきの光熱費とか、もし2割減らせたらというふうに立てるしかないのではないか。あとほかでも結構です。武石委員は、前やられているからコメントがあれば。
武石委員
ケース4はどうするかなというのは思っていたんですけど。北浦さんもおっしゃったように、ケース3は、Bのケースはコストがゼロでなくて、メンタルヘルスの問題が出ない企業は、多分長時間労働がないとかという意味では、A、Bと違うコストがある可能性がある。そこを考慮しないと、メンタルヘルスの問題が出たら明らかにコストが出るのは当たり前なんですけど、Bをやる上でのコストをどうやって計算するか。多分長時間労働のところなどを入れなくてはいけないのだろうなと思いました。
 細かいんですけど、ケース1、ケース2で、新卒採用者の値で、ケースAだと新しく雇う人なんですけど、新規学卒者と中途採用のケースがあって、これは新規学卒者を雇ったら、一定レベルに行くまでの期間が長くて、中途だと短いとか、何かそういうことを考えるのでしょうか。
佐藤会長
新卒でやるのは非常に計算しにくいので、もう即戦力だけでやるという、全部のモデルをやろうというのは無理だと思うんだ。新卒は10年育成期間でコスト計算するのだから。だから、基本的には即戦力がとれたという前提でいくしかないのではないか。
栗田調査官
中途採用者だけでいったほうがよろしいですか。
武石委員
また細かいんですけど、標準労働者の値ではなくて、勤続0年の人の賃金にならないとおかしいのではないでしょうか。
勝間委員
ちょっと発想を変えて、無理に得する得するというよりは、ここまで使っても損しないよといったようなブレーク・イーブン的なコストがあったほうが私が経営者だとわかりやすいんですけれども、余り得する得するといっても、多分直感的にうそくさいとか、どうせ、また都合のいい手法使ってと言われそうな気がするんですよ。それよりは直感的に大体これぐらいまで使っても大丈夫かなという、得までしなくてもいいけれども、損をしないのはこれぐらいといったところがわかると予算的にも立てやすいかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
佐藤会長
得するというよりかは、どれぐらいコストがかかるか計算するんですね。
勝間委員
コストに対して、メリットを優先、客観的なデータとしてあまり無理にROIがいいとか悪いとか言わずに、純粋にメリット側とコスト側を要素分解してあげて、一通りわかるような数値を出してあげるということです。それの組み合わせは経営者が考えろということですね、ある意味。それを考えられるようなデータを提供してあげるのがいいのかなと思います。
佐藤会長
それは直接的なコストだけなんだよね。だから、そういう意味では余り定性的な部分は入れてないと。そういう意味ではわかりやすいかなということなんだけど。
永木委員
あとせっかくでしたら、結局計算した結果、数字がぼーんと出てくるよりは、仮定がよくわかるほうがいいかなと。業務を補完するのが同僚であったり、臨時雇いであったりというのは、ケース・バイ・ケースで、そこのところを何%を自分のところでやって、後の人は臨時で来てもらってというのをパーセンテージ入れさえすれば、その人のケースでこういうシミュレーションができるとか、そういうシミュレーションのツールになったほうがいいのではないかなと思うんです。
佐藤会長
会社としてはね。
川島委員
的の外れたことを言います。ケース1と2とすばらしいと思うんですけれども、ちょっと気になったのが、要は理想的であるBのほうのシステムで臨時要員を雇うということがどこでも入ってきている。ところがワーク・ライフ・バランスの中で、実は二極化というところが問題だということを指摘している。要は企業にとって理想的なワーク・ライフ・バランスをとるという提案の中で二極化を推進するようにというふうに私にはとれるわけです。ですから物すごく全体としては矛盾したことを言っているように感じますので、そこがそうでないとすれば、そう感じさせない工夫が必要だと思いますし、もしそうであるとすれば、臨時要員を使わないという現実的な問題があるのかないのかということも含めてもう少し考えられないと、全体としてのワーク・ライフ・バランスというところからは外れていくというふうに感じました。
栗田調査官
今の臨時要員の件に関しましては、とりあえず考え得るコストということでここにピックアップをさせていただいていまして、当然臨時要員を雇うというケースよりも、現実にいらっしゃる方で代替をしていくというほうが多いのかなというふうに個人的には思っている部分あるのですが、両方とりあえず考えられる可能性ということで計算をまずしてみましょうということで今入れさせていただいているということであります。
佐藤会長
休業とった期間しか雇ってもらえないという点でも、非常に有期雇用で更新が基本的にないという人たちを増やすことにもなるので、そういう御指摘だと思いますので。
川島委員
憲章の2番目に何が問題かで働き方の二極化とびしっと書いてあるんですね。
佐藤会長
その人たちがキャリアを続けていければいいわけですね。ですから、そういう意味では短期的にはそうであっても、次につながるようなキャリアがあればいいので。
川島委員
でも現実問題違いますよね。ワーキングプアというのをまさに想定してつくっていらっしゃるので、現実問題として考えても、実は構造矛盾をはらんでいるということは指摘したいと思います。
勝間委員
そのほうが安くなるというメッセージは、多分そのメッセージが内包されてしまうと思うので。
佐藤会長
一般的に直接代替にはならないので、普通には順送りやって、ある程度周辺が残業でカバーして、ある程度標準化された部分を切り出すということなので、直接安くなっているということではないと思うんですね。それなりのコストでというのでは計算したほうがいいと思うんですけれども、確かに大事な点なので、それはまとめのメッセージとして、少しどうするかを考えておきます。ほかにはいかがでしょうか。
 2ページの細かい点ですけど、ケース1で社会保険料相殺と書いてあるけど、退職者は半年いないだけですよね。だけど、休業者は1年ちょっとだから相殺されないですよね。期間が違うので。
栗田調査官
全期間的に見るとそういうことになります。
佐藤会長
そうだよね。
栗田調査官
項目としてはそうですけれどもという。
佐藤会長
そういう意味ね。1つは、計算の手順なのか、手続きがわかって、企業とすれば、うちがこうするとどうなるかわかるようなシミュレーションできるものが欲しいということですね、永木さんの。それも少し御検討いただければと思います。あと長時間労働のところはケース1、3と違ったようなことで考えないと難しいかもというような御意見が幾つかありましたけれども、ほかには。
 そうすると、聞くことで、ケース1で、誰かがやめてしまったとすると、例えば即戦力で採るとすると、同じような仕事やっていた人も、会社変わると1年ぐらいはなれないとか、そういうことを聞くということか。あと業務の引継ぎにどのぐらい時間かかるとか、そういうのを既存のデータにないものを聞いてくるということですか、インタビューでは。あと長時間残業でいうと、是正したところはどのぐらい時間が減らせて、減らせた分の時間生産性分と業務削減分でおおよそ1対1、1対2とか聞くということですか。つまりこちらのシミュレーションで必要なものはこっちに入ってなければいけないわけですね。というふうにちょっと整理していただくほうがいいかもしれないですね。
 メンタルヘルスのほうは、武石委員が言われたのは、やめないでちゃんと働けるというのは、ワーク・ライフ・バランスがとれている状態という、そこのコスト計算しろということか。
武石委員
Bのケースはコストがゼロかというと、Bなりのコストがあるかなという気がするんです。どうやって出すのか難しいのですけど、単純にいってしまうとBはコストゼロですよね、継続しているから。
佐藤会長
ただ、ケース4みたいなことがやれて、かつ……。
武石委員
だからケース4とケース3はあわせ技でやらないと、ケース3だけ単独というのは。
佐藤会長
長時間残業もないし、非常にいい状態があるという。
武石委員
ケース3が単独で出ていくと余りにも現実的ではないのではないかという気がしたんです。
佐藤会長
そうすると発生しないんだ。予防コストみたいなね。
武石委員
そうです。
植本委員
そういう意味では、このケース3の労働環境整備というのは、何をもって労働環境整備というふうに図っているのかというところが物すごく漠としているんですね。ケース4の長時間労働、これは当然そうですけれども、それ以外に、例えば健康増進のためのさまざまな福利厚生であったりとかそういうものがありますよね。どういうものが労働環境整備が推進されていることによってというところが出ないと、メンタルヘルスのケースが増えるというのは想像つくんです。長時間労働であったり、人員が少ないことによる過密であったり、物すごくノルマがきつかったりとか、そういういろんなケースは想定されるのですが、労働環境整備といった場合に、一律的にイメージとしてどこまでだったらというものの線が少しないと比較をしにくいと思うんですね。
佐藤会長
そうするとこれはしようがないのか。基本的には長時間労働が解消されていて、追加的にメンタルヘルス、健康増進とかやっていますよという追加コストと、片一方は原因わからないけれども、メンタルヘルスが発生しちゃった費用コストみたいなのを比較するしかないのかな。
牧野委員
恐らく何もしないからメンタルヘルスが起きてしまうという現象と、メンタルヘルスが起きないような環境をつくるということと、起き始めたときに未然に何かアクション起こせるかという環境を会社が整備しているかどうか。例えば、医療系の保健室的なもので相談ができますよというのを整備してつくっているかどうかとか、全くしてないとかからないコストだけれども、未然に防ぐためにかかるコストもあるのではないかと思うんですね。その辺も取り組んでいるところはどういうコストをかけていて、その結果、何が少ないのかというところも、逆に未然に防ぐためにどんなコストがかかって、それが有効であるかというのも考えたほうがいいのかなという気はしますね。
植本委員
おっしゃっている関連でいけば、重要な要素としてはセクシャルハラスメントやパワーハラスメントの相談なんかについてしっかりと対応できているかどうかというのは労働環境整備の物すごく大きいと思うんですね。
牧野委員
上司との関係で悩んで休む人もおられると思いますので、そういうのを聞くとか、トレーニングで是正しているのかというのも1つかなと思います。
佐藤会長
ですからケース3はインタビューで聞かなければいけなくて、例えば上司と部下との面談、管理職は1人1時間を毎年やったらすごいコストなんだ。その間他の仕事しないんだから、だから、そういうのを積み上げるということでしょう、予防という点では。あとカウンセラー置くというのは割合わかりやすいんだけど、管理職は日頃やるような配慮するという時間だけでも相当だから、もしかしたら、ケース3を予防なんかの場合、インタビューのときに聞いてきたほうがいいかもわからない、どういうことやっているというのは。
栗田調査官
ケース4のほうもそうだったんですけれども、ケース3の予防のためにやっている健康増進に関する取組ですとか、労働環境整備のための上司との面談とか、そういったようなところも含めまして、定量的にすぐ一律的なコストがどうということではなくて、先進的にはこういった取組をしている、未然的な防止をやっているところもあって、このぐらいのコストはかかっているようですというような形の御紹介も交えながらしていくということで考えさせていただいたらどうかなと思うんですが。
紀陸委員
企業のヒアリング項目で資料7の特に1ページ目の一番下、ワーク・ライフ・バランスといっても、会社の中の事業によってさまざまに受けとめますので、この推進の機関ですか、これは何となく人事部が前提だというような書きぶりですけれども、かなり継続的に製造、販売、購買と、いろんな部門に散らかっていますから、どこが本当の意味で推進母体で継続的にやり続ける仕組みをつくっているのかという、それはかなり大事な話だと思います。東芝の「きらめき推進室」とかありまして、ああいうような機関がないと社長のメッセージがずっと下のほうまでなかなか定着しないし、しっかり横のほうにも広がらない。だからここの機関をどういうふうに会社の中で位置付けてつくっていくか、改善をさせていくかというのはかなり重要な話で、広くいえば仕掛けづくりですね。この中に「経営意思の全社的伝達」と書いてあるけど、この中に入るのでしょうけれども、伝達の仕組みをどういうふうに構築するか、ここはきちんと聞いておく必要があると思います。それによって会社の姿勢はかなりわかるはずです。
佐藤会長
1つは今まで出た御意見を少し整理させていただきますと、ケース1とケース2とケース3、ケース4は、コスト・メリット分析のやり方を少し考えていただいて、3と4は工夫が必要だろうと。ですから、それを御検討いただきたいということと、ケース1、2で、3、4もやれればですけど、企業が例えば派遣を雇うのか、パートを雇うのかでもかなり違ってくると思います。あるいは社内でみんなでカバーするのかによってコストが違うとすれば、それがわかるようにも使えればということですので、その辺、少し御検討いただければと。
 それは川島委員言われたような点は、最後のところで、それは検討させていただく大事な点ですので、それは確かにここでは解決しても、有期の雇用者が増えちゃうのはどうかということが確かにありますので、その辺はもう少し考えたいと思います。例えば定年退職者を活用するとか、そういうのもやっているところもありますから、やり方もいろいろあると思いますので提案できればと思います。
 あとヒアリングのほうは、一応こんなのはどうですか。基本的にはお願いしていると思いますので、まずはコスト・メリット分析で必要な情報を聞く、これは第一原則ですよね。それとそれぞれの企業で特徴的なところありますが、全部聞くというよりかは、ここでの取組で特徴的なところで、余り外にわかってないものを聞くというようなことを中心にして、これは行くときに、もう一度、こことここをメインに教えてくださいと、変わってもいいはずですよね。ですから基本的には、その企業の特徴的なところで、事前のものがあれば少し調べていって、もうちょっとこの辺教えてくださいというふうに伺うようにするというのはどうですか。時間も2時間ぐらいでお願いしているんでしょう。
みずほ情報総研
はい。
佐藤会長
そうですね。それを超えるということは担当者のワーク・ライフ・バランスを崩すというお話もありましたので、基本的には、今回の調査、資料5でシミュレーションなり分析するときに必要な情報なりを伺うということと、あとはそれぞれウエイトを重視して取り組んでおられるところすべて聞くのではなくて、ワーク・ライフ・バランス施策全部聞く必要なくて、その会社の特徴的なところを聞くと。その場合も事前情報があれば調べていくというような形でやらせていただくのはどうでしょうか。いいですか、それで。
武石委員
済みません。
佐藤会長
どうぞ。
武石委員
ケース4までにないんですけれども、ヒアリングのほうには、事業所内保育施設のことが書いてあるんですけれども、事業所内保育施設をつくるコストとベネフィットみたいな、つくろうとしているところから関心があるかなという気がするんですけど、それを1つケースとして入れておく必要があるかどうか。
佐藤会長
いかがですか、確かに、結局聞かれることは聞かれますよね、どのぐらいかかるんだって。
武石委員
それがいわば定着することによって……
佐藤会長
どのぐらいの利用率があった場合か、前提したときの、あるいは利用者数がどのぐらいあればいいとか、規模とか、企業はつくるときは気にしている、確かに。
板東局長
確かに、例えば企業内保育所をつくると、短時間勤務をしなくても済むとか、そういうケースもあるので、ほかの制度との関係も見てコスト・メリットがどうかと考える必要がある問題もあったりします。そういう意味では分析は複雑になるのかもしれないのですが、企業内保育所を考えに入れずにほかの制度だけを見ていてもわからない部分がきっと出てくるかなという感じはします。
佐藤会長
ですから推計のときに、例えばこういうものは入れてないと書けばいいんですよね、あっても、今みたいなことを。あるけど、入れてないという、計算したらここまでだというふうにメッセージ出しておけばいいと思いますので、すべてについてそうだと思うので、すべてはできないので。
武石委員
もしそうだったら保育所のことはもう聞かない、負担になるので。
佐藤会長
もう一つは離職じゃないんだけど、採用コストもあるんだよね。先ほど言われたように、人を採りやすくなったというのが一番企業が関心があるところなんだけれども、なかなか難しいですけどね。ほかには。
 よろしいですか。資料5を少しリバイズしていただいて、作業を進めながらというふうにして、資料7は基本的にはこういう内容を伺うということですけど、コスト・ベネフィット分析に必要なものを少し整理して、あと各社何を聞くかという戦略を決めて、それと時間との兼ね合いで広げていくというふうにするということでやっていただくほうがいいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では今後の進め方について御説明いただければ。
神田課長
年内は、ありがとうございました。今日で終わりになりまして、年明けは2月に一度開きたいと思います。そのときには今日御議論いただきましたものと、あとヒアリングの結果、コスト・メリット分析の中間報告させていただきたい。
 あともう一つは、ワーク・ライフ・バランスの実現度指標のほうにつきましては、実際の数字を入れて試算ができているはずですので、それも皆さんに御紹介をしながら、どういう観点で分析をするか、あるいはどういうプレゼンテーションをするかというような話について御議論いただきたいと思います。済みません、よろしくお願いいたします。
佐藤会長
それではちょっと早く終わりましたけど、時間生産性が高いということで早く終わることは悪くないと思いますので、あとみずほ情報総研さんには、最初出た、もしわかる範囲内で、前半の報告について、特に川島委員も非常に興味深いところでありますので、わかる範囲内で調べていただければと思います。
 どうもありがとうございました。

以上