少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成18年2月24日(金)16:00~17:52
  2. 場所 内閣府3階特別会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、阿部委員、網野委員、岩男委員、大沢委員、杉山委員、高橋委員、武石委員、布山委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 就業構造基本調査の再分析の中間報告について
  3. アンケート調査結果について
  4. 都道府県データ分析の中間報告について
  5. 少子化と男女共同参画に関する提案について
  6. 閉会

(配布資料)

資料1
武石委員資料
資料2
アンケート集計結果
資料3
都道府県指標データ一覧表
資料4
都道府県データ分析について
資料5
少子化と男女共同参画に関する提案
資料6
少子化と男女共同参画に関する提案関連資料
資料7
第9回専門調査会議事録

(議事内容)

佐藤会長
それでは、時間もまいりましたので、ただいまから、男女共同参画会議 少子化と男女共同参画に関する専門調査会の第11回会合を開催させていただきます。お忙しい中、御参加いただいてどうもありがとうございます。
 玄田委員が欠席で、奥山委員は遅れられていらっしゃるということですので、よろしくお願いします。
 きょうは4つ議事がありますので、効率的に議論を進められればと思います。
 まず最初に、就業構造基本調査の再分析の中間報告について議論させていただければと思います。最初に武石委員から御説明お願いいたします。
武石委員
すいません、私が途中で退席をしなくてはならない関係で、本当は都道府県の指標をご覧いただいた後の方がよろしいかと思うんですけれども、最初に説明をさせていただきます。
 資料1で資料をお配りいただいておりますので、そちらをご覧いただきたいと思います。昨年度、就調の個票データを分析させていただくことができまして、その結果、集約したものをこれから御説明させていただきます。
 分析をした内容は大きく2つになります。1ページをご覧いただきたいのですけれども、1つはM字カーブというのがあるわけですが、この中身がどうなっているかという構造を時系列、82年~2002年までの20年間について5年間置き、5回分のデータがございますので、その構造を分析したというのが1つです。もう一つは、後半の議論とも少し関連すると思うのですが、都道府県別の女性の就業構造について、女性の就業率の高い地域、低い地域が日本にはあるわけですが、それがどう違うのかということについて分析したのが後半になります。
 まずM字カーブの構造分析に関しては、真ん中あたりの①をご覧いただきたいのですが、4つのパターンで分析しております。1つが、就業の有業・無業、無業の中で就業の希望があるかないか、この3区分で区分をしております。これは特別再集計しなくても、ある程度集計データからわかる部分でございます。
 2番目がキャリアパターンということで、現在働いている、働いていない人で、現在働いている人に関しては、前職がないということは継続して働いているということで継続就業をしている人。前職があるという転職などを経験した人、この中には出産等で退職した再就職のパターンの人も入るのですけれども、前職がある人。それから、現在無業の人に関しては、前職があって現在無業、つまり離職を経験している人、一切就業経験がないというこの4パターンに分類しております。
 3番目として、現在働いている人に関しては、就業形態を正規・非正規、自営・家族従業に分けております。この網のかかっている部分が有業者の分類になります。
 4つ目のパターンとして、家族の関係との関連を見ようということで、有業・無業と配偶者あり・なしと、子どものあり・なしとかけ合わせまして、ここにある6つのパターンをつくって分析をしました。これは女性の年齢階級別と子ども(末子)の年齢別に分析をしております。
 それから都道府県別の方も同様に47都道府県について、このM字カーブに関して、本人の年齢、子どもの年齢別にそれぞれの分類で分析をすると。それから④のところですが、
 子育て期の女性の有業率の高い地域、低い地域の比較検討を行う、こういった作業をしてまいりました。
 簡単に結果を御紹介したいと思いますが、2ページ、3ページのところは、有業・無業の中の就業の希望・非希望ということですが、3ページの方をご覧いただきまして、この一番上がいわゆるM字カーブ、有業率になりますけれども、グラフが見にくいので右に表
 を載せているのですが、20代後半を中心にM字カーブの特に谷の部分が上がってきていることがよくわかります。ただ、82~92年、92~2002年という変化で見ると、82~92年のポイントの上がり方は大きいのですが、それ以降、特にバブルが崩壊した以降、ポイントの上がり方が小さくなって、特にM字の2つ目のカーブの30代後半以降のところは、92年以降マイナスになっているという形です。
 それと反対の形になるのですが、下が無業者の中の就業希望率を見ますと、82~92年にかけて全体にマイナス、つまり就業を希望していた人たちが労働市場に出たというような状況が見られるのですが、92~2002年にかけては、これも30代後半以降でプラスという形で就業希望が潜在化してきているという状況が見られます。
 そして、4ページ以降は、先ほど申しましたキャリアパターンごとにM字のところを分析したところなのですが、4ページでご覧いただきますと、これは就業継続あるいは転職等の経験がどうなっているかということで、グラフの一番下の黒っぽいのと次の白いところを足し合わせると、先ほどの3ページのM字のカーブになるわけですが、有業者の中の転職者、それと就業継続ということで見ますと、下のデータをご覧いただきたいのですが、継続就業している人が大きく減ってきておりまして、特に若年20代前半と30代後半以降のところで大きく低下するという状況が見られております。
 その一方で、下ですが、転職等を経験している前職のある形での有業者が非常に増えているという傾向がございます。
 5ページがこれと関連すると思うのですが、就業形態別に見ますと、正規雇用の比率は、少しは上がっているのですが、特に20代前半のところは大きく低下しております。フリーター等の動きが出てきたのだと思いますけれども、特に92~2002年にかけて大きく低下。
 その一方で、下の非正規雇用比率が非常に各年齢で大幅に増加しているという状況になっております。
 6ページ、7ページのところは、配偶者の有無と子どもの有無を見ております。これはグラフの下、3つのところが有業者のところを区分している状況なのですが、7ページのところをご覧いただきまして、有業者の中で子どもがある人の割合は低下傾向にあるということです。
 その下、無業者の中で子どものある人の割合も全体的に、82~2002年にかけて低下している。一方で働いている人の中では、配偶者もいなくて、子どももいないという人たちが大きく増えているということで、要は未婚の有業率がかなり高まっているわけですが、その中で子どもがある人自体が減っており、有業者もあまり増えてきていないという状況ではないかと思います
 。それから、8ページからが、末子の年齢別に見た同様の分析です。8ページの上のところに末子の1歳区分別に有業率を5年分とっておりますけれども、87~92年にかけてかなり有業率が高まっております。2歳、3歳を超えたあたりから女性の有業率が高まるという傾向が見られておりますけれども、92年以降がそれほど増え方が大きくないという状況でございます。
 9ページのところは末子の年齢階級別に有業率の変化を見ておりますけれども、82~92年にかけて、各年齢とも上がってきたのですが、92~2002年にかけてはあまり有業率が変化していない、若干マイナスという傾向が見られております。
 それから、10ページをご覧いただきまして、これも継続就業、転職等ということで分けておりますが、先ほどの全体というか、年齢別の分析と同様に、こちらも継続就業率が低下しまして、転職等の経験者が大きく増えている。
 11ページも同様ですが、正規雇用比率というのがあまり上がってこない。若干マイナスの傾向で非正規が非常に増えているということで、非正規が増える中で転職等を経験する形での有業者が増えているというのが全体の傾向として見られております。
 これを踏まえ、12ページ以降が少し地域別の比較をしてみようということで実施した分析になります。12ページ、13ページは、47あるのでちょっと見にくいのですか、12ページの方は、30~39歳の女性の有業率です。すいませんが、年齢が抜けておりましたが、30代の有業率。都道府県別になるとサンプル数が減ってしまうので、30代前半ではなく、30代ということで見ております。
 13ページの方は、5歳以下の子どもがいる女性の有業率になります。網かけがしてあるのですが、12ページ、13ページとも、有業率の低い地域と高い地域の網かけをしているのですが、大体同じような地域が両方とも有業率が高くて、例えば北陸ですとか、網かけの色がこれだとわかりらないのですが、北陸、鳥取、島根、この辺は有業率が高い。北海道や東京近県、大阪近県では有業率が低いという傾向が見られております。一番右には82~2002年までの変化をポイントでとっております。
 この中で非常に有業率が上がっているところがありまして、鹿児島県、下から3つ目なのですけれども、30代の女性20年間で15.9ポイントとかなり上昇しております。13ページの方で、6歳未満の子どものいる女性に関しても16.9%の上昇ということで、福岡も上昇幅大きいのですが、この辺、女性の有業率が高まっている地域もあると。その一方で有業率が低下している地域も見られております。
 14~16ページまでは、このうち有業率の高い地域と低い地域を10ピックアップしてM字カーブ等を見ているものなので、1つ1つ御説明すると大変時間かかってしまいますので、ざっと傾向だけご覧いただきますと、例えば有業率の高い山形、15ページに行って福井、一番下に鳥取があるのですが、この辺はかなりM字の谷の部分がなくなってきております。とともに、82~2002年までの変化ということでご覧いただきますと、結構マイナスが立っているということで、ほとんど上昇の状況は見られず反対にマイナスになっているような年齢層も出てきているということでございます。
 その一方で、有業率の低い北海道、東京、神奈川、大阪、奈良のあたりはまだM字がかなりはっきりと残っているわけですけれども、時系列で見ると、20代後半から30代あたりを中心に有業率が上がってきているという状況になっております。16ページに、先ほど非常に上昇幅の大きい鹿児島県と申し上げましたが、鹿児島に関しては、20代後半から30代前半にかけて非常に有業率が上がってきているという状況でございます。
 それから、17ページ、18ページ、19ページは末子の年齢別の有業率ということでご覧いただいておりますけれども、17ページでご覧いただきますと、例えば山形になりますと、1~2歳から子どもが15歳以上のところまであまり有業率が変わらず、かなり子どもの小さい女性が働いている。その一方で、東京、神奈川、北海道もそうですけれども、子どもの年齢が小さいところは有業率が低い傾向が見られております。これも有業率の高い地域、低い地域、大体同様に見られる傾向がございます。
 20ページ、21ページは、先ほどの継続就業率をとっているデータなのですが、これになりますと、全体の傾向と同様に、30代後半以降で各地域でマイナスになっているというような傾向が見られておりまして、全国的に継続就業が下がっているということではないかと思います。
 22ページ、23ページが正規雇用比率、すいません、非正規を持ってきた方がよかったのかもしれないですけれども、正規雇用比率は割と有業率の低い北海道、東京、神奈川が、20代、30代を中心に上昇している傾向が見られますけれども、山形、23ページに行って、鳥取あたりになると、20代前半あたりの正規雇用の割合が低下している傾向が見られているという状況です。
 24ページ以降、この10の地域について、もう少し構造的に見ていこうということで少し分析したものです。まず24ページの①ですが、こういう地域は何が違うのだろうかということでいろいろ見てみたものです。まず上の表ですが、有業率が一番上の行にありまして、有配偶比率というところをご覧いただきますと、これは30~39歳の女性ですが、77.9ということで、有配偶率は都市部で低くて、山形とか福井あたりは高いのですけれども、一番右に低平均、高平均とありますが、高平均は山形、福井、鳥取、高知、この4つの県、低平均は、北海道、神奈川、大阪、奈良、この4つの県を取り上げております。東京と鹿児島は有業率の方が高グループに入っていないのでこの平均からは除いております。そうすると、低グループ、高グループで有配偶率、低グループの方が若干低いのですけれども、そんな大きな違いはないと。配偶者有・配偶者無というところに書いてあるデータは、配偶者が有の人の有業率、配偶者が無い人の有業率ということで見ております。配偶者が無い人の有業率は、この10地域ほとんど違いが見られないのですが、配偶者が有の地域で68.6、低い地域で41.4、配偶者の有無というのが1つ、この低グループ、高グループを分けるという形になっております。
 さらに下ですが、子どもの状況を見ますと、6歳未満子ども有の比率もこの低グループ、高グループ違いが見られないのですが、子どもがいない人で見ると10ポイントぐらいの有業率の違いが見られまして、それから3歳未満の子ども、6歳未満の子どもが有る人たちの有業率ということで見ると、倍近い開きがあるということで、子どもがいるか、いないかというところが、この低グループ、高グループの大きな違いになっていることがわかります。プラス配偶者が有・無、子どもがいなくても有業率が10ポイントぐらい違っていますので、結婚してやめるという傾向も有業率の低い地域では見られているのかなということです。
 24ページの下は、個人の属性別に有業率を見ております。本人の学歴で見ますと、大卒比率と書いてあるのは、各都道府県の5歳以下の子どものいる女性に占める大卒の割合です。そして高卒、短大・高専卒・大卒と書いてあるところの数値がそれぞれの学歴の女性の有業率になります。そうすると一番右のグループ平均でご覧いただきますと、学歴が高くなると有業率が高くなる傾向にはあるのですが、低グループと高グループでかなりのそれぞれの学歴において水準の違いが見られている。それから、山形と福井は親と一緒に住んでいるから女性が働けるのだと言われるわけですけれども、親の同居というところをご覧いただきますと、確かに同居比率は高グループで42.5%と高いのですけれども、低グループで親と同居しても34.5%、高グループで親と同居している人55.4%ということで、親の同居している人同士を比べてみても有業率の違いが見られていると。それから、非同居の方で見ても高グループと51.8%という有業率なので、結局親が同居している、していないよりも、この地域の違いの方が大きいのではないかということで、1個1個説明していると時間かかってしまうのですが、夫の雇用形態、夫の収入、夫の労働時間。一番下は親が非同居で夫の労働時間がどうなっているかというので見ているのですが、いずれを見ても、こういった属性でコントロールしても、低い地域と高い地域にはかなりの有業率の差が見られているということです。
 25ページのところが、そうすると働いている女性の就業分野が違うのかということで、5歳以下の子どものいる有業女性について就業形態、職業等いろいろと分析をしてみたのですが、あまり違いが見られないというのが全体の傾向になります。下の方に週間就業時間というのがありますが、例えば都市部はパートの人が多いので、35時間未満が多いとか、そういった違いは若干あるのですけれども、それほど大きな違いはない。働いている女性の就業構造はそれほど違わないのにかなり女性の有業率は下がるという状況になっております。
 26ページ、27ページのところは、こういった地域で、5歳以下の子どものいる女性の就業がどういう要因で決まっているのだろうかということで少し定量的な分析をしたものになります。有業者を1、働いていない人を0とするロジステック分析をしました。
 27ページに地域別の結果があるのでご覧いただきたいと思うのですが、上の5つが比較的有業率の低い地域、下の5つが高い地域となっておりますが、まず違うのが、自営ダミーというのは、夫が自営かどうかということなのですが、上の高いグループではすべてこれがプラスに効いている。夫が自営だと子どもを持っている女性は働きやすいということなのですが、下の低グループはこれがあまり有意でない地域もいくつか見られます。
 それから、次の親の同居というのが、高グループではすべて有意に効いてこないのですけれども、高グループ下の5つは、山形、福井、鹿児島はプラスで有意ということで、低グループは夫の就業形態、高グループは親の同居というものがかなり効いている。この辺が違いとなっております。
 それから、定数の上の変数で、親が同居していて、さらに夫が60時間働いているという変数をつくってみたのですけれども、これが神奈川とか奈良ではマイナス、つまり親もいなくて夫が60時間以上働いているような人は有業率が有意に低くなっているというのが神奈川、奈良といった大都市近辺で見られている。これは下の高グループではいずれも有意になっていないということで、今回の分析結果を見ると、低グループ、高グループと、いろいろ親の同居が違うのではないかとか、夫の収入が違うのではないかと言われてきたのですが、あまりそういった要因は高グループ、低グループでは関係なくて、むしろ夫の働き方が1つ、特に子どものいる女性の有業率には関係があるのかなというようなことを感じました。
 非常に駆け足ですが、以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。非常におもしろい興味深い結果だと思うのですが、御質問なり御意見なり、どなたからでも出していただければと思います。
岩男委員
質問ではないのですが、大変御苦労さまでしたということで、非常におもしろいデータだと思います。最後におっしゃった、夫の働き方で決まってくるということですけれども、要するに働き方の見直しがいかに必要かという、そこにつながるという自信をますます強めるというような結果だと思いますけれども、大変すばらしい分析していただいたと思います。
佐藤会長
高橋先生、就調について、こういう分析してほしいと前言われていたのですけれども、いかがですか。
高橋委員
非常におもしろい結果を得られてますが、もうちょっと詳しく見てみないとコメントもできないと思いますが、きょう見させていただいた結果の、例えば22、23ページの細かなデータについて、これをそれぞれの、北海道なら北海道で1つの指標にあらわして評価するやり方があるので、エージパターンをいろいろ見ると、こういう特徴がある、ないというのがそれでわかるのですけれども、これをそれぞれ1つ1つについて標準化率にしてしまうと1つの指標で県間比較ができますので、それをやった方がいいのではないかということが1つ。
 それから、24ページの属性別女性の有業率というのもありますけれども、この有業率も30~39歳で出してありますが、これも細かくどこまでできるかどうかわからないのですけれども、それも標準化して比較するとすべての年齢層のところで物が言えるのではないかと思いましたが、これは工夫の仕方だと思いますので、そこはまた機会がありましたらやってみたらいいのかと思います。
佐藤会長
ありがとうございます。
阿部委員
こういうことでコメントするようなコメントではないのですが、親の非同居と夫の労働時間60時間以上が神奈川、奈良でマイナスという結果があったと思うのですが、なぜ、この地域だけマイナスなのかというのはちょっと考えておく必要はあると思うんですね。本来であれば、こういうものは地域横断的に同じような傾向を示すものであるはずなのにもかかわらず、そうではないということはまだ分析にコントロールしなければいけないようなものがあるのかどうか、考えておく必要があるのではないかと思います。
 全体を通して、親非同居・夫の労働時間60時間以上というのが全国ではマイナスにはなっていますよね。にもかかわらず、ほかの地域ではなくて、全体は出てないのですが、今回のやったところでは神奈川、奈良でマイナスということは、ほかの地域はむしろ何なんだというふうにもなりますので、そのあたりも少し考えないといけないかなと思います。
 あともう少し細かに見ないと、私もそれ以上コメントできないのですが、ちょっと気になった点です。
佐藤会長
ほかにはいかがですか。27ページで、有業率が高いところ、低いところも含めて、割合大卒女性が学歴ではプラスになりますね。ただ、全体で見ると、一般的に今までだと、高学歴女性ほど働かないという話は、結婚して子どもがいるという層に限ると、高学歴の方がこの場合働いているということなんですね。全体でやったときというのは、未婚の人とか子どものいない人含めてしまうと高学歴の方が働かなくなる。
武石委員
特に高学歴が働かないのはM字の後ろの、子どもがある程度大きくなったところで。
佐藤会長
これは若い方だから、年齢で聞いているのですね。
岩男委員
これは30~39歳までの人だけですよね。
佐藤会長
阿部さん言われたように、県ごとから規定要因が違うのはなぜかと、結構これは難しい。ほかの保育サービスのあり方とかいろんなものが効いているのかもわかりませんけれども。
阿部委員
多分夫の働き方、特に長時間労働者と今のところでは非親同居というところで考えて、だからちょっと影響しているという話で、それ以外の要因が多分このパラメータに入っているはずなんですよね、地域によって違うということは。それを考えないと、男性の働き方だけでつながっていくというのはあまりにもまずいかなと。
武石委員
東京とか大阪はこれが有意ではないのに、奈良、神奈川はもしかして通勤事情などがあるのかなという気もしたのですけれども。
阿部委員
全国ではマイナスですから、マイナスでいいような気がするのですけれども、なぜ、結構地域ばらすと。
武石委員
ばらすと傾向が変わってくるんですよ。
阿部委員
変わりますね。今、10県やっているんですか。
武石委員
はい。
阿部委員
10県やって2県しかマイナスで有意に出ないというのはちょっとおかしいような気がするんですね。ほかの要因がこのパラメータに入っている気がするのですね。でもないものねだりなのは知っています。
網野委員
その場合、25ページの職業、これは女性ですね。
武石委員
女性です。
網野委員
夫の職業そこまではとってないですね。例えば女性ですと、専門的・技術的職業が、やや神奈川とか奈良で見ると割合が高いというようなこととか、そういう関連でもうちょっと深められる部分があるのかなと。夫の職業や妻の職業とか、これは特には、25ページに示されているものからいえば、職業的には相違がないということでしょうか。
武石委員
大きな違いはない。
矢島分析官
24ページに示されている夫の雇用形態で自営、常用雇用では低平均のところでは結構差がありますよね。そうすると常用雇用の比率が高い地域では、この問題が余計に確認できるということはないでしょうか。
武石委員
夫の。
矢島分析官
夫の雇用形態で常用雇用と自営で。
武石委員
夫が自営だと働きやすい。
矢島分析官
夫が自営の方がまだ少し低平均地域でも有業率が相対的には高い。常用雇用だとより低いというと、常用雇用の多い地域ではよりこの問題が大きく効いてくる。
武石委員
ただ、常用雇用の比率は地域によってはそれほど変わらないので。
矢島分析官
夫のですか。
武石委員
夫の。
阿部委員
ただ、職業までこの推定式に入れちゃうと、労働時間とか所得と相当の相関があって分析が難しいと思うんですね。だからどっちをとるかですね。職業見たければ職業入れて、労働時間とか所得の効果を見たければ、職業は外さざるを得ないのではないかと思いますけど、もう少しいろんな複雑な推定をされるのであればやっても構わないと思うんです。
佐藤会長
一応先ほど武石先生は順序が逆の方がというお話があったのですが、都道府県選ぶ、どの都道府県にするかどうかというのは、後でお話しする地域別の比較に対応して選んでいただいているということがあります。それぞれの地域の社会環境の違いについては、もう一つの方の分析でやって、それと結びつけて、それぞれの地域の規定要因の違いを少し議論するというふうにできればいいかなと考えています。大体よろしいですか。
 それでは、まだ議論していただく点がありますので、それでは続きまして、アンケート調査結果について、調査票と調査結果について三菱総研から御説明いただいて質疑したいと思います。よろしくお願いします。
三菱総研
それでは、お手元の資料2、アンケート調査結果について御説明させていただきます。
 これは年末から年明けにかけていろいろ御議論いただいて、インターネットを活用した少子化と男女共同参画に関する国民の意識や実態の調査結果が出ましたので、これを御報告させていただきます。時間も限られていますので、ポイントを簡単に御説明したいと思います。
 表紙をめくっていただいて1ページ目でございます。調査の概要ということで、(2)調査対象としては、確認ですが、全国47都道府県の25歳以上~44歳以下の男女でございます。
 (3)として、調査票回収状況と回収率ですが、配布数が18,800票、有効回答数が6,415票ということで回収率は34.1%でございます。すいません、もう一つ(3)で恐縮ですけれども、調査の構成ということで、今回のアンケートは2つの指標を持っておりまして、1つ目が「・」の1つで、「少子化と男女共同参画の状況について」ということで、これはQ1~Q17でございます。こちらは後で御説明のあります都道府県別の社会指標の設定に活用する部分でございます。2つ目が「女性の働き方及びワーク・ライフ・バランスについて」ということで、こちらはQ18~35までが該当しております。最後、「基本属性」ということで、学歴、年収、子どもの有無であったり、もう少し基本的な回答者の状況を把握する問いでございます。
 1ページの一番下にあります都道府県別回収については、今申しましたように、都道府県別の社会環境指標のデータに活用する観点から回収率を都道府県ごとに130サンプルを最低、回収目標に達するまで回収努力を行うというふうな形で進めてまいりました。ページめくっていただいて2ページ目の次の1ページの2のアンケート調査の都道府県別回収状況という表がございます。表側に北海道から沖縄まで並んでいる表でございます。これの左側は配信コントロール、発送のときの数で右半分が回収数ということで、右半分の表の一番右の縦列にtotalと書いております。こちらにありますように、どの県でも130票以上確保された形で一応回収されています。
 もう一回めくっていただいて2ページ目の次の1ページで、すみません、ページがあれなんですけれども、学歴について、回収サンプルの状況と国民全体の指定統計の状況とを比較したものです。ここは学歴ということで、下に左は男性、右は女性ということで折れ線グラフを示しております。実線が今回のアンケート調査での回収サンプルの構成比、点線が国勢調査でございます。これを見ますと、傾向としては、例えば男性、女性どちらもそうなのですが、大学、大学院の比率が高めということで、若干高学歴な方が回収層といえます。ただ、カーブというか、折れ線の形としてはほぼ似たような構造になっております。
 次、めくっていただいて世帯年収でございます。こちらは就業構造基本調査と比較したものでございますが、実線の方が今回の調査ということで、大体同じような山のような形になっておりまして、傾向としては今回調査の方が世帯年収が真ん中にちょっと寄った形に結果なっております。
 次のページの1ページ以降が全体及び男女別の集計結果ということで示しております。これは一通り、またお時間あるときにご覧いただければと思いますけれども、ちょっとポイントだけかいつまんで御報告します。
 7ページ目のところから、今回の国内の指標にとる部分の問いが始まります。例えば10ページあたりに、これは内閣府さんの方で以前行ったアンケートと比較できるような設問でQ11、Q12を示しておりますけれども、例えばQ11で、「一般的に女性が職業を持つことについて、あなたはどうお考えですか」という問に対して、一番高いのが男性、女性ともにそうですけれども、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」。2番目が「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つ方がよい」ということで、順番としてこういう形になっております。
 また、その下にQ5ということで比較した既存の調査なのですけれども、20~49歳というところの一番右の縦のパーセンテージを見ていただくと、こちらも同様に、1番が41.9%の「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」、2番目が「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つ方がよい」という形になっております。
 その下のQ12「『夫は外で働き、妻は家庭を守るべき』という考えについてどのように思いますか」という問に対しては、これは「賛成」と、「どちらかといえば賛成」を対象合わせると大体51.9%、「どちらかといえば反対」、「反対」を加えますと48%ということでほぼ半々です。若干「賛成」の方が多い形になっていますけれども、ほぼ半々です。
 下のQ5の方で見ますと、20~49歳、どちらも「賛成」、「どちらかといえば賛成」、「反対」、「どちらかといえば反対」足しますと、若干「反対」の方が高いですけれども、半々より若干高いかなというような形です。
 13ページの方へ行きまして、Q17「家族と一緒に過ごす時間の長さを自由に変えることができるとしたら、時間を増やしたいか、減らしたいか」という問に対しては、これは、若干男性と女性で傾向に差が見られました。例えば男性ですと、こういった家庭で家族と過ごす時間に対しては、「かなり増やしたい」が26.9%、「少し増やしたい」が35.1%で、これ両方合わせますと、6割の男性が、もう少し家族と一緒にいる時間を増やしたいということで、女性のパーセンテージと比べると、より男性のこういった家族とのもう少し向き合う時間を増やしたいという意向がうかがわれます。
 また、その下のQ18ですが、これは現実と理想について聞いておりまして、現実の方、男性は、今「仕事優先」が50%、半数の男性が「仕事優先」になっていると考えておる。また、女性は「家事優先」が32.3%で一番多い形になっておりますが、これが14ページにまいりまして、希望を尋ねた問になりますと、男性が「仕事優先」というよりは、「プライベートな時間優先」が35.7%、その次は「仕事・家事・プライベートを両立」で30.8%になっています。女性は、「仕事・家事・プライベートを両立」が38.5%ということで、その次が「プライベートな時間優先」ということで、このあたり、どちらも「プライベートな時間優先」であったり、「仕事・家事・プライベートを両立」という形が高いのですが、高さの順位が、男性は「プライベートな時間優先」がより高くて、女性が「仕事・家事・プライベートを両立」という形で若干男性と女性に差異が見られました。
 以上、ポイントだけ御説明させていただきました。終わります。
佐藤会長
今のことについて、基本的にネット調査という形で少し心配もしていたのですけれども、多少偏りがあるにしても、構造を見る上ではかなり使えるのではないかと思います。意識調査もほかの調査と比較できるようにしましたけれども、大体傾向近いような形ですので、面接調査と調査のやり方も違いますので、そういう意味ではきちんとしたデータが得られたかなと思います。いかがでしょうか。今調査の概要だけですけど、あとは細かく見ていただくということと、意識の方も、今回都道府県別にも出してありますので、これは今まであまりなかったので、一応男女別に都道府県別のデータも何らかの形で使えるかと思います。よろしいですか、これについては。
 それでは、続きまして、今回の調査を踏まえて都道府県のデータの分析をしていただいていますので、それについて御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
矢島分析官
まず資料3をご覧ください。資料3、A3の表になっておりますけれども、こちらは国際分析の国際比較のときの指標の枠組みに合わせまして、以前既に統計データを用いて国内のこういった指標を作成させていただいておりましたけれども、この中に今回のアンケート調査で把握したデータを入れております。現在のところ入れられる限りで最大限入れておりまして、まだ打ち合わせ会でも個々の指標についての細かい検討はしておりません。
 例えば、最初のページの「Ⅰ.仕事と生活の両立可能性」で見ますと、6、7、「柔軟な働き方を選択できるか否か」、「転職の容易さ」あたりが今回の意識調査で把握したものでございます。この働き方の柔軟性でいいますと、もともと4番の男性が短時間勤務で働けるということで、男性の短時間勤務割合の高さをとっておりまして、これが国際比較ですと、働き方の柔軟性ということで出生率や女性の労働力率にプラスに効いていたのですが、国内の場合は、男性の短時間勤務割合の高さということが、逆に柔軟性というよりは不安定さにつながっているというのがマイナスになっているという傾向がありました。それが今回の6番、7番を追加した場合もやはり同じようにマイナスになってしまうということがありました。
 それから、「Ⅱ.子育て支援の充実度」の方で言いますと、11、12、13、「生活地域における子育てしやすい社会環境の整備状況」ですとか、「子育てや青少年育成に関する地域社会の協力体制」、「子どもへの寛容度」などがあります。
 また、「子育て費用の軽減」では、「子育て費用の負担感」のところを入れております。次のページにまいりまして、「Ⅲ.ライフスタイル選択の多様性」におきましては、「家庭内役割分担の柔軟性」のところで、先ほど御紹介いただきましたけれども、19「性別役割分担意識の解消度」、20番「女性が職業を持つことに対する考え」というのがございます。こちらは、もともと男性の家事・育児時間が入っておりまして、これが出生率に対してプラスということだったのですけれども、性別役割分担意識、「『夫は外で働き、妻は家庭を守るべき』に同意する割合」が高い方が出生率にマイナス。「女性が職業を持つことに対して継続就業に同意する割合」が高い方が出生率に対してプラスというような傾向が出ております。
 それから、「社会の多様性寛容度」については、23、24、25、26ということで、このあたりは「ライフスタイル選択の多様性」等なんですけれども、国際比較とかなり違う傾向が出ておりまして、例えば「古くからの考えやしきたりによる制約の状況」などが強い方が出生率が高いというような傾向が出ております。
 「雇用機会の均等度」におきましても、30「働く女性の能力の発揮や昇進の機会均等に関する意識」というのを入れたのですが、この均等度についても、既に27、28、29で、以前お示しさせていただいたときに、女性正社員比率が高い地域の方が出生率は高いという傾向があるのですが、管理職や管理職割合の高さについてはそういう傾向になっていないと。逆な傾向が見られるということがありまして、今回の意識調査でもそういった傾向が出ています。
 それから、「Ⅳ.若者の自立可能性」につきましては33に「経済的自立に関する意識」ということがございます。
 それと「Ⅴ.社会の安全・安心度」、37、38といったあたりで、「生活地域の安全・安心感の高さ」というあたりをとっています。
 この中の指標については、今後もう少し細かく見ていく必要があるのではないかと思いますけれども、例えば1枚目の「家族による支援」の、「家族と過ごす時間の充実度」、17番なんですけれども、これが家族と一緒に過ごす時間を増やしたいに同意する割合なのですが、国際比較で見ますと、これは男性の家事、育児時間が高かったり、就労時間が短い地域の方が「家族と一緒に過ごす時間を増やしたい」に同意していたのですけれども、日本の場合はそうではない方で増やしたいですので、今現実がそうなっていないところで「増やしたい」という意識が強くなっている。そういう傾向があるためか、国際比較と違う傾向になっていると。ですから、この指標を「家族と過ごす時間の重視度」で、家族による支援があるというような解釈で持ってくると意味が違ってしまうのではないか。そういった、今後細かい精査をして、今、指標がかなり数が多うございますので、また少し検討していく必要があるかと思います。
 次に資料4をご覧ください。
 資料の方は、都道府県データを分析していく際に、まず国際比較で行いました分類をどのように考えていくのかということでやっております。三菱総研さんの方で前回御提案で、国内分析では合計特殊出生率という視点の中にほかに「結婚行動」というものをきちんと見ていった方がいいのではないかという御提案をいただいておりまして、今回、合計特殊出生率に加えて、「25~44歳女子有配偶率」「25~44歳女子有配偶出生率」ということのデータを加えまして、結婚行動、出生行動を分けて検討してみようという御提案がありましたので、それを加えております。
 それから、「女性有業率」の方にしましても、「女性の雇用者比率」、「女性の正規職員・従業員比率」、こういったものを加えてみてはどうかということがありました。また、調査時点については、国際比較では2000年を直近のデータとして、80年~2000年の変化を見ておりましたけれども、国内都道府県比較では、できればより新しいデータで検討する方がよいのではないかということで、先ほど武石委員の御報告もございましたが、就業構造基本調査で2002年を直近としてとるということで、82年~2002年という変化を見ております。
 次の2ページのA3の横の紙が、今申し上げました指標の都道府県の数値を並べているものでございまして、薄い網かけに太字になっている部分が各指標数値について高い順に10都道府県、それから濃い網かけに白抜きになっているところが低いところを示しております。
 大きな傾向を見ますと、関東、関西地方の大都市部では比較的合計特殊出生率、25~44歳女子有配偶者率(結婚している率)、女性有業率、女性正規職員・従業員比率、こういったものが総じて低い傾向がありまして、一方、女性雇用者の比率は高いことが見えます。それから、九州地方は比較的合計特殊出生率、25~45歳女子有配偶出生率が高い。東北地方は25~44歳女子有配偶出生率、結婚して子どもを産んでいる人の割合が低くて、北陸地方は、女性有業率、女性正規職員・従業員比率が高い傾向が見られます。
 次のページにまいりまして、3ページ、ここから分類軸の考え方なんですけれども、私が国の出生率が低い水準で推移して下げ止まらない状況にあるということを、以前国際比較、OECDの24カ国と比較してご覧いただきましたけれども、都道府県でも急激に合計特殊出生率が低下している地域と緩やかに低下している地域が見られ、低下度合いに違いがあるということを御確認いただきました。
 そこで今回は、国際比較での分類軸と同様、「合計特殊出生率の変化率」、「出生率の水準」、「女性有業率の水準」を用いて、都道府県のタイプ分類を行っております。
 4ページの方を表をご覧ください。以前この調査会で、2000年の女性労働力率を用いて、80~2000年の出生率の変化を加えてこういった表をおつくりしました。そのときよりも、2002年でこの形をつくった場合に、タイプ1、タイプ7にかなりのグループが集中したということがございます。つまり合計特殊出生率の減少率の幅が小さい地域と合計特殊出生率の水準が比較的高く維持されているということと、そこで女性の有業率が高いということがかなり緊密になってきていまして、タイプ1がそういった形で集約されると。一方、タイプ7は、出生率の下げ幅が大きく、出生率の水準が低くて、女性有業率の平均値も低いところでかなり集約されてくるということでございます。
 この1~7までのグループなのですが、さらにここにいくつかデータを重ねておりまして、網かけをしてある地域は25~44歳女性有配偶率の水準が平均よりも高い地域でございます。それから、「※」を付けたところは正規職員従業員比率が平均よりも高い地域でございます。「◆」があるところは、雇用者比率の水準が平均よりも高いところでございます。
 見ていただきますと、タイプ1では、25~45歳の女性有配偶率の水準が比較的高い地域が多く、また正規職員・従業員比率が高い地域が多い。ただし、雇用者比率についてはタイプ7で多い地域が増えているような傾向が大まかに見てございます。
 次に5ページにまいりまして、各類型の社会環境はどうなっているのかということを、とりあえずすべて先ほど見ていただきましたようなA32枚に指標がございました、そのすべての指標を使って分類をしていただきました。これを見ていただきますと、タイプ1~7ということで、特にタイプ1をご覧いただきますと、10分野あるわけですが、色の薄い網かけのところが平均よりも高い、色の濃い網かけの方が平均よりも低いということで、タイプ1では、10軸中7軸が平均を上回るという状況になっております。適正な労働時間、地域の子育て環境、子育て費用の軽減、家族による支援、家庭内役割分担の柔軟性、社会の多様性寛容度、社会の安全・安心度、こういったあたりが平均よりも高いということが言えます。
 タイプ7では、逆に10分野中7分野が平均を下回るという状況があります。ここは、先ほど申し上げましたような働き方の柔軟性というあたりがどちらかというとタイプ7が高いということが特徴としてあります。
 6ページには、38の指標ごとにこの傾向を見たものを載せておりますが、後でご覧いただければと思います。
 以上、御報告でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。これは都道府県別の分析は、これまでやってきた国際比較、国ごとにかなり出生率と女性の社会参加のタイプが違うわけですけれども、合計特殊出生率が相対的に高くて、女性の社会参加が進んでいる国と逆の国で社会環境がどう違うか、分析してきたのですけれども、それを国内についてもやろうということで、各都道府県自体を比較するというよりは、都道府県の中でも、今の資料の4ページにありますように、今、全体的に出生率落ちていますけれども、落ち方は低く相対的に出生率が高くて女性も社会進出しているところと、落ちが大きくて相対的に水準も低いし、女性の社会参加があまり進んでない地域、そういう類型して分けた上で、それぞれの社会環境の違いを見ていくということです。特に御意見を伺いたいのは、まずタイプの分け方をどうするかということ、もう一つ、社会環境として、分野はいいと思うんですけれども、例えば仕事と生活両立可能性を適正な労働時間と働き方と柔軟性を分けたわけですけれども、例えば働き方の柔軟性の代表する指標として何をとったらいいか。それとして、日本だと国際比較と合わないとすれば、日本の状況に合った働き方の柔軟性の指標として何をとるかということがすごく大事になると思いますので、基本的には、例えば、働き方の柔軟性をはかる指標として何がいいかという議論してきたんですね。ですからその観点から見直す必要があるところは少し入れ替えることが必要かと思いますので、そのことについての御意見をいただきたいと思います。まず、御説明について御質問があれば、それを先に伺えればと思います。よろしくお願いします。データについてはいかがですか。何でも結構ですので、今の類型のことでも、データのとり方についてでも結構ですし、御質問なり、御意見伺えればと思います。
 資料3の家族による支援で、家族と過ごす時間の重視度を意識調査からとっているわけですけれども、これはもしかしたら別のデータでとるかというようなことはあるかもしれない。例えば社会政策基本調査で、夫の家事時間どうとるか、これは家族なので、そこは難しいところがあるんですね。同居の方は16でとっているので、もしかしたら、夫の家事時間でとるか、家事、育児の時間でとる。
矢島分析官
家事、育児は2番の方でとっています、役割分担で。統計データでとれるものはかなりとっていまして、もしそこに意識調査としてあわせてとると、互いに意味が違ってしまうようなものはあえて外した方がいいものもあるかもしれない。
佐藤会長
なかなか難しいところが。
岩男委員
ちょっと変なことにこだわっているというか。
佐藤会長
資料3ですね。
岩男委員
ええ、県別の御説明を聞きながら、宮崎県で実家が産婦人科医を開業しておられる方に聞かされたことを思い出しました。私が行った調査でも第1子を何歳で産んでいるかというものがすごく効いていたんですね。だから末子の年齢ではなくて、第1子を何歳で産むかということが、その宮崎でも産み始めるのは早いんですね。東京ではちょっと想像がつかないぐらい早いという、そのあたりのデータを入れると、地域による違いというのが、かなりはっきり出てくることもあるのかなと思って、それが入っていたのか、思い出せないものですから伺いたいのですけど。
矢島分析官
まだ、こういった形で入れてはいないのですけれども、一応三菱さんからもそういったものも御検討いただいたりしていまして、今、分類の議論をしていたので、ある程度絞ってしまったのですけれども、一応1と7の地域の特性を見ていくという上では、そういったことも加えていく必要があるかもしれません。
佐藤会長
今のところ、類型化して、資料4の方の分けたときに、4ページで違いが出たときに、その違いは何かというような分析をするときに、例えば第1子の出産年齢が早いというようなことが、2子、3子とつながる。逆に1子が遅いと、晩産化ですと、2子、3子につながらないといった、そのことは分析していただけるということになるのか。
矢島分析官
1つ、今、御提案しているのは、主に大きなグループである1と7を比較するということと、それから出生率という意味では近いのですけれども、女性の有業率で差がある1と2を比較するという視点を出しているのですけれども、そのときに大きく分けて2つあると思うんですけれども、そのグループの、先ほど出しましたような有配偶率、結婚の行動の状況ですとか、有業率や出生率をもっと具体的に見ていくようなデータを加えていって、その地域を明らかにすることと、それと一方で、今見ていただいているのは社会環境を明らかにするという、その両方の側面が必要かと思います。
 先生がおっしゃっていただいたのは、最初の方のもっと出生率の傾向とかを明らかにするためにデータを持っていくということだと思いますので。
佐藤会長
今、タイプ1と7と、あとはタイプ1と2の比較ですね。比較的出生率が相対的に高いけど、有業率が低いところと高いところの違いということで、5ページ見ると、1と2の違いは、家族における支援。
矢島分析官
このあたりが、先ほどの武石先生の分類と関係してくるかというか、もっと具体的にもしかしたら先生のデータで。
佐藤会長
武石委員のとらえているのは、タイプ1と7から選ぶという形でしたか。
武石委員
1と7が中心ですね。
佐藤会長
1、あるいは7から選んだ県を比較していただくという。
武石委員
若干ほかのところも入っていますが、基本的にはそうです。先ほど高グループはタイプ1で、低グループがタイプ7です。
大沢委員
まだじっくり見ていないので間違って読んでいるかもしれないけれども、国際比較と比べてみると、整合性がある結果になっているというような感じはするのですが、そういう読み方でいいのでしょうか。有業率が高いところでは出生率の低下も比較的落ち着いているというか少なくて、有業率が低いところでは出生率の低下も著しいというのは、各国比較と整合的なトレンドを示しているように思われるのですが、そういうふうに読めますか。
矢島分析官
全体の傾向としてはそうだと思います。細かく分析していくときに、全体の有業率とM字のある窪みの関係と、あと武石先生の分析にありましたように、窪みでも未婚が上がってしまっているところと、あと子どものいる女性で働いているところの有業率の変化ですね。ですから子どものいるところの有業率の変化と未婚の有業率の変化が全体の有業率でどういうふうに影響しているのかというのをもう少し見た上で、そこにもしかしたら、もう少し小さな地域差があるのかもしれないという気もしていまして、そのあたりも加えるともっと色々なことが見えてくるかもしれません。
大沢委員
晩婚化の傾向が多分、そういう晩婚化してきた中で、その構成比、独身の女性の構成比とか有業率が変化しているというプロセスが出ているのかもしれませんね。
高橋委員
資料4の4ページのところなんですけれども、今の大沢先生の議論があったように、女性有業率のところなのですが、これを、例えば既婚有業率で見ると同じような傾向が言えるのかどうかというところの確認がしたいなと思います。そうすると、今日、武石先生が報告されたところの4ページのキャリアパターンのところの都道府県別の指標が随分有効にリンケージして使えて、ここの確認ができるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
矢島分析官
まだ、確認してないのですけれども、きょうのお話も伺っていて、本当に全体の有業率と既婚の有業率と、それとその変化ということが非常に重要ではないかと思っていますので、今後見ていく必要があると思います。
高橋委員
特に、働いている女性が非常に高い有業率が維持されている都道府県で、こういう緩やかな出生率低下が起きているということが見つかると、非常にここでのファクト・ファインディングとして重要になってくると思うんですね。ですから、そこの確認というのをぜひとってみたいと思います。
大沢委員
これも結婚しているか、子どもがいるかということが何か非常に大きく地域差があるということでしたので、そこら辺を組み合わせてみると、いろいろなメカニズム、こういう関係が見える背後のメカニズムが見えてきて、より説得的な議論ができるのではないかと思いますので、両立支援の重要性というもの等々と、もう一つ、伺いたかったのは、働き方の柔軟性という指標について、多分これから議論するのだと思うのですが、具体的にはどのような。
佐藤会長
資料3のⅠの2、ここに挙げてある4つですね。

(武石委員退室)

大沢委員
すいません、どうも。
佐藤会長
男性の短時間勤務の割合と女性の就業機会と柔軟な働き方が選べられるかどうかとか、転職の容易さで、後者2つが意識調査を今合成してつくっている。ただ、先ほど御説明ありましたように、男性の短時間勤務が、働き方の柔軟性か、日本の場合だと。
大沢委員
不安定雇用。
佐藤会長
不安定雇用化ということですね。今の経済状況を考えると。武石さんの分析でも、男性の労働時間が短いと、女性が当然働かないと収入を確保できないというのが高くなっていましたよね。
矢島分析官
意識調査についてはいろいろと検討が必要だと思うのですが、「若者の自立可能性」というのが、日本で若年失業率はわかるのですけれども、前に親からの独立を、同居の状況を見たときになかなか傾向がよくわからないところがありまして、3世代同居が多い地域ともしかしたら重なっている可能性があるのではないかということも言ったのですけれども、そういったあたりと33番ということで、これを何か解釈すべきことがあるのか、あるいはこのとり方が意味が多義的であって、ここに使うべきでないものかというあたりが御意見いただければと思っております。
阿部委員
アンケートの方の分析で、これを使っても構わないということになれば使ってもいいと思うんですね。例えば、年齢によって、33番の項目に何か回答のブレがあるとか、それによって地域性がそこで反映されてしまうとか、様々な要素が考えられるわけですね。できたら私は地域性がこの項目に反映されない方がいいと思うんですね。
佐藤会長
これは割合短期的な経済状況を反映しているのは若者自立可能性なんです。今の出生率や有業率もかなり長期的なこれまでの結果としてそういう状況があるのだけれども、もしかしたら、これは正しくて、今まで割合、女性が結婚し、子どもを持ち働きやすいところで、今,若い人だけ見るとこういう状況なのかもしれない。これは10年後を考えるとマイナスに効くかもしれないということを示していて、これは正しいのかもしれないですね。
高橋委員
タイプ1、2、3というのが、どうしても地方圏なんですね。
佐藤会長
そうなんですね。これは正しいのかもしれないです、その事実として。
高橋委員
やはり若者の就業機会というのは地方圏で悪い状態が続いていますから、結果としてはこういうふうに出ているかもしれない。
佐藤会長
ですから、これから10年後とかを考えますと、ここでもいろいろ結婚しにくい状況があると、そういう議論はできるかもしれない。
阿部委員
ただ、これはどっちが説明変数で、どっちが従属変数かという議論をしなければそうですけど、基本的にここで議論するのは、こっちが説明変数で、結果的に出生率が従属変数になっているわけで、そこに並べていますから。
佐藤会長
そうなんです。ですから本来は、今、ある年齢層の有業率、その人たちが若いころどうだったか、結婚したころの状況を見なければいけないわけですね。本来は「若者の自立可能性」は。
阿部委員
かもしれません。
佐藤会長
これは今の状況を示しているから、確かにどういうふうにするかですね。これはこれでいいんだけれども、確かにこれで説明しようというとおかしなことですね。今の若い人たちの話ですから、これは。
大沢委員
例えば年齢別の正社員比率とかとれるから、それを指標に使うかどうかは別にして、それで相関見てみると、非正規が多いところがタイプ1に、例えば多いとかというような感じで見れば、問題は就業機会が悪化していることによるということで、少し背後の因果関係でもないですけど、経済状況が見えるかなという感じはしますけれども、10代がいいかもしれないですね。10代の後半。
阿部委員
出生率。
大沢委員
正社員比率か、比正社員比率か、15歳から。
阿部委員
それでも、今の問題はクリアーできないですね。
佐藤会長
同じことです。
阿部委員
同じことです。
大沢委員
そういう因果関係ではなくて、ただ、何が起きているかということを見るだけですけど、指標として使えるかどうかはまた別の問題だと思うんです。非正規比率というのは地域差が大きいんですか。
矢島分析官
全体の非正規というのは見てないんですね。女性の正社員率しか今見てないんですけれども、ある程度は出ると思いますけれども。
佐藤会長
国際比較のときに、「若者の自立可能性」を、ある程度、10年、20年のスパンで見て、国ごとに若者の経済自立は違うという前提でやっていたわけですね。これはそういう趣旨でつくったわけだけれども、国内でやるとやや短期的な状況、日本の場合は今まで割合若い人たちがうまく学校から職場へ移れていたのが、急にここ10年ぐらいで変わったわけですよね。ですからそれが変わった要因があらわれていることが問題なわけですよ。そこをどうするか。このままの枠組みで、今みたいに説明するか、あるいは極端な話、20年前ぐらいの若者の自立のデータをここに放り込むかという、昔のをというのも1つアイディアとしてあるかもわからないですけれども、それも何か恣意的な感じもしますよね。
大沢委員
両方比べてみてもおもしろいかもしれない。
岩男委員
この33ですけれども、若者が社会人として経済的に自立できる云々といったときに、回答者は男性の回答者も女性の回答者も、これは男女を想定しているのでしょうか。つまり,こういう問がされたときに、ジェンダーがひっかかってきて、男性を日本の場合だと想定しちゃって回答するのではないかなという気がしてならなくて、それは単なる勘でしかないんですけれども、そうするとますますこの項目はちょっと問題があるのかもしれない、ないのかもしれませんけれども。
佐藤会長
これは質問はいくつかでしたか、先ほどのアンケート調査の質問、番号は。
三菱総研
Q5、8ページになります。
佐藤会長
Q5ですか。
矢島分析官
あと後半の、後ろの方の都道府県別の5ページに都道府県別の傾向があります。
佐藤会長
これはこれと各都道府県の失業率とか経済的なのと大体リンクしたような答えになっていますか。
三菱総研
それはちょっと確認を。
佐藤会長
そこは岩男先生が言われたことにかかわって、ある程度、労働市場の状況などとパラレルであれば。
岩男委員
それはそうだと思いますね。
佐藤会長
これを見ればいいのか、データ的にというのが入っているわけです。
矢島分析官
若年失業率と傾向が違うんですか。
佐藤会長
違う。
矢島分析官
若年失業率が高い地域の方が出生率が低いので。
佐藤会長
そうではなくて、若年失業率と今の質問、31と33。
矢島分析官
ですので、傾向は違うのではないでしょうか。失業率が低い地域で自立できる状況にあるとは答えてない。
佐藤会長
となっているわけではないと。
矢島分析官
そうなっていれば素直だったんですけれども、そうなってないんですね。だから何をイメージして答えたかということが非常に重要。
岩男委員
もう一つクッションが入る。
矢島分析官
アンケート分析していただく中で、この質問がほかの回答者の属性ごとにどういう傾向を持っているかとか、そういうところを見ていくことになるかもしれませんけれども。
佐藤会長
「働き方の柔軟性」と「家族による支援」、「若者の自立可能性」、この3カ所をどうするか。ですから先ほど阿部委員言われたように、5ページの図表3見ると、大きな括りで、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴで見ると、タイプ1から3は、2とか3などが割合高いのが多いので、大きな括りで見ればそうなっているので、ただ、問題なのは「働き方の柔軟性」と「若者の自立可能性」、「家族の支援」のところを少し精査する必要あるかもわからない。
矢島分析官
最終的にまとめていくに当たって、これで何を言うか問題だと阿部先生おっしゃったんですけれども、これを日本の出生率や女性の働き方の地域差をなるべく具体的にあらわすような形の指標にしていくのか、それとも国際比較との違いが明確になるようにして、今は比較的それに近いのですけれども、国際比較の傾向と違うところに日本の問題があらわれているということで説明をするのか、そのどちらの方針でやっていくかということを、また次回でも打ち合わせ会でも議論いただければと思います。
阿部委員
ちょっと脱線しますけど、今「家族による支援」のところ黒くなっています。タイプ1、2、3で。今ちょっと考えたんですけど、網かけ太字の方がいいにはこしたことないのですが、これは白抜きになる可能性もあるなということで、つまり地域の子育て環境とか、子育て費用の軽減によって、家族が頑張らなくてもいい。そうなれば当然代替関係が起こって白抜きになる可能性もあるので。
佐藤会長
そうですね。だから、ここは確かに国際比較の方でも、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅲだけでやると全体には高い場合といろいろあったから、これはこれでいいのかもしれない、阿部委員言うとおり。
阿部委員
ただ、「若者の自立可能性」だけはちょっと。
佐藤会長
どこかが出っ張っていればいい感じになるから、そうすると「若者の自立可能性」は非常に問題だ。みんななければいけないわけではないです、地域なり家族は。
阿部委員
どこかが頑張れば、どこかが頑張らなくてもいいとか、そういう関係ありますね。
佐藤会長
バランスですから。
阿部委員
バランスですから。
矢島分析官
今、つくっている指標が、3世代同居と家族と過ごす時間の重視度で、この過ごす時間の重視度と意味が先ほど言ったように適切でないかもしれないので、阿部先生がおっしゃったような意味でもいいと思うんですけれども、今の指標はそれになってないかもしれません。
佐藤会長
それでは、きょう出していただいた議論踏まえて、大きな問題ばかりですけれども、また検討するということにさせていただくことでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
網野委員
今までの議論と関係するのか、次のこの提案が出ましたね。そのことが資料5に関連するのか、両方関連するかもしれませんので、1つどうしても申し上げたいのですが、よろしいでしょうか。
佐藤会長
はい。
網野委員
例えば、資料4で、最初のページで、前提として「結婚行動」と「出生行動」という2つで、私たちは完全に結婚行動があって出生行動があるという前提で、ひょっとしたら見過ぎているかもしれないんですね。実は具体的な話からした方があれかもしれませんが、例えば、私が大学で、このごろ学生が妊娠して子どもを産んで、未婚の場合もありますし、結局できちゃった婚ではないですけれども、学生時代に結婚する。いろんなそういう部分が、やはり時代の変化としてちょっとはっきりしているかなと。それは人工妊娠中絶までいくためらいとか、そういうことも全部含めて非常に出生行動、もっとその前提でいえば、性行動がいろんな意味で、私たちの社会とか文化で価値観の中に関連しているのではないかと思うんですね。
 そうしますと、例えば、国際比較のときに欧米、中でもヨーロッパでは、事実婚というのですか、結婚があって子どもが生まれるという前提ではなくて、出生行動も結婚行動もある意味で一体、むしろ区分しないでとらえたときに、そういう今の日本の現状、とりわけ10代の人工妊娠中絶はもう一つ別の問題があるかと思いますが、出生行動が晩産化しているからとかということで抑制されるというとらえ方だけではなくて、人工妊娠中絶の、日本の特徴は、未婚のとりわけ若い人たち、まだ、結婚とは何か、出産とは何か知らないで妊娠してしまって、次のプロセスで自分の人生をどうするかで悩んだりする、すごくありますね。
 もう一つは、特に専業主婦に多いと言われますが、やっぱり3人目ほしいんだけど、ちょっと無理だと、経済的にどうので、妊娠したのだけれど、中絶すると。そうすると人工妊娠中絶というものを、今さらあれなんですが、この今いろいろ議論している部分に加えて、何かが出るかどうかはわかりません。
 ただ、私は、きょうここで出席して、たまたまタイミングとして、朝日新聞で、きょう福島県が、非常に合計特殊出生率が低下して人工妊娠中絶率も高いというので、ずっと考えていたことがあまりにも一面で出たこととも関連するのですが、それは要するに里親さんという制度がありますよ。だから産んでくださいよとまでは言わないけれど、大丈夫ですよ、実の親御さんだけでなくて社会で育てる、ちゃんとできるんですから。例えば、そういうプロセスですね。それに対しての賛成というか、どちらかというと、批判的な雰囲気の記事だったんですね。
 私自身、今の専門分野で言いますと、例えば親御さんが次の子どもを保育サービスが充実しているから、保育所が充実しているから、もう一人産もうかという意識、モチベーションと、私が妊娠したけど、里親さんがいるなら、中絶しないで産もうかというモチベーション、意識とは非常に関連していると思うんですね。里親さんを前提に、そんなことという前に、今の出生行動の中では、保育サービスがどのぐらいあるかというのは非常にファクターとして重要視されていますし、諸外国でもそうですよね。
 だから、そういう点で言うと、出生行動の面からの分析が可能なら、もうちょっとしておいて、国際比較と都道府県別の比較をして、ある意味では事実婚と言っていいのかどうかわかりませんけれど、未婚の母になるか、両親ペアが存在するかどうかは次の問題としても、何かその側面というのは、むしろこれからの日本ということを考えたときに、妊娠したことは無知なために妊娠したということを防ぐのは大事だし、避妊教育も大事なのですが、もう一つ、この人との間で子どもを産みたいと思ったときに、もっと社会がサポートできるような部分も含めたら、少しこの点での検討も、もう一つ、積極的というか、人口を増やすとか、全くそういうことではなくて、根本的な結婚行動、出生行動に関連することで重要なものが出てくるのではないか。
 たまたま今朝の朝日新聞を読んで、ずっと思っていたことなんですが、あまりにもマイナーな話で、まして日本は許されないぐらいの社会のモラルがありますから、それを、じゃあ、できちゃった結婚だから結婚してということでない、もっと大事な要素をここに含むことができるかどうかなんですが、少数意見かもしれませんが。
阿部委員
それはあまり時間とるとあれですけれども、里親という制度で社会的に支援するのか、そうではなくて、結婚ができるように社会的支援をするかというのは非常にちゃんと議論しないと、単純に里親がいるからという話ではまずいと思うんですね。
網野委員
全くそうです。
阿部委員
これから、多分この後、議論があると思いますけど、我々がここで何をやりたいかというと、今の既存の法体系とか、あるいは社会的秩序の中で、どうやったら結婚し出産までいくかということをバックアップできるかということを議論しているわけで、今の御発言は、どちらかというと、その枠から、どっちかというと、ちょっと枠を拡大しましょうという議論で、それはそれで皆さんが納得すればいいと思いますけれども、今までやられている議論というのは、現行の制度、社会的モラルの中でやりましょうという話だと思うんですね。だから、今の先生の発言は、枠を広げるかどうかという問題にもかかわりますから、それは、今後どうするかはそちらでお考えいただければと思いますけれども。
 ただ、私はもう一回言いますけれども、里親制度ではなくても、本人たちをうまく支援できるような社会的仕組みをもっともっと整える必要はもちろんあると思うんです。
佐藤会長
大事な御指摘で、私もよくわかるのですけれども、この専門調査会の中の報告として入れられるかどうかということは……。
杉山委員
ちょっとまた別の、気にかかっていたので便乗して伺ってしまいたいのですが、確認なんですけれども、ここで出てきたデータ、今、3つ御報告ありましたが、これはどういう形で都道府県にフィードバックしていくのか、そのあたりのお考えをお聞かせいただければと思います。
矢島分析官
報告書の形になってからです。この生データでということではありませんので、報告書になった形ということで。
杉山委員
3つを揃えた形で何か一冊考えておられると。
矢島分析官
アンケートと就業構造とか。
杉山委員
武石先生のと。
矢島分析官
そうです。全部1つの報告書で組んでということで、そのままではなくて、合わせて分析したものをお出しするということで、前から申し上げているように、今回都道府県のランキングがテーマではないので、今、佐藤先生おっしゃったように、大きく分けて、例えば1グループと7グループの社会環境の違いは何であるかとか、特性は何であるかといった視点でお出しするということです。
杉山委員
ちょっと思ったのが、恐らく各都道府県の方たちは、自分の県がどういう感じなんだろうとすごい気になっていると思っていて、私なんか東京都がすごい気になるので、東京都、1冊子ほしいみたいな、そういうのを情報として提供していて、これはこういう分析があるんだよと。どういうふうに施策に提案できるといいかなというような話までを、本当は内閣府ができるといいのだろうなと思ったんですね。男女局の都道府県の方だけではなくて、子育て支援課の方であるとか、あと労働の政策部の方とか、そういう方たちとの個別のレクチャーというか、やりとりというのがこの情報でできるのではないかということをちょっと思いました。これは使い方の話なので大分先だと思うんですけれども、ぜひ御検討いただければと思います。
佐藤会長
今のところは、5ページの図表3の、東京がどうこうというよりかは、類型があったときに、例えば東京、奈良に入っているのか、子育て支援の充実というのはすごく大事だし、社会の安全・安心とか、労働時間のそういうことは重要ですよというようなメッセージを出すわけで、東京都の方は、自分のところはどうかは読めばわかるわけなので、都道府県ごとに書くということは、データ載っていますから見ることはできるけれども、お宅の県がどうだということが大事というよりは、女性が結婚し、子どもを持ち、働けるというような社会環境とは何が大事だということを出して、それを各都道府県が考えていただくということかなとは思っているんですけれども。
矢島分析官
各都道府県がデータを参考にして、それぞれの分析がしていただけるような情報提供はしたいと思うんですけど、全部の都道府県についてきっちりこちらで、例えば整理した結果を出してしまうと、やっぱり国際比較のときもそうだったのですけれども、ひとり歩きしてランキングされてしまったりとか、そういうことがあるので、そのあたりとの兼ね合いを見ながら出していきたいと思いますけれども。
佐藤会長
ランキングすることが目的ではないので、どういうような、それぞれの地域で,社会環境を整備してあげることが大事かということを出すということなのです。
岩男委員
社会環境を整備しても、実際にたくさん子どもが生まれるまでには当然時間がかかるんですが、実は最近ちょっと私が注目しているのは、東京都内で景気が回復して法人税が予想を上回って入った。都心部の品川区とか港区が今までにない子育て支援の策を始めるんですね。そういう形で都内で分権の新しい試みが実現しつつあるのだなというのを感じて、その辺は、将来的にはそういうある種の実験、そういう法人税が入ったところの新しい動きはちょっとウォッチすると、将来、こういうことを進めるといいんですよという提言につながる部分があるのかなと思うんですけれども。
佐藤会長
大事な点ばかりで、また、その辺も含めて検討してください。まだ、もう一つ、大事な議論が残っていますので、ここで三菱総研さんは退出されるということです。
 (三菱総研退室)
 それでは、続きまして、メール等で御連絡もしてたり、御意見個別に伺っていたわけですけれども、少子化と男女共同参画に関する提案について御議論いただければと思います。事務局から全体について説明していただいて、それぞれの分野の担当していただいた委員の方に御説明いただければと思います。
 「仕事と生活の両立可能性」は私から御説明させていただいて、「地域における子育て環境」については杉山委員、「子育て費用の軽減」については阿部委員からそれぞれ御説明いただければと思います。
 それでは、矢島さんからお願いいたします。
矢島分析官
お手元に資料5と資料6をお配りしております。資料5につきましては、先生方のメールの方で御意見をいただきまして、それをもとに3つのグループに分かれて検討をそれぞれ行っていただきました。それぞれの検討の中から出てきた御意見を整理させていただいたものが資料5でございますが、それに関連するデータを事務局の方で集めさせていただいたものが資料6でございます。
 資料6には、それぞれの御提案の現状と課題に関係するバックデータですとか、それぞれ御提案いただいた施策が男女共同参画基本計画(第2次)の計画のどういった分野に当たるのかといったこと、あるいは子ども・子育てプランに当たるのかといったあたりを資料としてつけさせていただいたものでございます。
 まず、資料5の1ページ目でございますが、それぞれのテーマについて御提案いただいたわけですけれども、基本的な考え方は揃えておいた方がよいのではないかということで、共通の考え方を示しております。
 まず、男女共同参画社会の実現にとって重要な施策であり、結果として、少子化対策にも資する施策であること。
 多様なライフスタイル選択を可能とするための施策であり、あらゆる世代・性別・就業形態等に対して公正であること。
 男女が家族としての責任を果たしながら、仕事と家庭・地域生活の両立を図るための施策であること。
 2つ目、3つ目は、1番目の男女共同参画社会の実現にとって重要ということをもう少し具体的に言ったものです。
 それから、提案分野等につきましては、昨年取りまとめました「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」で5分野をお示ししたうちの1分野、仕事と生活の両立可能性。
 それから、2分野、子育て支援の充実と、ここを子育て環境と費用の問題に分けました。
 そして、3番目のライフスタイル選択の多様性というのが大きな課題だったわけですけれども、この辺につきましては、基本的考え方に示したとおり、すべての分野に共通の課題であるといった認識のもとで御提案をいただくということでお願いしております。
 では、先生方の方、お願いします。
佐藤会長
それでは、仕事と生活の両立可能性なんですけれども、ここは「ワーク・ライフ・バランスが可能な雇用環境整備」という形で書かせていただいております。大事なのは、子育て世代だけの両立支援ではなくて、それはすごく大事なのですけれども、それを実現するためには、基本的には男性も中高年も含めてすべての労働者、特に若い未婚の人たち含めての労働者の両立支援、可能な仕組みをつくっていくことが結果として子育て世代の両立可能な職場ができてくるという考え方で整理させていただいています。
 そのためにどういう取組をするかということで、1つは、モデル事業をやろうという形で、特に長期の休業、これは育児休業も1つの例ですけれども、介護休業とか、あるいは自己啓発のために、例えば社会人大学、そういうようないろんな形の休業があると思いますので、長期の休業、短時間勤務もそうですね。子育ての短時間勤務ありますけれども、介護とか勉強のためと、社員がいろいろなライフステージごとに休業とったり、短時間勤務に移ったときに、それをどういうふうに職場でマネジメントし、効率が落ちないような形でやっていくのか、あるいはそういう働き方をどう評価するのか、そういう具体的な、現場でうまくいくような仕組みを開発しようということが前半です。
 あと、後半の管理職等のジョブシェアリングは、つまり良好な短時間勤務をつくっていく。特に管理職とか専門職のレベルで短時間勤務をつくるということが、女性が管理職や専門職になりながら子育てもできるということですので、そうしますとジョブシェアリングの1つだろう。1つの仕事を2人でシェアすると。これは日本ではほとんどゼロなんですけれども、例えばイギリスなどですと、大体派遣スタッフと同じぐらいの人数のジョブシェアラーがいるわけですけれども、こういうものをいろいろ実験し、質の高い短時間勤務をつくっていくということがすごく大事ではないかということです。
 2番目は、そういうワーク・ライフ・バランスをとれたような仕組みをつくることが、企業経営上もプラスになるという、社員の定着率とか、モチベーション向上とか、そういうことについて情報提供をきちんと出していくことが大事なので、企業経営にとってもプラスですよというような情報収集をしようということであります。
 3つ目は、これからも言われていますけれども、いろんな働き方を選択したときに、社会制度が特定の働き方を選ばざるを得ないような仕組みをつくるのは大変問題ですので、税制や社会保障制度が働き方の選択の中立な仕組みをつくるということがあります。
 それともう一つ、いろんな労働者のワーク・ライフ・バランスも、やはり男性のところが一番大きなターゲットになると思いますので、男性の意識啓発とか、あるいはそういうワーク・ライフ・バランスとれるような働き方に関しネットワークづくりということで、どういう形でそういう仕組みにするか,ネットワークづくりしようということです。
 あと、ワーク・ライフ・バランスでも、いつも同じ程度でワーク・ライフ・バランス、ライスステージ変わってきますので、ある時期、子育てして、後、また働こうという、そういう選択もあると思いますので、そういう職業生涯通じたワーク・ライフ・バランスという点、特に女性の再チャレンジなどをしようというような形で整理させていただいています。
 では、次に杉山委員お願いします。
杉山委員
私と奥山さんといろいろ協議したのですけれども、私たちどちらかというと、ずっと子育て支援という方からアプローチが多かったので、ちょっと立ち止まって考えてみましょうというところでいくと、子どもと子育てをしている親、男性、女性を切りわけて、一人一人の人生とか生き方というので見ていくといいのかなという話をしました。
 「多様なライフスタイルに応じた男女共同参画型子育て支援システムの構築」、多様なライフスタイルの中に子育てもあるよね、出産もあるよねと、そういう見方でいくのがいいだろう。特に今までは子どもを産み育てる男女をどう支援していくのかという発想が少し薄かったのではないのかなというところで考え方を整理していこうというふうに見ました。
 子どもの支援は、割とそれこそ児童福祉があったり、厚生労働省の方が頑張っているとか、幼児教育があったりとかいろんなことであると思うんですけれども、育てているお父さん、お母さんの支援が足りないねと、そういうあたりで、すべての家庭のニーズに応じた総合的な子育て支援サービスというのを、男女のライフステージに応じた切れ目のない支援ということで見ていくといいのかなと思っています。
 つまりは、まず、お父さんもお母さんも、男女を地域へということと、女性を社会へということと、男性を家庭へという、そういうよい循環を生み出していくために何ができるのかということで見ていくと、社会的支援として保育サービス、保育以外の子育て支援サービスが不足していると。あと辛うじてあるのだけど、そのあるものが連携していないということ。それは子どもの面でいくと、保育所、学童、幼稚園のようなリソースの連携がないということと、それから女性という面で見ると、地域子育て支援で、母親への支援も若干増えてきたけれども、社会へどう送り出すのという縦軸支援がないというような部分。
 あとは、情報が連携してないから、情報もちゃんと体系的に送り届けられていない。支援をする人たちが、少子化社会の現状に合っていないという、そういうところが考えられるかと思っております。
 どうしたらいいのかというと、まずはすべての家庭を対象とする子育て支援の拠点が少ないので増やすということで、地域子育て支援センターであるとか、つどいの広場というような拠点が増えているのですが、これがもっと増えていく。「コンビニの数ほど子育て支援拠点を」というふうに私たちは言っているのですが、そういった形で数が増えていって、中身をどうするのというとネットワーク。あと情報提供をちゃんとやることと、子ども軸だけでなくて、女性軸、男性軸でも見ていけるというようなところではないかなというところで、男女共同参画の拠点とのネットワーク、人材育成をしていく。
 一方、新しい視点としては、新しくないかもしれないですが、男性の地域活動促進というのを働きかけていくことも、この拠点でできることなのではないのかという考え方でまとまりました。
 以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
阿部委員
私が話すのがいいのか、高橋さんが話すのか、よくわからないんですけれども、アイウエオ順で私が。
 「子育て費用の軽減」ということで、我々は「機会費用と直接的費用への配慮・義務教育のコストパフォーマンス向上」ということを積極的に行っていただきたいというふうに思っています。
 現状としては、夫婦が理想の子どもの数を持てないということがよく言われますけれども、その背後に出てくるのが、よく子育ての経済的負担というのが出てきて、それが多分意識調査などではトップに出てくるわけです。
 子育ての経済的不安というのは、直接的な費用と機会費用と分けられると思います。直接的費用というのは、子育てに直接的にかかることですから、教育費、衣服費、食費とかいろいろあると思います。
 その中では教育費の負担がかなり大きいと。とりわけ今塾とか私立学校といったところの利用者が増加していて、さらに高等教育費の負担がかなり増えているということで、子どもを持てない理由の1つとして教育費の負担が大きいというのもよく聞かれます。こういったところをどういうふうに今後改善していくべきかというのが大切なことだろうというふうに思っています。
 それから、もう一つ、機会費用というのがありますけれども、直接費用の軽減方法によっては、機会費用を上げてしまうという可能性もあります。もう一つ、余談になるのですが、宣伝も兼ねて、この本が今度3月10日に出るらしいのですけれども、この中で私がやっているところで、世代ごとに夫婦の所得を見ますと、かなり下がっていることがわかります。私の世代が30~35歳にかけて出ていた平均値が、大体620万前後なんですが。
佐藤会長
夫婦足してですね。
阿部委員
ええ。今現状では557万ぐらいですから、大体50~60万減少しています。レベルで、これは実質値です。50~60万は年収で大きいですから、それが結局は直接的費用に賄えずに子どもを出産しないとかということが起こります。もう一つあるのは、働き方が正社員減っているんですね。たかだか10年ぐらいの違いなんですけれども、それで見ても正社員比率が相当違っている。
 そうなってくると所得リスク、雇用のリスクというのに家族が対応していかなければいけない。そのためにはどうしても共働きが今後は一般化していくのではないかということになっていくのではないかと思います。そういう意味では、ここでの話というのは、一番最初の、仕事と生活の両立可能性、地域の子育て環境と深くかかわってきますが、そういったところの家族のリスクをどうやって社会的に、リスクを分担していくかということが非常に重要かというのもあります。
 さて、それで直接費用の方針ですけれども、最近はよく児童手当を引き上げてとか、フリーバースとか、いろんなことを言うわけですけれども、そういうのはただ単に費用がかかってしまうだけであって、あまり効果はないのではないかと個人的には思っていますし、いろんな研究成果を見ても、児童手当の引き上げだけでは出生率回復というのは結びつかないような気がします。
 その意味で、そういった直接費用をどういうふうに社会的に見ていくかというのは今後重要な問題ではないかと思います。これから財政はかなり破綻的な状況になっていくと思いますので、直接的な費用軽減策を行う場合であっても、財政面で規模の経済性を考慮した施策が非常に重要になるのではないかと思います。
 そういった意味で、対応施策としては、子育て世帯の所得層・就労状況別経済支援策に関して、かなり便益分析、便益推計を踏まえた上での子育て支援の体系的見直し、具体的には手当・税控除・利用補助等の総合的な検討がこれから必要であろうと思います。
 それから、直接費用の中で最も大きい教育費負担、これをどうやって軽減していくかということも非常に重要だと思います。その中では義務教育が最近破綻傾向にあるので、これをもう一度立て直して、公教育の質向上によるコストパフォーマンスを向上させる。それによって義務教育だけでも十分いけるというふうなことが必要なのではないかと思います。それは実はもっといろんな意味で重要でして、公教育が重要になれば、私、私立学校だからあまり言えないのですけれども、私学がなかなか立ち行かないかもしれませんが、私立に入れるのは非常に費用がかかる。そういう意味では所得階層の上の方だけが私立学校に行かせる。それが世代間の循環になって、金持ちとそうじゃない人の区別を明確にする可能性がある。ところが公教育によって全員に教育機会が開かれることによって、そういった世代間配布分配というのも、もしかしたらうまくいく可能性があるということです。それから、公教育の質向上というのは今後非常に重要な問題ではないかと思いますので、ぜひとも対応施策としてやっていただきたいと思います。
 それから、もう一つは、高等教育・生涯学習が今後盛んになっていくと思います。それに対する奨学金制度の利用の促進等を考えていただければと思います。以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 一応、今回の提案の案は、この専門調査会でやってきた社会環境を国際比較したときで、特に日本が、女性が結婚し子どもを持ち、社会差ができている国と日本との違いで比較的差が大きかった働き方のところ、「仕事と生活の両立可能性」、働き方の柔軟性を確保するということと、「地域の子育て環境」と「子育て費用の軽減」、この3つの取り上げて課題を提起するという形になっています。
 それぞれ先生方お集まりいただいて御意見を伺っていますので、ほかの先生方からも追加的な御意見あれば、あるいはほかの分野で議論したことについても、ここはどうなんだろうという御意見があれば伺えればと思います。いかがでしょうか。それぞれ相互に関係するような形になっています。
塩満調査課長
1点だけ追加的に申し上げます。今、阿部先生から、児童手当、フリーバースについてお話がありましたけれども、地域からの御要望を多く伺っております。別途検討会議の場もございますので、また、先生方に御意見を伺っていきたいと思っております。
大沢委員
関連ということで言うと、働き方を見直すということと、子育て費用の軽減ということにも関連があるというようなことを意識してもいいかなと思います。ヨーロッパ、アメリカ、イギリスという国で見ても、子育てというか、教育費負担が大きいところだと、夫婦フルタイムで働かざるを得ないという経済的な要因が非常に大きくなって働き方を規制してしまうので、時間よりもお金を選ぶという傾向が国によって出てくるけれども、国立が中心のヨーロッパだと、そこにお金をかけなくていい分、ライフスタイルがより自由に選べるということになりますので、子どもが生めない理由で経済的な支援というより生き方を自由にするという意味で経済的な支援が重要だということを言っても非常に説得的かなというふうに思いました。
岩男委員
私も大沢委員がおっしゃったようなことに近いことを考えていたのですけれども、例えば子育て費用の軽減だけをぽんと出すのではなくて、つまり男女共同参画とこれがどういうふうにかかわっているか、そこがメインなのであって、少子化対策だけではないんですよね、目的として。
佐藤会長
そうです。
岩男委員
ですから子育て費用の軽減をするともっと子どもがたくさん生まれますよというような感じになってしまうと、まさに少子化対策そのものをやっているのかという話になりそうなので、その辺はもう少し、今、おっしゃったような、こういうことが可能になることによって男女共同参画がどういうふうに実際に推進されていくのかという、そこへつなげていかないといけないのだと思うんですね。
矢島分析官
今のペーパーで十分そのあたりが表現しきれてないかもしれませんが、先生方の打ち合わせ会の中でも、ここの分野を男女共同参画の視点から見た場合、一番大きいのは、そこの機会費用との関係の問題であるので、ですから、ここのところについても、一応提案の中にはぜひ入れてほしいというような御意見をいただいていますので、そういったところをもう少しきちんとわかるようにする必要があるのかもしれません。
 あと一点、やはり最初のところで男女共同参画施策であるということで御提案いただいていて、参考資料の方には、男女共同参画基本計画との関係ということをお示ししているのですが、最後に御提案いただいた義務教育の質の向上の部分につきましては、28ページの方にお示ししましたけれども、基本的には男女共同参画基本計画の方にはございませんで、ただ、子ども・子育て応援プランの中では「義務教育改革の推進」というのが位置づけられていますし、あと中央教育審議会からも既に答申が出ておりますので、男女共同参画施策というのではなくて、こういったところでも重要だと言われているということで、御参考までという形なのかもしれない。
佐藤会長
一応この資料が後ろにくっつく形を考えているわけですか。
矢島分析官
参考で併せて提出。
佐藤会長
資料5の一番上で検討における基本的考え方という形で、岩男先生にも書いていただいているわけですけれども、一応提案をまとめると、基本的考えに即したものだというのがわかるようにできるかどうかはあるかもわかりません。ほかにはいかがでしょう。
杉山委員
ここに入るかどうかあれなんですが、とにかく言ってみようと思ったのが、例えば、生涯学習の機会に自分が学ぶとか、子育ての経験なんかも1つはあるかもしれないのですが、それをキャリアとみなすというか、学んだことが職場で次のステップアップにつながるのだというところが1番目の「仕事と家庭の調和」のところに少し入るとありがたいかなと思ったのですけれども、ちょっと仕事を休んで、学校で学んだいうこと、留学したとか、そういうことがなかなか次のあれにつながっていかないというところを何か打開できないかと思ったのですが。
矢島分析官
もしかしたら、再チャレンジ支援のときに、非常に重要なテーマであると思いますし……。
佐藤会長
キャリアを中断すると、機会的にマイナスになる。つまり何をやっていたかということが大事だということでしょう。そういう意味では、再チャレンジ支援のところだと思います。
矢島分析官
具体的に今おっしゃったようなプラスの評価はできるかということについて、もしかしたら調査研究の課題かもしれません。
佐藤会長
プラスに評価できるものがあって、一律に評価されてないのが問題で、みんなプラスになるかどうかはまた別だと思うんですけれども、そこは年齢とかということだけで機械的に見ちゃうとか、中断するとマイナスだというのは変えていかなければいけないですね。そういうのはここへ入れるような形で。多分そういうのも入っているということだと思いますけど、ほかには。
網野委員
今のこととも関連するのですが、いわゆる仕事と何かを両立させるという中で、今、どちらかというと労働行政でデュアルシステムを高めていこうということで、学びながら実践を経験して、そうすると、それがいろんな自立の保障にもなるし、ここで狙っているいろんな趣旨が含まれてくるだろう。今までだと学校でインターンシップ的なもので終わっていたのだけれど、特にニートとかフリーターのような人たちにとってはもう一つ配慮を含めて、そうすると経済的にも社会的にも自立できる、そういう面で仕事と学習の両立、それが結果的に仕事と生活の両立に結びつくという趣旨がだんだん重視されてきていますので、私個人ではここに意見を差し出す機会なかったのですが、そういう意味では、学生時代からのかかわり方ということで、先ほどの義務教育もいろいろそうですが、むしろ子どもたちの側、育っている側、成人になる側からの視点というのも含まれるとよろしいかと思いました。
佐藤会長
ここのところは、今働いている人たちがかなり、もしやるとすると、「若者の自立」という新しいのを起こすということかもわからないですね。そこは既に働いている人たちが途中でリカレントでというのが入っているんですけれども。
矢島分析官
今おっしゃっていただいた最初のところの学びながら実践、仕事と学ぶことというのは、今のワーク・ライフ・バランスの考えだと思うんですけれども、若者だけということになるとそういう部分があるかもしれません。
佐藤会長
そこをどうするか。
矢島分析官
若者の自立につきましては、昨年、国際比較をやったときから、指標として1つ立っているのですが、そこはあまり男女共同参画としての分野というふうに位置づけてなかったので、今回別に立てなかったのですけれども。
網野委員
広く言えば、ワーク・ライフ・バランスの趣旨の中で含めてというのがあるかもしれない。
矢島分析官
そうですね。学ぶことへの実践というところ。子育て支援のところで、きょう奥山委員御欠席なんですけれども、御提案いただいていまして、地域でのジェンダー育成の中で、専門職を育成することも大事なんですけど、学生のボランティアさんとか、実際、奥山先生も実践されていて、高校生、大学生。なぜ学生のボランティアが重要かというと、やはり地域の子育て支援の中で、サービスの受け手も、サービスの提供の側も女性だらけになっている状況に、もっと男性をといった場合、父親が入っていくことも重要なんですけれども、なかなか例えばNPO活動などに男性がというのが現状は厳しい状況がある中で、やはり男子学生とか、そういった方が活動する機会がもう少し増えたらいいのではないかというようなこともおっしゃっていました。
佐藤会長
今の枠組みの中だと若い人を入れるのはちょっと難しいかなという、検討してください。あと、いかがでしょうか。
原田審議官
実はこの資料5で、一番最初の基本的考え方のところで、男女共同参画社会の実現にとって重要な施策というアプローチをまずしようと。結果として少子化対策に資する施策という、そういう発想でこの検討作業を進めようとされているところです。そういう意味で、先ほど岩男先生がおっしゃっていただいたように、子育て支援の表現ぶりがどうも受けとられる印象からすると、少子化対策を追求するような印象を与えかねないのですが、実は男女の生き方、言葉をかえれば、多様なライフスタイルを実現していく上で、子育てをどう考えるのかというテーマは横たわっているわけですが、やはり、男女共同参画施策からのアプローチという印象が強まる表現が適当かなと思ったので、ちょっと内容を見ますと、この表現ぶりだと検討する必要あるかもしれないと思います。考え方、中身は共通なんですけど。
岩男委員
実は冒頭にある「男女共同参画社会の実現にとって重要な施策であり」というのは私が入れていただいたのですね。元は逆になっていて、冒頭から「少子化」がきていたので、これはぐあいが悪いのではないかということです。まず冒頭でどうしてもこだわりたい。そうでないと、例えば社会保障審議会の児童部会で出すものと非常に近い話になってしまうんですね。地域の子育て支援とか。そもそも男女共同参画社会というのは何をイメージしているのかというあたりをもう一遍考え直して鮮明にした上で、ここでは何を、という発想にしないといけないのではないか。現場で必要なことがみんなここへ入っているのですけれども、それにどうしても引きずられちゃうのではないかという、そんな心配がありまして。
高橋委員
再チャレンジのことが書いてあるのですけど、少し小さめに書かれているので、それをもう少し、結局大きな問題は、結婚、出産後の機会費用がすごくばか高いという大きな問題がありますよね。それというのは再チャレンジがしにくい社会の結果の反映でありますから、そうすると女性の出産・子育て云々というよりも、生涯を通じて女性が社会参画できて、そうした社会参画できないようなネックになっている事柄が少なくなっていって、再チャレンジしやすく、機会費用も小さくなるという、そういうトーンをもう少し出すと、子育て支援一辺倒ではなくなってくると思うんですけれども、その辺を考慮していただければと思うのですが。
岩男委員
「多様なライフスタイル選択を可能にするための施策」、そのとおりなんですが、同じことをもうちょっと違う言い方というか、つまり男性も女性も自分の望むような生き方ができる。つまり生き方を選べる社会というのが男女共同参画社会なんですから、それをここに書いて、ぼんと「多様な選択」というふうに出てこない方が私はいいのではないかと思うんですね。そういう社会を実現するために、あらゆる世代に対して云々というような言い方の方がいいのだと思うんです。
佐藤会長
その辺、1枚目のところを検討していただくということで、高橋先生言われた機会費用のこと、もしかしたら、子育て費用軽減の中にそういう再チャレンジしやすいような仕組みができるということが機会費用を下げるのだみたいなことを1個入れるかどうかですね。前にもあります。阿部さんどうですか。
阿部委員
いいんじゃないですか。
佐藤会長
その辺も両方にあった方がいいかもわからない。
矢島分析官
1枚目のところでもう少し3分野の関係とか、そういうものも加えた方がいいということだと思うんですけど、あと打ち合わせ会では提案の背景となる基本的な社会環境の変化に対する認識も少し議論されまして、例えば人口減少によって、女性や高齢者の労働力が期待されているということをきちんと共通の理解にした方がいいのではないかと。ただ、就労するか否かはあくまで個人の選択であるということ。
 それから、終身雇用や年功序列賃金体系が崩れてきていることで、企業はこれまで担ってきた実質的な子育ての経済的支援が減少しているということがあるのではないか。それによって片働きでの出産・子育てが経済的に厳しくなりつつあるということ。
 それから、有配偶女性の就労状況を見ると、低収入に偏っていて、ここに社会保障制度、税制の仕組みによる就労選択の誘導というものがあるということもあるのではないか。非正規化の進んでいるそのものがよい,悪いではないけれども、日本の場合、よい意味での働き方の柔軟性に結びついていないと。この影響が既婚女性にとどまらず若者の問題にも広がっているのではないかといったような御意見が出されています。
 こういったことをどの程度、この提案の中に書くのか、ちょっと迷うところでありまして、また引き続き御意見があれば、後ほどいただいて、この提案の場面について、もう少し詰めていきたいと思います。
佐藤会長
そうすると、これの扱いですけど、きょうの御意見を踏まえて、また整理していただいて、それをまたお送りしますのでコメントいただいて、最終的には、そうすると、これは分野ごとに提案したら入るという形ですか。そういうふうにするのですか。
矢島分析官
今まで御提案いただいている中ではそれぞれ違う分野。
佐藤会長
分野ごとに名前を入れてというふうにするんですね。
矢島分析官
もう少し、そのあたりも違う御意見があれば。
佐藤会長
一応提案としては各分野ごとの委員の連名の提案という形で、男女共同参画会議に提案するというのが事務局案だそうですけど、それでよろしいですね。
 では、そういう形で整理させていただいて、また見ていただくという形にさせていただければというふうに思います。
 すいません、きょう時間過ぎましたけれども、事務局から連絡事項があれば、よろしくお願いします。
矢島分析官
本日は長時間にわたりありがとうございました。
 本日の資料につきましては、武石先生の資料も含めて、データにつきましては、まだ今後、精査・分析をしたものをまとめて出した方がよいだろうということもありまして、委員限りとさせていただきます。提案につきましても、まだ修正させていただくことがありますので、委員限りということにさせていただきまして、公開される議事録以外は非公開ということで、資料7の第9回の議事録につきましては、本日をもちまして公表とさせていただきます。また、第10回の議事録につきましては、お手元にお配りしてありますので、修正等の御意見等を書いてあります期日までに事務局にお送りください。
 それから、次回の専門調査会、打ち合わせ会の日程につきましては、また別途御連絡させていただく予定でございます。
 以上です。
佐藤会長
それではどうもありがとうございました。また、次回もよろしくお願いいたします。