少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成17年3月1日(火) 10:00~11:54
  2. 場所 内閣府5階特別会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、阿部委員、岩男委員、大沢委員、奥山委員、杉山委員、高橋委員、武石委員、布山委員、藻谷委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 統計指標について
  3. 管理職を対象とした両立支援策に関する意識調査基本集計結果について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
統計指標分析関係資料
資料2
管理職を対象とした両立支援策に関する意識調査集計結果関係資料
資料2-1
単純集計結果 [PDF形式:184KB] 別ウインドウで開きます
資料2-1
クロス集計項目案 [PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
資料3
第2回専門調査会議事録

(議事内容)

佐藤会長
それでは、遅れていらっしゃる委員の方もいると思いますが、時間がまいりましたので、男女共同参画会議少子化と男女共同参画に関する専門調査会の第4回会合を始めさせていただきます。お忙しい中御参加いただき、どうもありがとうございます。
 では、お手元の議事次第に従って審議を進めさせていただきたいと思います。
 まず、議事次第2、統計指標について事務局で資料を用意していただいていますので、御説明いただいて議論するということにしたいと思います。国際比較と国内比較がありますので、まず国際比較から説明していただいて、その後国内というふうに分けて議論できればと思います。では、よろしくお願いいたします。
矢島分析官
よろしくお願いいたします。
 では、お手元の方の資料を御確認ください。大きく分けましてクリップで資料1と資料2ととめたものがございますが、資料1が統計指標分析の関係の資料でございます。資料2は後ほど御説明させていただきますが、アンケートの結果に関する資料でございます。
 では、お手元の資料1のクリップを外していただきまして、お開きいただきたいと思います。まず、資料1-1でございますけれども、こちらの方は指標分析の進め方についてということで、前回御説明させていただきましたものに若干、後の方の国内分析の資料等について御説明を加えたものですので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
 次に、資料1-2でございます。こちらは少し字が小さくて大変申し訳ありませんが、資料の構成だけ、まず説明させていただきます。
 先生方のお手元に、前回の専門調査会の後で新しい分類についてということでお送りさせていただいたかと思いますけれども、こちらはその新しい分類と更にもう一つ分類を付け加えたもので提出させていただいております。
 まず、上の方の行に分類が書いてありますが、1働き方、2子育て環境、3子育てコスト、4家族、5若年層の自立、6性別役割分担、7幸福・安心感、最後に8社会の多様性に対する寛容度ということになっております。その下に、それぞれ指標の名称が書いてございます。また、備考とあります欄につきましては、出典について簡単に記載したものでございます。更に、その下に細かくデータの収集可能年次を示しております。更に、その下の年度とありますところは、今回この表の中でお示ししておりますデータの収集年度でございます。その下にOECD諸国19か国のデータを示しておりまして、更に、その組の下に平均と標準偏差と合計特殊出生率、女性労働力率との相関係数を示しております。
 それぞれの指標の傾向につきましては、次のページからグラフでお示ししましたので、そちらを見ながら御説明していきたいと思います。こちらのグラフは、上の方が出生率との関係、それから、下のグラフが女性労働力率との関係でプロットしております。
 まず、最初の「週当たり実労働時間」でございますけれども、こちらは男性全体でとっております。前回は製造業の男性ということでとりましたけれども、今回は男性全体ということで見ておりまして、傾向としては相関係数はマイナスになっておりますが、かなり小さい値になっておりまして、やはり日本で問題にされている長時間労働というものの実態を的確に示すようなデータというのが、統計上把握するのがなかなか難しいということで、こういった傾向にとどまっております。
 次に、「就業者に占めるパートタイム割合」ということで、男性のパートタイム割合を示しております。こちらは出生率と男性のパートタイム割合との関係が上のグラフになっております。こちらは相関係数0.48で正の相関を示しております。下の方が女性の労働力率とパートタイム、男性の割合ということでございます。前回までは男女計のパートタイムの割合ということで示しておりましたが、打合せ会における先生方の御意見等を踏まえまして、実労働時間とパートタイムの割合とともに男性の働き方ということで示してはどうかということで、今回こういう形で御提起させていただいております。
 それから、次の項目につきましては、同じく働き方ですが「失業したとして、納得できる仕事が簡単に見つかると考える物の割合」ということで、こちらはISSPという意識調査の結果でございます。こちらの相関係数は0.79で出生率との関係で正になっております。また、女性労働力率との関係が下の図になっております。
 働き方につきましては、まず、男性の長時間労働、それから、働き方も多様化ということでパートタイムの割合、それから、納得できる仕事が簡単に見つかると考える割合ということで、雇用市場の流動性というような側面を示しております。
 次のページにまいりまして、「フルタイムにおける男女の賃金格差」と「管理職における女性割合」につきましては、働き方の中でも男女の均等ということに着目してつくっております。
 まず、「フルタイムにおける男女の賃金格差」につきましては、合計特殊出生率との関係は0.52で正の相関になっております。また、女性の労働力率とフルタイムにおける男女の賃金格差は下の図のとおりになっております。
 「管理職における女性割合」も、出生率と管理職における女性の割合を上の方に示しておりまして、こちらも正の関係になっております。
 それから、次に、仕事に関する重視度「仕事は人間にとって最も重要な活発であると考える者の割合」というものをとっております。こちらも意識調査でISSPからとっております。こちらは、合計特殊出生率、女性の労働力率ともマイナスの相関が出ております。
 以上が、働き方に関する指標でございます。
 次にまいりまして、「保育サービスの利用割合」でございます。こちらは前回3~6歳未満児をとっておりましたが、御意見をいただきまして、やはり0~2歳のところで把握するということで、こちらのデータをとらせていただいております。こちらも合計特殊出生率との関係、それから、女性の労働力率との関係で正の関係になっています。
 それから、次が「家族へのサービスに関する社会保障給付費(全体に対する割合)」ということでとっております。こちらも合計特殊出生率、女性労働力率とも正の関係でございます。こちらは今回、社会環境を指標化するということで、制度に関しては直接扱わないということにしておりますが、保育以外の子育て支援サービスの普及状況というのをなかなか個別にとらえられないということで、家族に対する社会保障給付で対応しているといいう形になります。
 それから、次がコミュニティの関係でございまして「貧困、雇用、住宅、人種差別などの問題に関するコミュニティ活動の団体・組織に属している割合」ということでございます。こちらも合計特殊出生率、女性の労働力率の関係で正の関係にあります。こちらは世界価値観調査の方のデータを元にしております。
 次のページをごらんください。次が子育てコストということで「教育への公的支出」の対GDP比をとっております。こちらは出生率、それから、女性労働力率との関係が正の関係になっておりますが、こちらは打合せ会での御意見でも家計に占める教育費の割合ということで、私費の部分で見るべきではないかという御意見をいただきまして、データを探したのですが、特に子育て世帯の教育費に関するデータということで絞り込むことがなかなかできませんで、全世帯になりますと、やはり社会人の自己投資的な教育費ということで、アメリカなどで高くなったりといった問題がございまして、なかなかきちんとこちらの意図しているデータとして把握できないということで、教育への公的支出、私費に対する公的な部分の支援ということで把握しております。
 それから、次に、家族の状況ということで「世帯人員」を見ております。こちらは出生率と世帯人員、それから、女性の労働力率と世帯人員の関係はマイナスの相関になっております。つまり世帯人員が少ないという状況の方が女性の労働力率、合計特殊出生率ともに比較的高い傾向にあるということでございます。こちらは国内での分析との関係で、国内ですと三世代同居率での違いという傾向が見られるかと思いまして、国際間で核家族化や三世代同居といった世帯の状況で把握するということを目的に探したのですが、なかなかそういった形では把握し切れず、世帯人員という形で把握しております。ですから、国際間で見ますと、後の方で出てくるかと思いますが、どちらかというと核家族で若年層が自立するという傾向と、同じような関係で、比較的世帯人員が少ない方が出生率、労働力率ともに高いという傾向が出ております。
 それから、次が「『女性は充実した人生を送るために子どもを持つことが必要である』と考える割合」ということで、これは出生率、女性の労働力率ともマイナスになっております。これは、いわゆる伝統的な家族意識ということでとらえまして、ほかにも結婚観というようなことでとらえるということもあるかと思いましたけれども、比較的近い設問ということでこちらの方を設定しておりまして、こちらも世界価値観調査の方から把握しております。
 次のページにまいりまして、先ほどの女性は子どもを持つべきであるという伝統的な価値観に対してはマイナスだったのですけれども、次は「家族と一緒に過ごす時間を増やしたいと考える者の割合」、家族間のつながりというものを重視するということにつきましては、出生率、女性の労働力率ともプラスの関係にあります。こちらは、家族と過ごす実時間ということで、なかなか多くの国のデータを把握することが困難でして、この傾向が実時間との関係でどうなっているのかということが、家族と過ごす時間ということでは把握できていませんが、実労働時間との関係で今後検証していきたいと考えております。
 それから、次に、若年層の自立ということで把握しているデータでございます。まず「長期失業者に占める若年層(20~24歳(男女))の割合」でございます。こちらは出生率、女性の労働力率ともマイナスの関係にございます。
 それから、次に「社会人の教育・訓練の参加率」ということで、これは把握できる国がかなり限られてしまいますが、合計特殊出生率、女性の労働力率ともプラスの相関になっております。
 次のページにまいりまして、「成人の子と同居している割合」ということでございます。こちらにつきましてもISSPのデータから把握しておりますが、こちらは家族の中で最も交流のある子に限定して聞いていると。その中で同居している子を答えていただいて、その割合をとっております。こちらは、成人の子との同居ということで出生率、女性労働力率ともマイナスの関係にあります。
 それから、次が、性別役割分担意識ということで「『男は仕事、女は家庭』に同意する割合」との関係でございます。こちらは合計特殊出生率、女性労働力率ともマイナスになっております。
 次が、実際の家庭内での役割分担ということで「男女計の家事時間+育児時間に占める男性の時間の割合」ということで、男性の家事・育児時間ということで、前は実時間でとっていたのですが、男性の家事・育児時間がその世帯の家事・育児全体に占める割合ということで示しております。出生率、女性の労働力率ともプラスの関係になっております。
 次のページにまいりまして、幸福と安心感ということで見ております。最初が「『全体的に言って、今とても幸せ』と考える割合」ということで、これも世界価値観調査のデータになっております。こちらは合計特殊出生率、女性労働力率ともプラスの関係になっております。
 次が、犯罪被害者の増加率で見ております。前回は実数で見ていたのですが、増加率で見てみますと、こちらも把握できる国の数が大分絞られてしまいますが、合計特殊出生率、女性労働力率ともマイナスになっております。
 それから、次に「失業率」との関係を見ております。こちらはやはり合計特殊出生率、女性労働力率ともマイナスの関係になっております。
 次のページにまいりまして、最後に社会の多様性に関する寛容度ということで、まず「自分の人生を自由に動かせると思う」人の割合につきましては、合計特殊出生率、女性の労働力率ともプラスの関係になっております。
 それから、「自国で人権が尊重されていると思う」人の割合ですけれども、こちらも出生率、女性労働力率ともプラスになっておりまして、これはいずれも世界価値観調査の結果となっております。
 以上が、今回指標として取り上げました数値の傾向でございます。
 後ろの方の参考1というものをごらんいただきますと、これ以外にもこれまでの議論を踏まえて把握したデータについてすべて載せておりますが、把握できた中で内容を吟味していくと、もともとの分類の枠組みではなかなか収まらないのではないかという御意見もいただきまして、新たに分類を見直して、同じ分野の中でまとまった傾向を示せるものをピックアップしてきました。1つの分野の中で全く違う意味合いになってしまうものというのは、対象から外させていただいております。
 また、経年でとれないかということで、2時点でデータがとれるものは2時点で把握したのですが、その推移の傾向を見ますと、以前、出生率と女性の労働力率の20年間の傾向というのをグラフで皆様にお示ししたと思いますが、やはりそれぞれの国で変化している時点が大分違うということで、20年間なり10年間の推移でデータをとりましても、なかなか各指標と出生率との関係が見られないということがありました。ということで、基本的には1時点で分析をしております。
 これらを踏まえまして、資料1-3をごらんください。それぞれの分野の指標につきまして標準偏差をとりまして、下の方にスコア化をしております。こちらのスコア化をする際に、マイナスに効いているものについては、スコアで逆に出るように全体100から数値を引きまして、すべてがプラスの方向で表せるように調整をしております。
 次の2ページ目にありますのが、各分野ごとの指標の得点でございます。なお、今回は1つの分野の中に複数の指標がある場合に、国によっては指標が幾つか欠けてしまうものがございまして、それについては厳密に言うと得点化できないんですが、今回はそれを除いて平均をとらせていただいております。ですので、全く数値が埋まっていないところは、そこの分野に関する指標がいずれもとれていないということでございます。
 では、3ページ目から結果についてごらんいただきますと、まず、以前タイプ分類しましたタイプAのフィンランド、スウェーデンにつきましては、この様な結果になっております。全体に平均よりも大きな指標になっておりまして、かなり高い得点になっております。この分類につきましては、お手元の机の前の方にございます据付けの資料で、対象国の類型化ということで以前お配りいたしました資料を置いてございますので、こちらの分類を御参考になさってください。フィンランドとスウェーデンに関しましては、このようになっておりまして、スコア合計の平均が456となっております。
 次に、タイプBでございます。タイプBにつきましては、女性の労働力率、合計特殊出生率ともにプラスになっている国ということで、オランダ、アメリカ、デンマークを挙げておりますが、こちらも特にデンマークで全体の面積が大きくなっておりまして、スコア合計が476.1になっております。この3タイプの合計の平均は450.3ポイントになっております。
 次に、タイプCをごらんください。タイプCについては、かなり多くの国がございまして、合計特殊出生率はマイナスになっていますけれども、合計特殊出生率の減少率が20%以下の国ということでございます。それから、女性の労働力率についてはプラスということでございます。スコアが真ん中に来てしまって、0.0になっているものにつきましては、ここの分野に該当するデータがない国ということになっております。そういった国につきましてはスコア合計は出してございません。こちらを見ていただきますと、大体平均点の近くに各指標が集まっていることがごらんいただけるかと思います。
 タイプCの方は、最後の方にドイツ、フランスとございまして、ドイツ、フランスになると若干、総得点は近くとも各指標の傾向が異なるということで、形がややいびつになっているのがごらんいただけるかと思います。タイプCのスコア合計の平均は406.8になっております。
 最後に、タイプDのグループでございます。こちらは合計特殊出生率の減少率が20%以上ということで、いわゆる超少子化の国でございます。こちらはポルトガルとアイルランドと日本、韓国、スペイン、イタリアはやや傾向が違うんですけれども、日本、韓国、スペイン、イタリアでは、かなり点数の低い項目が目立つということがごらんいただけるかと思います。韓国については、なかなかデータがとれていない部分も多くございます。こちらのタイプDのスコア合計平均が340.8になっております。
 以上が、レーダーチャートの傾向でございます。
 次に、資料1-4で、こうした指標の傾向を踏まえまして、制度分析を行うということで、その制度分析の進め方についてお示ししております。データでは1980年から2000年の間の変化ということを示すことが困難であるということで先ほど御説明いたしましたけれども、制度分析ということで定性的にその間の変化と各国のタイプ別の社会環境の背景を整理するということを目的にしております。
 分析の対象国ですけれども、各タイプから数か国ずつ選びまして説明したいと思っております。タイプAとBについては2か国ですが、タイプCについては対象国がかなり多うございますし、女性の労働力率が全体平均の0.49から上のものと0.49から下のところということで、一応前回分けることを御説明いたしましたが、その違いで2か国ずつとっております。ということで、フィンランド、スウェーデン、オランダ、アメリカ、ドイツ、イギリス、カナダ、フランス、イタリア、日本ということで特徴を把握したいというふうに考えております。
 次のページにまいりまして、分析項目・分析方法でございますけれども、主に育児に対する経済的支援、地域における子育て支援、それから、女性の就労支援、その他教育、税制等に着目して整理したいと考えております。
 4につきましては検討資料ということで、整理している資料について御参考までに書かせていただいております。
 その次に、A3でお示ししておりますグラフについては御参考で、各国の社会支出総額のGDP比率と、それから、家族支援給付の対GDP比の20年間の動きでございます。こちらは以前、女性の労働力率と出生率ということでやはり20年間の動きについてお示ししたグラフがあるかと思います。お手元の先ほどお示ししました据付け資料の3枚目以降に、そのグラフがございますけれども、この女性の労働力率と出生率に関しましても、20年間の間で各国それぞれさまざまな形の変動がございますけれども、こういった変化の背景というのを制度で見ていくわけですが、こちらに示しましたのは社会支出総額と家族支援給付費の関係でして、この関係を見ますと、やはり各国それぞれ異なった動きをしておりまして、こういった社会支出、家族支援給付の動向と、それから、他の制度との関係あるいは出生率、女性労働力率との関係といったものにも注目していきたいと思っております。
 また、お手元の資料の参考2には、各指標項目の出典をお示ししてございます。
 それから、参考3には、各指標項目間の相関についてデータをお示ししております。まだこちらについては吟味できておりませんが、今後検討していきたいと考えております。
 以上が、国際指標に関する説明でございます。
佐藤会長
国内の方は後から御説明いただいて議論するということです。枠組みについては、これまでも分析の進め方について議論していただきましたので、できれば新分野、項目についてと制度分析がありますけれども、とりあえず新しい8分野とその中で取り上げた指標について、こういうものでいいかどうか御意見を伺って、その後制度分析について資料等があれば伺う。そして、後で国内というふうにしたいと思います。どなたからでも、御質問で御意見でも構いませんので。
岩男会長代理
よろしいですか。最初に御説明があった資料で、とにかく大変な作業をしてくださったことに感心しておりますけれども、最初の週当たりの実労働時間と言うときにはサービス残業も含まれるのですか。そういうデータはほかの国ではとれないだろうと思いますけれども、日本は特にそういうものが多いので。例えば日本では帰宅時間という方が実態を表している、つまり仕事が終わってもお付き合いその他で帰れないと。ほかの国はそういうデータは難しいかもしれませんが、その辺りはどうなっているのでしょうか。
矢島分析官
EUの時間調査というものを調べたのですけれども、在宅時間などの項目があるのですが、今回対象になっている国でも5か国くらいしかとれないという状況がありまして、おっしゃるように、できれば帰宅時間ということでとりたいと考えていたのですが、今のところそれはちょっと難しいと考えております。
佐藤会長
これはベースになっているのはILOだけれども、個人調査、事業所調査のどちらのデータですか。つまり、日本の労働力調査みたいに本人に何時間働いていますと聞いたものなのか、事業所に給与支払ベースで何時間と聞いたのか。個人に聞いていれば多少、実労働時間に近い方が出たと思いますが、それは確認しておいてもらった方がいいかもしれませんね。
矢島分析官
はい、わかりました。
佐藤会長
できれば労働力調査みたいなものでわかる時間の方が、岩男先生が言われたようなことは多少カバーできるかもしれないですね。
矢島分析官
全体の中で、ここのところが本当にもう少し何とかならないかと考えております。
岩男会長代理
それからもう一つ、犯罪被害者数のところですが、これは負の相関になっているので、これがどのくらい意味があるのかというのはやや疑問なんですね。増加率でとるのであれば、犯罪数は大体どのくらいだという一般的な認識があって、それが増えたとか増えなかったということが更に認識できるということでないと、余り意味がないような気がしますけれども。普通の方がどのくらいこういう増減などについて御存じか、私はかなり疑問を持つのですが。
矢島分析官
失業と犯罪の増加ということで社会不安を見ているんですけれども、こちらもなかなか。
岩男会長代理
ほかの国で利用できるかどうかがまた問題ですが、日本ですと「あなたが犯罪被害に遭うと思いますか」という、確率予測をしてもらっている調査などは割と多いと思うのですが、そういうものの方が実感として近いのではないかと。
矢島分析官
少しそういう視点でも探してみます。
佐藤会長
一般的に、実際の増加率と意識というのは日本でも相関しているのでしょうか。
岩男会長代理
結局メディアがどのくらい取り上げるかですよね。
佐藤会長
そうですね。
藻谷委員
自殺などを見たら、もっとはるかに増えていると思いますが、自分が自殺するかもしれないという不安を持っている人はすごく少ないと思います。非常にメディア的なものだと思います。
佐藤会長
犯罪については、過去1年間にこういう被害に遭いましたかと聞いている調査もあるし、不安を聞いているような調査もある。ただ、うまく一定の数をとれる国があるかどうかですけれども。世界価値観調査などに入っているかもしれないので、ちょっと見てください。
 ほかには。
阿部委員
世界価値観調査ですけれども、調査の対象者がどういう人なのかによって、子どもを産む、産まないあるいは働く、働かないに全く違う影響を与えるのではないかと思います。どういう人が答えているのか、あるいはどういう数字をとってきたのかというのは、もう少し明確にしてもらえるとありがたいと思います。
矢島分析官
世界価値観調査については、大体60か国ぐらいが対象になっていますけれども、今のところわかっているのが調査対象は18歳以上の個人であるということと……。
阿部委員
男性か女性かによっても違ってきますよ。
矢島分析官
比率ですよね。
阿部委員
いやいや、ここで使っているものが男性も入っているのか、入っていないのか。それは女性だけに限定しているんですか、男女ですか。女性労働力率についての男女の意識がどうなのかと思って。何でこういう結果になっているのかというのが気になっているのは、資料1-2の4ページ49番「『女性は充実した人生を送るために子どもを持つことが必要である』と考える割合」、これが負の相関ですけれども、同じような古い価値観というのですか、「男は仕事、女は家庭」という価値観だと今度はプラスの相関になるんですよね。これをどう理解するか。
矢島分析官
いえ、同じ意味合いになっています。
佐藤会長
阿部さんは、こういうものは男をとった方がいいという意見ではないのですね。
阿部委員
それはわからないです。どういう人が答えたのかというのが、まず気になりました。
佐藤会長
それぞれナショナルサンプルで一定の年齢層をとっているので、男女比は大体半々ぐらいの回答サンプルになっています。ただ、サンプル数はそう非常に大きなものではない。1,000人とか1,200人。細かい分析をしない限りは使えるかというデータ数です。それでいいですか。
矢島分析官
紙ベースで出ているものでは男女別が出ていなくて、ちょっと男女別までわからないです。
佐藤会長
価値観調査も男女別の集計は出ていると思います。日本語の翻訳が出ているものでも後ろに載っています。
岩男会長代理
出生率とコミュニティ活動の参加というのがありますね。そもそもが、ここに挙がっているコミュニティ活動の内容に余り日本にふさわしくないようなものも入っているのですが、それから、コミュニティ活動をする年齢の人たちというのは、一般に余り子どもを産むような年齢の人ではない傾向がどこの国でも強いのではないかと思うんですね。子育ても一段落したし、さて、コミュニティ活動を、という傾向はアメリカなどでもそうですし、だから、相関プラスにはなっていますけれども……。
佐藤会長
この19は、ソシヤルネットワークの広がりの代理変数としてとっている、つまり、子育てしやすいネットワークがあるのではないかという趣旨のようです。ただ、この調査ではコミュニティ団体を10個ぐらい挙げて所属しているかどうか聞いています。また自分も参加しているかどうかなので、1個だけ取り上げることがいいのか。もしかしたら、広がりで言えば「○」をつけた数の国ごとの平均という方がネットワークの広がりで言えば、つまり、先生が言われたみたいに、なぜこれだけ取り上げたのかというのがあるので、あと協会だとか宗教団体とかスポーツ組織とか女性団体とかずっと並んでいるんですよね。1つは選択しないで、参加している数を国ごとでとってしまう方が無難かもしれない。
矢島分析官
すみません、世界価値観調査は性別と年代別と教育レベル別、収入別でクロスでとれます。
佐藤会長
ちょっと19は御検討いただく方がいいかなと思います。
 ほかには。
高橋委員
2つありまして、どうもこの図を見ていると、スペイン、イタリアと日本、韓国を除いたときに相関係数がどうなるのかというのが気になるので、スペイン、イタリアの2つを除くか、あるいは日本も韓国も含めて除いた場合の相関係数を比較できるようなものがあれば、評価がもっとできるのではないかというのが1点。
 それから、2つ目は少し違う話ですが、子育てコストとして教育費用が挙げられていますけれども、通常子育てコストと言う場合は、直接的な教育費用と間接コスト、機会費用の話があるので、機会費用の方も評価する必要があるだろうと。そのためには、例えば30~49歳の女性のパート就労率を分子にして、分母に同じ年齢層の全体の就労率を置いて代理変数をつくって評価する、それでやっと子育てコストの全体が見えてくるのではないかという気がしました。
矢島分析官
機会費用を検討したんですが、なかなか把握できませんで、教育費につきましては参考1の旧分類一覧と書いてあるものをごらんいただきますと、3ページ目の家計支出構造の38番で「家計の消費支出に占める教育費の割合」ということで、国連のデータをとってございますけれども、これは全部の年代、世帯について聞いているので、余り傾向が出ないということだったんです。
 また、機会費用につきましては、今おっしゃったようなとり方もあると思いますが、既に研究されている結果を一部の国について入れたところ、なかなか国数が増えなかったので、このとおりにしております。そういった代理変数を使うということももう少し考えた方がいいのかなと思います。
佐藤会長
今、高橋委員が言われたことをやったけれども、国がとれないということですか。
矢島分析官
いえ、違います。機会費用として計算されたものを収集しています。
高橋委員
特に、子育て期の年齢層の機会コストが重要になるので、例えば30~39歳がいいのか、あるいは49歳がいいのか、その年齢層のパート就労が全体の正規よりも多いとなると、その社会は要するに、正規就業に比べて機会コストが非常に高い社会ということになりますよね。ですから、大沢先生の方が詳しいのではないかと思いますが、それで機会コストを測れるのではないかと思うのですが。
矢島分析官
それは、女性の労働力率との関係で言うと。
高橋委員
勿論、女性の労働力率でやるんです。
矢島分析官
女性の特定の年代の就業率の関係で見ると、今回の被説明変数になっている女性労働力率と余りにも近い概念になるのではないかという気がしますが、その辺りはいかがでしょうか。
大沢委員
労働力率は家族従業者など全体を含めた率ですか。それとも、雇用就業率だけですか。
矢島分析官
雇用の方で使っています。
大沢委員
わかりました。それも一つ、特にイギリスやスペインが低くなる理由かなと。やはり女性の自営がかなり多いので、働いている女性は多いけれども雇用就業が少ないという、そこは一つ機会費用との関係で言えるかなと思います。
 パートも非常に重要だと思いますが、ただ、就業機会などで言うと、どういったタイプのパートなのか。例えば、オランダの場合と日本の場合で、同じパート就労の比率をとっても随分違う状況がある、それはパート労働者の周辺の制度が違うというところがあって、そこはもう少し国内比較のときにやった方がいいのかなと私自身思いましたが、パート就労とか働き方の問題が、ここでも非常に重要だということが出てきていると思いました。
矢島分析官
パートとフルタイムの賃金格差についても見てみましたが、やはり先生がおっしゃるように国によってパートタイムの割合が非常に少なくて、賃金格差もすごく少ない国とか、賃金格差が大きいとか様々です。少し中身を見る必要があります。今、高橋委員に御指摘いただいた形でデータがとれるかどうか確認してみたいと思います。
岩男会長代理
子育てコストについて若いお母さんたちと話をしていると、教育費といったときには大学の授業料を頭に置いているようですけれども、それが掛かるから子どもは増やせないわと。だから、例えば、ノルウェーのように希望者はほぼ全員奨学金がもらえるような国と、日本のように奨学金がもらえる確率が非常に低い国がありますが、そういう大学の授業料がどの程度公的に補てんされているか、少なくとも私的に負担しなくても済むような状況かを示す指標があればいいのではないかと思うのですが。
矢島分析官
高等教育費に公的に支援が入っている割合のような。
岩男会長代理
統計としてどのくらいきちんとなっているか、ちょっとわからないのですけれども。
杉山委員
ノルウェーの大学進学者数(率)も見た方がいいと思います。日本は相当高いと思うので。
矢島分析官
今回かなりいろいろなデータに当たったわけですけれども、やはり指標として使えるのは、対象になる国の数や調査時点の関係でかなり制限が掛かってきてしまいますので、報告書には各分野ごとにもっとさまざまなデータをお示しして、どういった傾向があるのか、今おっしゃったように、大学の進学率とかそういうものも併せてお示しして、各国の特徴というものを分野ごとに整理する必要があると思っていますので、それはこれまで集めたデータを整理して、報告書の方にまとめさせていただきたいと思います。
佐藤会長
ほかには、いかがですか。
武石委員
資料1-2の分野について、今日の資料で非常に納得感のある区分になっていると思いますが、若年層の自立のところに社会人の教育・訓練参加率が入っている、これは例えば8番の社会の多様性、ライフコースの選択が多様になることを示す指標のような気もしますけれども、この若年層の自立でいいのどうかというのが一つ目の疑問。
  また、制度分析の進め方、資料1-4の2ページですが、働き方や就労支援関係が女性の就労支援に限定された分析になっているのですけれども、先ほどもお話があったパートの処遇とか働き方の多様化とか柔軟化に関連した制度も、ここでフォローしておいた方がいいのではないかという2つの意見です。
佐藤会長
分野についても、子育てコストを子育て環境に入れた方がいいのではないかとか、指標が一つしかないという分野もありますよね。
矢島分析官
子育てコストが、家庭の子育てコストあるいは機会費用というものだとわかりやすいのですが、今は子育てコストの軽減ということで支援の部分を入れているんですけれども、そうすると、打合せ会のときにも、これは家族へのサービスに関する社会保障給付と同じ社会サービスの横並びで、子育て環境に入れた方がいいのではないかという御意見をいただいております。事務局といたしましては、一応、国内での都道府県間比較をするときに子育てコストという視点を残したいと思いまして、あえて分けさせていただいていますが、今後議論していく中で、そこは国際間と国内で少し変えてもよいということであれば、また、統合することも検討したいと思います。
佐藤会長
武石委員が言われた社会人の教育のところは、学校を卒業した後も継続教育を受けられる仕組みがあるという趣旨で若年の自立に入れてあるんですね。
矢島分析官
そうですね。若年の自立の支援の側面ということで。
岩男会長代理
そうすると、年齢を若い層に限って見ているわけですね。そうしないと、お年寄りが今はたくさん社会教育に参加していますから。
矢島分析官
これは、たしか年齢層が区切ってあったと思いますが、もう一回確認します。
佐藤会長
高橋先生、ここの家族の世帯人員はどうですか。
高橋委員
先ほどおっしゃったように、非常に統計がとりにくいので仕方なく使っているというニュアンスですよね。実際には要するに、家族と世帯というものが全く違うわけで、その意味で特に平均世帯人数にした場合には、そのひずみが多く出るのかなと。ヨーロッパにしてもアメリカにしても、家族は別々の世帯を形成していますけれども、接触頻度というのはむしろアメリカの方が高いぐらいですよね、日本の場合と比べても。ですから、使うのがなかなか難しいなという印象を持っていますけれども、代わるものはちょっと思いつかないですね。
矢島分析官
世帯を分けるということ自体に意味があるのかなという気もしたのですけれども。
阿部委員
ただ同居ではなくて、日本の場合でも近居とかそういうものでもかなり子育てできるという話もありますよね。だから、今、高橋さんが言われたように、家族の接触頻度が高ければ親が少し面倒を見るとか、それだけではなくて、アメリカだったらベビーシッターなどを多く使っていると思うんですけれども。
高橋委員
たしか高齢化対策室で定期的に調査をしていて、それは高齢者対象ですけれども、そこでの家族の接触頻度に関して5か国の調査がありますよね。制度分析に関してはそういう情報を活用して、言わば家族そのものの質について見ることはできると思います。
阿部委員
よろしいですか。データではなくて、これから報告書に書くときに我々がちょっと考えなければいけない問題があると思います。この調査会が始まったときに最初に我々が見たのが、こういうグラフだったと思うんですけれども、これはOECDの先進諸国について見ると、女性の労働力率と出生率は正の相関関係を示すことから、女性の社会進出が進むと出生率が下がるとは言えないというグラフだと思います。ところが、今我々が使っているデータでは合計特殊出生率の増減と女性労働力率の増減を見ていますけれども、多分プロットをすれば女性労働力率が上がっているところほど出生率は下がっているというふうに見えるのではないかと思います。実際にどうなのかはわかりません。でも、プラスになっているところほど出生率はマイナスというか伸びていませんから、そうすると、ここで言う議論とここで言う議論の整合性がとれなくなってくるのではないかと思います。つまり、社会進出が20年間なりで進んだ国では出生率は下がった。ただ、トレンドとかそういうものを除くとどうなのかというのはわかりませんけれども。ちょっとプロットを描いてもらってどうなっているのかという感触をつかみたい気はしますが、もし、そうであれば、ここで言っている議論がちょっとつながってこないような気がしてきます。
矢島分析官
それは、おっしゃっている資料の5ページ目にある各国の下がり方というのでお示ししていると思うんです。認識としては、こういった形の20年間の推移があって、その下がり方の傾向に差があるので、結果として現時点、2000年の時点で超少子化、少子化というレベルに分かれていると。その傾向を分析しますということですけれども、それはおかしいでしょうか。
阿部委員
いや、おかしくはないと思いますが、これを見れば普通の人たちというか余り知らない人たちは、労働力率が上がっているところは出生率が下がっているじゃないかと思うのではないかと。私はそうは思っていませんでしたけれども、これまで一般的に言われていることと違うのではないかと。
 ただ、私はそれで議論を終わるつもりはなくて、実は日本を見ると、女性労働力率が下がっていないのに出生率がものすごく下がっているのは事実なんですね。だから、日本の場合には女性の社会進出が進んだから出生率が下がったとは必ずしも言えないのではないかという議論はできると思います。
矢島分析官
基本的に、先ほどの参考資料1の分類ですけれども、タイプAでお示ししましたフィンランドとスウェーデンは、かなり女性の労働力率が高い国で、ややこの20年で見ると低下傾向にありますが、それでも全体の水準から見ると高い国です。それ以外の国は、すべて女性労働力率は上がっているという前提です。その中で、合計特殊出生率が上がっている国とやや下がっている国と極端に下がっている国があります。
阿部委員
平均的には下がっている国の方が多いですよね。上がっている国は3か国。
佐藤会長
C+Dが多いというグラフ。
高橋委員
いいですか。多分そのなぞ解きの一つは、結婚を間に挟まないで直接出生率を見ているので、そういう問題が出てくるんですね。日本の場合、労働力率との関係で言うと非常に高まっているけれども、未婚労働力率が非常に高まっているのであって、結婚後の労働力率というのはパートでは増えているけれども、正規就業ではそう増えていない。そうなってくると、要するに未婚の女性が労働力市場に出ることによって、結婚のコストがものすごく高くなるんですよね。ですから、日本では同時に未婚化が進行しているので合計特殊出生率を見えにくくしている、関係を見えにくくしていると。そういうことは、例えば韓国もそうですし、東アジア全般がそう言えますし、それから、ここで問題になっているイタリア、スペインも同じようなことが言える。ですから、そこのところをどう考えるのか。ここでは中間の結婚が全然入っていませんから、そこのところをどう考えるかということがもう一つの課題だと思うんです。
佐藤会長
それはどうしますか。
阿部委員
今すぐどうというのではなく、最終的にこの後議論していけばいいと思うんです。
藻谷委員
雑談ついでに1つ申し上げます。私は素人で統計の先生方に口出しする資格もないですが、政治家的な発言で本当に申し訳ないですけれども、私がこれを拝見して思ったのは、やはり言っていた方向は間違いなくて、子どもが減っているのは社会全体の歪みが出ているという総合的な印象を非常に強くしたんですね。ただ、それはイコール女性の労働力率といった単一の指標を非常に端的に暴くというふうにはなりにくいと。つまり、総合的に体の調子が悪い、明らかにこれは何か不摂生というか生き方の問題、ライフスタイルが今の健康に反映している。しかし、それは例えば血圧一つの問題ではないと。確かに、血圧に何となく相関している気もするのですが、血圧一つの問題ではないというような、つまり一般の人にはものすごくわかりにくいけれども、トータルとしては明らかにあなたの今までの人生が間違っているよという結論であるという心証を私は非常に深くしたんです。ただ、それをこの指標分析から数字になれていない人がクリアにわかる形で、マスコミの記事に載る数字で出すのは非常に難しくなったということは、今、阿部先生のおっしゃったとおりだと思うのですが、多分、人生観に関係する問題で、意識調査から見えてきたものは、単線的な人生観そのものが出生率を下げているのだろうという非常に政治家的な触感を得ました。先生のおっしゃるとおりで、個別に出すとアメリカをどけたら相関係数が消えるのではないかというものも結構あるような気がします。
佐藤会長
制度分析の方はいかがですか。まだこれからということで今は資料を集めている段階のようですが、幾つかアイデアはいただきましたので。未婚の問題には、そこで触れた方が。
矢島分析官
先ほど言ったような分野ごとにまとめていく中で、そういったデータも含めて整理させていただいて、もう少し補完できるような形で考えたいと思います。
岩男会長代理
日本ではそれを分けないといけないけれども、例えばアメリカなどではそういうデータはとれないですよね。そもそも結婚しているかどうか聞いていないというような風土の中ではとれないと思います。
矢島分析官
そうしましたら、都道府県の方を。
佐藤会長
国内データの方の御説明をお願いします。
矢島分析官
資料1-5の1枚紙でちょっとわかりにくいかもしれません。A4サイズの紙になります。A4の横になります。都道府県につきましては、これから国際間の比較と同じような作業をさせていただきますけれども、この分野につきましては、国際間の統計分析と同じものを設定しております。この図の中に1として海外諸国分析における指標というものを示しております。現在のところの案でございます。それから、右の方に都道府県分析における対応項目ということで示しております。間のところで「○」がついておりますのは、海外諸国分析とほぼ同じデータがとれるというところでございまして、「△」については、データ収集について困難があるのではないかということ。それから「×」につきましては、同じものはとれないであろうということで、別の近い指標を立てる必要があるという意味でございます。
 まず、働き方につきましては、時間は実労働時間がとれるということ。それから、国内につきましては、これに加えて通勤時間ですとか、あるいは家庭における自由時間のようなものもとれるということがございます。
 それから、就業者に占めるパートタイム割合がとれるということ。
 それから、国際間で使いました「失業したとして、納得できる仕事が簡単に見つかると考える者の割合」につきましては意識調査ですが、国内の意識調査に関しては都道府県間の分析をしたものがほとんどございませんで、これにつきましては、意識調査ではなく、それに近い意味合いの実データで補っていくということを考えております。ここに示しましたのは、例として、転職希望者の有業者に占める割合ですとか、それから、休職期間の長さ、潜在有業率と有業率格差というようなもので、雇用市場の柔軟性というものが見られたらと思っております。
 それから、均等につきましては国際間と同じデータを示しております。
 それから、「仕事は人間にとって最も重要な活動であると考える者の割合」につきましては、やはり意識調査ですので、こちらは都道府県間で比較できるデータはまだ確認がとれておりません。仕事の優先度といった項目はとれないか検討していきたいと思っております。
 子育て環境の社会サービスについては、保育サービスの利用割合、それから、社会保障給付の状況、それから、コミュニティ活動の団体・組織に所属している割合ということで、この地域支援に関しては、国内ではまた少し違ったデータがとれる可能性がありますので、当たっていきたいと考えております。
 教育費につきましては、国内では教育への公的支出割合のほかに家計に占める教育費割合、それから、一世帯当たり育児に掛かった平均費用といったものがとれますので、こちらを検討してみます。
 家族につきましては、国際間では世帯人員をとっておりましたが、世帯人員に加えて三世代同居率。
 それから、意識のところでは「「女性は充実した人生を送るために子どもを持つことが必要である」と考える割合」、意識調査ですが、それに対応するような伝統的な家族意識を示すデータ、それから「「家族と一緒に過ごす時間を増やしたい」と考える者の割合」に当たるような家族のつながりの重視度を表すような調査を探しております。
 若年層の自立につきましては、若年の失業率・長期失業率、社会人の教育・訓練参加率、成人の子と同居している割合ということで、こちらもまだデータの確認がとれておりませんので、こういった方針で探していくことを検討しております。
 性別役割分担意識につきましては、「「男は仕事、女は家庭」に同意する割合」というのは、ほとんどの都道府県で個別に調査をしているということで、個別に収集していきたいと考えております。
 それから、同じく男女共同参画関係の調査で、女性が職を持つことに対する意識。それから、男性の家事時間・育児時間といったものでございます。
 幸福・安心感につきましても、幸福感・生活全体の満足度のようなものは意識調査で今後探していくということ。
 それから、犯罪、失業率といったものについて検討しております。
 ライフコース選択につきましても、意識調査がベースになっておりますので、都道府県間でとれるものということで考えておりますが、こちらも意識調査が困難な場合は、実際の統計データ、実質データの方で何か社会の多様性を示すような指標がとれないかも検討していきたいと考えております。
 以上が、都道府県について検討している対応項目でございますが、今後、都道府県の指標について作業を進めまして、その上でまた最後に翻って国際間の分野についても併せて見直しの検討をしたいと考えております。
 以上でございます。
佐藤会長
とれないデータについては、代理指標を探すと書かれていますけれども、これでいいかどうか御意見があれば。
 例えば、働き方の柔軟性のところが転職希望者の比率がいいかどうか。どうでしょう、何がいいですか。転職の可能性が高いと在職者の転職希望率が増えると考えていい。プルなのかプッシュなのかだけれども。ほかではいかがですか。
 これは意識調査、例えば、共同参加国で何回かやっているのを同じ質問であれば3回分積んでしまうというのがあるんですよ。1回のサンプルは3,000だけれども、3回足せば9,000でしょう。そうすると、都道府県別がとれたりするんです。同じ質問があれば10年積んでしまったっていいですよ。5回分のデータを足し上げてしまう。そうすると、都道府県別のデータがとれる。
矢島分析官
集計する。
佐藤会長
そうそう、同じ質問であれば元のデータを積み上げてしまう。そういうやり方はしばしばやることがある。3,000回ぐらいを3回足すと1万人になるから、そうすると、都道府県のサンプルがある程度使えるということもある。
名取局長
すごく変化している場合はどうなるんですか。
佐藤会長
勿論、同じ方向に変化しているという前提でないと難しいですけれども。ですから、余り長い時間は無理だと思いますが。でも、国際比較を見れば結構大胆にやっていますので。ですから、例えば17などはあるわけですよ。多分このたぐいの意識調査はトレンドで何年か置きにやっているでしょう。だから、それを積み上げてしまえば、もともとのデータには都道府県のコードが入っているから、やれなくはない。
矢島分析官
この設問は、ほとんどの都道府県で計画策定の関係で調査しているということで、ピックアップをしたいと考えております。これはとれるのですが、ほかの意識調査がなかなかとれないということと、既存統計は再集計するとなるとまた時間が掛かってしまうと。
 それでは、こちらにつきましても、また後ほどお気付きの点がありましたら。
佐藤会長
全体はよろしいですか。国内のものも含めて、今日いろいろ難しい点も出ましたけれども、できるだけ御検討いただいて考えていただくと。余り時間はありませんが、よろしくお願いします。
 それでは、続きまして、議事次第3で管理職を対象とした両立支援策に関する意識調査の基本集計がまとまりましたので、それについて御説明して、今後の分析について御意見、アドバイスをいただければと思います。それでは、よろしくお願いします。
事務局(川上)
三菱総合研究所の川上です。私の方から集計結果について説明いたします。
 資料2-1となっています単純集計結果と後ろの方に3枚紙でついております資料2-2のクロス集計項目案の2種類となっております。
 まず、初めに、資料2-1の単純集計結果から御説明いたします。めくっていただきまして1ページ「調査の概要」となっております。今説明いただきましたとおり、今回の調査につきましては、企業の管理職の方を対象に、実際に部下の方が育児休暇等をとられたときの対応等について調べております。
 調査対象につきましては、従業員規模100~300人の企業の方が1,000社で各社1人、300人超の企業の管理職の方が3,000社、各社2人の合計7,000人で実施しております。
 調査対象の企業につきましては、2ページに示しました業種分類に即しましてサンプリングを行いました。帝国データバンクのリストをベースに抽出しております。
 調査方法につきましては、各社の人事部あてに発送いたしまして、人事の方から対象者の方に協力依頼するということにしております。
 調査対象者の条件は、過去3年間に育児休暇をとった部下がいる管理者の方、その育児休暇をとった方につきましては、正社員で現在も在籍する方。女性よりも男性、また育児休暇のみだけでなくて、短時間勤務も併せてとった方を優先して選んでいただきました。また、一番最近の利用者の方をできればお願いしますというような条件を加えております。
 調査時期が、平成17年1月となっております。
 3ページの頭が調査票の回収状況となっておりまして、配布数7,000票に対して764票の有効回収票を得ております。有効回収率10.9%となっております。
 以上が、調査の概要でして、4ページからが調査結果の単純集計結果の概要となっております。主な設問のみ説明させていただきます。
 まず、4ページで企業や職場について属性を整理しております。今回回答いただいた企業の属性につきましては、まず正社員数につきましては301~500人が35.2%で最も多くなっております。
 過去3年間の育児休業制度の利用者総数を見たのが図表4となっておりまして、1~4人が30.0%で多くなっております。
 また、そのうちの男性の人数を見たのが図表5となっておりまして、87.2%が0人で9割近くを占めております。
 総数に占める男性の割合を見たのが5ページの上の図表6となっておりまして、全体の84.2%が0%ですが、比率としては極めて小さいですけれども、5%未満が1.8%、10%未満が1.6%となっております。平均は0.8%となっておりました。
 続いて、5ページの中ほど以降が、利用者がいた職場等の状況について整理したものとなっております。図表7を見ていただきますと、その職場の正社員数を整理しておりまして、5~9人が28.7%で最も多くなっております。
 また、その職場の正社員の女性比率を見たのが図表8となっておりまして、1~3割未満が27.0%で多くなっております。
 続いて、6ページ、7ページは、その職場の状況について調べたものとなっております。
 ちょっと飛ばしまして8ページが管理者について整理したものとなっております。今回回答いただいた管理者の方の属性につきましては、男性84.2%、女性14.5%となっております。年齢につきましては、45~49歳が27.0%で最も多くなっております。年齢の平均は48.4歳となっております。
 その管理者の方の配偶者・パートナーや子ども、子育ての状況を見たのが8ページの下からになっております。配偶者・パートナーにつきましては、89.7%が「いる」と回答いただいております。
 また、「いる」場合の仕事の状況を見たのが図表16となっておりまして、「ずっと仕事を持っている」が27.3%、「結婚とともに仕事を辞めた」が27.2%、「子どもを持つとともに仕事を辞めたが大きくなって働き始めた」が26.7%で、おおむね同程度の比率となっております。
 また、子どもにつきましては、84.9%の方が「いる」と回答しております。子どもがいる場合の就学前の子育てにつきましては、「配偶者・パートナーが主で、自分は手伝う程度」が51.8%、「ほとんど配偶者・パートナー」が29.1%と「配偶者・パートナーが主」という割合が高くなっております。
 続いて、10ページ、11ページは、そのパートナー等の状況となっております。
 12ページに行っていただきまして、今回対象となりました利用者の制度利用当時の管理者の状況を見たものとなっております。当時の役職につきましては、課長相当職が67.5%を占めておりました。
 13ページの図表27を見ていただきまして、今回の制度を利用したいと利用者に言われたときの制度の認知状況について見ております。育児休業制度につきましては「内容も含め知っていた」が71.6%、「聞いたことはあったが内容まで知らなかった」が26.7%となっております。
 続いて、短時間勤務制度について見たのが図表28となっております。「内容も含め知っていた」が63.9%、「聞いたことはあったが内容まで知らなかった」が26.0%となっております。
 13ページの下からが、男性や女性の生き方に対する考え方を尋ねた設問となっております。
 14ページの図表30を見ていただきまして、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方につきましては、「賛成」が4.2%、「どちらかと言えば賛成」が38.4%となっております。
 以上が、管理者の方の属性となっております。
 続いて、今回対象となりました利用者について見たのが15ページからとなっております。利用者の性別につきましては、2.0.%が男性、女性が97.4%となっております。
 年齢につきましては、現在の年齢になりますが30~34歳が48.3%と約半数を占めております。平均は32.0歳となっておりました。
 また、勤続年数につきましては10~14年が38.7%で約4割を占めております。平均は10.4年となっております。
 16ページを見ていただきまして、図表35が利用者の利用当時の所属部門・職種となっております。所属部門につきましては、管理部門が31.0%で最も多くなっております。
  また、そのときの利用者の職種を見たのが17ページの図表37となっておりまして、事務職が60.6%で最も多くなっております。
 以下、17ページの中ほど以降が、当時の利用者の仕事の状況となっております。
 図表38が、その仕事に新人を配置した場合の必要年数ということで、2~3年掛かる仕事であったという回答が多くなっております。
 また、仕事の特徴としましては、「同じ職場にその仕事を担当できる能力の人がいた」という割合が70%を超えております。
 18ページに行っていただきまして、仕事の進め方として個人が分担していたか、チームが連携しながら進めていたかにつきましては、「個人的に割り当て、分担して進めていた」という割合が17.8%と38.4%を足しまして、約56%程度となっております。
 続いて、19ページ以降が、具体的な制度の利用状況について尋ねた結果となっております。初めて管理者の方が利用者から育児休暇をとりたいと聞いた時期について尋ねたが図表41となっております。それは「利用開始の3~4か月前であった」が30.1%、「5~6か月前であった」が27.6%で多くなっております。
 次の20ページに行っていただきまして、具体的な利用者の利用期間を見たのが図表44となっております。これを見ますと10~12か月が52.4%で半数を超えております。平均は9.5か月となっておりました。
 その期間の長さが希望どおりであったかどうかを見たのが図表45で、88.0%が「利用者の希望どおりであった」というという回答になっております。
 続いて、20ページ後半以降が職場での対応等を見た結果となっております。
 21ページ前半、図表46を見ていただきまして、利用者の制度利用に当たって職場でしたことを尋ねた結果となっております。まず、「本人の意思や希望を確認した」が84.8%で最も多く挙げられております。次いで、中ほど「本人と相談しながら休業までの仕事の調整や引継ぎなどを行った」が64.3%、「制度利用中の職場の人員配置や仕事の進め方について検討した」が56.8%と続いております。
 また、その利用に際しての周囲の者の反応を見たのが図表47となっておりまして、「積極的に支援しようとする雰囲気があった」が34.7%、「会社の制度なので仕方がないという雰囲気があった」が40.8%で回答が多くなっております。
 続いて、22ページですが、利用者の仕事の引継ぎの方法について見た結果となっております。これにつきましては「職場にいる複数の正社員に引き継いだ」が56.2%で、これに回答が集中しております。
 具体的に仕事を引き継いだ正社員を見たのが図表49となっておりまして、「利用者と資格等級などキャリアが同じくらいの人」という回答が57.9%となっております。
 その他、制度利用期間中に利用者に対して職場で対応したことを見たのが図表50となっております。これを見ていただきますと、「円滑に職場復帰できるよう情報提供等を行った」が39.7%、「復帰にむけて相談を行った」が36.0%で多くなっております。その一方で、「特に何もしなかった」が33.6%となっております。
 また、制度利用期間中の職場全体の生産性を見たのが図表51となっておりまして、「生産性は変わらない」が58.6%となっております。その一方で、3.4%が「生産性は上がった」という回答も見られます。
 次に、利用者の職場復帰の状況を見たのが23ページ下の図表52となっておりまして、「もとの職場のもとの仕事に戻った」が67.1%で多くなっております。
 続いて、25ページからが「短時間勤務制度の利用について」となっております。短時間勤務制度の利用状況につきまして見たのが図表54となっております。「利用した」が9.4%、「利用中である」が19.2%、合わせて28.6%が利用している、もしくは利用中であるという回答になっております。
 利用した場合の利用期間について見たのが、25ページから中ほど以降となっておりまして、具体的な利用期間の結果が26ページの図表57となっております。これを見ますと、4~6か月が22.2%、1~3か月が19.4%となっております。平均は9.9か月になっておりました。
 以下、利用中の方につきまして見たのが26ページ中ほど以降で、27ページ上の図表60が利用中である方の予定利用期間で、これを見ますと25か月以上が51.0%で半数を超えております。平均は31.1か月となっております。
 27ページ中ほど以降が、利用者の短時間利用の際の具体的な利用方法を見ておりまして、図表61を見ていただきますと、「1日当たりの就業時間を短くした」が90.4%と大半を占めております。「就業日数を少なくした」が0.5%となっておりました。
 28ページが具体的な働き方を見たもので、図表63が就業時間を短くした場合の元の勤務時間で、これは7時間もしくは8時間が回答として多くなっております。
 また、変更後の勤務時間を見たものが図表64で、これは6時間または7時間が多くなっております。
 最後、図表65が短縮された時間数となっておりまして、これは1時間が65.2%で多くなっております。
 29ページからが短時間勤務制度利用期間中の職場の対応等となっておりまして、これにつきましても「本人の意思や希望を確認した」が79.0%で多くなっております。割合としては、若干下回る形で「制度利用中の仕事の量や内容について本人と相談した」が53.4%でこれに次いでおります。
 利用期間中の利用者の仕事の内容や量の調整について見たのが図表67で、「仕事の内容は同じで量を減らした」が51.6%で最も多くなっておりました。
 また、利用期間中の利用者の評価について見たのが30ページの図表68で、「時間当たりの成果で評価し、時間数は短いことは考えなかった」が57.1%で回答が集中しております。
 その評価に対する会社からの指導、情報提供につきましては、「あった」と回答した方が39.7%となっておりました。
 また、短時間勤務制度利用に対する周囲の方の反応を見たのが図表70となっておりまして、「積極的に支援しようとする雰囲気があった」が34.7%、「会社の制度なので仕方がないという雰囲気があった」が37.4%となっております。
 少し飛ばさせていただきまして33ページが、利用者が両立支援策を利用したことによる職場・企業への影響・効果を見た結果となっております。職場への影響を見たのが図表74となっておりまして、これを見ますと、上から3つ目の「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけになった」が41.5%で、最も高い割合を示しております。続いて、一番上の「両立支援策に対する各人の理解が深まった」が37.2%で多く挙げられております。
 また、一方で「特に影響・効果はなかった」という回答が下から2つ目ですが、19.0%となっております。
 では、総合的に見た場合に、プラスの影響とマイナスの影響とどちらが大きかったか尋ねたのが図表75となっておりまして、「どちらとも言えない」が51.4%で半数を超えております。その一方で、「プラスの影響の方が大きかった」が4.1%、「どちらかというとプラス」が26.0%で、約3割がプラスの影響の方が大きかったという回答になっておりました。
 続いて、34ページが企業における社員の子育て支援について聞いた結果となっております。企業が社員の子育てを支援する理由につきましては、「企業の社会的責任として」という回答が72.1%で多くなっております。続いて「法律で定められているから」「人材の確保・定着のため」「社員からの要望があるから」という順になっております。
 また、最後に、制度を円滑に行うために管理者の立場として会社に期待するものを尋ねたのが図表77となっておりまして、「休業中の代替要員を確保する仕組みをつくる」が69.2%で、他のものに比べて高い割合を示しております。
 35ページ、36ページにつきましては、最後につけておりました自由記入を抜粋したものとなっております。また、後ほどごらんいただければと思います。
 以上が、単純集計結果でありまして、今後分析に向けましてクロス集計項目の考え方を示したのが資料2-2となっております。今後の分析の進め方につきましては、佐藤会長の方から御示唆をいただきまして、優良事例の分析に向けて分析を進めていきたいと考えております。優良事例とは何かということになるんですけれども、職場への影響・効果があったというふうにとらえまして、調査票全体の構成を整理しましたのが資料2-2の1ページの図となっております。先ほど説明しました設問をすべて職場への影響・効果につなげる形で整理しております。
 まず、背景としまして左上になりますが、利用者を取り巻く職場環境というものがあると考えております。該当する項目としましては、企業の属性、職場の属性、管理者の属性・価値観等が入るかと思います。これとともに背景としまして、右の上にありますが、利用者の属性、仕事のスキル・特徴などがあるかと思います。
 これらを踏まえまして、今回対象になりました方の育児休業制度の利用者の具体的な制度の利用状況というものがありまして、それに対応しまして、職場での対応等が挙げられました。具体的には、職場の対応と利用者の仕事の引継ぎ、同僚など周囲の者の反応が含まれていたかと思います。
 それらを踏まえて、5になりますが利用者の職場復帰の状況を挙げることができます。
 また更に、育児休業に引き続きまして短時間勤務制度を利用したかどうか、また、具体的な利用状況というものが挙げられまして、短時間勤務につきましても、その間の職場の対応等としまして、職場の対応と利用者の仕事の引継ぎ、同僚など周囲の方の反応が含まれるかと思います。
 これらを総合しまして、最後に職場への影響・効果というふうにつながっていくかと考えております。
 それぞれの項目に該当する設問を整理しましたのが、2~3ページ前半の表となっております。このような整理のもとに今後のクロス集計の考え方につきまして、3ページの最後に書いております。
 まず、企業における両立支援の優良事例の分析という観点から、クロス集計を行っていきたいと考えております。
 また、具体的に優良事例の定義として、次の4ケースを挙げたいと考えております。4ケースと言いますのが、まず1つ目が、利用期間中の職場全体としての生産性が上がったと回答したケース。2つ目のケースが、総合的に見て職場への影響・効果がプラスかマイナスかという問いに対して、「プラスの影響の方が大きかった」または「どちらかというとプラスの影響の方が大きかった」と回答したケース。また、3つ目のケースとしまして、男性の利用者がいたケース。4つ目のケースとしまして、育児休暇だけでなくて育児休暇プラス短時間勤務制度を組み合わせて利用した、また利用中であると回答したケース、以上4つを優良事例ととらえまして、1ページで示しました構成に即して、それぞれの状況を整理していきたいと考えております。
 最後に、全体として優良事例となり得る企業・職場の特性について考察を行っていきたいと考えております。
 以上で、説明を終わらせていただきます。
佐藤会長
まだ単純集計だけですけれども、御質問なり御意見あるいは分析についてコメントがあれば。
岩男会長代理
回収率が低いだろうとは心配していましたけれども、こんなに低いとは予想していなくて、これが一番の問題じゃないかと思います。その点については、今更どうしようもないですけれども。
事務局(川上)
該当者がないという企業もあるので、その分を差し引いて見ていただければと思います。
岩男会長代理
それはどのくらいですか。
事務局(川上)
無作為に抽出した企業にお送りしたので、対象となった企業に利用者がいたかどうかというのは、ちょっと把握できない状況です。
佐藤会長
企業には4,000社配っていますね。多分、協力してくれたところは2割ぐらいかなと。そうすると、800社しか配られていないですよね。それをベースにすると、配った調査票からすると半分くらいの回収だと、そう考えた方がいいと思うので。
布山委員
私も今同じことを思っていました。調査対象を「利用した社員がいる部門の管理者」と書いてしまうと、送ったところすべてが対象になっていると思われて、おそらく、今おっしゃったように10%程度という印象になると思います。ここはもう少し書き方を工夫したほうがいいのではないでしょうか。実際には何回もハードルをくぐってきていての700ぐらいなので、これでも結構な数かなと逆に思います。
佐藤会長
だから、実際に管理職に配られたのは1,400ぐらいだと思います。それはかなり低い数字かなと思うのですけれども。そういう意味では、配られたもののうち半分強は戻ってきている。
 それともう一つは、全体の単純集計の結果というのは余り意味がなくて、ある程度構造を見ると。育児休業をとっている企業で生産性が落ちたところが3割ぐらいですよね。上がったところは、これは分析しない方がいいと思うけれども。しかし、全体で見ると、落ちたというのはもっと少なく、2割を切っている。そうすると、生産性は落ちたけれども、トータルで見るとそんなにマイナスじゃないというのはどういう取組をしたところかという構造を見るんだと思えば、いいかなという気はしますけれども。
岩男会長代理
今の生産性のところですが、優良事例の中に職場全体として生産性が上がったと回答したケースを挙げておられますが、私はそそっかしいからかもしれないんですが、これを見たときに、みんなのサポートする雰囲気が醸成されたためではなくて、あの人がいなかったから仕事が進んで生産性が上がってしまったと言われてしまうと、全然違う意味になってくる。
佐藤会長
そのリスクを背負うと思うから、これはやめた方がいいですよ。だから、変わらないというのがほとんどだと。下がっているところはあるわけだから、下がったけれども、全体のパフォーマンスで見るとそんなに下がっていないというところを分析する。
阿部委員
でも、下がったところを分析してもいいと思います。
佐藤会長
勿論そうです。なぜ下がったのか。
阿部委員
むしろ、優良な方は放っておいたっていい。
奥山委員
7ページのところで、会社全体として見た場合に、育休を利用してもその後も継続就業するというのが、雰囲気ですけれども半分ということですが、実態は本当にそうなのかなということを少し思いました。やはり全体で見た場合の意識ということなので、高いのかなとは思ったんですけれども。
 それと、やはり短時間勤務制度の方は、余り利用されていないという実態がかなり出たのは非常に面白いことと、やはり35ページの管理職の自由記述を読み込んでしまいました。アンケートの回答よりも、本当に実際の感じ方というのはこれだなというのがよくわかって、育休は制度としてあるんだから認めようと。だけれども、その後の働き方はこれでは厳しくて、私も1年で辞めてしまいましたが、余り状況は変わらないなということ。やはり帰ってきてからこの状況だと、私も子どもが保育園に行っているのでフルタイムのお母さんたちも見ていますけれども、本当にあらゆる手を使って、病気の子どもだとか送り迎えとかいろいろ調整してやっているのを見て、やはりこれだけ企業側が厳しいと、保育園に預けて働くのもかなり厳しいという印象をこの文章の中から感じました。
藻谷委員
私もまさに今おっしゃったところを読んでいて印象的だったのですが、この審議会としては統計的にデータを出すのは一番大事だと思うのですが、最終的な政治的なインプリケーションとしては、結局、企業収益を追求するのと社会全体として子どもが減るのを防ぐということが完全矛盾しているということが、このアンケート調査の個人の感想に出ている。そのときにやはり、社会全体のためには管理職が我慢すべきだという意識が全く感じられない回答が結構多いので、それは実際、育休制度をどう思いますか、「制度があったので仕方がない」という回答と、それから「積極的に利用すべきだ」という回答がちょうど37%同士でちょうど半分ですが、仕方がないという人は、つまりイコール不愉快に思っていると。だから、ちょうど認識が半分くらいまで来ているという感じで、まさに声を大にして、その結果、安売り競争をやって会社をつぶしている人は何の役に立っているのかということを言わなければいけないと、政治的には非常に強く感じた次第です。しかし、これはひどいですね。
杉山委員
優良企業を調べてみたら、正社員数がすごく多いところばかりになってしまうということがあるのではないかと、ちょっと予感がしていて、正社員数が100~300人というところも入っているようなので、その辺でどういう結果が出るかわかりませんが、クロスして見ていただけるといいかと思いました。
 それと、33ページの「利用者が両立支援策を利用したことによる影響・効果」のところで、「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけになった」というものが随分高いのは意外な気がしていて、生産性が上がったというのが余りよくないのであれば、こちらを見てもらってもいいのかなと思いました。
佐藤会長
基本的には、下の図表75を使う方がいいかなと思っています。プラスとマイナスのトータルでどうか。絶対全部プラスなんていうことはないと思うので、プラスマイナスあってトータルでどう見ているかという方がいいだろうと思います。あと、優良企業というのは、規模の大きさよりは職場での対応の仕方かなと。同じ企業の中でも多分、管理職の取り組みであり職場での対応で、同じ企業の中でうまくいくところとうまくいかないところがあるわけだから、職場での取り組みをどうするかという、企業だというふうには言わない方がいいと思います。
大沢委員
感想ですが、やはり管理職の意識というのが結構大切だということは外資系企業の事例などで聞いていまして、それと取り組み方との関連で見て、管理職が例えば伝統的な価値観を余り持っていないとか、そこまで含めて、そういう人たちがいるとそういった制度が機能しやすいというようなことが出てくるのであれば、非常に面白いなと思いました。また、人事管理の方の話によると、やはり会社の中の価値観、それから、女性が子育てをすべきだというふうに考えているかどうかという、そこを変えられると、こういう制度が非常にうまく機能するというようなことを聞きますので、そういった管理者の考え方とか社風といったところと事例との関連が出てくると、メッセージとしては非常に面白いかなと思いました。
佐藤会長
今回、回答者である管理職の女性比率は14.5%と結構高いですよね。育児休業取得者がいるところをとると女性管理職の比率がちょっと高いのかなという気もしていて。
大沢委員
そこも面白い。
武石委員
全体にやはり育児休業取得者が出ている職場なので、どちらかといえばいい方の。短時間勤務の導入状況も8割ぐらいというのは、一般のデータが3割ですから非常に高いという、そのバイアスがあるということをまず前提にした方がいいと思います。
佐藤会長
その上で、短時間勤務全体としては少ないけれども、やられているところはどうなっているのかという情報を出すというふうにすればいいのではないかなと。
 あと、17ページの利用者のスキルの程度で見ると、勤続10年ぐらいですよね。ところが、数か月とか半年という簡単な仕事に就いている人もいるわけです。均等が進んでいないところですよね。だから、女性活用が進んでいないので女性が育児休業を取得するのは問題にならないという職場と、女性にかなりキャリアがあり、取得してうまくいっているところを分けた方がいいと思っています。キャリアのない人がとるのは、代替要員を探すのも簡単なんですよ。だから、4~5年以上というか、割合ベテランの人がとった場合にうまくいっているのかどうかが非常に大事で、その辺は考えていただければと思います。
杉山委員
質問ですが、35ページからの自由記入のところは何か分析に反映するのか、参考までにここにあるのか、どうでしょうか。
事務局(川上)
今回まとめ掛けたのですけれども、1人の方の御意見にいろいろな内容が入っていたので、今後の方向性としては、1人の方の御意見を幾つかのグループに分けて意見をまとめていければと思っております。
佐藤会長
せっかく書いていただいたので、アンケートの理解のときに助かるような内容であれば、組み込む方がいいかもしれませんね。
 ほかにはいかがでしょうか。
布山委員
管理職の属性をみると、女性の比率がかなり高いと思うので、多分とれる職場というのはそういう雰囲気なのかなということが一つ見て取れるのですが、とはいえ85%が男性ですよね。それと13ページの図表29「一般的に女性が職業をもつことについて」で、「一旦辞めて子どもが大きくなったらまた働けばいい」という回答が結構比率として高い。そうなると、やはり会社の制度などで育児休業を取得する、それは多分つながるのかなという気がするので、もしかしたら場合によっては、女性の数が少ないのですが、男女別の統計も一緒に出した方が、もう少し分析ができるのかなという気がします。実際、結果として、「どちらかというとプラスだった」ということになるのだったら、それとうまく結びつけて、やはりやってみたら気持ちが変わってきて最終的にはよかったというゴールにできれば一番いいと思うので。これは、やはり男性管理職の意向が結構強く出ているのかなという気がします。
佐藤会長
そうですね。少し男性も価値観で分ける手はあるかもわからない。非常に保守的な管理職の場合の取組と評価とか。29、30は、ほかの調査と比較できる質問ですよね。それと比べると、やや保守的でしたか。
矢島分析官
そうですね。ただ、年齢のバイアスを少し検討しなければいけません。
佐藤会長
40歳前後だろうから。
矢島分析官
全体に平均からいくと、やや保守的。
阿部委員
そういう意味では、過渡期にあるのかもしれませんね。だから、もう少し若い世代が管理職層に就いてきて、共稼ぎが一般的だったり、自分も妻が育児休業を取得したとなると変わってくると思うので、そういうのをうまく調理できたら面白いと思いますね。いろいろ言われてきた育児休業制度がうまくいかない理由の一つとして、実は管理職が問題だというのが本当にクローズアップされるのではないかと思います。
佐藤会長
実際上、制度をどうこういじってもだめですよね。職場での運用の時代だから、そうすると、管理職のところなり職場でどういう工夫をするかですよね。
矢島分析官
それと、代替要員の議論がありますけれども、30ページにあるように、短時間勤務を利用した場合の制度の評価について、会社から指導や情報提供がないと答えているところが多くて、こういったところが本当は改善がしやすい部分なのかなという気がしますが。
佐藤会長
でも、意外に評価は短いというか時間で見ていますよ、半分はいると。逆に言えば、半分でしかないという議論もできるけれども。
 あと、男性15人は別にケース的に見る手があるかもわからない。男性の15人というのは多分特殊な例だと思います。15人ぐらいでしょう、2%でしたか。
 大体よろしいですか。それでは、今日の御意見を踏まえて、基本的には比較的とっている人たちがいるところなので、ほかのところがこれから参考になるような分析をしてあげればいいかなと思います。結構大変だけれども、とればプラスもありますというようなメッセージが出せればいいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局から連絡事項についてお願いいたします。
矢島分析官
ありがとうございました。本日の資料ですが、大変申し訳ありませんが、資料1に関してはデータについて固まっていないものですから、本日は回収させていただきたいと思います。もし、よろしければ資料1の都道府県のデータ項目についてお持ちいただいて、後ほどお気付きの点がありましたら御意見をいただければと思います。資料1のセットです。
 それと、お手元に4月、5月の御予定について表をお配りさせていただきましたので、またこちらも御都合を御記入の上、事務局までお渡しいただければと思います。
 また、第3回の議事録につきましてお手元に配付させていただいておりますので、こちらは書いてありますように、3月10日までに修正等が必要でしたら事務局の方までお返しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。
佐藤会長
これで議事は終わりますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。

以上