少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成17年1月28日 (金) 14時00分~16時00分
  2. 場所 内閣府5階特別会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、阿部委員、岩男委員、大沢委員、奥山委員、高橋委員、武石委員、橘木委員、布山委員、藻谷委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 女性の就業と子育てコスト
    報告者:
    日本女子大学教授、
     
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会委員  大沢真知子氏
  3. 統計指標に関する中間報告
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
(1)[PDF形式:94KB] 別ウインドウで開きます (2)[PDF形式:332KB] 別ウインドウで開きます (3)[PDF形式:102KB] 別ウインドウで開きます
資料2
統計指標に関する中間報告 [PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
資料3
管理者を対象とした両立支援策に関する意識調査実施概要 [PDF形式:67KB] 別ウインドウで開きます
資料4
第1回専門調査会議事録

(議事内容)

佐藤会長
それでは、ただいまから男女共同参画会議 少子化と男女共同参画に関する専門調査会の第3回会合を開始させていただきます。
 委員の皆様には、お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。
 審議に先立ちまして、初めに大臣政務官から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
江渡大臣政務官
皆様方、こんにちは。内閣府の大臣政務官の江渡でございます。
 昨年、第1回目のこの専門調査会に出席させていただきまして、先生方の活発な御意見を聞かせていただいて、本当に勉強になるなと思っているところでございます。また、常日頃、先生方におきましては、少子化の問題ということで、大変難しい課題につきまして熱心なご審議をいただいていることに対しまして、心より厚く御礼申し上げたいと思います。
 また、少子化の対応につきましては、私自身も子どもをもつ親といたしまして、そしてまた、これからの時代ということを考えた場合、大変大きな関心を持っておりますし、またこれらかも時間の許す限り、この調査会のほうに出席させていただいて、先生方の御意見を拝聴させていただきたいと思っておりますけれども、ただ、本日は、皆様方、御承知のとおり予算委員会の真っ最中でございまして、途中で失礼させていただく御無礼をお許しいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、先生方の慎重審議によりまして、本調査会の成果が実り多いものとなりますことを御期待申し上げまして、はなはだ措辞ではありますけれども、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。先生方、お忙しいところ、本当にありがとうございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めさせていただきたいと思います。
 最初に、「女性の就業と子育てコスト」というテーマにつきまして、大沢委員から御報告をいただいて質疑・意見交換をしたいと思います。それでは、20分ほど御説明いただくことになっていますので、よろしくお願いいたします。
大沢委員
日本女子大学の大沢でございます。
 今日は、お話を3部構成とさせていただきまして、最初は、日本の経済社会の仕組みが戦後大きく変わっていく中で、結婚や出産というパターンも含んで、女子労働がどのように変化してきたのか。特に、これからポスト均等法世代、ポストバブル崩壊世代の対応というものを考えて少子化対策をとっていかないといけないのではないかということ。2番目は、日本の社会システムと子育てというところで、やはり女性の晩婚化をもたらしているような制度が非常に大きく女性に影響を与えてきたということ。そして、3番目に、女性の働き方が子ども数と大きく関わっているということで、働き方を見直すこと。これは女性だけではなく、男性を含めて、日本社会全体の価値観のようなものが変わらないと、少子化に対応できないのではないかという、そういう3部構成でお話を進めさせていただきたいと思っております。
 まず、「経済社会の変化と女性労働の変遷」というところで、戦後世代は、3つぐらいの大きな世代に分けられるのではないか。1つは、工業が中心で、サラリーマンの夫と専業主婦という組み合わせが標準的な世代、これを前提に制度がつくられてきたということもあります。私は、このときにデータを分析したのですけれども、結婚適齢期とか、結婚したらすぐ子どもを持つという価値観が強く影響していて、欧米社会とは違った結婚や出産のパターンが観察できた世代です。
 次に均等法世代ですが、総合職などの機会が開かれた。均等法の一番大きなインパクトというのは高学歴化というふうに言われていまして、女性の高学歴化が進んで、結婚や出産を遅らせる女性が非常に増えてきた。これが少子化をもたらすという1つの新しい傾向が見られた世代だと思います。もう1つは、子どもは自分の手で育てたいという規範は非常に強いのですが、結婚相手に対する要求とか、子どもを持つか、持たないか、子どもに何を期待するのかということに対しては意識が変わってきた世代で、結婚も子どもを産むということも、それ以前の世代に比べては選択の1つとして考える世代になったという面では、それ以前の世代と異なった特徴があるのではないかと思います。
 3番目が、バブル崩壊後の世代で、これは阿部先生とか慶應大学の樋口先生も最近分析されておられますが、夫の雇用保障が揺らいで、賃金制度も非常に変化してきた中で、雇用形態の多様化に大きく影響を受けた世代です。中でも非典型雇用の夫婦という新しい世帯が増えてきて、労働市場の分断というのが、夫は仕事、女性は仕事の中でもパートタイマーという、夫と妻とのジェンダーによる分断ではなくて、雇用形態間の分断のようなものが顕著になってきたため、経済的な理由で働かざるを得ないという世代が増えてきて、幼い子どもを抱えた母親の就業の増加とか、経済的な理由で子どもが産めない世帯の増加という、新しくはないのですが、そういう世帯が増加している。こういった問題に対しても、少子化対策が機能していかなければならなくなってきた。いずれにせよ、女性の就業ということが1つのかぎになってきて、産みたいだけ子どもを産むためにはお金が必要で、そのためには共働きをしたほうが産みやすいといった世代。この新しい世代がどういった価値観をもって子育てをしていくのか、結婚に対してどういうことを考えていくのか、非常に興味深いし、ここが今後のかぎになっていくのではないかというふうに考えております。
 補足的に申しますと、資料1-1では2つ図表を挙げておりますが、図表1では、非典型労働、非正規労働者が増えているというのが世界的な傾向であると。ですから、不況だけの影響ではなくて、こういった雇用の流動化、雇用の多様化という構造的な変化に日本が対応していかなければいけないというポイントと、それから日本で正社員が減って、非正社員が増えてきているという傾向が1987~2000年に見られるという、そういった2つの図表を付けました。
 そして、今日の報告のポイントになってくるのだと思いますが、日本の社会システムの中での子育てコストということで、子育てコストというのは大体2つの要因がありまして、1つは、子どもに実際にかかるお金、教育費などが非常に高くなってまいりまして、そういった直接的なコストと同時に、育児のために働けないことによる間接的なコスト、そういう機会費用との2つに分けて考えております。中でも間接的なコストが先進国の女性の就業と子育て、出産ということを考えるときに重要なポイントになってきています。
 その中で、最近はアメリカだけではなくて、ドイツ、スウェーデン、イギリス、オランダというヨーロッパと日本を比較した研究などが出ておりまして、それが資料1-2です。これは、ケンジョウエイコさんというアムステルダム大学で博士論文を書いておられる方ですが、その方の論文からの引用です。このグラフは、第1子を産むタイミングを学歴別に見ています。産まない人の割合が出ているわけですが、それをイギリス、ドイツは西ドイツ、東ドイツに分けておりますし、それからオランダ、スウェーデン、そして最後が日本の女性で、世代で言うと1959~1963年に生まれた世代とその後の世代という、均等法世代の女性の第1子を産むタイミングというものを見ております。なぜ第1子を産むタイミングを見ることが重要かといいますと、この遅れが出生率の低下に直接響くということで、アメリカでも70年代の出生率の低下は第1子の出産の遅れによってもたらされたというところで、人口学の方たちがそこに注目をするということですが、ざっと見るだけで非常に特徴的なことは、日本の女性の第1子を産むタイミングが遅いということと、特に高学歴の女性の出産のタイミングが遅くなっているというのは、7ページが一番見やすいと思うのですが・・・。
佐藤会長
7ページは日本ですね。
大沢委員
そうです。例えば最初の英国とか、1ページと7ページを比べていただくとわかると思うのですが・・・。
佐藤会長
6、7、8ページが日本ですね。
大沢委員
はい。6、7、8ページが日本で、出生コーホートによって分類されております。59~63年に生まれた世代と、64~69年、そして最後の図は職業による分類になっております。私の今回の話では、7ページと例えば1ページのイギリスのケースを比べたとしても、特に高学歴の女性で、例えば30歳でまだ出産を経験していない女性が半数以上おります。
佐藤会長
30歳というと、どの国も同じ動向かもしれませんね。
大沢委員
そうですね。25~30歳で同じようなパターンが見られるのですが、日本ではやや晩婚化が進んでいる。中でも高学歴の女性の間で、これは平均で見てしまうと余り意味がなく、かなり個人差が広がっているということも後で分布を見るとわかるのですが、高学歴の女性が結婚・出産で就業を辞めるということ、その後の再就職機会がないということを考えると、非常に高い機会コストがかかってくるのではないか。それが高学齢の女性の晩婚や晩産化のプロセスと関係があるのではないかというのが2番目のポイントです。
 それと、3番目のポイントは、子どもの数と女性の働き方に関係があるということで、これは資料1-3の2ページ目を見ていただきたいのですが、昨年、調査いたしました毎日新聞の世代間の子育て意識の変化のデータから、40歳以上の女性について子ども数を見たものです。これを時間のコストという点から見ますと、正社員が時間給も一番高いですし、就業することによって子育てと両立できないということで、子ども数が少なくなるのではないかと予想されるわけですが、必ずしもそうではなく、子ども数が少ないのは派遣や嘱託として働いている女性です。そして、次が専業主婦です。希望どおり産んでいる女性はどういう人たちかというと、家族従業者ですとか、自営業、自由業ということで、パートタイムの子ども数も比較的多くなっておりますし、もう欲しくないという人も8割程度おります。これを見ると、就業コストと一概に言っても、働き方と大きく関係があり、子育てと両立できるような働き方であれば、子ども数も希望どおりだということです。
 それが1つのポイントになりまして、専業主婦の子ども数が少ないというのは、この調査でも、ほかに第12回の出生動向基本調査でも表れてきております。この部分についてはまだ仮説の段階ですが、専業主婦と再就職をした女性、それから継続して働いた女性の結婚のタイミングと出産のタイミングについて見てみました。それが同じ資料1-3の13ページになっております。継続就業者、専業主婦、再就職者という3つのグループで、いつ結婚したのか、そして第1子を産んだのはいつかという分布を見ております。これを見まして1つの傾向は、やはり継続就業者のほうが晩産化、晩婚化しているということですが、興味深いのは、専業主婦は、早く結婚して、早く子どもを産んでいる人もおりますが、結婚を遅らせている人が何人かいる。例えば40代で結婚し、出産をしている。これは、どういう人なのかと更にこのサンプルを見てみますと、高学歴者に多く、かなりの就業経験を積んでいるけれども結婚した後は働かない、そういった人たちもおります。これは均等法前世代には見られない新しい傾向でして、女性で高学歴で事務職の人が多いのですが、この女性たちが結婚して出産すると家庭に入ってしまう。そこが今後、日本が男女共同参画社会を形成し、出生率も維持しながら、女性の能力も活用していくというときに、継続就業をすることが必ずしもいいわけではないのですけれども、辞めてしまう女性がなぜ辞めてしまうのかという理由を、少子化対策、両立支援策において考えていく必要があるのではないかということです。全体的に、継続就業者も専業主婦層も再就職者も、自分の手で子どもを育てたいというような規範とか、保育所で子どもを育てることに対して罪の意識を感じているというような人の割合が非常に高くて、意識としては、子育ては自分の手でという傾向が一般的に見られるわけです。
 そういったことから、3番目のポイントになりますが、これからの女性が働きながら子どもも産むというときに、今までのような長時間労働ですとか、会社に束縛されて働くような働き方が強い中で、高学歴化している女性が働いて子どもも産むというのは非常に難しい状況になってきているのではないか。そして、男性を含めて、長時間労働が30代に集中しているというような傾向があります。こういった、男性は長時間労働になり、女性は子育てで辞めてしまい、なかなか労働市場に戻ってこないというような仕組みを変えていくためには、やはり根本にある制度的な日本の働き方の仕組みとか、企業文化とか、意識というものを変えていかないと、子育てもして仕事もしていくような社会にはなっていかないのではないかと考えております。
 そして、そのためにどうしたらいいのかというポイントとしては、今までのような正社員・非正社員というような制度の区分を改めていかないといけないのではないかということで、最後の資料1-4になりますが、これは家計経済研究所のパネルから、結婚前後の雇用形態と出産前後の雇用形態を日本とアメリカで比較したものです。このポイントは、日本のほうが結婚や出産で辞める女性が多いということでもあるのですが、同時に、アメリカの女性を見ていますと、常用パートタイムになって就業を継続する人もいるということで、次の2ページ目ですが、常用パートタイムの部分が出産後には広がっております。常用パートタイムというのは常用的な働き方をしているパートタイマーのことで、日本で言うと正社員の短時間労働者ということになりますが、この働き方が日本では非常に少ない。ないわけではないのですが、非常に限られていて使い勝手がよくない。企業調査によれば、制度があるところはかなりありますが、実際に使っている女性たちは1割にすぎないということで、やはり女性の就業というものを考えると、在宅勤務でもいいですし、パートタイムのようなものでもいいですし、こういった働き方が選択肢としてある。
 もう1つ言いたいのは、女性にパートタイムの就業形態があるのも重要ですが、やはり男性からもリクエストが最近出ていまして、男性も家で働く。それによって、男女共同参画ということを考えていくと、男性のほうがそうやって早く家に帰ってくるとか、週3日の勤務というようなことを率先してやってくれると、それが規範になって様々なところに広がるとか、それから管理職が率先して実施してくれるとか、こういった柔軟な働き方を選べるような社会構造をつくっていくことによって、産みたいのに産めない人たちの出生数というのは増えていくのではないか。また、今、グローバル化経済の中で、希望がない世帯と希望がある世帯の格差が非常に拡大している。そのもとをたどってみると、やはり非正規労働の拡大による部分もあるわけですので、日経連の最近のレポートでも、正社員・非正社員の区分を有期労働者と常用労働者という形の区分に変えてはどうかというような提言もされていると思います。そういった形で非常に短期的なプロジェクトに対しては有期、派遣労働といったものが必要になるとしても、それ以外の労働については、社員としての区分の中で同じような制度で処遇していく。その中に労働時間による収入の変化というのを反映させていくような、新しい雇用形態をつくっていけたら、もう少し出生率も上がり、男女共同参画における能力活用ということも進むのではないかというのが私の今日のプレゼンテーションでございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。女性の働き方と子育てということで御報告をいただきました。

(江渡大臣政務官退席)

佐藤会長
それでは、御質問でも、御意見でも御自由に出していただければと思います。
武石委員
2つお聞きしたいのですが、資料1-3の13ページ、先ほど御紹介いただいた第1子出産年齢の分布というデータで、専業主婦の人たちの年齢が高いところに結構な割合があるのですけれども、これは出産した人の年齢分布だと思われます。就業形態別に出産していない人たちというのもいると思うのですが、その状況がわかれば教えていただきたいというのが1つ。
 もう1つ、御説明がなかったので教えていただきたいのですが、同じ資料の14ページと7ページで、7ページは就業継続の要因分析で、14ページが専業主婦確率ですが、両方とも教育年数というのがプラスに効いていますね。これはどのように見ていらっしゃるか御意見をお聞きしたいという、その2点です。
大沢委員
後の御質問から。7ページの図表6では、教育年数、つまりキャリアを積み重ねた人が結婚・出産後も継続して働いているのかということ、その関連を見たかったのです。均等法前世代ではこれが見えなかったものですから、それを検証したかったというのが目的です。
 また、14ページの図表13については、これは仕事を辞めた人の中で専業主婦になるか、それとも再就職するかといった限定的なものです。ですから、同じサンプルではありません。その中で知りたかったのは、専業主婦というのは均等法世代では非常に特殊な存在というか、諸外国とはやや違ったものですから、継続就業者と3つのグループを比べてみると継続就業者の夫の年収が一番高いのです。これは新しい傾向で、やはり「ダグラス・アリサワの法則」の、高学歴の女性と高学歴の男性の結婚で、その女性たちがむしろ継続して就業するようになっているとか、継続して働いている女性たちは結構専門職が多いといった新しい傾向が見られました。そういった継続就業者を除いて、再就職するグループと専業主婦でいるグループというふうに見ますと、夫の所得が高いほど女性は専業主婦になる確率が高いという2つの傾向が見られる、後者のほうをここでは御紹介しています。
佐藤会長
確認したいのですが、図表6ですけれども、これは学校を卒業して仕事を持っていてということで、階層データか何かで、1回の調査でしょうけれども、そういうサンプルで、結婚、出産のために辞めた人と続けている人のプロットをやっているわけですよね。そうすると、図表6で、辞めた人というのは専業主婦になったということではないのですか。
大沢委員
これは回顧データで、結婚のときにどういう就業形態でいたかということを聞いているのです。「辞めましたか」ということ、それと、現在のステータスとを合わせたものになっています。
佐藤会長
そうすると、図表13での専業主婦は高学歴の専業主婦になっているけれども、図表6は、働いている人は専業主婦ではなく、辞めた人は専業主婦だから、学歴が低いほど専業主婦になっているということでいいのですか。
大沢委員
学歴に関係があります。高学歴の中で2つのグループに分かれているようです。つまり、職業選択などによって専門職だったり事務職だったりするのですが、高学歴で辞める人と継続するという2つに分かれるのだと思います。
武石委員
結論は、継続する人は継続するし、辞めてしまうと辞めたままになってしまう。高学歴の人というのはそのどちらかで、再就職の確率は低いということですね。
橘木委員
そのときは、職探しをやるのですか。一回辞めてから、また職を探しに行っても、しばらく休業していたら技能が落ちているから企業は雇わないでしょう。探しに行ったのか、それとも探しに行かずに最初からあきらめたのか区別はわかりませんか。
大沢委員
そこまではわからないのですが、とても重要な観点だと思います。ここでは、出産前後でどういう行動をとったかということだけです。
橘木委員
高学歴の女性の場合は、やはりいい仕事を見つけたいという希望が強いでしょうから、探しに行ったけれども、なければあきらめる。ついでに言えば、夫の所得も高いから無理して働くのはやめようという選択もあり得るのかなと思ったので。
大沢委員
そうですね。私の周りに社会人入学で大学に入ってきた学生たちがおりますが、彼女たちは、先生がおっしゃったように、今後自分が大学で勉強しても、すぐに再就職できるというふうには余り思っていないのです。ただ、社会貢献ができるだろうということで、NPOとか、NGOとか、自分らしい働き方を探しているので、全く家にいたいわけではないけれども、会社で働くという選択肢は非常に狭いだろうと思っております。
佐藤会長
ほかにはいかがでしょうか。
事務局
現在の子ども数のところで、働いている女性よりも専業主婦のほうが子ども数が少ないと指摘されているのですけれども、それより派遣・嘱託社員のほうが子ども数が少ないということをとても興味深いと思いました。この点はどのように要因分析されているのか、お考えをお聞かせいただければと思うのですが。
大沢委員
このデータだけでは見られなかったのですが、第12回出生動向基本調査の分析をされていた岩澤さんは、派遣の女性たちの第1子の出産が遅れているというように書いていらっしゃいました。やはり経済的な理由から、結婚や、特に出産を遅らせるという傾向が、派遣労働者の子ども数が少ない理由ではないかと思いますが、阿部さんもそこは分析されましたか。同じような感触ですか。
阿部委員
同じですね。
大沢委員
私もとても気になるのです。私たちの世代は、どうしても専業主婦の特殊な行動というところに頭がいってしまう。確かにそれも重要で、そこに制度的な要因があることも事実ですが、若い世代の非典型労働の広がりというのは予想以上に大きい。それが出生率を下げているという阿部さんの御指摘、それから去年出版された「年収1/2時代の再就職」(中公新書)というような話を読んでいますと、もう余裕がなくなってきて、子どもがいてもいなくても働かざるを得ないような状況がある。それで、子どもを産むことによるペナルティというものに非常に敏感に反応している世代が新しい世代なのかなというふうに思いますので、両立支援というのは本当に緊急の課題になってきていると思います。
佐藤会長
派遣・嘱託で40歳以上は、事実上、ほとんど嘱託ですよね。
大沢委員
そうですね。
佐藤会長
そうすると、多分、年齢的にはパート・アルバイトよりやや上なのか。もしかすると、就業形態の影響より、結婚時期が遅いという可能性のほうが大きいかもしれない。就業形態だというのは、結論を出すのはかなり難しいから。
大沢委員
ええ。わかります。もしかしたらその可能性もある。派遣が広がってきたというのもずいぶん後ですし、また、40歳というのは出産が完了するまでにかなり幅広い年齢ですので、今何が起きているのかということを予想するのは難しいのです。阿部先生やほかの先生方のほうがこの辺りについては詳しいと思います。
佐藤会長
あとお一方ぐらい・・・。よろしいですか。
 それでは、次の議題もありますので、大沢委員、どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして「統計指標の中間報告について」、事務局で資料を御用意していただいていますので、それを御説明いただいて、先ほどと同じように質疑応答をと思います。
矢島分析官
それでは、お手元にA4の資料2というものがございますけれども、そちらをまず御確認ください。
 それから、ただいまA3の参考資料「統計指標に関する中間報告(データ編)」をお配りさせていただいております。こちらのほうが統計指標に関する中間データになっておりますが、何分、中間の数値なものですから、こちらにつきましては本日の検討会でご検討いただきました後、資料としては回収させていただきます。
 まず、お手元の資料を御確認いただきたいのですが、A4の資料2と書いたものが1つと、それからA3のほうは大きなクリップを外していただきますと、参考資料1「対象国の類型化」。次に、参考資料2が「指標の選択(案)」。参考資料3が「指標の点数化とレーダーチャート化(案)」。そして参考資料4が、以前にもお出ししておりますが「評価項目の設定と指標候補の設定(案)」でございます。こちらの資料をもとに御説明させていただきます。
 まず、A4の資料2で調査分析の枠組みを示させていただいております。最初の囲いの中にございます内容ですが、1)評価分野の設定、これからの作業の流れでございます。評価分野の設定を行い、指標候補を設定いたします。それから、指標の選択・点数化を行いまして比較・分析を行います。下には、TFR・FERデータの整備状況を確認して、対象国(地域)を設定し、対象国(地域)の類型化を行うということが書いてあります。これだけですとなかなかイメージがつかんでいただけないかと思いますので、お手元の参考資料1をご覧ください。また、参考資料4の1枚目ももう一度御確認いただきたいのですけれども、参考資料4の1枚目の「評価項目の設定と指標候補の設定(案)」で、前回、皆様にこちらのほうをお示ししまして、こちらに挙げましたキーワードでおよそ8分野を設定したということを御確認いただいたと思います。それで、この8分野が1)評価分野の設定ということになっております。
 そして、参考資料1のほうでございますけれども、こちらのほうは合計特殊出生率の動向と女性労働力率の動向を見まして、今回、調査の対象としております19か国、これはOECD諸国の中で、合計特殊出生率が1980~2000年、女性労働力率も1980~2000年で、ほぼデータが整備されている19か国でございます。これらの国を1980~2000年の合計特殊出生率と女性労働力率の動向で分類してみたものがこちらの表になっております。
 まず、上からタイプAというのは、合計特殊出生率についてはプラスとマイナスの国があるのですが、女性労働力率は1980~2000年でやや減少していてマイナスになっている国ということで、フィンランドとスウェーデンが対象となります。ただ、これらの2国は80年代に労働力率が既に60%に近い水準に達しておりまして、女性労働という点では成熟した国々と言えるかと思います。80年代の各国の労働力率で見ますと、フィンランドが54.6%、スウェーデンは56.1%となっております。合計特殊出生率につきましては、20年間で見ますとフィンランドは上昇、スウェーデンはかなり変動がありますのは既にご存じかと思いますが、変動が激しく、20年間の差で見るとやや減少になります。
 次に、タイプBでございますけれども、ここは合計特殊出生率が20年間でプラスになっているところ、それから女性労働力率もプラスになっているところでございます。女性労働力率については、いずれも2000年時点で0.49以上となっております。特にオランダにつきましては、女性労働力率の伸びが著しくなっておりまして、80年の27.3%に対して、2000年では50.4%と大きく伸びております。
 次に、タイプCでございます。タイプCとDは、いずれも合計特殊出生率がマイナスになっておりまして、女性労働力率はプラスになっている国でございます。対象国が多うございますので、合計特殊出生率の減少率でCとDに分けております。Cのほうは合計特殊出生率の減少の幅がやや小さい国々でございまして、20%以下にとどまっているところ。それから、Dにつきましては、合計特殊出生率の減少率が20%を超える国々となっております。
 タイプCは、スイス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、オーストリア、ドイツ、フランスとなっております。CとDにつきましては、まだ対象国がかなり多くございますので、このCとDの中でも、2000年の女性の労働力率が、19か国平均の0.49より上か下かで一応線を引いてございます。女性労働力率が0.49以上の国がスイス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスとなっております。また、0.49未満という国がオーストリア、ドイツ、フランスとなっております。
 タイプDにつきましては、対象国はポルトガル、日本、韓国、アイルランド、スペイン、イタリアとなっております。この中でも2000年の女性の労働力率が0.49以上の国はポルトガルのみ、女性の労働力率が0.49未満の国は日本、韓国、アイルランド、スペイン、イタリアとなっております。
 このように、基本的には1980~2000年の合計特殊出生率、女性の労働力率をベースに分類したのがこちらの表の案でございますが、先日、打合せ会をさせていただきましたときに、委員の先生方から、この変化だけではなくて、2000年の水準だけで単純に分類したらどうなるのかという御意見をいただきまして、次のページに2000年の時点だけで分類したものを載せさせていただいております。
 こちらは、タイプAは合計特殊出生率が2000年に 1.6以上ある国です。また、女性の労働力率は0.49以上の国々ということで、アメリカ、ニュージーランド、デンマーク、オーストラリア、フィンランド、オランダが対象となっております。
 また、タイプBは、合計特殊出生率が1.61未満のところと、女性労働力が0.49以上というところでございます。こちらがカナダ、スウェーデン、ポルトガル、スイス、イギリスとなっております。
 タイプCは、出生率が1.61未満で、労働力率が0.49未満の国ということになっております。
 最後に、Dが出生率が1.61以上、女性労働力率が0.49未満の国ということで、フランス、アイルランドとなっております。
 次のページからは、前回もお示しました1980~2000年の出生率と労働力率の推移をプロットしたグラフでございますが、それを今回、最初の1枚目の表の分類でタイプA、B、C、Dに分けた順序で並べております。タイプAがフランス、フィンランド、スウェーデン。タイプBがオランダ、デンマーク、アメリカ。タイプCがスイス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、オーストリア、ドイツ、フランス、タイプDがポルトガル、日本、韓国、アイルランド、スペイン、イタリアとなっております。
 最後の2枚は、現在は国際比較を念頭に置きまして指標の検討を行っておりますが、今後、国内の都道府県についても検討を行うということで、御参考までにOECD諸国と同じような方法で国内の都道府県を分類したものでございます。1980~2000年の推移データで、タイプAに属する地方がかなり多くございますので、こちらのほうも女性の労働力率が、47都道府県の平均の0.48以上と0.48未満で切っております。それから、タイプBに当たる出生率も労働力率もプラスという都道府県は国内ではないということで、対象がなくなっております。それから、タイプCは出生率がマイナスで労働力率がプラスということで設定しております。
 以上、次のページは2000年時点で都道府県を同じように分類したものでございます。国内の状況を見ますと、やはり国際間比較と同じ指標だけではかなり分類に偏りが大きくなってしまいますので、これ以外に何か重要な指標、ファクターがあるのではないかということで、今後検討していく必要があるかと思っております。
 続きまして、参考資料2のほうをご覧ください。先ほど参考資料4で見ていただきました8分野につきまして、対象となると考えられる指標をピックアップしてきたものでございます。こちらは、この中で既にデータが把握されているものにつきましては数値を記入しております。「社会の流動性」のところで見ていただきますと、最初に指標の名前がございまして、その後に備考としてデータの所在を調査中のものですとか、わかっている範囲でまだ課題があるものなどについて指摘してございます。その後、「年度」という欄がございますが、年度につきまして、例えば90~96年とあるものにつきましては、90~96年の推移を見ているわけではございませんで、国によって90~96年の間でとれている年度が違うということになっております。ばらつきがあることを示しております。そして、OECD諸国のデータが載っておりまして、下のほうに平均と標準偏差、それから合計特殊出生率と女性労働力率との相関係数が載っております。
 本日は、後ほどこの指標について皆様の御意見を伺いたいわけですが、まだそれぞれの8分野について、当初、皆様に御議論いただきました課題が的確に示せるような指標がピックアップできているわけではもちろんございませんし、既に数値を入力させていただいているものでも、少しこれは違うのではないかとか、こういったものは相関係数等を見てもふさわしくないのではないかというような御議論もあるかと思いますが、そのあたりについて後ほど御意見をいただければと思っております。
 次に、参考資料3でございますけれども、こちらは「指標の点数化とレーダーチャート化(案)」ということでございます。これは、あくまでアウトプットのイメージとして御覧いただければと思っております。ここにピックアップしております指標につきましては参考資料2の中から選んでいるわけですけれども、まだ最適なものを選んできたというわけでもございませんし、とりあえずデータの取れているものからピックアップしてきて、アウトプットのイメージを御確認いただきたいということで載せさせていただいております。
 まず、1ページ目でございますが、パターン1というのは、8分野につきまして、それぞれの分野ごとに1つの指標を選択してきた場合でございます。このようにそれぞれ指標を取りまして、標準偏差を取った上でデータをスコア化しまして、それぞれの国について、下のほうのスコア化と書いてある表の右側を見ていただきたいのですが、スコアの合計を出しております。
 こちらの数値をグラフにしたものが次のページから載せさせていただいております。タイプA、B、C、Dとありますのは、参考資料1のほうで御確認いただきました1980~2000年の推移でタイプ分けをしたものと同じ区分になっております。まず、タイプAのフィンランド、スウェーデンということでプロットしております。ここにプロットする際に、指標によっては、例えば社会不安ですとか、それから子育てコストのように、不安が大きいとか、コストが大きいということがマイナスに効くものと、地域の子育て環境の整備状況のようにプラスに効くものがございます。それを区別しまして、マイナスのものはプラスマイナスを反転させておりまして、グラフが外側に広がれば広がるほどプラスであるという方向でつくっておりますので、基本的には面積が大きいほど女性の労働力率、出生率に対してプラスの関係にある、というふうに御覧いただければと思います。そういう意味で、スコアの合計をした点数というのが面積をあらわすというようなイメージで御覧いただければと思います。フィンランドとスウェーデンのタイプAにつきまして言いますと、スコアの合計の平均が仮に今は 459.5になっているということでございます。
 次に、タイプBを御覧いただきますと、オランダ、アメリカ、デンマークということで書かせていただいております。ただ、こちらは、今、オランダで家族形態、デンマークで働き方についてはデータが取れていない部分でございましてゼロになっておりますので、スコア合計は出ていません。そういうことで、タイプBの中では、今のところ、アメリカだけ数値を載せております。
 それから、タイプCのほうを御覧いただきまして、こちらについてもスイス、カナダ、ニュージーランドなどで取れていないデータがございますので、オーストラリア、イギリス、ドイツ、フランスについて今挙げた指標についてはデータが載っております。
 それから、タイプDにつきましても、アイルランド、イタリア、韓国などで一部データに不備がございます。
 現在、タイプAからDと分けておりますものは1980~2000年の推移で見たものですので、例えばこれを2000年時点だけで分類したものに置きかえるという御意見もあるかと思いますので、その辺りも御意見をいただきたいのですが、いずれにせよ、タイプ分けをした国々と、このスコアの傾向、スコアの合計ですとか、あるいは分野ごとにどこがへこんでいるかといった形、そういったものに特徴が出てくるのではないかというのが調査の分析の仮説でして、そういったものが今後どう出てくるのかということ。現在入っている指標については、まだ適切なものではないかと思いますが、それでもA、B、C、Dと見ていきますと、ある程度スコアの合計平均に特徴があるのではないかと思っております。
 それから、パターン2のほうでございます。7ページのパターン2につきましては、分野ごとに評価指標を複数選択した場合でございます。こちらにつきましても、現在取れている指標の中からいくつかをピックアップしてきまして、複数の指標を分野ごとに入れた場合ということのイメージをつくっております。8ページ目を御覧いただきますと、それぞれの分野ごとのスコアの平均と、それぞれの分野を足し上げたスコアの合計が出ております。
 9ページ目以降が同じように、タイプA、B、C、Dごとに図をプロットしたものでございます。
 最後の14ページ目を御覧いただきますと、パターン1と2に現在どのような指標値を入れており、そのパターン1と2についてどのような課題、問題点があるかということを示しております。
 では、余りお時間もございませんので、参考資料2のほうに戻っていただきまして、それぞれの分野について現在、事務局で入れている指標と、その課題として考えていることについてお話しさせていただいて、先生方の御意見を伺えればと思います。
 参考資料2、まず「社会の流動性」でございます。こちらにつきましては、社会階層につきまして、階層間の移動があるとか、あるいは就労・教育の機会に多様性があるとか、それから移民の問題等で皆様から御意見をいただいている分野でございますけれども、1番としては全人口における外国人比率。それから2番に、移民政策として「仕事がある限り、受け入れるべきである」と考える割合ということで、意識の面から見たもの。それから、階層構造については、社会階層間の移動に関するデータがなかなか見つかりませんで、今のところ、自国を「自由に競争し、成果に応じて分配される社会」と考える割合というのが2カ国のみですがデータがございまして、それ以外はないという状況になっております。それから、社会人の教育機会や労働市場の流動性に関するデータなどが入れられればよいのかと考えておりますが、まだこちらについてはデータが確認されておりません。ただ、「社会の流動性」については、いろいろデータを探しながら事務局として検討しておりますと、就労機会の多様性ですとか、教育機会の多様性というふうにも置きかえられるという考え方もございますので、この分野を「社会の流動性」という形のまま残すのか。あるいは就労ですとか、教育という形でまた別の分野に持っていって分割するのかというあたりも今後検討していきたいと考えております。
 それから、「地域の子育て環境」ですが、7とある指標が保育サービスの利用割合で、こちらは3~6歳児のものでございます。ただ、保育サービスの中に入るサービスの内容が国によって違うということで、やはり欧米では教育の部分が入っている。それから、施設サービスだけに限定されているか、あるいはベビーシッターのような在宅サービスがどう扱われているかといった辺りも検討していく必要があるかと思っております。それから、8番が公的支援を受けた保育サービスが保育サービス全体に占める割合で0~3歳児。それから、9番は同じく3~6歳児となっております。10番は二重保育に関するデータ。また、11番は教育への公的支出の割合。それから、12番は家族へのサービスに関する社会保障給付費。それから、保健医療に関しては保健医療への公的支出。それから、地域コミュニティの支援力につきましては、貧困、雇用、住宅、人種差別などの問題に関するコミュニティ活動の団体・組織に所属している割合。15番が隣人や近所の状況をよくするために喜んで何かすると考える割合ということで、こちらも意識調査のデータになっております。8番の0~3歳児の公的支援を受けた保育サービスの割合というのは、合計特殊出生率との相関が0.42と0.58となっております。また、11番、教育への公的支出の対GDP比というのは、出生率との関係が0.33、労働力率との関係が0.46となっております。また、14番のコミュニティ活動に所属している割合というのが、それぞれ0.59、0.60となっております。
 そういうことで、現在の地域の子育て環境につきましては、まずは保育サービスについてきちんとしたデータが必要だろうということで、もう少し7番のようなデータを詰めていく必要があるということ。それから、保健医療については、本当は乳幼児を対象としたもの、あるいは小児科医といった関連のデータを探していたのですが、それがなかなか見つからないということでこのような形になっております。また、地域コミュニティの支援力については、14番がかなり高い相関係数が出ているのですが、こちらについてはどのような取り方をしているデータなのか、もう少し中身を詰めておく必要があるかと思っております。
 次に、「働き方」の分野でございます。労働時間につきましては、18番、週当たりの実労働時間(男性・製造業)に限ったものでございます。それから、実労働時間ではなくて、帰宅時間ですとか、残業のような部分についてもう少し取れないかということで探しておりましたが、17番は、平日の午後5時半に有償労働をしている割合ということで見ておりますが、こちらについては、かなり取れる国が限られております。また、帰宅時間、あるいは在宅時間といったものを現在探しております。それから、就業形態については、就業者に占めるパートタイム割合、それから就業形態による待遇格差、フルタイムにおける男女の賃金格差といったもので、まだデータを探しているものが多くございます。それから、意識の部分では、仕事と家庭生活の両立に関する意識というようなものを現在探しております。それから、産業構造として、第3次産業就業者数の割合ということでございます。
 先ほどの大沢先生のお話にもございましたけれども、就業形態につきましては、パートタイム割合というのが男女とも入っておりまして、パートタイムという形態をかなりの人が選択できて働き方が多様になっているということと同時に、フルタイムとパートタイムの処遇の格差がどうなっているかということが併せて言えればいいのかなと思っておりますが、現在、待遇格差に入れておりますデータが女性労働者のみということと、また、対象になっている国がかなり限られているということで、できれば男女ともにということで比較できるもの。それとは別にフルタイムにおける男女の賃金格差というものを示す、そういった組み合わせができないかというふうに探しております。
 次のページをお願いいたします。子育てコストについてでございます。こちらは世帯当たりの可処分所得というものと、それから教育機関に対する支出全体に占める家計支出の割合。それから、機会費用、逸失利益ということで見ております。先ほど大沢先生のお話でも教育費のような子育てに支出するコストと機会費用ということで御説明いただきましたが、その両方で取れることが望ましいのではないかということで探しておりますが、現在、機会費用のほうがたくさんの国でなかなか取れないという状況にありまして、先生方からも御示唆いただければと思います。
 それから、教育機会に対する支出全体に占める家計支出の割合がありますが、現時点のデータでは、相関係数はマイナスとついてますが、ほとんどゼロに近い状況です。前ページに戻っていただきまして、11番の教育への公的支出につきましては、公的支出が大きいと、合計特殊出生率に対して0.33、女性労働力率は0.46という相関係数が出ていますので、今、子育てコストのほうに入れておりますデータでは、その反対の面が出るかと思うのですが、それが出ていません。この辺りも、もう少しデータについて検討の必要があるかと思っております。
 それから、家族形態でございますが、こちらも打合せ会のときに先生方にかなり御意見をいただきまして、日本の場合ですと3世代同居が、祖父母による子育てを支援ということでかなり議論されるところでございますが、国際間比較でいいますと、そのあたりがどういった形になるのかということと、統計上どのように出てくるかということで難しい。それで、世帯人員を見てみますと、世帯人員は出生率に対して-0.30、労働力率に対して-0.49ということで、どちらかというと世帯人員が小さいほうが双方との関係はプラスであるという形になっています。そちらが日本の3世代同居というイメージとは異なっているのではないか。もしこの背景に若年層の自立による核家族化の進展のようなものがあるのであれば、それはそれでよいのではないかと思うのですが、世帯人員だけですとそこまで言えませんので、もう少し若者の自立に関連したデータ、もしかしたら家族形態とは少し違ってきてしまうかもしれないのですが、若年層の単身世帯、家から離れるということと、それから就業関連、失業率等のデータといったものを取れないかというふうに考えております。
 結婚の形態としては、若年層の婚姻率と平均初婚年齢というものを見ております。
  それから、家庭生活や家族に関する意識でございます。こちらは、34番「女性は充実した人生を送るために子どもを持つことが必要である」と考える割合につきましては、出生率に対して-0.41、労働力率については-0.29ということで、必ずしもこうした伝統的な家族意識のようなものはプラスに効いていないということがわかるかと思います。それから、「母親が働いていても、働いていない母親と同じように温かく、しっかりした母子関係を築くことができる」に同意する割合というのが、出生率に対しては0.05、労働力率に対しては0.28となっております。それから、35と全く反対になるような問いですが、「就学前の子どもにとって母親が働いていることは苦しみである」というようなことに対しては、合計特殊出生率に対して-0.53、労働力率に対しては-0.61となっております。このあたりは意識調査のデータということですので、各国間のデータ取り方ですとか、その意味の受けとめ方というところでもう少し検討する必要があるかと思いますが、今のところ、こういった形でデータをピックアップしております。
 それから、性別役割分担について。37も意識調査ですが、「男は仕事、女は家庭」に同意する割合、こちらが出生率に対して-0.34、労働力率に対して-0.28ということで、34と同様に固定的な意識がマイナスであるということが出ております。それから、38が、6歳以下の子どもを持つカップルの就業形態について、「父親、母親ともに労働」を理想とする割合と現実とする割合の差ということで、ライフサイクルの理想と現実のギャップということでございます。こちらにつきましては、取れている対象国がかなり限られてしまいますのでまだ何とも言えないのですが、ギャップが大きいほど出生率に対してマイナス、労働力率に対してマイナスということになっております。それから、男性の家事時間、育児時間については、現在もう少しデータを探しております。
 最後に社会不安ということについてですが、将来に対する不安感が41番。42番が「全体的に言って、今とても幸せ」であると考える割合。それから、「最近の生活に満足している」割合。それから、子育ての負担感。また、自殺率、犯罪の増加率、失業率、GDPの成長率というのを挙げております。ここでは社会不安という言い方をしているのですが、先ほど言いましたように、グラフとしてプロットする際には、字句の意味がプラスに効いているほうが大きくなるということですので、どちらかというと、社会不安という名称よりも、安心とか、プラスのイメージを与える名称にしておかないと、後々、図を見たときにイメージが逆にとられるおそれもあるということで、打合せ会のときも御意見をいただきまして、分野の名称を見直すということも検討したのですが、まだ今後取る指標によって、分野の枠組みも変わる可能性があるのではないかということで、現在のところ、分野の名称はこのようにしております。指標軸の名称にする場合にはプラスマイナスを考えて、プラスのイメージになるような方向の指標軸の名前を付ける必要があるかと思います。
 以上、長くなってしまいましたが、本日は先生方に分野ごとに入れる指標について、あるいは分野の枠組みについて等の御意見をいただきまして、それからまた参考資料3の点数化とレーダーチャート化の手法についても、もし御意見がありましたらいただければと思っております。以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。やろうとしていることは、国によって女性の就業率がかなり違うし、出生率も相当違う。その違いの背景に、社会環境、働く価値観等々があるだろうと。ですから、出生率や女性就業率の違いで国をいくつかに分けて、その背景にある要因のうち重要なものをいくつかの領域に分けて、それを比較する。その後、違いが出てくる制度等の背景をもう少し分析しようと、そういう手順ですね。
矢島分析官
はい、そうです。
佐藤会長
取り上げる国は、出生率と女性の就業率が把握できる国、かつ日本と比較する意味のある国として19か国となっていますが、これでいいかどうかですね。
 それと、出生率なり就業率が異なる背景として8つの分野を設定して、もちろん意味はそれぞれ議論したわけですけれども、各分野を代表する指標を取る。例えば、働き方といったときに、女性の就業率や出生率にとって何が重要な変数なのかということを考えて指標として取り上げる。ですから、まず8分野を設定するということと、それぞれの分野を代表する指標として何を取ったらいいのかということですね。これについても、御意見を伺えればということと、その後、それぞれの分野ごとに代表する1つの変数を取るならばレーダーチャートをつくるのは簡単ですけれども、そのようなつくり方と、複数の指標を集約するつくり方。実際上、異なる指標を単に足してしまっていいのか等、いろいろと課題があると思いますので、その辺の整理の仕方についても御意見を伺いたいということです。
 取り上げる国として19か国というのは・・・。その後の作業として、指標が取れないと減る可能性はあるのですが、それについてはよろしいですか。
 では、国の分け方ですが、これはトレンドを含めて分けていくのと、2000年時点で分けるのと2つある。両方やることもできます。また、前回の議論では一応8分野になったわけですけれども、これについてはまた御意見があるか。あと、8分野ごとの指標、整理の仕方について、どこからでもいいので御意見を頂ければと思います。
橘木委員
すばらしい仕事をされているので、この成果をぜひとも期待したいのですが、日本はアジアにありますので、日本と韓国だけというのはややアンダープレゼントという・・・。フィリピンとか、東南アジアの国ともやはり同じような宗教観なり、人間観なり、働き観なりを持っているわけで、韓国はまさに日本と非常に近い国ですが、データが取れないからそれらの国は取り上げなかったということですか。
大沢委員
シンガポールはよく話題になりますが、難しいでしょうか。
高橋委員
シンガポールは、データをなかなか出してくれないのではないですか。台湾は出やすいと思いますけれども。
佐藤会長
基本的なベース、出生率と就業率がまずなければいけない。それはありますよね。
橘木委員
それはあるでしょう。
佐藤会長
あと、ほかの8分野の指標がある程度取りやすいか。アジアというのは確かにあると思いますね。
橘木委員
やはり日本はアジアですから、ほかのアジア諸国はどういうことをやっているかというのは関心がございますよね。
大沢委員
台湾はあるのですか。
高橋委員
台湾は比較的データは入りやすいと思います。
佐藤会長
確かに、アジアの国を入れたらどうかという御提案で・・・。
橘木委員
データを集めるだけでも大変だと思うので、作業をやっている方がだめだと言われたら、それは当然受け入れます。
矢島分析官
OECDの統計を分析しているところがございまして、そちらが比較的整備されているものですから。
橘木委員
アジアは日本と韓国しかないですから。
矢島分析官
同じレベルで比較できるデータということで探してみたのですが・・・。
橘木委員
8つのカテゴリーのうち、各1つぐらいはアジアでも見つかるのではないですか。そうでもないですか。
矢島分析官
台湾を中心に一応確認をさせていただければと思います。
佐藤会長
では、アジアを御検討いただくということで、確かに、初めからOECDでやっていくのも説明としてもあれかもわかりませんので・・・。ほかにはいかがでしょうか。国についても結構です。私は、これでいいのではないかというふうに言いましたが、もちろん国の取り上げ方についても含めて御意見を頂ければと思います。
高橋委員
時間軸で2時点は欲しいですね。
矢島分析官
打合せ会のときにも御意見を頂きまして、国の分類方法として1980~2000年の推移で見るのであれば、それを説明する手法も2時点で見るべきではないかということでございましたけれども、今ありますデータも、ほとんどは1990~2000年の間のどこかで拾えるといった状況です。80年代でもう1時点取れれば、それはそのほうが望ましいと思っておりますので、項目によっては、そういったものもないかと探してはおります。そういった意味で、打合せ会では分類そのものも2000年の1時点にすべきではないかという御意見もいただいております。
佐藤会長
例えば最初は2時点間で国の分類をしているが、説明するデータのほうは取れる範囲で最新の1時点になっている。これは違和感があるかどうかですね。説明するデータもできるだけ2時点集めるという選択と、もう1つ、国の分類のほうを1時点でやるという選択もある。ですから、その辺はざっくばらんに御意見を伺えればと思うのですけれども。
矢島分析官
1つだけ。推移で見ているということの背景ですが、第1回にも御説明したように、少子化という問題のとらえ方で、下がってきているという現象そのものをとらえるということと、特に国内においては、現時点で高いということと、ここ10年ぐらいで下がっているというところで、地域に違いがあるのではないか。その下がり方に問題があるのではないかということを事務局としては問題意識としてスタートしております。ただ、おっしゃるように、アウトプットとして出た場合に、同じ時点で見るほうが整合性があるというのは最もな御意見だと思っておりますので、その辺りで御意見をいただければと思っております。
佐藤会長
最初は現時点で国を分類し、この8分野もそれで説明して、その後、出生率も就業率もわりあい高い国でこういう背景だが、以前はどうだったかというと、いろいろなタイプがあるというような議論の仕方というのはあると思います。初めからトレンドで分けてしまうのではなくて、現時点でまず分けておく。その上で、Aパターンというのも、20年前を見ると出発点は違いましたというような議論をするやり方もあるのです。そこら辺はざっくばらんに・・・。出たときに皆さんにすんなり受け入れていただくというのは非常に重要なので、どうですか。
矢島分析官
参考資料1の1枚目と2枚目を見ていただきますと、その2つのやり方で国の分類がどう違っているのかを見ていただけると思います。
佐藤会長
日本、韓国、スペイン、イタリアなどは同じところに入っているので、動かないですね。だから、出入りは少ししかない。
矢島分析官
そうですね。
佐藤会長
ある面では出入りがあるとも言えなくもなくて・・・。1つは、どちらかだけ使うか、うまく組み合わせるかですね。ただ、8分野のデータを2時点取るのはかなり難しいという印象ですね。ですから、そちらはいくら探せといっても実際上は難しそうだと。もしかして数か国はできるかもしれないが、いくつか取れるところはやってみるのですか。例えば3か国だけ取れたら少し前のデータを見るというようなことをやるのですか。
矢島分析官
そうではなくて、指標のうちいくつかでだけやるということがあるかもしれません。
佐藤会長
どうですか。
大沢委員
全くの思いつきですが・・・。
佐藤会長
初めての印象が大事ですから。
大沢委員
私が学生時代に教室で教わったのは、経済発展のパターンと労働力率とか、出生率というグラフを見て、その国で実は余りパターンが見られないというのが結論ですけれども、ただ、唯一共通点が見られるのが、先進国の女性が労働参加をすると出生率が下がるというのでアメリカの例が出てくるのです。その後にヨーロッパが同じような経験をしているでしょうということになって、85年ぐらいに国際会議があって、そのときは出生率が下がるということについての共通認識のようなものは理論化されたと思うのですが、今起きている現象というのはその次のパターンなわけです。そういう整理をしてみると、ではどうして下がり続けないで、パターンがそこから分かれたのかということについて分類していくという、整理として1つの関心事としてはおもしろい現象なのですが、そこから後が同じように共通の、影響も受けているけれども、何かほかの要因によって分かれているということを多分ここでやっていらっしゃるのかなというふうに思いました。
 そうすると、そこまでは共通点が見られるところまででスタート地点を置いて、そこら辺が、特に90年になって、例えばデンマークとか、オランダのをさっき見せてもらいましたが、デンマークなどは下げ止めをして、かつ上がりましたし、働き方とか、オランダも、アメリカとは違ったアプローチの仕方をしたと思います。アメリカは移民の国ですので、ちょっと同じではない。同じようなパターンの中でも、デンマーク、オランダのアプローチと、スウェーデンのアプローチというのはちょっと違うように思いますし、そういう面で、確かに数字の上だけでの共通点もあるのですが、もう少し各国のイデオロギーというか、政治色というか、労使関係の仕組みと家族政策というのが裏と表の関係になって、そこで少し切ってみると、デンマークとオランダのアプローチは所得の格差を拡大しない形で出生率を上げるような新しいやり方をしましたし、スウェーデンは国家による両立支援策というような、全然違った形で行われたと思うのです。フィンランドは余り知らないのですが、スウェーデンは税金も非常に高いですし、考え方そのものが全然違って、両立することがベストのようなものを国がつくったという形で、福祉国家の類型ということで考えると少し切り方が・・・。
橘木委員
でも、大沢委員が言われている事実は、例えば地域の子育て環境とか、いろいろな形で支援であらわれているから、どこの国が福祉国家で、どこの国が福祉国家でないという大上段の話もわかるけれども、具体的にはもうあらわれているのではないですか。
大沢委員
そうですね。余り最初から切らないで・・・。
佐藤会長
大沢先生が言われた後半のほうは、指標として出てきた後、背景等を説明するときにその辺の制度的な変化の分析はやられることなので。ただ、大沢先生の前半の議論だと、やはりトレンドで分けたほうがいいということですか。そのときに、80年ではなくて、80年代半ばがいいと。高橋先生、人口学の観点から見るといかがですか。
高橋委員
「セカンド・デモグラフィック・トランジッション」という論文が書かれたのが1984年か83年のことで、ですから80年前の時代状況というのは変動が起きる前の時代ですよね。要するに、80年代の前半のところですが。それから現在という変革が起きているわけだから、そこで見るのが社会経済的な状況をうまく比較することはできると思います。
佐藤会長
今は1980~2000年でやっているのですね。それは大体いいということですか。
高橋委員
ええ。
佐藤会長
そうすると、どうですか。
矢島分析官
分類を仮に置きましたのは、指標を検討していくに際して、大沢先生がおっしゃるようなタイプごとの違いをあらわせるような手法ができているのだろうかということを考えていく目安としてつくったので、最終的にまた指標ができたときにフィードバックして、その切り方を考えるという視点も大事かと思います。仮に分けていって、指標というもので違いを説明できるのだろうかということが1つ問題意識としてありますので、2種類置いておいてもいいのかもしれないですが。
佐藤会長
データは国ごとにつくっているので、分けたり、1時点だけでもすぐできますよね。もう1つは、両方使って説明するということもやり方としてはあり得るわけですね。
矢島分析官
そうですね。
佐藤会長
だから、今すぐ決めなくても・・・。どちらかだけとしなくてもいいとは思いますけれども。
矢島分析官
仮にどちらかで指標をチェックしていく視点を決めさせていただければ、また後で戻って・・・。
佐藤会長
基本的にデータの8分野は1時点になる。しかし、変化というのも大事だけれども、指標自体は前のところは取れない。こういう中でどういう形で外へ出したらいいかということは議論しなければいけないということだけを今回御確認していただい。では、トレンドを見ることもすごく大事だということがわかりましたので。
藻谷委員
一言だけつまらないことを聞きますが、これはマトリックスグラフにされたものをお手持ち資料ではおつくりでしょうか。つまり、これは私の能力では絶対値だとよく理解できないので、やはりグルーピングする場合に1つのビジュアルな説得方法ということで考えると、まさにマトリックスに落としたときにパッと丸で括れるかどうかというのが、非常に有効である。プレゼンばかりやっている私からすると、そう思うのです。したがって、どちらの分類がいいかという議論のときに、どちらがマトリックスグラフ上、丸で囲みやすいかという、極めて実際的な判断があるのではないかと私は思ったので、もしお持ちでしたら・・・。
矢島分析官
今、その形にしていませんので。
藻谷委員
おつくりにはなっていないのですね。試しにやってみられると、学者の世界からするとやや幼稚なやり方かもしれませんが、私が仮にやるとすると、フローと絶対水準の話を分けて、2000年の労働力率と出生率だけでまずマトリックスをつくって、グルーピングが分かれそうなところにあえて線を引く、それから、同じく過去20年間の変化率だけで労働力率と出生率でグラフをつくりまして、その2枚のシートで、この2つに割れている話を分けて、そこにグルーピングが奇しくも共通のものが出てくると非常におもしろいなと。
矢島分析官
2000年時点だけについて言いますと、皆様の前の据え置きの資料の一番上に最初の専門調査会の際に参考資料として出させていただきましたものがございまして、これの3ページ目に、いわゆる女性の労働力率と合計特殊出生率の関係というのをプロットしてありまして、これになるかと思うのですが、その推移についてはこういった形で見ておりませんので、
藻谷委員
そうですね。複雑になるかもしれませんが、推移まで一緒に書き込んであえてじっと見るというのも、もう少し全体を広げて見てみるというのがあるかもしれませんね。つまらない話でしたが、私、さっきからこれを見ながら都道府県内でどういう規則があるかと考えていたのですけれども、今日は回収されるのですが、いずれいただいたら、これをマトリックスに落としてから考えようかと。
矢島分析官
こちらのほうでもつくってみたいと思いますので。ありがとうございます。
佐藤会長
それでは、次に、この8分野の中で、例えば働き方といったときに、子どもを産み育て働き続ける、多分それが大事だということ。そうしたときに、働き方の中でどういう変数を取り上げたらいいのかということで、これは要らないとか、入れ替えたほうがいいとか、もちろん収集可能性ということもあるわけですけれども、いかがでしょうか。ここにずっと上がっているようなもので意味がわからないとか、なぜこれが入っているのかとか・・・。
布山委員
データの所在調査中となっているので結局ないのかもしれないですけれども、帰宅時間に関しては、目いっぱい仕事をして帰ってきた時間が9時だったとか、12時だったとかというデータであれば、多分これは労働時間というのにリンクしてできるのですけれども、結局、会社を5時に出て、12時に家に帰ってくる間にというもの・・・。だから、単に帰宅時間で見ても、多分、労働時間のところには当てはまらないで、もしデータとして探しているのだったら、仕事をして帰ってきた時間がというのでないと意味がないかなと思います。実際に週当たりの実労働時間でもう1つデータを取っていて、大体どのぐらい働いているかというのを見ているということになると、単純に帰宅時間が遅いから、その分働いていたということにもならないのかなという気がします。
佐藤会長
これは、やはり家族で一緒にご飯を食べるとか、子育てということになると、例えば6時までに帰宅している人の比率とか、そういうものを取りたいわけでしょう。
矢島分析官
今出ております週当たりの実労働時間平均値で見ますと、いわゆる日本の長時間労働の問題という、皆さんが感じていらっしゃる実感とちょっとかけ離れているのかなというところがございまして、そのあたりを表現できるようなものがないかということで探しております。
橘木委員
1つ、無理な注文だと思うのですが、非嫡出子、いわゆる結婚外出産に関する情報が全然ないですね。
佐藤会長
家族のところですか。
橘木委員
ええ。私は、今後、日本はこれしかないと見ていまして、ほかの国で婚外子を一体どれだけ社会的に容認して、どれだけの比率で婚外子がいるかという情報は無理ですか。
高橋委員
あります。
橘木委員
取れるのですね。
高橋委員
取れます。
橘木委員
では、人口の専門家の方が言っておられるので、この情報を何とかどこかに使えませんか。
矢島分析官
検討させていただきたいと思います。
佐藤会長
入れるなら家族ですね。
高橋委員
地域の子育て環境のところの項目で、1つ、7の保育サービスの利用割合ですけれども、いわゆる児童手当というのは国によって結構ばらつきがあるのと、絶対額の高低とカバレッジの範囲というのは国別には比較的取りやすいはずなので、それがあると質と量という2つの視点からそういう変数がつくれるのではないかと思うのですけれども。
矢島分析官
手当などは、おっしゃるように、あるなしではなくてカバレッジする範囲とレベルが重要だと思うのです。一応、今回考えておりますのは、そういった制度は質的なものを見るために、この指標化した国のタイプ別に後で分析をしようかと思っているのです。というのは、単純に数値として入れていくのが難しいのではないかと。
高橋委員
額を入れることは可能ですよね。
矢島分析官
金額を入れるということですね。
高橋委員
もう1つは、例えばカバレッジに関しては、50%以上・未満でダミー変数のような形でやる手はないのかなという気がしました。
矢島分析官
例えば額でも、国によって第3子以降に増額しているところなどがありますよね。
高橋委員
確かに、フランスのように・・・。
矢島分析官
ええ。そのあたりで何を入れていくのかというのが難しいのではないかという気もしまして、できれば指標の後の制度のところでまとめて見られないかというふうには思っているのですが。
橘木委員
でも、政治の世界では児童手当は今後大きな争点になりますから、児童手当のことがわかるというのは私は大事だと思いますね。
高橋委員
だから、合成変数のようなものでもつくって、何かの代理変数をつくるというような手はあるのかなという気はしますが。
佐藤会長
何か参考になるようなものはありますか。どこかの国と2か国比較とか、そういうのをやってあると、事務局がやる作業のとき参考になるものがあれば、後で教えていただければと思います。
高橋委員
ちょっと探してみましょう。
 それからもう1つですが、家族形態のところで、平均初婚年齢というのがありますけれども、これは実際、この指標は同棲を反映していないのでほとんど意味がない指標なので、第1子出産年齢で取るというほうが妥当だと思いますし、そのデータ自体はカウンシル・オブ・ヨーロッパでデータブックを出していますから取れるはずです。先ほどのウェッドロップマリッジのもの、要するに同棲のデータもそこから取れます。
佐藤会長
どうもありがとうございます。
 ほかには・・・。今日だけでなくて、またそれは後で出していただいてもいいのですけれども、もう1つは、また戻ってきますけれども、今度はこれを整理するとき、1つのやり方は、極端に言うと、子育てコストの中で1個だけ取るというやり方と積み上げるというのがあって、それはどういうふうに整理したほうがいいのかという何かいいアイデアがあれば・・・。いろいろこれから試みていくわけですけれども、わかりやすくレーダーチャートにしたときに、どんなことをしたらいいか。1つだけというのはかなり・・・という気もしますが、では、積み上げていいのかと言われるとわからないけれども。
矢島分析官
あとは、例示として示しております複数を入れたパターンでございますけれども、参考資料3の7ページをご覧ください。例えば働き方のところを見ていただきますと、20番の就業者に占めるパートタイマー割合と、18番の週当たりの実労働時間ということで、これは働き方の質的な部分と量的な部分ですが、これは実際はプラスとマイナスというのがついていると思いますが、出生率や労働力率に対する効き方は正反対なわけです。ですから、本来これは足し合わせてはいけないものだと思うのですが、もし労働について今回特に重要であって、量と質を別々で見るのであれば、もしかしかたら分野を分ける必要が出てくるのかもしれないということも考えております。
佐藤会長
2個取るのも、なぜ2個取ったのかというのを説明しなければいけないですよね。初めから8分野決めて取っているのだから、みんな大事だと思って取ったわけですよね。だから、できるだけ全部合成するという考え方もあるわけですよね。
矢島分析官
そうですね。
佐藤会長
合成のときだけ外すなら、もともと取り上げなくてもいいじゃないかということにもなりかねないので。
矢島分析官
今、参考資料2に出ているのは、相互の関係などはかなり無視して、できるだけのものを載せておりますけれども、これをどんどん精査して詰めていけば、残ったものは全部足し合わせるということになるのかもしれませんけれども。
佐藤会長
何かアドバイスがあればぜひ伺いたいのですけれども。
奥山委員
保育サービスの利用割合の3~6歳児はどうしても気になって、やはり幼稚園と保育園というところが日本は今、微妙ですよね。日本は、3歳児が在宅と幼稚園と保育園と3分の1ずつですが、各国でその状況というのはかなり見えないとなると、ここはすごく大事だけれども見られないというのがジレンマです。先ほど家族形態では見られないという話がありまして、日本だとおじいちゃん、おばあちゃんがいることというのはプラスに出るのではないかという話もありましたけれども、それが見られないとなったときに、いつでも預けたいと思ったときに預けられるのかどうかというのが非常に重要ではないかというふうに思うのですけれども。要するに、もう少し安価な助け合い、支え合いのようなベビーシッティングのシステムが余りないとか、祖父母がいなくても問題ないような社会的サービスがほかの国ではきっとあるのだろうというところが何かで見られるといいなと思うのですが、この保育サービスの利用割合だけだと見えないだろうというところが少し気になっております。
 それともう1つ、帰宅時間などもいろいろあるのでしょうけれども、価値観として、夫婦関係を非常に重要視するのか、親子関係を重要視するのか、家に帰ってきて家族みんなで過ごすというような価値観が欧米と日本では違うのではないか。それは文化だからいいんだということなのか、ちょっと微妙な感じはあるのですけれども、よく言われる家族主義の国という部分で、何かそういうものが見られるような指標がどこかにありますか。
佐藤会長
価値観というのは、多少取れなくはないかもしれませんね。
矢島分析官
そうですね。今おっしゃったのは、夫婦関係か親子関係かということですね。
奥山委員
そうですね。
橘木委員
端的に言えば、子どもが大事か、配偶者が大事かでしょう。
佐藤会長
後でこれを選ぶときに、これからどういうものが政策上のイシューかということも想定しておいたほうがいいかもしれないですね。
橘木委員
児童手当はその代表でしょう。
佐藤会長
そうですね。その辺も考えたほうがいいかもしれないですね。
 ほかにはいかがでしょうか。
阿部委員
参考資料3のフローチャートですけれども、児童手当の制度自体は制度のところでやってもらっていいのですけれども、例えば財政支出に占める児童手当の割合とか、あるいは財政支出に占める高齢者向けの支出と、あるいは児童向けの支出と、それがどういう比率になっているのかとか、そういうところでとらえられるところはあるのではないかと思うのです。
 それから、保育環境のところで、私もまだ整理がついていないのですけれども、例えば家計がどのぐらい保育に支出をしているかとか、そういうデータが出てくれば何かわかるのかなと思うのですが、まだ整理がついていないですね。
矢島分析官
保育はかなりいろいろ問題がありまして、奥山委員がおっしゃったように、社会サービスもフォーマル、インフォーマルのサービスの違いと、フォーマルの中でも施設サービス、在宅サービスの違いと、施設サービスの中でも教育と保育の問題というので、多層的に問題があって、全体を一番とらえたいところではありますけれども、せめて今はフォーマルだけでもつかまえようとしているのですが、もしかしたら、フォーマルの中でも施設サービスだけになってしまうかもしれない。ただ、そのときに、教育が入っている国と入っていない国が多分あるということで、そのあたりを順次詰めていきたいと思っております。
奥山委員
データが出た後で分析するときに入れていただいてもいいかなと思います。やはり日本は幼稚園と保育園しかないという言い方をさんざんされてきているので、多様なサービスが必要だというところが後ででも示せるといいかと思います。
佐藤会長
ほかにございますか。この資料は、後でももちろんぜひご意見をと言いながら回収してしまうので、その辺は先生方が意見を出しやすいような形で、こういうふうにということはリマインドしていただくようにしたいと思います。結構難しい、だけど大事ですので、それぞれの専門家の立場でいろいろご意見を伺うと、今日もいろいろ大事な点をまだ入れていないなどということがわかりましたので、ぜひ追加的にも御意見をいただければと思います。
 それでは、最後の議題になりましたけれども、前回の調査会で、部下が育児休業を取った経験のある企業の管理者にアンケート調査を実施するということで御意見を伺いました。最終的に皆さんの御意見を可能な限り入れて調査を実施しましたので、具体的な調査票や実施状況について、三菱総研のほうから御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
川上氏(三菱総研)
三菱総研の川上でございます。私のほうから、資料3を説明させていただきます。
 資料3が、今、御紹介いただきましたアンケート調査の調査概要となっております。以下、2枚目以降が実際に配付しました依頼状、調査票となっております。資料3を御覧いただきまして、調査の概要について説明させていただきます。
 今回の「管理者を対象とした両立支援策に関する意識調査」に関しましては、実際に部下の方で育児休暇等の両立支援策をとった者がいる管理者の方を対象にアンケートを実施しております。その方が実際にその場面でどのような対応策を取られたり、課題を感じられたかなどをお聞きしまして、今後、職場におきます両立支援策の円滑な運用に関するノウハウを把握することを目的として実施しております。このたび、調査対象としました企業につきましては、従業員規模が 100人から 300人の企業の管理職の方が 3,000社で各社2人ずつ、また、従業員規模 300人超の企業の管理職につきましては 1,000社で各社1人ずつということで、合計 7,000人の管理者の方を対象としてお願いしております。調査対象の企業の抽出方法につきましては、帝国データバンクの企業リストをベースに対象事業所を抽出いたしました。対象としました事業所は、日本標準産業分類に準拠した分類方法に基づいて、主にサービス業中心に抽出しております。
 4番の調査方法につきましては、調査票は各社の人事部担当者あてに郵送させていただきました。まず、人事部に私どもが配布しました調査票が届きまして、人事のほうで対象となる管理者の方を選んでいただき、人事から管理者の方にお願いして、管理者の方が回答の上、直接私どものほうに返送いただくというふうな調査の方法になっております。このたび、人事のほうで選んでいただきました管理職の方の条件を書きましたのが、4の調査方法の中ほどにあります。条件は3点となっております。過去3年間に育児休業を利用した部下がいる者。また、その育児休業を利用した方が正社員で現在も在籍する方であること。さらに、可能であれば女性よりも男性、育児休業制度と組み合わせて、育児のための短時間勤務制度を利用した方。また、できるだけ最近の方というふうな3つの条件を付けまして選定いただきました。
 調査時期につきましては、今月、平成17年1月に配布・回収となっております。
 2ページにいきまして、昨日現在の回収結果が有効回収数 783票となっております。配布数 7,000票に対しまして、回収率が11.2%となっております。これだけ見ますと回収率は低くなっているのですが、今回は、そもそもそういうふうな過去3年間に育児休業を取った方がいない企業にも配布されておりますので、そもそも該当者がない企業があるという前提で御覧いただければと思います。
 主な調査項目を(1)から(11)で示しております。これにつきましては、添付しています緑色の調査票のほうを実際にご覧いただきまして、まず1ページが人事の方に書いていただきます企業の概要と、今回、対象となりました制度利用者の方の属性を書いていただくページとなっております。2ページのほうが、その管理者の方が現在いらっしゃる現在の職場の概要。また、2ページの中ほど以降から3ページにかけましては、利用者の方がいた当時の職場の概要をお聞きする内容になっています。4ページ、5ページが、対象となっている方の育児休業制度の利用状況についてお聞きしています。また、6ページ、7ページ前半がそのときに職場でとられた対応策などについてお聞きしております。7ページ中ほど以降が短時間勤務制度の利用状況となっております。8ページ、9ページと短時間勤務制度のことを聞いておりまして、10ページが、その企業におきます社会の子育て支援についての考えを尋ねるページとなっております。最後の11ページが、その管理者の方の属性をお聞きすることとなっておりまして、最後の12ページに、F10番としまして自由記入欄で書いていただくこととなっております。
 以上のような形で調査を実施しております。
佐藤会長
回収数の件は、先ほど育児休業を取った人がいない企業もあるというお話と、もう1つは、こういう調査の回収率は最近は2割から3割ですので、配られた企業のうち、おそらく2割ぐらい、合計で 1,400票ぐらいが個人にまかれている。ですから、そういう意味では、個人にまかれた票の半分強は戻ってきているということだろうというふうに思います。
 それで、今日御説明した統計分析のほかに、もう1つ、企業とか社会全体への影響というのがあるのです。女性が働きやすく、子育てもしやすいような仕組みをつくっていくこと、いわゆる共同参画と両立支援を進めていくことの企業経営や社会全体への影響を議論するところがありますので、その中で使うということで、今回も生産性がどう変わったかとか、そういうことを聞いています。
 何か御質問ございますか。では、この扱いについてもまた後で・・・。よろしいでしょうか。
 それでは、今後の進め方等について、事務局から連絡をお願いしたいと思います。
矢島分析官
本日は、お手元の資料のA3のものにつきましては、大変恐縮ですが、そのままお机の上に置いていただければと思います。傍聴の方々も椅子の上にそのまま置いていただければと思います。委員の皆様には、今日の御議論を踏まえまして、分野ごとにどのような指標が今のところ上がっているかというものを整理しまして、またお送りさせていただきますので、それについて御意見をいただければと思っております。
 また、お手元の資料の一番下のほうに第2回の専門調査会の議事録案があるかと思います。こちらのほうは、議事録案の上に書いておりますけれども、2月7日、月曜日までに修正等がございましたら見え消しをしていただきましてファクスでお送りいただければと思っております。
 それから、次回の日程でございますが、次回の専門調査会は3月1日の10時から12時となっております。午前中で大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。第4回の専門調査会では、統計指標につきまして引き続き御検討いただきますと同時に、アンケート調査の1次集計結果を御報告させていただきまして、それについて御意見をいただきます。なお、打合せ会のメンバーの先生方は2月21日もございますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
佐藤会長
打合せ会と調査会とスケジュールが詰まっていますが、皆さんから専門的に御意見を伺わないと事務局のほうでも仕事が進みませんので、可能な限り御出席いただいて議論していただければというふうに思います。
 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。

以上