(開催要領)
- 日時: 平成13年5月21日(月) 16:30~18:40
- 場所: 官邸大食堂
(出席者)
- 会長
- 樋口 恵子 東京家政大学教授
- 会長代理
- 島田 晴雄 慶應義塾大学教授
- 委員
- 猪口 邦子 上智大学教授
- 同
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
- 同
- 河野 真理子 (株)キャリアネットワーク代表取締役社長
- 同
- 佐々木 かをり (株)イー・ウーマン代表取締役社長
- 同
- 島田 祐子 声楽家
- 同
- 田尻 研治 エクソンモービルマーケティング(有)社員
- 同
- 福武 總一郎 (株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長
- 同
- 八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
(議事次第)
- 開会
- 最終報告に向けた検討について
- その他
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
-
仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会最終報告のイメージ [PDF形式:21KB]
- 資料2
-
農山漁村・農林水産業における仕事と子育ての現状について [PDF形式:1830KB]
- 資料3
-
待機児童ゼロ作戦 多様な主体の保育園を増やすための具体策 [PDF形式:293KB]
- 資料4
- 第5回男女共同参画会議仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会議事録(案)
(概要)
○最終報告に向けた検討について
最終報告のたたき台についての説明後、農林水産省から農山漁村・農林水産業における仕事と子育ての現状について、続いて福武委員から多様な主体の保育園を増やすための具体策について説明が行われ、その後自由討議が行われた。
- (八代委員)
- 「職場が変われば両立できる」では多様な雇用形態等への取り組みが一番重要であるのに、抽象的に過ぎる。具体的に裁量労働制や再就職機会を拡大させるような規制緩和を考える必要がある。「待機児童ゼロ作戦」については無認可保育所に依存している潜在的待機児童も含めた対策ということを明記すべきである。また認可、無認可を問わず支援や児童の安全性確保の観点から事後チェックが必要であり、これについては地方自治体が立ち入り検査をNPO等にも委託できるような法的整備を行ってはどうか。
- (田尻委員)
- 男女共同参画社会基本法ができて2年経つが、一般的な企業はそれ以前となんら変化がない。「職場が変われば両立できる」は男が変われば両立できるというイメージにすべきで、企業の取組も男女がともに仕事も子育てもするという姿勢を明確にした言葉にすべきではないか。またクォータ制の導入を盛り込むのはメッセージとして有効ではないか。企業のトップは男女共同参画社会の実現は少子化対策にもなることを理解してほしい。
- (島田(祐)委員)
- 父親に対して5日間の産休を義務化できないか。法で定められていれば、取りたい人は取りやすいだろう。未だに3歳児神話にとらわれながら働いている母親は多いが、母親の仕事の有無は子どもの発達に影響はないという研究もある。働いている母親のそういった不安を取り除き、安心感を与えられるような支援ができたらいいのでは。
- (樋口会長)
- 保育所の情報も必要だが、父親も母親も、また就労の有無に関わらず、自信を持って子どもを育てられるような情報の提供も大事。
- (岩男委員)
- ここでは、父親も母親ももっとゆとりが大事だということを強調した方がいいのではないか。施策を行うに当たり予算確保の問題は非常に重要であるが、今ある予算にくい込むのではなく、別に予算が必要と考える。最後は政治的判断が必要となろう。
- (田尻委員)
- ニュージーランドでは専業主婦でも保育園のようなところで一緒に子育てが習えるし、研修などを受ければ保育士の資格も得られる制度があるようだ。保育所を前向きに活用している点が非常によい。
- (樋口会長)
- 日本の女性のM字カーブについていかに書き込むか、緊急に対策を必要とする人に焦点をしぼるのかという点について是非みなさんの意見をうかがいたい。 厚生労働省にお聞きしたいが、5日間の父親の産休やパパクォータ制は本当に難しいのか。
- (厚生労働省)
-
制度についていろいろな場で議論をし、その下で実現できるのであればどういった制度になるかの議論が重要。現在の制度は長年の議論の結果であることは事実。
~官房長官入室、あいさつ~
- (樋口会長)
- こうした問題については予算が不可欠だが、今の予算の枠に埋没したら意味がない。これについては配慮をお願いしたい。
- (佐々木委員)
- 男性の意識が変わっていないことはよく耳にする。「職場が変われば両立できる」のところに男性という言葉を入れることに賛成だ。企業の社員が学童保育でボランティアをすることや企業に属さないフリーランスの人や起業家など保育所に子どもを預けられない人たちのための入園基準の見直しについて項目を設けたらどうか。また、企業に対して助成金を出すのではなく、実際に利用者に対して還元していく補助を出すとか税の控除などにしたらどうか。規制緩和が必要な部分もあるが、「定員の弾力化、調理室の必要規則などの見直し」という文章には抵抗がある。民営化のところで情報公開についても強調して欲しい。できれば保育園に地域の人たちとの参加プログラムの導入ができればいいと思う。
- (樋口会長)
- 待機児童ゼロ作戦を考える際、事業者を支援するのか個人を支援するのかは議論の分かれるところだろう。
- (八代委員)
- 調理室があって、園庭の広い保育所の方がいいのは当然だが、23万もの待機児童がいる現在、そのような理想論を言っていて解決になるのか。保育士の数など絶対に譲れない点と、調理室の有無を同次元で論じるべきではないのでは。現実の保育を取り巻く制約条件を議論すべき。
- (猪口委員)
- 駅型保育については、サテライト方式などかなり細かい議論をしたので、その点も反映してもらいたい。また、「待機児童ゼロ作戦」と合わせて「待機学童ゼロ作戦」を提唱し、小学校6年生くらいまではきちんと社会、行政の中で受け入れていくという考えが重要なのではないか。放課後児童については学校で学童自習室のような形で受け入れるのを基本とし、その他と両立できる型にすべき。また民間活用もいいが、国家が責任を持つという姿勢を出した方がよい。これについては国における重要な施策なので、特別の予算措置をしてすすめるのが当然だと考える。クォータ制については今後も検討を続けてもらいたい。児童福祉法における「保育に欠ける」という考え方は改正すべき。経済規制の緩和は進めるべきだが、社会規制は残すべき。
- (樋口会長)
- この専門調査会における議論の経過や柱に盛り込めなかった重要事項についてはIIIに書き込めるし、各委員からのメッセージの中に入れてもよい。
- (河野委員)
-
経営者の意識を変えるに当たり、両立指標について経営品質表の中に入れるというのも一つの方法ではないか。また、一度仕事を辞めた人に対して再就職する機会を与えることも必要。有期雇用者が育児休業を取得できるようにした場合、正社員と全く同じ扱いにするのかどうかは大きな議論になる点だろう。
~小泉内閣総理大臣入室~
- (樋口会長)
- 小泉総理には待機児童ゼロ作戦や放課後児童健全育成事業について施政方針演説に盛り込んでいただき、感謝する。男性も女性も仕事と家庭を両立型に構造転換していく上で一番の基本となるのが、仕事と子育ての両立である。このために必要な予算を別枠で是非取って、施策を実現して欲しい。
- (島田会長代理)
-
「保育に欠ける」という表現ではなく、子どもを育てるすべての人を国で支援するということを、前文に書き込めないか。保育所の中身や実態の十分な情報公開が行われれば、バウチャー制もよいが今回の報告ではそこまで踏みこまず、20万人もの潜在的待機児童をとにかくどうするかについて方向を出すべきだ。 最終報告に盛り込む数値目標については必ず実現してほしいので、そのための予算措置がきちんとはかられるように、「必要な予算を確保し」という表現をもう一工夫してもいいのでは。
~小泉内閣総理大臣あいさつ~
- (福武委員)
- 待機児童の数について盛り込むのであれば、きちんと定義することが必要だ。また、民間やNPOの参入についても目標値があれば、より明確な発信力があるのでは。
- (田尻委員)
- 学童保育については、学校とは別の場所の方が子どもも「残されている」という感覚が少なくよいのではないか。0歳児や1歳児の保育は非常に重要であり、質を落とさないで数を増やすことが必要。コストを切り詰める方向ばかりに目を奪われない方がよい。
○第5回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。
(以上)