仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

  1. 日時 平成13年2月5日(月) 16:00 ~18:08
  2. 場所 総理官邸大客間
  3. 出席者
    樋口会長、猪口委員、岩男委員、河野委員、櫻井委員、佐々木委員、島田(晴)委員、島田(祐)委員、田尻委員、福武委員、八代委員
  4. 議事
  5. 議事内容
    坂東局長
    それでは、所定の時間になりましたので、第1回の「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」を始めさせていただきたいと思います。私は、この専門調査会及び男女共同参画会議の事務局でございます内閣府男女共同参画局の坂東でございます。どうぞよろしくお願いいたします。しばらくの間、議事の進行を務めさせていただきます。
     まず初めに内閣府の坂井副大臣、西川政務官が見えておりますのでごあいさつをと思っております。なお、後で、総理及び男女共同参画担当大臣の官房長官が、今日は代表質問の日ですので国会の代表質問が終わり次第駆け付けるということになっております。冒頭副大臣と政務官に来ていただいておりますのでごあいさつをいただきます。副大臣、お願いいたします。
    坂井副大臣
    皆さん、本日はお忙しいところをありがとうございます。ただいま坂東局長からお話がありましたように、ちょうど1時から4時間40分本会議がありまして、総理と官房長官はひな段にくぎ付けであります。我々も実はちょっと顔を出したらまた戻らないといけませんからあいさつをしたら戻りますが、本当に今日はお忙しい中、心から御礼を申し上げる次第でございます。
     本専門調査会の名称にありますように、仕事と子育ての両立ということは総理から早急に検討すべき課題として宿題が出たわけでありまして、総理にとっても重要な仕事として認識されているわけであります。そういう意味で、この専門調査会ができて我々としても非常に期待をしているわけであります。
     御承知のとおり1月6日から省庁再編になりまして、特色は総理が官邸の主導権を握れるように内閣法の改正をしたと。今まで閣議などいろいろな縛りがあったわけでありますが、そういう形になった。そういう関係で内閣官房あるいは内閣府の設置、そういうことをしてきたわけでありますが、内閣府設置法の中にもこの男女共同参画会議というものを重要政策に関する会議の一つとして掲げているわけでありまして、この省庁再編で各省庁では局がなくなったりいろいろなことになっておりますが、唯一室が局へと格上げになったのはこの男女共同参画局だけであります。それだけ重要な意気込みのあるところであります。
     私は、この男女共同参画会議以外に総合科学技術会議及び経済財政諮問会議の方も担当しておりまして、私の個人的な気持ちで言いますと、やはりそういうものとの連携をうまくしていきたい。すなわち、いろいろなことを言っても最後は予算だとか税制だとかに絡めないといけない。そういう意味で、経済財政担当大臣は麻生大臣でありますが、麻生大臣にもそのことをお願いし、そしてまた坂東局長にもそういう連携をしていきたいということを常々お願いしているわけであります。経済財政諮問会議はもちろん総理が議長で、官房長官がメンバーでございますし、そういう意味でこういう会議の趣旨が専門調査会から男女共同参画会議、岩男委員、猪口委員はメンバーでありますが、そういう形で今までの総理府の時代と違って重要な政策として実現できていくように、私も心から祈念いたしたいと思います。そういう意味で、今後とも何かと皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願いします。ありがとうございました。
    坂東局長
    どうもありがとうございました。続いて、西川政務官お願いいたします。
    西川政務官
    内閣府大臣政務官の西川でございます。いよいよこの専門調査会がスタートをすることになりましたが、なるべく早く結論を見出して概算要求に間に合うようにということでお急ぎかと思いますし、大変お忙しい中ではありますけれども、是非いい方向を見つけ出していただければと考えております。
     実は、昨日私は結婚式に行きました。若年層の結婚式でありましたので、君たちは幸せだと、早く子どもを産んで若いお父さんお母さんに子育てを任せれば早く楽しみが自分にくるんだから早く子どもを産んではという話をしたんです。ところが、うちに帰ってこの話をしましたら、いやそうじゃありませんよと。今は60歳でリタイアしたお父さんお母さんはなるべく子どもを預からずに、自分のリタイアした楽しみを元気なうちに十分味わいたいから別居をしたいんだという話でございました。同居するかむしろ別居するかいろいろ意見が分かれるなと思いましたが、私も子どもが3人おりますので我が家でもどちらがいいのかなと大変悩んだところでありますけれども、やはり本来の仕事と子育てを両立をさせるために、こういうときはどう対応すれば良いのか等、その問題を是非考えていただければと思っております。
     大変重要な会議でございますので、どうぞ皆さん総理にいい提言をしてくださいますよう、心からお願いを申し上げてごあいさつにさせていただきます。よろしくお願いします。
    坂東局長
    どうもありがとうございました。
     それでは、審議に先立ちまして私の方から本専門調査会の設置経緯について御説明をさせていただきます。内閣府設置の経緯につきましてはただいま副大臣、政務官からのごあいさつにあったとおりですけれども、1月6日内閣府に重要政策に関する4つの会議が置かれましたが、その1つとしてこの男女共同参画会議が置かれました。従来設置されておりました男女共同参画審議会を発展的に継承した形で設置されたものでございまして、男女共同参画局の設置と同様、国内の男女共同参画の推進体制の強化ということを目指したものでございます。
     男女共同参画会議は去る1月23日に第1回の会合を開催いたしましたが、その席上、内閣総理大臣から仕事と子育ての両立支援策について会議において早急に検討を進めるべきとの御指示を受けました。これを受けまして、議長でもある内閣官房長官が本専門調査会の設置及びこれに必要な専門委員の設置につきお諮りをし、会議で議決されました。これを受けまして、事務局で専門調査会を設置すべく準備を進めてまいりました。その結果、お手元に辞令を配布させていただいておりますとおり、内閣総理大臣から専門委員9名の任命をいただき、これを受けまして男女共同参画会議議長である内閣官房長官から、専門調査会に属すべき者としてここにお集まりの9名の専門委員及び2名の男女共同参画会議議員の計11名の指名並びに本専門調査会長として樋口委員の指名をいただきました。本日この仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会をこのような形で開催する運びとなりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
     委員の皆様方は学識経験者、また子育てに関わる企業の方、更には自らさまざまな仕事をなさりながら子育てとの両立に務められた方でいらっしゃいます。それぞれの学識や経験を十分に御審議に生かしていただいて、仕事と子育ての両立支援策に関し、総理の期待された処方箋をおつくりいただきたいとお願いをさせていただきます。また改めて委員の皆様方からもいろいろな御意見があると思いますし、また役所側からも御説明いたしますが、過去に大変網羅的、体系的な子育て支援あるいは少子化対策についていろいろな計画ができておりますので、この調査会におきましては改めてそうした体系的、網羅的な計画を立てていただくというよりは、先ほどもちょっと話がありましたように、短期決戦で緊急にこれをという形で、処方箋と言えるような具体的な対応策を御提示いただければと考えております。私たちも事務局として全力でお手伝いをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、あとは樋口会長の方にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
    樋口会長
    私この度、男女共同参画会議議長であります官房長官から御指名を受けましてこの専門調査会の会長をさせていただくことになりました樋口恵子でございます。よろしくお願い申し上げます。
     本当に男女共同参画会議からも岩男委員、猪口委員にお加わりいただきましてありがたいことでございます。男女共同参画会議がなすべきことは、何よりも21世紀の我が国社会を決定する最重要課題という基本法の前文の下に行われておりますから、山とあると思いますけれども、同時に今の日本の女性の人生にとりましても、日本の社会にとりましても仕事と子育てが両立していくこと、女性、そして男性にとっても両立していくことが本当に最重要課題の少なくとも一つであると思っております。少し前までは仕事と子育てを両立しようなどと言うと女のわがままぐらいに言われた時期もあったことを思いますと、総理じきじきの御指示でこのようなテーマの専門調査会が立ち上がったことは、ある意味で21世紀の未来を象徴するような感無量の思いがございます。
     そういうことで、今日は初会合でもございますので以上が私のごあいさつで、できるだけ今、局長もおっしゃいましたように具体的で緊急にできて、そして有効で象徴性のある、そういうのを1つでも2つでも3つでも本当に提言できますればこんないいことはございませんので、この機会に本当に皆様で力を合わせて、私は一番年上でまとめ役ということでございますから御存分に御意見を伺ってまとめていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
     それでは、ここで座らせていただきまして、委員名簿がございます。もう皆様各方面で御活躍の方ですからお顔見知りの方も多いとは思いますけれども、初めての方もいらっしゃると思いますし、時計回りで猪口委員からどうぞ、自己紹介をしてください。
    猪口委員
    上智大学で国際政治を教えております猪口と申します。
     私は、やはりこの分野は楽しい分野として発展していかなければならないと思います。そして、八代委員もいらっしゃるところを恐縮ですけれども、予算を付けたらいろいろな方面に大きなマルチプライアエフェクトといいますか、乗数効果が経済的にも、あるいはもちろん社会的にもあるような、そんな分野として発展させていくことが、この不景気の時代ですので重要ではないかと思います。そして、低迷する時代ですけれども、この分野だけは目に見える進歩があるという、そんなところとして是非仕事をしてまいりたいと思っております。まさに象徴的というお言葉のとおり、シグナリング効果があってみんなの価値感を少しずつ変えてもらえるような、そんな仕事にできればという感じがいたします。
     そして、私の分野は国際政治ですので、ちょうど森総理も今アフリカからお帰りになりましたが、例えばそこの難民キャンプにおいて女児の問題、医薬品が十分に与えられなかったり、あるいは初等教育もままならないというような問題について、御自身のお言葉で非常によく語ってくださっていらっしゃいますので、日本の私たちの問題を考えるときに世界のそういう子どもたち及び女性たちの問題にもつながる視点をどこか入れることができれば、若い世代にとってむしろ非常に説得的ではないかとも思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    岩男委員
    現在は武蔵工業大学の環境情報学部の教授をしております岩男壽美子でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
     この調査会は仕事と子育ての両立支援ということですけれども、男女共同参画会議の一つの専門調査会ということですから、私の解釈として、要するに家庭と職場における男女共同参画を推進するためであるという視点でこれに取り組むんだというふうに理解をしております。
     それから、樋口会長を私はキャッチフレーズの天才と申し上げているんですけれども、先ほど非常にわかりやすい御説明がございましたが、短期決戦で私たちの提言をする以上は目に見えるような、しかもみんなにわかりやすい、これをやってもらってよかったと皆さんが思ってくださる、そういうものに是非焦点を当てていければいいのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
    河野委員
    キャリアネットワークの河野真理子と申します。本当に御経験、御専門の皆様に交えていただき、私も大変光栄に思っております。
     私の大きなテーマは、現場の声の反映ということだと思っております。私は平成元年にパイオニアの子会社としてこちらの会社を発起人としてつくりました。企業と個人のベストな関係を追及しつつ、企業の発展と個人のライフプラン、キャリアプランの自己実現を何とかリンケージできないかということをテーマとした人材育成会社でございます。実は、先週日経連でキャリア開発セミナーというのをスタートさせるに当たりまして講師をさせていただきました。その中で非常に顕著に出てきたのが、男性30代のキャリア不安、その下にはライフプランとのリンケージがあり、この中に共働きという課題が入ってくるからこそキャリアとライフのリンケージが関係してくるということです。その前の週末には銀行の社員で30代のやはり男性がそのようなキャリアビジョンを作成する上での不安をおっしゃっていました。先ほども委員の皆様方から、女性がということではなく男性がということでしたが、これはまさに女性がつくり出したというか、顕著には女性のテーマになっていたのかもしれないんですが、私はずっと男女共の課題だと思っていましたのが、個別のキャリア相談という弊社の事業を通して確実に男性の今のテーマとして顕著に表れてきました。
     ちなみに、女性だけをターゲットにすると20代後半から40代前半までで85%がライフとキャリア両輪でのリンケージ、つまり結婚ではなくて出産と仕事なんですが、これに悩んでいるというのがキャリア相談のデータで出てきましたので、これは当然のことだと思うんですけれども、これからのキャリアの向上はライフプランとキャリアプランの整備からですので、その辺りのさまざまな個別の情報提供をさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    櫻井委員
    櫻井と申します。私はちょっと異色かもしれませんが、警視庁の警察官として36年間勤務いたしました。その間主に青少年の育成に関わっておりまして、現場を踏まえまして、これは教育、いわゆる人間教育、生き方教育の面で子どもたちを育て、あるいはその親を育て、あるいは地域を育てなければどうにもならない意識改革の問題だと感じまして、警察を卒業しましてから日本私学教育研究所といいまして全国の私立中学、高等学校がつくっている研究所で生徒指導を担当しております。
     私がおりました警視庁という職場は、御承知のように大変職場環境的にも厳しいところでございます。その中で子育てをいたしましたときに、やはり自分と価値観を同じくし、あるいは人生観を共有できるような保育ママを探すのに大変苦労をしたんです。しかも、それは1つだけではとても追いつかなくて、3組ぐらいのネットワークを準備していなければ自分というものを生かしていけない。結婚に際しても、夫を選ぶ段階で転勤のない人というのが条件で東京都外には転勤しない人というのを選び、それからまた仕事は絶対続けますと言ったら、主人に、仕事を持つことは理解するけれども協力を期待されては困るとはっきり言われました。主人はほとんどSPの仕事をずっと続けてまいりましたので子育ての援助の期待はまず不可能だったんです。
     そんなことも踏まえて、警察の社会で子育てのために退職していく優秀な女性の人材が多くおりました。そこで、20年前にそういうことを言ったときには、おまえはおかしいんじゃないか、個人的な問題でそういう主張をするのならば辞めろと言われたこともありますが、退職のときにはしっかり後輩のために子育て援助システム、いわゆる意識、価値観を共有する、退職した警察職、あるいは警察官の家族のネットワークをつくって、現在それが機能しております。
     そういうようなことで、子育てを担当するその人自身の、例えば保育士の資質向上に必要な研修制度などについてもお願いしてまいりたいと思っております。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    佐々木委員
    イー・ウーマンの佐々木かをりと申します。よろしくお願いします。
     私も、このような席にお声をかけていただきまして非常にうれしく思っています。私はユニカルという会社を14、15年前につくりまして、今そちらの会社のフルタイム女性の中で既婚者は全員子どもがおります。私どもは子宝会社と呼んでいるんですが、うちの会社に就職をした既婚者で子どものいない人は不妊治療中の人も含めて、皆1年以内に必ず妊娠するということなんです。これは私は、女性がほかの働く女性、ワーキングマザーやネットワーキングなりを見たときに、どれだけ心のたがを外してくれるか、つまり、できるんだと思った瞬間に不妊治療以上の治療ができているということで、みんなで笑って、オフィスの前に鳥居とお賽銭箱を置こうかと言っているぐらいなんです。
     そんな環境で仕事をしてきて、今、私も6歳と1歳の子どもがおりまして2人とも公立の保育園に行っております。上の子が4月から小学校になるので、先日も保育園のお母さんと話をすると、学童は5時で終わってしまう。今まで保育園は長かったのにどうしてくれるんだと、非常に切実な声があったので、私に言ってくれれば総理にお伝えしますと。そういうことでかなり保育園の現場の声、切実に今直面している声を、私もこの件に関してはたくさんの希望があるのでお伝えして、少しでも具体的で象徴的なプランにできたらいいなと思っております。
     また、去年の9月末に私どもはイー・ウーマンというサイトを、インターネット上に女性の声を集めていくための機能も含めてつくりました。許されるならば、そのサイト上でもこのようなことに関わっていることを発表して、多くのワーキングマザーの声も集めてお伝えできたら非常にうれしいと思っております。よろしくお願いします。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    島田(晴)委員
    慶應大学の島田でございます。私は日本は成熟した先進社会になったと思うんですが、いろいろな課題を抱えていると思うんです。一番大きな問題は、そういう国で暮らしている人たちは人生の選択が、自分がこうしたい、こういう生き方で生きたいと思うものが自由に実現できるはずだということだと思うんです。ある種の生き方しかしてはいけないというのは後進社会の考え方であって、制約であって、何でも選択ができる。そのうちの一つが、仕事をしているけれども家庭も、そして子育てもお母さんも立派にやりたいということだと思うんですけれども、それが実はなかなかできない現状なんですね。フルタイムで激しく仕事なんかしようものならばなかなかそれができないということを何とか克服しなければいけないのではないかと思います。
     私は、日本の政府は子育て支援をかなり頑張ってやってきていると思うんです。ものすごい多額の予算を注ぎ込んで頑張っていると思います。しかし、政府が全部それをやるわけにはいかないので、やはりこれから政府の予算も限られているし、財源も限られていますから、民間の力でそれを活発に生かせるということでなければいけないと思うんです。そうすると、政府がやるべき仕事は何なのかというと、今までおやりになっていることはどんどん続けてやっていただいていいと思うんですけれども、やはり民間が仕事をしやすいように規制の緩和というか、改革というかをしていくことが必要だと思います。
     私も実は娘が2人いて、個人的なことはどうでもいいんですけれども、何とグランパになりまして、とっても実は仕事と両立するのは大変なんですね。毎日話を聞いていますと、例えば公立の保育園あるいは認可保育園の4月入園というのがありますけれども、子どもは4月入園するために生まれてくるわけではないので、5月に生まれた人はどうなるのかというととても難しかったり、あるいは施設があちこち空いているのに目的外使用だから使ってはいけないとか、政府が一生懸命やっている割にはいろいろな問題があるんですね。あるいは価格の設定というのも、それは余り高く取ってはいけないという気持ちはわかるけれども、しかし払っていいサービスをしてもらいたいという人は本当にいるんですよね。こういう方々に自由はない。要するに、日本は自由がすごくないですね。
     ですから、私は目に見える規制の緩和をやって、民間の人たちが自己責任で自分の選択が自由に実現できるという社会をつくるために、会長のおっしゃったシンボリックで効果的なものができるように多少なりともお手伝いしたいと、こんなふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    樋口会長
    ありがとうございました。それでは、もう一人の女性の島田委員、よろしくお願いします。
    島田(祐)委員
    オペラとかいろいろな歌を歌っております島田祐子でございます。よろしくお願いいたします。
     私は皆様のような専門家ではございませんで、歌と両立するのに本当に血の出るような苦労をいたしました。そんな経験からなるべく具体的に、そして息子が今28になりまして、2人同じ年でいるんですけれども、1人が結婚することになりまして、その彼女は仕事をしております。それがどういうふうになっていたら仕事も育児もできて、そして精神的な負担が少なくできるのかということを具体的に速やかに提言させていただけるように一生懸命努力させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    福武委員
    ベネッセコーポレーションの社長をやっております福武でございます。今回はありがとうございます。
     私はどういう立場でお話ししたらいいのかということを考えていたんですけれども、やはり自分のわかっているところというのは事業家の分野ですので、事業家という立場でいろいろお話をさせていただければと思います。事業も教育あるいは子育て支援、また介護のビジネスというようなこともやっておりますし、これらについてもっともっとお願いをしたいということです。
     それからもう一つは、多くの社員が子育てをしながら仕事もやってもらっております。そういう面で、そういった子育てをしながら仕事をやってもらっている社員の代弁をしていろいろお話もさせていただきたいと思います。そして、その結果が我が社も株価も上がり、業績もよくなるという、そういったことができればいいなと。逆に言えばそれがプレッシャーになっているという点もあるわけです。そういったことで、大変私は重要な会だと思っていますし、そしてこの会は仕事と子育てと言えばついついワーキングマザーといいましょうか、若い子育てをしながら仕事をされるお母さんのことを思い浮かべるわけですけれども、もう一方で私は女性の社会参画とか、労働力という面からしても介護の分野に関してももっともっと考えていかねばならないのではないかといった点もありますので、そういった点も踏まえてお話しさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    田尻委員
    田尻研治と申します。今日の題が「仕事と子育ての両立」とありまして、樋口会長もおっしゃったように比較的これは女性の課題と言われていたと思うんですけれども、やはり男性も育児に参加してこういう社会をつくっていこうという視点で私自身、体験を含めて参加できたらと思います。
     私自身、上の娘が高校1年になりまして会社といろいろありながら両立してきたんですけれども、現在職場を含めてリストラがすごく激しくなりまして、十何年前の方がよかったような気がするぐらい、今だったらちょっとできないんじゃないかというぐらいリストラの嵐の中でやっと生きているという状態です。岩男委員や八代委員を含めて男女共同参画審議会でつくられたものがあるのですけれども、なかなかそれが労働界といいますか、会社の仕事の在り方に届いていないなということを非常に思っていまして、そういう視点から是非また討論に参加したいと思います。よろしくお願いします。
    樋口会長
    ありがとうございました。最後になりましたが、八代委員お願いいたします。
    八代委員
    上智大学と日本経済研究センターを兼務しております八代と申します。よろしくお願いします。
     私は今まで男女共同参画と、それから少子化対策の方で主として経済学の立場から関わってまいりました。経済学というと、いかにしてお金をもうけるかというようなことを考える学問だとよく理解されております。それと男女共同参画や少子化対策というのは水と油の関係にあるのではないか、例えば少子化対策というのは企業の社会的責任で、いわば女性を保護するためにあるものだというような考え方が強いんですが、これは明らかに間違っている。それは先ほどから何人の委員の方もおっしゃいましたように、有能な人材を活用できる国というのは明らかに競争力が高いわけであって、それは企業の利益追求とも決して矛盾するものではない。いろいろな社会の仕組みがどこかでおかしいから仕事と子育ての両立ができなくなっている。資源配分の効率化政策を追及することによってよりよい社会をつくっていく。そうすることによって、少子化も自然と抑制されるという考え方をベースとして少子化も男女共同参画のなさというのもいずれも社会の制度の問題であると考えております。
     それで、大事なことは幸いこの場では利害関係者という形では選ばれておりません。それぞれみんな専門家の方であって自分の組織の利害とは無関係に話される方でありますから、思い切った提言をしていきたいと思います。
     更に過激なことを申し上げれば、敵はだれかということです。つまり、だれが少子化とか男女共同参画を妨げているのかということを明確にしなければ、先ほど樋口会長がおっしゃったような明確な答えは出ない。いただいている資料などを見ても非常にいいことばかりが書いてあってだれも反対しないことばかり書いてあるんですが、それではいつまでたっても進まない。やはり短期決戦でいくためには、だれがこれを妨げているのか、男女共同参画と少子化対策、それは共通する要因があるわけで、それを明確にするということは事務局は大変かと思いますけれども、そうしなければ実りのある提案はできないんじゃないかと思います。どうもありがとうございました。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。もう何だか本格的な討議に入った感じで問題点が続出してまいりました。今、最後に八代委員がおっしゃいましたけれども、利害関係はなく、言ってみれば自分自身の人生と自分自身の識見をかけて討議できる非常に強力なメンバーで、もう本題に入ったような気がいたしますけれども、これが自己紹介でございまして議事はこれからなんです。これからは座ってやることにいたしましょう。
     まず運営規則というのをご覧ください。名簿の次にございます。これを事務方から御説明をお願いします。
    上杉審議官
    それでは、本題に入ります前に少し事務的な手続きをさせていただきたいと思います。審議官の上杉と申します。よろしくお願いいたします。
     資料2をご覧いただきますと、実は内閣府には4つの重要政策に関する会議がございまして、いずれも1月に親会議がスタートしておりますけれども、この専門調査会として動き出すのはこの調査会が初めてでございます。したがって、この運営規則もこの案がこの調査会のみならずほかの専門調査会のモデルにもなるわけでございます。
     内容をざっとご覧いただきますと、1条は法令等に定める以外の手続きはこの規定で行う。
     2条は、調査会は会長が招集する。
     3条は堅苦しいんですが、欠席の場合は代理はできません。ただし、意見があれば書面で出せます。
     第4条が、調査会の成立には過半数出席が必要です。それから、議事は過半数で決します。
     5条、6条は公開の関係で、議事要旨を速やかに作成して公開する。そして、正確な議事録については一定期間を置いて作成して公表する。
     そして、念のための規定でございますが、会長に事故等がある場合にはあらかじめ指名する委員が職務を代理するということ、いわば会長代理を御指名いただくということでございます。以上でございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。運営規則について何か御異議か御質問はございますでしょうか。
     よろしゅうございましょうか。では、こういう形で決定させていただきます。それで、ここに載っております第7条で会長に事故あるときはというのは、これは事故は本当にありそうですので、島田晴雄委員、会長代理をひとつよろしくお願いできますでしょうか。
    島田(晴)委員
    それは大変重い大役ですけれども、何とかがんばります。
    樋口会長
    よろしくお願い申し上げます。
     では、今日はこのままの席でやらせていただきまして、議題の2に進ませていただきます。「政府における仕事と子育て両立支援策について」ということですが、先ほど来だれも反対できないような立派なことをかなり政府も予算をかけてやっているではないかというようなお話がございました。その割に効果が上がらないといっては申し訳ない、それなりに効果も上がっているんだと思いますので、今までに政府で行われてきました仕事と子育ての両立支援策、私たちはやはりこれを踏まえて行うことが必要だと思いますので、そこら辺の一生懸命やってきた部分をまず内閣府及び厚生労働省から御説明を伺い、その後で質疑応答、委員の皆様で今日は自由にディスカッション、そのうちに代表質問の波をくぐり抜けて総理、官房長官などがお見えになると思いますから、そんな順で進めたいと思っております。
     それでは、御説明を内閣府の方からよろしくお願いいたします。
    村上課長
    男女共同参画局推進課長の村上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     仕事と子育ての両立支援策につきましては、昨年の12月12日に閣議決定されました男女共同参画基本計画にも盛り込まれております。それで、お手元に資料3-1、資料3-2という形で関係資料をお配りいたしておりますので、それに沿いまして男女共同参画社会の形成の観点から政府全体として取り組むこととしております両立支援策の方向性について、具体的施策にも触れつつ紹介させていただきます。
     それでは、まず初めにお手元の資料3-1の2枚紙、「男女共同参画基本計画の策定について」という資料に沿いまして説明させていただきます。
     まず1ページ目ですが、1の「男女共同参画基本計画の位置付け」です。平成11年6月に公布、施行されました男女共同参画社会基本法第13条におきまして、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画、すなわち男女共同参画基本計画を定めなければならないこととされております。12月12日に閣議決定された男女共同参画基本計画は基本法に基づく初めての計画でございます。
     ここで、策定に至る経緯について説明させていただきますと、平成11年8月に内閣総理大臣から男女共同参画審議会に対して、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について諮問が行われ、平成12年9月26日、この審議会より男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方を答申いただきました。政府はこの答申を受けて、また国民各層から御意見をお聞きして男女共同参画基本計画の策定作業を進めました。基本法第13条では男女共同参画審議会の意見を聞いて基本計画の案を作成することとされております。それで、12月11日に基本計画案を男女共同参画審議会にお諮りいたしました。すなわち内閣総理大臣から男女共同参画基本計画(案)について諮問され、同日審議会より、計画(案)は本審議会が平成12年9月26日に答申した男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方の趣旨におおむね沿うものであり、妥当であるとの答申をいただいております。この諮問文、答申文も資料としてお手元に配布いたしております。そして、翌12日に男女共同参画基本計画が閣議決定されました。
     次に基本的考え方ですが、計画の策定に当たりましては平成8年に男女共同参画推進本部において策定、決定されました「男女共同参画2000年プラン」を基礎として、男女共同参画審議会の2つの答申、すなわち平成12年7月の「女性に対する暴力に関する基本的方策について」、それから9月の「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」を受け、更に平成12年6月に開催された国連特別総会「女性2000年会議」の成果も踏まえつつ策定しております。
     3の「構成」について申し上げますと、この計画は3部構成となっておりまして、第1部は「基本的考え方」、第2部は「施策の基本的方向と具体的施策」、第3部は「計画の推進」について書かれております。
     第1部の「基本的考え方」では、基本法の制定までの経緯、計画の基本的考え方と構成を記述しております。第2部の「施策の基本的方向と具体的施策」では、11の重点目標を掲げてそれぞれについて「施策の基本的方向」において平成22年、西暦2010年までを見通した長期的な施策の方向性を記述し、「具体的施策」においては平成17年度末までに実施する具体的施策を記述しております。第3部では本計画を総合的かつ計画的に推進するための方策、そのための推進体制の整備強化について記述しております。
     それでは、基本計画における仕事と子育ての両立支援の取り組みについてですが、本体の冊子の43ページをご覧いただければと存じます。内容の説明に入ります前に、この第2部の各項目の組み立てについて申し上げますと、43ページの右側のページの枠囲みの中でその項目の概観について述べております。1枚めくっていただきますと見開きになっておりまして、左側には今後10年間を見通した施策の基本的方向、右側にはそれに対応します今後5年間に実施する具体的な施策が示されています。
     それでは、43ページをご覧いただきます。これは概観でございますが、少子・高齢化が進展する中で、仕事と育児や家族の介護を両立できるようにすることは、我が国の経済社会の活力を維持する上でも、男女が安心して子どもを産み育て、家族としての責任を果たすことができる社会を形成していく上でも重要である。また、地域社会が変容する中で、地域に男女が共に参画できる条件整備を進め、地域社会への貢献を進めることにより、地域社会を豊かなものとしていくことが期待されている。更には、男女共同参画社会基本法では、男女共同参画社会の形成についての基本理念の一つとして、「家庭生活における活動と他の活動の両立」を掲げている。こうした状況を踏まえ、男性も女性も家族としての責任を担い、また、社会がこれを支援していくことが重要で、特に男性については従来の職場中心の意識・ライフスタイルから職場・家庭・地域のバランスのとれたライフスタイルへの転換が求められている。このため、保育・介護サービスの充実、育児や介護を行う労働者の就業条件の整備、家庭、地域社会における男女共同参画を進め、男女が共に職業生活と家庭生活、地域生活を両立することができる基盤を整備していくこととする旨が掲げられております。
     次のページをめくっていただきますと、ここでは「施策の基本的方向」を3つの柱によって構成しております。1番目の柱が「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」です。ここでは少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランに基づき、多様な需要に対応した保育サービスの整備、子育ての孤立化や不安の解消を図るための相談、支援体制の充実などに努め、また一人親家庭等は子どもの養育等で大きな不安を抱えているので、これらの家庭の経済的、社会的自立を促進するための施策の充実を図る旨が掲げられております。
     具体的な施策としては右側のページですが、アの「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」として「保育サービスの整備」、これは多様な保育サービス需要に適切に対応し、仕事を始めとする他の活動と子育ての両立の負担感を軽減するため、低年齢児を始めとする保育所受け入れ枠の拡大を行うほか、延長保育、休日保育、夜間保育、病気回復期にある乳幼児保育の普及、それから事業所内託児施設の設置運営に対する支援を行いますとともに、一時保育や育児サークルの支援を行うことなどを書いております。
     それから「放課後児童対策の充実」として、学校の余裕教室を活用した放課後児童クラブの推進、それから「幼稚園における子育て支援の充実」として幼稚園の施設や機能を地域に開放して地域の実情に応じた子育て相談や保護者同士の交流の場の提供の推進、または通常の教育時間終了後も引き続き希望する園児を預かるなどの幼稚園の運営の弾力化について書かれております。
     それから、「子育てに関する相談支援体制の整備」として子育ての孤立感や不安の解消を図るため、地域子育て支援センターにおける相談支援体制の整備、家庭教育に関する相談体制の整備など、またその他「子育てのための資産形成の支援」「児童虐待への取組の推進」「子育てを支援する良質な住宅、居住環境及び道路交通環境の整備」について盛り込んでおります。
     更に次のページをめくっていただきますと、イの「ひとり親家庭等に対する支援の充実」ではひとり親家庭の親等の就労と子育てへの支援について述べております。
     次に、施策の基本的方向の2つ目の柱であります46ページの真ん中の「仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備」においては、労働者が仕事と育児・介護を容易に両立させ、生涯を通じて充実した職業生活を送ることができるようにするため、仕事と育児、介護の両立に関する意識啓発の推進、育児・介護休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境の整備、育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備を進める旨が掲げられております。
     具体的施策としましては47ページの真ん中のアの「仕事と育児・介護の両立に関する意識啓発の推進」では、仕事と家庭を容易に両立できるよう、労使の理解を高めて職場における労使一体となった取組を促進するとともに、固定的な性別役割分担意識の解消や職場優先の組織風土の是正に向けて広報活動を実施することなどを挙げておりますし、イの「仕事と子育ての両立のための制度の一層の定着促進・充実」では育児休業その他仕事と子育ての両立のための制度の一層の定着促進として、男女労働者ともに希望すれば育児休業を取得できるよう、制度の周知徹底及び企業における制度の定着に向けた指導を行うとともに、育児休業給付について活用を促進し、また育児のための勤務時間短縮等の措置や育児を行う労働者の深夜業を制限する制度等の周知、定着を図ること。
     それから「仕事と子育ての両立の促進に向けた制度の充実」として、子育てを行う男女労働者の時間外労働が長時間にわたる場合に、時間外労働の免除を請求することができる制度や、子どもの看護のための休暇制度の在り方等について検討を行うことなどを掲げております。
     次に1枚めくっていただきましてエの「育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備」では、「企業の子育て・介護支援の取組に対する評価」としまして、仕事と育児と介護とが両立できるさまざまな制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行うファミリーフレンドリー企業を目指す企業の取組を支援することなどを記述しております。
     それから、「地域の子育て・介護支援体制の整備」として、急な残業や子どもの急病などに対応して臨時的、突発的な保育や軽易な介護を地域における相互援助活動として行うファミリー・サポート・センター事業の拡充を掲げております。このほか、「育児・介護を行う労働者に対する相談・情報提供」を盛り込んでおります。
     続きまして、48ページの(3)の「家庭生活、地域社会への男女の共同参画の促進」、これは施策の基本的方向の3番目の柱でございますけれども、ここにおきましては男女が共に職業生活と家庭生活との両立を図ることができ、また地域社会にも参加することができるようにするという観点に立ちまして、その基礎的な条件である労働時間の短縮を図るとともに、特にこれまで家庭や地域への参画の少なかった男性の家庭・地域生活への積極的な参画の促進を図ることとし、またボランティアやNPOなどによる活動を通じて各種の地域活動へ男女が共に積極的に参画できる方策の充実を図るという旨が掲げられております。
     具体的施策としましては49ページの真ん中ですけれども、「家庭生活への男女の共同参画の促進」では「男女の固定的役割分担意識の是正のための広報・啓発」「家庭教育に関する学習機会の充実」「父親の家庭教育参加の支援・促進」、それからイの「地域社会への男女の共同参画の促進」では「地域社会活動への参画促進」「地域の教育力の再生」「消費者教育の推進・支援」「環境保全活動への参画の支援」「ボランティア活動等の参加促進のための環境整備」「NPO等の活動への参画促進のための環境整備」。
     それから、ウの「労働時間の短縮等就業条件の整備」では「労働時間の短縮」「フレックスタイム制等の普及促進」「勤労者リフレッシュ対策」等を盛り込んでおります。
     男女共同基本計画における仕事と子育ての両立支援の取組についての御説明は以上でございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。ただいまのは内閣府からの御説明でございましたけれども、引き続き厚生労働省から御説明いただきたいと思います。
    皆川課長
    厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長の皆川と申します。よろしくお願いいたします。
     私どもの局は、旧労働省女性局50名と、それから旧厚生省児童家庭局82名の132名の局でございまして、八代委員のおっしゃるようにもし政府にこの問題のいろいろなターゲットがあるならば8割方政府の中でもこの局が負うということでございますので、少し心して説明をさせていただきたいと思っております。
     ただ、私に与えられたマンデートとして今日事務局からいただいたのは、要するに委員の皆様方がパンチのあることを考えられるように今までの取組、今までのやり方、これをお話せよということでございます。資料に沿いまして15分ほどやりますが、少し私どもの局でいろいろなブレーンストーミングをしていまして、問題意識というんでしょうか、これまでのやり方についての問題意識について、若い連中で話し合っていることを若干御紹介をさせていただきたいと思うわけでございます。
     厚生労働省ということで30枚ほどの資料がまずございます。この資料に基づきまして簡単に御説明させていただきます。まず1ページ、これはこれまでの大きな流れでございます。関係の先生方にも多数協力をいただいて各種会議あるいは各種意見等をまとめながら私どもやってきましたが、本格的に始めたというのは平成2年ごろに1.57ショックというものがありまして、そのときに平成2年8月に関係省庁連絡会議というものを設置いたしました。これは割と事務的な会議でございまして、かなり内容的には詰めたものを議論したわけですが、こういうことからスタートしました。
     また、こういう提言だけではなく、具体的なエンゼルプランの作成ということで平成6年に策定をいたしました。この中身については後ほど少しありますが、同時に特に保育を中心に具体的な数値を持ったプランをつくろうということで、このときに緊急保育対策5か年事業の策定を行っております。ただ、これもやはり閣僚レベルで御相談というよりも関係省庁間での御相談の中でやってきたということでございます。
     このエンゼルプランの5か年の終了が間近になった平成10年から11年ごろ、厚生省も厚生白書やいろいろな有識者会議の場でやはり少子化対策はもっと本格的にやらなくてはいけないということで、特に総理主催、これはおつくりになったのは橋本総理で、報告は小渕総理になりましたが、「少子化への対応を考える有識者会議」というものを開催していただきました。この中で1つは働き方に関する事項とか、あるいは家庭、地域、教育に関する事項とともに、どういうふうに推進をしていくかということで、その下にございますような少子化対策推進関係閣僚会議、要するに閣僚レベルの広範な事業の内容を検討する場、それからもう一つは少子化への対応を推進する国民会議ということで、国民の各レベル、あるいは各団体が一体となってこの問題を考えていこうという推進体制をつくっていただいたわけです。そして、その閣僚会議の具体的な検討の結果といたしまして11年12月に少子化対策推進の基本方針と新エンゼルプランをおつくりいただいた。更には12年の4月に国民会議を開催しまして、各団体がどういう取組をするかという取り決めをしていただいて、今後毎年ローリングをしながらやっていこうとなったわけでございます。
     ただ、一方で御案内のように最近虐待の事例が大変増えている。平成2年ごろ我々も虐待の統計を取り始めたんですが、そのころに比べて10年で10倍になっている。それから、12年、13年の統計はないですが、虐待の報告は恐らくその10倍になった11年よりも更に大きく増えているんじゃないか。こういう状態になっている。この事態をいかに見るかというのは本当に真剣に私どもが悩んでいるところでございます。
     それから、その中身でございますが、4ページをお開きいただきますと、少子化対策推進関係閣僚会議で幾度にもわたって御議論いただきました。新エンゼルプランということで右側の関係6大臣合意でございます。この中身につきましては6ページでございまして、これは先ほど村上課長が御説明になった事項ともかなり重複をいたしますので詳しくは御説明をいたしませんが、例えば上の方から基本的な施策と書いてございますが、固定的な性別役割の分業や職場優先の企業風土の是正とか、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備、それから3番目の家庭や地域の環境づくり等々、幾つかの基本方策が出されておりまして、それを具体的に政策化するという意味で7ページの新エンゼルプランというものが策定をされました。
     これは主な内容も関係省庁も多岐にわたっておりますが、特に私どもで申しますと1の「保育サービス等子育て支援サービスの充実」、それから「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」ということですが、ここにつきましては言葉だけではなくて具体的な中身、それから具体的な中身を量的に設定していつまでに達成をするか、あるいはそのための手段は何かというものをこと細かく決めております。例えば予算上の措置であれば9ページでございますが、5か年計画をつくりまして平成12年度から16年度を目標にいたしまして低年齢児の受け入れの拡大、あるいは延長保育の推進、休日保育の推進等、こうした数値目標をもって5か年で達成をする。それから次のページでございますが、毎年度の予算でその計画をどの程度達成するか、個々具体的に決めていく。例えば2番目の延長保育につきましては平成11年度は7,000だったんですが12年度は8,000、13年度は9,000で、この調子で16年度を待たずして達成をしたいという気持ちで予算を組んでいるところです。それから、真ん中ほどからちょっと上のところにある地域子育て支援センター、あるいは一時保育の推進、これは前のエンゼルプランではなかなか進まなかったんですが、5年たってみて徐々に地域で進み始めた。前の計画で3,000か所だったんですが、達成率が非常に低くて2割、3割だった。ところが、今、急にそういう情勢になったのか、あるいは地域における体制が整ったのか、例えば、地域の子育て支援センターでは11年度1,500か所が1,800になり、恐らく13年度は2,100と、かなり急速に達成できる分野もある。要するに、施策は打ちますがそれに少し導入の時期がかかるとか、一たん始まってしまうとかなり広がるとか、こういう分野も結構あるというようなことを私どもは実感をしておりますが、いずれにしましても早目に目標達成できるような形でここ数年は相当毎年度の予算にも力を入れております。
     それで、エンゼルプランは10ページでトータル3,153 億円と書いてありますが、2000年度の児童関係で私どもの局の予算が1兆円を超えております。確かに高齢者対策は相当お金がかかります。しかしながら、児童関係も1兆円の事業となっている。それでどういう効果を追及していくかというのはかなり問題意識としては持っているつもりでございます。
     それから、資料としていろいろ付けておりますが、先ほどの御紹介の中でもお話があった直近の施策について2つだけ御紹介をさせていただきたいと思います。
     1つは17ページでございます。昨年女性少年問題審議会建議というものがございまして、育児・介護休業法に関して制度改正を随分御議論をしていただきました。これはその結果がまとめられたものでございまして、詳しい内容は21ページから書いてございます。例えば17ページの1でございますが、「育児休業・介護休業から復帰後の職務・処遇について」、これにつきましては今の法律でも育児休業を終わった後、当たり前のことかもしれませんが、解雇は禁止だという禁止規定がございます。その解雇だけではなくてここにございますように処遇の不利益取扱、こういったもの全般について禁止するように法律を改正したらいかがかというような建議でございます。
     それから時間外労働の制限についてということでございますが、従来労働基準法では女性につきましては時間外労働の制限がございました。具体的には1年間150 時間以上については制限される。ただ、男女雇用機会均等法の改正に伴いましてその部分が改正をされまして、そういう制限がなくなって、男女平等だということになった。ただ、ここにございますように、女性ということだけだからではなくて育児、または介護をされている女性については3年間その措置を残そうということになっていましたが、その措置が来年の4月1日で切れます。そこで、労働基準法ではなくて今度は育児・介護休業法の中で男女を問わず、女性だけでなくて男も含めてこういった状況、小学校の就業の時期に達するまでの子の養育あるいは要介護状態にある家族の介護を行う男女労働者、これらの方々についてはその方々の請求によりまして時間外労働の制限についての基準を設ける。これは3年間の時限措置ではなくて恒久措置として実施をしたらどうかという建議でございます。
     それから、勤務時間の短縮等の措置といいますのは、今までも育児休業制度はありながら、女性の方は5割くらい取っているという統計もありますが、育児休業を取らない方々も決して少なくない。そういう方々に対して企業、事業主は例えばフレックスタイム、あるいは始業時間、終業時間の移動などをして働きやすい環境をつくらなければならないという義務がありました。この義務は育児休業期間中ですから1歳まででしたが、今後はそういった義務について3歳までにしたらどうか。3歳まで行ってそういう就業しやすいような状況をつくってもらったらどうかという建議でございます。
     それからこのほかにもあるのですが、大きなものの1つとしては例えばお子さんが病気になったとき、やはり法定の休暇制度の中ではなかなか厳しいということで、大手の企業によっては実際法定のお休みのほかに何日かという実施をしている。ただ、これについてはいろいろ経済界の御意見、労働界の御意見もありまして、調整の結果、今回は努力規定ということで、そういうことを法律の中で努力してもらうという建議もございまして、私どもとしてはほぼこれらの内容を受けまして、今回の通常国会に予算関連法案としてこういった内容を盛り込んだ法律改正を提出するということを考えております。
     それから、もう一つ大きな話で保育の話がございました。規制緩和についてもございましたが、7ページでございます。保育サービスにつきましてはここの左側のグラフにございますように平成6、7年ぐらいまで全体としては実は保育所に入る方というのは減ってきた。これは、逆に言うと定員は抱えているけれども超過定員になっているというところがあって、郡部を中心に減ってきた。もちろん一方で都市部については当然のことながら増えてきているという状況があったんですが、平成6、7年を境に要因分析をしてみると右のようにゼロ歳児とか1、2歳児、こういったお子さん方が中心に入所されるということで、やはり全体の利用児童数はそれを境に増えてきたということでございます。
     それで、下の小さな字で恐縮ですが、平成12年には合計で今2万2,200か所の保育所、いわゆる認可保育所、このほかにももちろん無認可の保育所等々はあるわけですが、私どもが把握している認可保育所ではここにございますように178 万8,000人のお子さんが御利用されている。これはゼロ歳から6歳の子どもさんの25%でございます。それで、一番下の3歳児、4歳児を合わせますと、この年齢層では35.4%になっていまして、実はこれと幼稚園に行かれている方を合算いたしますと、4歳以上児というんでしょうか、その9割以上、九十数%が保育所なり幼稚園を利用されている状況です。一方で、ゼロ歳児につきましては現在6万5,798人、これは右のように増えたといいましてもこの同年齢の児童の中の5.6%、それから1、2歳児につきましては46万932人、19.2%です。ただ、この数字は12年の4月だったと思いますが、13年度は相当増えていますので、結果はわかり次第お知らせしますが、このときはこういう数字であるということでございます。
     それで、お金の話は何ですので詳しくは説明しませんが、28ページにありますので後でご覧いただければと思いますが、中ほどから上の方に実は保育所自体は2万2,200か所あって、それ自体の定員は増えていないけれども入所児童が増えているということでありまして、それは何かと言うと、今まで空きが相当、世の中全体で見るとある。もちろん足りないところもある。しかしながら、全体の定員は増えずに入所数は毎年4、5万ずつ増えてきているという状況です。
     そういったことを促進するために、先ほど規制緩和のお話も出ましたが、私どもとしても逐次いろいろなことをやってきたということでございまして、自治体などから非常に効果があると言われているのは例えば定員の弾力化です。ここに書いてございますように今までは定員だけ、それから定員に対して職員が何人と決めてそれ以上お入りになれなかったのを、例えば先ほど年度途中のお話も出ましたけれども、年度当初は定員プラス15%。それから年度途中は年度途中でお生まれになった子や、移動して編入してきた子もあるということでプラス25%まである。それから、育児休業、産休明けの方については無条件で枠をはめないで受け入れる。今こういう指導をいたしております。
     それから、都市部などでは土地の問題等があってなかなか保育所がつくりにくいということで、分園方式と言っておりまして、保育所があって、例えばそこを本拠地にしまして30分とか40分ぐらい離れた土地でも大体5、6名からお集めいただいてできるような保育というのをやっているというようなことです。それから、これは福武委員のところも御活用いただいているとは思いますが、設置主体制限の撤廃ということで、これまで社会福祉法人と、特に市町村でなければ社会福祉法人と限定していたのを株式会社、学校法人、NPO、農協、生協、ほとんどの考えられる設置主体についても設置いただけるような法改正をしているというようなことです。
     それからもっとという御要望も多いんですが、先ほどちょっと分園の話をいたしましたが、本来の保育所の最低定員の引下げ等々をしていく。
     ただ、29ページでございますが、そういうふうにいたしましても待機児童が3万2,933名、これは私どもに報告があったものです。私どもとしてはちょっと意外だったのは、入所者が5万人ほど実際に増えたにもかかわらず、その上で待機児童数が去年とほとんど変わらなかった。要するに、5万人実際に増えたんですが、更に5万人ニーズがあった。あって、結果として全体としてこうなったということです。
     ただ、これも先ほど来申し上げましたように非常に地域性があります。特に中核都市とか指定都市で相当待機率がある一方で、郡部についてはむしろ待機児童ゼロ、あるいは過剰定員というところがある。それと同時に、そういう同じ中核都市でも努力をされているところ、先ほど御説明したいろいろな規制緩和を活用して分園をつくったり、それからこの上に出ています少子化対策臨時特例交付金で小さな民間の保育所を設置をするなど努力をされているところと、努力しないとは言いませんが、そのようなところでは現実はかなり差がある。ですから、一口に数字と言っても細かく御議論いただきまして、あるいは施策というものはどういうふうに展開するか。先ほど申しましたように5年間ぐらいなかなかできなかったのが急にできてくるというようなものもある。こういう見方を是非お願いをしたいと思うわけでございます。
     残りは5分ぐらいですが、両立対策以外にも私の方の気持ちとしては確かに子育てと仕事の両立というのはメインでありますが、やはり岩男委員がおっしゃられたように家庭におけるそういった児童の問題、それから地域における児童の問題、これがいろいろな意味で一体にならないと、本当に仕事と家庭の両立だけでいいのかというふうにも問題意識を持っております。そういう意味で、そこの原因が本当に何なのかというのはよくわからないんですが、いろいろな施策を講じながらも虐待が一向に減らない。これは専門家に言わせると、構造的にそういうものであって減るなどということを考えてはいけないし、減らないということを前提にどういう対策を講じるかということだそうです。受け売りですが、要するに、家庭が孤立化するといろいろな問題が、どうしても老人なり子どもなり一番の弱者に出てくる。こういう問題が今の日本の社会では本当に顕在化している。一説によりますと、虐待というのは産まれてくる子どもの3%ぐらいは経験をするそうです。3%と言いますと今120 万人ぐらいお産まれになっていますから、3万人か4万人、これが1歳分ですから、これが10歳、11歳、12歳まで続くとやはり30万、40万になる。私どもには統計はないですが、ちょうど人口が半分のイギリスではやはり15、16万人の虐待が報告されている。そうすると、やはりその数字はそうなのかなと。それで、いろいろこの1ページにありますように親子の健康の確保から子育ての支援、この子育ての支援というのは今の両立支援だけではなくて一般家庭を含めての支援を要する。それから、子育てと仕事の両立についても本当に出産から年齢区分なしまで、私どもとしてはいろいろ御批判はあるかもしれませんがそれなりのメニューはある。それから、児童虐待もやはり児童福祉法は古い法律ですがそれなりにメニューはある。それから、経済的支援についてもいろいろな御議論があるんですが、児童手当てもあるし、それから母子家庭については児童扶養手当てもある。
     これは、本当は昨日今日つくったばかりで、このほかに文部科学省の施策もここに張り付きますし、今日おいでになっている農林水産省の施策も当然張り付きますから、埋めてみると相当なものになるんじゃないかとは思います。
     ではどうするということになります。それは本格的に御議論いただきたいと思いますし、これもつくったばかりで本当に個人的な意見の域を出ないわけですが、次のページで、先ほどのいろいろなお話の中にも出ていましたけれども、例えば仕事と子育ての両立といっても政策側から言う保育の問題もあれば、事業所、企業の対応とか、さまざまな問題があると思うんです。それで、これは間違いだと思われるかもしれませんが、ここで黒に塗りましたのは、量はどうかわかりませんが、それなりに我々も考えて法律もあって何年も取り組んできた、最近はいろいろな具体的なプランをつくってきた、もちろん企業の方もやってきたんですが、それなりに対応してきたという気持ちの若干の反映です。
     ただ、一方で上の方の仕事と子育ての両立から言うと、働き方は個人の問題、それから事業所の問題である。私どもも育児介護休業法とか、職業安定の法律とか、あるいは労働基準法がありますが、本当にどこまでできるかというのはやはり企業なり事業所なり、あるいは個人なり、それから働く男性の意識の問題もあるので、その網がどこまで広がっていくかというのは政策的に難しい。これをどういうことでやっていくかというのは国民運動になるのか、あるいはもう一つ別の施策になるのか、これは少し考えなければいけないと思っています。
     それから、下の方にセーフティーネットとあるんですが、虐待の問題に見られますようにセーフティーネット自体も盤石ではないし、昔はどちらかというとそういうケースはレアケースだと思って対応してきた傾向がある。そういう意味で、セーフティーネットは今の法律では大体都道府県を単位に張られてきているんです。ところが、先ほどの家庭の孤立化から始まっていろいろな問題、例えばこれはストーカーの問題もあれば介護の問題もあれば特に児童の虐待問題がある。こういう状況のときに、本当に都道府県レベルだけでいいのだろうか。一方で、保育所はがっちり市町村のレベルになっているし、市町村はかなりやってきている。その間で地域の子どもというのがこういう家庭の状況でどうしたらいいんだろうか。我々もこれは何もやっていないわけではなくて、地域のネットワークづくり等をしていますし、市町村も一生懸命やっています。しかし、なかなか昔からのアプローチはこうで、やはりここら辺から少し外れてくる子どもたちがセーフティーネットにかかる前にいろいろな事件を起こしてしまうとなどということがある。そういう意味では、少しこの仕事と子育てと直接関連するわけではないのですが、社会全体がそういう子どもたち、あるいはそういう家庭を支えながら、その延長というか、1つのケースとして仕事と子育ての両立を考えていかないといけない。私どもは全体を考える中でどうやってこれをとらえていただくか。そういうことでの御議論、御示唆をいただければ、私どもなりに弱いところを、お金をかけ過ぎかと思われるかもしれませんが、そういうことを検討していきたいと問題意識として思っているわけでございます。
     以上、簡単でございますが、よろしくお願いいたします。
    樋口会長
    どうも御説明ありがとうございました。ただいまの内閣府と厚生労働省からの御説明について、まず御質問がございましたらうかがいますが、いかがでしょうか。ほかにも本日は文部科学省及び農林水産省の方にも御出席いただいておりますので、今の御説明を中心に政府の方に御質問がございましたらどうぞ。
    島田会長代理
    今、保育園の定員は何人ですか。178 万人入っているそうですが。
    皆川課長
    192 万人です。
    佐々木委員
    多機能保育所というのは何ですか。
    皆川課長
    多機能保育所というのは予算上のものの1つですが、要するに面積を広くしたいという私どもの思いがありまして、改築とか老朽化対応などで面積を広くすれば、先ほど申し上げましたような定員の弾力化とかできるわけですね。そういうものを多機能と称して、いろいろな機能ができるように面積を広げて改築をしていただく。そういうところに補助を手厚くするという仕組みでございます。
    佐々木委員
    一般の保育園の改築をした後の保育園ということですか。
    皆川課長
    それから、既にあって基準で定められているような面積よりもかなり大きな面積、そこが例えばファミリー・サポートセンターも含めていろいろな機能をそこに附随できるということで、そういうものを多機能保育所と言っております。
    島田(祐)委員
    延長保育の中に夜間保育は入っているんですか。
    皆川課長
    入っています。
    島田会長代理
    保育所の地域分布の格差が随分あるとおっしゃったんですけれども、次回か次々回に地域別の充足率みたいな表を出していただいたらありがたいと思います。
    皆川課長
    御用意させていただきます。
    樋口会長
    このごろはインターネットか何かでその地区ごとの定員過剰などが父母の方でもすぐ取れるようですね。
    皆川課長
    今月、定員を初めとした情報提供を立ち上げましたが、現在6割の保育所をカバーしています。まだ登録されていない保育所があと4割ぐらいありますので、それが全部整理されるとほとんど完璧になるということです。
    樋口会長
    いつか事件を起こしたいわゆるベビーホテルについての情報などというのはどのぐらい集まっているのですか。
    皆川課長
    そこは、私どものシステムの中では集めてはいません。ただ、自治体ごとに当然のことながら立入り権限があってそこに入ってもらうと、そのためにはかなり詳細な情報は集めさせていただいているということでございます。
    田尻委員
    17ページで御説明がありました育児休業法ですか、時間外労働の制限とか勤務時間の短縮等についての建議の御説明がありましたけれども、その内容というのを例えばこの会議で議論して、もうちょっと進めた形で内容がまとまった場合、今度はそこにまた加わるという可能性はあるんでしょうか。
    皆川課長
    正直申し上げますと、これはかなり長い間、利害関係者で労がいて使がいて公益がいて、そこで何回も何回もやった結果の建議がこれだということで、それが18ページ以降詳しく載っています。そこの建議を踏まえて、政府としては今回法律を出したということでございます。経緯から言いますと非常に長い時間をかけて利害調整をしながらここに至ったということで、その中身を私が御説明させていただいたということでございます。
    田尻委員
    ここは非常に大事な部分ですね。
    福武委員
    2点ほどですが、男女共同参画基本計画の43ページについて先ほど御説明があったんですが、この5章の最後に、保育、介護サービスの充実云々とありますね。この文章を受けて45ページは子育ての支援策で保育サービスの整備で保育所の設置主体制限の撤廃も踏まえてという文章があるんですが、47ページのウで仕事と介護の両立のための制度の定着促進等介護休業といろいろあるんですが、なぜここには同じように介護施設等の設置主体の制限の撤廃というような文章が並列して並ばないんですか。私は項目としては同じだと思うんですけれども、その背景を教えてもらいたい。
     それから次は厚生労働省の方で、2ページの資料で先ほどもちょっとお話があったと思うんですが、合計特殊出生率で都市部と地方では多分相当違うと思うんですね。都市部は東京の武蔵野では1.0 を割ったというふうな話も聞いていますので、その辺はもしデータがあれば何か出していただければありがたいと思います。
    皆川課長
    後半のところはおっしゃるとおりで、詳細なデータはあると思いますからできるだけ御提出します。それを基に自治体では非常に危機感を持っていて、もちろん介護も大事なんですがいよいよ少子化の対策に本腰を入れているということもあります。
     ただ、相当膨大なものでございますので、どういうまとまりにすればよろしいのか。市町村ごとですか。
    福武委員
    大体の傾向がわかればいいと思うんです。一応私も平均値で1.0 を切っていると聞いているんですけれども、1.0 というのはやはり大きな問題だと思うんです。
    皆川課長
    では、御提出させていただきます。
    村上課長
    前半の部分ですけれども、介護につきましては介護保険がございまして、訪問、通所等の在宅サービスにつきましては民間企業も全く同じ形で介護報酬も入りますし、そういう意味では規制はほとんどないと言ってもよいようで、委員もよく御存じのとおりです。施設につきましては保育園と違って夜もずっと生活するわけでございまして、その際に経営がもし破綻した場合にどうするかとか、いろいろな配慮が必要で、さまざまに検討しなければならないことがあって、全く同列にというわけにはいかないということかと存じます。
    福武委員
    それでは、また会の中で意見を言わせていただきます。
    樋口会長
    ほかに御質問ございませんでしょうか。
    田尻委員
    関連といいますか、男女共同参画基本計画の例えば49ページで、これは例えば内閣府とか総務省とかすべてに関わってくるという意味合いで書かれていますね。それで、お聞きしたかったのは、ちょっと意地悪な感じかもしれないんですが、具体的にこれをもう少し進められて、どういうことをなさってどういう目標をとか、例えば内閣府だったら49ページの内容についてもっと具体的におやりになるとか、そこら辺はどうなっているんでしょうか。
    村上課長
    家庭生活への男女の共同参画の促進に関して広報啓発などが出ておりますけれども、例えば男女共同参画週間というのが来年度からスタートします。内閣府はじめ各省庁一致して取り組むことになるわけですけれども、そういう機運を高めていこう、そういう認識を高めていこうということです。先ほど委員がおっしゃった男性職場中心の意識やライフサイクルを見直すという非常に大きなテーマでございますので、これは政府を挙げて、取り組むべき課題ではないかと思っています。
    樋口会長
    時間もだんだん迫ってまいりまして、40分ごろには総理がお見えのようですけれども、これから自由討議ということにいたします。各省庁の御努力はよくわかっておりますし、あるところまでくると例えば今の保育所のように急に進行率が早まるということはあるようですが、それにもかかわらず今までこういう問題がどうしてその割に進まなかったんだろうか、期待どおりに定着、進行しなかったんだろうか。八代委員のお言葉を借りれば敵はだれだったのかということも含めまして、そういうことを踏まえながら自由討議で今日は言いたいことをおっしゃっていただきたいと思うんです。どうすればよかったのか、何が悪かったのかです。では、どうぞ御順におっしゃってくださいませ。
    岩男委員
    少子化に関する有識者会議でも、先ほどから出ているように100項目以上のいろいろな提言をしているわけですが、うまく進んでいるものもあればそうでないものもある。総理がこの会を設置するに当たってのごあいさつの中で、いろいろな提言があるけれどもなぜ失敗というか、うまくいっていない部分があるのかと言っておられましたが、そのようなところをやはりもう一遍関係の項目について、きちんとさせる必要があるんじゃないかということを感じます。
     それから、ちょっと過激なことを申し上げてもよろしいでしょうか。1つは先ほど皆川課長も意識の問題は非常に難しいとおっしゃいましたね。それで、私は実は今3つになったばかりの孫がいるものですからセカンドラウンドで子育てとの両立の問題を経験しているような感じなんです。それで、職場に男性で仕事と子育てを両立させることの大切さと、それから大変さというのをわかってくださる方がどれだけいるかということが、実際に日々格闘している女性たちにとってはすごく大きなことだと思うんですね。それで1つは男性が育児をすることの大切さと、それから大変さをわかってくれるという、これをいかに一般化するか、みんなに広めていくかということで、例えば具体的に言いますと子供が急に熱を出したときにどう対応するかというような大変さなんです。そういうことを考えますと、女性には産前産後の休業が義務付けられているわけですけれども、例えば男性も1年間に12日間、月1日でいいと思うんですけれども、12日間育児休業を企業に義務付ける。
     リストラの時代に何を変なことを言っているかとおっしゃるかもしれないんですけれども、リストラの時代だからこそこれが必要なんですね。なぜかと言いますと、いつ夫が首になっても奥さんがしっかり家計を支えることができるような体制が必要なので、そうしないと企業にとっても要らない人を切っていかれない。経営者の側としてはやはり改革を進めるには時にはリストラもしなくちゃいけなくなるんですね。それができるには女性が働き続けられることが必要でそのため、年に12日でいいから育児休業を男性も取れるようにする。
     それから、先ほどの内閣府から御説明の中にもファミリーフレンドリー企業の支援というのがありましたけれども、実は支援などというのではもうだめで、むしろそういう企業の法人税をまけるというようなはっきりしたことを言わなければだめなんだと思っているんです。
     過激なついでにもう一つ言いますと、今、若い人たちが何に困っているかというと、要するに時間なんですね。時間という意味は、二重保育をしないと両立ができないような仕組みに今なっている。例えば、夕方6時15分までに迎えに行かなくてはならない。それは都心に勤めている人には本当に不可能に近いことで、そのときに公的な保育所は例えば7時でおしまいになるとか、6時15分でおしまいになるとかですが、その後、政府は多機能保育のような横への使い方を広げることを考えていらっしゃるんですが、私はその後を民間に貸すというのはどうだろうと思っているんです。
     といいますのは、私は保育を仲間でやろうとして苦労したんですけれども、何がお金がかかるかというと場所が借りることなんです。要するに家賃がすごく高いので、とても個人が何人か集まってもうまくやることはできない。ですから、施設があればこれをその後は民間で引き継ぐ。そうすると、公立保育所の保母さんたちもきちんとある時間に仕事を終えて、その後はもう民間ベースの保育所の運営という、こういう柔軟な対応というのが私は今、求められているのではないかと思います。
     それからついでに、もう一つ困るのは病気になることなんですよね。子どもが突然病気になる。そのときに保育所から引き取らなくちゃいけないということで、それで、重病ならば親が付いていなければいけないと思いますが、ちょっとした熱でも引き取らなくちゃいけないんです。そういうときに例えば保健所とか病院にちょっと1日2日熱が下がるまで、親が勤務中預かってもらえるような、そういうものがあったらすごく助かるなと思うんです。
     ですから、ひどい過激なことばかり申し上げたようですけれども、私はこういう目に見えるような形の極めて具体的な、これでこれだけ助かるということがわかるというのが必要なのではないかと思います。
    樋口会長
    過激かつ具体的なことをたくさん御提案いただいてありがとうございました。一番最後の病気などというのは本当に少子化で困っていらっしゃる小児科に、病室を建てるんだったら大人のだとスペースが要るんですけれども、小児科の診療所が預かるということをやってくれたらどれだけ安心かわからない。いつか私が医師会に提言したら、やりますと言われたことがあったんですけれども、全然進んでいないみたいですね。やってもらいましょう。
     では、猪口委員どうぞ。
    猪口委員
    手短にですけれども、今の御説明をいろいろ伺っていて、非常にここにきて急ピッチで問題意識も鋭く持ってやってくださっている感じがしまして、そのペースでぐっと内閣府が押していけば相当いいことが進むのではないかという実感は出てきましたが、まず小さなことから申し上げます。
     私は、政策に英語名を使う必要はないと思うんです。どうしてエンゼルプラン、それからセーフティーネットというのも、これは片仮名で書いているのは、つまり日本語にこの概念がないということで恥じるべきだと思うんです。それで、よくよく考えてみればあるんですよ。今、思い付いたのは要するに大丈夫ということでしょう。だから、これは名前を付けるときも大丈夫になる政策とか、みんながちゃんとわかる言葉で言って、それで本当に大丈夫にするんだという決意が必要です。どういう場合でも子どもが産まれて、自分も何とか仕事を両立させようと思ったらいろいろな方法で必ず日本社会では大丈夫になるんだからという決意をまず持つことが重要だと思うんです。
     それから2番目に、自治体が第一義的な責任をさまざまなことで負いますが、その自治体が政策に失敗していたり、それからそういう能力が著しく疑われるような実態があったときには、やはり国家が関与しなければならないと思います。何々の町の子どもとして生まれるのではなくて、その子どもは日本人として生まれているんです。ですから、自治体のこの面での達成度について、かなりの達成度情報をまず開示することが重要だと思います。どういう自治体でどういうところで遅れが出ているのか。例えば待機児童が解消できないのはどういうところなのか。それから延長保育、5時以降の延長の実施に何年かかっているのかということを自治体別に全部公表して、そして協力開示という新しい概念をつくって、単にどこかのホームページの端っこの方で何十回もクリックしてようやく出てくるような情報ではなくて、どこにいってもよく見える、そこでランキングが低いのは恥ずかしいと思えるような、そういう達成度についてかなり強く押していくということをやっていただかないと実際に困るんだと思います。
     それでもいろいろなセーフティーネットが欠落した状況については、例えば保育園110番というのをつくって、困ったときにそこに電話すれば絶対にこの国では大丈夫という、そういう場をつくったらどうでしょう。いろいろな電話が今ありますけれども、保育園に入れようと思っても全然うまくいかない。定員はいっぱいで待機しているというような状態を何とかして大丈夫に、結果オーライにする。例えば、遠くの保育園では定員をまだ満たしていないというのであれば、そこまでの送迎サービスを提供するというのだっていいと思うんです。いろいろ柔軟に考えていただきたいということです。
     やはり待機児童の問題というのは一番大きいのではないかと思います。さまざまなレベルでいろいろな問題があるんでしょうけれども、少なくとも3万3,000 人です。世界でも例えば貧困人口を2015年までに半減するという政策目標を掲げてOECDなどでやっているんです。ですから、待機児童半減政策というのはどうでしょう。1年かけて半減する。人口が60億人いる世界で貧困を半減しようとしているぐらいだから、日本で3万人の待機児童を半減できないわけはないでしょう。半減できないところはどこなんだということをすれば、それで八代委員の言う敵がわかってくるわけです。一体どこができなくてどこの住民が本当に困っていて、そこにおいて阻んでいるのは一体なんだということですね。そういうふうにかなり具体的な感じでもっていったらいかがかと思います。
     そして、今日の専門的なお話を伺っていましてつくづく思うのは、多分今まで政策を担ってきた方が一番問題点がわかっているのではないかと思うんですね。ですから、その点では岩男委員のおっしゃるとおり、むしろ御当局の方から自己批判をしてほしいんです。自己評価といいますか、一体この政策はどうして効果が十分に生まれなかったのか、どういうところが悪いと本当は自分たちは思っているという情報提供をしてくだされば、この会議も相当早く進むのではないかという感じがいたします。
     それから最後に虐待のことを皆川課長が随分時間をかけておっしゃいましたので、それについて私が感じることは、多分理由は2つあって、1つは基本的に非暴力教育をもうちょっときちんとやらなければならない。その意味では、文部科学省が今度教育課程の中においてあらゆる人間関係における非暴力の考え方についての教育をかなり重点強化していただかなければならないのではないかと思います。これは国際政治の問題だけではなくてすべての人間同士の問題だと。
     それからもう一つは、やはり仕事と子育ての両立に関わることだと思いますが、結局今の女性たちは比較的高学歴なんですね。ところが、両立できないからどこかで自分の夢をあきらめて子どもを育て始めるわけです。そうすると、その子どもに対する過剰期待というのが出てくるわけです。自分はキャリアを辞めて子どもを育てているんだから当然子供は理想の子になるだろうというような感じで育てている場合には、なかなか子どもに非常に大変なものがある。いろいろな家庭でのいろいろな虐待の実態というのがあるんでしょうけれども、すごく思い込んでの育て方が出てきているのは女性があきらめていることが多過ぎるのではないかということですね。ですから、実は虐待の問題はこのことと直接関係がないけれども聞いてほしいということでおっしゃったんですけれども、実は非常に深く関係があって、少なくとも子育てと女性の自らの社会的自己実現の両立が可能になればある部分の虐待の潜在的な危険性についてはかなり緩和できるのではないかと期待したいと思います。
    樋口会長
    ありがとうございました。本当に思いのたけが皆さんいろいろあるんですけれども、なるべく大勢の方にと思います。それでは、河野委員どうぞ。
    河野委員
    私はこの課題はまず短期、中期、長期と、あとは制度という問題と意識という問題と、幾つかに分けて考えるべきだと思います。
     それで、今日は最初なのでたくさんはとは思うんですが、今どうしても避けて通れないのは各企業に所属している人たちがこれから子どもを産み育てようとする場合、どこの企業でもリストラの続行中だということだけは踏まえていただきたいんです。こういう厳しい少しずつ少しずつリストラクチュアリングをしている中で、これから女性も男性も子どもを産んでいく場合に一番重要なのは、いてほしい人材かどうかということだと思うんです。
     実は、産み育てていく方々がやはりいてほしい人材であり得るかどうかというと、非常に厳しい発言なんですが、女性で40代、50代の方々でどうしてもいてほしいという人材が今は少ないのが事実です。その辺を考えていくと、やはりこの両立支援の裏にキャリア開発という一つの大きいテーマも出てくると思います。
     それから、女性、男性を含めて今30代がやはりインターネット、IT時代とグローバル時代で現場張り付き型なんですね。そうなると、企業ではどうしても場を外せない人たちになってきます。そうすると、できれば時間と場所というのを核にして仕事をしたい方が増えている中で今の人事制度ではちょっと難しい。私はこれからは、人事制度をもう少し複線にしていく。その辺りでいろいろ手をつけられた企業様に対して少し手厚くしていただければと思います。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。
    島田会長代理
    一言、議事の運営で、皆さんの本当におっしゃりたいことが詰まっているから、一度どこかでやはり20時間ぐらいかけて、貴重な週末を一回だけ使ってやったらどうでしょうか。
    樋口会長
    子育て中の方、よろしゅうございますか。
    島田会長代理
    お子さんを連れていらっしゃったらどうですか。ちょっと提案です。
    樋口会長
    長時間の討論というのは、このぐらいの人数でしたらそれも大変効力があると思います。余り大勢ですとあれですが、今日本当にいろいろお持ちの御意見は時間にせかされたり、今日は多少顔合わせの面もございますからですけれども、いかがでしょう。島田会長代理の御意見ですが。
     それでは、総理がお見えのようです。

    (森内閣総理大臣入室)

    樋口会長
    国会開会直後という、一番今日はホットな日に総理にお見えいただきまして本当にありがとうございました。総理のお声がかりで「仕事と家庭の両立支援策に関する専門調査会」が男女共同参画会議の下に設置されまして、まことに緊急の最重要課題の一つという認識で今、議論が盛り上がっております。是非総理からお言葉をいただければと思います。
    森内閣総理大臣
    それでは、森喜朗です。今日は皆さんありがとうございました。ちょっと息せきを切っていますので、あとは座ってさせていただきます。
     もう樋口会長からすべてお話をいただいたようでございますが、実は私は去年の9月でしたか、国連のミレニアムサミットに出席をいたしまして、その後、国連で働いていらっしゃる方々と食事をしたんです。70、80人いらっしゃったと思いますが、ほとんどは女性の方でありました。その中で、何人かずっとテーブルを回って短い時間ですけれどもお話をさせていただきましたが、その中にかなりお子様を2人、3人と、3人持っていらっしゃる方は随分いらっしゃいました。いろいろな意見交換をしていましたら、結局日本には帰らない方がいいとおっしゃる。アメリカだから3人育てていけるので、日本だと無理でしょうとおっしゃるから、そんなことはないでしょうと。産休休暇もあるし、いろいろな制度、仕組みもできていますし、そんなことはないんじゃないんでしょうかということを申し上げたわけですが、やはりアメリカの方が子どもを育てて女性が働くにはそういう環境が整っておりますということでございました。
     当然男女共同参画会議ではいろいろな御議論をしていただいておるわけでありますが、もう一歩踏み込んでみて、アメリカと必ず比べる必要はないのかもしれませんけれども、そういうふうに言われるということはとても私にとってもつらいことであって、では日本ではどういうことを本当にしたら女性の皆さんがお子様も産み育て、お仕事を持っているんだろうか。日本の社会に一体何が足りないんだろうか。
     もう一つ、我々政治の役割、政府の役割というのはもっと細かいことがあるのではないか。やらなければならぬこともたくさんあるのではないかというようなお話をいろいろ申し上げておりまして、島田先生からも前に御本を一遍いただいて読ませていただきまして、本当に社会で実際にお子様を育てて、そしてお仕事をしておられる方の話をざっくばらんに、坂東局長には悪いけれども、役所のにおいが余りしないように、本当に民間の皆さんの御意見を聞いて、しかもできるだけ早急に御意見をまとめて何らかの政府の施策に寄与できる、あるいはそれはまた経済界なり、いろいろな方面にまた進言ができるといいましょうか、お願いができる。
     いずれにしても、こういう少子化、高齢化が急速に進んでおりますから、女性のいわゆる働き手といいましょうか、社会に参加をしていただいてお仕事をしていただくということはとても今、大事な時期だと思いますので、そういう意味で皆さんに本当に気持ちよく日本の将来の子どもさんたちをしっかり産み育てて、同時に社会で役割を果たしていただけるようにしていくことの仕組みをみんなで考えてみたいと実は私は思いまして、それを坂東局長にお願いをして皆さんにもお願いしたわけでございます。
     以上、全部申し上げてしまいまして、ここに書いたことは余り、大事なことは書いてございますが、何しろこの後、6時からレバノンの総理がここへ参られまして首脳会談並びに食事がございますので、間もなく退席をしたいと思います。今日はどうしても本会議が早く終わらないかと思いましたけれども、再質問などがあって意地悪が結構ありましたが、第1回目の会合でありますから諸先生方にお礼を申し上げ、お願いを申し上げたいと思って駆け付けたということでございます。官房長官はあと少しおられるということですから。以上でございます。
    樋口会長
    では、総理はそういう中を駆け付けていただきましたが、何か一言でもいいから言いたいという方がいらっしゃいましたら。
    島田会長代理
    さっきから御議論で非常に皆さん盛り上がっていまして、画期的で具体的に目に見える成果をこの委員会で出したいということで雰囲気が盛り上がっているんです。そこで是非お願いしたいのは、やはり先立つものがありますので、特別枠というのがありますよね。いきなり聞いてしまって申し訳ないんですが、皆さんやはり概算要求の前というのは総理の気持ちを体してやっておられるので、是非その特別枠を。
    森内閣総理大臣
    予算の上でございますが。
    島田会長代理
    そうです。そういう御配慮で。
    森内閣総理大臣
    なるほどこういう案だ、これがいいんじゃないかということであれば、これは当然考えることは大事だと思います。
    島田会長代理
    ひとつモデル事業を、例えばこんなことができるんだよというようなことまで実現できるように御配慮いただけると、この委員会は非常に本気なんだというのが見えるんじゃないかと思います。それだけです。
    樋口会長
    本当に女の人も男の人もよい家庭人であり社会人であるということを選択しなきゃならないのは、この豊かな日本の貧しさだと思っておりましたから、総理がそこに着目していただいてこのような会議を開かせていただいて本当にありがたいと思っております。具体的で象徴的で画期的で効果的な提言をしたいと思っておりますが、その代わりいっぱい過激な御意見もたくさん出ておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
    森内閣総理大臣
    ありがとうございました。総理大臣あいさつはペーパーにしてお配りいたしておきます。今日は私の思いを申し上げました。
     それでは、本当に残念でございますが、できるだけ次回から少しでも出席できるようにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    樋口会長
    本当にお忙しいところをありがとうございました。よろしくお願いいたします。

    (森内閣総理大臣退室)

    樋口会長
    それでは、官房長官にごあいさついただけますでしょうか。本当にお忙しいところをありがとうございました。
    福田官房長官
    官房長官の福田でございます。遅くなりまして大変申し訳なかったんですけれども、国会のことでございますのでどうぞお許しいただきたいと思います。
     私は官房長官でありますけれども、同時に男女共同参画担当大臣と、こういうことでさせていただいております。また、男女共同参画会議の一応議長ということでさせていただいておりますので、またこれから皆様方と一緒に仕事をさせていただきたいと思っているところでございます。
     去る1月23日に男女共同参画会議の初会合が開催されまして、私は議長でございますので議事を進行いたしましたけれども、その席上、総理からこの会議の第1の課題として仕事と子育ての両立支援策に関する検討をするようにという指示がございました。これを受けまして、本件につきまして専門調査会を設置して検討を進めていこうというようなことになったわけでございます。その後、早急に検討を開始すべく努力をしてまいりましたけれども、本日は仕事と子育ての両立支援策に関する検討にふさわしい学識経験者、関連企業の方々、また更には仕事と子育てを両立された経験をお持ちの方と、こういう方々においでをいただきまして委員となっていただくことになりました。本件につきまして検討を始める体制が整いました。本当にありがたく、またうれしく思っているところでございます。
     委員の皆様方は、この本調査会の役割についてもう十分御承知だろうと思います。ですから、私から説明申し上げませんけれども、早急に今後検討していただきまして、年度内ということは3月末までをめどに中間的な議論の状況を男女共同参画会議に御報告をいただくということになりますので、どうかよろしくお願いいたす次第でございます。
     この会議は、参画会議でもって最初に設置された専門調査委員会でございます。樋口会長の下、皆様方に知識、学識、経験を存分に生かしていただきまして充実した内容の御報告をいただけることを私も心から望んでおります。どうぞよろしくお願いいたしまして一言ごあいさつに代えさせていただきます。ありがとうございました。

    (報道陣退室)

    樋口会長
    福田官房長官、どうも本当に御丁寧なごあいさつをありがとうございました。男女共同参画会議議長であり男女共同参画担当大臣である官房長官からのごあいさつでございました。もしお時間が許せばお時間の許す限りと思います。
     今まで厚生労働省を始め元総理府も文部省もいろいろやっていらっしゃったのに、少子化対策がここ10年近くやってきた割に効果を奏しなかったのは一体なぜなんだろうかというようなことを今、各委員からいろいろ御討議いただいているということで、八代委員からお手が挙がっていましたね。
    八代委員
    結局、なぜこれまでいろいろな提言がなされてそれができなかったかというと、先ほど皆川課長の御説明にもありましたように、これまでの政策というのはすべて審議会等で労使、利害関係者のコンセンサスが出たものについて政府が乗るという方式でやってきたからでありまして、これを打破しなければ本格的な改革はできないと思います。先ほど岩男委員がおっしゃいましたように、ではなぜ病児保育が保育所を活用したり、小児科のお医者さんを活用してできないか。それは公立保育所はそんなことをしてはいけないという考え方の法律に基づいている。本来児童福祉法というのは保育に欠ける子どものための法律であって母親のための法律ではないわけなんです。ですから、そこは基本的な制度を変えなければどんな意識改革をしたり講演会をしたりしてもだめなので、制度を変えれば意識はついてくるわけです。先ほど河野委員がおっしゃったのはまさにその点だと思うんです。制度を変えることには既存の制度に乗っている人が必ず反対する。だからできないので、制度のどこが邪魔になっているかということをきちんと考えていかなければいけないかと思います。
     1つは公立保育所の問題で、これは柔軟な保育サービスを妨げている最大の要因でありまして、先ほど岩男委員は過激とおっしゃいましたが、私はまだまだ過激ではない。基本的に言えば、公立保育所というのは長期的に民営化の方向に進めなければいけない。現在公立保育所に勤務されている方はむしろ民間の保育所の監視員として徹底的に監査するような、いわば警察に近い機能を持つことが望ましいので、民間でもできることを政府がやっているということが最大の問題点です。
     それから、働き方のことで言えばやはり今の男性が働いて女性が家事、子育てをするというシステムの下に基づいている日本的雇用慣行といいますか、勤続年功賃金、雇用保障、このシステム自体が、女性が働くということと矛盾しているわけです。したがって、そこはそういう慣行を保護するような制度の改革ということですね。それから、例えばここで挙がっている男女共同参画基本計画でも暗黙に前提としているのは、フルタイムの正規社員の人が子育てをするということに対してどうしたらいいかということしか考えていないわけで、大事なのはもっと多様な働き方、派遣労働者とかパートタイマーの人が例えば正規労働者になりやすくするとか、あるいは一たん正規労働者を退職してもまた元に戻れるような弾力的な働き方を実現するということが、実は男女共同参画と同時に少子化対策にも効果があるんですが、それは既存の既得権を持っている労働者とか、働き方の人の利益と真っ向から対立するわけです。ですから、そういう利害対立を避けて通っていたら当然ながら有効な対策はとれない。その点を是非官房長官にも御理解いただきまして、各省の圧力をはねのけるということがまさにこの専門調査会の大きな目的だと思います。
    樋口会長
    恐れ入ります。この会議は6時までということでございましたが、あとお2方、できるだけ簡潔におっしゃっていただきたいと思います。
    福武委員
    先ほどの八代委員と全く私は同じ考えで、先ほどもお話がありましたように国もいろいろな政策を長年されていらっしゃる。相当予算も注ぎ込んでいらっしゃる。しかし、なかなかそれがうまくいかないというのは、やはり私はサービスを提供したりいろいろな制度をつくるけれども、国民がそれを受けたいと思わないのではないか。それはなぜかといえば、やはりサービスをよくしようとするインセンティブが基本的に働く構造になっていないんだと思うんです。
     例えば、自治体がこのような政策に対して責任を持つというお話がありましたけれども、自治体がそのサービスの責任を持つからサービスを提供していくという構図であると、多分いいサービスをしても給料がよくなるわけでもありませんし、働いている方もそれでボーナスが上がるわけでもない。要するに、サービス提供者に対してサービスをよくするというインセンティブが構造的に教育とか福祉、介護の分野とか、あるいは保育の分野、その3分野では基本的に働いていない。これは例えばですがとよく言うんですけれども、施設とサービスは基本的に分けるべきだ。要するに、教育も介護も福祉も基本的に分けるべきだと思います。
     これは私たちで最近の例があるんですけれども、三鷹などで、公立の保育園で運営を民間に委託したわけです。民間委託するわけですから、だめだったらその建物の保有者が利用サービス者を排除してもいいわけです。そうすることによって質も担保できる。基本的にそのようにサービス提供者と分けるというふうに構造的に事を考えないと、いつまでたっても質はよくならない。質がよくならない限りは国民がそれを利用したいという気持ちにならないという構造、そこは根っこの問題として考えておかねばならぬと思っています。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    佐々木委員
    具体的な提案は次回以後と思いますが、今、公立保育園の話が出たんですが、私は日本の公立保育園は世界で一番高水準だと思っています。2人預けていてこんなにすばらしいものはない。これを私はつぶしたり少なくするべきではなく、これを強化していくべきで、そこでできない先ほどの夜間など、違う多面的なサービスを民間と協力してやっていく方がよいと思っています。病気の子どもを預かるとかということは今、少しずつ始まっています。この辺の検討が必要だと思います。
     今までなぜこんなに多くのいろいろないいものがあるのにもかかわらず供給されていないように思えているのかというと、つまりターゲット、このサービスを受けている今、不満の声を持っている人たちを満足させられないからではないか。5年後にどうなるということは、今妊娠もしていない人のためのサービスであって、今直面している人たちにとっては、何だ、そんな先のこと、うちの子どもは保育園を出ちゃうわと。それは不満につながります。さらに、5年後にこうなるという意見があっても、今妊娠していない人にとっては、そんな法律は妊娠してみて初めてわかるので、今は何もわからない。つまり、今不満を持っている人を満足させることができれば非常に具体的に満足度が上がり、そうするとうれしくなった女性たちはイー・ウーマンでも体験していますが、口コミ力でおのずから広がっていってこんなに変わった、こんなによくなったと言うわけです。
     つまり、具体案はたくさん出したいんですが、問題は、今保育園にいる人たち、あるいは学童に預けている人たち、あるいは来年入園しようとしている人たちにとって具体的な変わったという変化を体験させてあげれば、今までのほかの多くの5か年、10か年計画のよさも伝わってくると思っています。
    樋口会長
    本当にお話は尽きないと思いますけれども、官房長官、副大臣、政務官、いろいろ御多忙でいらっしゃると思いますし、今日の本当に活発な御意見を生かしまして、島田会長代理からも長時間いつかどこかで合宿しようという御提案が出てきたんです。それで、初日から真髄に迫るようないろいろな御意見が出ました。また、各担当省庁からの御説明も懇切にしていただきましたので、それを踏まえながら是非御要望に沿って、よい具体的で実効のある、しかもシンボル効果のある有効な政策、具体的に実行できるものを御提案したいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
    福田内閣官房長官
    ありがとうございます。何か大変期待が持てそうな感じですね。皆さんの目がかがやいていらっしゃってすごい熱気ですね。
    樋口会長
    次回は2月下旬ごろ開催することにいたしまして、さっきのお話でもありましたが、3月中に年度内に中間報告するんですね。これはすごいですね。5月中ぐらいというのは掛け値のない最後なんですね。御意見はもちろんこの中でだって例えば分かれると思うんですけれども、そこは遠慮なくぶつけ合いながらやっていきたいと思います。
     どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(以上)