- 日時: 平成20年5月26日(月) 15:00~17:00
- 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
- 委員
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 室伏 きみ子 お茶の水女子大学教授
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
(議事次第)
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(意見募集結果と報告書の中間整理)
(配布資料)
- 資料1-1
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(中間整理)意見募集結果について
- 資料1-2
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(中間整理)
- 資料2
-
桜井委員資料 [PDF形式:160KB]
- 資料3
- 基本問題専門調査会 第35回議事録(案)
- 袖井会長
-
それでは、時間になりましたので、ただいまから「男女共同参画会議基本問題専門調査会」の第39回会合を開催いたします。
前回の調査会では、報告書の中間整理について御協議いただきまして、その中間整理について、4月19日から5月18日までの1ヶ月間、国民からの御意見の募集、つまりパブリック・コメントを実施いたしました。
今回は意見募集の結果と、それを報告書にどのように反映させるかについて御協議いただきたいと思います。意見募集結果と本日の協議結果を反映させた中間整理につきましては、6月13日に開催される男女共同参画会議で報告したいと考えております。
また、前々回の調査会で全国女性会館協議会の取組等について、桜井委員に御説明いただくことになっておりました。それを今回意見交換に入る前にお願いしたいと考えております。
それでは、最初に意見募集の結果とそれを反映させた報告書の中間整理案につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 - 安田企画官
-
それでは、御意見の募集の結果について御説明させていただきます。
今回の報告書についてはパブリック・コメントが義務的に求められているわけではありませんが、やはり地域における男女共同参画をテーマにしていることから、国民の皆様方から御意見を募集した方がよろしいのではないかということで、4月19日から5月18日まで1ヶ月間、意見募集をさせていただきました。
資料1-1が、意見募集の結果をまとめたものでございます。Iの「2.募集状況」に書いてありますとおり、いただいた御意見の件数は149件、意見提出者は57名でした。御意見1つにつき1件と数えておりまして、1人でたくさんの御意見を提出された方がおられますので、こういう結果になっております。意見提出者の内訳は女性が33名、男性21名、その他・不明が3名でございます。「その他・不明」というのは、性別が書かれていなかったものでございます。年齢別はご覧のとおりです。20歳未満というものもありますので、よくわからない部分はあるのですけれども、書かれていたとおり単純に集計するとこうなるということでございます。
資料1-1の「II.御意見の概要」に主な御意見をまとめてございます。正直言いまして、いろんな御意見がございました。A3版の資料に、いただいた全ての御意見を載せてございます。適宜、資料1-1と照らし合わせて見ていただければと思います。資料1-1の「御意見の概要」をご覧いただきますと、最初は自治会の役員に女性が出づらいといった御意見です。
次は、今回の報告書の最初のところで固定的役割分担意識に触れておりますので、それに関連して、そもそも固定的役割とは生物学的に男女の特性があるんだという御意見。これは複数の御意見があったかと思います。
それから、「男女共同参画の視点」というのが、抽象的でわかりにくいといった御意見。
2ページに移らせていただきます。基本的な方向性のところでは、意識啓発を中心とした取組から実践的な活動への取組ということは、おおむね賛成していただいている御意見が多かったと思っておりますけれども、その中で、特に実践的な活動を重要視するのはいいけれども、知識の習得という部分は常に必要であるということ。
一般的ではない用語には、注を付けるべきだという御意見。
仕事と生活の調和については、いくつか事例を出して説明していますけれども、そういうことだけでは解決しない、やはり働き方の改善が必要であるという御意見。
本文の中でいくつか事例を挙げているんですけれども、ここに書かれている事例だけではなく、例えば性暴力であるとかDVの予防教育等々の事例も含めるべきではないかといった御意見。
仕事と介護の両立についても記述すべきだという御意見。
ワーク・ライフ・バランスに関連しまして、民間企業と連携してワーク・ライフ・バランスの導入のサポートをしてはどうかという御意見。そのためには、経営者のみならず労働組合など幅広い主体を巻き込む必要があるという御意見。
DVにつきましては、今回、報告書で県のネットワークについて例を挙げさせていただいていますけれども、市町村単位のネットワークも重要なのではないかという御意見。
高齢の男性と女性のそれぞれの課題の書き込みが不十分ではないかといった御意見。
「IV 地域における男女共同参画の推進主体」のところでございます。
初めのものは、専門調査会でも御意見がありましたけれども、統計の整備と充実が必要であるという御意見。
都道府県と市区町村の役割分担、特に都道府県の役割に関していくつか御意見をいただいております。
学校にも男女共同参画推進員が配置されているので、学校との連携についても記述すべきであるという御意見や、大学、NGO、マスメディアのようなところは、主体的な役割を果たしていくべきであるという御意見。
女性の健康や女性のライフステージに合わせて情報を出していってはどうかという御意見。
女性センターの機能の維持・強化が必要であるという御意見。ここはあっさり書いておりますが、いくつか御意見をいただいております。特に都道府県ベースの男女共同参画センターは、もう少し役割が増えているのではないかという御意見を個別にいただいております。
次に、「V 地域における男女共同参画の推進に関わる多様な主体」についてです。NPOとの連携などについて本文に記載させていただいていますけれども、NPOと連携するに当たって、単にNPOと行政との連携というだけでは、むしろ、そのことを進めるとNPOを安上がりに使ってしまうという逆のケースも出てくるので、国がもう少し枠組みづくりといったことをするべきであるといった御意見。
「VI 人材の発掘・確保・育成」でございます。「指定管理者を外れた団体に属する職員が、その資質と経験をその後も活かしていけるような仕組みを構築しておくことも検討されてよい」という記述についてですが、指定管理期間が3年から5年という年限で切られておりますので、必ずしも打ち切られた後の保障がないということを述べた文章ですが、他人事のような表現ではないかという御意見をいただいております。
また、先ほども少し触れましたけれども、大学につきましても、人材育成の観点からやることがあるでしょうといった御意見をいただいております。
最後に「その他」として書かせていただいております。今回の報告書を書き直すべきだということではないんですけれども、大阪府でドーンセンターの見直しをされていることに関して、ドーンセンターは西日本における中核的な施設であるから、是非とも存続させてほしい。あるいは国として何らかの働きかけを行えないだろうかという御意見を何件かいただいています。
資料1-2は、意見募集結果を踏まえまして、私どもでつくらせていただいた修文案です。修正したところが、赤字と横線で見え消しになっております。
最初の修正部分は2ページでございます。IIの地域における現状と課題の中の「(2)希薄な男女共同参画の視点」のところです。「即ち」以下の文言を追加させていただいております。「即ち、こうした課題に対応するため、女性も男性とともに、取組に参加することにより、多様な視点で課題をみつめ、地域に住む人々一人ひとりにとってよりよい形での課題解決を図ることが可能となるが、現状ではそうした視点が十分取り入れられているとはいえない」という一文でございます。趣旨としましては、先ほども御紹介いたしましたけれども、男女共同参画の視点というのが抽象的過ぎるという御意見がございましたので、よりわかりやすく「多様な視点で課題を見つめ」云々というところで、男女共同参画の視点の説明は他にもあるでしょうが、今回この報告書で強く打ち出すべき部分に沿って記述してございます。
3ページでございます。「女性が実質的に活動を担っていてもトップは男性であるという性別役割分担が完全に払拭できていないなど」の前に「例えば、自治会・商工会、PTA等の組織でしばしばみられるように、」という修文を加えてございます。趣旨といたしましては、「意見募集結果について」の方には挙げなかったんですけれども、例えばPTAなどで長だけではなく役員のデータも取ると、そういうところが浮かび上がってきてわかりやすいという御意見をいただきました。残念ながらデータはありませんので、例示として「例えば、自治会・商工会、PTA等の組織でしばしばみられるように、」という文言を加えることによって、よりイメージしやすくしたつもりでございます。
4ページでございます。「III 今後の地域における男女共同参画推進の基本的な方向性」の「1 基本的な考え方」の部分です。ここでは基本的な考え方ということで「課題解決型の実践的活動を中心とするものへと移行することが求められる」と言い切っていました。課題解決型の実践的な活動には大いに賛成であるという御意見が多かったんですが、課題解決型の実践的活動は、研修等で得られるような知識がベースになって行われるものであるのに、一見すると講座、研修のようなものを全て否定しているように読めてしまうという御意見があったことから、勿論、これまで行われてきた講習、研修等も引き続き重要ですということを加えてございます。
タイバーシティのように一般的ではない用語には、注を加えるなど工夫してほしいという御意見がございました。ダイバーシティという言葉は、男女共同参画の枠組みの中ではよく使われていますけれども、まだまだ一般的ではないということから、ダイバーシティという言葉は削っております。(2)の女性のエンパワーメントにつきましては、4ページの欄外に注を付してございます。
5ページでございます。「3 課題解決型の実践的活動を進めるに当たって重視すべき点」の「(2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)への配慮」の部分でございます。「働き方の見直しを行う」という文言を追加しております。これも御意見にあったものです。
6ページの中ほどの「4 男女共同参画の視点を取り入れていくべき具体的な課題」のところです。意見の概要でも御説明いたしましたが、例えばDVにおける予防教育であるとか性暴力、概要には書きませんでしたけれどもマイノリティー女性の問題であるとか、いろんな課題があるんだという御意見をいただきました。ここで挙げている課題は、あくまでも例示に過ぎないといった意味での修文を加えてございます。事例につきましては、いろんなところと連携して効果を上げている事例を中心に記述しておりまして、その事例のある範囲で課題を挙げている関係上、全ての課題について書けるものでもございません。ここに書いてあるのは例として課題のいくつかを挙げており、その他にも課題があるといった意味での修文を加えてございます。
8ページでございます。中ほどの「イ)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」です。「仕事、子育て・介護等の家庭生活及び地域活動」ということで、ここは介護と仕事の両立という課題について御意見をいただいておりますので、そういった修文を加えてございます。9ページでございます。ここもやはりワーク・ライフ・バランスです。ワーク・ライフ・バランスの連携先としまして「労働団体」という言葉を加えてございます。ここも概要の御意見でお示ししたとおりでございます。経営者、労働団体などの主体とともにやっていくことが重要であるという御意見がございました。
10ページでございます。ここは9ページから続いて「エ)配偶者からの暴力」の事例を書いて、配偶者からの暴力の解説を加えております。事例は都道府県の事例ですが、意見の概要にも入れておりましたが、市区町村におけるネットワークも非常に重要であるという御意見をいただきました。全くそのとおりでございまして、関係機関のネットワークは都道府県に限らず市区町村においても重要であるという修文をしてございます。次の修文ですが、IVの3の(2)の事例も実はDV関係の事例です。中間支援組織としての事例ですけれども、DVに関係するものですので、括弧書きでそういった事例もあるということを加えてございます。
「オ)高齢者の社会参画・自立支援」のところは、いただいた御意見では男性と女性の課題がそれぞれあるので、これでは不十分だということでした。男女共同参画会議の監視・影響調査専門調査会で高齢者の話、男女別の課題を御議論いただいておりますので、それを引くような形で男性と女性の課題をそれぞれ整理させていただきました。
12ページでございます。「IV 地域における男女共同参画の推進主体」のところでございます。これも御意見がございました。統計やデータの必要性をもう少し強調して書いてございます。課題を見つけ、あるいは解決するに当たっては、客観的な統計データが重要であるということでございます。
12ページから13ページにかけまして、最初の案では「(2)都道府県と市町村の役割」ということで書かせていただいておりました。概要の方でも1つ紹介しましたけれども、都道府県と市町村、都道府県のセンターと市町村のセンターについて、かなり御意見をいただいております。どちらかといいますと、都道府県のセンターについての御意見が多かった。例えば、市区町村は、条例の制定率が20%以下であったり、センターを持っているところも数が少ないといったことや、将来の道州制等を見据えると、やはり都道府県の役割はかなり大きいのではないだろうかといった御意見でございました。そういうことで「(3)都道府県の役割」を「(2)市区町村の役割」から分離、独立して、「例えば」以下のところで、もう少し具体的なイメージが湧くように、都道府県の男女共同参画センターの役割を詳しく書いてございます。例えばということですが、「地域において男女共同参画推進の取組の核となる人材の発掘・育成や市区町村及び市区町村の男女共同参画センター等の担当職員を対象とする研修、専門的なプログラム開発、先進的な取組の実施・普及、取組が進んでいない市町村に対する支援等である」という記述でございます。16ページの(2)でございます。「(2)地域や地域に住む人々の課題の的確な把握及び情報提供」というところで、情報収集や連携先の主体として学校を追加させていただいております。これも、大学、学校といったところと連携することが重要であるという御意見をいただいたところです。
「なお」といたしまして、「情報提供に当たっては、チラシ、機関誌、ホームページ、メール配信等の様々な伝達手段を活用し、地域に住む人々の課題やニーズに応じて必要な情報が届くようにする必要がある」という修文をしてございます。1つには、もう少し女性のライフステージにわたる課題をわかりやすく整理して情報提供をした方がいいのではないかといった御意見がありました。また、男女共同参画センターや都道府県、市町村のさまざまな講座には、参加した人だけではなく、参加できなかった人に対しても何らかの情報のアクセスの道を設けるべきではないかという御意見がありました。そういったこともありまして、情報提供に当たっていろんなやり方があるということと、ニーズに合わせてくださいということを追加しております。
16ページの下の方の「(3)実践的な活動のための関係団体等との協働、ネットワークのコーディネート」でございます。ここでは主として2つの目的から文言を追加してございます。「女性団体や男女共同参画の推進員等に加え」という部分は、男女共同参画の推進員がネットワークを形成することは非常に重要であるという御意見をいただきましたので、男女共同参画の推進員を加えました。さらに、連携先として、「課題に応じて地域の多様な主体」ということで、ちょっと長くて申し訳ないのですけれども「NPO、NGO、自治会・商工会等の地域団体、企業、教育・研究機関、農業協同組合、観光協会、消費者センター、労働団体、医療機関、報道機関、各種団体・グループ等」としております。ひとことで言うと、ありとあらゆる団体でございますけれども、具体的にNGOを加えてほしい、大学を加えてほしい、報道機関も重要です、地域団体は重要ですといった御意見をいただきましたので、それを整理して、原文より発展させた形で記載しております。21ページでございます。「V 地域における男女共同参画の推進に関わる多様な主体」のNPOを念頭に置いて記述した部分の文章です。御意見の概要にございましたように、NPOと連携・協働するといっても、NPOは行政の下請けではございませんので、NPOが特色を生かした活動が展開できるように、対等な関係の下でNPOの自主性・独自性を尊重しながら、ともに地域の課題に取り組む必要があるという一文をつけ加えております。行政の安上がりな下請けにNPOを使って、単なる経費削減のようなことはやらないでくださいという注意喚起のつもりでございます。
最後の24ページは「VI 人材の発掘・確保・育成」のところでございます。1のところですが、男女共同参画センター等の人材ということで、指定管理者となっている団体を想定して、指定管理者から外れた団体の職員の処遇を考えておいた方がよいという趣旨の文章を書きましたところ、「検討されてよい」というのは他人事のような言い方だという御意見がありました。確かにそのとおりですので「必要がある」と言い切ってございます。
その次の「2 地域において男女共同参画推進の取組の核となる人材の発掘・確保・育成」でございます。ここも「専門的な知識・技能の修得や、実践的な活動を経験できる機会をつくるためには、地域の教育機関やNPO等をはじめ地域の多様な主体との連携も積極的に進められるべきである」と、特に大学や学校の役割を念頭に、いただいた御意見を元に修文してございます。
私からの説明は以上でございます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。意見募集の結果と中間整理案についての説明は以上でございます。引き続きまして、桜井委員から全国女性会館協議会の取組等について、御説明をお願いします。桜井委員、よろしくお願いします。
- 桜井委員
-
3月の専門調査会で御説明をさせていただく予定でしたが、その日が私どもの理事会と重なってしまい欠席させていただきました。今日またお時間をいただきましたので、全国女性会館協議会について御説明をさせていただこうと思います。
今日の資料は、パワーポイントの資料の他に全国女性会館協議会のリーフレットなど4種類を御用意させていただきました。
それでは、パワーポイントで御説明したいと思います。
全国女性会館協議会というのは固い名前ですが、以前は全国婦人会館協議会と言っておりまして、1956年に任意団体として発足しました。2005年に、それまでの親睦団体から、全国の女性センターを支援する中間支援組織に衣替えをしていくことを考えて機構改革をしました。その一環で、2008年3月にNPO法人格を取りました。
会員館は、現在、89館。そのうち、公設公営、つまり自治体等の直営館が30、指定管理者や外郭団体が運営している公設民営の館が44館、私立が15館です。規模別でみると、例えば女性と仕事の未来館、主婦会館、婦選会館のような全国規模のものが、5館。都道府県規模のものが41館、政令市の規模のものが20館、市町村規模のものが23館と、大きいところから小さいところまで多様な構成になっています。
お配りした全国女性会館協議会のリーフレットに、事業の全体像が簡単に載っています。
「I 研修事業」ですが、女性センターの職員研修の多くは国立女性教育会館や内閣府が実施してくれていますが、女性センターで働く人は非常勤の方が多く、地方からはなかなか参加できないものですから、やはり全国のあちこちで研修が必要ではないかと、昨年から地域ブロックごとの研修を始めました。
昨年は「地域におけるネットワーク形成」を共通テーマに、たとえば、北海道・東北ブロックは仙台で、関東・甲信越は東京ウィメンズプラザで行いました。女性センターが地域の社会資源とどう連携・協働していくかをテーマに2日にわたる研修を行いました。今年は「女性関連施設における自己評価」をテーマに実施しています。今年既にドーンセンター(大阪府立女性総合センター)で関西ブロックの研修を行いました。昨年もドーンセンターで実施したのですが、こういう状況の中で応援の意味も込めて、今年ももう一度ドーンセンターで実施しました。関西地域の女性センターの関係の方たちが2日間で260人も参加なさいました。そういうこともしています。次は、7月に、この専門調査会でも報告がありましたが、静岡市女性会館で東海・北陸ブロックの研修が行われます。今年度はほかに、青森、山梨、山口、熊本で実施します。
研修事業のもう一つは、国立女性教育会館で毎年6月に行われている「女性関連施設管理職・団体リーダーのための男女共同参画推進研修」を共催しております。共催内容は「企画協力」、「事例、講師の推薦」のほかに、具体の講座も担当しています。例えば昨年は、「地域における連携・協働」をテーマにしたワークショップ。今年は全国の女性センターを対象に評価に関する調査を実施しましたので、その報告をします。また、昨年、指定管理者時代のキャパシティ・ビルディングについての講座も行いました。
「II 情報事業」です。ホームページによる情報提供を行っています。女性センターのスタッフは、非常勤といいますか有期契約が多いので、3年間あるいは5年間の任期がきてしまうと、その先にこれまでのキャリアがなかなか生かせない。ですから、女性センターのスタッフ募集の情報を集めて、このホームページに出しています。将来的にはそういう人たちの受け皿になるような仕組みがつくれたらいいと思っています。
ブックレットも発行しています。『豊かな国の女性の貧困』というブックレットですが、これは経済的に困難な状況にある女性たちへの支援を、女性センターがなぜ行うのかということを書いたものです。
「IV 全国大会」ですが、毎年秋に全国大会を開催しています。今年は11月6日と7日に佐賀のアバンセで、住田裕子先生に基調講演をお願いしています。同時に各地の女性センターの事業企画コンテスト、ホームページコンテストなどを行って、表彰もします。毎年、板東局長にお越しいただいています。それから、ここでは各地の女性関連施設の情報交換会や会員館を対象に相談会、コンサルテーションのような会を併せて行っています。
調査研究としては、1997年度から2002年度にかけて「女性関連施設に関する総合調査」を文部科学省からの受託で行いました。女性センターの全体像を探るものから、相談事業や情報事業、男性参加型の事業に焦点を絞っての調査など、毎年テーマを変えて5年間行いました。
昨年度は国立女性教育会館からの委託を受けて、「女性関連施設における自己評価に関する調査」を行い、報告書を作成しました。
今年度は、「女性関連施設における評価基準の開発」を行いたいと思っております。図書館や博物館には1950年代から評価の基準があって、それがベンチマークになっています。女性センターの場合はそういった統一基準が何もなくて、もちろん自己評価しているところもありますが、そういうところばかりではありあません。今は自己評価をやっていかないと説明責任を果たせませんから、女性センターにとっても大きな課題かと思います。
次に「V 助成事業」です。会員館を対象に助成事業を全国展開しています。マイクロソフト社の社会貢献部門からの助成を受けて、経済的に困難な状況にある女性のためのパソコン講座を全国各地の会員館である女性センターで実施しています。詳しくはお手元の冊子「女性のためのUPプログラム」の15ページ以降に出ています。
会員館は、具体的には、母子家庭やDVの被害を受けた女性等、社会的・経済的に困難な状況にある女性を対象にパソコン講座を実施するという事業です。全国女性会館協議会の役割は中間支援組織として、会員館がこの事業を実施することを助成・支援していくことです。こうした事業を実施したことがないセンター、特に地方の小さい女性センターや事業担当の職員が1人か2人しかいないセンターでは、この事業にチャレンジしたいが、どうしたらいいかわからないということが少なくありません。そこで、協議会がさまざまな支援を行い、実施を可能にしていこうという事業です。構造としてはこういう形になっています。マイクロソフト社が全国女性会館協議会に助成金とソフトウェアを一括で支援してくれます。その中の2割ほどを協議会が事務局経費として使って、事業を実施する女性センターが戸惑わずに 完遂できるように支援していきます。そのひとつが事業のパッケージ化です。パッケージ化することによって、これまでやったこうした経験のないところでも、しっかり、きっちりこの事業ができると考えました。さらに、議会は他の企業や他の団体からの支援も引き出し、また、各地の女性センターでは地元自治体からの支援なども探っていきます。つまり、マイクロソフトが全国女性会館協議会に助成し、その助成金をもとに協議会が各地の女性センターに助成し、支援していく。そして、エンドユーザーである経済的に困難な状況にある女性を各地の女性センターが支援をするという構造になっています。
この事業の目的、女性センターで実施する意味ですが、もちろん経済的に困難な状況にある女性の経済的自立支援を行うということが1つありますが、それだけではなくて、女性センターが総合施設として内なる資源の見直しをはかるという目的があります。女性の自立を支援するためには、パソコン講座だけですむわけではなく、例えば相談窓口や図書や資料を提供したり、また、自己信頼感の回復のためのアサーティブ・トレーニングやお子さんに対して子どもでも1人でできる御飯づくりなどの事業も必要になります。つまり、1つのイシューに対してセンター内のさまざまな資源を提供することによって、総合的な支援を行う。総合的な支援ができて初めて女性センターの存在意味が出てくるのではないかということで、内なる資源の見直しが2つめの目的です。
3つめの目的も、たいへん大事だと思っています。それは、女性センターの男女共同参画推進の拠点施設としての位置づけの確立です。この事業をやることによって、例えば地域の商店街や企業の支援もいただきたいですし、母子生活支援センター、民生委員の方、福祉関連のNPO等とも連携しなければならない。ですから、女性センターとして、この事業をききっかけに地域のさまざまな社会資源とのネットワークをつくっていく。そういうことによって、男女共同参画推進の拠点施設としての位置づけを確立していくことを大きな目的として考えています。
事業は4期に分けて実施していまして、第1期は9館、第2期が8館の施設で実施し、受講者数が全部で1,741人と大変多くの人たちに受講してもらいました。第3期が6館、第4期は、今回が最終で14館でやっています。例えば第4期の実施館は、もりおか女性センターから埼玉県のWith Youさいたま、千葉県の白井市青少年女性センター、エセナおおた、上越市の男女共同参画センター等々、地方の小さいセンターから、その地域の中核のセンターまでさまざまなところで実施できるのは、事業をパッケージ化し、標準的な仕様を研修しているからだと思います。
事業の内容ですが、一般的な再就職講座やパソコン講座とは異なり、対象を経済的に困難な状況にある女性としています。彼女たちの自立支援のためのパソコン講座です。経済的に困難な状況ということは、生活保護や児童扶養手当等の制度を利用している方、シェルターや母子生活支援施設へ入居なさっている方たちを主な対象としているということです。ですから、これを実施するセンターでは受講者への理解が不可欠になるわけです。自己尊重感、自己信頼感が低い状態の方も少なくありませんので、「講座のインストラクターにこんな易しいことを何度も聞いていいのかしら」とか、緊張しながら、遠慮しながら通っていらっしゃるところがあります。重なりますが、心身の健康度が落ちている方も多い。そういう方たちに対しての理解が不可欠になります。
あとは、個人情報の保護についても他の事業よりもセンシティブな情報を扱いますから、この事業ならではの難しさがあるかと思います。
ですけれども、類似事業の経験のない施設でも実施できるよう、これをパッケージ化して、事前の研修を行っています。
それから、助成金を出すのは1回あるいは2回までなので、助成金がなくても継続できるよう、その女性センターが地元の自治体やNPO、企業との積極的な連携・協働を築くような働きかけもしています。
次に、パッケージ化の内容ですが、実は以前から、横浜市男女共同参画推進協会でこの事業を実施してきた経験を生かしてパッケージ化しました。パソコン講座は、30人以上の受講者で1人15時間以上の講座を提供することを求めています。15時間というのは、例えば1日3時間で5日でもいいですし、2.5時間で6日でもいいです。30人以上というのは、その施設にパソコンが何台あるかによって、10人で3コースでもいいですし、15人で2コースでもいいです。この事業は「パソコン講座」と共に「就労応援フェア」を実施するように求めています。これは、「パソコン講座」がいわば学習というか、習うという作業なので、もっと楽しくて、晴れ晴れするようなイベントもやってみましょうというものです。
「パソコン講座」と「就労応援フェア」を一緒にして1パッケージとして、55万円の助成金を出しています。これを事業にかかわるパソコン講座のインストラクター、アシスタント、保育者への賃金などに充ててくださいということです。女性センターがパソコン講座を実施する場合、教える人や保育者をボランティアでお願いするということが往々にしてありますが、今回は賃金をちゃんと払って仕事として取り組んでください。そのための55万円ですと言っています。これも女性の経済的自立支援を考えたものです。
全国女性会館協議会は、事業実施のための手引書を開発し、事前研修に使っています。手引書は、回覧しています。横浜での実施の経験を生かしてつくっています。例えば「事業の概要と目指すもの」は、なぜこの事業を女性センターで行うのか。どういう効果を狙うのか。「事業の特徴と運用上の留意点」では、例えばチラシを1つつくるのにも、「母子家庭のお母さんを対象に」という言葉を書くかどうかとか、応募があったときにどこまでその方の個人情報を聞き取るのかということまで含めて、事業の特徴と運用上の留意点をまとめています。
「豊かな国の女性の貧困」は、お配りしたブックレットですが、なぜ女性センターが経済的に困難な状況の女性たちにフォーカスした事業を実施するのかを書いたものです。個人情報の保護についても研修しています。センターの担当スタッフだけが理解していればいいわけではなく、アルバイトの方、保育者といった関わる全ての人たちの理解が求められます。そういったことも含めての研修です。「社会資源の連携マップづくり」も、女性センターがこの事業を行う際、地域の社会資源とどう組んでいくのかということを、マップづくりのワークショップを通して研修しています。
「パソコン講座の実際と工夫」ですが、パソコン講座のテキストは講師用と受講者用をつくりまして、それをCD-ROMに入れて実施するセンターに配布しました。通常のパソコン講座の速度よりゆっくりと講師の数も厚く充てて、また、自信のない方にどのような声かけをしていくのか、つまずいたときにどうするかということも含めて、キーボードの操作からワード、エクセルの基本までを学ぶテキストになっています。テキストの作成は、横浜で再就職講座を出た方たちがその後、資格を取り、経験を積んで、パソコン講座のインストラクター集団としてNPO法人になっていますので、そこにお願いしました。CD-ROMでお渡ししたものから自由にプリントアウトしてお使いくださいということにしました。事前研修にはテキストを作成したNPOの女性に講師をお願いして、通常のパソコン講座との違いや留意すべき点などを丁寧に話してもらっています。「就労応援フェア」というのは、楽しみ、役立つ時間をすごすためのイベントということで、パソコン講座終了後、半日でも1日でもいいのですが、経済的に困難な状況にある女性とその子どもたちのためのイベントです。模擬面接や履歴書の書き方、就職情報提供会などもやりますが、ほっとカフェ&アロマテラピー、フェイスケア、就職の面接のポイントメイク、リサイクルスーツのプレゼント等々。この辺はみんな企業のボランティアの方たちがやってくださるので、企業のボランティアを地元で探してみてくださいということもしました。また、「子どもひとりでできるごはんづくり」は母子家庭のお母さんにはすごく受けています。お母さんがアロマテラピーや履歴書の書き方に参加している間、子どもたちは電子レンジとキッチンばさみで御飯と味噌汁などちょっとしたおかずをつくって、ジャンクフードに頼らない食生活をやっていきましょうというものです。子どもたちも喜んで参加です。そういうイベントのアイデアと工夫を紹介しています。
研修は1泊2日で東京で行っています。東京までの旅費が捻出できないところもあったので、55万円の中から出してもいいとしました。
次に「実施結果の検証と評価」ですが、パブリックリソースセンターというNPOに外部評価を委託しています。これはマイクロソフト社が私たちへの助成金とは別に、評価のための資金をNPOに出しています。第三者評価です。
第三者評価の中身ですが、この事業の受講者が1,741人。目標が1,140人でした。外資系の企業は支援に対してどのくらいの成果があがるか、数値による目標値を出すようにとうことで、これがすごく厳しかったんですが、なんとか達成しました。それから、実施する各センターは、経済的に困難であるとか母子家庭のお母さん向けの事業の経験がないので、そんな人が果たして地域にいるだろうか、センターに来てくれるだろうか心配をしていましたが、受講希望者が多く、抽選になったり、お断りするぐらいという声を聞きました。あまり応募が多かったので、1回だけではなく追加の講座をあちこちからお金をかき集めて実施したところもありました。
その後、受講なさった方がセンターの図書を貸りたり、相談室を御利用になったり、あるいは他の講座を受けたりするようになりました。「女性センターは私たちが行ってもいいところなのね」と、それまでは自分たちが行くようなところではないと感じていたり、あるいは全然知らなかったりした方が、そう言ってくれるようになりました。例えば母子生活支援センターに入居している方も、私たちもここに行けるみたいな感じで、他の事業にも参加なさったりとつながっていきました。
受講者の満足度も大変高くて、「大変満足」が33%、「満足」が67%でした。サクセスストーリーとしては、勿論、「就職につながりました」、「パソコンができるようになるとは思わなかった」という声は多く聞かれました。15時間程度のパソコン講座は意味がないのではないか、実際に使えるようになるまでにはいかないのではないかとも言われたのですが、私たちはもはやパソコンは筆記用具ですと考えています。販売職につくにしても、介護の仕事につくにしても、就職のときに「パソコンはできますか」と必ず聞かれますし、何と言っても履歴書を手書きで書いてもなかなか受け付けてくれないという時代になってきました。まずは「パソコンができます」と就職試験のときに言える状況、やみくもに恐がらないということで、筆記用具だというところを目指す。それ以上にやりたい方は職業訓練校などを御紹介していくとか、そういうふうに考えています。
では、女性センターにとっての成果ですが、一言でいえば、男女共同参画推進の拠点施設としての基盤強化ができたのではないかということです。職員の力量が向上したというのは、どなたもおっしゃっていました。
具体的には4点あげることができます。1つめは、「施設内の資源の見直しと総合的活用」です。資源がそれぞれタコつぼのようにセンターの中に存在するのでは、女性センターの総合性は発揮できませんから、1つの講座の中でこんな図書がありますと情報提供もするし、相談事業の利用法なども伝える。それから、体の具合が悪いのであれば、女性のための健康セミナーなども併せて活用する仕組みをつくる。1つのテーマについて、職員同士がつながって支援をしていくという体制をつくっていきます。そうした見直しのきっかけとなったと思います。
2つめは「課題解決型ニーズの発見と支援ノウハウの蓄積」です。困難な状況下の利用者を、女性センターは見つけることがこれまでできていなかった。やはりセンターに来る人は、余裕があると言ったらなんですけれども、元気のいい活動的な中高年の主婦のような人だという認識が抜け切れなかったと思います。しかし女性センターにとって本当に必要なのは、困難な状況にある人にも利用者を広げていくことです。顧客は誰か、顧客を広げていくことでニーズの発見と支援のノウハウを蓄積できたと思います。
3つめは、「地域の行政関係機関、企業、NPO等との連携ノウハウの蓄積」です。これによって、地域でのセンターの周知が進んだと振返る実施センターも多かったです。こんなことをたくさんやっている全国女性会館協議会ですが、いくつもの課題を抱えています。1つは、これまで任意団体だったのですが、この春、NPO化しました。そうしましたら、直営館から退会がいくつか出ました。直営館の代表者は知事だったり市長だったりもしますから、一介のNPOの会員にはなれないというわけです。例えば東京ウィメンズプラザや兵庫県の男女共同参画センターがそうです。全国女性会館協議会は女性センターにとっては本当に役に立つ中間支援組織だと思っているんですが、これからもそうした事情で抜けていく直営館が出てくるのではないかと思います。
なぜNPO化したかといいますと、助成金や委託料をもらうときに任意団体ではいかがなものか、やはり法人化しておいてほしいと言われたのが大きな理由です。3年前から準備し、いろいろな方法を考えたのですが、財団法人や社団法人がすぐにできるわけではありませんので、NPO法人しか現実的な選択肢がありませんでした。そうしたら、直営館の退会ということが出てきて、悩ましいです。
それから、収支の問題もあります。会費収入は3万円×施設数で300万円にもなりません。その中でこれだけの事業をやっているんだから、自分たちとしては大したものだと思っているんですが。他には企業の助成金と、NWECの調査の委託費などです。後者はわずかな額ですし、毎年あるかどうかもわかりません。企業からの助成金も毎年、確実にとれるわけではありませんし。ここのところをどのようにしていったらいいのかなと思っています。
協議会の理事長は、国立女性教育会館の前理事長の大野曜さん、With Youさいたま事業コーディネーターの青木玲子さんと私が常任理事で、事務局のスタッフを1人置いています。このスタッフは、マイクロソフトからの助成金の2割を運営経費に使っていいということで、賃金を出すことができているという状況です。ですから、財政基盤が本当に安定していなくて、大野さんと青木さんと私は、どこへ行くにもまったくのボランティアでやっています。
例えば国立女性教育会館の100分の1でもいいので、あるいは500分の1でもいいから資金が出てくると、さらにいい事業ができるとおもうのですが・・・。今すぐやりたいと思っているのは、全国の女性センターの評価の基準といいますか、ベンチマークをつくっていきたい。すでに自己評価を実施しているセンターと一緒に開発していきたいですね。各地のセンターから東京に出向いてもらう、あるいはこちらが出向く交通費が捻出できないというのが、現実です。
それから、格差社会のなかでニートの問題が言われていますが、ジェンダーの視点を入れた調査はほとんどないんです。それから、厚生労働省がニート支援をしていますけれども、こちらも男女共同参画の視点の入った支援ではないので、まずは調査から始めて、支援のための事業をつくっていきたいと思っています。そういうものを全国の女性センターで展開できるように、手引書をつくったり、研修をしたりしていきたいと思っています。
このほか、協議会として、例えばドーンセンターの問題や仙台のエル・ソーラの縮小についての要望書を出したりしています。あと詳しくは、資料を見ていただければと思います。
どうもありがとうございました。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。それでは、自由討議に入りたいと思います。まず、ただいまの桜井さんの御報告に何か御質問がありましたら、どうぞ。
- 辻村委員
-
ありがとうございました。時間がないと思いますから、手短にお答えいただければいいのですが。協議会の理念に関連して、女性会館なのか男女共同参画会館なのかということは、どうしても避けて通れないのではないかと思います。全国で婦人会館から女性会館、男女共同参画推進センターというように名称が変わっていっているなかで、そのもとになる支援組織としての全国女性会館協議会はどういうスタンスなのか。展望として男女共同参画会館への移行を考えておられるのか。それは即ち、男性の参加を推進するかどうかに関わってきますね。いつまでも女性センターだと、男性が入りにくいですね。
ですから、これは両方あると思います。女性を支援、女性団体を支援しなければいけないけれども、本当に男性も入れようと思えば男女共同参画推進センターにしていかなければいけないだろうし、男女共同参画推進センターにすると、今度は母子家庭とか女性だけを助成すると、やはりポジティブ・アクションとしての理論的な位置づけを明確にしないといけないと思うのですが。そういう理念的な問題には協議会が非常に重要な役割を担うと思いますので、その辺りの展望はいかがですか。 - 桜井委員
- 協議会の会員は、男女共同参画センターと名乗っているところの方が多いです。しかし、女性センターあるいは女性会館とおっしゃっているところもあるので、全国女性会館協議会の名称を使っています。協議会としては、それぞれのミッションの中でやっていただければいいと思います。男女共同参画センターにしても女性センターにしても、女性のエンパワーメントというところは変わりませんので、無理にどちらかでなければいけないと考えているわけではありません。男女共同参画センターで母子家庭など経済的に困難な女性を対象に支援することの理由は、ブックレット「豊かな国の女性の貧困」にまとめ、考え方の整理に役立ててもらおうと思っています。
- 平野委員
- 議事の進め方ですが。今日の議事次第を見ると、桜井さんの話が書いていないんですが。桜井さんの話は非常に面白いんですけれども、議題に載っていないことをどうしてやっていらっしゃるんですか。「地域における男女共同参画の今後のあり方について」と書いてございますね。それの一環でやっていらっしゃるんですか。今日の議題は中間整理と書いてございますね。
- 袖井会長
-
センターのあり方が、今回の重要なテーマでございますね。ですから、女性会館協議会そのものを議論するということではないんですけれども。
中間整理については、先ほど安田企画官から御説明がありましたね。桜井さんの御報告の後に、中間整理についての御意見をお伺いするということでございます。 - 塚崎推進課長
- 報告書の中にも、全国女性会館協議会の例を入れておりまして、前回の調査会で桜井委員からお話を伺うことになっていたんですけれども、前回は御都合がつかなったために、今日ヒアリングをさせていただきました。
- 袖井会長
- 地域における男女共同参画の推進において女性センターがこれから非常に重要である、中核的な働きをするということの一環として、桜井さんから御報告いただいたと理解しておりますが、まずいでしょうか。
- 平野委員
- 議事次第の書き方がおかしいですね。2番目の議題の中に入っているということですね。
- 板東局長
- 議事次第の書き方が十分ではなかったことを、おわび申し上げたいと思います。もともと、桜井さんの御発表の中身、エッセンスの部分は、この中間整理の中に入れさせていただいているところですが、まだまだ記述的に不十分ではないかと思います。桜井さんから御発表いただいて、それをもとにまとめていこうという段取りでございました。そういうことで、当然、プレゼンテーションをしていただいた上で中間整理をまとめようと思っておりましたけれども、前回は御都合が合わず御出席いただけなかったので、今回お願いしたわけです。
- 平野委員
- わかりました。この中間整理の話をするんですね。さっきの会長のお話ですと、6月18日に参画会議にかけるとおっしゃいましたから、今日で中間整理を完成させるというわけでしょう。この後、30分か40分でやるわけですね。
- 板東局長
- 中間整理につきましては、これから御意見をいただいてまとめたいと思います。最終的な報告書については、今日でおしまいというわけではございません。これからも議論させていただくことになると思います。
- 伊藤委員
- 私も確かに順番がちょっとずれているとは思います。ただ、今の桜井さんの報告は、やはり中間報告の中に事例として入れていただきたいと思いながら聞いていました。1つは経済的に困難な状況にある女性という新しいテーマを女性センターでやることの意味は大変大きい。多分これからの女性センターの活動の中で、外部資金はどうするかということが出てくると思います。その先駆的な事例として、私はどこかに事例として書き込んでいただきたいと思います。今のお話は、女性会館の持っているいろんなリソースを総合的に活用するという事例でもあるし、地域のいろんな社会資源とのネットワークの形成という事例でもある。今までの事例報告の中にない新しいポイントが4つぐらいあったと思いますので、それはやはり事例として書き込んでいただけると、各女性センター、女性会館、男女共同参画センターにとって大変役に立つ情報になるのではないかと思います。
- 辻村委員
- 18ページに書き込んでありますね。
- 伊藤委員
- もっと書き込んでいただきたいということです。18ページにあるのは横浜の例ですね。これは、会館の協議会としての事例として書き込んでいただいていいのではないかと思いますけれども。
- 袖井会長
-
それでは、御意見のある方はおられますか。
今日はセンターだけの話をするというわけではなく、意見募集結果と報告書の中間整理について御議論いただくということですが、中間整理の中に全国女性会館協議会の活動をどう盛り込んでいくかということも、今回の非常に大きな課題ではないかと思います。
では住田さん、どうぞ。 - 住田委員
-
今回の取扱注意として出されました個別の御意見、1つずつ非常に興味深く拝見いたしました。批判的な立場からも含めていろんな立場からの御意見があって、これを今後どのように対応されるのか、取り扱われるかということに興味があります。
といいますのは、男女共同参画は、今、どんなふうに見られているかということに対して、これらの御意見は、一つずつ重みがあると思うんです。そして、こういう御意見に対して、私たちはどう考えていかなければいけないかという問題提起がかなり含まれていると思います。
それから、今回の御意見募集では57人からの御意見でしたけれども、今後も何らかの形で御意見を寄せていただくチャンスは、どこかで定期的につくっていただきたい。そして、決して上からの目線で、行政の立場からこういうことを言っているのではないと、生のお声を聞かせていただいて、それをどうやって浸透させていくかということを真剣に考えているんだという姿勢を示す意味でも、御意見募集をまた別の機会にやっていただければと考えています。
それから、今の桜井さんのNPOの御活動についてコメントさせていただきたいと思います。面白かったです。やはり経済的に自立できない女性の立場を何とかしなければいけないということを、弁護士の立場で常に考えておりまして、私ができないたくさんのことを、このような方々がやってくださっていることに対して、心から感謝申し上げたいと思っております。
これはまさにポジティブ・アクションそのものですので、女性に、それも経済的に困難な女性に視点を当てることは全く問題のないことなので、そこのところは私は強く申し上げたいと思っております。
それから、さきほど手引を見せていただいて非常に感銘を受けたのは、担当する方のヒューマンスキルが大事であるということ。これは女性センターや、それから支援を必要としている方々に対するときに必要なことであって、パソコンの技術の習得は勿論大事ですけれども、ヒューマンスキルを持ってきちんと対応するという心構えは、いろんなところに応用ができそうで、このノウハウは、これにとどまらずいろんなところに出していっていただけるとありがたいなと思いました。
以上でございます。 - 伊藤委員
- 私もちょっと気がつかなったのですが、先ほどの18ページの一番下に書いてあるんですけれども、今、ここで出たような議論をもう少し事例として書き込んでいただくといいんじゃないかと思います。すごくクールに書いてありますので。すごくいい事業だと、もう少し読者の側に情報提供して積極的にイメージをつくれるような書き方をしていただければと思います。
- 辻村委員
- ポジティブ・アクションとしての理論化などが入っていくと明確になると思います。
- 袖井会長
- どうぞ、山田さん。
- 山田委員
-
私は中間整理と桜井さんの御報告を合わせて聞いていました。これらの活動は本当にいいことで、今までの単なる教養活動、啓発活動だけではなく、様々な状況にある女性の支援をするということには、私も非常に感銘を受けました。
ただ、そこに関わっている人材のやる気をどう確保するかに関しては、どういう対策をしているのかちょっと心配なんです。例えば、中間整理の24ページにも専門知識の習得やリーダーを養成するという記述がありますし、桜井さんの資料の中でも、職員の力量向上が1つの成果としてあるということは書かれています。問題は、そういう力量の向上や知識の習得に対して、どういうインセンティブが働いているのかということです。私は、いろんなところで燃え尽き症候群のような人をたくさん見てきています。どういうメリットがあるのか。例えば正社員でしたら成果を上げれば昇進をしていくとか、私企業でしたら収入アップにつながるとか、そういうことがあると思うんです。では、こういうところで能力を付けてリーダーになったら、どういう個人的メリットがあるのか。現在、経済的な停滞期ですから、余力がある人がどんどん少なくなっている時代だと思うんです。勿論、個人的に解決できる問題ではないでしょう。しかし、桜井さんも完全に手弁当で無償でやっていらっしゃるところがありますので、そこでいいアイデア等があればと思いますし、やはり中間整理にも、そういう力量を向上させた人に対してどういう支援をしていくのかということに関して、何らかの書き込みがあった方がいいのではないかと思います。今、一生懸命やって能力を付けている人がたくさん出てきているだけに、そういう人たちに対して、どういう報いがあるのかなということに対して不安になりました。
今、内閣府の消費者庁関係でも問題になっているわけですけれども、消費者相談センターに勤めている女性の人の待遇が悪いなど議論されています。いくら一生懸命やっても非正規並みの給料しかもらえない。低いのが問題というよりも、いくら一生懸命やっても待遇も何も変わらないことが、やる気をなくさせているような気がします。
国立大学においても、大学のファカルティー・ディベロップメントで「やれやれ」と言って、結局、それに対して個人的メリットは何も用意されていないとか。別にここだけで解決できる問題ではないんですが、そういうことも含めて考えていかなければいけないと思っております。桜井さんは、どのようにお考えでしょうか。 - 桜井委員
-
女性センターの職員は、こういう事業については大変積極的に取り組みます。やる気もあります。むしろつらいのは、決められたことを決められた方法でしかやってはいけない、裁量はないという場合です。上司が自治体からの派遣で、年度当初にすべて自治体の所管が決めてしまうという方が息苦しい。ですから、自分の力を発揮することができるこういった事業には、大変意欲的に取り組みます。インセンティブは自己裁量権の大きさではないでしょうか。
しかし問題なのは、山田先生がおっしゃるように、成果をあげても待遇がよくなるわけではないということです。消費者センターなどで働いている女性と同様、女性センターのスタッフも、主婦を雇ってきたという歴史がある。ベティー・フリーダンではないですけれども、日本でも主婦の自立志向が高まったときに、女性センタースタッフとか、消費者生活アドバイザーの雇用が始まった。時期が重なったわけですね。女性センターで主婦の自立講座を受ける側だった人たちを、低賃金のまま事業を企画する側に雇っていったという構造が改善されないまま、今に至っていると思っています。これはやはり雇う側の問題で、今回の中間整理で、少しですけれどもそのことについて触れられたことは、第一歩だったと思います。本当に男女共同参画を地域で担う人をつくっていくということを考えるのであれば、まず、ここのところに真剣に取り組んでいかないとまずいと思います。
それは、個人の力を引っ張っても駄目で、組織基盤の強化という視点でやっていかなければいけませんので、やはり処遇をどうするかという問題が大変大きいと思っています。 - 袖井会長
- では、住田さん。
- 住田委員
-
この間、消費者アドバイザーの方々との会議で、私も同じ話をしたんですけれども。要するに、女性職にまつわるところは、もともと無償労働であったところから、現在の社会の中でどうしても待遇が低いという嫌いがあると思います。そういう意味では、介護労働も全く同じ問題を抱えているだろうと思います。どうして無償労働だったかというと、昔は肉体労働が一番お金になって、それから頭脳労働がお金になって、今はパソコンなどのIT技術による知能労働、頭脳労働が一定の高い待遇を受ける仕事になっているかと思います。今、苦情処理であるとか非常に困難な人への対応の仕事というような感情労働が、実は企業が一番頭を痛めているところでして、その辺りにニーズがかなりあると考えています。コンプライアンスとか内部統制とかよく言われているんですけれども、現実には人間関係を上手に処理していかなければいけないということに、ようやく企業は気がついてきた。それで、女性を上に持ってきて、その人たちがお客様相談室などで対応をしているのが実態だと思うんです。ヒューマンスキルが非常に大事だということは、その能力をアップされた方が、今後、企業においても、仕事として開拓の余地があると睨んでおります。ですから、感情労働者、感情労働というのは変な言い方ですけれども、そういうものについて高い能力を備えた方が今後の社会で活躍できるような準備ができつつあるんだと、今後はそういう形で、法的サービスだけではなく、いろんなサービス分野に進出の余地があると思っております。
そういう意味で、今は「いいですよ」と言いにくいものかもしれませんけれども、主婦の方が女性センターで働いて、そういう資質を向上させていただければ、そして燃え尽きないでもっともっと頑張っていただければと願っております。 - 袖井会長
-
監視・影響調査専門調査会の方では、高齢女性の自立がテーマでございます。そちらの方にも、今、高齢女性はなかなか就職先がないんですが、能力や経験を生かして就職のチャンスをつくってほしいということを書いてあります。厚労省がなかなかOKというサインは出してくれませんが、実際にそういうことが言えると思うんです。
そして、住田さんが消費生活アドバイザーについておっしゃいましたけれども、臨床心理士などでも同じなんですね。あれだけ難しい勉強をして、ほとんどパートなんですね。ですから、あれもまさに感情労働なんです。
それから、桜井さんがおっしゃったことは、私は非常にいい御指摘だと思います。報告書にうまく入らないかなと思うんです。確かに、センターは小金のある元気な主婦の集まり場だったんです。私の知っている範囲でも、やはり高学歴で夫の所得も高くて、そんなに稼がなくてもいい人たちの活動の場、能力発揮の場がセンターだったんです。そこが、今、まさに脱皮のときに来ているかなということで、困難女性に目を向けたのはやはりすごいことで、この辺から大きな転換が起こるんではないか。パブコメの御意見の中で、第2ステージの意味がわからない云々というのがありましたけれども、その辺のところもまさにそうだと思います。今までは主婦の集まり場だったというところは、桜井さんはちょっとまずかったとおっしゃるけれども、それはそれで仕方がなかったのではないかなと思っております。 - 室伏委員
-
この中間整理のVIの人材の発掘・確保・育成の部分を読んでみますと、一般の方からの御意見にありますように、人ごとのような書き方が気になりました。人材を発掘して確保していくためには、今、地方公共団体の財政がとても悪くなっていますから、これまで以上に優秀な職員を確保し、資質向上を目指さなければいけないということが書かれています。でも、こういった人材を育成することは非常に重要なことであるにもかかわらず、それについての具体的な方策がここからは読み取れないという気がいたしました。
なかなか難しいのかもしれませんけれども、いろいろな人材育成に関しては、政府の支援が結構あるわけですので、この中に、もう少し具体的に考えるべきことを書き込んでいただきたいと思います。もう少し他人事ではないような書き方を工夫していただけないでしょうか。この辺りは、特に、最終的な報告までに、もう少し突っ込んだ議論が必要だと思います。
前に出てきておりますNWECの関係なども非常に重要ですし、我々のやっていることも含めて、議論を充実させていく必要があると思います。
それから、人材育成自体が、実践活動を通じていろいろな人材を見出し、また、そういう人たちが、実践活動を通して育つということもございますので、勿論、センターにおける人材育成も重要ですけれども、地域における人材育成方策に関して、もう少し具体的にイメージできるような形にしていく必要があるのではないかと思います。 - 塚崎推進課長
- 今、御指摘いただいたところを、今後のとりまとめに生かさせていただきいと思います。
- 伊藤委員
- 全体の方に移ってよろしいですか。
- 袖井会長
- どうぞ。
- 伊藤委員
- ちょっと気になるんですけれども、9ページに労働団体を入れていただいたのはありがたいのですが、経営者側は商工会議所となってしまっている。商工会議所は、やはり中小企業が中心なので、書くのなら経営者団体とはっきり書いた方がいいような気がするんです。経営者団体というのは、私はすごく大きい要素だと思います。同様に17ページの「商工会等の地域団体」ですが、これは地域団体なんですけれども、どこかに経営者団体、企業経営者団体とか、経営者団体という言葉をはっきり書かれた方がいいように思います。特に9ページのところは、「経営者の理解を個別に得るだけでなく、経営者団体、労働団体」と書いた方がいい。経営者団体なら商工会も入りますからね。
- 塚崎推進課長
- どうもありがとうございました。
- 袖井会長
- 加藤さん、どうぞ。
- 加藤委員
-
地域の範囲について整理が必要なのかなと思います。それはやはり1ページのところに書き込んだ方がいいかなというのが1つ。
それから、パブコメの意見を拝見していると、今までの研修や知識の習得を否定するのかというような御理解が若干あるかと思いますので、それは二者択一なのではなくて、研修や知識の習得は、勿論、今後も必要なんだけれども、それと並行してこれからは課題解決型の実践的な活動も大事なのだということを、この1ページのところで触れておいた方がいいかなと思いました。
4ページですが、IIIの2の「課題解決型の実践的活動の意義」のところで、課題を見つけ出す、暮らしを見つめる、生活を見つめるところから男女共同参画の視点ということを書いた方がいいのかなと思いました。
次は8ページですが、これは仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)となっているんですが、これは御意見の中に、仕事と生活だとわからないという御意見もございました。具体的に仕事、家庭、地域活動というふうに明確に3つ項目を立てて書き分けてもらいたいという御意見もあったかと思います。これは私も実感として、「仕事と生活の調和」だけですと、地域活動が見えてきません。具体的な書き方が必要かと思いました。約20年前ですけれども、今、国立女性教育会館の理事長の神田先生が、研究者として既に仕事、家庭、地域の3つの役割を柱として立てて、具体的に書いておられたことを思い出しました。
それから、9ページですが、「配偶者からの暴力」も、配偶者だけに限定的に書かれていることが気になると書いてございましたので、ここも例えば「女性に対する暴力」とか、工夫が必要なのかなと思います。併せて中身のことについても、配偶者からの暴力だけで、一貫しておりますので、そこも工夫が必要かと思いました。
13ページですが、(4)、効率的な事業運営の3行目、「より少ない予算で、より大きな成果を上げていくことが求められる」ということなんですが、ここは滋賀のことやドーンセンターのことでパブコメでもいろいろ御意見をちょうだいしているところですので、この「より少ない予算」というところは、「適正な予算と人員の配置」というような書きぶりの方が、私はいいかなと思います。調査会そのものが、少ない予算で効率を上げろと音頭をとっているように見えてしまいますので、そこはそういう書き方をしていただけると、ありがたいかと思いました。
それから最後の24ページの「おわりに」ですが、最後の4行に、「緩やかなつながり」というのが2回出てまいります。「おわりに」のところで唐突に出てくる気がいたしますので、この「緩やかなつながり」という言葉で何を言いたいのかということをもう少し明確にしたうえで、この言葉を使った方がいいかなと思いました。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。どうぞ。
- 辻村委員
-
大きな話をさせていただきたいのですが。これはパブコメに出す前の3月30日にメールで少し書かせていただいたのですけれども、パブコメの意見を並べた横長の紙の1番目の方と2番目のコメントに関わります。すなわち現状分析について、マクロの視点が少し欠けていて、地方での男女共同参画の進展の立ち後れに関する原因解明といったことがなく、突然「地域は」と始まっています。具体的に言いますと、例えば女性の首長であるとか、地方議会議員であるとか、あるいは条例制定率が頭打ちになったとか、そういったことは地域のみならず地方公共団体の推進において、非常に重要な要素だと思います。
これについて、図表を入れることは簡単なことですので、大状況をまず最初に書いて、表を入れて、何ゆえ地方議会で女性議員がこのように少ないのか、国会議員よりも率が低い状況はどうしてもたらされているのかということです。そういうことも含めて、やはり大状況を少し書いていただきたいと思いました。といいますのは、地方公共団体の男女共同参画推進の流れとして、やはり行政の流れが中心になっている感じがいたします。しかし地方公共団体では、やはり議員、議会の流れは非常に重要です。議会がかなり重要な動きをしていますので、議会の女性の構成員は非常に重要です。議員さんが中心になって動く。行政の立場から政治レベルのことはあまり書けないという事情もよくわかりますけれども、大状況の把握にとっては非常に重要なことですで、その理由として、やはり固定的な性別役割分担意識があるのだろうと、女性議員が少ないのもそれが理由じゃないかと私は考えていますので、なるべく前の方に、その辺りを少し書き込んでいただければと思います。 - 板東局長
-
今、男女共同参画白書で、地域における女性の活躍を取り上げてやっています。その中で、例えばPTAの役員の都道府県ごとの比率などを見させていただいていますが、地方議会の議員の比率などと、PTAの比率が割合相関しているんです。
今、御指摘のように、上の方から行政的に推進しようというところでは、審議会などの比率にしろ、国、地方を通じて進められつつあると思うんですが、地方の政治を動かしていく、意思決定を動かしていくということになりますと、身近な活動をしている団体のトップや、その人が経験を積んで次のステップに備えていくことが非常に重要ではないかと思います。
PTAの会長は、地方議会の議員になるための有力な1ステップにもなっているのが実情でございまして、そういうところに女性が少ない。そういうところで、もう少し女性がリーダーシップを取っていただけるように後押しをしていかなければいけないという感じが非常にしております。 - 辻村委員
- 会長を男性、副会長を女性というパターンですね。
- 板東局長
- それが、収まりがいいというのが実情だったと思うんですが、そのことが、それから先に発展していくことを大きく阻害している面なのかなと思います。
- 辻村委員
- そうですね。その辺りは面白いと思います。
- 袖井会長
- では、坂本さんどうぞ。
- 坂本委員
-
7ページの「(2)地域に住む人々が抱える課題の例」の「ア 就業、再就業」で少し気になるんですけれども。「特に出産・育児のために退職した女性の再就業は、女性特有の就業に関わる課題である」というところは、これは女性だけの問題だと言われているようで、とても不愉快なんです。これは、日本の両立支援に対する社会の制度や環境や人々の意識の遅れであることは間違いないので、そういう状況を書き込んでいただきたいと思います。
それから、雇用の流動化や不安定化という問題から、家族の安定的な生活のために共働きがスタンダードになってきているという変化もあります。労働人口が減ってきて、女性にもっと外に出てくださいというのは、まさに社会的要請でもあるわけですので、もう少しここら辺を丁寧に書いていただいた方がいいと思います。 - 袖井会長
-
ありがとうございました。女性特有といいますか、日本女性特有というようなことで、ここはもう少し丁寧に書いた方がいいかなと思います。
それから、さっきのワーク・ライフ・バランスですけれども、これはワーク・ライフ・バランスを外に出したらどうなんでしょう。定訳はよくわからないんですけれども、「仕事と私生活の両立」と書いてある文書もありますね。 - 板東局長
- 今、政府で正式に使っているのは「仕事と生活の調和」という言葉です。この言葉で憲章をつくったり、それを普及させようとしています。
- 袖井会長
- でも、「ワーク・ライフ・バランス」を使った方がいいかなとも思いますが。生活というと、例えば職業生活だって生活ですね。
- 板東局長
- これはむしろ説明の中の方で詳しく丁寧に書かせていただいた方がいいのかなと思います。見出しの言葉を換えると、「いろんなところで違う言葉を使っている」という御指摘がまた出てくると思うんです。
- 袖井会長
- でも「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は使っていないですか。やはり「仕事と生活の調和」を使っていますか。
- 板東局長
- 政府としては、最近は「仕事と生活の調和」の後に括弧して(ワーク・ライフ・バランス)という使い方が多いんです。
- 伊藤委員
- せっかくですから、どこかで解説するか、注か何かでもう一度定義をされた方がいいかもしれませんね。
- 袖井会長
- それと、男女共同参画局でなさった調査では、仕事と家庭と地域と個人生活も入っていましたね。ですから、まだ人々の間で合意がないような気もしますので、もう少し丁寧に書いた方がいいかなという気もするんですが。
- 板東局長
- 「生活」の中には、本当にいろんな生活がありますので、家庭、地域だけに限らず、いろんな私生活的なもの、学習することなども含めてなんです。
- 袖井会長
- 他に何かありますでしょうか。どうぞ。
- 平野委員
-
私が先ほど申し上げたのは、こういう報告を一応決定するのならば、おそらく1項目ずつやるのではないかと思ったんです。ところがそうではなくて、全体的にやって全体的に意見を聞くというやり方です。しかも残された時間が45分で、それでいいですかということを申し上げたんです。桜井さんの話が貴重だっただけに、もう少し時間の配分なり、日程の設定をしていただきたいということです。
そういう意味で申しますと、住田先生がおっしゃったように、私自身も、意見募集で出てきた多くの方々からの御意見について、それぞれ検討すべきではないかと思います。それをやらないということは、要するに文章は役所に任せて、委員は意見だけを言えばいいという形になります。そうではなくて、やはり一つずつについて、みんなが一応意見を出して、「これでいいですね」と確認した上で、今後は中間報告をつくっていただきたいということを、まず冒頭に、陳情でございますけれども、運営についてお願いします。
特に、桜井さんの話は非常に貴重でいい話ですから、こういう話はきちんと時間をとっていただきたいということも重ねてお願いします。ただし、皆さん、お忙しいということは知っております。
もう一つは、個別のことにつきまして、気がついた点をあと3つか4つだけ申し上げて、そこは是非修文していただきたいと思います。
2のページの赤字で入ったところを中心に申し上げます。「即ち」というのが入ったんですが、「即ち、こうした課題に対処するため」のこうした課題とは何かなと。一番上に書いてある「このような身近な課題」という意味なんですかね。それとも、次に書いてある「地域や地域に住む人々の課題」という意味なんでしょうか。これは重複しているから、もしかしたらこの2つを含むとも読めるんですが、もう一つよくわからない。
それから、「女性も男性とともに」と書いてあり、しかもその3行下に、「そうした視点が十分取り入れられているとはいえない」と書いてあります。これは女性も参加することが必要だということで、こういうふうに書いたんでしょうか。それで、「取組に参加する」と書いていますが、何の取組かということもよくわからない。
その次に出てくる「課題」は、「こうした課題」の課題だろうと読めますけれども、いずれにしても、ここは文章がどうなっているのかわからないので、少し整理していただきたい。「即ち」と言い換えているにしては、よくわからない点がございます。
4ページですけれども、ダイバーシティを消したことはよろしいんですが、その後の赤字のところ、「それぞれの主体が得意な分野において能力を発揮し、それぞれ主体の発想を生かし」、これは何ですかね。「それぞれの主体の発想」というのは、どういう意味でしょうか。よくわからないということです。
それから10ページの、これも赤字のところです。こちらの文章も御意見にあったから取り入れたんだと思いますけれども、2段目の「高齢期は」以下で、男性は女性に比べて「危惧される」、女性は「大きく左右される」、更に女性は就業年数が短く「厳しい経済状況をもたらすと考えられる」と書いてあるんですが、それでどうするのか、だからどうなんだということです。ただ「考えられる」と書いてあるだけです。それに対して、だから自立支援が必要だと言いたいのか、言いたくないのか。そうすると年金を上げるのかという話になる。まさかとは思いますけれども。御意見にあったから載せたんでしょうけれども、だからどうするのかと、男女共同参画の中でここまで考えるのかと。事実はこうだと思いますけれども、少し文章の表現の仕方がおかしいのかなと思いました。
それから、これは単純ミスだろうと思います。14ページの(1)の「課題解決型で」云々というところです。これも2行目からの、「また、より多くの人、特に多様な立場、性別、幅広い年齢の人々」、これは全部年齢の人々にかかるんでしょうね。そうすると、多様な立場の人々、幅広い年齢の人々はわかりますが、性別の人々というのはよくわからない。これは私も前に見過ごしてしまったところですけれども、単純ミスだろうと思います。
それから16ページ。これも細かい点を申し上げますと、「なお、情報提供に当たっては」で、いきなりチラシから入るんですね。確かにチラシでやっているところもあるんですが、せめてパンフレットぐらいから入っていただきたいということです。
それから、さっきの話と似たようなことですけれども、17ページの(4)の「実践的な活動を通じた」云々のところの2行目。「こうした人材の育成は座学のみでは難しく、このような課題解決型」というところで、「このような」というのはどのような解決なのか、これも全くわからない。これも文章の問題だけでございます。
18ページ、(2)のネットワークのところですけれども。3つ目の段落に「男女共同参画センター等では」と書いてございますが、その3行目です。「その所管するエリアを越えて広域的に男女共同参画センター等全体のレベル」というのも、日本語としてはどういう意味なのかわかりません。おそらく男女共同参画センター全体のレベルを上げるという意味だと思いますが、言葉としてはよくわからないと思いました。
それから、ダイバーシティは消してエンパワーメントは入れるということですが、19ページに「マイクロファイナンス」という言葉が出てきます。小規模融資と括弧で書いてあるからいいのかもしれませんけれども、ちょっと似合わないのではないか。その世界の人が使っていることは私も承知しておりますが、少し似合わないのではないかと思いました。ここも「例えば、伝統的な男女観の強い文化の国々においては、女性が安心して集まれ、小規模融資等のさまざまな相談」というところは、マイクロファイナンスに関するさまざまな相談ということですか、それとも、それに限らずさまざまな相談という意味なんでしょうか。これも引用の仕方がよくわからない。「等」で何を読もうとしているのかがよくわからないです。
以上、私が申し上げたのは、細かい点でございますけれども、今後、こういう報告書をつくるときには是非、もう少し御意見をきちんとしてもらいたい。例えば、今日出た御意見を今後どうなさるのか。これは後で申し上げようと思ったのですが、それぞれの御意見をどういう形でまとめて男女共同参画会議に上げるのか。それは事務局にお任せくださいということだろうと私は思いますけれども、そういう点についても、この専門調査会で結論を出したということではなくなってしまうんではないかと思います。「中間整理だからいいじゃないか」とおっしゃるかもしれませんが、こういうときも、「では、これでいいですね」という念押しが最後に必要なのではないかと、会議の運営としてそう思いますので、よろしくお願いします。 - 塚崎推進課長
- 参画会議にかける前に、中間整理案についてもう1回確認していただく機会を設けたいと考えております。本日の調査会が終わった後、いただいた御意見を基にもう一度まとめ直しまして、それを委員の方々に御確認いただいてから参画会議で報告するという手続きを考えております。
- 平野委員
- わかりました。
- 袖井会長
- 最終的な報告書ができるのはいつごろになりますか、今回は中間整理ですけれども。
- 塚崎推進課長
- 次回の調査会は7月14日を予定しておりまして、そこで、白書の事例を盛り込んだり、いろいろ手直しをしたものを見ていただきまして、御議論いただいて、その後にまとめていくということを考えております。
- 平野委員
- 中間整理は、先に会議に出してしまうんでしょう。
- 塚崎推進課長
- 参画会議では、これをまとめて直したものを出したいと考えております。
- 平野委員
- 最終案を7月14日にまとめるという意味ですか。
- 塚崎推進課長
- 7月14日に、さらに充実させたものをご覧いただいて、御議論いただく予定でございます。
- 袖井会長
- 7月14日が最後というわけではないですね。
- 塚崎推進課長
- そうです。
- 袖井会長
-
他に何かございますか。
特にないようでしたら、そろそろ時間でございますので、御意見募集結果と中間整理案につきましての協議は終わりにしたいと思います。
最初に御説明いたしましたように、この中間整理につきましては、6月13日の男女共同参画会議で報告したいと考えております。
本日御意見を十分いただけなかった点がありましたら、文書で事務局までお送りいただければと思います。また、本日、御欠席の委員の方々にも同様に文書で御意見を伺いたいと考えております。
いただきました御意見を反映させたものを、委員の方々にお送りして、もう一度御確認いただいた後、男女共同参画会議で報告したいと思います。これは大体いつごろになりそうですか。 - 塚崎推進課長
- 本日、御意見いただけなかった点につきまして、5月30日、金曜日までに文書でお送りいただきたいと思います。それを踏まえて書き直したものをお送りさせていただくのは 来週の中ごろか、終わりごろになってしまうかもしれませんけれども、なるべく早くしたいと思います。
- 袖井会長
-
ということでございますので、よろしくお願いいたします。確かに、文言につきましても、いろいろおかしいところもありますので、是非、事務局の方に御連絡いただきたいと思います。
最後に資料3でございますが、1月29日の第35回基本問題専門調査会の議事録案を事務局でまとめていただきました。このとおり、内閣府のホームページ等で公開することとさせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、そのようにさせていただきます。
事務局から何かございますか。 - 塚崎推進課長
-
繰り返しになりますけれども、本日御意見をいただけなかった部分につきましては、5月30日までに事務局までお寄せいただきたいと思います。書式は自由でございまして、郵送、ファックス、メール、いずれでも結構でございます。本日、御欠席の方々にも同様に文書で御意見をお伺いしたいと考えております。
今後の開催予定でございますけれども、7月14日の月曜日、15時から、永田町合同庁舎で開催する予定ですので、御出席のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
正式には改めて文書で御連絡をさせていただきたいと思います。 - 袖井会長
- それでは、これで基本問題専門調査会の第39回会合を終わります。どうもありがとうございました。
(以上)