- 日時: 平成20年8月4日(月) 15:00~17:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 阿部 正浩 獨協大学教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
(議事次第)
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(報告書案の検討)
(配布資料)
- 資料1
-
男女共同参画センター等の職員に関するアンケート結果について [PDF形式:248KB]
- 資料2
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について
- 資料3
- 基本問題専門調査会 第38回議事録(案)
(議事の概要)
男女共同参画センター等の職員に関するアンケート結果と前回の調査会で出された意見を反映させた報告書案について検討した。
調査会での検討は今回で終了し、8月末を目途に作成する最終的な報告書案を各委員に送付して確認を得たうえ、次回の男女共同参画会議で報告することになった。
○意見交換の概要
【指定管理者が運営する男女共同参画センター等の職員の処遇】
- 指定管理者のセンター等が運営する男女共同参画センター等の方が直営のセンター等より1施設当たりの職員数が多いのは、多くの事業を実施するために、1人当たりの人件費を抑えて職員数を増やしているからではないか。
- 直営の男女共同参画センター等の場合は職員の増員が難しいため、ボランティアで女性団体等に協力してもらっていることも多い。また、その女性団体等が指定管理者になるという流れも出てきている。
- 指定管理者が、職員の給与を低く抑えてでも多くの人手を確保して事業を熱心にやっているのはなぜかという点まで調査できればよかった。
- 指定管理者制度では、期限の定めのない職員を雇いにくく、雇用期間は3~5年でその後の雇用継続の保証はなく、賃金も低いという問題がある。
- 回答のあった男女共同参画センター等全体で非正規職員が4割、非正規職員に占める女性割合が9割であることが低賃金に影響しているのではないか。
- フルタイム職員だけでなくパートも含めた年収比較も出すとよい。パート職員は勤務時間が様々で単純比較はできないが、1年間にセンターから得られる収入はこれだけしかないということを示せる。
- 指定管理者に応募するNPOの側では、事業費に力を割きたいので人件費にしわ寄せがいく。同一労働で賃金格差があるのは、女性の権利を守ることを目的とする男女共同参画センター等の目指す方向とは逆行する。行き過ぎた格差はおかしいということは指摘した方がよい。
- 21世紀の最重要課題に最前線で取り組む人たちがワーキングプアになるのはおかしい。雇用の不安定さの問題を指摘できても、どうすればよいかまでは踏み込めないのが悩ましい。
- 指定管理者の人件費が低くなるのは、経費の節減を前提に指定管理者に出す自治体の設計の問題。財政的には良くても、職員の処遇が悪ければ後継者が確保できず、制度として成り立たなくなる。男女共同参画を施策としてどうしていくのか、そこにいくら投入していくのかというところが一番の問題。
- 現在の指定管理者制度では、経費節減の金額だけでなく、どのように事業が進められたかについての評価が十分にされていないのが問題。
- 地方公共団体のトップは、この調査結果を、指定管理者の方が安く運営できると読むかもしれないが、本調査会としては、指定管理者制度のもとで男女共同参画センター等の職員が疲弊していることを指摘する必要がある。
- 報告書の概要版で、特に指定管理者が運営する男女共同参画センター等の職員の給与が低いことを強調するとよい。
- 男女共同参画センター等の職員の年収の低さや雇用の不安定さを強調するのであれば、国民の理解を得やすいように男女共同参画事業の重要性を明確にするべき。
- 男女共同参画センター等で働いて十分な収入が得られなくても、低賃金で頑張ることがステップアップにつながればよい。人材の流動化の中で、様々な分野でやる気とヒューマンスキルのある人材が求められている。男女センターの職員はなぜ転職できないかも調べる必要がある。
- 男女共同参画センター等の職員の中に他の分野にステップアップしていく人がいてもよいが、そこに勤めていることが職業として成り立つ必要がある。
【指定管理者制度における人材育成】
- 男女共同参画センター等に対するアンケート調査結果では、指定管理者が運営するセンター等の方が直営のセンター等よりも職員の研修参加率が高い。
- 指定管理者が運営するセンター等の方が多くの職員が研修に参加していること、研修参加を正規職員のみに限っていないこと等の予想外の結果が出たが、研修の内容まで調査していないため、それ以上の評価は難しい。
- 指定管理者は、男女共同参画の事業をやりたくて指定管理者になっており、また、高い評価が得られなければ引き続き指定管理者となれないという危機意識も強いため、事業にしっかり取り組み、人材育成にも熱心で、自己評価をしているところが多いのではないか。
- 指定管理者は、人件費を低く抑えて研修旅費を確保しているなど、熱心だが大変苦労しているところも多い。
【調査結果の取扱、報告書の修正】
- 調査結果を単純に読むと、低コストで頑張っているという指定管理者のよい面が表れている。その背景にある問題について、報告書にきちんと書いていく必要がある。
- 指定管理者制度については、問題点だけでなく、管理者となった団体が熱心であることや、民の良さを生かせること、地域に根付いていることなど、よい面も書いた方がよい。
- 今回の調査は、男女共同参画センター等の職員の給与実態について初めてデータを得たという点で貴重。ただし、設問が少なく突っ込んだ分析は難しいため、解説は省いてデータだけを公表した方がよい。
- 今回の調査をスタートと位置づけ、この中で見えてきた問題点について継続して調査するとよい。
- 男女共同参画の推進における課題として、地方公共団体の予算全体に占める男女共同参画予算の推移を示し、関係予算が具体的にどれだけ減っているかを示すとよい。
- 個々の男女共同参画センター等が世界に情報を発信している例はあまりない。むしろ、男女共同参画センター等が全国に数多く存在することが日本の資源であり、特に発展途上国に対して発信できるという重要性がわかるように書けるとよい。
- 報告書の中に、わかりにくい記述やおかしな用語等も見られるため、精査する必要がある。
(以上)