計画実行・監視専門調査会(第13回)議事録

  • 日時:令和4年3月29日(火) 10:00~12:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)女性の経済的自立について4(男女間の賃金格差)
    (2)公共調達の活用による女性の活躍促進について
    (3)その他
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
新型コロナ危機下における男女間賃金(内閣府説明資料) [PDF形式:764KB]別ウインドウで開きます
資料2
女性の経済的自立について(男女間賃金格差の関連資料)(内閣府説明資料) [PDF形式:499KB]別ウインドウで開きます
資料3
男女間賃金格差是正のための「賃金透明化ツール」に関するOECD報告書(概要)(内閣府説明資料) [PDF形式:1,005KB]別ウインドウで開きます
資料4
公共調達の活用による女性の活躍促進について(内閣府説明資料) [PDF形式:2,736KB]別ウインドウで開きます
資料5
令和4年3月8日「国際女性の日」に当たっての岸田文雄内閣総理大臣ビデオメッセージ(内閣府説明資料) [PDF形式:290KB]別ウインドウで開きます
資料6
第66回 国連女性の地位委員会 (CSW)について(内閣府説明資料) [PDF形式:273KB]別ウインドウで開きます
資料7
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定等や情報公表について(厚生労働省説明資料) [PDF形式:2,064KB]別ウインドウで開きます
資料8
有価証券報告書における開示の概要及び男女間の賃金に関する今後の見直しの方向性について(金融庁説明資料) [PDF形式:644KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:82KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
公共調達における受注機会の増大に関する取組状況のフォローアップ結果について(令和2年度) [PDF形式:569KB]別ウインドウで開きます
参考資料4
くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準の改正等の概要 [PDF形式:579KB]別ウインドウで開きます

※資料7については、資料中、表記に誤りがあったため、5月12日付けで修正しました [PDF形式:98KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同    
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同    
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山口 慎太郎 
東京大学大学院経済学研究科教授
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府  
角谷 和彦  
分析アドバイザー
同    
林 伴子   
男女共同参画局長
同    
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同    
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長
同    
前川 紘一郎  
男女共同参画局総務課企画官
同    
須藤 圭亮  
男女共同参画局推進課積極措置政策調整官
金融庁 
井上 俊剛  
金融庁企画市場局審議官
厚労省  
石津 克己  
雇用環境・均等局雇用機会均等課長

議事録

○佐藤会長 それでは、ただいまから第13回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただければと思います。
 本日、委員の皆さんの中では窪田委員、治部委員、徳倉委員が御欠席になります。
 調査会では、これまでに引き続き重点方針2022、いわゆる女性版骨太の方針に向けて議論を行っていきたいと思います。
 本日の議題(1)ですけれども、女性の経済的自立の第4回として、男女間の賃金格差について、議論をしていきたいと思います。
 まず最初に、内閣府の角谷分析アドバイザーより、資料1に基づいて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○角谷分析アドバイザー 御紹介ありがとうございます。
 内閣府の角谷和彦といいます。経済産業研究所をメインの所属に、早稲田大学でも少しお仕事をしております。
 本日は、経済産業研究所から発表させていただきました、新型コロナ危機下における男女間賃金というポリシー・ディスカッション・ペーパーに基づいて報告させていただこうと思います。
 お時間もあまりないようですので、早速、内容に入らせていただこうと思います。
 新型コロナ危機下において、男女の労働市場に関する研究としましては、主に雇用や労働供給に関する研究が多くなされております。山口先生のペーパー等、日本に関しましても、新型コロナ危機下において、男女の雇用、労働供給に何が起きたかという点が多く分析されております。
 しかし、一方で、本日、私の話すテーマでもあります賃金に関しましては、新型コロナ危機下においては、研究は比較的少ない状況になっております。私が知る限りですと、こちらの周先生の研究がありますが、日本に関しましては、そこまで多くはありません。海外に関しましても、ILOの各国比較が出ているぐらいでありまして、そこまで多くはないというのが私の印象です。
 本研究においては、賃金構造基本統計調査の調査票情報、いわゆる個票データを用いて、簡単な記述統計を提示することによって、議論の出発点としていただければと思っております。
 早速、データに関してですが、賃金構造基本統計調査は、農業、林業、漁業等を除く16大産業を対象としておりまして、常用労働者5人以上の事業者を対象とした調査になっております。
 毎年6月に各事業所に調査票が送られまして、6月時点の状況を各事業所が、例えば労働者の賃金や労働時間、勤続年数等を報告する形になっております。
 この論文では、分析期間を2010年からデータが扱える最新の年数である2020年までを分析期間といたします。
 分析対象としましては、常用労働者としております。常用労働者の定義は、「期間を定めずに雇われている労働者」、または「1か月以上の期間を定めて雇われている労働者」となっております。
 以上を基に、この論文では賃金について注目しますので、賃金の定義としましては、6月分の所得税等を控除する前、かつ残業代等の各種手当込みの給与額としております。賃金構造基本統計調査で、「決まっている支給する現金給付額」とされている項目を賃金の定義にいたします。
 賃金構造基本統計調査では、昨年1年間の賞与等もあるのですが、新型コロナ危機下における変化を見る際には、こちらを含めないほうが適切だと思われますので、毎年6月時点の給与額、月給を賃金の定義として使っていこうと思います。
 早速、分析結果に入らせていただきます。分析結果は、基本的にこちらのようにグラフを用いて説明させていただきます。
 左が男性、右が女性となっております。
 男性、女性とも五つのグループに分けて、時系列で変数を追っていこうと思います。
 男性に関してですが、五つのグループのつくり方は、先ほどにもありました賃金に基づいて五つのグループをつくっております。例えばここでは2010年の賃金を高い順から低い順に並べまして、下位20%の人たちを第1分位グループ、次の20%の人たちを第2分位グループとして、賃金に基づいて5分位グループをつくっております。
 ここでは、各グループの平均賃金を計算しております。当然のことながら、第5分位グループの人たちが一番高い賃金グループの人たちですので上におり、第1分位グループの人たちは一番低い賃金グループとなっております。
 この作業を年ごとにしまして、このように時系列でつないだものが左の男性のグラフになります。
 女性に関しましても同じことをしたのが、右の赤色のグラフになります。
 このグラフから分かるのは、男性5のグループが突出して月給が高い。毎月60万ぐらいの賃金を得ていることが分かります。
 一方、女性に関しては、女性の高い賃金のグループでは、女性5になるのですが、30万から35万程度の賃金になっていくことが分かります。
 こちらの賃金は、年齢や勤続年数等の属性を統計的にコントロールしていない単純平均になるのですが、それでも男女間に賃金の違いが見てとれることが分かると思います。
 次に、賃金に関しまして、新型コロナ危機下における変化を見たいというモチベーションの下で、各グループの2010年のレベルの賃金を100に基準化したグラフがこちらのグラフになります。
 先ほどと同じように、1、2、3、4、5のグループに関して、2010年の賃金のレベルを100にしております。
 男性から見てみますと、まず分かるのはこの10年間で男性の賃金はあまり伸びていません。伸び悩んでいるのが分かります。新型コロナ危機下においては、男性のグループ1、2、3、4、5のどのグループも賃金が下がっていることが分かるのですが、とりわけ低賃金グループの人たちの賃金が大きく下がっていることが見てとれます。
 次に、女性に関して見てみますと、2010年から2020年の間に賃金が伸びていることが分かります。とりわけ2015年以降、賃金が大きく伸びていることが分かります。しかし、新型コロナ危機下において、女性のグループ1、2、3、4、5のどのグループも賃金が下がっているのですが、より大きく下がっているのは、女性の場合も女1グループになります。つまり低賃金グループの賃金が大きく下がっていることが分かります。
 これをまとめますと、男女共に新型コロナ危機下において賃金は下がっているのですが、低賃金グループの男1、女1で、とりわけ女1の賃金の下がり幅が大きいことがここから見てとれます。
 以上が賃金に関する分析結果になります。
 次に、各労働者の属性等を見ていこうと思います。例えばここで女1の賃金等が大きく下がったのですが、女1のグループの属性に関して、例えばフルタイムで働いている、パートタイムで働いている等の属性に関して変化が起きたのではないかということを見ていこうと思います。
 そちらを見たものがこちらのグラフになります。こちらはフルタイム労働者の割合をプロットしております。
 賃金構造基本統計調査では、一般労働者と短時間労働者に分かれて区分されます。短時間労働者の定義は、所定労働時間が一般労働者よりも短いものとされておりまして、この研究では、一般労働者をフルタイム労働者、短時間労働者をパートタイム労働者と呼んでおります。
 Y軸はフルタイム労働者の割合、分子にフルタイム労働者の数、分母にフルタイムとパートタイムの労働者の数を取っております。
 男性から見てみますと、男性の2、3、4、5のグループは、ほぼ全員フルタイムで働いているということが分かります。男性の低賃金グループの下位20%の男1のグループに関しましては、フルタイムが4割程度となっております。
 女性に関しましても見てみますと、女性の高い賃金のグループの4と5に関しましては、皆さんはほぼフルタイムで働いていて、ただ、女性の低賃金グループの1、2になりますと、フルタイムの割合が2割以下となっていることが見てとれます。
 新型コロナ危機に関する変化に対しましては、とりわけ注目すべき点と考えられるのは、女1と女2のフルタイムの割合が増えていることが挙げられると思います。新型コロナ危機下においてフルタイムの労働者が増えたというのはなかなか考えにくいので、これはどちらかといえば、パートタイム労働者の方が離職する、もしくは職を失うことによって、相対的にフルタイムの方が見かけ上増えている可能性があるのではないかと考えられます。
 以上がフルタイム、パートタイムの割合になります。
 次に、実際の労働時間を見てみようと思います。こちらは平均労働時間をプロットしております。
 平均労働時間の定義は、所定内実労働時間数と超過実労働時間数を足したものです。それをY軸では、グループごとに平均を取っております。
 こちらの傾向に関しましては、フルタイムとパートタイムの割合を大体反映しているものとなっております。
 まず男について見てみると、フルタイムが多かった男2、3、4、5のグループに関しましても、労働時間が長くなっており、月170時間程度となっております。パートタイムが多かった男1に関しましては、月100時間程度となっております。
 女性のほうは、フルタイムが多かった女性4、5に関しましても、労働時間が男性のフルタイムと同じ程度になっているのですが、パートタイムが多かった女2や女1のグループに関しましては、100時間や50時間と労働時間も短くなっております。
 新型コロナ危機下においても、どのグループもおおむね労働時間が短くなっているのが見てとれます。
 以上が6月の月給と6月の労働時間数を見たものになります。
 6月の月給と6月の労働時間数の二つから時給を計算してプロットしたものがこちらになります。
 時給の定義としましては、各個人の月給を労働時間数で割って、個人ごとの時給を計算しました。また、先ほどと同じように五つのグループで、グループ内の平均時給を計算しております。
 男に関しましては、男5の平均時給が3,500円程度と高くなっております。
 女5に関しましては、平均月給が高いグループなのですが、時給を見てみますと、2,000円程度となっており、男4と同じレベルになっております。
 このグラフから分かることとしましては、女1、2、3のグループは、最低賃金に近い水準になっていることがこのグラフから見てとれます。
 以上が時給に関する結果になっております。
 ほかにもいろいろと労働者の属性を見てみましたが、最後に1点だけ、平均勤続年数に関して述べさせていただこうと思います。
 こちらは各労働者のY軸には平均勤続年数を取っております。
 男からですが、かなり強い平均勤続年数と賃金の関係が見てとれると思います。つまり平均勤続年数が長くなるほど賃金も高くなるという結果が見えております。日本の労働市場は、新卒一括採用、終身雇用、年功賃金で特徴づけられることが多いのですが、そのような特徴が男性から見てとれると思います。
 一方、女性に関して見てみますと、女性の勤続年数は短いことが分かります。女性の高い賃金グループの女5に関しましても、勤続年数は12年、13年ぐらいで、男性3のレベルを超える程度となっております。また、女性1、2、3、4のグループに関しましては、勤続年数が4年から6年程度となっておりまして、男1、つまり男性の低賃金グループの方と同じレベル、似たような水準になっていることが見てとれます。こちらからは、もしかしたら、結婚、出産等で一時的に中断される等の結果が現れている可能性があると考えられます。
 私からの発表は以上になります。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 質問は後で伺うようにします。
 それでは、続きまして、内閣府の林男女共同参画局長より資料2、資料3の御説明をいただければと思います。

○林男女共同参画局長 内閣府男女共同参画局長の林でございます。
 本日、急遽、国会に政府参考人として呼ばれてしまいましたので、途中で退席させていただくことをお許しいただければと思います。
 それでは、資料を共有させていただきます。
 資料2でございます。
 男女間の賃金格差の帰結として、世帯主が就業している世帯の所得分布を見てみました。世帯主が女性である単身世帯の場合、年収200万円台という人が一番多く、世帯所得300万円未満の人が全体の53%となっております。
 また、世帯主が女性の単身世帯以外、多く母子世帯が含まれていると考えられますが、この世帯についても36.3%は世帯所得300万円未満となっておりまして、緑の線の男性が世帯主の世帯とはかなり異なった分布になっている状況にあります。
 次に、昨年11月にOECDから賃金透明化ツールに関する報告書が公表されましたので、その内容について御紹介したいと思います。
 この報告書では、長引く深刻な課題である男女間賃金格差を是正するための有効な手段として、賃金透明化ツールに注目し、各国の最新の政策動向やベストプラクティスが紹介をされています。今後、日本で同様の制度について検討を進める上で有益な情報になると考えられますので、今回、概要を御報告するものでございます。
 なお、日本の男女間の賃金格差は、男性を100とすると、女性は76というのが中央値でございます。OECD平均は87でございますので、日本の男女間賃金格差は、OECDの諸国と比べると大きいという状況にございます。
 OECD報告書は、全部で5章から構成されておりまして、特に第3章、第4章で扱われている企業による賃金格差報告、同一賃金監査制度を中心に御紹介をしたいと思います。
 制度の説明に入る前に、OECDが整理しております男女間賃金格差の原因と帰結について、御紹介をいたします。
 OECDは、賃金格差の主な要因として三つ挙げております。
 水平分離とは、男性と女性がそれぞれ集中している特定のセクターや職種があって、そこでそれぞれ賃金の水準が異なっている。特に女性が大半を占める看護、介護やサービス業の賃金が低いことを指摘しています。
 垂直分離とは、同じ組織の中でも男性と女性がそれぞれ特定の職務に集中していたり、あるいは女性の昇進が限られていることによるものという指摘をしています。
 三つ目として、無償労働時間の不平等な配分ということで、女性が男性よりも多くの時間を家事、育児、介護などに充てていることで、賃金労働に従事する時間や労働市場での活動が制限されることの問題点を指摘しています。
 こうした男女間賃金格差の帰結としては、女性の経済的自立が制約されること、また、現役引退後の高齢女性の貧困化リスクを挙げています。
 この報告書では、主に賃金格差報告制度、そして、同一賃金監査制度の二つの制度について、各国での導入状況やその内容について紹介がされています。
 賃金格差報告制度とは、雇用主に対して男女間の賃金格差に関する統計データの定期的な報告を義務づけるものであります。国により異なっておりますが、報告先としては従業員、あるいは政府機関が想定されているほか、一般市民も含めた社会全体への公表を義務づけているといった国もございます。
 同一賃金監査制度とは、雇用主または外部監査人による役職における男女比、職務評価・分類制度、男女間の賃金格差といった同一賃金をめぐる広範な項目についての分析を義務づけるものであります。男女間賃金格差については、実態の報告のみならず、原因の分析や行動計画の策定などが求められています。
 OECD諸国で見ますと、イギリスとイタリアで賃金格差報告、カナダ、フランスで同一賃金監査が義務づけられています。
 OECD諸国約38か国の半数の18か国では、賃金格差報告、あるいは同一賃金監査のいずれかの形で民間企業による男女間賃金格差の報告が義務づけられています。
 円グラフの右上では、広範な監査の対象の一部に賃金格差が盛り込まれていて、その賃金格差についても、実態の報告のみならず、原因分析や行動計画の策定が義務づけられている国で、カナダ、フランスなどです。
 一方、右下のイギリスやイタリアを含む9か国では、監査はないですが、賃金格差の報告が義務づけられています。
 日本につきましては、男女間の賃金格差は含まないが、従業員の男女比等の男女別の統計情報の報告を民間企業に義務づけている国のカテゴリーに含まれていまして、この分類は、現在の女性活躍推進法上の民間企業の義務を念頭に判断されているものでございます。
 さて、賃金格差報告制度です。
 これについての主要な調査結果として、例えば上から三つ目ですが、政策効果について、賃金格差報告制度は、男女間賃金格差を縮小させる効果があると報告されています。詳細は後ほど御説明します。
 賃金格差報告制度に関して、データの種類の重要性の指摘をしています。企業全体で見たときの男女間賃金格差の報告の義務づけは、企業や職種に関係なく、女性の昇進などを促す効果があり、企業のデータ計算にかかる負担も軽減する一方で、同じ職務を行う者同士の間での不平等や差別を覆い隠す可能性があると指摘しています。
 他方、職種、スキル、経験といったサブグループ別の男女間賃金格差の報告義務づけは、似たような男女の間での不平等を明らかにするという効果がある一方で、デメリットとしては、企業の負担の増加を指摘しています。
 罰則やインセンティブにつきましても、報告されています。例えば賃金格差の公表、政府調達案件への入札の参加制限、罰金などが存在しています。
 賃金格差報告制度の政策効果について分析がなされておりまして、その紹介がされています。デンマークやイギリスのように、強い執行メカニズムを伴う報告義務づけについては、男女間賃金格差を縮小させる効果が見られます。それは女性の賃金の上昇というよりも、男性の賃金の伸びの低下などによってもたらされるということであります。
 さらにしばしば懸念される企業の生産性や収益性の影響につきましては、特に生産性や収益性の低下は見られないという結論になっています。
 そのほか、デンマークやイギリスにつきましては、女性の雇用や昇進の増加、女性に対する採用活動のポジティブな変化が報告されています。
 代表的な例としてイギリスがあります。イギリスでは、男女間の賃金格差を各企業のウェブサイト及び政府の専用のウェブサイトで公表しなければならないことになっています。
 下に掲載しているのは、実際の政府専用のウェブサイトの画面のコピーです。利用者は、左側の企業の検索ページで個別の企業を特定し、クリックすると、右側の画面のように表示される男女間賃金格差の詳細情報を自由に見ることができます。女性の賃金、男性の賃金、あるいは女性のボーナス、男性のボーナスといった形で出てまいります。
 こうした名前と恥、name and shameと呼ばれるアプローチの下で、一般からのプレッシャーやレピュテーションリスクが雇用主のインセンティブとなって、導入後の最初の2年間、100%の遵守が達成されたということでございます。
 続きまして、同一賃金監査制度に移ってまいりたいと思います。
 このいい例としてフランスが紹介をされています。フランスでは、従業員50人以上の全ての雇用主に対して、五つの指標を計算し、合計で100点中75点を下回った場合、3年以内に適切な是正措置を講じることを求めています。
 その五つの指標は、男女間賃金格差のみならず、昇給や昇進の男女比の差、産休復帰後の女性の昇給の人数などが含まれています。それぞれ評価をして点数づけをするということであります。
 こうした指標の計算は、企業にとって負担になると思われますが、ここはオンラインの計算ツールが提供されていまして、こうしたツールによりまして、義務の遵守率は現在70%まで上昇しているということであります。
 同一価値労働同一賃金でございます。主にヨーロッパでは、同一価値労働同一賃金の推進により、伝統的に女性が多数を占める仕事への低評価が見直されることで、水平的分離が解消され、男女間賃金格差の是正に資すると考えられております。
 以上、OECDは賃金透明化政策に関して、これまでに得られた政策的な教訓をまとめております。この中から幾つか御紹介したいと思います。
 様々なアクターの巻き込みが重要ということで、報告の質を改善するためには、労働者、あるいは政府など、様々なアクターがプロセスに関与することが重要と指摘しています。
 賃金格差報告には明確なガイドラインと簡素なプロセスが大事と言っております。報告されるべきデータの明確な定義、デジタルツールの活用などが企業の事務負担軽減の鍵になると指摘しています。
 報告の対象とするデータの種類が重要ということであります。
 強制や罰則の適用は重要ということであります。
 賃金格差に対しては、それに対処するための行動計画の策定が大事ということでございます。
 さらに報告義務の対象となる企業の割合を増やすということで、小規模の企業の事務負担の軽減のためには、オンライン計算ツールの提供なども有益としております。
 賃金透明化政策についての意識向上が重要ということで、例えばフランスでは、中小企業のトップに対してトレーニングコースを提供したりしています。また、イギリス政府の行動経済学チームによる検証の結果は示唆に富むと思われます。これによれば、各企業の賃金格差の結果を並べて表示する。また、賃金格差は割合表示ではなく、金額表示にすることで、一般市民の賃金格差に関する理解が最大化されるといったことが書かれております。
 以上、概要を御説明させていただきました。
 OECD諸国のこれまでの経験やベストプラクティスを参考にしながら、日本に適した賃金透明化政策の在り方について御議論をいただければと思っております。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 OECDのレポートはよくまとまっていると思いますので、後で御意見を伺えればと思います。
 次に、厚生労働省雇用環境・均等局の石津雇用機会均等課長から御説明いただければと思います。

○石津雇用機会均等課長 厚生労働省でございます。
 それでは、画面に表示されている資料に即して説明をさせていただきます。
 私からは、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と情報公表について説明申し上げます。
 スライドの2ページ目をご覧ください。女性活躍推進法の概略について申し上げます。
 女性活躍推進法でございますが、平成27年に制定をされております。働く場面で活躍したいと希望を持つ女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することを目的としておりまして、そのための仕組みとして、女性の活躍推進に向けた数値目標を設定した行動計画の策定、公表、また、女性の就業生活における活躍に関する情報の公表を国、地方公共団体、民間企業の事業主に義務づけております。
 令和元年には、行動計画を作成する義務が課される企業の対象の拡大、情報公表の内容の強化などを内容とする法改正を行っております。これにつきましては、4月から全面的に施行される予定でございます。
 なお、厚生労働省におきましては、女性活躍推進法の民間企業関係部分についてのみ所管しておりまして、国、あるいは地方公共団体に関する女性活躍については所管しておりませんので、本日は民間企業に関する部分についてのみ説明申し上げます。
 赤枠の中でございますが、女性活躍推進法では、民間企業に対して、大きく申し上げまして、二つの事項を義務づけております。
 一つ目は、企業におけるPDCAを回して、女性活躍の取組を推進していただくことでございます。
 二つ目は、女性の職業選択に資するよう、自らの企業の女性の活躍に関する情報を公表していただく。この2点を義務づけております。
 スライドの3ページ目を御説明させていただきます。民間企業、一般事業主が行うべきことでございますが、従業員数に応じて義務づけの内容を変えております。
 義務づけの種類としましては、上の枠も下の枠も同じく4種類あるわけでございますが、(2)と(4)のところが違います。
 (2)は行動計画において定めるべき目標の項目数でございますが、従業員数301人以上の事業主においては2項目、対して101人から300人以下の事業主については1項目となっております。(4)の情報公表についても同様でございまして、相対的にということでございますが、規模の大きい事業主においては、2項目を公表していただく。他方で、中小企業においては、1項目の情報公表をお願いすることになっております。
 なお、欄外にございますが、常時雇用する労働者数100人以下の事業主については、上の1~4まで、いずれについても努力義務になっております。
 (1)(2)(3)のプロセスをもう少し細かく説明させていただきます。一般事業主行動計画の策定・届出に関してでございますが、細かく言いますと、四つのステップがございます。
 ステップ1でございますが、状況の把握、課題分析を最初にしていただきます、その際に四つの項目については、必ず把握をしてくださいとお願いをしております。
 採用した労働者に占める女性労働者の割合。
 男女の平均勤続年数の差異。
 平均残業時間数。
 管理職に占める女性労働者の割合。
 これについては、必ず把握していただきたいとしております。
 次のステップでございますが、行動計画の策定でございます。この行動計画には期間、数値目標、目標を達成するための取組内容、取組の実施時期を盛り込んでいただくようにしております。その上で、策定した事業主行動計画については労働者に周知する。また、外部へ自社ホームページなどを使って公表していただくこととなっております。
 ステップ3でございますが、行動計画を策定したことについては、所轄の労働局に届出をしていただく。
 最後に、行動計画を策定しただけでは意味がございませんので、取組の実施は当然でございますが、効果の測定をしていただくというプロセスを経ております。
 女性の活躍に関する情報公表について、具体的にどういう項目を公表するかでございますが、301人以上の企業でありますと、第1の区分、女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供です。これは8項目並んでおりますが、この中から1項目を選択して公表していただきます。
 職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備は7項目ございますが、この中から一つ選択して公表していただくとなっております。
 101人以上300人以下の企業におきましては、8プラス7で15項目ありますが、この中から一つ選んで公表していただくということでございます。
 項目のところについて、もう少し細かく申し上げますと、状況把握の項目と情報公表の項目は項目が違います。
 行動計画を策定する前段階で自社の状況を把握することについては、ここに合わせて23の項目がございます。そのうちの四つの項目について、太字の下線を引いているところですが、これが先ほど申し上げた必ず把握していただかなければならない項目でございます。
 他方で、情報公表の項目は、前のページでも申し上げましたが、女性労働者の職業生活の機会の提供、職場での活躍に関するものが8項目並んでおりまして、両立に関するものがこちらに7項目あるということでございます。
 なお、男女の賃金の差異につきましては、状況把握の項目の中で選択項目の一つとなっております。他方で、情報公表の選択項目にはなっておりません。
 最後に、今通常国会におきまして、男女間賃金格差に関して総理、また、厚生労働大臣から発言が何度かありましたので、紹介をさせていただきます。
 1月17日、総理施政方針演説の中で、男女の賃金格差も大きなテーマである、この問題の是正に向け、企業の開示ルールを見直すと御発言をされておられます。
 1月24日、衆議院の予算委員会において、依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえ、女性活躍推進法のスキームがさらに実効あるものとなるよう、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて検討するという御発言をされておられます。
 私ども厚生労働省からは、厚生労働大臣が3月3日の参議院厚生労働委員会における方針の演説におきまして、総理と同様に御発言をしております。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、金融庁企画市場局の井上審議官から、資料8について御説明いただければと思います。お願いします。

○井上審議官 金融庁企画市場局審議官の井上でございます。
 私からは、10分程度お時間をいただきまして、有価証券報告書における開示の概要及び男女間賃金格差に関する今後の見通しの方向性について、御説明させていただきます。
 資料1ページです。企業における女性活躍の推進等に関する金融庁の施策ですが、「第5次基本計画」におきまして、ジェンダー平等の観点から、有価証券報告書等における開示の在り方の検討、「重点方針2021」においては、多様性の確保に資する施策として、コーポレートガバナンス・コードの改訂が掲げられております。
 コーポレートガバナンス・コードの改訂につきましては、既に令和3年6月に行われたところでございます。後ほど御説明いたしますが、現在、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループにおいて、本日のテーマでございます男女間賃金格差についても、多様性の開示の文脈の中で御議論いただいているところでございます。
 資料2ページです。これは先ほど厚生労働省からも御説明がございましたけれども、2022年1月の岸田総理大臣の施政方針演説におきましても、「男女の賃金格差」が大きなテーマとして挙げられておりまして、一番下のところですけれども、「この問題の是正に向け、企業の開示ルールを見直します」と言及されているところでございます。
 資料3ページです。当庁におきましても、昨年6月、金融担当大臣から、金融審議会に対して、ディスクロージャーの在り方、企業情報開示の在り方について検討を行うよう諮問がなされたところでございます。昨年9月から金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループを設置いたしまして、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報等の開示の在り方の検討が進められておりまして、その中で男女間賃金格差を含むジェンダーの問題、ダイバーシティの問題の検討を行っていただいているところでございます。
 資料4ページです。昨年10月、ディスクロージャーワーキング・グループの第3回の会合で頂戴した御意見を踏まえまして、現在の法定開示書類であります有価証券報告書において、「サステナビリティの開示の記載欄」の新設の検討を行っていただいております。このスライドの下の部分でございます。
 資料5ページです。有価証券報告書における多様性確保の開示の検討に当たりましては、金融商品取引法だけではなく、先ほど御説明がございました女性活躍推進法とか、あるいは育児・介護休業法などの動向も踏まえまして、多様性確保の開示についても御検討いただいているところでございます。
 資料6ページです。本日のテーマに関連しますけれども、有価証券報告書における男女別給与の開示につきましては、過去、1999年の3月期まで、有価証券報告書において開示が求められていたところでございます。しかし、省令改正によりまして、開示義務がそれ以降廃止されているところでございます。
 この改正は、当時、提出会社のみを対象とした「単体情報」から、提出会社のグループ全体を対象とする「連結情報」を中心に、開示制度が転換する中で、投資情報としての有用性が相対的に低下した「単体情報」につきまして、可能な範囲で簡素化の措置を講じたという背景がございます。
 先ほど厚生労働省からも御説明がございましたけれども、女性活躍推進法に基づく男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて、御検討いただいていると承知しています。
 諸外国の状況を御説明させていただきます。
 資料7ページです。欧米における多様性確保に関する開示につきましては、いろんな法律がありますけれども、特に商法等におきまして開示が求められているような例が多いと承知しております。
 資料8ページです。これは御参考ですが、証券法以外の規律による男女別賃金に関する開示についての諸外国の状況でございます。それぞれの国でも多様性の開示が求められていると承知しております。
 資料9ページです。以上、御説明したような背景を踏まえまして、3月24日にディスクロージャーワーキング・グループの第7回の会合を開催させていただきまして、その場で主にダイバーシティの話も含めて、サステナビリティの御議論をいただきました。
 ダイバーシティにつきましては、ここのスライドにお示ししているような論点を事務局から提示させていただきまして、御議論いただいたところでございます。
 「多様性」に関しては、これまでのワーキング・グループの会合等における「企業価値判断における重要性が特に増している」というような御指摘を踏まえまして、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)という国際組織ですけれども、そこの基準策定作業を先取りして、以下の取組みを進めることについてどう考えるかということでございます。
 三つ、小さなポツがありますけれども、その三つ目のところですが、企業の多様性確保に係る指標として、女性管理職比率、育児休業取得率、男女間賃金格差等、中長期的な企業価値判断に必要な項目の開示、また、この場合、企業負担等の観点から、他の法律の定義・枠組みに従って開示することというような論点を提示して、御議論をいただいたところでございます。
 資料10ページは、御参考ですけれども、今回の第7回のディスクロージャーワーキング・グループにおいて御議論いただいた全体像ということでございます。
 会合では、サステナビリティに関して幅広い御議論をいただきましたけれども、その中のスライドの右下のところですけれども、人的資本、多様性に関して、人材育成方針、社内環境整備方針を記載していただくことに関連して、従業員の状況のところで女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差についても御議論いただいたということでございます。
 こうした論点に対して、当日の御議論の一端を御紹介させていただきますと、ワーキング・グループのメンバーから以下のような御議論をいただいたところでございます。
 多様性に関する意見としましては、「企業価値判断における重要性を踏まえて、国際的な基準策定を待つことなく、国内基準策定を進めていくべき」というような御意見がございました。
 「女性管理職比率、育児休業取得率、男女間賃金格差の開示については、他の法律の定義、枠組みに整合性を図る必要があるのではないか」といった御意見、あるいは「多様性確保に係る開示については、グローバル化の中、投資判断に有用な連結ベースの情報で開示されるべき」といった御意見もいただいたところでございます。
 金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループでは、ほかにも多様なテーマを御議論いただいておりまして、この春頃を目途に報告書を取りまとめていただきたいと考えているところでございます。
 以上、有価証券報告書における開示の概要及び男女間の賃金に関する今後の見通しの方向性について御説明させていただきました。御清聴ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 調査会の初めに、本日、石黒委員が御欠席というお話をしたのですけれども、今日、御都合がついて入っていただいています。
 内藤委員は、どうしても業務で対応しなければいけない事案ができたということで退席されています。
 それでは、ただいまの御説明について御質問を受けたいと思いますが、角谷アドバイザーと林局長は11時までということですので、お二人に先に御質問いただければと思います。質問について御回答いただくということなので、初めに3~4分で御質問ある方に伺って、11時までにレスポンスしていただければと思います。いかがでしょうか。白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 有益なデータをありがとうございます。
 早く退出されるということで、基本的な質問を角谷先生にさせていただきます。大変参考になりました。ありがとうございます。
 賃金格差については、おっしゃるとおり、歴史はすごく長くて、労働経済学の山口先生もいらっしゃいますけれども、社会学でもかなり議論はされております。今日出していただいたところにつきましても、ある意味でマクロなところがよく見えたところになります。
 解釈のところで、5分位に分けていただいているのですが、そもそも男女間での高所得層、低所得層といったところのディストリビューショナルというか、周辺分布のところの違いが男女間でどれぐらい違うのかということを見えていただきたい。つまり高所得層はかなり少ないわけですから、ここではその辺りのピクチャーが見えにくいので、どうなのかということです。
 もう一つは、最近のコロナ禍でいろいろな動きがありまして、賃金格差もそうなのですけれども、男性の平均と女性の平均のところで、男性が相対的に低くなったら、結果的としては賃金格差がよくなるのです。この傾向というのは、ヨーロッパなどでもよく見られているわけですけれども、日本についても、そういうところは若干見えます。
 コロナ禍については、フルタイムの上昇です。医療・福祉のところの人手不足を反映していると思うのですけれども、この辺りを反映して、一時的に上がったかのように見えます。
 一番重要なところは、底辺のところの第1分位のところでかなり低下が見えていて、それは男女のところでもより低下が見えていて、全体的にも女性に低下が見えているということで、ただ、その中身は男女でちょっとずつ違っていると思うので、その辺りでもう少し突っ込んだ分析をやられているのかというのが質問です。
 以上です。

○角谷分析アドバイザー ありがとうございます。
 1点目の周辺分布に関してもう少し御説明いただいてもいいですか。

○白波瀬委員 これは5分位で、女性の中で、男性の中でと切ってやられていますけれども、高所得層、低所得層という観点から考えると、男女間ですごく差があるわけです。平均値も差があるということはあるのだけれども、例えば高所得層というカテゴリーを見て、男女間で時系列的な分布のところでの高所得層と言われている人たちの割合はどれぐらい変わっているのか、変わっていないのか。パートタイムが多かったら、結局、下のところばかり多いわけで、全体の1割しかいないという状況が継続している背景的なことが分からないと、その中の5分位で見られているところの差というのは、本当は全体の中でいろんなやり方はあると思うのですけれども、5分位をそれぞれお願いします。

○佐藤会長 角谷さん、ちょっと待っていただいて、今、局長が出られるのだけれども、林局長には次回にお答えいただくことも可能なので、角谷さんに質問があれば、まとめてお答えいただきます。
 私からはテクニカルなことなのだけれども、今回の常用労働者なのですが、確かに正社員と分けられます。今回は有期が入ってしまっているので、有期契約は当然女性が多くなります。なので、今回はなぜ無期と有期を分けてやっていないのかということだけです。
 ほかに角谷さんについて御質問があれば、お願いします。佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございました。
 2015年以降、女性の賃金が全体的に伸びていたのですけれども、それというのは、原因というか、女性活躍推進法は2016年でしたか、その辺りは関係があると分析されておりますか。

○佐藤会長 ほかに角谷アドバイザーの質問でお一方はいいと思うのですけれども、よろしいですか。
 そうしたら、今までのところをお分かりの範囲内でお願いします。

○角谷分析アドバイザー ありがとうございます。
 1点目の白波瀬先生からいただいた点に関して、周辺分布に関してはおっしゃるとおりで、別のデータの切り方という感じで、私は一つの点から切り取っているだけなので、そうすると、分かりやすいのですが、おっしゃったように全体像をつかまえるのには限界がるという感じで、今回の分析ではやっていないところですので、今後の課題といいますか、別でやるべきところだと思います。
 佐藤先生からいただいた有期、無期のところで分けてやっていないのかというところは、正社員、非正社員では分けてやったのですが、正社員、非正社員の場合は、先ほどお見せした結果とほとんど同じ分析結果でありました。有期、無期ではまだやっておりません。
 最後にいただいた点として、2015年以降、女性の賃金がなぜ上がっているかに関しては、この分析からでは分からないというのが正直なところです。おっしゃるとおり、政策の効果等、いろいろあったとか、例えばマクロの人手不足等を反映しているとか、様々な理由があると思うのですが、この分析からでは賃金が上がっているという点からしか分からず、どうして上がっているかというところが分からないというのは現状です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 レポートをよく読む必要があると思いますので、また読ませていただきますが、角谷さんに対して何かあれば伺いますが、林局長はまだ5分ぐらいありますので、2~3分、質問があれば伺って、11時までにレスポンスしていただければと思いますので、局長の御報告に御質問があれば、お願いします。白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 何度もすみません。大変貴重なOECDのデータをありがとうございました。
 確認なのですけれども、これだけ欧米諸国などでもディスクローズなどを出しています。でも、基本にあるのは、こういうことが可能なように人事データを整備してくださいというところだと思うのです。ですから、日本も一緒に参加できるように、ずれてしまいますけれども、厚労省さんもそうなのですが、それぞれの事業にお願いしましたと言っているのですが、そんなことをやっていたらすごく大変になると思うので、いろんなところでデータの電子化もありますので、そもそものデータの標準化を同時進行で行っていただいて、それで公表というところで、そうしたら、その中身もいろいろ見えてくると思いますので、この点について、質問というか、よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 ほかにはございますか。大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 先ほどのOECDの調査の報告が大変まとまっていて、とても参考になりました。
 1点、お伺いしたいのですけれども、OECDの調査のベースにある考え方というのは、同一労働同一賃金ではなくて、同一価値労働同一賃金で、これはILOの同一報酬条約第100号にのっとった考え方での賃金格差の算出等々、考え方のベースが同一価値労働同一賃金なので、それをベースに日本でも今後政策整理をしていこうというお考えなのかどうかをお聞かせいただければと思います。

○佐藤会長 ほかに林局長にあればですが、いいですか。
 林局長、現時点でお願いします。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。
 私からお答えできることはお答えしたいと思います。
 今日、実は厚生労働省は、雇用環境均等局長の山田局長が出席の予定だったのですけれども、山田局長も私と同様、急遽国会の政府参考人で呼ばれてしまいましたので、代わりに石津課長がおいでになっています。石津課長から補足があれば、お話しいただければと思います。
 デジタルについては全くそう思います。今回、OECDの報告を読んで、改めて思いますのは、男女間賃金格差を企業にレポーティングしてもらうためには、企業の負担が一つの論点になると思います。かつて厚労省の労政審議会で議論になったときも、企業の負担がということが一つの課題としてあったと聞いております。
 それを乗り越えるのはデジタルなのだと思います。各国の事例をいろいろ見ますと、デジタルの計算ツールを用意したり、ウェブサイトに載せて一括で見られるようにしたり、いろいろ工夫をしています。そういう意味では、デジタルのデータを標準化していく、また、デジタルのツールでできるだけレポーティング、開示を簡単な形にするというのは、企業の負担を最小化する上でとても大事であると思います。
 また、中小企業については、特に開示のためのコストがかかるということが大きな課題ですけれども、OECDの報告書によりますと、確かにこういったデジタルツールがあって、それを普及させる努力をすれば乗り越えられるのではないかといった指摘もございます。こういったことはとても大事だと改めて思いました。そういうことで、デジタルが一つの鍵ではないかということでございます。
 もう一つ、同一価値労働同一賃金のお話でございます。OECDの報告書自体は、同一価値労働同一賃金が前提とか、ベースということではないと思いますが、ただ、一般にヨーロッパの国々では、同一価値労働同一賃金を意識している国もかなりあると聞いております。
 同一労働同一賃金と違って、同一価値労働同一賃金というのは、例えば同じホテルで働く清掃員の大半が女性で、バーテンダーの大半が男性というような場合に賃金が違いますが、例えばスペインの裁判例ですけれども、同じホテルの清掃員とバーテンダーの賃金が大幅に違うというのはおかしいのではないかという趣旨の判例があると聞いています。同一価値労働同一賃金をヨーロッパでは重視する人もいるということだと思います。
 ただ、ここではいろんな議論があると思います。私自身は、日本でまずやらなければいけないのは、同一労働同一賃金です。これは働き方改革法でできたものですけれども、まずこれを貫徹するというのが大前提です。まずこちらを先にやらなければいけないのではないかと考えております。
 石津課長、補足することがあれば、お願いします。

○石津雇用機会均等課長 私から特にございません。

○佐藤会長 局長はここまでで、この議論は結構難しくて、基本的に理念的な議論と実務的にやれるかどうかは別で、フランスの先ほどの資料でもやっているわけではないのです。労使協定で同じ分類にあるから、同じ価値労働とみなすべきだと言っているだけの話で、実務的には非常に難しくて、なかなかまとまらないのです。例えば事務職と全く違う職種の物差しをつくるときに、物差しが一緒にはできないのです。理念と運用上の話は別だということです。
 あと、日本の場合は、法律上は同一労働同一賃金と書いていないので、不合理な格差是正というのが今の日本の法律ということです。そこはそれを踏まえてどうするかを議論したほうがいいと思います。
 まだまだ議論はあるかと思いますが、角谷アドバイザー、どうもありがとうございました。
 局長は、これから国会に行かなければいけないので、局長もどうも御苦労さまでした。
 それでは、もう少し石津課長と井上審議官にはお付き合いいただくということで、5分休憩して、その後、皆さんからまとめて御質問いただいて、井上審議官と石津課長からレスポンスいただければと思います。
 5分休憩です。今、3分なので、11時8分からです。それまで背伸びしてください。どうもありがとうございました。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、続きということで、石津雇用機会均等課長の御説明と井上審議官の御説明への御質問があれば、まとめて質問を出していただいて、石津雇用機会均等課長は初めてかも分かりませんが、自分への質問があったらメモをしておいていただいて、可能な範囲内でまとめて御説明いただければと考えています。
 もう一つの議題もありますので、できればこのテーマでの質疑は、30分ぐらいまでにさせていただければと思います。
 それでは、最初に石黒委員、お願いいたします。

○石黒委員 先ほどのデジタル化のところですけれども、白波瀬委員がおっしゃったとおりで、林局長にも御回答いただいたのですが、私もデジタル庁とダイアログを続けておりまして、今のフォーカスは、例えばマイナンバーのところとペーパーレスのところだと思っています。今回の開示をするためには、法人向けのプラットフォームを、ぜひ焦点に入れていただきたいと思います。
 法人に対するデータの標準化は大事なので、法人に対するプラットフォームの提供と、そこでデータを標準化させてほしい。規模が小さい会社でも、厚労省さんや、金融庁さんの男女別の賃金の格差を出すことなど、小規模な会社には、結構負担だと思っています。規模によっては、ほぼ負担のほうが大きくなってしまうので、ここはデータの標準化と一元化したプラットフォームの提供をお願いしたいと思いますというのが一つです。
 林局長のプレゼンの中で、男女の賃金格差、OECDの分類が非常に納得がいきました。水平、垂直、無償労働時間の提供、この三つに分けて、これが原因であるということが改めて頭の中で整理できました。
 ところが、男女賃金格差を是正するためには、かなり複雑な要素があります。例えば水平だと、恐らく女性のキャリアの選択というところが大きいでしょうし、垂直のところは女性のプロモーションだと思います。プロモーションに係るのは、一つは家庭での負担が大きく、男性と同じような形でサービスを提供できないというものです。時間的制約や、気持ちの負担などがあるので、この辺りを全部是正していくことが難しい。キャリアの選択というのは、学校や教育などもあり、企業での是正の仕方、また、家庭で是正の仕方というような、経済主体が違うところにお互いがもう少し踏み込んでいかないといけないと思います。特に家庭での無償労働時間の是正などは、家庭だけに任せていると時間が遅くなってしまうと思います。文化が変わってくることや、人の気持ちが変わってくることなどを待てない状況なので、異なる経済主体が積極的に、方法としては、例えば育休の取得を義務化するなど、企業ができる家庭の在り方へのプッシュをどうやってプロモートしていったらいいかということを踏み込んで考えないと、是正にならないのではないかと思います。
 私どもの会社でも、私が他の女性を見ていると、家庭での負担が結構大きく、それに優先順位が置かれてしまっているのです。もちろん家庭に優先順位を置くこと自体は全く悪いことではなくて、悪いのは男性の優先順位が必ず職場であり、女性の優先順位は家庭であるという、この構図が変わらない限り、これは変わってこないと思います。
 それを変えるためには、異なる経済主体積極的に他の経済主体への施策を進めることが有効ではないか、という意見を持っております。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 この4月から男性の子育て参加について、企業は働きかけなければいけなくなったので、それは一歩前進です。
 多分現状の役割分業について、男女で話し合った結果ではないのです。そこはすごく問題で、お互いに議論して納得してというのはあり得ると思うのだけれども、今はそうではなくて、それぞれ不満を持っていたりするので、そこは変えていかなければいけないと思います。
 井上審議官や石津課長への御質問を先にいただければと思いますので、よろしくお願いします。もしあれば、まとめて質問を出してください。いかがですか。井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。井上です。
 今日は貴重な資料を御提出いただきまして、ありがとうございました。
 厚生労働省に質問です。この国会で岸田総理、あるいは後藤厚生労働大臣の発言の中で、男女間の賃金格差に触れられていて、その中で、開示の制度の見直し、具体的に検討、速やかに着手、そういうワードがたくさん出てくるのですけれども、実際に厚生労働省として具体的にどのようなことを考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 あと、意見なのですけれども、確かに賃金の公表・開示は大変大事なことだと思うのですが、先ほど大崎委員からもお話がありましたけれども、ILO第100号条約を日本が批准しているということを踏まえれば、同一価値労働同一賃金という考え方にもとづき、最終的にはしっかりと職務評価を行い、性や職種の違い、雇用形態の違いなどに関係ない客観的な分析、性に中立な評価によって職務の価値を数値化し、公正な賃金と雇用を実現することが大切ではないかと思います。
 明日から、各国のナショナルセンターが加盟をしております、ITUC、国際労働組合総連合で世界女性大会が開催される予定でおりまして、全ての国で全ての人に同一価値労働同一賃金を実現するためには何をすべきか、というテーマで議論が行われます。世界各国どこも同じ課題を抱えている中で、どうやって公正な賃金を女性の経済的自立を実現するために求めていくかという議論をしております。
 先ほど日本の法律的に同一価値労働同一賃金は難しい、日本の法律は不合理な格差是正というお話がありました。確かに同一労働同一賃金を実現するというのが第一歩だとは思いますが、最終的な目標はやはり同一価値労働同一賃金ではないかと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 私が言ったのは、法律上どうこうではなくて、同一価値労働を実際に労使でやるときに、納得できる基準をつくるのは難しいという話です。法律上できる、できないではなくて、労使が自主的にやることはいくらでもできます。そういう意味です。
 ほかにはございますか。佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 質問ですが、女性活躍推進法の中で、女性の活躍に関する情報公開は一つだけでいいというところですが、なぜ全部公開ではないのでしょうか。全部公開すればいいと思うものばかりだったのですけれども、一つからもっと数が増えるということは、御検討されているのかということがまず一つ目です。
 あと、大学に関することなのですけれども、第6期科学技術・イノベーション基本計画の中で、女性活躍推進法を大学にも当てはめていきましょうということが明記されています。大学はなかなか情報開示をしていません。国立は割としてきているのですけれども、私立は手つかずになっており、私立のほうが数が多いので、ここを改革するには女性活躍推進法を大学にも積極的に応用していくのがいいと思うのですが、今どこまでそのお話が進んでいるのかということをお聞きしたいと思います。
 あと、カナダのように、政府調達案件、大型の研究費に当てはめていただければと思います。そうすれば、大学もどんどん変わっていくと思います。大学も法人化されて、ほぼ企業のようなものなので、企業だけではなく、企業に当てはめているものを大学に当てはめていくことで、どんどん変わっていくと思うので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
 以上です。

○佐藤会長 一番最後の話は、議題(2)の話です。公共調達の話です。そのときにということにします。
 2番目のことですが、基本的に大学も女性活躍推進法の対象です。だから、現状、大学もやらなければいけないのです。適用対象です。

○佐々木委員 やっていないところもあると思います。

○佐藤会長 やっていないところは、法律上やっていないということです。

○佐々木委員 なるほど。大学が知らないということもあるのですか。

○佐藤会長 知らないことはないと思います。大学の規模要件はありますけれどもね。民間企業も学校法人化した国立大学も同じです。法律の対象です。あと、労働基準法でも対象です。

○佐々木委員 徹底させるだけということですね。

○佐藤会長 次世代法は、今、全部民間ルールと一緒です。
 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 井上審議官にお尋ねしたいのですが、先ほどディスクロージャーに関して、現在どういうディスカッションが進行中かというお話をいただきまして、大変参考になりました。
 その際に、多様性確保に関する開示、ディスクロージャーとして、イギリス、フランス、ドイツ、米国の制度についても御報告いただきました。その中で、目を引くのは、情報開示事項も含めてですけれども、取締役会、役員会の構成・多様性に関して、現状と女性等を増やす、多様化を進めるための行動計画といいますか、どういうふうに考えているのかということを含めて情報開示事項になっているのだと思いますが、日本の場合、管理職のところで、取締役会については特に言及がないと思います。
 先ほどの国際的なところでは、イギリスなどを御紹介いただいたのですが、アジアも、今、タイ、シンガポール、ベトナム、台湾、主要な証券取引所のコーポレートガバナンス・コードのところでは、役員会の情報開示、現状と女性を含めて多様化していくためには何をするのか、そういったモニタリングも含めて、かなり厳しく、そこからトラップしています。管理職から少しずつ進めて役員会までいくのではなくて、役員会からバックキャストする形でどうやってパイプラインを強化していくのか。その中で管理職も増えていくので、管理職を増やして、その後、役員会ではなくて、アジアも含めて、世界の趨勢というのは、役員会を起点にして、どうやってパイプラインを強化していくのかというところにあると思いますので、日本ではそういう問題意識があるのかということをお尋ねしたいです。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 ほかに石津課長と井上審議官にあれば、お願いします。山口委員、お願いします。

○山口委員 ありがとうございます。
 質問というよりは、意見のようなことになるのですが、ディスクロージャーに関しては全般的に賛成です。すばらしい取組だと思うので、ぜひ続けていってほしいです。
 一方で、特に一般の労働者に向けて情報を公表するときに、それがどれぐらい利用されるのかという点では、ちょっと懸念している部分があります。情報の開示はしているのだけれども、それが見やすい場所にあるのか、知りたい情報に触れられているのかといった形で、情報を開示したことでいい影響が出ているのかということを把握する必要はあるだろうと思います。厳密な因果推論をやって、因果効果をはかってほしいということではなくて、求職者の方が実際にこういう情報を参照しているのかとか、知りたいと思っていたのだけれども、そういう情報が出ていることは知らなかったということがないように、簡単なアンケートでもいいので、調査をして、一般求職者の方が使いやすいような方向に進めていってほしいと考えております。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 女性活躍推進法の公表もサイトがあるのだけれども、これについてはいろいろ議論があって、大学のキャリアセンターなども学生に情報提供しています。それもあります。厚生労働省で何かあればということだと思います。
 今までのところで、大体いいですか。
 それでは、まず石津課長から可能な範囲内で、御説明なり、御意見を伺えればと思います。

○石津雇用機会均等課長 厚生労働省でございます。
 御質問、御意見ありがとうございました。
 御質問いただいた順番ではないのですが、申し上げます。
 女性活躍推進法に基づく情報公表について、現在、公表の選択肢が合計15個ありまして、そのうち301人企業であれば二つ、101人から300人の企業であれば一つということになっております。全て公開させればいいのではないかというお話もございます。
 私どもとしても、これは選択項目ではありますが、いずれも女性活躍の重要な指標と考えて、これを選択して公表していただきたい。価値のある項目として選んでいるわけでございます。
 他方で、企業側の負担ということはありつつ、より重要なことだと思っておりますのは、業種ごと、企業ごとに女性活躍に関する課題は大きく違います。具体的な業種を挙げると語弊があるかもしれませんが、率直に申し上げますと、例えば建設業の世界のように、女性労働者の採用割合そのものが少ないところで、管理職割合を問うということは、いかほど意味があるのか。まずは女性労働者の採用をどれだけしてくださっているかということを把握し、また、目標を立てて、公表していただくことが大事なのではないかと思っております。
 企業、産業の実情に応じて、女性活躍の課題は様々に異なることを踏まえた上で、事業主の方、また、担当者の方に自社の課題は何かということを考えていただいて、何を公表すべきかを考えていただきたいという気持ちで、現時点では一つにしております。
 101人から300人企業につきましては、4月1日から義務がかかるものでございますので、施行の状況を見ながら、この在り方をどうするかという議論はあり得るものだと考えてございます。
 それから、私、女性活躍推進法を担当している課長として、法律の適用はとても大事なことでございまして、万が一、適用対象、義務がかかる法人や事業主であるのに、女性活躍推進に関する行動計画を策定していないのではないかとか、あるいは情報公表をしていないのではないかということがございましたら、公開の場でしゃべるのはあれなのですけれども、もしそういう疑念がありましたら、私どもは出先の労働局が直轄で県庁所在地に一つずつございますので、率直に申し上げて、お電話などをいただければと思います。
 労働者数というのは、たくさんの人がいても、常用労働者数は意外と小さいということもあり得ます。申し上げ過ぎるといけないような気がするので、御疑念があれば、労働局にお電話をいただければということでございます。
 それから、情報開示について、山口先生から御意見ということではございましたが、先ほど私、行動計画や情報公表について、自社のホームページで公開していただければいいのですと申し上げたのですが、会長から補足していただきましたように、厚生労働省でも女性の活躍推進企業データベースというウェブサイトをつくっておりまして、そこで公表していただくことができるようにしております。相当数の企業に公表していただいておりまして、年間のアクセス件数でいいますと、30万ぐらいのアクセスがございます。
 私どもとしては、就職活動中の女性、特に就活中の学生さんに使っていただきたいという気持ちで、このウェブサイトを立ち上げておりまして、就活生の皆さん向けにどういうふうに使うかというリーフレットなどもつくって、大学のキャリアセンターなどにもお配りしているところでございます。これについても、もっと周知を進めていきたいと思っております。
 具体的な見直しでございますが、まだ具体的に申し上げるところまで検討ができていないというのが率直なところでございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。説明しにくいことも含めていただきました。
 井上審議官、お願いします。

○井上審議官 私には大崎委員から御質問をいただいたと思います。ミドルの管理職クラスではなくて、役員会からダイバーシティを進めていくべきではないかという御意見だったと思います。
 2月15日に私がこの会議に参加させていただいたときに、コーポレートガバナンス改革の関係でも御質問をいただいて、お答えしたことと基本的には同じなのですけれども、コーポレートガバナンス・コードを2015年に策定したときから、原則4-11がありまして、「取締役会はその役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、(ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む)多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである」とございまして、取締役会のダイバーシティというのは、コーポレートガバナンス・コードで既に規定されていて、有価証券報告書でも取締役会の男女のそれぞれの数は開示項目になっています。
 それが前提にあって、おっしゃるように、上からパイプラインを育てていくという意味で、女性管理職比率が今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂でも取り上げられたということでございますし、現在、ディスクロージャーワーキング・グループでも御議論されているということだと思います。そういう意味では、アジアの諸国、あるいは欧米とも同じように、上から進めていくというところは変わっていないと思います。

○佐藤会長 白波瀬委員も発言があるのですか。どうぞ。

○白波瀬委員 1点だけです。山口先生の意見についての再確認なのですけれども、何のために公表するかということだと思います。ガイドラインが出たので、それで公表するというのが日本の場合は多くて、それをやること自体はすごく意味があると思うのですけれども、これをどういうふうに活用しているのかという報告義務もある意味で出していただく。ホームページを女子学生たちは見ていますということも重要なのですけれども、それだけではなくて、どういう形で活用していただいたのかということを出していただく。
 あと、おっしゃったとおりで、女性の割合も分野によって物すごく違いますので、現状を変えるためにはかなり圧力をかけないといけないというか、何が有効なのかということで、若干無理をしていただいても、公表していただくことによって、問題意識とか、女性学生たちもそこでやってみたいという気持ちになりますので、その辺り、よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 大崎委員、何かありますか。

○大崎委員 井上審議官、お答えありがとうございました。
 なぜアジアのことを出したかというと、アジアのフィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、韓国、中国、マレーシア、日本を比較したときに、女性管理職率は、今、日本が最下位なのです。ほかのアジアの諸国は、近年、女性管理職比率を物すごく伸ばしていて、それはなぜなのかということをいろいろと分析していく中で、やはりコーポレートガバナンス・コードのところで、役員会からしっかりと行動計画を立てる、パイプライン強化をする、この数年でそういうバックキャスティングのアプローチに転換しているのです。その結果として、管理職が増えていくという傾向が見てとれるので、お伺いした次第です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 先ほどの公表項目で、石津課長から管理職の女性比率だと、もともと女性が少ないところもあるとございました。それは私もよく言うのです。ただ、出し方はいろいろあって、女性従業員数分の女性管理職比率と男性従業員分の男性管理職比率を比較するというやり方もあると思うので、そういうやり方のほうが実態に合っているのかもしれない。女性管理職比率が4割、5割の会社で、従業員に占める女性比率が7割、8割という会社があるのです。これは高いわけではないので、そういういろんな工夫も御検討いただければいいと思います。
 それでは、石津課長と審議官はここまでということで、長時間お付き合いいただいて、ありがとうございました。
 それでは、議題(2)、先ほど佐々木委員からも御質問があった、公共調達を活用して女性の活躍を進めるというテーマについて議論したいと思います。
 内閣府の男女共同参画局推進課の須藤積極措置政策調整官から、資料4で御説明いただければと思います。

○須藤積極措置政策調整官 男女共同参画局の須藤です。
 私から資料4について御説明をいたします。
 資料の説明に入る前に、国等の公共調達において、女性活躍等に取り組む企業を優遇するということが女性活躍推進法で定められておりまして、2015年の施行から6年余りが経過しておりますが、今回初めて国の各機関における具体的な調達一つ一つについて、どの程度の加点が行われているか、こういったことについて大規模な実態調査を行いましたので、御報告をさせていただきます。
 また、この調査結果も踏まえまして、本件の実施要領を改正することにいたしましたので、この点も御紹介をさせていただきます。
 1ページ目でございます。制度の概要ですが、女性活躍推進法に基づいて、国は女性の職業生活における活躍の推進に資するため、国及び独立行政法人等の役務または物件の調達に関して、えるぼし認定やくるみん認定等を取得した認定企業の受注の機会の増大に関する施策を実施することになっております。具体的には総合評価落札方式等の価格以外の要素を評価する調達を対象に、認定企業を加点評価する取組を2016年度から実施をしているところでございます。
 2ページ目です。加点評価を行うに当たっての配点については、内閣府において実施要領として定めておりまして、各認定基準の難易度に応じて配点を設定しております。各機関等はこれを参考に取組を実施することになっております。
 4ページ目をご覧ください。本取組については、第5次男女共同参画基本計画のほか、女性活躍・男女共同参画の重点方針2021において、更なる推進方策として、認定企業の受注機会の増大に向けた実施要領の改正や各機関等における取組のより一層の見える化等が盛り込まれております。
 5ページです。本年6月を目途に策定する重点方針2022の策定に向けた、昨年11月の男女共同参画会議におきましても、赤字で記載しているところですが、岸田総理から公共調達を活用した女性活躍の促進について発言があったところでございます。
 6ページでございます。国の機関における過去3か年度での加点評価の取組の実施状況について、全体で見ますと、件数・金額共に増加してきているものの、令和2年度は金額ベースで実施率は4割にとどまっております。その内訳は、物品役務等では95%超で推移をしている一方で、公共工事等では2割を下回っている状況であります。
 7ページです。独立行政法人等につきましては、過去3か年度で件数・金額共に増加をしておりまして、令和2年度の実施率は8割を上回っております。
 2番、国の機関及び独法等の加点評価に関する方針等の策定状況については、今回から新たに調査を行ったところですが、それぞれ8割近くの機関等において方針を定めており、そのうち、国については全ての機関において、独法等については約8割において、具体的な加点割合も含めた方針を策定している状況であります。
 8ページから10ページにおいては、過去3か年度における国の機関ごとの金額ベースでの取組実施率の推移をお示ししているところでございます。
 11ページです。10ページまでは例年ベースの調査に基づいて状況を明らかにしたものですが、今回更なる取組の見える化を図るため、国の各機関における調達ごとの加点の実施状況等についても追加の調査を行いまして、その取組状況を明らかにしたところでございます。
 加点評価を行う際の配点の最大値につきましては、先ほどお示ししましたとおり、内閣府において定める実施要領において、5%、7%、10%、12%の4パターンを例示しているところですが、各機関における取組の状況を見ますと、物品役務等については、加点割合の平均が4.3%で、約6割の調達において最低の加点割合である5%を下回っております。
 12ページですが、公共工事等については、平均が2.1%、約9割の調達において5%を下回っている状況であります。
 13ページ、14ページにおいては、令和2年度の国の機関別の各調達における加点割合の最大値の平均について、物品役務等及び公共工事等についてそれぞれ示しております。
 15ページ、16ページです。加点割合に応じた認定企業の入札参加や落札の状況をお示ししたものです。
 15ページですが、物品役務等については、加点割合5%以上とそれ未満の調達で比較をしますと、5%以上の加点割合を設定した調達のほうが、加点対象となる企業の入札参加及び落札の割合が高いという結果が出ております。
 16ページです。公共工事等についても、加点割合の平均である2%を基準に、それ以上とそれ未満の調達で比較をしますと、2%以上の加点割合を設定した調達のほうが、入札参加及び落札割合が高いという結果が出ておりまして、加点割合が大きいほど、認定企業にとってのインセンティブが高いということがデータにおいても明らかになっているところでございます。
 17ページから20ページにおきましては、国の機関ごとに物品役務等及び公共工事等について、入札参加割合と落札割合をお示ししております。各機関によって調達の規模や内容等が異なることに留意が必要ですが、おおむね加点割合の平均が高い機関において、認定企業の入札参加割合、落札割合が高くなっているという傾向が見られます。
 21ページです。各機関において自ら定める加点割合の方針と令和2年度の加点割合の平均値を比較したものですが、水色の網かけで示しているように、それぞれの方針で定めている加点割合を実際の加点割合が下回っている状況が見られるところです。
 22ページ、23ページです。このような公共調達に係る各機関等における取組の状況やプラチナくるみん等の認定基準等の関係法令の改正を踏まえまして、今般、実施要領について大きく3点の改正を行いたいと考えております。
 1点目は、プラチナくるみん等についてです。本年4月から、例えば育児休業を取得した男性労働者の割合等の認定基準が引き上げられることに伴い、23ページにおいて黄色の網かけで示しておりますように、それぞれの認定に係る配点についても、その難易度に応じて引上げを行い、企業の認定取得のインセンティブを高めるということ、そして、トライくるみんの新設に伴う新たな区分の新設を行うものであります。
 2点目は、各機関等における加点評価の取組に関する更なる見える化です。資料は22ページをお願いします。先ほどお示ししました国の機関ごとの加点評価の実施状況やそれに伴う認定企業の入札参加や落札の状況等について、毎年度、内閣府が調査・公表する項目として明確に位置づけ、更なる見える化を図っていくことによって、各機関等の取組の底上げを図っていきたいと考えております。
 3点目は、令和元年の女性活躍推進法の改正におきまして、一般事業主行動計画の策定義務の対象企業が常用労働者301人以上から101人以上に拡大され、本年4月から施行されることを踏まえまして、同計画の策定による加点評価の対象について、計画の策定が努力義務となっている企業が計画を策定した場合に限定するため、常用労働者300人以下から100人以下に改正をするものであります。
 本年4月1日からの施行に向けて、今年度内に実施要領の改正を行いまして、本取組状況の更なる見える化を図っていくとともに、各機関等における加点割合の引上げを要請してまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 これまでもこの仕組みはあったのですけれども、実態がどうなっているかを把握した調査は今回が最初だと思います。かなり御苦労されたようですが、この結果を出すことによって、例えば国交省関係の入札でも、取っておいたほうがそれなりにプラスですということが分かると、企業も認定を取ろうということになると思いますので、ぜひ公表していただきたいと思います。
 佐々木委員、先ほど御質問されていたようだったので、追加があれば、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 公共調達のところで、文科省でも見えていたのですけれども、大型研究費のようなものに関して、国のお金なので、そこにそういう制限がかかっているのかということをお伺いしたいと思います。
 あと、くるみんなどの中で、女性の割合とか、そういうものが出てきているのですけれども、女性を増やしたときに企業自体が成長するためには、無意識のバイアスに対する取組が非常に大事で、周りの受け入れる意識、そういう取組をしているかどうかということを評価に入れていったほうがいいのではないかと思います。
 かつ、この間、経産省のある会議で、それも無意識のバイアスなのですけれども、研究者は男性のアイコンが使われていて、派遣社員は女性のアイコンが使われていました。無意識のバイアスの研修だけではなくて、そこが出している印刷物とか、そういうものに無意識のバイアスが入っていないかとか、そういう活動ができているということも評価対象に入れていかないといけないのではないかと思います。
 もう一点、加点の割合と入札されたものがありますけれども、有意差があるとか、ちゃんと検討されていますか。ちょっと上がっていますと言われたのですけれども、2%では駄目で、5%だったら差が出てくるとか、そこをきっちり評価して、何%というものを高めないと意味がないという調査をしたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。

○佐藤会長 前半の科研費の話は、今回の調達とは別だと思うのですけれども、確かにそれ自体が大事だということは、佐々木さんはずっと言われていました。  ほかに公共調達についてございますか。山口委員、お願いします。

○山口委員 私も佐々木先生と同じような感想を持ちました。お話を伺いながら、加点割合が何%だったら効果的になるのかと思いました。御説明の中に落札割合とか、入札参加割合が高いというのはありますけれども、案件によっては要素も違いますし、この辺はデータがちゃんとあるわけですから、もう少し厳密にしていただいて、加点することで落札者が変わったのかとか、あるいは加点することによって公共調達をよく行うような業種や産業などで、くるみんの取得率が上がったのかとか、そういうところを見るようにするといいと思いました。

○佐藤会長 山口委員の今のお話は大事な点です。
 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。  公共調達というのは、女性活躍推進、ジェンダー平等推進において非常に重要な政策的なツールだと思います。注意しなければいけないのは、国が女性活躍ができている企業ですというお墨つきを与えるという点と、あと、公共調達で税金をどう使うかということに関連してきますので、ジェンダー予算に資する取組でもあるということをしっかり認識する必要があります。その上で、認証を得た、お墨つきを得た企業が、本当に女性活躍が推進できているのかという進捗状況のモニタリングというのは絶対に必要で、納税者としてもそれはやってくださいということを言いたいです。
 えるぼし認定を受けたとか、くるみんとか、そういう認証、お墨つきを得たところが、女性活躍推進法に基づく行動計画、数値目標を設定していますということで、数値目標の成果、取組の成果をちゃんと公表しているのかどうか、そこで評価しなければいけないので、行動計画を立てています、こういう情報を幾つか開示していますということだけで認証を与えるのはよくなくて、実際に努力をして行動計画を立てて、数値目標に至るまでにこういうロードマップで、今、進捗状況はこうです、課題がこうだから、こういうことをさらにやっていきますみたいな、モニタリングというのはすごく重要になってくると思うのですが、この辺りをどうやっておられるのか。そこが調査すべき非常に重要なポイントだと思います。
 1月に日経新聞が調査をして、国が認定した156の企業や団体、つまりえるぼし認定を受けているところで、女性活躍の推進の行動計画に関して達成できているところは半分で、未達が半分ということで、未達でも全く責任を問われないのです。そういう認証制度の在り方はどうなのかということがありますので、モニタリングの仕方ですとか、この政策が実効性を伴っているのかとか、あと、認定基準のところで、必須開示項目をもっと増やしたり、これはインセンティブとして与えるわけですから、お墨つきを与えるわけなので、認定基準のところでもっと必須の開示項目を増やすとか、そういったところをどのようにお考えか、ぜひお聞かせください。

○佐藤会長 今の点は厚生労働省がいなくなってしまったので、ちょっとあれですかね。内閣府で可能な範囲内でお願いします。
 ほかにございますか。いいですか。白波瀬委員、どうぞ。

○白波瀬委員 簡単にですけれども、業種別の違いはすごくあるので、くるみんなどを取っているところは、全体の中で何%かとか、若干ウエートをかけながら見せていただいたほうがいいと思います。横並びにばっとやってしまうと、低いところがすごく問題だということにはなるのだけれども、数値の出し方を工夫していただいたほうが、それをよい機会にして、次に進んでいただくということに利用しやすいのではないかと思います。1点だけです。 ○佐藤会長 ほかにはございますか。いいですか。
 それでは、須藤さんから、認証の仕組み自体の話と、調達はそれをどう活用するかという話なので、認証自体に課題があるのは事実なのだけれども、それは可能な範囲で結構ですので、お願いいたします。

○須藤積極措置政策調整官 先ほど大崎委員から御指摘のあった行動計画の関係ですが、資料でいうと2ページをご覧いただきますと、行動計画の策定をしたことによっての加点がございまして、これは特に認定を取らずとも、努力義務である企業が行動計画を策定した場合には、加点が取れるという仕組みになっております。まさに行動計画を策定した企業が実質的な効果を上げているかといったことについては、内閣府としても、厚生労働省と連携しながら、そこの取組を進めていく必要があると考えております。
続きまして、加点割合が高いか、低いか。こういった点について、今回の調査を通じて、各機関等において、それぞれ調達における品質確保という観点を重視する、まさに技術面の評価を重視する中で、女性活躍とか、ワーク・ライフ・バランス等に係る要素をどの程度加点するかということについて、慎重に検討している状況があるということが1点です。
 それから、調達案件において、まさに業種によって、認定を取っている企業が少ないということ、競争参加資格を有する企業の認定取得の状況等を踏まえて、現段階で加点割合を低く設定している場合があると承知をしております。
 これについては、今後、えるぼし認定とか、くるみん認定等の普及に向けた広報啓発、実際には認定取得によるメリットをしっかり発信していくということ、まさに女性活躍、ワーク・ライフ・バランスによる働き方改革による社員の満足度向上であるとか、企業のイメージアップであるとか、また、中長期的に見れば、生産性の向上にもつながっていくといったようなことをしっかり発信していくということと、もう一つは、今回の公共調達等の取組も含めて、認定取得によるインセンティブを拡大していくことによって、認定企業の裾野を広げていくことが必要であると考えております。
 そのほか、まさに各機関等における取組状況の一層の見える化であるとか、内閣府からも各機関等に対して加点割合の引上げを要請していくことによって、この取組の効果的な実施が図られるように働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、先ほど業種によって企業の認定の状況が異なるということがあって、例えば建設業におきましては、他の業種に比べて、えるぼし認定、くるみん認定等を取得している企業が少ないという状況があります。こういったことを踏まえて、一部の省庁においては、現時点で調達規模が大きい、いわゆるA等級の案件に限定して加点評価の取組を実施している場合もありまして、したがって、特に公共工事等において、取組の実施率が低い状況になっています。
 特に地方の中小企業において、認定取得がなかなか進んでいない状況も踏まえて、地方労働局を所管する厚生労働省であるとか、建設業を所管する国交省とも連携をして、認定取得の企業の裾野の拡大が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今日は国のものが多かったので、地方自治体の公共調達にも広げていくというのが本当は大事で、その辺はまだまだうまく進んでいないところがありますので、御検討いただければと思います。
 最後にその他として、最近の政策の動きがありますので、それについて男女共同参画局総務課の前川企画官から御説明いただければと思います。

○前川企画官 それでは、時間も来ておりますので、簡単に資料5及び資料6につきまして、御説明申し上げます。
 資料5ですけれども、今月8日の国際女性の日に当たりまして、総理大臣として初めてのこととなりますが、岸田総理からビデオメッセージを発出しております。
 メッセージの内容につきましては、本日の専門調査会でも御議論いただきました、男女間の賃金格差の是正に向けた企業の開示ルールの見直しなども含めまして、我が国の女性が直面している課題と構造的な問題への対応の鍵は女性の経済的自立であり、これを新しい資本主義の中核と位置づける、こうしたメッセージを発信しているところでございます。
 次に資料6ですけれども、国連で先週まで開催されておりました、女性の地位委員会、CSWについて御紹介をしております。
 本年のテーマは、気候変動、環境及び災害リスク削減政策とプログラムにおけるジェンダー平等と全ての女性・女児のエンパワーメントの実現でありました。
 我が国からは、野田男女共同参画担当大臣が一般討論、閣僚級円卓会合においてステートメントを述べております。本年のテーマを踏まえまして、特に東日本大震災以降取り組んでまいりました、男女共同参画の視点からの防災対策を中心に、我が国の取組を述べているところでございます。
 また、林男女共同参画局長もコロナからの回復をテーマといたしましたインタラクティブ・ダイアログに参加し、発言をいたしております。
 ただいま御紹介をいたしました岸田総理のビデオメッセージ、また、国連での野田大臣のステートメントは、いずれも内閣府男女共同参画局のホームページからご覧をいただけるようになってございます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 まだまだ御意見があるかと思いますが、時間も過ぎたということですので、ここまでにさせていただきます。
 年度末でお忙しいときに御参加いただき、積極的な御発言をいただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、今日はここまでにさせていただければと思います。どうもありがとうございました。