計画実行・監視専門調査会(第11回)議事録

  • 日時:令和4年2月15日(火)14:30~16:30
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)女性の経済的自立について③(女性デジタル人材、リスキリング)
    (2)コーポレートガバナンス・コードに沿った企業の取組、市場再編
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
「女性デジタル人材育成プラン」の策定について(内閣府説明資料) [PDF形式:296KB]別ウインドウで開きます
資料2
企業における女性役員の登用について(内閣府説明資料) [PDF形式:1,324KB]別ウインドウで開きます
資料3
最近の動きについて(内閣府説明資料) [PDF形式:7,475KB]別ウインドウで開きます
資料4
デジタル人材の育成・確保に向けて(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局説明資料) [PDF形式:1,393KB]別ウインドウで開きます
資料5
人材開発支援助成金等の企業向けの取組、公的職業訓練の見直し(厚生労働省説明資料) [PDF形式:1,063KB]別ウインドウで開きます
資料6
企業における女性活躍の推進に係る取組状況について(金融庁説明資料) [PDF形式:2,253KB]別ウインドウで開きます
資料7
新しい雇用形態・中間就労 女性のデジタル人材育成と経済的自立に向けた取組(株式会社MAIA説明資料) [PDF形式:24,876KB]別ウインドウで開きます
資料8
塩尻市における地方創生テレワーク(長野県塩尻市説明資料) [PDF形式:5,812KB]別ウインドウで開きます
資料9
女性デジタル人材育成について(一般社団法人Waffle説明資料) [PDF形式:1,985KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
ひとり親家庭の支援施策について 他(厚生労働省補足資料) [PDF形式:5,196KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同    
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同    
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同    
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山口 慎太郎 
東京大学大学院経済学研究科教授
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
有識者  
月田 有香  
株式会社MAIA代表取締役社長
同    
太田 幸一  
長野県塩尻市企画政策部官民連携推進課
同    
田中 沙弥果 
一般社団法人Waffle共同代表
内閣府  
野田 聖子  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
林 伴子   
男女共同参画局長
同    
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同    
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
内閣官房 
渡邉 政嘉  
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官
金融庁  
井上 俊剛  
企画市場局審議官(開示担当)
デジタル庁
奥田 直彦  
参事官
厚労省  
岡崎 毅   
大臣官房審議官(人材開発担当)
同    
三姓 晃一  
人材開発統括官付人材開発政策担当参事官室訓練企画室長補佐
経産省  
江口 純一  
サイバーセキュリティ・情報化審議官

議事録

○佐藤会長 ただいまから第11回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 本調査会は、これまでに引き続き、重点方針2022、いわゆる女性版骨太の方針に向けて議論していきたいと思います。
 本日は議題が3つ用意されています。
 まず、議題(1)ということで「女性の経済的自立」、これは3回目になりますけれども、議論していくということで、本日は女性デジタル人材育成とリスキリングについて議論していきたいと思います。
 今回、このテーマを取り上げる経緯について、最初に内閣府の林男女共同参画局長より今回の趣旨を御説明いただきますので、資料1で御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○林男女共同参画局長 内閣府男女共同参画局長の林でございます。
 そもそもの趣旨でございますが、人生100年時代を迎え、離婚件数は結婚件数の3分の1、女性の半数が90歳以上まで生きるなど、女性の人生と家族の姿が昭和の時代から変化し、かつ多様化しております。
 こうした中で、女性が長い人生を通じて経済的な困窮に陥らないよう、女性に経済的に自立する力、エンパワーメントをすることは、女性本人の人生にとっても、また、国の経済、財政にとっても非常に重要だと考えております。
 こうした認識の下、この専門調査会では女性の経済的自立について御議論いただいており、昨年11月に労働市場、先月には教育の役割につきまして御議論いただきました。
 本日は、これに引き続き、女性デジタル人材の育成とリスキリングについて御議論をいただこうと思います。
 資料を共有いたします。
 このたび、女性が経済的に自立する力を高める方策の一つとして「女性デジタル人材育成プラン」を政府として策定することになりました。この背景には、コロナ下で経済的影響が強く女性に現れていることや、デジタル化による産業構造の変化が急速に進んでいること、また、デジタル人材にジェンダーギャップがあることなどがございます。
 これまで女性が多かった職種、例えば事務職の有効求人倍率は0.3程度と求人は少なく、また、コロナで影響を受けたサービス業などの非正規雇用は依然として厳しい状況にあります。他方で、デジタル人材に対する需要は旺盛で、国全体としても非常に不足しております。このため、女性人材の成長産業への移動の支援により、女性が経済的に自立する力を高めていきたいと考えた次第であります。また、これは日本経済全体の生産性向上にも資するものであります。
 具体的には、デジタルスキルの取得機会の提供や資格の取得、就労支援等の施策について、各府省と連携して4月に取りまとめ、さらに、女性版骨太の方針や、経済財政運営と改革の基本方針2022に盛り込んで、予算を確保し、実行したいと考えております。
 どうぞ御議論よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今、御説明がありましたように、女性デジタル人材育成のプランをつくるということがあって、それは我々が議論している重点方針2022にも反映するということですので、そういう経緯があるということを念頭に置いて、今日の議題(1)の御説明を受けていただいて、議論いただければと思います。
 それでは、このテーマについて、優良事例として株式会社MAIA、長野県塩尻市、一般社団法人Waffleの皆様より、現場での視点から、女性デジタル人材育成に向けた取組についてそれぞれ御紹介いただくということを予定しております。
 まず、株式会社MAIA代表取締役社長の月田様から資料7で御説明をお願いできればと思います。
 では、月田様、お願いいたします。

○株式会社MAIA 株式会社MAIAの月田有香と申します。画面を共有させていただきます。
 MAIAでは女性デジタル人材の活躍ということで、新しい雇用形態・中間就労、そして、女性のデジタル人材育成の経済的自立に向けた取組というお題でお話をさせていただきたいと思っています。
 そもそもMAIAはどんな会社なのかということを簡単に御説明させてもらいますと、もうすごく端的に、女性活躍×地方×ITで新しい価値、すなわち女性の多様な働き方を生み出すということをミッションにしています。まだ5期目で若い会社なのですけれども、女性の活躍支援というのが私たちに非常に大事なテーマになっております。
 先ほど冒頭の御説明にもありましたけれども、今、働き方、地方、コロナ禍ということで、女性を取り巻く日本の状況というのは非常に厳しい。特に共通の課題としては、男女の格差、女性の賃金の低さ、そして、女性の特有の問題で多くの女性の人たちが働き方やいろいろなことに課題を持っていると感じております。
 なので、MAIAでは、女性特有のライフスタイルに合わせて、いつでもどこでも仕事ができ、高単価で働ける環境を創出するというのが一番の大きなテーマになっています。
 何をしているのかと言いますと、本当に簡単で、そういう自立をしたい女性たちを集めて、今回話題になっているデジタル人材のリスキリング教育をしています。RPAとかAIです。女性を育てる。その後に、育てた女性を出口にマッチング、いろいろな企業さんや地方自治体さんや女性を活躍してくださる企業さんにつなげるということをしている。本当にシンプルなビジネスをしています。
 今から、MAIAにおいてはどのようにデジタル人材の育成をしていって、就労支援をしているのかということをお話しさせていただきたいと思っております。
 MAIAでは、2018年より完全オンラインで女性のRPA人材を育成して、1,000名ほど育成しているのです。彼女たちを完全テレワークだとか週数日勤務、時短なのでライフスタイルに合わせた働き方というものを提供している会社になります。
 どのように彼女たちを育成しているのかといいますと、完全オンライン学習を提供しているのです。ただ、ITとかデジタルというジャンルになると苦手意識を持たれる方もいらっしゃるので、Slackとかチャットツールを使って、全員で入っていただいて、相互支援をしながら、コミュニティーをつくりながら学習をしてもらうというような仕組みになっております。学習期間は大体3か月から半年です。
 ここで、私たち、様々な女性にアンケートをとってみたら、驚愕の事実が分かりました。実はMAIAの女性は30歳から60歳ぐらいまですごくいろいろなレンジの人がいるのですけれども、会社に常駐できますかと言ったら、977名のうち半分ぐらいが常駐はできないとおっしゃっています。なおかつ、月どのくらい働けますかと聞きますと、80%程度の方が120時間以下でないと働けませんとおっしゃるのがMAIAの女性のデータなのです。
 つまり、正規雇用でフルタイムで働くのは、実は女性にとって難易度が高いことだったのです。
 ただ、この現状は、実は皆さんを騒がせているコロナで大きく変わりました。特にIT業界です。今までIT業界の常識というと、本当に会社にフル常駐で、籠って夜中まで仕事をしているみたいなイメージがあったのですけれども、コロナで完全にテレワークでお仕事をせざるを得なくなった瞬間、何とIT業界でも完全テレワークでお仕事ができるではないのということが判明したのです。なおかつ、作業の種類によっては大量・定型化に適した業務もありまして、月50時間とか80時間しか働けない人たちをチームにして、パートタイムみたいな形にすれば皆さん働ける。地方にいながら都内のITの仕事をすることもできるようになったというのが、今回コロナ禍で起こったIT業界の一番大きな衝撃だと思います。
 従来、コロナ前と言わせてもらいます。女性のデジタル人材を育成すると、皆さん就活をされて雇用するというような道筋をたどるのですけれども、企業側のニーズは、実は即戦力を求めているケースが多いのです。育成されたばかりの人たちはまだ即戦力にはなり得ないですし、先ほども見ていただいたように、女性の稼働時間とか、あとは時間、場所の制限があるのでなかなか企業に採用されるのが難しいというのが現状だった。
 ただし、今、MAIAでやっているのは、従来どおりの就活から雇用に対する支援はもちろんなのですけれども、今回、皆さんに御提案したいのが、新しい雇用形態・中間就労という名前を置かせてもらっています。これは、女性の様々な事情だとか背景がありますので、副業とか兼業、フリーランス、契約社員、皆さんにとって様々な働き方の形態を適用しなければならないだろうと。
 なおかつ、ITで育成されたばかりの人はまだまだ初心者、新人さんなので、その新人さんをきっちりとMAIAの監修の下、育成しながら、社会人OJTといいますか、OJTとして働いて、少しずつ力を身につけてもらうということをMAIAは推進しています。そうすると半年とか1年間この形態で皆さん働かれると、すごくITの即戦力になり得ますし、どんどんスキルがアップされていくのです。そこから始めて、雇用だとか、本当の意味での副業、兼業、フリーランス、人によっては起業される方もいらっしゃるので、こういう中間就労という形をとることによって、女性の雇用、就労につなげるというようなサポートをしています。
 一定数の女性は、この中間就労という働き方を継続的につなぎたいという人もいるのです。これは、MAIAでは完全にテレワークで、例えば月50時間とか80時間の人たちがチームになってやりますので、たくさん働けないよとか子育てしていますよという女性にとっては非常に働きやすい形態なのだなと認識しています。これがMAIAのやっていることなのです。
 でも、ITはすごく難しそうだからやはりスキルの高い人ではないと無理なのではないですかとよく聞かれるのですけれども、全くそんなことはなくて、MAIAには一定数ITをしたことがない人たちもたくさんいらっしゃいます。タイピングができて、officeが使用できるとベターですし、環境としては、家にパソコンがあるとか、ネットの環境がないといけないというのもあるのですけれども、今、この濃いブルーのところをMAIAは重点的に育てて、先ほどの中間就労の形で皆さんを育てていきますので、そこからどんどんキャリアアップをして、時給単価を上げていくというのがポイントなのです。
 ITのお仕事は、もともと都内のITのお仕事とかは人がいないし単価が高いので、最低でもやはり1,500円から2,500円、先ほどの中間就労でもそのくらいのレンジの時給で働いていただいております。
 こんなことがMAIAのやっていることなのですが、この事例に対して様々な自治体さんも実は協力してくださっています。特に、これは沖縄県のお話なのですが、沖縄県は実はすごいシングルマザーが多かったり、離婚率が全国で物すごく高い。あと、生活困窮率も高かったりするという沖縄ならではの問題があるので、県が力を入れて女性のDX人材を育成して、就労につなげるということをされているのです。MAIAは、多数の自治体さんから後援をいただきながら、先ほどのようなITの教育から出口の就労支援まで沖縄県でやっているのです。そうすると、何と沖縄県の女子は、ここに書いてありますが、アビームコンサルティング、大きな会社さんですが、ここにアサインされている。今、2名ほどアサインをされて、実際に完全にテレワークで沖縄で働いていたりします。
 ほかにも多数のいろいろなITの会社さんがこの仕組みを支援してくださっていて、実は、テレワークで地方にいながら、多くの女性たちが様々な企業や自治体さんで働いているようというのがここの実績になります。
 そんなわけで、弊社はこの取組をさらに加速させようと思いまして、グラミン日本、SAPさん、MAIAの3社で、人を集めて教育をして出口を創出するところをもっと大々的に仕組み化しようということで動いているのです。特にSAPさんは本当に大きな会社で、信頼と実績とブランドがあること、グラミンさんは日本で唯一マイクロファイナンスです。無担保、無保証でシングルマザーだとか困っている人に貸付けができるので、学習費用だとかパソコンの最初の準備を、融資をすることで補填することができるので、お金のことから就労支援まで全部サポートするというのがこの大きな座組みの意図になります。
 こういうことを私たちで組み上げて、様々な地方の自治体さん、もしくは国の皆様、そして、こういう動きに賛同してくださる企業様と連携していけたらと思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいなと思います。
 最後にまとめです。リスキリングされた女性のデジタル人材を実際に就労に結びつけるためには、先ほど紹介しました中間就労のような期間が必要ではないかということです。
 なおかつ、女性のデジタル人材のための中間就労等の仕組みを実現するためには、やはり女性活躍に前向きな企業の協力と地域における官民連携の取組が必須なのかなと思っております。
 さらに、女性が、人生100年時代、いろいろなライフスタイルに合わせて柔軟に就業を継続するには、テレワークを視野に入れた大きな多様な働き方を可能にしていくとよいのではないかというのが私たちの思っていることになります。
 これで私のお話は終わらせていただきたいと思うのですけれども、もし何か気になることやお問合せなどがありましたら、こちらの連絡先にぜひ御連絡いただけたらと思います。
 それでは、短い時間でしたが、御清聴いただきましてありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 質疑はこのテーマについての説明が終わった後にまとめてさせていただければと思います。
 続きまして、長野県塩尻市企画政策部の太田様から資料8に基づいて御説明いただければと思います。
 よろしくお願いします。

○長野県塩尻市 よろしくお願いいたします。長野県塩尻市役所の太田と申します。
 では、画面を共有させていただきます。
 私からは、塩尻市で実践している地方創生テレワーク、女性が主に参加されている地域住民の自営型ワークの推進についてお話をさせていただきます。
 塩尻市は人口6万7000人のよくある自治体でございます。ただ、地方創生で幾つか特徴的な取組を行っていまして、それが今回お話しさせていただくKADO、次のページです。あとは自動運転、MaaSのような取組もさせていただいております。
 次をお願いします。
 KADOなのですけれども、この画面に映っているとおり、時短でしか働けない方々、時短で働きたい方々、例えばここに書いているのは子育てをされている方、介護されている方、障害をお持ちの方、その方々が地域で安心して働ける取組として、10年前に塩尻市が始めた事業となります。
 次をお願いします。
 KADOなのですけれども、一般的にはクラウドソーシングと呼ばれている手法をとっておりまして、時短で働きたい方々は自営型テレワーカーと呼ばれる個人事業主として仕事を受けていただいています。
 こちらのMAIAさんと仕組みは似ているのですけれども、少し違うのは、市が100%出資をしている塩尻市振興公社という団体が都市部の企業さんや自治体からのアウトソーシングを受けて、今、年間で2億5000万ぐらいの仕事をいただいています。それを300人ぐらいの方が働いている。
 特徴としては、この画面の左側にあるような専用のコワーキング施設と在宅両方で働ける環境をまずつくっております。ここで使われるパソコンをはじめとした機器は、市や振興公社が整備をし、こちらが一番の特徴なのですけれども、いわゆる労務委託の準委任契約という時間で単価をお支払いする形をとっています。長野県の最低賃金が今874円ですので、そこに消費税を付加した形で手取りで約1,000円弱ぐらい。あと、必要な研修、託児制度も兼ね備えております。
 次をお願いします。
 事業のイメージとしてはこんな感じです。
 次をお願いします。
 環境も、今、市街地の図書館のすぐ近くにある複合ビルの中に180人ぐらいが入る専用のオフィスをつくって仕事をしております。
 次をお願いします。
 こちらの事業は、実は10年前、2010年に厚生労働省さんの「ひとり親家庭等の在宅就業支援事業」というものを採択いただいて、そこから始まっております。こちらは2年間の事業だったのですけれども、ひとり親の皆さんを対象としたテレワークを2010年から始めています。その後、市の独自の施策として子育て中の女性に広げて、ただ、やりたかったのは、ずっと右上の働きたいけれども働けない全ての人に対して働く環境をつくっていく。そこをいろいろな省庁さんの支援をいただきながら進めております。
 次をお願いします。
 こちらの事業は、仕事を確保できないことには全く意味をなさない事業なのですけれども、立ち上げてから当初5年から6年ぐらいは全然駄目な時期が続きました。なぜかというと、営業が全然経験のない私のような職員が一人やっていたもので、仕事も全然確保できず、ただ、途中、2016年に大きな仕事をいただいてからは、働いているテレワーカーの皆さんが本当に真面目に真剣にQCDを発揮していただいて、強いて言うと、行政が絡んでいることで、公的与信だとか社会的意義を背景として伸びていっています。 ます。
 次をお願いします。
 今、受注している業務、テレワーカーの皆さんにやっていただいている業務は大きくこのような業務になります。一つはアノテーションと呼ばれているAIの教師データを作っている仕事、こちらは最初は単純な作業なのですけれども、やっていけばやっていくほどいろいろな高度な作業に展開していくものになります。
 もう一つが地図データの作成ということで、塩尻市でも行っている自動運転の制御に使われている3次元高精細地図を実は塩尻のほうで作っております。
 あとは、一般的にバックオフィスと呼ばれている経理、調達、人事、財務のような業務で、自治体系からの業務も今、塩尻市を中心に非常に多く出していまして、この背景としては一つ、コロナで経済対策だったり、コロナのワクチン接種、その他もろもろで非常に基礎自治体の業務が圧迫されています。そのアウトソーシングを一部担っているのと、塩尻市は今、DXに非常に力を入れておりまして、その結果出てくるいろいろな業務、例えばGIGAスクールのサポートだったり、RPAの業務、そのような業務も塩尻市から発注しております。
 次をお願いします。
 例えば3次元の高精細地図はどんな形かというと、実証実験で使っている写真の右上にあるようなごてごてした車になって、ちょうどこの左側で作業をしているのですけれども、いわゆるCADを使った地図作りになります。今、実は日本全国の高速道路が3次元化されておりまして、一部の車が手放し運転できるようになっています。日本の高速道路の地図は、実はKADOのお母さんたちが作っているものがかなりの大部分を占めているという状況になります。
 次をお願いします。
 GIGAスクールのサポートなのですけれども、こちらは今、全国の学校でITの導入が進んでいるのですが、学校現場に何が起こっているかというと、先生たちはただでさえ忙しいのに、ピッキングから活用まで全部自分たちでやってかなくてはいけない。それをサポートするということで、文科省さんはもちろん専門の仕組みを持っているのですけれども、塩尻市はさらに手厚くやろうということで、15人ぐらいのITのリテラシーがあるKADOのお母さんたちがチームを組んで学校現場に出向いてって、授業のITのサポートだったり、あとは先生たちがやりたい例えばオンラインの文化祭とかオンラインの音楽祭の機器のセッティングなどもサポートしております。
 次をお願いします。
 このような事業の仕組みなのですけれども、これは実はMAIAさんと少し似ていまして、個人事業主に発注はしているのですが、チームを組んで仕事をしていただいております。これはなぜかというと、まずチーム内でちゃんとお互いに成長を高めていくという要素があるのと、あとは休みたいときに休めるようにする。お子さんが熱を出しましたとか、御自身が突然具合が悪くなりましたというときに、負荷を感じず休めるようにするということでチームを組んでいます。
 この仕組みはもう一つ特徴がありまして、ディレクターというスタッフを振興公社の中に職員として配置しております。これは要です。なぜかというと、働いているテレワーカーさんはスキルばらばら、時間もばらばら、モチベーションもばらばらです。一方で、仕事を出していただくクライアントさん、これは市も含めてなのですが、一定の品質と納期を要求します。そのギャップを埋めることを、テレワーカーさんに求めずに、ちゃんと中間で管理をするということでディレクターを配置しております。今、9人ディレクターがおりまして、全員女性です。その9人中8名は実はテレワーカーさんからのキャリアアップでディレクターをやっていただいています。
 次をお願いします。
 こちらの事業は、ほかの地域でもこのような仕組みを導入したいということで、幾つかの自治体さんから相談を受けて今組みながらやっています。どういう組み方をしているかというと、塩尻市が獲得してきたいろいろな仕事、受注してきた仕事をほかの自治体さんにシェアしています。やはり我々も一番苦労したところで、仕事を確保することが地域の自治体は非常に難しいです。一度仕事さえ始まってしまえば、あとはOJTでテレワーカーさんのチームが立ち上がっていくことは、我々、経験上、確固たる自信を持っていますので、最初の立ち上げに必要な仕事をシェアして、いずれ自立化をしていっていただくような形で、特に長野県内の自治体さん、近隣の自治体さんと組んでいます。
 次をお願いします。
 まとめに入っていきますけれども、実はやっていることはクラウドソーシングとテレワークとコワーキングを組み合わせた形で、特段目新しいものはございません。ただ、働いている皆さん、この下のところです。これは実はスキルで選んでいません。働きたい意思がある方を優先して、本当に最低限のパソコンスキルさえあればここに来てくださいと。一方で、この仕事をどう確保しているかということ、これは先ほど月田さんの話にもあったのですけれども、オフショアだとどうしてもクオリティーとかデリバリーが合わない。都市部でやるにはコストが合わない仕事を出していただいています。ただ、ぎりぎりの線でやっていますし、何よりもスキルの高い人たちを選んでないので生産性にも限界があるということで、その部分を行政がサポートしています。
 次をお願いします。
 なぜ行政が人もお金も投資してこれをやるかというと、これこそ先ほどの月田さんと全く同じでして、中間就労組織をつくろうという目的でやっています。我々、基礎自治体の一つの目的として、地域に対する人材供給、どうしても働き手がいないことには地域経済回っていきませんので、そこを何とかしていきたい。通常であればハローワークを通してそれがなされるのですけれども、そうではなくて、時短を理由に働けない方々が安心して働ける場をつくることによって、次のステップにつながるのではないかという仮説を持っています。一旦KADOという安心して働ける場で自信をつけて、右上の就職にチャレンジしてもらう。もしそこで失敗しても、いきなり求職者に戻るのではなくて、またKADOで働きながら次のチャレンジをしましょうという政策的な目的があります。
 次をお願いします。
 効果としまして、これも簡単に言うと、我々は仕事を切り出してきているだけなのですけれども、結果として仕事量が増えてくると、クライアント企業さんはサテライトオフィスを構えてくれることが分かりました。クライアント企業さんは市内に5社立地をしていただいて、うち3社はテレワーカーさんから社員として何人か、今、10名ぐらい採用いただいています。個人的にはこれが一番うれしかったです。
 次をお願いします。
 今後の方針はいろいろ考えてあるのですけれども、上から3つ目のポツ、4つ目のポツ、塩尻市でDX戦略というものを策定しました。その中に、このKADOの皆さんをパートナーとして位置づけています。何をやるかというと、一つはスマートシティの関連業務。これは塩尻市は非常に力を入れて進めていこうと思っているのですけれども、それを都市部の企業さんだとかコンサルさん、ベンダーさんに出すだけではなくて、地域の皆さんに参画をしていただこうということで考えます。
 次をお願いします。
 塩尻市のDX戦略は飛ばしていただいて、こんな形でつくっています。行政内部のDXと地域のDXを両輪で進めていきます。
 次をお願いします。
 体制の中に、これは戦略の中にもあるのですけれども、KADOを位置づけています。例えば行政DXを進める上でのアウトソーシングだったり、地域DX、スマートシティを進めていく上での例えば実証実験のサポートだったり、オペレーションをしていただくということで位置づけています。
 次をお願いします。
 地域DXはスマートシティの形成計画に少し近いのですけれども、今、いくつか打ち手を考えていて、その中でKADOのテレワーカーの皆さんが非常に重要な位置を占めています。
 次をお願いします。
 デジタル・デバイド対策は、基礎自治体がDXを進める上で必ずやらなくてはいけないところで、例えば今、塩尻市もコロナのワクチン接種の受付は基本オンラインでやっているのですけれども、どうしても対面でやりたい高齢者の方のサポートをKADOの皆さんにやっていただいたり、あとは、今、AI活用型オンデマンドバスという新しい交通サービスを塩尻市で取り入れているのですが、スマホを使ったサービスになります。そのスマホの使い方だとか、スマホが使えない方向けの電話サービスなどもKADOが提供しています。
 次をお願いします。
 同様に実証実験、これ自動運転だとかMaaSで取り組んでいるのですけれども、例えば先ほどの3次元地図の製作のような、何もベンダーさんだとか大手企業さんが出さなくても、地域で完結できるものはなるべく地域でやっていきましょうということでやっています。
 次をお願いします。
 これが今日の問題になると思うのですけれども、実は今、MAIAさんと組みながらやっているところも一部入ってくるのですが、我々が経験を通して分かってきたのが、人材育成には必ずOJTが必要だと思っています。特にデジタル領域に関しては、リスキリング可能なスキルだと思っているのですが、ただ単にスキルを身につけるだけではなくて、発揮する場、仕事としてすぐアウトプットすることによってそのスキルが身についていくのかなと思っています。
 キャリアパスを2つ考えていまして、一つは、いわゆるKADOの中でチームリーダー、ディレクター、マネージャーとしてキャリアアップしていく道と、もう一つはエンジニアとしてキャリアアップしていく道、両方ともニーズがございます。ただ一方で、KADOの中にはニーズがあるのですけれども、地域の企業さんがこの方々を受け入れられるかというとそうでもございません。全て点線になっているのですが、本当に受け入れていただけるのは、例えば建設系でCADの人材が欲しいとか、IT系の企業さんで何人か欲しいだけで、まだまだ地域の企業のDXは進んでいません。これはうちの行政も含めてです。なので、それをいっそのこと呼んでしまおうということで、今、サテライトオフィスも計画したりしています。
 次をお願いします。
 最後になります。実は全部の拠点も含めて300人ぐらいが働いているのですけれども、登録が倍います。なぜこれがマッチングできないかというと、一つ、案件がまだまだ少ないというのもあります。初心者ができる案件をもっともっとどんどん増やしていかなければいけない。これは自治体として発注をするという責務を負っています。
 もう一つ、一番肝心なコーディネーターの育成・確保が非常に大変です。我々がディレクターと呼んでいる存在なのですけれども、ここをどこかのコンサルさんにお願いすれば育つというものではございません。やはり業務を通じて育成をしていかなくてはいけない。
 あと、KADOは実は就労のセーフティーネットとしては機能し始めているのですが、そうは言っても時給1,000円から1,300円ぐらいなので、まだまだ単価が安いです。この方々が最終的には時給2,000円以上で働けるためにはどうすればいいかということで、これからはMAIAさんとかと組んで、リスキリングやキャリアアップの支援が必要だと思っています。
 あと、先ほども申したとおり、地方には女性のデジタル人材を育てたとしても、活躍できる場は非常に限定的です。なので、もし地方でやるとしたら、サテライトオフィスの企業誘致だったり、クラウドソーシング、MAIAさんみたいなところとの連携が必須となってきます。
 最後、そうは言っても、今度は基礎自治体の産業振興として考えると、地域企業さんのDXも進めなくてはいけないと思っています。ただ、関心は高いのですけれども、どうしてもコストが課題になるということで、彼女たち、ここで働いているテレワーカーの皆さんがデジタル人材として地域の皆さんに協力をしていくことをこれからやっていきたい。そのときに、中小企業さんがそういった人材を採用したときにはインセンティブを付与することなども考えられないかなということを今検討しています。
 これで最後です。あと、資料として広報誌の資料をつけておりますので、また時間があるときに御確認いただければと思います。
 以上となります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、一般社団法人Waffle共同代表の田中様から、資料9で御説明いただければと思います。
 よろしくお願いいたします。

○一般社団法人Waffle 一般社団法人Waffleの田中と申します。本日はよろしくお願いします。
 今日は、4日前にお声がけいただいて、お話の趣旨を理解して、雇用に結びつく女性のデジタル人材について、国の動きとか業者の動きについてはまだ全然キャッチアップできていないのですが、あと、雇用についてはこれから4月以降に実際にやっていくのですけれども、私たちは中高生向けのIT教育という切り口から、我々が行っていることをシェアできたらいいなと思っています。
 私たちは誰かみたい話をすると、IT分野のジェンダーギャップ解消を目指して、教育とエンパワーメントを通じてジェンダーギャップを是正していこうというような非営利法人となっております。
 主な活動は女子及びジェンダーマイノリティの中高生にテックに触れる機会を提供することで、今、中高生向けにやっていますが、2022年4月から大学生向けに事業を展開する予定です。ここについては、雇用に関係するような話をできたらいいなと思っています。もう一つ、政策提言を実施しております。
 改めて、IT分野のジェンダーギャップとは何かという話もしたいと思います。
 例えばこの左のグラフでAmazon、Facebook、Apple、Google、Microsoftとあるのですけれども、女性の技術者の割合というのが一番右のブルーのラインになっています。どこも2割以下というような状態になっております。かつ、日本のIT分野の女性の技術者の割合も大体2割程度になっております。
 右側のグラフは、男女別でこの5年間で世界的に雇用が増えている職種のうち、データのAI、エンジニアリング、クラウドコンピューティングの3分野で女性の割合が26%以下ですよというようなグラフです。左側の濃いブルーが男性で、右側の水色が女性の割合なので、Data and AIが26%で、Engineeringが15%で、Cloud Computingが12%という状況になっています。
 これがなぜ問題なのかみたいなお話をすると、男女共同参画なので、いわゆるこのIT分野のほうでは、比較的コンピューター関連の産業のほかの産業と比べて、男女の賃金格差が比較的小さいという話と、かつ、これから今後需要が増えて、雇用が増える分野は高収入であるという確率が高いので、この分野の女性参画をしていくような促しをすることはすごく大事だと考えております。
 加えて、ちょっと別の観点で、左側のいわゆるIT人材というのは、2030年までに80万人が足りないと言われているのですけれども、それは今いる男性だけで賄うのではなくて、今パイが取れていない女性だったり、ほかの高齢者や外国人といった方々にIT人材になってもらうことがIT人材不足の解消にもつながっていくと考えています。
 なぜ私たちがこの課題を考えて中高生向けにやっているかというと、IT分野のジェンダーギャップというのは中高生の頃から始まりますというデータがあります。
 例えば左側、ICT関連職に興味のある15歳の女子の割合というのが、OECD加盟国ワースト1位、3.4%。一応男性は7.4%ぐらいで2分の1になっています。ここはグラフを省略しているのですけれども、上に66か国ぐらいあって、その中の一番下という状況です。
 右側、工学部の女子学生比率もOECD加盟国の中でワースト1位の15%となっております。工学もそうですけれども、理学も少なくなっています。アメリカとかの場合は、大学に進学した後にメジャー、マイナーを決められるので、大学進学した後にコンピューターサイエンスというものを選択できたりするのですけれども、日本の場合は高校1年生の秋、冬ぐらいに文理選択で二分されるという問題と、大学進学前に割とかちっと決めておかないといけないという問題があるので、中・高生段階での介入がすごく大事だなと考えております。
 Waffleで何をやっているかというと、そもそもプログラミングを知らない、もしくは理系があるものと思っている学生が非常に多いので、まず興味を持ってもらって、かつ進路につなげて、キャリアにつなげるということを一貫してやっていっております。今、キャリアにつなげるということは施策中なのですけれども、例えば認知のところで言うと、講演会だったり、イベントを開催したり、興味・関心のところは後ほど言うのですけれども、キャリアとハンズオンを一緒にやるということがすごく大事なので、そういうことをやったり、大学生向けには、ITのイメージが非常に悪いのでイメージを変えたり、テクノロジーというのはイノベーションを起こして社会を変えるものなのだよといったことを伝えるようなパスをつくっていきたいなと思っております。
 これが今、中高生向けに提供しているプログラムです。
 左側がWaffle Campというもので、女子及びノンバイナリ-中高生向けに、HTMLとCSSというホームページを組むような言語があるのですけれども、それを使って自分のウェブサイトを作るということをやっております。かつ、女性のエンジニアの方々にキャリア講演していただいて、文理選択をどうやって決めたのかとか、進路選択はどうやって決めたのかみたいな話をしてもらって、キャリアのイメージを醸成するようなプログラムをつくっております。
 これは学生が実際に作っているサイトなのですけれども、この方は徳島市の出身の方なのですけれども、杏奈さんという方で、ちょっとアーティスティックな方で、自分が作った作品を紹介するようなサイトを作ったりしています。
 こちらは自分の地元を外国人の方に紹介するようなサイトで、右側をクリックすると英語になったりします。
 こういうサイトを1日と事前の学習とアフターフォローで作っていったりしています。
 ちなみに、これだけだと雇用にはつながらないのですけれども、大学生向けにもこれをやってもらう予定です。
 もう一つ、Technovation Girlsというもので、これはいわゆるSDGsの課題をモバイルアプリで解決しましょうというプログラムです。言語についてはあまり縛りがないのですけれども、基本的にプログラミング初心者の方が多いので、ブロックプログラミングと言われるようなブロックを動かすような形でできるものを使ったり、JavaとかSwiftでモバイルアプリを作っています。
 どんなものを作っているかというのは、これを見ていただきたいです。1分ぐらいなのですけれども、これはLGBTQの方々が安心してコミュニケーションをとれるようなSNSを開発した中高生2人組のチームになっております。

(動画再生)

○一般社団法人Waffle ログイン画面があったり、コミュニケーションをとれるような場所があったり、あとは、こちらのほうで他社さんと協業するようなところがあったりというようないわゆるプロトタイプみたいなことを作ります。
 私たちがこれから大学生向けに事業を展開する上で、女性のデジタル人材という定義はこういうふうに設定しています。いろいろ調べて、国のほうでは女性のデジタル人材というものは定義がすごく広くて、いわゆるITリテラシーがあって、ExcelとかWordを使える人の ことを女性デジタル人材と言うのか、ITツールを使いこなして効率化できる、例えばSalesforceを使うとか、ほかのITツールを使うことを言うのか、それとも私たちが指しているようなITでプロダクト型開発ができる人と言うのか分からなかったのですけれども、Waffleの中では、大学生向けに展開する上では、ジョブ型雇用でソフトウエアエンジニアとして採用されて、初年度年収500万以上で働く女性と定義づけています。
 必要なスキルセットとしては、言語を問わず自分起点で自分の課題だったり、もっとこういうふうになったらいいのになと思うものを自分でプロダクトを開発してプロトタイプをつくれることと置いています。目安としては、先ほどの高校生が作っていたホームページだったり、HTML/CSSが書けたり、JavaScriptとかでループとか条件分岐ができるとか理解しているみたいなことを指しています。
 具体的には、社会人向けプログラミング、ブートキャンプのコードクリサリスさんというところがあるのですけれども、そこのFoundationコースが終わるぐらいかなとか、ハーバード大学が提供している「Introduction to Computer Science」というプログラムがあるのですが、それが終了している程度かなみたいなことを考えています。
 働き方は先ほどのMAIAさんとかと同じ感じで、リモートで仕事ができることと、こういうソフトウエアエンジニアの場合はスキルとか成果で報奨を得るので、出産や育児、介護で一時仕事から離れても、復帰前と同等の給与水準で働けることというのを定義づけています。
 女性のデジタル人材は、先ほどのだとかなりハイエンドと思われるかもしれないのですけれども、これから社会基盤をつくる側とか創造する側にきちんと女性技術者は必要だと思っています。なので、サポート業務に生かせるのではなくて、物事を創造する仕事に就いてもらうことがすごく大事だと思うので、もうちょっと目標としてはこれぐらいのレベルでいきたいなと思っています。サポート業務になると、日本だと特に女性の賃金が下がる傾向にあるので、ICT支援員とかも給与が低かったりもするので、そういうものに行くのではなくて、仕事を作る側とか社会基盤を作る側に来てもらうことがすごく重要だと考えています。
 その上で、私たちがやっていることの対象と費用と育成期間と育成内容と意欲とスキルと獲得スキルみたいなものを表にしてまとめました。
 基本的に大学生向けは4月以降に開始するのですけれども、Waffle Campの先ほどのアプリコンテストの内容と大体全部同じようなことをやってもらって、プラスアルファ、ソフトウエアエンジニアリングのインターンシップに獲得できるスキルというのを提供する予定ではおります。
 例えばWaffle Campでああいうウェブサイトを作るにはどれぐらい時間がかかるかというと、1日と事前学習でHTML/CSSとは何ぞやみたいなことをオンラインで学習してもらって、その後1日キャンプに参加して、2週間のアフターフォローで自分のウェブサイトを作るためにはあとどういう機能が必要かとか、どういうふうに書けばいいのかみたいなメンタリングを入れております。
 Technovation Girlsというアプリコンテストに関しては、研修概要としては、起業家の精神の研修を3日間して、プログラミングの研修を6日間をしてから、自分たちのチームで、自分たちの課題は何だっけというところから考えて、そこから自分たちのモバイルアプリを作る。その過程で、やはりゼロから100か分からないですが、作るのは難しいので、社会人のエンジニアのメンターがついて一緒に伴走しながら、週1ぐらいでメンタリングをしながら作っていくということをやっております。
 大学生向けは未定ではあります。
 提言ではないのですけれども、事業を展開する上で、今、私たちが抱えている課題みたいなところでいうと、就労先、業界の構造上の問題が一つあるなと思っていまして、私たちが目指しているここに行くためには、出口のIT企業のイメージに乖離がありまして、私たちがイメージしているのは、いわゆる先ほどのFacebookとかGoogle、ほかのスタートアップといった社会を変えるような仕事についていってほしいのはあるのですけれども、一般的に日本はSIerのほうが普及していて、そうすると、SIerだと給与が低かったり、働きやすいと言いつつ、実はこの具体的な声みたいな感じで徹夜とか残業が多いのですみたいな現状があって、私たちがどれだけここで育成したとしても、社会のほうで雇用がまだまだ少ないのではないかというような懸念があるので、これは課題だと考えております。
 現状だけお話ししたのですけれども、以上です。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。タイプは違いますけれども、現場でのデジタル人材育成を御説明いただきました。
 続いて、今回の女性のデジタル人材の育成に係る政府の取組について、お二方から御説明いただきます。
 まず最初に、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の渡邉審議官から、資料4で御説明いただければと思います。
 お願いいたします。

○渡邉審議官 改めまして、デジタル田園都市国家構想実現会議事務局におります渡邉と申します。
 今日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。
 デジタル田園都市国家構想は、岸田総理のイニシアチブで、高齢化や過疎地などといった社会課題に直面する地方こそ新たなデジタル技術を活用する需要があるということでございまして、これで地方を活性化していこうということでございます。
 現在、この国家構想の取りまとめに向けて、総理ヘッドの会議を何度か進めてございまして、つい先日、2月4日に中核となるデジタル人材の育成確保に向けた議論が行われたところでございます。
 本日は、そのとき、若宮大臣から御説明をさせていただきました資料を基に御紹介をさせていただきます。
 略称でデジ田と呼ばせていただきますけれども、このデジ田の国家構想を進める上では、やはり人材が大切でございます。しかしながら、このデジタル人材は質・量ともに充実している状態ではございません。したがいまして、人材全体の底上げや裾野の広がり、専門人材の育成・確保、また、都市圏への偏在の解消です。多くのIT技術者が都市部に偏在していますので、これをいかに地方に広めていくかということも同時に求められてございます。
 対応の方針といたしましては、国全体としてデジタル実装を進めていきたいということですので、今回、少し大胆なマクロの数値目標を2つの仮説をもとに設定いたしました。それに基づきますと、5年間で国全体の労働人口の約230万人の育成を進めていくというのがKPIになります。目標自体は330万人を確保するのですが、既に100万人ほどのデータ推進人材がいらっしゃいますので、その差分の230万に5年かけて育成していくということになります。
 今回私どもが定めているデジタル推進人材の定義ですけれども、ここにございますように、ビジネスアーキテクト、データサイエンティスト、エンジニア・オペレーター、サイバーセキュリティスペシャリスト、UX/UIデザイナーといった高次な人材でございます。こういった方々を230万人育成いたしますと、国全体のデジタル革新が進んでいくという仮説を立ててございます。
 その下のほうに、大きく分けますと3つのブロックがございます。
 一番左の17万人のところは、文部科学省のほうで主に御担当いただいておりますが、大学・高等専門学校、もしくはリカレントも含めた教育の分野。
 真ん中の部分、16.6万人というのは、主に経済産業省にお願いをさせていただいてございますけれども、DX推進拠点を作って、そこで地方で展開をしたり、デジタル人材のスキルを明確にしたり、教育プログラムを作ったりといったことを進めていただく予定でございます。
 そして、一番右側のブロックが13.5万人と書いてございますが、こちらは厚生労働省のほうで御担当いただいていますけれども、いわゆる教育訓練、公的職業訓練といったスキーム、ツールを使いまして、平均で年間45万人、これで5年間で約230万人ということを計画してございます。
 次のページをお願いします。
 先ほどのちょうど3つのブロックがそれぞれ、青色、赤色、緑色というブロックになっています。さらに言いますと、一番下に黄色いブロックがございますけれども、こちらはまち・ひと・しごと創生本部時代からずっと続けてございますが、育成された人材は都市部に偏在していますので、これをいかに地方に回すかということで人材マッチング事業をしたり、企業支援をしたいということで、この4つのブロックをうまく組み合わせ、連携をしながら施策を進めていく予定でございます。
 次のページをお願いします。
 ここからは、先ほど冒頭で課題を説明した参考となるバックデータですので今回は割愛をさせていただきます。
 数ページ進めていただけますでしょうか。このページをお願いします。
 これは先ほど御説明した230万人の考え方の根拠でございます。大胆な仮説として2つ立ててございます。
 一つは、プロセス①と書いてございますけれども、組織・コミュニティーの中でデジタル化におけるDXを進めるためには、組織の中の約30%の人材が能力を持つと、組織全体に広がるという仮定でございます。
 もう一つは、国全体に広げるためには、国の中にある組織もしくはコミュニティーの16%程度が変革を起こすと、それが全体に広がっていくという仮説がございまして、これはイノベーター理論です。
 この2つを組み合わせまして、全労働人口6800万人を0.16と0.3で割り戻しますと、330万人という数字が出てまいります。先ほど申し上げましたが、2015年の国民統計でいきますと、100万人程度のデータ推進人材がいるということでございますので、その差分230万人を5年間かけて育成していくのが国家的なKPIということでございます。
 次のページをお願いします。
 ここからは、説明は省略いたしますが、それを実現する上で関係省庁が取り組んでいる予算事業を数ページにわたって掲載させていただいてございます。
 冒頭、全体の考え方の説明は以上でございます。
 この後、経済産業省と厚生労働省のほうから各論で御説明をいただけると聞いておりますので、私の説明は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省の政策について、岡崎大臣官房審議官から資料5で御説明いただければと思います。

○岡崎大臣官房審議官 ただいま御紹介にあずかりました、厚生労働省の大臣官房審議官、人材開発担当の岡崎でございます。よろしくお願いいたします。
 当省からは、人材開発支援助成金の企業向けの取組と公的職業訓練の見直しについて御説明させていただきたいと思います。
 なお、ひとり親支援につきましては、既に昨年11月の第7回の専門調査会で御説明した内容でありまして、参考資料としてのみ配付しております。
 それでは、まず1ページをご覧いただきたいと思います。
 こちらは、令和3年度の人材開発支援助成金の当初予算と補正予算を合わせた施策の内容が書かれております。当初予算で307億円、補正予算で215億円の予算につきまして、こちらのページにありますように、様々な形の事業主等が雇用する労働者に対してリスキリングをできるような、職業に関連した専門的知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を実施した場合に、人材開発支援助成金より訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成しております。
 人材開発助成金については、令和3年度から特にITスキル標準レベル3~4相当の教育訓練を高率助成の対象としております。こちらの黄色い「強化」と書いてあるところです。今後の経済対策、令和3年度の補正によって、ITスキル標準レベル2の教育訓練についても高率助成の対象とすることとしております。
 また、非正規雇用労働者対象の訓練コースについて、経費助成額の上限を正規雇用労働者対象訓練の水準に引き上げる等により、企業による人材育成を支援してまいりたいと思います。
 続きまして、資料2ページをご覧ください。
 令和4年度の予算案におきましては、当初から681億円を要求しておりまして、こちらのほうが認められますと、昨年度の当初と補正を合わせたよりも大きな額を積むということになります。こちらのほうですけれども、特に企業等の民間ニーズを把握しながらデジタル人材育成の強化等を行うこととしておりまして、具体的には、企業内における人材育成を柔軟かつ効果的に支援するために、民間からの提案を踏まえてメニュー化する訓練を高率助成の対象とすること等を検討しました。こちらのほうは、既に民間からの提案の受付を内閣官房中心に募集しておりまして、それが締め切られておりますので、そちらのほうの内容を今検討しているところでございます。リスキリングの取組については特に重要だと考えておりますので、引き続き、人材開発支援助成金で支援に努めてまいります。
 続きまして、公的職業訓練の見直しについて御説明したいと思います。
 公的職業訓練については、ハロートレーニングという愛称をつけまして、離職者、在職者、学卒者向けの訓練を実施しています。こちらのほうは主に雇用保険受給者が対象となっています。このうち、離職者に対する訓練としましては、主に雇用保険受給者を対象とした公共職業訓練と、主に雇用保険を受給できない方を対象とした求職者支援訓練の2つがございまして、どちらの訓練も無料で受講できます。雇用保険受給者については、訓練を受給する期間中、雇用保険の失業給付を受給できますし、雇用保険を受給できない方についても、求職者支援訓練のほうで収入要件等の一定の条件を満たす場合には1か月当たり10万円の給付を受けることができます。
 昨年の受講者数の実績については、図の右下にまとめておりますとおり、公共職業訓練については合計で約10.3万人、休職者支援訓練については約2.4万人となっております。
 次の資料は4ページになります。
 こちらは、求職者支援訓練における女性の受講状況についてお示ししています。求職者支援訓練は、要するに雇用保険の対象とならない方の訓練なのですけれども、令和2年度においては全体の約7割を女性の方に御活用いただいています。
 分野別に見ますと、医療事務や、リビューは受講者のほとんどが女性を占めております。一方、IT分野などは、女性の割合が35%になっているなど、女性の受講の割合の多い、少ない分野があると考えております。
 続きまして、資料の5ページをご覧ください。
 新型コロナウイルス感染症による雇用への影響が直下しておりますので、シフトが減少したシフト制で働く方などが、仕事と訓練の受講を両立しやすい環境整備を図るため、昨年2月から職業訓練校設定の柔軟化を図っております。
 この資料にあります委託訓練というのは、最初に御説明しました雇用保険受給者を対象とする公共職業訓練のうち、都道府県が民間教育訓練機関等に委託して実施する訓練を指しております。資料の中の①及び②については、訓練期間や訓練時間が短いコースの設定を可能とすることによって、在職中の方などが訓練を実行しやすい環境整備するための要件緩和です。
 また、③については、民間教育訓練機関等がこうした訓練を積極的に実施できるよう、職業訓練を実施した民間教育訓練機関等に対して就職率に応じて支払われる付加奨励金の支払い要件を緩和するものです。
 これらの特例措置については、本年3月末までの暫定措置としているということなのですけれども、4月以降の取扱いについては現在検討しております。
 また、④ですけれども、育児等により日中の職業訓練を受講することが困難な女性の方などが受講しやすい訓練コースとして、時間や場所を問わずに訓練を受講できるeラーニングコースの拡充や、Zoom等を活用して訓練を受講する同時双方向型のオンライン訓練の実施基準の緩和も行っております。
 資料の右上に記載がございますが、職業訓練コース設定の柔軟化とは別に、子育て中の女性が受講しやすいよう、託児サービスつきの訓練コースを従前よりしているところでございます。
 最後に、資料の6ページをご覧ください。
 この資料は、昨年12月に開催されました労働政策審議会人材開発分科会において取りまとめられた、今後の人材開発施策についての報告書の概要になります。
 この報告書では、DXの加速化などの環境変化の中で、精度の高い職業訓練の実施が求められていることから、一つには、地域の人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定や、訓練カリキュラムの検討のために、地域の関係者が共同で協議できる場が必要であるとされております。
 図の左下が該当部分になりますけれども、労使、教育訓練機関をはじめ、関係者が参加する協議の場の設置が打ち出されており、地域の人材ニーズに係る共通認識とそれに適した訓練コースの設定、訓練受講者等の個別の状況を踏まえた検証、見直し等について御議論いただき、地域のニーズに合った職業訓練の提供を実現していくこととしています。
 なお、この協議の場については現在法定化を目指しておりまして、通常国会に法律の改正案を提出しております。
 また、公的職業訓練については、岸田総務大臣が、今国家における施政方針演説において、世界が、産業界が、地域が必要とする人材像やスキルについて、現場の声を丁寧に聴き、明確化した上で、各国の先進事例から学び、公的職業訓練の在り方をゼロベースで見直しますと発言されています。
 これを受けまして、これまで公的職業訓練につきましては、訓練事業者の就職の促進に重点を置いて取り組んできたところですけれども、今後、先ほど御説明した協議の場を活用することなどによって、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションなど、社会変革を円滑に進めるために必要な人材を積極的に育成するという観点も重視して取り組んでいきたいと考えております。
 以上が厚生労働省の説明でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今、後半お二方には政府のデジタル人材育成に係る取組について御説明いただいて、前半では、Waffleさんからは、現状では中高生にデジタル分野に関心を持ってもらって、それで大学に行き、そういうスキルをつけてもらって、就職へもみたいなことを考えられているということで、そういう意味で、若い人たち、女性にITや経営者に関心を持ってもらってそちらに就職できればというお話がありました。
 あと、MAIAさんや塩尻市の取組は、太田さんからも説明があったように、クラウドワーキングみたいなものは実際に民間のプラットフォームとしてはあるのだけれども、そこに入れる人というのは一定のスキルがある人なのですよね。そういうスキルはないけれども関心ある人たちに、訓練とセットでエントリージョブに入っていけるような仕組みを用意したり、あとはサポートの仕組みをつくられて、人材育成から始めて、IT関係の仕事をつける入り口のところで支援しようという取組だったかなと思います。
 それで、いつも午後は休もうと思うので、初めての方はあれかも分かりませんが、ネットの会議は結構疲れるので、背伸びをするということで、5分休憩で、15時50分に再開したいと思います。

(休憩)

○佐藤会長 それで、いつものように質問を、どなたへの質問か言っていただいて質問を出していただいて、まとめてお答えいただくので、月田さんも田中さんもメモをとっていただいて、後でまとめてというふうにしたいと思います。
 それでは、議題(1)について、御質問のある方は手を挙げていただいて、順次出していただきますので、報告された方は自分へのメモをしておいていただければと思います。
 それと、御説明が遅れましたけれども、デジタル人材育成の観点から、御説明いただいていませんけれども、もし御質問が出れば対応していただくということで、経産省の江口サイバーセキュリティ・情報化審議官とデジタル庁の奥田参事官にも同席いただいていますので、もし御質問があれば、関連性があればお答えいただけるということです。
 それでは、最初に治部さん、お願いします。

○治部委員 ありがとうございました。
 これは、どなたにというよりも内閣府かもしれませんが、1つ確認したいことがあります。
 今回御紹介になった事例で、デジタル人材というときに定義がばらばらかなという感じがいたしました。ですので、内閣府の男女局としては女性の経済的自立を目指していると思いますので、一体女性がデジタルリスキリングをすることでいくら稼げるようにすることを目指すのかということは確認したいと思います。
 私個人としては、本質は時給の上昇であると思っています。ですので、塩尻市さんからのコメントの中で、やはり時給1,000円台では低いと。スキルアップでもっと目指すのだというところは本質だと思っていますし、Waffleさんの定義で年収500万を目指すというのはそうだと思っています。というのも、ギグワーカーが増えている中で、これが新たな安い内職の普及であっては、はっきり言って政策としては失敗だと考えるからであります。
 もう一つの論点は、私自身も子育てをしながら、さっき5分の休憩でちょっと子供の相手をしたので、テレワークはありがたい一方で、やはりジェンダーの問題、本質は無償ケア労働の再分配ということがあります。たしかMAIAさんのプレゼンだったと思うのですが、 女性で短時間しか働けないという実態の御報告がありました。確かにそれは実態だと思うのですが、これはやはり育児期だからでしょうか。なぜ女性は少ししか働けないのでしょうか。これは再三ここの会議でも議論してまいりましたが、男性の家事、育児時間が短いからではないでしょうか。
 繰り返しになりますが、6歳未満の児童を育てている夫婦の家事、育児時間を見ると、日本は妻が夫の5倍やっています。ほかの先進国では大体2倍です。この無償ケア労働のジェンダーギャップということを変えずに、女性がこれまでと同じように家事、育児、無償化ロードをやったまま、空いた時間でデジタル内職というのは、私は男女平等の政策には反しているのではないかなと思っています。
 でも、デジタルとか技術分野の話というのは、ともすると人に対する支援という観点が抜けてしまうところがあるので、そこは考えていただきたいと思います。
 最後に1つ、中間就労支援という言葉に関して使い方が違うのではないかなと思うところがありましたので、ここだけ情報提供をさせていただいて終わりにしたいのですけれども、今、「『シングルマザーの貧困解決』ひとつの道筋」というページが見えていますか。
 中間就労支援というのは、本来、障害があったり、離婚したばかりで小さい子供がいたりで一般的な就労が難しい方たちに対して、福祉的な就労と一般就労の間のものを提供するというようなことになります。それを岩手県のNPOで「インクルいわて」というところがどんぴしゃでやっているのですけれども、これはちょうど小見出し、私が7年前に書いた記事ですが、パソコン教室では駄目なのです。なぜかというと、普通に民間のパソコン教室に行って、デジタルスキルを少し見つけて、事務職につけるような状況は問題なのです。ですけれども、例えば離婚直後だったり、元主婦だったりして働ける自信がないとか、DV被害に遭っていて精神的にダメージを受けているような方を、そういった支援もしながらスキルを身につける、いわゆる伴走支援をしていくというところが大事なので、この中間就労支援というのをギグワークと同じで使ってしまうのは言葉が間違っているなと思ってお聞きしました。
 最後になりますが、既に行政でやっているものとして、御存じの方もいると思うのですけれども、2017年からやっていて、もう5年やっているEmpowered JAPANという取組があります。これはマイクロソフトと当時総務大臣だった野田聖子大臣のやり取りから始まった取組で、日本テレワーク協会、総務省、厚労省、国土交通省、文科省、経産省がやっている取組ですが、基本的には地方自治体と組んで、ITのスキルを提供して、テレワークで地方の方も仕事が受けられるようにするというものになってきます。ここでたまっているノウハウとかが結構ありまして、必ずしも女性だけに対してやっていることではないのですけれども、テレワーカーに対して適切な報酬を払うというためには、企業もかなり意識を変えていく必要がありますので、こういう既にやっているいろいろな取組に内閣府男女局もうまく加わるような形で、ぜひデジタル田園都市を実現していただけるといいのではないかなと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 全体をメモしておいてもいいと思うのですけれども、大事なのはデジタル人材はどういう人たちを念頭に置いているのかということが一つ。それと、そこで育成する人材のスキルレベル、多分これは報酬にもリンクすると思うので、それは少し内閣府や今日御説明いただいた人たちです。それで言うと、つまり、今まではIT人材と言っていたのだよね。突然デジタル人材って何が違うのと。言葉を変えただけで同じなのか。
 もう一つは、リスキリングはいいのだけれども、今までは学び直しは言っていたのだよな。リカレント。厚労省の人、これは同じなの。言葉だけ変えて中身は同じなので、言葉だけ変えているようなイメージがあるのもちょっと困るなという気がするので、リスキリングとは何なのかというのを後で御説明いただければ。学び直しとリカレントと違うの、新しいのというのは気にはなった。
 石黒さん、お願いします。

○石黒委員 質問プラス意見というか、まず第一の質問は、今の治部さんと同じで、定義なのです。以前からIT人材、デジタル人材、また、政府の委員会でもデータサイエンティストという全くすごく抽象的で、どういう人を育成したいのかがよく分からないことが多い。ですから、恐らく内閣府さんのほうで定義をしてもらうのが良いと思います。その定義が、報酬なのか、デジタル田園都市構想の中ではインダストリー区分けみたいなものもあったし、Waffleさんの定義がすごく分かりやすくて、自分でプログラミングとか作り出すものなのか、MAIAさんのところはAIでも恐らく画像認識やテスターなどのところをやっていらっしゃるのかなと受け取れるのですが、全体を見渡すと幅広すぎるのです。まずどういう人材をつくり出したいのかということを明確にしていただいたほうがいいと思うのです。そうしないと、日本企業は抽象的な定義から具体的なものを作り出したり、発注することが苦手なので、ここで作るルールは企業からどういう仕事を請け負うことができるか、です。どういうプロジェクトを完結して納品できるかということだと思うので、そこの定義をまずしっかりしたほうがいいと思います。
 実際にこのゴールを達成するためには、2つ目は、やはり仕組みづくりが必要で、これは塩尻市さんの例が非常に分かりやすくて、いろいろな言葉の使い方もIT企業が使っている言葉と非常に近しいものだったので、分かりやすい仕組みになっていたかと思うのです。それを持ってしても、それでもまだ企業が仕事を出しにくいところがあると思います。
 一つは営業行為のところです。ディレクターという言葉を使われたのはすごくよくて、ディレクターというのはプロジェクトを全部俯瞰して見て、いろいろな人材を配置してという機能なのですけれども、その上に、企業との橋渡しとして、私たちもよく使っているのは、営業ですと箱売りの営業ということになってしまうので、プロデューサーやアカウントマネージャーという役割の人を配置するのです。この人たちが、一体どういう仕事をもらいたいのかというような定義をして、発注先に営業をしていくのです。
 仕組みの2つ目は、塩尻市さんに合ったような形でプロジェクトのどこの部分を出せるかということの定義を誰かがして、対企業でやっているように全部が全部完結して収めるということはなかなか難しいことなので、どこの切り出しができるかというようなことを決めていきます。
 最後は周知です。そういうような定義が決まって、何を仕事として出せるかということが決まったら、プロモートしていくことが必要です。せっかく人材を育成しても、仕組みを作っても周知をしないと発注されません。どこかがこの役割を担っていただきたいということでお話をしました。ありがとうございます。

○佐藤会長 では、大崎さん、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 先ほど治部委員もおっしゃったのですけれども、今日、この女性デジタル人材というトピックを選んでいただいているのは、女性の経済的自立、女性の経済的エンパワーメントに有効な施策であるという文脈で取り上げていただいていると思います。デジタルのリテラシーとかスキルを身につけることによって、いかに安定的な収入減を確保するか、持続可能な経済的な基盤を構築するかが重要な目的だと思いますので、Waffleの女性人材の定義というのが一番理にかなったというか、この文脈においては重要な定義だったと思います。それが目指すところだと思います。
 私も不安として持っているのは、このようなデジタル人材育成みたいなことは、人材不足を補うための施策であったり、低賃金のギグワーカーとかサポート業務といったところに女性がまた改めてとどまってしまわないように、そこはちゃんと政策介入をしなくてはいけないポイントですので、この取組が経済基盤の確保につながるためにはどういう公共政策を講じるのか。そこをぜひこの調査会で御提案、御提示いただきたいということが1点目。
 2点目はデジタル田園構想に関してです。これはデジタルと地方と、もう一つ、やはりジェンダーギャップの解消というものが三位一体で実現しないと、この構想は描いた餅に終わってしまうのではないかと思いますので、先ほどWaffleのプレゼンで男女別のデータだったり、ジェンダー統計というものをすごくちゃんと使ってくれて、どういう業界にジェンダーギャップがあるのか、高等教育のレベルでもどういうジェンダーギャップ、バイアスがあり得るのかということをしっかりと分析した上で様々な事業を考えていらっしゃると思うのです。それがまさにジェンダー主流化なのですけれども、それをこの構想でもしっかりやっていただきたい。男女別データ、ジェンダー統計、ジェンダー分析を踏まえた上で構想を描く。
 でないと、女性デジタル人材育成というのは別枠で何か施策を策定するみたいに書いてあったのですけれども、現状においては女子の人材は少ないので、別枠で特化した形でやるのは重要なのですが、同時進行で、何で女性が少ないのかというジェンダーギャップの解消をしっかりやっていかないと、未来永劫女性に特化したことをやり続けなければならないので、全体の構想にどういうふうにジェンダー視点を主流化させるのかということをぜひお伺いしたいです。

○佐藤会長 では、佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 今までに出ていた意見も多いと思うのですけれども、デジ田のところで質問をしたいのですが、230万人の人材育成を目指すという中で、黄金の3割の数字が出てきました。黄金の3割は女性活躍にもよく使われているお話で、女性が3割を超えていかないと駄目だというところなのですけれども、そうなると、230万人のうちの3割というと70万人なので、デジ田のところでは先ほど言った高度な人材育成ということを目指しているので、パソコンで女性3割という数値目標みたいなものを何か決めておられるのかというところをまずお聞きしたいです。もし決めていないのであれば、しっかり数値目標を決めて、かつ、ちゃんと統計もとっていって、どういうふうな施策をすれば3割に近づけるのかというのを考えていただければなと思います。
 資料を共有させていただきます。
 実は3割というのは非常に難しくて、アメリカにおいても、これは大学の例なのですけれども、コンピューター情報科学分野の女性研究者が増やせていなくて、ほかのシステム系は増やせているのですが、何でかというと、男性のほうはわっと増えているのですけれども、女性が増えていかない。ここで、割合が増えていかないということが起きています。なので、本当に増やすというのはアメリカでも大変なぐらいなので、日本は相当いろいろな工夫をしないと増えないのではないかなと思っています。
 今、私も、先ほどのWaffleの田中さんも、デジタル関連部活、中高生向けの話なのですけれども、そこのジェンダーバランス、部活も崩れています。なので、デジタル関連部活でもやはり女子学生が少なくて、それをどうやって解消するかということでワーキンググループで話し合っていますけれども、その中でたくさん議論されています。従来のやり方、システムは根本的に見直す必要があるということで、これはかなりデジタル関係のことで女性をどう増やすかというのを真剣に議論しているので、ぜひここの議論をいろいろ参考にしていっていただければなと思います。
 あと、大学がどういうことをできるかということなのですけれども、一つ例として、理系と文系を分けてしまう、中高の段階で進路先を決めなくてはいけないというのが非常に大きな問題だと思っています。お茶大では教養科目の中に文理融合データサイエンスという科目をつくりまして、従来理系に行っていたものを人文社会科学も含めた全学部1~2年生を対象に実施して、eランニングにしてほかの女子大学でも普及する。こういう教養科目に入れて、文系の人たちが大学で履修して、そこで興味を持ってもらって、自分の分野をデジタルの技術を使って解決していくという訓練が必要かなと思います。
 もう一つ、これはアメリカも大学のコンピューター分野は女子学生が少ないのですけれども、それを解決した好事例というのが、カリフォルニア州立大学の教授が変えていっていて、2006年に6%だったのが21年は30%になって、この方はWaffleさんと連携をとって日本の教育についてもいろいろ考えてくださるみたいなことをおっしゃっておられ、これはWaffleさんに御説明していただいたほうがいいのですけれども、こういう海外の好事例を参考に文科省とかも進めていかれるといいのではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 それでは、井上さんにお願いして、井上さんで取りあえず質問を一巡切って、それまで少しまとめて、徳倉さんまでやるかもしれない。そこまでで、後ろがあるのですみません。
 では、井上さん、お願いします。

○井上委員 井上です。ありがとうございます。
 厚生労働省に質問です。資料の4ページに求職者支援訓練の女性の受講状況がありました。ITが極端に女性の比率が低いというのが気になったのですけれども、基礎コースでどこまで実践コースにつながるようなことをされているのかということ。それから、女性比率は入っているのですけれども、就職率がないのですが、求職者支援訓練を行った後、どれだけ女性たちが就職しているのか、あるいは就職できなかった場合のサポートがどうなっているのか。以前、審議会委員をやっていたことがありまして、マッチングの問題や就職できなかった後のサポートは以前から課題になっていたかと思います。公共職業訓練の実績はちゃんと就職率が出ているのですけれども、ただ、これも男女別が出ていないので、どれだけ男女の差があるかというのは分かりませんので、今日が無理であればまた教えていただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 では、徳倉さん、お願いします。

○徳倉委員 徳倉です。
 内閣官房さんに質問です。先ほど治部委員からもちらっとありましたけれども、頂いている資料の1ページ目を拝見すると、対応の方針の中に「女性のデジタル人材については、女性デジタル人材育成プランと連携」と別立てで書かれているのです。ここを別立てにすると、ここまで来ているものは男性を意識して書いてあって、これを別に書くというのは、はっきり言いますが、ナンセンス過ぎます。なので、やはりこういうところから日本のジェンダーギャップ指数はこれだけ乖離があるのだなということが見てとれる資料だなと思います。
 資料がいけないというわけではなくて、やはり男女関係なくデジタル人材を育成していくので、もちろん定義の問題とほかの委員もあったので今回は割愛させていただきますが、今回WaffleさんとかMAIAさん、特にはWaffleさんは一般社団法人として営利を求めていないので、より中立的な立場でいろいろ発言されていて、月田さんのは、私も事業を2つ、会社をやっていますからよく分かります。今のジェンダーギャップのある社会の中で、どうやって事業を継続させながら、自分たち、この場合だと女性やセクシャルマイノリティーの方々を自立させようという事業を展開されているので、塩尻市さんもそうですけれども、こういうやり方は非常に後押ししたいなと思うのですが、では、翻って国が推進していくときに、こういう文章が一行あるだけで、読み取るほうとしては、やはりこれは差があるのだと感じ取れてしまうので、こういう表現をチェックしながら政策の中に反映していくことがとても大事かなと。
 ちょっときつい言い方になりましたが、以上になります。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 内藤さんと白波瀬さん、申し訳ありませんが、もしあれば短めで。  内藤委員、いいですか。

○内藤委員 ありがとうございます。
 私が言いたいことはほとんど皆さんにおっしゃっていただいたのですけれども、徳島市の場合も、実はリスキリングもやっていまして、研修に来てる人の特性もばらばらなのですが、やはり福祉の支援が必要な方には特に受講してほしいと思って私自身もリスキリングをやっています。シングルマザーや子供宅食などの支援を一緒に行っている人たちには、徳島市としても福祉部局と男女共同福祉センターや経済部など、いろいろなところが本当に連携していかないとやっていけないと思っています。
 なので、何で女性に対して支援が必要なのかというのを、Waffleさんもさっきデータで出していましたけれども、こういうふうなジェンダーギャップがあって、こういうところを解消しなくてはいけないから福祉も支援しなくてはいけない、男女共同参画もちゃんとやっていかなくてはいけない、経済部もちゃんとやっていかなくてはいけないということをまず職員が理解しないといけないと私は思っています。なので、リスキリングとかという話も必要なのですけれども、やはり職員に対してどれだけ研修とかといった部分できちんと理解してもらえるかが重要だと思っているので、基礎自治体の職員への研修とか理解の促進ということも同時に並行してやっていかないといけないなと思いました。
 以上です。

○佐藤会長 では、白波瀬さん、お願いします。

○白波瀬委員 遅れてきて申し訳ないです。
 1つだけなのですけれども、やはり委員の先生方がおっしゃいましたように、デジタル人材と言ったときの対象がみんなばらばらで、こんにゃく問答のようにデジタル人材とジェンダーいう問題が展開されているのです。でも、これはやはり一つのチャンスでございますので、足元のところから、でも、目指すところはしっかりしたキャリアにしていただくということだと思います。
 そういう意味で、中高からちゃんと着目してということはあるのですけれども、やはりコンピューターサイエンスも含めまして、今の日本のSGUほど多様な分野から文系が入っている国は少ないという状況があるのですが、その多様な背景というのがしっかりキャリアに通じていくかというと、結局デッドエンドになっていきますので、そういう意味で、リカレント教育というのも男女に関わりなく、これだけの日進月歩でありますと、みんなが大学を卒業して2年後、3年後でリカレント教育という世の中になっておりますので、そこに合理的な配慮として、優先的に女性あるいは性的なマイノリティーも含めて入れていただくという構造をまずベースのところで確保していただきたいなと考えます。
 以上です。

○佐藤会長 ちょっと延びてしまっていますが、これから今まで出た御意見、御質問に、自分が関係あるところを少し追加的にお話しいただければと思いますので、最初はMAIAの月田さんからお願いします。

○株式会社MAIA いくつか御質問をいただいていたと思いますので、お答えします。
 治部様からいただいていた、内閣府へおっしゃっていたと思うのですけれども、女性がリスキリング教育でいくらの時給を目指すのかということです。あと、女性は短時間しか働けないのは何でというお話があったと思いますので、弊社の中でもデータがありますので、まず共有させてもらいたいと思っています。
 これは日本の男女の家事負担ということで、家事、育児、介護の時間に物すごく大きな乖離があるというのが男女共同参画白書から出ています。女性はやはりまだすごく家事をしていますというのが現実です。世界的に見てもこういうふうに極めて特異と言われていますし、もう一つ、地域の男女格差、これは地域のジェンダーギャップということになっているのですけれども、やはり都内と地域を比べると、男女格差がさらに地域に行くほど大変だよということがここにも書かれていると思うのです。実際にこういうデータがありますよというのがまず1つ目で、私たちはこれに基づいて様々なビジネス展開をしているわけです。
 MAIAの場合は、デジタル人材というのは、システムの開発ができて、業務設計をできる人たちと実は定義をつけておりまして、どちらかというとソフトウエアの開発から業務要件を詰めてお客様のためにシステムを納入するみたいな、SIと言われている世界でもあるのですけれども、こういう人たちの能力をつけてもらいたいなと思っています。ちょっとしたIT初心者だと、やはりバックオフィス支援とカスタマーサポートみたいなところしかできなかったり、ここで開発ができるようにとか、例えばシステムテストができるような教育、これは社会人1年目で学べることなのですけれども、こういう教育を女性たちにリスキリングすると社会人1年目ぐらいのスタートが切れるのです。そこからだんだん開発のプロジェクトリーダーだとか、逆に業務設計をしていけるようなコンサル、SEみたいな職になってきて、時給もどんどん高くなっていくのです。
 なので、MAIAの場合はIT初心者とか開発メンバー、この最初の一歩のところの教育に力を入れているというのがあります。これで明確に時給が決まっていきますし、後ほど言いますけれども、彼女たちが中間就労的な働き方を終えるとどんどんスキルアップができると考えています。
 先ほど治部さんから御質問があった中間就労の言葉なのですが、実はこれはすごく悩みまして、私も中間的就労という言葉を存じ上げているので、定義が難しいと思っているのです。要は、言いたいことは、女性が例えば160時間1人月稼動するのではなくて、160時間を50時間、30時間、80時間みたいにワークをチームでシェアして、その上にディレクター、先ほど言いましたけれども、プロジェクトマネージャーです。プロマネがついて、彼女もしくは彼が仕事をディスパッチして、みんなでワークシェアリングをするということが中間就労という定義です。言葉が出てこなくて今は仮置きなのですけれども、塩尻市さんも同じで、仕事を会社から受け取って、それを皆さんに配分しやすいようにきっちりと区切りをする。ディスパッチと私たちは呼んでいるのですが、ディスパッチをして、それに対して納品、品質責任を負っていただけるような、いわゆる一般的なITの会社で先輩が後輩に対してやっていることを、私たちは会社の中ではなくて会社の外のメンバーとチームをつくるということをやっていきたいと思っているのです。なので、このワードについては皆様にぜひいろいろと御教示いただきたいなと思っています。
 なので、先ほど石黒さんから、企業からどういう仕事を受け取ることができるのか、納品はという話もあったのですが、明確には、我々が思うに、企業のお仕事をまず分析して、それをどうやって育成した新人さんに当たる女性たちに分担していって管理をしていくかというのがすごくポイントだと思います。
 実際に、これはプロジェクトマネージャーの仕事ですが、世の中にはこのプロマネができる人が本当にいなくて、MAIAの中でも困っているのです。なので、リスキリングされた女性が1年、2年、5年と経験を積んでいけばプロジェクトマネジメントのお仕事ができると思いますので、そういう長期的なスパンでの育成という反面、もう一つは、どんなITの会社さんでもPMができる人がいっぱいいらっしゃるので、そういう方と例えばフリーランスの団体とかをくっつけて、そのメンバーが育成されたばかりの女性たちをサポート、OJTをしていくということが私たちはすごく大事なのかなと思っています。
 あと、ITコースは極端に女性が少ないと厚労省へ御質問されていた井上さんに対して、少しお話をさせてもらいたいと思うのですが、私たちがすごく課題に感じているのは、ITに対する日本の女性の嫌悪感と言うのですか、苦手感というのは顕著で、どうやったら周知ができるかということに企業としてもすごく悩むところがあるのです。ここで、自治体さんと、もっとITの世界はすごく楽しくて、例えば時給単価も高くなって、自分のキャリアを自ら選べますよみたいな取組をどんどん周知、認知していかないと、女性に響かないというか、まず女性は情報を取ってこられないです。特に地方の格差がありましたけれども、なかなかネットからぱぱっと情報を取ってこられない方たちもいますので、そういう方たちにいかにしてこういう情報を届けていくかということがすごく大事だなと思います。
 つらつらと話してしまったのですけれども、私が先ほど聞いていた御質問の中から答えられるところをお答えいたしました。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 では、塩尻市の太田さん、お願いします。

○長野県塩尻市 質問という形は多分なかったと思うのですけれども、今のMAIAさんのお話もそうなのですが、高単価の仕事を取りに行くというのは実は我々も課題になっています。ただ、これは逆もありまして、いきなり高単価の仕事をスキルが身についていない方にぶつけてしまうと、かなりブラックな環境に陥るというのも我々は経験してきております。そこはちゃんとバリエーションをつくっていくということが大事かなというところと、仕事をいただくこととOJTを通じて育成していくところに理解のあるクライアント企業さんをいかに捕まえるかというのがかなり肝になっていまして、要は、地方のテレワーカーさんに仕事を出していくことに対する理解の増進などはできればやっていただければなと考えています。やはり我々も結構ひどい目にやっています。単なる下請にしか思っていないところだったり、変な話、先ほどのギグワーカーもそうなのですけれども、安い単価だよねみたいな感じのところは正直御勘弁いただきたいので、そこは理解をいただく。言い方は難しいのですが、質のいい企業さんと言うのですか、クライアント企業さんを御紹介いただけるような仕組みがあるといいなと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 では、Waffleの田中さん、お願いします。

○一般社団法人Waffle ありがとうございます。

 冒頭の治部委員や大崎委員、佐々木委員がおっしゃっていたことにすごく同意しています。
 デジタル推進人材について先ほどお話があったのですけれども、職種とITリテラシーの軸でスキルセットと収入の部分は全然違うと思います。職種で言うとビジネスアーキテクトも入っていたり、UI/UXデザイナーも入っていたり、私たちはソフトウエアエンジニアリングでプロダクトを開発できる人というのを指しているのですけれども、そこも全然違うし、ITリテラシーも、先ほどちょっとだけお話ししたExcel、Wordが使える人なのか、それともSalesforceなどのITツールを使える人たちなのか、プロダクトを開発できる人なのかというのは、給与も全然違ってくるので、そこは職種とITリテラシーのスキルセットで分けて考えるといいのかなと思いました。
 お話を聞いている中で、私もかなり怒りを感じている部分としては、育児を前提としてデジタル人材で女性を育成するというのはすごくナンセンスだなと思っています。女性が家事とか育児をしながらデジタルスキルで業務委託だったり、ギグワーカーになることは決してやってはいけないことだと思っております。だからこそ、私たちはソフトウエアエンジニアリングとしてフルタイムあるいはフリーランスで年収500万円以上、何なら1000万ぐらい稼げるような人になるために、入り口で500万ぐらいのスキルを身につけさせようということでやっております。
 先ほど大崎委員もおっしゃっていたように、安定的で持続的な経済的自立はすごく大事で、というのは、日本にいたら、大学に進学して卒業する頃には総合職、一般職に分けられて、一般職では低賃金のほうに働かされるレールにはまり、出産、育児でマミートラックのレールにはまり、私たちはそういうふうに仕事から離れるタイミングとキャリアの構築、管理職に行く流れになかなか当てはまらないということが日本で常々起きていることなので、それを回避するためには、デジタル推進人材ではどういうことをすべきかみたいな視点でも考えられたらいいかなと思っておりました。
 大崎委員がおっしゃったデジタル、地方、ジェンダーギャップについてなのですけれども、特に地方はジェンダーバイアスがものすごくて、本当にどうしたらいいものかなと思っています。私も父親に女は勉強しても意味がないから中学を卒業したら働けと言われた身分なのですけれども、そういうことはまだまだいっぱいあって、かつ、ITの仕事に関しては、特に東京に企業が集中しているので、地方だと全然イメージがつかなくて、女は看護師とか薬剤師でいいでしょうみたいな、それが女性の幸せ、国家資格があれば、パートで時給1,000円で働かずに2,500円ぐらいで働けるでしょうみたいな感じで、それが一般の常識みたいな感じになっているので、女性デジタル人材を育成するためには、地方の文脈ではどういうプロモーションが必要なのかという観点でも議論が必要かなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。

○佐藤会長 石黒さん、手を挙げられているけれども、今、途中で何かあるのかな。できるだけ短めで。

○石黒委員 本当に短めで、皆さんの議論を聞いていて、これから難しいなと思うのはディレクターやプロマネの数なのです。結局、うちの会社も売上げを上げようと思うと、ディレクターの数が一番ボトルネックになるのです。手足を動かしてくれる人のほうが採用しやすくて、そうすると、どの会社も、プロジェクトを完結させようと思うと、ディレクターの採用が一番難しくて、これがネックになります。塩尻市さんは7名ぐらいとおっしゃいましたが、これはどのぐらいのレベルの人か分かりませんけれども、驚愕の数です。ですから、全てこれをやり始めようと思うと、ディレクターおよびプロマネの数がボトルネックになるので、ここの人材を、これは普通の企業も取り合いですから、しっかり集め、育成しなくてはいけないなと思いました。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 ITの専門的な人は、プロデューサーになりたくないという人も結構いるのだよね。エンジニアでずっと行きたくて、プロマネは嫌だという人もいるので、その辺は考えていかないといけない。
 それでは、内閣官房の渡邉審議官からお願いいたします。

○渡邉審議官 様々な示唆に富む御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 まず第1点目、デジタル推進人材の定義をしっかりと国として定めなければ、抽象論による展開でしっかりと進まないのではないかという御指摘がございました。
 先ほどの資料の中に、5つのカテゴリーを取りあえず仮説として、こういった方々が少し高度ないわゆる日本の産業全体を変えていく推進人材ではないかと考えさせていただいてございます。こちらにつきましては、経済産業省のほうで、スキル標準も含めて今後しっかりと定義を進めていただけるとお聞きしてございます。
 江口審議官、もしコメントがございましたらお願いできますでしょうか。

○江口サイバーセキュリティ・情報化審議官 江口でございます。
 このデジタル人材は、今日も話がありましたけれども、非常に幅広い意味として使っているというのが現状でございます。デジタル技術を使って様々なことを解決できる、提案ができる、プランニングするというようなこと、従来型のITプログラミングをしていくとかというようなものも含めて言葉としては使われているというのが現状です。
 そういうような中で、逆にそういうふうに広くしてしまうと非常に分かりづらい。どの分野でどのような人たちを育成していく。特にこの場での主要なテーマになります、女性が活躍できるような場というのはどういうところであって、何をどのような形でというようなことも含めて検討していく場においては広すぎるということなのかもしれません。
 今、渡邉審議官からも話がありましたけれども、スキル標準というような形でまとめていくということで現在準備をしてございます。そのようなものの中では、実際には推進人材の手前のレベルといいますか、ある意味全てのビジネスパーソンが持つべきリテラシーとしてどのようなものが必要になってくるのかというようなものも含め、定義をしていこうと思っております。
 いずれにしても、先ほどWaffleの方からも御紹介いただきましたけれども、このデジタル分野はいろいろな職種の方がいらっしゃいまして、それぞれ違ったスキルを持つ必要があるというのは言うまでもないことでございますので、その辺も含めまして、どのような形で分かりやすく示していけるのかというのは考えていきたいと思います。
 また、それぞれの政策分野の中で、特にこのデジタル推進人材の中でもどの部分に注力をして、こういう分野をやっていくとかというようなことについても、ある程度個別に目標を持って考えていくことも必要なのではないかなと感じました。
 いずれにしましても、御指摘の点も踏まえて、今後、対応、検討を進めていきたいと思っております。ありがとうございました。

○佐藤会長 では、厚生労働省の岡崎審議官。
 先に佐々木さん、今のことでしょうか。

○佐々木委員 今のことで、私の質問がありましたけれども、デジ田の人材の中での女性の数値目標というのはしっかり掲げてもらえるのでしょうか。この人材育成の中の何%。

○渡邉審議官 渡邉でございます。
 現在設定してございます230万人につきましては、日本の産業活動全体が広くデジタルトランスフォーメーションを起こしていけるような推進人材そのものを総体として捉えてございます。有り体に申し上げますと、これから経済産業省のほうで、スキル標準も含めて、こういう能力、こういうスキルを持った人材が230万人に増えていけばいいということを、具体的な工程表も含めて最終的な取りまとめに向けて作っていくということであると思います。
 その中で、具体的に女性の方が何%になるのが好ましいかどうかということについては、残念ながら、現時点においてはその中には含まれてございません。女性でも男性でも経済産業省のほうで検討されるスキル標準を持った方が、企業活動、経済活動の中で広く御活躍いただければ、それで一つのデジタルトランスフォーメーションが進んでいくのではないかという考え方でございます。
 ただ一方で、先ほどお叱りもいただきましたけれども、男女共同参画局のほうで、ジェンダーギャップも含めていろいろと御検討いただいている内容とそちらのほうはうまくすり合わせをしながら、最終取りまとめに向けて連携を進めていきたいと考えてございます。

○佐々木委員 デジ田の中での数値目標が出るのと、女性デジタル育成のところで数値が出るのでは重みが違う気がしていて、ちゃんとデジ田の全体の中で数値目標を決めてほしいなと思います。御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○佐藤会長 では、それは考えていただくとして、厚生労働省からお願いします。

○厚生労働省 厚生労働省の人材開発統括官付人材開発政策担当参事官室訓練企画室 三姓です。
 私、職業訓練を担当しておりまして、先ほどの井上委員からの御質問について答えさせていただければと思います。
 まず、先ほど求職者支援訓練でITを女性の方が受講されることが少ないということで、やはり統計から見ても営業、販売といったことをまず希望される方々が多い。これについて、基礎コースからどうやってITに流れていくような仕組みかということなのですけれども、我々としては、これから基礎コースにもITリテラシーの観点からカリキュラムを追加していこうと考えています。できれば基礎コースだけでなく、全てのコースにITリテラシーの考え方をこれからしっかり盛り込んでいって、そういった考えを浸透させていきたいと考えております。
 もう一つ、ITの受講者の就職率はどうかということでありました。現在、我々、男女別で就職率を集計していないもので、全体になりますけれども、ITの就職率は57.5%となっています。これは雇用保険に加入できる就労条件で就職した場合となっておりまして、ちなみに、これは実践コース全体でちょうど60%なので、極端に悪いとかいいということではないかと考えています。
 就職できなかった方にどうするかということですが、井上委員は当然御存じのとおり、ハローワークでこういった求職者の就労支援の相談を行っておりまして、訓練が終わった後も当然ながらハローワークで支援をしていくと考えております。
 以上になります。

○佐藤会長 それでは、時間が延びてしまって、月田さん、太田さん、田中さん、本当にお忙しい中、お時間をいただいてありがとうございました。あと、内閣官房、厚生労働省もどうもありがとうございました。
 ここで退席して思いませんので、と言ってもぎりぎり2時間拘束ということで、本当にどうもありがとうございました。

○林男女共同参画局長 ありがとうございました。
 今日の御意見を踏まえて、しっかりプランを作ってまいりたいと思います。

○佐藤会長 それでは、ちょっと延びてしまっているのですけれども、もう一つ議題があるので、ただ、次の予定がある方は出ていただいて構いません。
 それでは、2つ目の議題として、コーポレートガバナンス・コードに沿った企業の取組、市場再編についてです。
 まず、林局長のほうから御説明いただければと思います。資料2です。

○林男女共同参画局長 それでは、資料を共有いたします。
 企業の女性役員の登用の状況について現状をまとめております。
 まず、上場企業の女性役員は9年間で約4.8倍に増加して、現在延べ3,000人以上になっております。ただ、諸外国に比べると、その割合はかなり低いという状況にあります。また、一部上場企業で女性役員がいない企業は減ってはいるものの、現在732社、全体の3分の1の企業でまだ女性の役員がいないという現状があります。
 業種別に見るとばらつきがあります。もっとも、女性社員の割合も業種によって差異があります。
 これをクロスしてみますと、45度線よりも下にある業種は、女性の社員が多い割には女性の役員が少ないということになります。
 また後ほど金融庁の井上審議官から詳しく御説明があると思いますが、今年4月からの市場再編で新たにプライム市場ができますが、プライム市場に入ることになっている企業1,840社の女性役員割合を計算してみると9.3%、女性役員ゼロ企業は541社となっています。  なお、国内外の証券取引所におけるルールを比較すると、例えばロンドン証券取引所が適用しようとしている上場規則案は、取締役の構成において4割以上を女性とするということなどになっております。
 企業が女性活躍に取り組むことのメリットについては、様々な調査研究があります。例えば私どもで調査をした機関投資家の234社へのアンケートで、投資判断で女性活躍情報を活用するかと聞くと、半数以上の機関投資家が活用していると回答しています。
 いわゆるなでしこ系の企業で、中でも両立支援制度を整備している企業は財務パフォーマンスが中期的に向上するということが分かっています。また、海外でも女性役員の比率が高い企業のパフォーマンスは高い傾向にあります。株価のパフォーマンスが高いということも分かっております。
 このように、女性の役員登用をはじめ、ダイバーシティーは同質的な集団とは異なる視点からの意見、議論を通じて化学反応を起こし、新たなイノベーションを生み出し、企業のパフォーマンス向上に貢献すると考えております。
 私からは以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 金融庁の井上審議官、すごくお待たせしましたけれども、すみませんが御説明いただければと思います。資料6になります。

○井上企画市場局審議官 金融庁企画市場局審議官の井上でございます。
 私からは、企業における女性活躍の推進に係る取組状況を、企業開示とコーポレートガバナンスの観点から御説明させていただきます。
 1ページでございますが、企業における女性活躍の推進等に関する金融庁の施策としましては、第5次基本計画において有価証券報告書等における開示の好事例の公表と開示の在り方の検討が、重点方針2021においては、コーポレートガバナンス・コードの改訂が掲げられています。
 我々の施策は、男女共同参画というよりはあくまで投資家保護の視点ということで、投資家に必要な情報をどのように提供するかという観点ではありますけれども、昨今、投資家のサステナビリティ、あるいはダイバーシティに関する関心が高まっていることから、この企業開示の分野においてもサステナビリティ情報に関する関心が高まっており、それに対する制度的対応を図っているということでございます。
 こうした背景の下、金融庁が今年度実施した取組について御説明させていただきたいと思います。
 まず、有価証券報告書等における開示の好事例の収集・公表についてです。
 3ページでございます。金融庁では、有価証券報告書における開示の充実に向けた実務の積上げ・浸透を図る取組として、投資家・アナリスト及び企業の有識者からなる勉強会を開催しまして、非財務情報の開示の好事例を収集して、「記述情報の開示の好事例集」として公表しております。
 サステナビリティ情報に関する投資家の関心の高まりを踏まえまして、昨年12月には女性活躍や多様性の推進に関する開示を含むサステナビリティ情報の開示の好事例を取りまとめ、公表させていただきました。
 小さくて見にくいかもしれませんけれども、好事例集では、投資家等が着目したポイントを青色の枠で囲んで、右下のボックスにコメントを付しております。
 その中から抜粋で1つ御紹介させていただきますと、4ページに載せているのは昨年12月に公表した好事例の一例でございますけれども、女性活躍の推進に係る定量的な目標ですとか、右下のほうには、エリア別の幹部職に占める女性割合の推移状況が記載されているというものでございます。
 5ページは双日株式会社の例ですけれども、このスライドの左側、2019年3月期の開示、この好事例集の取組を始める前の開示では、女性活躍に関する取組について定性的な記載にとどまっていたのですけれども、右側を御覧いただくと、2021年3月期の開示では、ダイバーシティの推進に向けた取組について、女性執行役員の登用の実績や女性社員比率の目標を含めて具体的に記載されております。また、役職者や全社員の女性比率の中長期の目標についても定量的に記載していただいているということでございます。
 さらに、左は文章のみで見にくいところ、右側は図表も活用して分かりやすく記載されているというようなところでございます。
 このように開示が大分変わりつつありますので、金融庁としても、この記述情報の開示の充実を図っていくということを後押ししていきたいと思っています。
 次に、有価証券報告書における開示の在り方の制度的な検討について御説明します。
 7ページでございますが、昨年6月に、金融担当大臣から金融審議会に対してディスクロージャーの在り方、企業情報の開示の在り方について検討を行うように諮問いただきまして、昨年9月から金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループにおいて有価証券報告書におけるサステナビリティ情報等の開示の在り方についての検討を行っております。
 サステナビリティ情報の開示の在り方の検討に当たっては、8ページでお示ししておりますように、女性活躍推進法や育児・介護休業法も御紹介しながら、多様性確保の開示についても御検討いただいています。
 第3回のディスクロージャーワーキング・グループでは、9ページの下のほう、各論のところに少し書いていますけれども、多様性確保に関する開示の一例として女性管理職比率等の開示についても御議論いただいたところです。
 また、10ページにございますとおり、サステナビリティ開示の充実に向けた取組についても御議論いただいているところでございます。
 金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループについては、ほかにも多様なテーマで検討していまして、今年の上半期を目途に報告書をまとめていただきたいと考えているところでございます。
 続きまして、コーポレートガバナンス・コードの改訂について御説明いたします。
 12ページでございます。コーポレートガバナンス・コードというのは、御存じかもしれませんけれども、上場企業が幅広いステークホルダーと適切に協働しつつ、実効的な経営戦略の下、中長期的な収益力の改善を図るための行動原則と位置づけられていまして、ハードローとは違って、コードの規定にコンプライするか、コンプライしない場合にはその理由をエクスプレインしていただくという仕組みで、上場会社に義務づけているものでございます。
 コーポレートガバナンス・コードは、2015年の策定以来、2018年と昨年2021年の2回改訂が行われています。直近の昨年の改訂では、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」という有識者会議で7回ほど御議論いただきまして、コードの改訂をしています。
 昨年の改訂の主なポイントは、13ページの下半分ですけれども、3つの大きな柱、1つ目が取締役会の機能発揮、2つ目が企業の中核人材における多様性の確保、3つ目がサステナビリティということですけれども、真ん中の中核人材における多様性の確保のところで、管理職における多様性の確保、女性等の登用についての考え方と測定可能な自主目標の設定を上場企業にお願いするような改訂を行ったということでございます。
 この点について14ページでもう少し詳しく説明しますと、コーポレートガバナンス・コードは、2015年の策定のときから、原則2-4、一番上のところですけれども、上場会社に対して社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進するように求めているところでございます。
 フォローアップ会議の議論を受けまして、今回の改訂版のコーポレートガバナンス・コードは、下の青字のところですけれども、補充原則の2-4①というものを新設いたしまして、上場会社は中核人材の登用等における女性を含む多様性の確保についての考え方と測定可能な自主目標を示すとともに、その状況を開示すべきとされました。さらに、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑みて、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきであるとされたところでございます。
 この2-4①に関する企業の取組状況ですけれども、昨年末までに各社コーポレートガバナンス報告書の改訂版を出していただいておりまして、東京証券取引所で取りまとめた結果を15ページにお示ししています。
 昨年末時点で東証一部上場企業の約67%、TOPIX100の構成銘柄に限りますと89%の企業で補充原則2-4①にコンプライしておられるという状況です。
 TOPIX100の構成銘柄について、下のほうで詳しく説明させていただきますと、女性については補助原則2-4①にコンプライしている企業のほぼ100%が、考え方・現状の開示と測定可能な目標の開示の両方を行っていたというところでございます。
 金融庁では、改訂版のコードを踏まえた、中核人材の多様性の確保等に係る取組状況についてフォローアップを行ってまいりたいと思います。
 最後に、参考としまして、先ほど林局長からもありましたけれども、東証の市場区分の見直しについて簡単に御説明させていただきます。
 16ページにございますとおり、東証では、従来、市場一部、市場二部、マザーズ、JASDAQというような幾つかの市場に分かれていたのを、今年4月4日に下のほうの3つの市場に再編することになっています。プライム市場が約1,840社、スタンダード市場が約1,470社、グロース市場が約460社というような形になります。
 この中で、各市場のコンセプトを踏まえまして、コーポレートガバナンス・コードの適用範囲についても見直しが行われていまして、プライム市場につきましては全原則をより高い水準で適用するとされているところでございます。
 17ページですけれども、改訂版のコードでは、プライム市場上場企業向けの規定として、このスライドにお示ししているような幾つかの原則がより高い水準のものとして定められております。例えばサステナビリティのところですけれども、気候変動開示について、TCFDまたは同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきというようなところが入ってございます。
 これらの規定について、コンプライ・オア・エクスプレインでの対応をプライム市場の上場企業にお願いするということになります。
 以上、駆け足ではございましたけれども、企業における女性活躍の推進に係る取組状況について、企業開示とコーポレートガバナンスの観点から説明させていただきました。
 御清聴ありがとうございました。

○佐藤会長 ありがとうございます。そうすると、5~6分ください。
 窪田さん、もしあれば。

○窪田委員 私のほうからは特にございません。
 今お話があった、特に有価証券報告書を使ったソフトローのアプローチというのはすごく有効なのだろうなという感想を持ったというだけです。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 では、御質問がある方はまとめてずっと出していただいて、5分程度平気だと思うので、その後井上審議官に。
 石黒さん、お願いします。

○石黒委員 質問というか、金融庁さんのほうで、確かにSDGsをプロモートしていくという上で、開示ということに対していろいろ目標を決めるのはいいと思うのですけれども、今の日本の現状を見ると、取締役や役員の数は、世界で恥ずかしいレベルだと思うのです。これを解消するためには、高い目標ということではなくて、せめてプライム市場で義務化していただくということが必要ではないかと私は思います。そういうようなことももちろん委員会で検討なさっているとは思うのですが、ぜひその辺りを御検討いただきたいと思います。
 あと、これは別にどちらにということではないのですけれども、私の気づいたところで、内閣府の林局長のスライドの中に、女性比率が多くて役員登用が少ない、特に金融関係ですよね。これは働き方というのもすごく関係していると思っていて、私も金融関係の会社で、執行役員の候補を面接する機会があるのですが、そのときに、女性は1人ぐらいしか上がってこないのです。けれども、コミュニケーション能力が抜群で他の候補者に比べ圧倒的にレベルが高い。これだけ高いレベルがあるのだったら、もっとボトムから上がってきそうだということで、なぜ女性候補者の比率が多くないのか不思議な気がします。金融機関では、転勤と部門の異動という働き方を経て、そのポジションに上がってくるわけですが、そういった同じルートを辿り出世していると、ある意味、みんないわゆる本当に画一した人、人材が育っている気がします。ということは、転勤などの制度自体を見直していかないといけないのではないかというようなことは内部の反省としてもあるようです。こういう女性の昇進に対して、特にこの分野での働き方が、転勤などを是として、それをロールモデルで皆さんやってきましょうというような思いで入ってきて、それを実践していらっしゃる。このプロセスを本当に一から変えていかないと、なかなかここの女性比率は上がらないなというのが私の感想なのです。
 これは内閣府さんに頼んでどうなるものでもないかもしれないけれども、各企業さん、外国でもそういうことはないわけですから、仕組みを変えていかれるべきかなと思っています。

○佐藤会長 今、石黒さんが言ったように、今回のプライム市場のところは、さっき林局長の資料でもあまり変わらないなと。さっきのあそこで挙げたデータだけで、役員のいるところと役員がいないところ、女性役員がゼロのところとあまり変わらないみたいなので、プライム市場で少し変わるかなと思ったのだけれども、現状はあまり変わらない。井上審議官、後でそれはなぜなのか教えていただけるとありがたい。
 では、大崎さん。

○大崎委員 ありがとうございます。
 この情報開示というのは、ジェンダー平等推進という意味でも、やはり日本の企業が世界の金融市場でちゃんと評価されるためにもすごく重要だと思います。
 その意味で、先ほど石黒さんも言及されていましたが、林局長のプレゼンテーションの中で、やはりナスダックとかロンドンの開示項目でコーポレートガバナンス・コードはすごいですよね。そこに寄せていく必要があると思います。これは欧米だけではなくて、マレーシアやシンガポール、台湾のコーポレートガバナンス・コードも日本よりはるかに高度です。ですので、情報開示項目をしっかりと義務化というかグレードアップしていくということが重要ではないかなと思います。
 それから、先ほどサステーナビリティーの文脈で、気候変動に関してはTCFDを参照されているということがありましたけれども、このジェンダーに当たるものは、国連のグローバル・コンパクトとUN Womenが一緒に2010年に策定した女性のエンパワーメント原則。これが企業のためのガイドラインで、ここが報告指標、インディケーターを今出しているのです。このWEPsというものがGPIFの外国株式対象のESGのジェンダーダイバーシティー指数の元になっているのです。そこで掲げられている必須報告指標だったり、開示すべき項目というのをしっかり参照していただくということが重要かなと思います。
 ちなみに、必須報告指標としては、経営幹部における女性比率、独立社外取締役における女性比率、育休取得後の復職率、男女間賃金格差というものが含まれています。男女間賃金格差に関しては、ほかの国でも法整備、開示を義務化するというのがイギリス、ドイツ、EUも今年施行されます。という形で進んでいるので、やはり国際的な金融市場でちゃんと評価されるためには、情報開示の基準というのも国際に寄せていくといったことをぜひやっていただきたいのと、賃金格差に関しては、岸田総理の施政方針演説の中で、男女間賃金格差の企業の情報開示ルールを見直すということを言ってくださって、これは私は大変すばらしいと思います。ですので、それを具体的にどうやるのか。有価証券報告書への必須記載事項にするとか、女性活躍推進法のアップグレード、情報開示項目、必須情報開示項目を増やすとか、実効性のある政策でぜひやっていただきたいと思っています。ありがとうございます。

○佐藤会長 そうしたら、井上審議官からお答えできる範囲内で結構ですので、いいですか。

○井上企画市場局審議官 御質問ありがとうございます。
 まず、有価証券報告書における開示の義務化ということに関しては、制度的な面は先ほど申しました金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループで検討しているところでございます。佐々木さんからいただきました男女別平均賃金の話も、今後そこでも検討していくということだと思いますけれども、女性活躍推進法での開示義務化の御検討も期待したいと考えています。
 あとは、金融関係でなぜ女性のトップマネジメントが少ないかという点については、おっしゃられたような要因もあると思いますけれども、転勤というのは、特にお金を扱う職業にとってはお客さんとの癒着を防止するためにある程度は仕方がないのだと思うのです。ただ、保険会社で、最近はテレワークを前提に、転勤はするけれども、転居はしなくていいというようなシステムを導入されたところもあると聞いていますので、そういう取組がより進んでくれば、金融関係でも特に中間層でのダイバーシティというのは増えていくのかなと思います。
 トップマネジメントの話は、先ほどは御紹介しませんでしたけれども、コーポレートガバナンス・コードには、取締役レベルのダイバーシティは2015年の策定当初から入っております。今回、ガバナンスコードにもかかわらず、あえて中間管理職層のダイバーシティを取り上げたのは、やはりパイプラインのところをしっかりしないと、本質的に日本企業は変われないというような問題意識が有識者の方にあったからだと思うのです。そういうところも、当時の菅総理の施政方針演説でも取り上げていただいたと思うのですけれども、企業だけではなくて、労働環境の変化等も併せて考えていかないと、開示だけでは実態は変えられないというところだと思います。
 最後に、佐藤先生からプライム市場でなぜ女性比率が低いのかという話があったと思います。プライム市場は大企業が多いので、マネジメント層で非常に関心の高いところもあるということは、先ほど私のスライドでもお示ししたとおりで、TOPIX100の構成銘柄に関しては、女性活躍に関しての考え方はほぼ100%対応していただいているということなのですけれども、実態としては、雇用環境がやはり終身雇用前提だということですと、先ほど申しましたように、中間層のパイプラインのところから育てていかないとなかなか一朝一夕には変わらないというところはあると思います。もちろんこれは開示、金融市場、投資家からのプレッシャーということで、企業に変革を促すという流れも必要だと思いますけれども、労働市場環境を変えるということも併せてやっていかないと、最終的にはゴールにはたどり着かないと考えています。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 そうしたら、本当はもう一個あったのですけれども、そこは今日はいいですね。
 では、井上審議官にはお待ちいただいた上で、予定を超えた時間で申し訳ございませんでした。
 局長のほうから特に何かありますか。

○林男女共同参画局長 いえ、ございません。
 資料3は、この1か月ほどの私ども男女共同参画局の取組を御紹介したものですので、お時間のあるときにでも御覧いただければと思います。

○佐藤会長 次回のときにでも必要があれば御説明いただくことにして、それでは、今日は本当に長時間熱心に御議論いただいて、どうもありがとうございました。
 井上審議官、本当にどうもありがとうございました。