第8回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成17年3月31日(木) 10:00~12:00
  • 場所: 経済産業省別館1111号会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    石川 哲也
    委員
    鹿嶋 敬
    委員
    神田 道子
    委員
    五條 満義
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    住田 裕子
    委員
    竹信 三恵子
    委員
    寺尾 美子
    委員
    林 誠子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    山口 みつ子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)中間整理案について
    • (3)閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画基本計画改定に係る審議スケジュール(予定) [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    第6回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録(案)
    資料3
    第7回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録(案)
  3. 議事内容
岩男会長
おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回の基本計画に関する専門調査会を開催いたします。
 大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本日でございますが、起草ワーキングチームにおいて各分野の担当委員を中心に御議論していただきました中間整理案について検討したいと思っております。分野別に内閣府の方から御説明をいただいて、その後、分野別に区切って議論したいと。今日全部の分野がカバーできるとは思っておりませんけれども、できれば第6分野まで、つまり半分強片付けられればありがたいと思っております。
 それでは、今後のスケジュールと併せまして事務局の方から御説明をお願いいたします。
定塚男女共同参画局推進課長
それでは、資料1にスケジュールが入っておるかと思います。まず、そちらから御説明申し上げます。
 本日3月31日から4月25日まで3回にわたりまして、中間整理案の検討を行わせていただきたいと考えております。この後5月に入りまして、参画会議に暴力に関する専門調査会とともに中間整理を報告し、また、公に公表いたしまして国民からの意見募集、パブリック・コメントと地方公聴会、こちらは全国5か所を想定しておりますけれども、地方公聴会を行って国民からの意見を直接聞くという機会を設けます。その後、そうした意見を踏まえまして、6月から7月にかけて報告書を検討いただき、7月を目途として報告書を決定するというスケジュールでございます。
 報告書を決定した後は、暴力に関する専門調査会の報告書と併せまして、参画会議に報告をし、参画会議として政府に答申する。その後、政府としてその答申を踏まえまして、新基本計画を策定するという予定でございます。
 では、中間整理案につきまして、まず冒頭の部分を御説明申し上げます。
 まず、この表題でございますが、以前は論点整理と御説明しておりましたが、内容の方が論点より詳しい内容となりましたので、「中間整理(案)」といたしております。
 なお、現行計画の答申の折には副題がついておりまして、前回の答申は「21世紀の最重要課題」という副題がついておりました。今回につきまして副題をつけるかどうか、またアイデアがあれば、これは次回以降に御意見をいただきたいと考えております。
 中間整理案でございますが、内容につきましては御承知のとおり、起草ワーキングチームの担当委員と会長、会長代理から御意見をいただいたもので、7月の報告書の原案となるべきものでございます。事前に各省庁に協議しましたところ、出されている修正意見につきましては、本日の資料に見え消し、下線及び加筆の形で修正を加えています。この中には、取り入れるべき意見も、また、委員によりそうでないと判断される意見もあろうかと思いますけれども、そのまま記載をいたしましたので、各委員の意見をいただきたいと考えております。
 それから、こちらの中間整理案でございますが、構成といたしましては目次を見ていただきますと、まず最初に、中間整理についてということで考え方を書きまして、その後、I「取りまとめに当たっての考え方」、II「現行計画の達成状況・評価及び今後の施策の基本的方向と具体的な取組」、III「総合的な取組に向けた計画の推進体制の整備・強化」となっております。このIからIIIは、基本的には現行計画の第1部、第2部、第3部に該当するものでございますが、IIにつきましては、前半部分が現行計画の達成状況と評価、後半部分が今後の計画の改定に生かされる部分となっております。
 では、まず、1ページから簡単に御紹介を申し上げます。
 1ページは「中間整理について(案)」ということで、これまでの専門調査会の審議の経過等が書いてございます。4段落目でございますが、取りまとめに当たっての考え方について整理したIと、現行の計画の実施状況に関する評価、それを踏まえた次期計画の内容の基礎となる今後の施策の基本的方向等について記述したII及び計画の推進体制に関するIIIから構成されています。一番下でございますが、女性に対する暴力については、女性に対する暴力に関する専門調査会において現在調査審議が行われており、本専門調査会と同時に公表し、意見募集を行うということを記載してございます。
 次の2ページでございます。I「取りまとめに当たっての考え方」ということで、まず、第1では現行基本計画についてどのようなものかを記載しております。その中の一番下でございますけれども、第2部では11の重点目標を掲げ、それぞれについて施策の基本的方向において平成22年までを見通した長期的な施策の方向を記述し、具体的施策において平成17年度末までに実施する具体的施策を記述しているとしております。今回はこれを改定するということになります。
 2におきましては「現行計画策定後の主な取組」ということで、男女共同参画会議における取組を中心といたしまして、取組の経緯を書かせていただいております。
 3「現行計画策定後の状況変化」でございますが、こちらの方は現在、案文を作成中でございまして、今回は記載をいたしておりません。
 4「中間整理の構成と重点事項」でございます。まず、中間整理の構成について書いた後で、3段落目でございますが、新しい計画で特に重点的に取り組むべきと考える事項及び新たに盛り込むべきとして示した事項のうち、主なものは次のとおりであるということで、[1]から次のページの[8]までの事項を重点事項と新規事項ということで簡単に記載しております。これは、この計画の答申自体がかなり膨大な量となりますものですから、ここのところで、ポイントとなるべき事項をあらかじめ示して、わかりやすくしておこうとしたものでございます。
 こちらの方の9項目を簡単に御紹介しますと、第1が2020年までの30%程度になるように期待し、各分野の取組を促進するということ。
 第2が、女性のチャレンジ支援策を推進する。また、再チャレンジの場合の支援策を充実するということ。
 第3が、両立支援策推進のために短時間正社員、公務員についても常勤の短時間勤務制度の導入について検討するということ。
 [4]が新たな取組を必要とする分野。
 [5]が性差医療推進。
 [6]が男性にとっての意義や男性の少ない分野への参画を重視した広報啓発活動の推進。
 [7]が教育分野でございまして、2000年のミレニアム国連総会で合意された「ミレニアム開発目標」、この中では2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消することを達成目標としておりまして、この実現に努めるということ。
 [8]では、現行の男女共同参画基本計画に記載されている事項に限らず、関連するあらゆる分野の施策に男女共同参画の視点にも配慮して取り組むということです。
 この内容につきましては、次回に御議論をいただいた方が適切なのではないかと考えております。
 とりあえず以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 ただいまの御説明の部分につきまして、最後の部分は次回ということでございますけれども、何か御意見がございましたら、どうぞ御発言願います。
古橋会長代理
では、極めて形式的なことから見落としたことがあるものですから、ちょっとだけ。目次を見ていただきますと、「7」が抜けております。このところは「7」と書いて「(暴力部会関係)」とするか、1ページの一番下の「なお」のところに「なお、次期基本計画のIIの7を構成する女性に対する暴力については」というふうに書いておかないと、このところがはっきりしないのではないかということです。
岩男会長
今、古橋先生から御指摘の点は、二案のうち後で御指摘になったやり方の方が私は好ましいのではないかと思いますけれども、そういう形でよろしゅうございますか。誤解のないようにしておくということで。
 ほかにございませんでしたら。
山口委員
ちょっと一言。この中に横文字日本語が5つぐらいありますけれども、例えば、この中の[5]の「性差」というのはジェンダーを日本語にしたんですか。ちょっと確認だけです。
岩男会長
違うと思いますが。
山口委員
そうですか。
原委員
現在、性差医療研究会というものが設立されていまして、男女の違いに応じた医療を考える会です。今までの医療が男性中心のデータに基づいていたということです。
山口委員
わかりました。
岩男会長
それでは、先に進ませていただきます。
 では、次の第1分野の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」について、御説明をお願いいたします。
定塚推進課長
それでは、5ページ以下について御説明を申し上げます。「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」です。1として「現行計画の達成状況・評価」、こちらは計画期間中に実施した主な施策と、各種のデータを使って評価を行っておりますが、説明の方は省略をさせていただきます。
 9ページをごらんいただきたいと思います。この分野の評価と問題点でございますが、幾つか掲げております。1番目は、審議会委員の女性の参画の拡大について、今後新しい目標の設定について、幅広い観点からの検討が必要である。
 都道府県・政令指定都市の審議会等委員への参画の拡大については着実であるが、市町村では取組に地域間格差が見られる。
 国家公務員については、登用について低調な状態が続いている。
 地方公務員については、都道府県で減少傾向、また、地域間で格差がある。
 地方公務員の登用については、地域間で格差がある。
 管理的職業従事者における女性の割合は増加傾向にあるが、低い水準にあり、引き続き広く企業、各種機関・団体等に取組の支援要請を行っていく必要がある。
 大学教員・研究者等につきましては、大学及び関係機関・団体における取組が進むよう、協力の要請等の促進を図っていく必要がある、でございます。
 その下の2「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」でございます。目標として枠内に入っているもの、こちらは基本計画の各分野の表紙にある、いわゆる大目標と言っておりますが、この部分にそのまま差し替わることを想定して作成しているものでございます。現行計画と比べて特に変えた部分は、最初の1段落目でございまして、「民主主義社会においては、組織体の構成員の意思の形成が、構成員の意思を公正に反映できる参画の制度と運用が必要である。民主主義の成熟を促すとともに、21世紀に必要な社会のあらゆる領域での多様性の確保のためには、政策・方針決定過程への男女共同参画を進め、男女共同参画を実現しなければならない」と記載しております。
 次の10ページの(1)「施策の基本的方向」でございます。施策の基本的方向は、現行計画での左ページの部分に、これもそっくりそのまま入るということを想定して策定しております。こちらの部分では、平成15年に社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待するというものを盛り込んでおるところでございます。
 また、国の審議会については、新しい目標の設定など更に努力が必要と書いております。
 その下の具体的な取組でございます。この具体的な取組につきましては、現行計画の右ページの具体的施策の欄に該当するものでございますが、こちらの方はそのままこれが計画になるものではなくて、具体的な取組ということで基本的な方向をお示しいただくもの、つまり、網羅的に新しい計画に記載すべき右ページの分を書いているわけではなくて、新しく載せるべきもの、それから、既に載っているものでも重要なものを記載し、これを踏まえてその後政府の方で計画を策定するということを考えております。
 具体的な取組としては、審議会委員の目標設定、2020年30%について各分野における指導的地位に占める者の範囲を確定し、定期的にフォローアップを行うこと。
 4番目の「●」でございますが、国家公務員の採用・登用の拡大を図る上での整備・改善事項、例えば、中途採用の活用、ゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化について検討を行い、できる限り実施するとしております。
 それから、次の「●」でございますが、常勤の国家公務員の短時間勤務制度の導入について検討する。
 (2)「地方公共団体等における取組の支援、協力要請」も、2020年30%ということを書いてございます。
 (3)につきましても、あらゆる分野において2020年30%を期待するという目標を目指して、広く協力要請を行うといたしておりまして、具体的な取組の方につきましても、それぞれの分野で拡大するために実質的な行動計画の策定について、継続的に協力要請・支援を行う。
 それから、特に独立行政法人、特殊法人、認可法人に対して積極的な取組を促進するよう支援を要請するということを書いてございます。
 次の12ページでございますが、(4)「調査の実施及び情報・資料の収集、提供」ということで、政策・方針決定過程への女性の参画に関しての調査分析や、ポジティブ・アクションについての推進方策の検討、女性の人材に関する情報についての提供のことを書いております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、第1分野につきまして、修正等の御意見がありましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。
原委員
修正とかではないんですけれども、指導的立場に立つ女性の占める割合が少なくとも30%になるように期待するといったようなところで、国の審議会はもうほとんど30%に達するわけですから、30%に達したらもうこれでいいとならないために、もう少し強い表現に変えていただけないかなと思ったわけです。
岩男会長
例えば「少なくとも」というのが抜けているわけですよね。
原委員
10ページには「少なくとも」は入っているんです。「少なくとも30%になるよう」と。
岩男会長
その後の具体的な取組、10ページの下のところとか。
名取男女共同参画局長
具体的な取組の2つ目の「●」ですね。
岩男会長
ええ。そこに「少なくとも」を入れる。
原委員
そうですね。
岩男会長
それから、11ページの方も同じだと思いますけれども。
原委員
全体としてもうちょっと強く、30%になればいいということではなくと。
古橋会長代理
今のはどういうふうに直すんですか。10ページの「具体的な取組」の1番目の「●」ですか。
岩男会長
2番目の「●」ですね。
古橋会長代理
「あらゆる分野において」、そこのところに1~2回だけ言うんですか。
原委員
いえいえ、いろいろなところですから、「2020年30%の目標に向けて」というこの表現をもうちょっと強くなるように変えたいということです。具体的な文言についてはお任せします。
古橋会長代理
2020年30%というのは、私は、よほど努力がない限りほとんど不可能だと思っているんですけれどもね。
原委員
でも、審議会では30%に近づいているから、その審議会での比率がもうちょっと増えるということが大事かなと思って。
定塚推進課長
岩男会長がおっしゃったように推進本部決定の書きぶりで「少なくとも」というのを入れさせていただきたいと思います。
原委員
では、「2020年少なくとも30%」。上にもあるんですよね。10ページの施策の基本的方向の2番目のパラは「少なくとも」が入っているけれども、3番目のパラが「30%」になっているので、ここも「少なくとも」を。
古橋会長代理
これは「少なくとも」を全部入れたらいいんでしょう。
原委員
ええ。すべて入れていただくということで。
名取局長
原先生がおっしゃっていた国の審議会委員については、具体的な取組の1つ目の「●」にございまして、国の審議会委員への女性の参画の拡大については、新たな目標設定を幅広い観点から検討するということになっておりまして、まだ、目標としてはしておりませんものですから、今はこれが書ける限度かなと思っておるところでございます。
原委員
では、「幅広い観点から」というのが加わるわけですね。
古橋会長代理
いや、今は入っています。
岩男会長
10ページの最初の「●」。
 今出てきました「幅広い観点」からということなんですが、これは一体どういう意味なんですか。つまり、こういうあいまいな言葉は、私はできるだけ避けた方がいいと思うんですね。ですから、むしろこれはとって、元へ戻す方がよい。
古橋会長代理
私も今、言おうと思ったんだけれども、これを言ってきたのは何省ですか。
岩男会長
それはともかくとして。
古橋会長代理
いや、意見を言ってきたところの省をちょっと言ってください。その理由を聞かないといけないから。幅広いという趣旨。
岩男会長
本当に、こういうあいまいな言葉はやめていただきたい。
原委員
25%でもいいとならないようにしていただきたいんですよね。
岩男会長
いえいえ、そういう意味ではないと思いますけれども。
定塚推進課長
すみません、ちょっと理由が出ておりませんで。
古橋会長代理
私はこれはとった方がいいと思う、要らないと思う。
岩男会長
私もそのとおりだと思います。
古橋会長代理
いいですか。10ページの各省の意見の中のゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化というものを消しているというのは、どこですか。
(事務局)
具体的にどのような法形式を想定しているのか、現在の国家公務員法の平等取扱い原則との関係をどう整理するのか、といった意見がありました。
古橋会長代理
平等取扱いの原則というのが、結果平等をやったときにはおかしいということになるけれども、ゴール・アンド・タイムテーブル方式というのは、結果平等ではなくて努力目標ですから、それには抵触しないというのが1つ。
 それから、チャレンジ支援のときにちゃんとこれを書いて、男女共同参画会議で決定しているということが2番目。
 それから、3番目に、私は中途採用の活用とかゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化ということをよほどやらない限り、率先してやるべきところができませんよということを言いたいというわけです。したがって、ゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化ということは現状から見ると、その後の情勢の変化を見ると難しいから法制化も検討すると書いているので、それを削るということについては、おかしいのではないかという気がいたします。人事院は立法権はないわけで、総務省が国家公務員制度についての改正を行うわけですから、内閣として決めればいいということだと思いますが、これについては、皆さんの御議論を伺いたいと思います。
岩男会長
今の点について御意見があれば御発言いただきたいと思います。また、これは専門調査会として出す報告書になるわけでございますから、最終的には委員の議論で決まっていくと思っております。
住田委員
今の点ですが、法制化を恐らく義務付けと考えて、非常に固いものとしての拒否反応かなという気がいたしました。国家公務員であれば法律でないとこれができないというのでしょうか、それとも内部的ないろいろな規則等がございますので、そういうものでもし賄えるのであれば、別に法制という言葉にこだわらずに、もう少し柔軟な対応をして、実質的にゴール・アンド・タイムテーブル方式を導入していただければという気持があります。そこらへん法制化でないといけないのかどうか、まず確認したい。もし、そうでないのであれば「採用」とか「導入」とか、そういう言葉で済まないのかということです。いかがでしょうか。
定塚推進課長
今の点につきましては、既にI種事務系の女性の採用を2010年に30%にするという目標を掲げておりますので、そういう意味でゴール・アンド・タイムテーブル方式の目標を既に掲げているということになります。
住田委員
掲げているではなくて、法制化、法律とかそういうもの。
定塚推進課長
法制化はしていないけれども、人事課長申合せということで決めているという実態はございます。
古橋会長代理
私が、監視・影響調査専門調査会で調べたときには、ゴール・アンド・タイムテーブル方式をやれということを言ったんですけれども、実際に調査したところが運用でもやらないというところが随分多かったんですよ。それではいけませんということで、実際に30%を率先してやることができないなら、ドイツでやっているように法律化をしなければいけないでしょうということを書いたわけですね。ところが、これをまず削れと言っています。例えば、中途採用の活用、ゴール・アンド・タイムテーブル方式というのは実際上、本当に内閣が閣議決定して、やらないところについては管理職責任を問うよというぐらいきつくやれば、それはそれでいいでしょう。しかし、それも今、あれだけ政府の方針を決めたにもかかわらず、まだ各省が実際に動いていない。それは、国家公務員の管理職に占める女性の割合というものを30%にすることがいかに難しいかということの認識もないし、自分のときはやらなくたっていいやという意識だと思うんですね。したがって、そういうことになってくると継続性を確保するためには、私は閣議決定よりも法制化の方がいいのかなという気が、あるいはそういうことによって意識改革をしていかないと、これは絶対にできないと思います。
佐藤委員
私は、公務パブリックセクターで女性の登用を進めるというのは賛成で、中途採用も進めるべきだと思うんですけれども、3割という目標を出して、もし中途採用もやるとすれば、一方で、外に出す仕組みをつくらなければ無理です。それをやるつもりで言われるならいいと思います。
古橋会長代理
外に出すというのは。
佐藤委員
だから、今いる男性をある程度外へ出さない限り、中途採用できません。それをやるならばいいです。そういうセットでなければ制度的に運用できません。ポストがないのにどうやって採るんですか。
古橋会長代理
男性を上げなければいいじゃないですか。出来の悪い男性を上げないで、いい女性を持ってくればいいじゃないですか。
佐藤委員
勿論それはありますね。ただ、それぞれのポストの定員があるんですよ。だから、そこをどうするかです。それを外へ出して減らすということをやらないと無理ですよ。
古橋会長代理
いやいや、能力のない男性は上げなくて、能力のある女性を外から持ってきて、そこへ埋め合わせればいいじゃないですか。
佐藤委員
全体の人事制度の仕組みをどうするかで、そのことが運用できるかどうかという議論をしないと、私はちょっと無理だと思います。私は積極的に中途採用しろというのも賛成ですし、あるポストが空いて、外から採るか、中から採るかという議論をした方がいいと思うんですけれども、そのポストを無理やり空けるということをしないと、中途採用で3割というのは無理ですよ。それをやるかどうかです。
古橋会長代理
だけれども、政府が30%やったら、そういうふうにやるんでしょう。
佐藤委員
私はそれをやるならばいいと思いますけれども、それで実際上の人事制度を運用できるかどうかというだけです。というのを私は危惧しているだけで、やられることは結構だと思いますが、人事管理上は非常に難しいと思います。
古橋会長代理
それは、それに適合した女性がいなければね。
佐藤委員
そうです。それと、男性のプロモーションの仕組みも相当変えなければいけないし。
古橋会長代理
それは、だから内部にいなければ、外で弁護士とかね。
佐藤委員
私は基本的に、公務員も中途退職の仕組みをつくるべきだと思います。35歳とか30歳で外へ出る仕組みをセットとしないと、実は中途採用できないんですよ。そういう議論をしないと、入れろというだけでは無理だと思います。出る仕組みがないんですよ。退職についても早く出ると損をするんです。だから、全体のシステムを変えない限り、なかなか難しいだろうと思います。
原委員
今、私たちがつくろうとしている文書は委員が発言するのであって、どっちかというと理想を言ってもよいということであるならば、やはり強く出て、ゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化というようなことを入れるとか、中途採用の活用も佐藤委員がおっしゃるように、何か別の手だてをとらないといけないけれども、そういうことも併せて考えてほしいということを含意して、中途採用の活用というところも生かしておく。そんなふうにしてゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化という言葉の見え消しの削除をもう一回復活して、イキにしていただきたいと私は個人的に思います。
竹信委員
関連してなのでよろしいですね。佐藤委員のおっしゃることはよくわかるんですけれども、同時に、何かそういった目指すべきものを設定しないと、組織内の仕組みがなかなか変わらないというのもまた事実ですよね。ですから、設定については賛成と。
佐藤委員
私は基本的に、中途採用の活用といったときに、中途採用を積極化するためには公務員の雇用システムの見直しが不可欠だと思うんです。だから、私は公務員の雇用システムを積極的に見直すということをやってもらわないと、女性の中途採用の積極化は無理だと思います。そういうことだけです。
住田委員
そうすると、結局ここのところで大事なことは、本当は今、佐藤先生がおっしゃるように公務員の制度、人事の採用・登用の在り方の全体的な見直し、恐らくその中には人材の流動化であるとか、それから、女性がどうして公務員を嫌がるか、優秀な女性が来ないか、そこにはやはり働き方が普通の民間の職場に比べて過酷であるという、そういうこと全部を含めてのものだと思いますが、そうするとそれは説明の中で賄えることと思います。シンボリックな言葉としてこの2つを残すことで、私は十分意味があることではないかと思いますが、いかがでしょうか。
佐藤委員
私は、そういう議論をして入れたんだということがわかればいいと思います。そういう趣旨です。
岩男会長
それでは、結論としては、今いろいろ御発言がございましたように、基本的にはこの文言を残すと。つまり、法制化についても含めて検討を行うということですから、これを復活させるということにしたいと思います。
 庄司さんどうぞ。
庄司委員
極めて瑣末なことなんですが、9ページの囲みの最後の行の「国が率先垂範」という言葉ですけれども、この「垂範」という言葉は必要でしょうか。範を垂れるというのはちょっと抵抗を感じます。
岩男会長
「率先して」でいいですね。
庄司委員
それで十分だと思います。
鹿嶋委員
「幅広い観点」というのは、私は残すべきだと思うんですよね。要するに、単純な目標設定以外に、例えば、学部の選択とかさまざまな問題があると思うんですね。審議会の委員も分野によっては極めて女性が少ないところもあるわけですよ。慮るしかないんですが、多分この「幅広い」というのはそういう趣旨まで入れているんじゃないかと。
岩男会長
これは、審議会等の委員へのことを言っているわけですね。
鹿嶋委員
勿論、審議会等ですよ。審議会等の委員だって、低い分野もあるわけでしょう。そうなってくると、幅広い視点というのは、やはり必要かなという感じがするんですけれども。
岩男会長
それを言いますと、ほとんどの論点について幅広い観点から考えなければいけなくなってくるんですね。ここだけ何でこういうふうに言わなければいけないか。
鹿嶋委員
ここは目標設定ですから、数字というのは単に30%ドンとやるだけじゃなくて、そういう周辺的なものまで議論しろとなってくると、このことも必要かなというのが、今の私の考えです。
古橋会長代理
もし、どうしても鹿嶋さんが入れるというなら、そこに具体的な例を「など幅広い観点から」と入れてくれないと。大体これは次のものの目標数値を弱めようということになるんですよ。というのは、今後、審議会は整理統合でだんだん減っていくでしょう。審議会の数が減ってくると女性の割合が増えるためには、相当の努力が必要です。
鹿嶋委員
考えます。蒸し返して時間がなくなって申し訳ないから。
岩男会長
ほかにございますか。
林委員
10ページの下から3つ目の「●」に、短時間勤務制度で「常勤の」というのが付け加わったんですけれども、この意図を伺いたい。できたら、ない方がいいと思っていますが。
定塚推進課長
これは非常勤のということになると、現行の非常勤職員が短時間の場合を想定されますので、常勤の正式な職員についてという意味で加わったものだということでございます。現在、各省庁にアルバイトで非常勤職員がおりますけれども、それと常勤職員ということで言葉の使い分けをしていますので、常勤職員であっても短時間でと。つまり正規職員であっても短時間でという意味でございます。
林委員
そういう意図だと思うんですけれども、そのことがちょっと不安になるわけですよね。今の職員の中から短時間者を出すという発想になってきて、非常勤だけれども非常に長期にわたって、そして、一定の仕事をこなしているという人について、定数管理そのものがどういうふうになるかということと関係すると思うんですね。短時間勤務というときに、ここではパートという言葉は使っていないけれども、週労働時間が長いか短いかということが基本になると思うので、ちょっと常勤というふうに限定してしまうことが、現行制度から言えば、これが合理的な言い方かなとも思うんですけれども、多様な働き方を自ら選択していくというふうな観点、働き方の見直しというような観点からいったり、均等処遇というところからいったときに、ここに限定して書いておく方がいいかどうかというのは、若干の疑問があるんです。
定塚推進課長
逆に、これをつけないと、現在でも非常勤職員という形であるでしょうということになりかねないのかと思います。
林委員
ねらいがちょっと違うと思いますが。
古橋会長代理
それについて。現在、国家公務員の場合は定年退職後の人については、短時間勤務で認めているんですよ。だから、ここで私どもが言いたいことは、それを一般化する。だから、現在例外的に認められている定年退職後の職員の短時間勤務だけに限らず、常勤の国家公務員の短時間勤務制度の導入について検討するという趣旨なんです。だから、これは本当は書かないといけないんです。それで、アルバイターは短時間だっていいわけでしょう。
岩男会長
これは参画会議でも私が発言した中にも含めましたけれども、ここに入れたときに「常勤の」というのは私がミスで落としていたということです。この「常勤の」が入ることによって明確化したと、そのような理解で先ほどおっしゃったような多様化とか、そういう観点からポジティブなものとして受け止めて書いているということなんですけれども。
林委員
では、また別の観点で今度考えておきます。
佐藤委員
基本的に繰り返しなんですけれども、国家公務員は基本的に40時間勤務するという前提になっていて、短時間勤務というのは存在しないんですよ。育児休業のときも、御存じのように部分休業であれば使用者側が就業時間を6時間にしますということで、本人が選ぶわけではないし、2時間を超える部分休業もないんですよね。
林委員
それは地方公務員も同じですので、それは承知した上で今、私は均等待遇の観点からの改善のことを申し上げたかったので質問をしたんです。今のことは理解しておりますので。
佐藤委員
一般的には常勤のところについては短時間にした場合、民間でも給与は時間比例になっていますから、そこはそんな心配はしなくていいと思います。
林委員
いえ、それは心配していないです。そのことは私は全く心配していなくて、そのことはそれでいいと思っているんですけれども、限定されてくるという、もう少し広げていきたいという思いがありましたので。趣旨は理解できます。
岩男会長
神田委員、どうぞ。
神田委員
やはり「常勤の」を入れておいた方がいいと考えます。
岩男会長
それでは、少し急ぎますといいますか、もう既にかなり予定の時間を遅れておりますので、それでは、次の「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」について、御説明をお願いします。
定塚推進課長
それでは、13ページ以下の項目について御説明をいたします。15ページの「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」という部分でございます。こちらは、基本的には現行計画と余り変えておりません。若干、文言等を修正しておるところでございます。
 次のページでございますが、(1)「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」ということで、女性も男性も固定的な役割分担にとらわれずということ、また、中立性という視点から、社会制度・慣行について個人単位の考え方に改めるなど、必要に応じて見直しを行うことを書いてございます。
 具体的な取組の2番目の「●」ですが、選択的夫婦別氏制度の導入について、世論調査等により意識の動向を把握しつつ、結婚に伴う姓の変更が職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点からも、再婚禁止期間の短縮を含む婚姻及び離婚制度の改正と併せ、国民の理解が深まるよう引き続き努める。
 3番目は、税制について、ライフスタイルに忠実的な仕組みとしていくこと。
 4番目は、社会保障制度、賃金制度について、中立的な仕組みとしていくこと。特に、短時間労働者の厚生年金適用の拡大、第3号被保険者制度について触れております。
 (2)「国民的広がりを持った広報・啓発活動の展開」ということで、施策の基本的方向、下から2行目でございますが、男女共同参画に関する認識を深め、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点を定着させるための広報・啓発活動を積極的に展開する。その際、男性の役割を重視することを書き加えております。
 具体的な取組の中では、男女共同参画の理念やジェンダーの考え方につき、わかりやすい広報・啓発活動を進めること。また、ジェンダーに敏感な視点を定着させるため、広報・啓発活動を推進すること。男性にとっての意義や男性の少ない分野への参画を重視した広報・啓発活動を行うことなどがございます。
 (3)「法識字の強化及び相談の充実」ということで、従来のものに加えまして「政府の施策に対する苦情の処理や人権が侵害された場合の被害者救済の体制を活用し」という点を書き加えてございます。
 (4)「男女共同参画にかかわる調査研究、情報の収集・整備・提供」ということでございまして、従来第3部に記載しておりました調査研究をこちらに移動し、同時に情報提供ということで統計情報について個人、世帯員、従業者、利用者等の性別データを把握することについて記載しております。無償労働については、おおむね現在の計画の記載と同様でございます。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、どうぞ御意見を御発言いただきたいと思います。
古橋会長代理
また最後の段階になりまして細かいことを申し上げていきますけれども、16ページの上から5行目「浸透に十分留意する」に「浸透にも」と、「も」を入れていただきたいと思います。
 それから、その次の行「その条件整備のため、これまで」と書いてあるけれども、「これまで」というのは、その後の行の「これまでの調査を更に進める」というふうにしないと、この文章はよくわからないなと思います。
 それから、後になって気がついたことで申し訳ないんですけれども、17ページの下、上の2行で基本原則の大きなことを言っておりますので、その次に調査研究とございますので「このため」として、その次に調査研究のほかに、情報の収集等でございますので「また、あらゆる」とした方が、頭の整理としてわかりやすいと。
岩男会長
すみません、今のところをもう一遍おっしゃってください。
古橋会長代理
「施策の基本的方向」で「提供が必要である」ですね。これは大きな2つのことを言っているわけです。「このため男女共同参画社会の」というふうに調査研究のことをまず言いますね。それから、「また」、2番目のことについてということを入れた方が、人が読んだときにわかりやすいでしょうということだけです。
 あとは、ジェンダーという言葉が入ってきておりますが、こういうふうに私どもとしては書いておくということで、よろしいでしょうねということの議論です。
岩男会長
何か御意見ございますでしょうか。
住田委員
まず小さなところから。具体的な取組の2つ目の「●」、選択的夫婦別氏制度ですが、ここで「氏」と書いてあるので、2行目の「結婚に伴う姓」は「氏」に統一した方がよろしいのではないでしょうか。「氏」と「姓」とは歴史的な意味合いが違うので、ここは法律的にさらっと。
 それから、4つ目の「●」の年金問題なんですが、こういうような形でいろいろな御意見が来ることは予想していたのですが、男女共同参画会議のスタンスとしては、年金問題というのは非常に大きなテーマでありますので、余り抽象的にならずに書くべきだろうと思います。特に、最後の消してあります「働き方の選択への影響が大きいもの」というのは統計的にも出ていることですので、この言葉は是非残すべきであろうと考えます。
庄司委員
私も、そこのところは是非強調したいと思います。もう年金制度の基本的な体系とのかかわりになることは、言われなくてもほとんどの方はそれを理解していると思うんです。ここの場での一番の論点は、やはり働き方に影響しているという、そこをセットでこの問題を提起するということに意味があって出していますので、そこは外していただきたくないと思っています。
原委員
17ページの「ジェンダー」という言葉のことですが、ジェンダーの考え方やジェンダーフリーという言葉に関して、間違った認識をお持ちの方があるので、これをはっきりと皆さんにおわかりいただけるようにしていきますというのが、この前の男女共同参画会議での大臣の皆様方の前で確認されたことでございますよね。ですので、この言葉をどこかでちゃんと説明しておくということは必要かと思っています。ただ、ジェンダーという言葉をポンと使うのではなくて。
岩男会長
前に出てきていますよね。そこで説明があったと思いますけれども。
原委員
だから、ジェンダーという言葉が出たときに、何ページ参照とか一々書いておいた方がいいかなと。その辺は非常に細かいテクニカルなことなので、後で御工夫いただければいいと思います。
鹿嶋委員
文章論みたいなものですけれども、17ページの具体的な取組の2つ目の「●」「ジェンダーに敏感な視点を定着させるため」の主語がないですよね。ですから、「広報・啓発活動」の前に「ジェンダーの理解に向けた広報・啓発活動」とか何か入れた方がいいのかなというのが第1点。
 それから、一番上ですけれども「男性の役割を重視した」というのは、どういう役割かというのが抜けているような感じもするんです。だから、「地域・家庭」とかそういう言葉を補足していった方がいいのかなという感じがします。
岩男会長
17ページの一番上の行ですね。
鹿嶋委員
どういう役割なのかが抜けている感じがします。
 それから、繰り返しですが、具体的な取組の真ん中の「●」の「広報・啓発活動」の前に「ジェンダーの理解に向けた」といったような表現。
岩男会長
それから、役割と今御指摘があったんですけれども、加えて「役割と責任」とした方がいいのではないかと思います。
 よろしいでしょうか。16ページの具体的な取組の4番目のところで消されている部分で、ライフスタイルに中立的な仕組みにすることが重要であるということで、そのために世帯単位から個人単位の制度にすることも極めて重要な点であるというか、一つの基本であると入れたんですけれども、それは消されてしまったんですが、これは実は21世紀の社会保障を考える有識者会議の中で、ようやくこれを入れていただいたんですね。ですから、ここで改めて消されることはないのではないかというふうに私は考えるんですが。
古橋会長代理
これは監視・影響調査専門調査会の報告でも書いてあると私は言ったんですけれども、そうしたら、監視・影響調査専門調査会は報告であって、会議決定していないから閣議決定するときにはなかなか難しいですよという話が来たんですけれども、私は個人単位制度は入れておくべきだと思いますね。
岩男会長
いかがでしょうか。
庄司委員
そのことではなくて、先ほどの件なんですが、16ページの最後のところにジェンダーの定義が一応ある形になっていますけれども、これは括弧内と「社会的・文化的に形成された性別」という部分は逆転だと思うんです。ジェンダーを前に出して、「(社会的・文化的に形成された性別)」としていただかないと、後の方との関連がおかしくなります。
定塚推進課長
こちらの方は現行計画で「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」となっていますが、御意見としては現行の計画の記載ではなくて、それを逆転した方がいいということですか。
庄司委員
そういうことですね。そうしないと、後の方に括弧で出てきたものがジェンダー、ジェンダーと言っていますから。
原委員
今のようなことが大事だと思います。つまり、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」と現状のようになっていると、ジェンダーという言葉は「性別」と同義語であるのかと思う人も出てくるわけなので、ジェンダーの定義がはっきりするためには、今のような新しい変更がいいかと思います。
岩男会長
何か問題がありますか。
名取局長
一般に、政府の文書においては、片仮名言葉については、先に片仮名でない言葉「社会的・文化的に形成された性別」があって、そして「(ジェンダー)」というように使っておりましたので、その一般的ルールからちょっと外れるのかなという。
古橋会長代理
専門調査会ではジェンダーの後に括弧して説明しておいて、閣議決定のときにどういうふうにするか、政府がお書きになるときは注目しましょう。
佐藤委員
どうせなら括弧を長いところに置いた方がいいです。もし、こうするのであれば、かぎ括弧を「社会的」からずっと。ここで1つだとわかるように、もし、こういうふうするのであれば。
岩男会長
できるだけ片仮名言葉を使わないようにと苦労しておられるのもよくわかるんですけれども、それでもやはり「ライフスタイル」とか「マスメディア」なんて日本語にしたらどうなるのか、「インターネット」とかどうしても仕方がない言葉というのはあると思うんですね。
名取局長
あと、もう一つは、割とまだなじみが定着していないというのがございます。その場合は通常は日本語を先にというか、片仮名でないものを先にというふうなルールでございます。
佐藤委員
では、かぎ括弧だけは入れておくというのはどうですか。性差だけじゃないですよということがわかるようにしておいた方がいいと思うので。
岩男会長
そうですね。それは必要だと思います。
 私たちは、かぎ括弧の使い方というのを普通やっていますよね。だけれども、一般の方がごらんになって、かぎ括弧があることがどういう意味を持つのかというのはおわかりにならないんじゃないかと思いますけれども。
古橋会長代理
だけれども、かぎ括弧でいいんじゃないですか。性別だけじゃなくて、一つの社会的というところが入るよと。ジェンダーなんて文法の用語だということを言う人がいたり、性差だけだというふうに言う人がいるから、社会的・文化的というのが入るんだよということを、何か区別した方がいいと思います。
山口委員
16ページの社会保障制度、賃金制度、この見え消しのところはまだ確認ができていないと思うんですね。個人単位という。この個人単位の制度というのは、ほかに記述しているところがあるのかどうか。影響調査専門調査会の中間報告だけで使いましたか。
岩男会長
いえ、社会保障関係のところでは必ず議論されていると思いますね。世帯単位から個人単位へという形で。
山口委員
これは制度として、個人単位の方向をたどっているわけですよね。それで、ここでいう影響調査で、閣議決定されていないからという説明があったと思いますけれども、それは関係ないでしょう。
古橋会長代理
それは、最後にこれは基本計画だから、閣議決定するときに各省庁が言うときの議論にはなるかもしれない。ただ、そのときに政府として税制調査会も個人単位の制度に税制を改めるということを言っているわけですから、これを入れておいて全然問題はないと思います。そういう言い逃れは各省にさせませんよということでいいと思うんですよ。各省がそう言ってきたんです。
山口委員
なるほど。これはやはり明確にしないといけないと思います。一般的には個人単位ということはよくわからない。世帯単位で習慣としてなじんでいますから、やはりここはきちんと入れておいた方がいいと思います。
岩男会長
きちんと入れておくという意味は、見え消しを外すということですね。
山口委員
そうです。
岩男会長
更に、世帯単位から個人単位ということは言わなくていいですか。単に個人単位だけで。
山口委員
世帯単位から個人単位という、そのことの方がわかりやすいと思います。
寺尾委員
私も、入れることに賛成します。他の省庁の取組として着実に動いてきている時に、男女共同参画社会の形成との関係におけるそのことの意義を、私たちとして、きちんと言うべきだと思います。
林委員
私も同じ考えです。
住田委員
そういう意味では、個人単位の制度にすることの理由としては、今、家族形態が非常に多様化している、特に単身者世帯が増えているという実態にも着目して、この言葉を生かす方向でお願いしたいと思います。
鹿嶋委員
あるいは、税制調査会とかも使っているんだとか多少絡めていかないと、家族軽視という文脈で解釈される可能性はあります。
岩男会長
では、そこは少し検討して入れる方向でいきたいと思います。
竹信委員
別件なんですけれども、16ページです。選択的夫婦別氏制度についてふれていますが、婚外子差別の緩和または解消というのを「離婚制度の改正」の後に挿入しなくてもいいのかなと思ったんですね。婚外子差別の解消というのは、最初の民法改正案には入っていたテーマですよね。なので、これは入れなくてもいいのだろうか。男女共同参画の面から言うと、婚外子差別というのは父系制度からくる差別なんですね。なので、やはりこれは女性差別につながってくる問題なんです。
名取局長
婚外子差別につきましては、確かに国連の女子差別撤廃委員会から指摘されているところでございます。ただ、これはいささか筋違いの指摘でございまして、要するに男の子・女の子間の差別ではなくて、嫡出子か非嫡出子かというふうな差別でして、ちょっと違うというふうに政府の方は解しております。現に、質問主意書が法務省の方に出まして、婚外子差別は女子差別撤廃条約とは関係ないと解しますというように公式に回答しておりますので、私どもといたしましては、この問題は男女共同参画と一線を画すものであるというように理解しているところでございます。
竹信委員
私個人の意見としては、これは父系制の維持による歪みと考えられるもので、女性差別が子どもへの差別を生み出したものと思っていますので、挿入を求める意見があったということは記録に残していただきたいと思っています。
石川委員
先ほどの個人単位の制度のことですが、ちょっと確認しておきたいんですけれども、賃金制度についても個人単位の制度にしろという話でしょうか。社会保障制度と賃金単位制度を個人単位制度にしなさいという文言ですよね。だから、賃金制度も個人単位制度にしなさいと。
岩男会長
扶養手当、その他。
石川委員
扶養手当は賃金ではなくて保障ですよね。この文章だけの話ですけれども。賃金制度についてもライフスタイルに中立的な仕組みとしていくことが重要であり、このためには個人単位の制度とすることが基本であるというふうに読める。
古橋会長代理
そうしたら、ライフスタイルに中立的な仕組みとしていくことが重要であることは賃金制度も同じなんですよね。したがって、このためには社会保障制度について個人単位の制度とすることが基本であるというふうに入れますか。
岩男会長
そうですね。
石川委員
それならわかると思います。
林委員
今、賃金制度が個人単位になっていないケースがあるかないかということだと思うんですけれども、賃金は個人には払われているけれども、その中に世帯を養っていく人に対する賃金という考え方が入っていて、その部分の家族手当である……。
石川委員
それは保障ではないですか、賃金ですか。
林委員
賃金ですね。
石川委員
そうですか。例えば、扶養手当とかそういうものは賃金ですかね。
林委員
その制度の中に組み込まれているという認識で、こういう表現、両方とも対象になっていると私は理解しているんですけれども。
石川委員
わかりました。そういうふうになっていれば。
佐藤委員
賃金のことは個人単位でいいんですが、何かここにあるのが違和感がありますね。賃金のことはここしかないんですね。後ろは年金の話なんです。
古橋会長代理
では、賃金制度を別に書きますか。最初、社会保障制度だけが書いてあったものだから、私は影響調査で賃金制度のこと言っているのでわざわざ入れたんですけれども、賃金制度を別に書きますか。
佐藤委員
影響調査に書いたようなことを入れるということはあると思うんです。賃金について、影響調査のところで書いたものがありますよね。そういう内容を1個起こすか、何か後ろが全部年金の話で……。
岩男会長
では、ここの書き方は工夫するということで、少し先に進みたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」というところに移りたいと思います。お願いします。
定塚推進課長
それでは、19ページ以下の雇用の分野でございますが、25ページから説明をさせていただきます。「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」でございます。こちらの方も現行のものを前提として書いておりますが、その中の部分としては真ん中から下のところでございますが、国際規範・基準とも調和した実質的な男女均等を実現するためには、原文は「公平・透明」でございましたが「公平・公正」と修正が入っております。評価制度を確立し、性別にとらわれない個人の能力に基づく雇用管理の実現を図ることが必要である。それとともに、近年パートタイム労働者等非正規雇用が増加しておりということ、それから、女性の起業への関心が高まっており、支援が望まれていること。雇用、起業等の分野において女性が男性と均等な機会を得て、意欲と能力に応じた均等な待遇を受ける状況を実現し、安心して働き生活できるよう、施策を積極的に展開するということなどでございます。
 (1)「雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進」でございまして、中身としては均等法に基づく指導、ポジティブ・アクション、セクシュアルハラスメント対策等を記載しております。
 具体的な取組の中では、2番目の「●」でございますが、ILO第100号条約を批准しているが、男女間の賃金格差の解消を目指して、ガイドラインの周知・啓発、職務の価値を評価する効果的手法の研究などを書いてございます。
 また、次の「●」ですが、企業の経営施策の観点、CSRの視点も踏まえながらポジティブ・アクション等に取り組むこと。
 4番目の「●」でございますが、こちらの方1個間違いがございまして、2行目の後半でございますが「学校教育」の「学校」を消してありますが、これは「学校」の方はイキでございまして、「教育」の方を削除と修正をお願いしたいと思います。
 最後の「●」でございますが、就職状況の把握に努めること、特に女性の人材が望まれている理工系分野等について、横へのチャレンジを推進することなどでございます。
 (2)「母性健康管理対策の推進」でございます。
 (3)「女性の能力発揮促進のための援助」ということでございまして、能力開発の施策を推進すること。特に、再就職、再チャレンジに向けた支援の充実を図ること等を記載しております。
 (4)「多様な就業ニーズを踏まえた雇用環境の整備」ということでございまして、そのページの下の方でございますが、育児期にある男女が職業生活を完全に中断することなく、家族的責任との両立を図りながら職業生活を継続することのできる短時間正社員やフレックスタイム制など質の高い雇用形態を普及していくことが重要であること。
 次のページでございますが、パートタイムの記載をしております。
 具体的な取組としては、短時間労働者の法律、指針に関すること。
 2番目の「●」でございますが、短時間正社員等良好な就業形態の導入を図ること。
 3番目の「●」でございますが、短時間労働者への年金の適用について、検討を早期に行うことなどを記載しております。
 (5)は従来の(4)から分離して、新たに立てたものでございます。従来の(4)では、起業家、また雇用以外の在宅就労等も一緒に記載しておりましたので、「起業支援等雇用以外の就業環境の整備」ということで分けて記載しております。
 具体的な取組としては、起業に関する支援、ネットワーク化等。
 2番目の「●」については、起業に関する実態把握等について記載しております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、どうぞ御意見がございましたら、お述べいただきたいと思います。
 ちょっと細かい質問なんですが、起業と創業はどう違うんですか。
佐藤委員
一般的には同じ意味で使っていると思います。
岩男会長
28ページに。起業だけでいいんじゃないかと。
古橋会長代理
創業支援ですか。これは経産省が言ってきたんでしょう。起業でいいでしょう。
定塚推進課長
具体的施策として、例えば、創業塾とか起業家支援セミナーとか両方使われています。
佐藤委員
両方使われているから入れたんだと思います。
岩男会長
でも、下の方の創業塾は削られているんですけれども。
定塚推進課長
これは具体的過ぎるので、ここでは削除ということにいたしました。
佐藤委員
もし、並んでいるのが変な感じであれば、「起業(創業)」にして、以下起業しか使わないようにしたらどうですか。「起業(創業)」にして両方使っているよとしておいて、後ろは全部「起業」にしてしまうというのはあり得ると思いますけれども。
岩男会長
細かいことですから、そこは検討します。
林委員
たくさん気がついてしまったというか、決まると思うと非常に緊張してしまって、いいなと思っているところも気がついたんですが、まず、25ページですけれども、四角の目標の中の下から8行目のところで「性別にとらわれない個人の能力に基づく雇用管理の実現」という表現があるんですけれども、今までもこの表現で使われてきたと思うんですね。しかし、やはりここの「個人の能力」というのは非常にわかりにくいことなんです。能力の中には潜在的な能力もあれば、成果として見えるものも両方あると思うんですが、これではわかりにくいので、案として仕事に着目することが必要という観点から「とらわれない」の次に「性別にとらわれず、職務や個人の能力に基づく雇用管理の実現」というふうに「職務」ということも入れていただく。仕事に着目することと、人に着目することと2つを入れられないかというのが1つ目です。
 もう一つは、26ページですが、具体的な取組の中の3つ目のところで、「CSRの視点も踏まえ」というのがありますけれども、これは「企業の経営施策の観点又は」よりも逆転させて、こちらを前に出すことが1点と、そのCSRのところを括弧して「企業の社会的責任」という日本語を入れていただく方が非常にわかりやすいと思います。
 もう一つは、2つ目の「●」で、ILO第100号条約を批准しているがという流れなんですけれども、むしろ「既に我が国が批准しているILO第100号条約に基づき、男女間の賃金格差の解消を目指す」ではなく「図る」とできないか。そうすると、後ろも若干表現を変える必要があるかもしれません。
 もう一つ、最後ですが、まだ細かく言えばありますが、大きいことで28ページの具体的な取組のところで、5つ「●」があります。ここはパートタイマーのことがかなり書かれて、多様化に対応することで書かれているんですが、ここのところにもう一つ「●」を付け加えて、パートタイマーを初めとした派遣労働者とかが有期契約であるがゆえに不安定であるということがありますので、有期契約であることの合理的な説明ができるものに有期契約を限定するということをここに入れられないか。
古橋会長代理
文章を教えてください。
林委員
では、読み上げます。
定塚推進課長
文案を後でいただければ。
林委員
いいですか。「パートタイマーには有期契約労働者が多く、不安定性があるということから有期契約については合理的な説明ができるものに限る」ということを入れたいということです。
 大きいことはそれです。以上です。
古橋会長代理
どういう場合に合理的なものという基準が今はあるんですか。
林委員
今はないから有期契約が野放し状態で、例えば、通年的にある仕事でも短い契約期間を更新していっていると。有期は基本的には、この期間しかこの仕事がないというのが原則的だと思うんですね。この橋をつくる間に雇用するというような、わかりやすく言えばそういうことで、橋をつくり終えたら、その仕事はなくなるわけですから、そういう雇用があってもいいと思うけれども、ずっと5年も10年も有期契約を繰り返している、同じ仕事は消えないであるというような実情です。そこはやはり限定すべきではないかという考え方です。ただ、法律でそこのところはかなり緩められているわけですから、そのことがここにどれくらい反映できるかどうかということは、微妙な問題がありますから「検討する」という言葉で落ち着く場合もあるでしょうし。
古橋会長代理
文章をいただいて。
林委員
問題意識としては、34.6%の非定型労働者の割合から見ると、その中の有期の問題はかなり大きいのではないかというふうに思っています。
岩男会長
ほかにございますか。
住田委員
今、林委員のおっしゃった26ページの具体的な取組の3つ目の「●」の件なんですが、これは逆転した方がいいという御提案でしたでしょうか。
林委員
逆転して日本語を加えていただきたい。
住田委員
私自身は、この男女の均等取扱いについて、企業に対してこういうことを言うのは、CSRも大事ですがそれよりも、企業業績が良好なところは性別にとらわれず優秀な人をきちんと処遇している、そのことによって活性化した会社になっているという実態がある、男女均等取扱いとか男女共同参画は企業の業績にも資するものですよと説明すべきではないでしょうか。そういう気持から前者の方を優先していただいた方がよろしいのではないかと思っています。
岩男会長
いかがでしょうか。私も住田委員に全く同感なんですけれども。
古橋会長代理
それでいいですよ。
岩男会長
よろしいですね。では、そのようにさせていただきます。
山口委員
ちょっと伺いますが、林さんに伺いたいんですけれども、連合などでは「能力」という言葉よりも「職務」という言葉を使っていらっしゃるんですか。これはどう違うんですか。
林委員
能力というのは人に着目してはかるんですよね。だから、その人がどんな学歴を持っているかとか、どのような仕事ができる能力があるかとか、あるいはその人がどのような成果を出したかというようなことは、人に着目した能力という言い方だと思うんです。職務と言えば、誰がこの仕事をするか、しないかにかかわらず、この職務というのはどれぐらいの価値があるかということで、仕事への着目です。そのところだと思うんですが、この辺は連合の中でよく使っているか、使っていないかと言われれば、「職務」という言葉は余り使わないできた期間がありました。非常に職務の評価というのは複雑で困難で多くの時間を要するというようなこともあって、年功的なものにすれば非常に簡単ですから、それを能力とみなしてきた経過はあります。
岩男会長
私も実は「職務」とここに入れていたんですね。落ちておりますけれども、ですから、同じような考えで能力だけでは不十分だというふうに思って、入れた方がいいように私は思っているんですけれども。
 それから、この「透明」が「公正」になったんですけれども、これはやはり「透明」でないと。
古橋会長代理
個々の評価は個人との間で2人だけでやるけれども、制度としては透明性が確保されなければいけないので、ここは私は「透明」でないとおかしいと思います。
岩男会長
私も元に戻したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
古橋会長代理
それでいいんじゃないでしょうか。
住田委員
別のところでいいですか。もう27ページの(3)に入っているんですよね。具体的な取組の最初の「●」なんですが、消してあるところの2行目で「職業能力の維持が難しいこと」というのが消してあるんですが、これはどういう意図なのかがちょっとよくわからないんですが。
岩男会長
これはちょっと御説明いただきたいと思います。
定塚推進課長
こちらは再就職希望者の状況が多様であるということから、一概に決めつけるような表現ではなくて、文言修正を行ったという理由でございます。
住田委員
私は、この点に関して、職種によって職業能力の維持が難しいというのは現実問題としてあると考えますので、そこに対しての職業能力開発等の支援策というのは、やはり表に出すべきだろうと思います。それは政策でもあるし、女性側の意識の持ち方でもあると思いますので、ここのところはある意味では難しい点かもしれないけれども、きちんと書いておいた方がいいと思うんです。熟練労働者とか専門性の高いものについては、こういうものだということをわかっていただかないといけないと私は思っております、女性として。
鹿嶋委員
ほかのところでもいいですか。25ページの四角のところですけれども、「パートタイム労働者等非正規雇用者が増加しており」という中で、もう一つ、派遣労働者も入れてほしい。理由は、パートタイム労働者のような直接雇用だけじゃなくて、間接雇用がかなり増加しているのが最近の傾向なので「パート労働者や派遣労働者等非正規雇用が増加」と併記してほしいと。
 それに絡めて28ページ。具体的な取組の2つ目「●」の正社員への転換がパートタイム労働者と派遣労働者だけなんですけれども、請負労働者も雇用されている請負労働者というのがいますので、だから、これは「等」と入れてくれませんか。「パートタイム労働者、派遣労働者等の正社員への」。
佐藤委員
これは、派遣労働者も正社員がいるんですよ。
鹿嶋委員
勿論いるでしょうね。
佐藤委員
だから、この非正規というのは何かということだと思うんです。だから、ここは常用型の派遣労働者が15~16万人なんですよ。派遣の相当の部分、3分の1ぐらいは正社員なんです。だから、私はそれを全部非正社員だと言うのはいかがなものかと。だから、そこはきちんと書いた方がいいというだけの話なんです。だから、パートや派遣などの非正社員と書いてしまうのは、自分たちは正社員だ、むしろ15万人ぐらいいるわけですから、それだけの話です。ですから、後ろに派遣労働者と書くかというぐらいの話です。
鹿嶋委員
ただ、常用はやはり男なんですよ。女性の派遣は登録ですからね。
佐藤委員
そういう意味ではそうですね。性別で言えば、常用は男性が多い。
林委員
圧倒的に登録型派遣の方が多いですから、おっしゃった非正規と見るという見方になって、おっしゃったように正社員は一定割合。
佐藤委員
ですから、余りそう書いてしまうと、そのイメージが広がるのはよくない。派遣はみんな非正規だというのは、余りいいことじゃないなというだけの話です。
岩男会長
そうすると、そこも誤解のないような書き方をするということで。
古橋会長代理
28ページのところで皆さんの意見を聞きたいんですけれども、(5)の「女性の起業支援等」というのを消してきたんですが、男女共同参画だから「女性の」を消すと言ってきた省もあるんですけれども、もし、女性を削ることに同意したとしても「起業支援等雇用以外の」と入れた方が私はわかりやすいと思うんです。
 それから、具体的な取組のところで「女性の起業に関する実態把握に努める」ということにしてしまっているんですが、私はやはり今、起業に関する統計が非常に少ないということが、この起業政策が非常に遅れているので、起業に関する男女統計にのみならず、国・地方機関の情報の……。男女共同参画の統計の提案の時、前に何か書いてありましたね。あれに従った文章に変えていただきたいと。統計情報も幅広く活用しながら起業活動の実態把握をすることが必要であると。「女性の起業に関する実態把握に努める」と素っ気ないのではだめなので、その中に統計情報の整備であるとか、いろいろな各地方機関の情報も含めてやるというようなことを具体的に書かないといけないんじゃないかと。
佐藤委員
ここは、これだと男性のもあるみたいなんだけれども、実際はないんですよね。まず問題なのは、起業についてのちゃんとした統計がないということなんです。
古橋会長代理
まず、起業について承認統計はあることはあるんだけれども、その中で男女差別がないというのが今までの提言だったんですよ。だから、女性に関する起業というものがこれだけ問題になってきているんだから、それについて統計の整備をしなさいということは、承認統計でやるたびに性差の区別を入れてくださいよと。それ以外にいろいろな情報も入れて、この起業に関する一般的な統計を整備してくださいということを、ここにちゃんと書いておいた方がいいのではないかと思います。
 あと、「てにをは」などでちょっとありますけれども、また事務局に言っておきます。
岩男会長
それでは、先へ進んでもよろしゅうございますか。
古橋会長代理
もう一ついいですか。林委員から25ページのところで「働き方や仕事に応じた」という訂正があったんですけれども、「働き方や職務に応じた」というふうにしたんですよね。「働き方」の中に「職務に応じた」も入るのかなという気もしないでもないですが、働き方と職務ということでいいですか。
 働き方と職務というのはどういうふうに概念整理するか私はよくわからないのです。働き方というのは勤務時間とかそういうことだと言う人もいるんだけれども、働き方の中には職務だって働き方なんじゃないのと。林委員が特に仕事に応じたと意見を出された……。
林委員
職務です。
古橋会長代理
「仕事に応じた」ではなかったでしたか。
岩男会長
「仕事」というのは入っていました。私は「職務」と入れたんです。
古橋会長代理
だから、働き方と職務というのをどういうふうに頭の中で整理するのかなと。
林委員
働き方に応じたというときに、雇用形態ということがよく使われて、雇用形態が違うから同じような仕事をしているけれども、賃金の体系も違って当たり前というふうなことは割と多いわけですから、そこのところが職務というか、仕事そのものに着目してもらいたいという考え方です。連合の調査でも、パート労働者の6割ぐらいが正社員と同程度の仕事をしているというふうに解答しているという事実があるんですね。そういうことも反映させております。
佐藤委員
まず、働き方と勤務時間の話とか、転勤があるかないとか、異動の範囲とかこの職務で限定されているのか、職務が限定されていないのか、あと、時間が残業があるかないかということも含んでいますよね。だから、雇用形態だけではない。一般的にはそっちの方が大きいと思います。
古橋会長代理
勤務条件ですか。
林委員
ただ、雇用形態と言ってしまえば入らないというふうに思われるかもしれないけれども、パートタイマーというのは働く時間が短い、週の労働時間が短いというのが原則的にはそうですよね。だから、それは労働時間がどうかということになると思いますし、もう一つ、転勤があるかないかというのは、今は雇用形態にも含まれていますし、もう一つは地域限定コースとか、全国転勤コースというようなコースという言い方で区別して、働き方が違うというのもありますね。
古橋会長代理
この職務というのはパートタイム労働者でも課長さんとか支店長さんがいますよという意味の職務ですか。
林委員
いえ、職務というのはポストではなくて、仕事そのもの。
古橋会長代理
仕事そのものだと働き方の中に入らないですか。
林委員
私は、働き方だけでは区別できないと思うんです。例えば、職務が同じでも時間が短いだけであれば、時間に比例した賃金というのがあってしかるべきだと思うんですが、今はそうなっていないんですよね。
古橋会長代理
それは働き方なんでしょう。
林委員
いえ……。職務に応じたということが基本的にあれば、時間比例ということで明確に出てくるわけですけれども、そこの職務ということを考えるよりも、働き方が違うという、週労働時間が短い、1日の労働時間が短いということを理由とした格差が生まれ過ぎていると思うんですよ。
古橋会長代理
ちょっと私は頭が悪いからよくわからないんだけれども。
佐藤委員
上に「能力」があれば、ここも「職務や能力に応じた」でしょうね。「働き方」を入れるか入れないかは別として、「職務や能力に応じた」としないと上と合わない。上に「職務」を入れるのであれば。だから、もし、林委員が心配なら「働き方」をとってしまって、「労働者の職務や能力に応じた適正な」としたらどうですか。
林委員
それだと、とてもわかりやすいです。
古橋会長代理
それならわかります。
岩男会長
では、そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、第4分野の「農山漁村における男女共同参画の確立」に移りたいと思います。
定塚推進課長
では、第4分野の33ページ「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」でございます。「農山漁村における男女共同参画の確立」ということで、若干文言修正をしております。特に「固定資産も含めた」というところを真ん中から少し下のところに追加しているということなどが主な変更点でございます。
 (1)は「あらゆる場における意識と行動の変革」ということで、農山漁村の女性の地位の向上に向けた啓発活動を行うとともに、統計情報の収集・整備を行うこと。また、食育の具体的な内容でございますが、男女問わず国民一人一人が健全な食生活を実現するための能力を養成する観点からの食育(食農教育)を推進することなどを記載しております。
 具体的な取組でございますが、2番目として統計情報の整備、3番目として健全な食生活を実現するための能力を養成するための情報提供等を記載しております。
 次のページでございますが、(2)「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」ということでございまして、女性のリーダーの育成、リーダーのネットワークづくり等について記載しております。
 (3)につきましては「女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備」ということでございまして、これについては、施策の基本的方向の下から2行目に家族経営協定を記載しております。
 具体的な取組の中でも、家族経営協定の締結の促進等を記載しております。
 また、2番目の「●」では、固定資産の形成の促進・支援を図るための実態・意識の把握、手法の検討等を記載しております。
 (4)でございますが「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」ということでございまして、さまざまな女性が住みやすく、生き生きと活動しやすい環境づくりを推進することを記載しております。
 また、下から4行目でございますが、農林水産業等に関心のある都市の人々が就業・定住しやすい環境づくりを進める。更に、グリーンツーリズム等都市と農山漁村の共生・対流の促進を図るため、消費者との交流、商工業・観光業との連携・ネットワークを促進すること等を書いております。
 具体的な取組ということでも、新しい取組を幾つか記載しております。
 次の37ページの(5)「高齢者が安心して活動し、暮らせる条件の整備」ということでございまして、農山漁村における高齢者の活動についての取組を記載しております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、どうぞ御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。
五條委員
36ページの一番上のところで、前のページから掛かってくることですが、女性の固定資産の形成について、ワーキングチームのときにも力を入れて申し上げたんですけれども、ここでは「金融・税制における」という元々の提案が「金融面での」という形で、言ってみれば検討の範囲をやや縮小した形になっているわけですけれども、女性の固定資産形成に向けてどういう課題が存在するかということをもっと整理していく中で、決して、金融面だけの課題にとどまることではないということは想定されるわけで、先日も女性の方が家族経営協定で報酬協定が明らかになったのをきっかけに、その一部をいつも毎年積み立てていって、それで固定資産としての農地を自分で買われたという、京都のお茶農家の方と議論したんですが、例えば、そういう方々のプロセスをモデル化していく必要があるわけですが、そのときにおける支援施策とは何かということについて、もう少し幅広く議論ができるようにしておく必要があるということを考えます。
 例えば、女性の方が固定資産を形成できるように情報提供するということであっても、それは支援施策の一部ではないかと考えます。ですから、ここはあえて、もし税制という言葉がどうしても入れにくいということであっても、少なくとも1行目の一番上ですが、「金融面を含む各種の支援施策の」というような形で、金融面を代表させて、それで各種の支援施策という形にして「各種の支援施策等固定資産の形成促進のための手法の検討等を行う」という形で、修正に対してもう少し幅広く検討をしていくべきだということを強調すべきじゃないかという点が1点です。
 それから、もう一点ですけれども、やはり36ページの(4)「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」の具体的な取組のところに2つ線が引いてあるところがあります。これに関連して、その上の基本的方向のところにも線が引いてあることで、特に家事・育児の分担ということを強調しているところがいずれも出てきています。これは非常に大事なことで、こういう形で加わったことはいいことなんですが、やや女性の家事・育児の労働の過重負担の軽減ということに、やや矮小化しているなという印象を持たれがちではないかという感じがします。そもそも家庭内の家事・育児の分担を通して農村では、それが結果的に、あらゆる分野への女性の参画を促す最も基本的な条件になるのではないかということで、労働の過重負担軽減だけの問題にやや矮小化し過ぎるような表現だと、ここでの意味が半減してしまうのではないか。
 つい先週、農林水産省が公表した男女共同参画に関する農業者への意向調査の中でも端的な結果が出まして、家事・育児の分担が一番今、農村の男女共同参画を進める上で最も大切だと農業者が答えている回答が出たんですね。こうしたことも踏まえながら、では、具体的に文章を考えてみたいと思うんですが、例えば「農山漁村におけるあらゆる場での男女共同参画を進める上で、家事・育児・介護に関する分担を初めとする家庭内からの男女の協調関係の構築が最も基本的な条件になることを念頭に置いて、そのための意識啓発の活動や実態把握」、あと、例えばその後に「実態把握、生活協定を含む家族経営協定の推進など、改善に向けた具体的な対策の検討を実施、促進する」といったように、ここで1つの考え方として、家事・育児の分担を進めることが大事だということに関連して、「生活協定」という言葉を入れる一つのチャンスではないかと感じます。
 今回、前の論点整理が来たときに、今日のこの内容に向けて(3)の経済的地位の向上と就業条件の前の項目の中で、農業経営の改善と男女共同参画と家族経営協定が関係することは、ここで強調してもらったんですが、もう一つ、生活面において家族経営協定が非常に意義を持つという点も含めるというようなことで、この点を少し加えた形で修正を図っていく必要があるかなと考えます。
 以上、2点です。
岩男会長
今の御指摘は、誠にごもっともだと思うんです。ただ、1つ伺いたいんですが、「生活協定」という言葉は一般に知られている言葉なんですか。一般にというか、こういうコンテキストの中で書いてよいのでしょうか。
五條委員
家族経営協定の推進とともに、徐々にどう推進するかという中で、経営面だけではなくて生活協定も含めて推進していこうという言葉をよく使うようになってきました。ですから、家族経営協定を普及している現場においては、次第に「生活協定」という言葉が普及・浸透しつつあると考えます。
古橋会長代理
家族経営協定の中に生活協定があるんじゃないですか。
五條委員
はい。家族経営協定の一部として生活協定があります。
古橋会長代理
だから、生活協定ということを文章に書いたときに、それは家族経営協定の中にあるよということがわかるようにしておかないといけないと思いますね。新たにそんなものをまたつくるのかということになりますから、家族経営協定というのはいろいろな内容があって、そういう経営の参画であるとか、あるいは分け前をどうするだとか、それに伴う勤務条件、そのほかに生活の部分における協定があるわけですよね。だから、家族経営協定の中における生活の重要性にかんがみというようなことを、この環境づくりの(4)の中に入れることはいいと思いますよ。
 もしそうであるならば、基本的方向の中にも入れるのか、そこら辺をちょっと五條委員の方で。基本的方向の方にも、もう少し入れたらいいのかもしれません。
五條委員
そうですね。当然、先生御指摘のように、生活協定を盛り込んだ家族経営協定とかそういう表現にしないと、家族経営協定と生活協定がばらばらになってしまう。それから、そもそも家族農業経営では、生活協定も行うことによって、結果的に農業経営面にもプラスになっていくこともあるということを強調する意味でも、こうした生活協定のことを入れる一つのチャンスが、ここにあるのかなという感じがしております。
神田委員
ちょっとお伺いしたいのは、今の生活協定の中身でございますけれども、例えば、介護についてお互いに夫と妻がこのぐらい分担するとか、そういう具体的なことになるんですか。
五條委員
そういうことも含まれます。生活協定の代表的なものとして、家事労働の評価であるとか家事の分担、それから、介護の分担、それから、健康管理に関する申合せ、それから、2世代の夫婦の住まい方の問題、こうしたことが生活協定の代表的なものであって、農業経営をしていく上でも非常に密接に家族経営農業の場合は関連してくるということです。
古橋会長代理
35ページの(3)の農林省の意見の「並びに地域社会」というのをとった理由がよくわからない。これは地域社会ということがいろいろな市町村議会議員とか、いろいろなところに入っていくことが女性の経済的地位の向上に入るのだと私は思いますので、これを削ることには反対です。
 それから、具体的な取組で、これもまた「女性農業士」を削ると言うけれども、女性農業士の活動ということによって女性の経済的地位の向上ということが行われるわけですから、これも削ることには反対です。前の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」の方にも女性農業士が書いてあるから、女性農業士の役割というのは二面性があるので、両方とも書いておく必要があると私は思います。
山口委員
今度の論調の中心は、家族経営協定の促進だと思うんですね。しかし、この家族経営協定に関して非常に間違ったとらえ方がされて、バックラッシュの一つの要因になっていますから、簡潔でも男女共同参画社会にふさわしい家族経営協定の若干の解説、前置きが必要ではないかと思います。
 第2点に、私はいつも漁業のことを考えるんですが、農業中心に書かれておりますけれども、漁業も魚を獲っただけでは何の意味もないので、それを陸に揚げて家族で加工することなので、近い将来には漁業における家族経営協定が必要と思う。
 それから、もう一つは、農家と都市の交流なんですけれども、これは農業生活のよさと都市生活のメリットの相互交流があって初めて農業の意味もわかってくると思いますので、食生活のことは書いてありますが、やはり都市と農業の情報交流というか、その交流を食生活だけではなくてグリーンツーリズム等を通して理解と連携を深めるといったようなところがどこかに出てほしいと思います。
 それから、大きな過疎化の問題や高齢者の問題がありますけれども、ここでやはり欠けているのは、やはり青年男女が働く場ですよね。若い男女が農業生活で安心して働けるような環境づくりというのがないと、農業の将来は見えてこないと思うので、その辺をどこかに入れたいと思っています。
岩男会長
水産業については36ページに書いてありますね。それから、37ページにも少し。それ以上のことを書くという意味なんでしょうか。
山口委員
つまり、農業家族協定があるから、やはり漁業についても検討を要するというか、そういう視野に入れなければと思うんですけれども。漁協はいつも落ちてしまうんですよ。
住田委員
今、五條委員とそれと恐らく山口委員にも関連すると思いますが、36ページの(4)の新しく加わっている下線部分のところなんですが、この生活時間の実態調査、私も拝見しまして、これは通常の都会で働く女性以上の大変な負担が来ているということ、これは大きな問題で、お嫁さんが来ないというのは、ここら辺に起因している大きな要因だろうと思っております。ですから、そこにつきまして少し加えていただきたいのは、「特に男女の生活時間の比較において、女性は労働、家事・育児」、「介護」も入れていただきたいですね。「の負担をより多く担っている実態及びその問題点に鑑み」ということで、問題性をきちんと出していただいた方がいいと思います。それに対して、今おっしゃった協定など、総合的な施策の推進が不可欠であるという形で表から書いていただき、また下の具体的な取組もそれに平仄を合わせていただければと思います。
 以上です。
新木男女共同参画局総務課長
一応、農水省から出向して来ているもので、今の家族経営協定について一言申し上げたいと思います。
 これは、前回の基本計画でも問題になり、それから、当時の食料・農業・農村基本計画でも問題になった点でございまして、当時は与党での議論において家族経営協定を、特に食料・農業・農村基本計画に入れることになかなか難しい面があったということでありますが、実は今回改訂された新しい食料・農業・農村基本計画には、「家族経営協定の締結の促進」の文言が入りました。私どもの男女共同参画基本計画でも、きちんと家族経営協定の位置づけを行って参りたいと考えておりますが、問題は生活協定でございます。農水省の方は、生活協定につきましては、家族経営協定のバリエーションとして、地域の問題としてお取り組みいただくことは全く結構なことでありますけれども、国として生活協定を家族経営協定の一内容として取り組むべきという態度まではとっておりません。と申しますのは、特に家族経営協定につきましては、与党において家庭の在り方にまで権力が介入するものではないという強い御批判があることを踏まえ、経営協定は良いが、生活協定まで踏み込んで記述していないというのが実態であります。
 したがって、今回、食料・農業・農村基本計画の方は単に家族経営協定と書いてあるのみでございます。それを踏まえますと、今回、男女共同参画基本計画で生活協定まで踏み込むことは、先進的な態度だと思いますけれども、一方そのような抵抗もありますということを一言申し上げたということです。
山口委員
漁業はどうなんですか。
新木総務課長
漁業は、まだそこまで実態的に進んでいません。現在の案では農業に限るとは書いていませんが、食料・農業・農村基本計画はあくまで農業の基本計画であり、漁業の基本計画にそういう話があるとはちょっとまだ聞いておりません。でも、私どもの男女共同参画基本計画の方は、農林漁業ということで漁業のケースも読めるようにするということはあり得るかなと思いますけれども、水産庁がどう言うかはまだ聞いておりません。
古橋会長代理
五條委員は今のお答えについてどういうふうにお考えですか。私は新木さんのせっかくの御意見かもしれないけれども、従来、家族経営協定の中に経営に関すること、それから、労働条件に関すること、それから、生活条件に関することという農水省からの説明をずっと受けていますから、今度、男女共同参画の視点から言えば、女性が住みやすい、活動しやすい環境という中で、「生活協定」という名前を言うとギラギラするけれども、家族経営協定の中でそういうようなことを重視していくことが必要であるという考え方を入れることは、決して問題はないんじゃないかと思います。生活ごとに国が関与しているのは幾らでもあるんだから。民法なんかすべてそうでしょう。
新木総務課長
御議論のあるところだと思います。
岩男会長
ですから、「生活協定」という言葉はやはり使わない方がよいと思います。
新木総務課長
そういう状況ではないかということです。
岩男会長
ただ、中身としては、そういうことを含むというふうに書けばいいのではないかと思いますけれども。
五條委員
経営協定と生活協定は、ちょうど裏腹の関係になっていて、経営協定を結ぶことが結果的に生活面のルール化にもつながってくるわけで、生活協定ということをより明確に出すことによって、そこで何を言っているのかという理念をはっきりさせる上では効果があると思います。先ほど住田先生もおっしゃっていたような、農山漁村の女性の労働の過重負担がどうしてこれだけあるかということの根本の問題をやはり考えていく必要があると思うんですね。それで、農作業の時間をどういうふうにとるかということと、家事の時間をどうとるか。農業についての労働報酬と家事の評価をどうするかというのは、常に不可分の分けられない問題で、家族農業経営では、そこの部分の調整も一緒にやっていかないと、経営協定というものが明確になってこないという性格もあるわけで、それで、先ほど申し上げた趣旨は、(3)のところでは経営改善の視点からの経営協定を前回のワーキングチームでの議論を踏まえて強調していただいたので、是非(4)のところでは生活面の課題を入れる中で「生活協定」という言葉を入れてみたらどうか。そうすると、経営・生活両面の理念や取組が明確になってくるのではないかということであります。
岩男会長
今の問題は「いわゆる」とつけるとか、少しいろいろと検討して。
古橋会長代理
「生活協定」と協定という話が入ってくると、家族経営協定でせっかく定着したんだから、家族経営協定の中にこの生活の部分があるんですよと、当然裏腹の問題として入っているんですよという言い方にしていった方がいいんじゃないでしょうか。
岩男会長
先生がおっしゃるのは、そういう言葉を使うことによって、更に意識改革が進み、家族経営協定の推進が図られるということですね。
山口委員
しかし、1割行くまでは大変時間が掛かりますね。5年で全体の1.66でしょう。目標値というのは立てられないですね。
古橋会長代理
では、1回先生のつくっていただいた文章を見せてください。
岩男会長
原委員、どうぞ。
原委員
先ほど私は1のところの政策決定に関する数値目標の表現についてお話ししましたが、ほかの部分についても、可能な限り数値目標を盛り込むような形でいければいいんじゃないかと思います。例えば、農山漁村の場合には、やはり30%といったら実現不可能だから、もうちょっと低い数値で、ある程度実現不可能だけれども努力目標になる程度の数値とか、そういうものを入れていくというようなことは、2、3、4の領域に関して可能ではないでしょうか。それから、次回以降の今度の会議で論議される領域についても、私たちがしっかり考えてきて提案できるような形にできないものかなと思っております。
岩男会長
ほかにも何かお気付きのことがございましたら、文書でここにこういうふうにということをFAXなり何なりで事務局の方に御連絡をいただきたいと思うんです。それで次回検討するということにしたいと思います。
 本日は、6まで行くつもりでいたんですけれども、とても予定どおりは進みませんで、第4分野まで一応終わったということだと思います。
 それで、修正等の御意見は、来週の月曜日までに事務局にお寄せいただきたいということでございます。
 それから、資料2及び3をごらんください。事務局で第6回及び第7回の専門調査会の議事録案をまとめてくださいましたので、これをこのとおり決定したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。ホームページで公開ということになります。

(「異議なし」)

では、そういうことで、何か事務局の方からございましたら。
定塚推進課長
岩男会長から今、御案内がありましたとおり、今回終わりました部分について追加意見があります場合には、来週の月曜日、4日までに提出をいただきたいと思います。
 それから、次回は大分宿題が残りましたので、可能であればできる限り事前に紙で意見をいただければ、当日それを机上に配付するということで、議事の迅速化を図りたいと思います。こちらの方は、特に締め切りは設けませんが、次の会議の前までにできるだけ早くお願いをしたいと思います。
 ありがとうございます。
岩男会長
それでは、以上で専門調査会を終了いたします。どうもありがとうございました。

(以上)